以下に添付図面を参照して、この発明の実施の形態にかかる受光素子モジュールとその製造方法を詳細に説明する。なお、これらの実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。さらに、以下の実施の形態では、同じ構成要素には同じ符号を付し、ある実施の形態で説明した構成要素については、別の実施の形態でその詳細な説明を省略するものとする。また、以下で示すサイズは一例である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による受光素子モジュールをおもて面側から見た平面図であり、図2は、実施の形態1による受光素子モジュールを裏面側から見た平面図である。図3は、実施の形態1で用いられる受光素子をおもて面側から見た平面図であり、図4は、実施の形態1で用いられる受光素子を裏面側から見た平面図である。図5は、実施の形態1の受光素子と素子間接続体の構成の一例を示す断面図であり、図1と図2のA−A断面図である。図6は、実施の形態1の受光素子モジュールに用いられる素子間接続体の一例を示す平面図である。なお、図1と図2では、見易さのため素子封止材、フレーム、ジャンクションボックスおよびおもて面と裏面に用いられるモジュール主面材の図示を省略している。
ここでは、まず、受光素子の構造について説明した後、受光素子間を接続する素子間接続体の構造について説明し、そして受光素子を素子間接続体で接続した受光素子モジュールの構造について説明する。
実施の形態1の受光素子10は、図3と図4に示されるように、主面であるおもて面(受光面)と裏面(非受光面)の平面形状が略矩形で、厚さがたとえば0.1〜0.5mmの薄板状のpn接合を有する半導体によって構成される光電変換を行う受光素子基板11からなる。略矩形とは、互いに垂直となる2組の平行な辺を有する四角形形状であればよい。図では、正方形の角の一部が切り落とされた形状の例を示したが、長方形であってもよい。特に、単結晶を用いた受光素子10では、円柱の単結晶インゴットから矩形の基板を形成する際に、円形から矩形に切り落とされて無駄となる部分を減らすために、図3と図4に示されるような角の一部が切り落とされた形状の基板が使用されることが多く、このような形状も略矩形に含まれる。このような受光素子10として、半導体pn接合を有する結晶シリコン受光素子やガリウムヒ素受光素子等を用いることもできる。また、pn接合は不純物拡散によって形成されていてもよいし、アモルファスシリコン等によって形成されるヘテロ接合でもよい。
図3に示されるように、受光素子10のおもて面側の一部領域には、細線電極12とバス電極13とがおもて面電極として形成されている。これらの細線電極12とバス電極13はAg(銀)を主に含んだ金属材料からなることが望ましい。細線電極12はおもて面側の電流を集電する電極であり、おもて面を遮る部分が少なくなるように、適当な間隔をおいて配設される。細線電極12は、たとえば幅0.05〜0.2mm程度の幅で所定の方向に延在するパターンが、1〜2.5mmの周期で電極の延在方向とは直交する方向に配置される構造を有する。なお、細線電極12の代わりにおもて面に透明導電膜を形成したり、透明導電膜と細線電極12とを組み合わせたりしてもよい。
また、バス電極13は、おもて面側の細線電極12と接続され、細線電極12で集電した電流を受光素子10の外部に取り出す電流取り出し電極として機能する。また、受光素子10間を電気的に接続する素子間接続体30とバス電極13は、細線電極12と直交する方向に受光素子10上に延在して形成される。さらに、バス電極13は、素子間接続体30に接続されるため、細線電極12よりも太くなる場合が多く、たとえば0.5〜数mm程度の幅を有する。
図4に示されるように、受光素子10の他方の主面である裏面側の一部領域には、集電電極14と電流取り出し電極15とが裏面電極として形成されている。集電電極14は、裏面側の略全面または一部領域に設けられ、電流を電流取り出し電極15まで集める機能を有する。集電電極14は、たとえばAl(アルミニウム)を主成分とする材料によって構成することができる。
電流取り出し電極15は、集電電極14で集電された電流を素子間接続体30を介して外部に取り出す。電流取り出し電極15は、Agを主に含んだ金属材料からなることが望ましい。
なお、ここでは、集電電極14としてAlを主成分とする材料が裏面の略全面を被覆する場合を示しているが、集電電極14をAgとし、おもて面側の細線電極12と同じように面の一部領域にのみ形成された金属電極や、そのような金属電極と裏面のほぼ全面に形成された透明導電電極の組み合わせによって構成してもよい。集電電極14の材質がAgの場合には、素子間接続体30を集電電極14に直に接続することができ、必ずしも電流取り出し電極15を設けなくてもよい。
素子間接続体30は、図6に示されるように、受光素子10と同程度の大きさでかつ同じ形状を有し、受光素子10の裏面側に接続される平面状の導電体部分からなる平面部31と、受光素子10間を接続し、平面部31の幅よりも小さい幅を有し、直線状の導電体部分からなる帯状部32と、を有し、一体的に構成されている。このような形状の素子間接続体30は、たとえば銅箔を打ち抜き加工することによって製造することができる。素子間接続体30の厚さとして、たとえば0.01〜0.5mmとすることができる。また、この例では、帯状部32は、おもて面側のバス電極13の形成位置に対応して設けられる4本の直線状の銅箔によって構成される。
素子間接続体30の平面部31は、受光素子10の裏面に形成された電流取り出し電極15と接続され、帯状部32は、上記受光素子10とは別の受光素子10のおもて面側に形成されたバス電極13に接続されることによって、隣接する2つの受光素子10間の電気的接続を達成する。素子間接続体30と、受光素子10の電流取り出し電極15および別の受光素子10のバス電極13との接続には錫・銀半田等を用いることができる。この半田は素子間接続体30と電流取り出し電極15およびバス電極13が接続される部分だけに形成されていてもよいが、素子間接続体30の表面と裏面の両方の全体を覆っていてもよい。また、電極間の接続には、半田以外に導電性高分子や、導電性テープ等を用いることができる。なお、素子間接続体30で接続される隣接する2つの受光素子10の間には素子間接続体30が通るため、2つの受光素子10は若干の間隔を開けて配置される。
受光素子10の裏面と素子間接続体30との間の接続箇所が、裏面に形成された電流取り出し電極15の部分だけである場合、図4に示されるように電流取り出し電極15は裏面全体に形成されていないため、電流取り出し電極15がない領域では受光素子10と素子間接続体30との間の密着性が低い部分が生じる場合がある。そこで、このような領域でも受光素子10と素子間接続体30との間で高い接着強度を付与するために、素子間接続体30の端部と受光素子10との間の電流取り出し電極15以外の部分をエチレンビニルアセテートやフィラーを含むエポキシなどの樹脂で接着してもよい。
このように素子間接続体30で受光素子10間を接続していくことによって、図1と図2に示されるように、受光素子10a,10b,10cが直線状に繋がったストリングが形成される。ここで、実施の形態1による素子間接続体30を用いることによって、隣接する2つの受光素子10の間では、細線電極12の延在方向が直交する向きとなるように接続することができるため、ストリングの延伸方向を変えることができる。具体的には、受光素子10bのバス電極13に接続された素子間接続体30の帯状部32から平面部31へ延伸する方向に対して、バス電極13が90度の角度になるように受光素子10cが配置され、受光素子10cの素子間接続体30の帯状部32から平面部31へ延伸する方向に対して、バス電極13が90度の角度になるように受光素子10dが配置される。このようにして受光素子10a,10b,10cによって形成される直線状のストリングと、受光素子10d,10e,10fによって形成される直線状のストリングとが、ストリング内(端部以外)で使用されるのと同じ素子間接続体30を用いて電気的に接続され、図1に示される2つのストリング列が直列に接続される受光素子モジュール1の素子配列が形成される。
この受光素子モジュール1の終端部となる受光素子10a,10fは、受光素子モジュール1から電流を取り出すための電流引き出し線38に接続されるため、受光素子10aの場合は裏面側の、受光素子10fの場合はおもて面側の、素子間接続体30の形状が他の受光素子10b〜10eのものとは異なる。
受光素子10fのおもて面側では、素子間接続体30の帯状部32のみの形状となる接続線37が受光素子10fのバス電極13と半田等により接続される。接続線37の一方の端部(ここでは受光素子10a側の端部)で、電流引き出し線38と接続される。
受光素子10aの裏面側では、素子間接続体30の平面部31のみの形状となるモジュール端部素子用の接続体36が受光素子10aの電流取り出し電極15と半田等により接続される。接続体36の裏側(ここでは受光素子10f側の端部)には、電流引き出し線38が半田等により接続される。
図5に示されるように、受光素子10(受光素子基板11)のおもて面側には、バス電極13とそれに直交する細線電極12(図5中には図示せず)とが形成され、裏面側には電流取り出し電極15と集電電極14とが形成されている。おもて面側のバス電極13には、素子間接続体30の帯状部32が電気接続体21を介して電気的に接続され、裏面側の電流取り出し電極15には、素子間接続体30の平面部31が電気接続体21を介して電気的に接続されている。電気接続体21として、錫・銀半田等を用いることができる。また、素子間接続体30の平面部31は、裏面側の電流取り出し電極15のみでなく、受光素子の全面的または局所的に接着層26を介して接着されていてもよい。このような接着層としてはエチレンビニルアセテート樹脂やエポキシ樹脂、金属粒子を含む導電性樹脂等を用いることができる。
図1と図2に示される2列のストリングからなる受光素子配列のおもて面側と裏面側には、シート状のエチレンビニルアセテート樹脂シートなどの封止材22が形成される。そして、この封止材22を介して、おもて面側にはガラスなどのおもて面側主面材23が接着され、裏面側には、耐候性のポリエチレンテレフタラート樹脂シートなどの裏面側主面材25が接着されている。
なお、図1と図2では、図示を省略しているが、おもて面側主面材23と裏面側主面材で挟まれた構造をフレームで支持し、電流引き出し線38が封止材22と裏面側主面材25の切れ目から裏面に取り出された構造となり、受光素子モジュール1を構成している。
つぎに、単結晶シリコン太陽電池を用いた場合を例に挙げて、実施の形態1による受光素子モジュール1の製造方法を説明する。図7は、実施の形態1による受光素子モジュールの製造方法の手順の一例を示すフローチャートであり、図8は、実施の形態1による受光素子モジュールの製造方法の手順の一例を模式的に示す平面図である。なお、ここでは、受光素子として、おもて面と裏面に図3と図4に示される細線電極12、バス電極13および電流取り出し電極15のようなパターンのAg電極を有する156mm角で略正方形状の単結晶シリコン太陽電池を用いて、図1と図2に示される受光素子モジュール1を製造する場合を説明する。また、受光素子10の裏面の電流取り出し電極15以外の部分には、Alペーストをスクリーン印刷して形成された集電電極14が設けられているものとする。
まず、予め受光素子10のおもて面と裏面のAg電極部分に、メタルマスクを用いて後に電気接続体21となる半田ペーストを印刷しておく。また、銅箔をプレス抜きによる打ち抜き加工することにより、図6に示される形状の素子間接続体30を形成しておく。この際、平面部31は受光素子10(単結晶シリコン太陽電池を構成する受光素子基板11)からはみ出さない程度の大きさとする。平面部31はたとえば140mm角とし、厚さを0.01〜0.5mm程度とすることができる。また、帯状部32は、たとえば幅を1〜2mm程度とし、長さを160mm程度とし、厚さを0.5mm程度とすることができる。この平面部31の裏面側は、たとえばポリイミドのような樹脂等で覆われていてもよい。また、これとは別に、受光素子モジュール1の端部の受光素子10a用の接続体36として、たとえば140mm角とし、厚さを0.2mm程度とした正方形に打ち抜いた銅箔を作製しておき、これにたとえば幅を3mm程度とし、厚さを0.2mm程度とし、長さを160mm程度とした帯状の銅線で作られた電流引き出し線38を予め接続しておく。ここで、電流引き出し線38と接続体36との間は、つぎの工程の加熱により剥離することがないように300℃程度の高温に耐えることができる、たとえばリン銅ロウや鉛を主体とした鉛・錫半田などを用いて接続することが好ましい。さらに、接続線37として、たとえば幅を1〜2mm程度とし、長さを160mm程度とし、厚さを0.2mm程度とする複数本(図では4本)からなる帯状の銅線を、電流取り出し線38として長さ160mm程度、幅4mm程度、厚み0.5mm程度の銅線に直交させて接続することにより、受光素子モジュール1の端部の受光素子10f用の接続線を作製する。
ついで、200℃に加熱されたホットプレート上に素子間接続体30を配置し(ステップS1)、その帯状部32の上から受光素子10aをおもて面をホットプレート側(下)に向けて設置する(ステップS2、図8(a))。この際、バス電極13と素子間接続体30の帯状部32とが平行に重なるように配置する。その後、電流引き出し線38が接続された受光素子モジュール1の端部の接続体36を、ホットプレート上に配置した受光素子10aの裏面上に載置する(ステップS3、図8(b))。この際、接続体36が受光素子10aからはみ出さないようにする。
ついで、裏面の電流取り出し電極15部分に下向きの圧力を加えながらホットプレートの温度を220〜300℃程度まで上昇させてから再び200℃程度まで温度を下げることによって、受光素子10aのAg電極部分に付着している半田ペーストを融着させ、受光素子10aのAg電極と素子間接続体30の間を接続する電気接続体21を形成する(ステップS4、図8(b))。
その後、他に接続する受光素子がある場合(ステップS5でYesの場合)には、ステップS1へと処理が戻る。つぎの受光素子を接続する場合として、(1)前回の素子間接続体30の帯状部32の延在方向に沿ってバス電極13を配置するように受光素子10を接続する場合、(2)前回の素子間接続体30の帯状部32の延在方向とは異なる方向にバス電極13が延在するように受光素子10を接続する場合、(3)受光素子モジュール1の他方の端部の受光素子10fを接続する場合、とに分けることができる。ここでは、それぞれの場合について簡単に説明する。
(1)前回の素子間接続体30の帯状部32の延在方向に沿ってバス電極13を配置するように受光素子10を接続する場合
この場合には、ホットプレート上に新たな素子間接続体30を配置し(ステップS1)、その帯状部32の上におもて面を下側に向けた受光素子10bと、ステップS4で受光素子10aとの接続を行った素子間接続体30の平面部31と、を順に積層させ(ステップS2〜S3)、圧力を加えながら加熱する(ステップS4、図8(c))。これを、所望の数繰り返していくことによって、受光素子10のストリングを形成することができる。
(2)前回の素子間接続体30の帯状部32の延在方向とは異なる方向にバス電極13が延在するように受光素子10を接続する場合
この場合には、ステップS1でホットプレート上に素子間接続体30を配置するにあたって、素子間接続体30の帯状部32をそれまでの置き方から90度回転させ、図8(d)に示されるように平面部31が、それまで受光素子を連ねて形成されたストリングの延長上に位置しないように配置する(ステップS1)。また、これに合わせて受光素子10cの向きも、バス電極13がそれまでのストリング形成方向から90度回転させた方向となるように回転させてホットプレート上に配置する(ステップS2)。そして、素子間接続体30の帯状部32と、受光素子10cと、隣接する受光素子10bから延在する素子間接続体30の平面部31とが重なるように配置する(ステップS3)。この後、圧力を加えながら加熱する(ステップS4)。これによって、図8(d)に示されるように直線的なストリングから90度曲げた方向へ別の新たな直線状のストリングを繋げていくことができる。
(3)受光素子モジュール1の他方の端部の受光素子10fを接続する場合
この場合には、ステップS1でホットプレート上に受光素子モジュール1の端部の受光素子10f用の接続線37を配置するにあたって、接続線37の方向をそれまでの素子間接続体30の帯状部32の置き方から90度回転させて配置する(ステップS1)。また、これに合わせて受光素子10fの向きも、バス電極13がそれまでのストリング形成方向から90度回転させた方向となるように回転させてホットプレート上に配置する(ステップS2)。そして、接続線37と受光素子10fと隣接する受光素子10eから延在する素子間接続体30の平面部31とが重なるように配置する(ステップS3)。この後、圧力を加えながら加熱する(ステップS4)。これによって、受光素子モジュール1のもう一方の端部の受光素子10fが形成される。
その後、図7に戻り、ステップS5で他に接続する受光素子がない場合(ステップS5でNoの場合)には、ストリングの終端部の受光素子(図1中の受光素子10fに相当)から延びる接続線37に対して、導体によって受光素子に影が作られない位置で受光素子モジュール1の電流引き出し線38を半田付けして(ステップS6)、受光素子配列が形成される。
以上では、素子間接続体の帯状部分を先に素子と接続した後に素子間接続線の平面部をとなりの素子と接続するようにしたが、素子間接続線の平面部を素子と接続した後に素子間接続体の帯状部分をとなりの素子と接続するようしてもよい。また、素子の受光面側をホットプレート側にして接続したが、この逆に素子裏面をホットプレート側に向けて素子間接続体と接続するようにしてもよい。
以上の工程を組み合わせながら繰り返し実行することによって、図1と図2に示される受光素子配列が得られる。2列のストリングから構成される受光素子配列のおもて面側上には、受光素子配列より若干大きい程度の大きさのシート状のエチレンビニルアセテート樹脂などの封止材22とガラスなどのおもて面側主面材23を配置し、裏面側上には受光素子配列より若干大きい程度の大きさのシート状のエチレンビニルアセテート樹脂などの封止材22と耐候性のポリエチレンテレフタラート樹脂シートなどからなる裏面側主面材25(バックシート)を配置した積層体を構成する。そして、この積層体を真空ラミネータによって減圧下で100〜150度の温度で20分程度加熱することによって、受光素子配列がおもて面側主面材23と裏面側主面材25によって封止される(ステップS7)。
封止材22やおもて面側主面材23、裏面側主面材25に挟んでラミネートする前に、素子間接続体30の平面部31と受光素子10との間に0.05mm程度の厚さのシート状のエチレンビニルアセテート樹脂や、フィラーを含むエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PMMA(Poly Methyl MethAcrylate)等の樹脂を挿入してもよい。これをラミネート時に真空下で加熱すると、図5に示される接着層26が形成され、受光素子10と素子間接続体30および封止材22との密着性を向上させることができる。この接着層26としてAg粒子やカーボンを含むドータイト(登録商標、藤倉化成工業社製)などの導電性樹脂等を用いると、素子間接続体30が裏面側の集電に寄与するため、光電変換効率の高い受光素子モジュール1が得られるためより好ましい。また、発電素子が両面発電素子の場合は接着層26は光反射性の高い材料であるかまたは光透過性の高い材質であれば受光素子を透過した光を反射させることにより素子の発電効率を高めることができるので、光反射性の高いか光透過性が高い材質であることが好ましい。
また、裏面側主面材25および裏面側の封止材22に孔を開けておき、受光素子配列の裏側に形成されたこの孔の部分から2本の受光素子モジュール1の電流引き出し線38を出した状態で封止することによって、裏面側主面材25の孔部分から電流引き出し線38を取り出せるようにしておく。この電流引き出し線38は、ジャンクションボックス中の導線と接続されて、ジャンクションボックスに接続されたケーブルを通じて受光素子モジュール1の外部に取り出される。
この後、封止された板状の受光素子配列の端部にフレームを、電流引き出し線38部分にはジャンクションボックスを、シリコーン樹脂等で接着する(ステップS8)。以上によって、受光素子モジュール1が得られる。
実施の形態1による受光素子モジュール1では、素子間接続体30を用いて受光素子10間を接続することによって、帯状のタブ線を電流取り出し電極15と直に接続しなくてもよくなる。そのため、受光素子モジュール1内での受光素子10間の相対的な角度を任意とすることができるとともに、その際の受光素子10の裏面上に形成される電流取り出し電極15と集電電極14を任意の形状とパターンにすることができるという効果を有する。なお、この明細書での受光素子10間の角度とは、ある受光素子10のおもて面側のバス電極13の延長線が、素子間接続体30で接続された隣接する受光素子10のおもて面側のバス電極13の延長線に対してなす角度と定義する。
図9は、一般的な受光素子モジュールのおもて面側から見た平面図であり、図10は、一般的な受光素子モジュールを裏面側から見た平面図である。なお、これらの図では、見易さのため封止材、フレーム、ジャンクションボックスおよびおもて面と裏面に用いられるモジュール主面材の図示を省略している。
図9と図10に示されるように、一般的な受光素子モジュールでは、直線状のタブ線121によって、ある受光素子110のおもて面側のバス電極と、隣接する受光素子110の裏面側の電流取り出し電極115とが接続され、この構造の繰り返しによってストリングを形成している。ストリングの一方の端部の受光素子110から出るタブ線121は、ストリング間接続線122で他のストリングのタブ線121と接続される。ストリングの他方の端部の受光素子110から出るタブ線121は、タブ線121の延在方向に交差(直交)する方向に延在する導電線123に接続され、導電線123の端部には電流引き出し線138が設けられている。ストリング間接続線122は複数のストリング間を接続する配線であるが、電流引き出し線138は、1つのストリングの端部の受光素子110に設けられる複数のタブ線121間を接続する配線である。なお、この受光素子モジュールでも、実施の形態1の受光素子モジュール1と同様に、受光素子配列のおもて面側には、おもて面側主面材が封止材によって接着され、裏面側には、裏面側主面材が封止材によって接着され、電流引き出し線138が封止材と裏面側主面材の切れ目から裏面に取り出された構造を有する。
このように、一般的な受光素子モジュールでは、直線状に受光素子110が並べられた形となっているため、タブ線121で接続される隣り合う受光素子110間の角度は0度(平行)にしかできない。このままでは、受光素子110を直列に接続していくことによって、細長い受光素子モジュールしか製造することができない。たとえば、一般的な結晶シリコンを用いた受光素子110の大きさは15cm角程度の大きさであるため、200W程度の出力を得るためには、受光素子110を直列に50枚程度つなぐ必要がある。この場合、7mを越える長さとなってしまい、たとえば住宅の屋根用の受光素子として用いることが難しくなる。その一方で、モジュールサイズを小さくして受光素子モジュール間を接続線でつなぐことが考えられるが、この場合、モジュール面積が小さくなるほど受光素子110以外の支持部品等が占める面積が増えてしまい、受光素子モジュールの光電変換効率が低下する。
そこで、従来の一般的な受光素子モジュールでは、図9と図10に示されるように直線状のストリングの末端部の受光素子110に接続されるタブ線121を、受光素子110のおもて面側のバス電極13(図3参照)に対して直角となるストリング間接続線122と接続することによって、ストリングと別のストリングとを接続している。多くの場合では、ストリングの接続が180度逆方向に折り返す方向に接続され、この折り返しを繰り返すことによって、略長方形の受光素子モジュールを形成していた。このように、従来では、ストリングの方向を変えるには、ストリング間接続線が必要であった。
このような従来の受光素子モジュールでは、ストリング間接続線122が同一の受光素子110上の正と負極性の電極に接触すると、受光素子110とストリング間接続線122との間に短絡が生じ、発電出力と光電変換効率が低下してしまう。このため、受光素子110とストリング間接続線122との間にはある程度以上の距離を設ける必要があり、例えば素子から引き出されたタブ線を折り返してストリング間接続線を素子の裏側に配位する等が困難であった。また、受光素子110のおもて面側にストリング間接続線122がある場合には、ストリング間接続線122の影による非受光領域が生じ、また、受光素子110と重ならないようにストリング間接続線122が形成される場合には、受光素子モジュール内にストリング間接続線122のみが存在し、受光素子110が存在せず発電に寄与しない領域が生じることになる。その結果、いずれの場合でも受光素子モジュールの面積当りの発電出力(光電変換効率)が低下してしまう。
これに対して、実施の形態1による受光素子モジュール1では、図6に示されるような素子間接続体30を用いて受光素子10間を接続しているので、従来のようなストリング間接続線122を用いずに受光素子10間の角度を任意に変えることができる。つまり、素子間接続体30のみでストリングを折り返すことができるため、受光素子モジュール1中の受光素子10の配置を自由に行うことができ、ストリング間接続線122が不要となる。また、ストリング間の接続抵抗を低減できるとともに、受光素子モジュール1に占める受光素子10の面積比率を上げることができるため、発電出力に優れた受光素子モジュール1を製造することができるという効果を有する。さらに、横タブが不要であるため、受光素子モジュール1全体を通しての導電体の長さが短くて済み、抵抗損失の低減が可能となり、光電変換効率に優れた受光素子モジュール1を製造することができる。また、受光素子10の効率が最大となるように、受光素子10間の角度を変えることができるため、光電変換効率とデザイン性に優れた受光素子モジュール1を得ることができるという効果も有する。
ところで、特許文献1,2のように、受光素子の電極パターンを変えることによって受光素子間の角度を変えることができるが、この場合には、受光素子上のバス電極および電流取り出し電極をその角度に合わせて形成する必要があり、受光素子作製時に予め決まった方向にしか角度を決めることができない。そのため、ストリング端においてストリングの折り返し部分だけ素子間の角度を変えるには、予め異なった電極パターンを持つ受光素子を用意し、これらを複数組み合わせて受光素子モジュールを製造する方法が考えられる。この場合では、各受光素子のおもて面のバス電極と裏面の電流取り出し電極の相対的な位置関係が異なるため、おもて面のバス電極の影に入る裏面の電流取り出し電極の面積が変化する。一般的に、裏面の電流取り出し電極が存在する部分の発電能力はそれ以外の部分と異なっており(たいていの場合はその他の部分に比べて低い)、おもて面のバス電極の影に入る電流取り出し電極の面積が変化すると受光素子の発電電流値が変化する。そのため、それらの受光素子間での電流値を一致させることができず、それらを直列に接続した受光素子モジュールの光電変換効率が低下してしまう。
また、特許文献1のように一つの受光素子の電流取り出し電極に複数の方向を向く直線状の電極を用いる場合には、受光素子モジュールを一種類の電極パターンの受光素子で構成することができ、また、受光素子間の角度を複数設定することができる。しかし、おもて面のバス電極の影部分の外に存在する裏面の電流取り出し電極の面積が増大するため、受光素子単体での発電電流が低下する。そして、このような各受光素子そのものの発電能力の低下によって、この受光素子で形成される受光素子モジュールの光電変換効率も低下してしまうという問題があった。
従来の受光素子では、おもて面側のバス電極の影となり、あまり発電しない領域となるバス電極の裏側に、電流取り出し電極を設けることによって、電流取り出し電極による効率損失を低下させている。しかし、特許文献1,2に示されるように、タブ電極の配置に依存して、おもて面側のバス電極の影に裏面側の電流取り出し電極を配置できず、電流取り出し電極をおもて面側のバス電極の影以外の受光素子の裏面の任意の場所に形成する場合には、おもて面側のバス電極に対応する位置の裏面にのみ同じ面積の電流取り出し電極を形成した場合に比べて、受光素子の光電変換効率が低下するという問題があった。
このことは受光素子基板の裏面の一部、特に裏面の電極以外の領域がパッシベーションされた受光素子についても同様である。裏面がパッシベーションされた受光素子では、集電電極と電流取り出し電極の材質が同じものでパターンが異なる場合や、集電電極と電流取り出し電極が一体化している場合もあるが、いずれの場合でも、集電電極や電流取り出し電極と受光素子基板との界面での再結合はパッシベーション膜と受光素子基板との界面の再結合よりも悪影響が大きい。そのため、一般的に集電電極と電流取り出し電極は、あまり発電しない領域となるおもて面側のバス電極の下側に設けられることが好ましい。
これに対し、実施の形態1による受光素子モジュール1は、受光素子10の裏面の電流取り出し電極15のパターンが素子間接続体30に依存しないので、おもて面側のバス電極13の影となる部分に電流取り出し電極15を形成することができる。その結果、電流取り出し電極15による効率損失を低下させることができ、特許文献1,2の場合に比して、受光素子10と受光素子モジュール1の光電変換効率を高くすることができる。
また、ストリングの端部とそれ以外の部分とで、同じ電極パターンをもった受光素子10を用いることができるため、異なる電極パターンの受光素子を複数必要とする受光素子モジュールに比べて、受光素子モジュール1を作製した際の電流不整合によるモジュール出力の低下を抑えることができるという効果も有する。これによって、実施の形態1では、特許文献1のように受光素子の裏面の電流取り出し電極を予め用途別に作り分ける必要がなく、既に製造されている任意の電極パターンを有する受光素子10と素子間接続体30を用いて、受光素子モジュール1の製造時に受光素子10間の角度を任意とすることができる。
さらに、受光素子モジュール1を構成する受光素子10の裏面の電流取り出し電極15のパターンはどれも同じであり、各受光素子10の発電電流値を略一致させることができる。その結果、ストリングには他の受光素子10に比して著しく低い発電電流値を有する受光素子10がないので、受光素子モジュール1の発電効率を従来に比して高めることができる。また、任意の受光素子10の向きを変えて受光素子10間を接続することができるため、受光素子10間の電流が一致するように製造し易くなるという効果も有する。このため、従来のように、受光素子モジュールの製造時に受光素子間での電流が一致するように素子を選ぶ必要がなく、また特許文献1のようにストリングの内部の受光素子と端部の受光素子とで電極パターンが異なる場合に、受光素子間の電流が一致しないような状況を生じなくすることができる。
実施の形態2.
図11は、実施の形態2による受光素子モジュールをおもて面側から見た平面図であり、図12は、実施の形態2による受光素子モジュールを裏面側から見た平面図である。図13は、実施の形態2で用いられる受光素子を裏面側から見た平面図である。図14は、実施の形態2の受光素子と素子間接続体の構成の一例を模式的に示す断面図であり、図11と図12のB−B断面図である。図15は、実施の形態2の受光素子モジュールに用いられる素子間接続体の一例を裏面側から見た平面図である。なお、図11と図12では、見易さのため素子封止材、フレーム、ジャンクションボックスおよびおもて面と裏面に用いられるモジュール主面材の図示を省略している。また、実施の形態2の受光素子をおもて面から見た場合の平面図は、図3と同様であるため、図示を省略している。
実施の形態2の受光素子モジュール1は、素子間接続体30の構成と形状、実施の形態2の受光素子10自身と裏面電極の形状、および受光素子10と素子間接続体30の間の接続のされ方が、実施の形態1とは異なっている。そこで、以下ではこれらの相違点を中心に説明する。
実施の形態2の受光素子10は、図13に示されるように裏面側の電極が、おもて面側の電極と同様に、おもて面側の細線電極12と同じ方向に延在し、延在方向に垂直な方向に離間して形成される複数の細線電極15Bと、おもて面側のバス電極13の延在方向と同じ方向に延在し、細線電極15Bに接続される電流取り出し電極15Aと、から構成されている。ここで、電流取り出し電極15Aは、バス電極13の形成位置の裏側に形成される。このような構成によって、この受光素子10は、おもて面と裏面の両面から光を受けて光電変換することが可能となる。なお、これらの細線電極15Bと電流取り出し電極15Aとは、Agを主に含んだ金属材料からなることが望ましい。以下では、裏面の電流取り出し電極15Aと細線電極15Bとを合わせて裏面電極という。
素子間接続体30は、図15に示されるように、受光素子10(受光素子基板11)と同程度の大きさでかつ同じ形状を有し、受光素子10の裏面側に接続される平面状の導電体部分からなる平面部31Aと、受光素子10間を接続し、平面部31Aの幅よりも小さい幅を有し、直線状の導電体部分からなり、電気接続体21がコートされる帯状部32Aと、からなる。素子間接続体30としては、たとえば、錫・銀半田コートされた銅箔を帯状部32Aに用い、平面状の銅箔を平面部31Aに用いて、平面部31Aに帯状部32Aを重ねて両者を密着させた状態で加熱することによって形成される。実施の形態1のように平面部31と帯状部32とが一体成型されているのではなく、2つの部分から素子間接続体30が形成されるため、図14の断面図においては、受光素子10の裏面で、平面部31Aと帯状部32Aとが積層した構成となる。
また、平面部31Aの形状は正方形ではなく、正方形の角部分が円弧状または直線状に欠けた形状となっている。このように平面部31Aを受光素子10と相似形としたため、受光素子10の裏面をより広く覆うことができるようになり、細線電極15Bの形成領域のほぼ全域を覆い、かつ所々で局所的に平面部31Aと電気的に接続される。その結果、平面部31Aが電流の流れる経路として作用し、細線電極15Bでの抵抗損失を極力避けることができる。このような、正方形の角部分が円状に欠けた平面部31Aの大きさは受光素子10とほぼ同じ大きさであり、たとえばシリコンからなる受光素子10のサイズを略156mm角サイズとすると、150〜154mm角程度の大きさとすることができる。この際、平面部31Aが受光素子10よりも大きいと隣接する受光素子10と接触して短絡してしまう恐れがあるので、受光素子10よりも若干小さい程度の大きさであることが望ましい。また、平面部31Aの厚さは、0.01mm〜0.5mm程度とすることができる。
帯状部32Aのサイズとしては、たとえば幅を1〜2mm程度とし、厚さを0.01〜0.5mm程度とし、長さを300〜320mm程度とすることができる。また長さのうち、150〜154mm程度の部分が平面部31Aと重なるようにされる。帯状部32Aにコートされた電気接続体21によって、帯状部32Aと平面部31Aとが接続される。
実施の形態2では、このような構造の素子間接続体30によって、図11と図12に示されるように、受光素子10同士が接続され、受光素子モジュール1が構成される。素子間接続体30と受光素子10のおもて面側での接続は、実施の形態1と同様であるが、素子間接続体30の平面部31Aは、図14に示されるように、受光素子10の裏面側の細線電極15Bと電流取り出し電極15Aに電気接続体21を介して接続される。
このような裏面電極を有する受光素子10では、細線電極15Bでの導電抵抗による抵抗損失が大きい。しかし、実施の形態2では、電流取り出し電極15Aのみならず細線電極15Bに対しても素子間接続体30の平面部31Aが電気接続体21を介して接続されることで、受光素子10の平面方向の導電を平面部31Aで担うことができ、抵抗損失が低減されるので、受光素子10の光電変換効率を高めることができる。この際、受光素子10の裏面電極としては、スクリーン印刷によって形成されるAg電極を用いることができ、電気接続体21としては、たとえば、錫・銀半田を素子の裏面電極上に高温で溶かして、半田付けすることができる。このようにして裏面電極上にコートされた錫・銀半田からなる電気接続体21に対して、素子間接続体30を所々局所的に押しつけながら加熱することにより、裏面電極と素子間接続体30とを接続し、図14のような構成とすることができる。
また、実施の形態2では、受光素子10の裏面と素子間接続体30との間の電気接続体21を介した接続箇所が、実施の形態1の場合に比して多くあるため受光素子10と素子間接続体30との間の密着性が比較的高い。さらに素子間接続体30と受光素子10の接着強度を付与するために、面状の素子間接続体30と受光素子10上の電気接続体21との間の接触部以外の部分をエチレンビニルアセテートやフィラーを含むエポキシなどの樹脂で接着する接着層26を設けることができる。この際、両面受光素子が透過する光を、素子間接続体30の平面部31Aで反射できるように接着層26は受光素子10を透過する波長の光に体して透明である材料を用いることが好ましい。このような材料としては、たとえば結晶シリコン太陽電池を受光素子10に用いる場合はPMMA等を用いることができる。なお、その他の部分については実施の形態1と同様の構成となっている。
つぎに、単結晶シリコン太陽電池を用いた場合を例に挙げて、実施の形態2による受光素子モジュール1の製造方法を説明する。図16は、実施の形態2による受光素子モジュールの製造方法の手順の一例を示すフローチャートであり、図17は、実施の形態2による受光素子モジュールの製造方法の手順の一例を模式的に示す平面図である。なお、ここでは、受光素子10として、おもて面と裏面に図3と図13に示される細線電極12,15B、バス電極13および電流取り出し電極15AのようなパターンのAg電極を有する156mm角で略正方形状の単結晶シリコン太陽電池を用いて、図11と図12に示される受光素子モジュール1を製造する場合を説明する。
まず、予め受光素子10の裏面を、加熱されて融点以上となった錫・銀半田供給することによって、裏面電極である電流取り出し電極15Aと細線電極15Bの上に電気接続体21となる錫・銀半田をコートする。また、銅箔のプレス抜きによる打ち抜き加工によって、素子間接続体30を構成する略正方形状の平面部31Aと帯状部32Aを形成しておく。平面部31Aは受光素子10からはみ出さない程度の大きさであり、たとえば154mm角であり、厚さが0.01〜0.5mm程度である。また、平面部31Aの裏面側が、たとえばポリイミドのような樹脂等で覆われていてもよい。帯状部32Aは、たとえば銅箔から切り出されて帯状に成形された銅線を用いることができ、幅が1〜2mm程度であり、厚さが0.5mm程度であり、長さが310mm程度であり、加熱されて融点以上となった錫・銀半田を供給するなどして、錫・銀半田をコートする。さらに、電流引き出し線38は、幅が3mm程度であり、厚さが0.2mmであり、長さが160mm程度である帯状の銅線で形成することができ、後で素子間接続体30と接続される。
ついで、200℃に加熱されたホットプレート上に、受光素子10aのおもて面をホットプレート側(下)にして配置し(ステップS21)、その上から素子間接続体30の平面部31Aとなる銅箔を配置する(ステップS22)。この際、平面部31Aが受光素子10aからはみ出さないように受光素子10aと平面部31Aとの位置合わせを行う。
その後、たとえばスタンパなどを用いて、裏面電極の所々の部分等に下向きの圧力を加えながらホットプレートの温度を220〜300℃程度まで上昇させてから再び200℃程度まで温度を下げることによって、受光素子10aの電極部分に付着している半田を平面部31Aと融着させ、受光素子10aの裏面電極と素子間接続体30(平面部31A)との間を接続する電気接続体21を形成する(ステップS23、図17(a))。この際、圧力で受光素子10aが破損しないように、スタンパまたはホットプレートの上面には、凸部となる受光素子10aの電極または素子間接続体30と同じパターンの凹部を有していてもよい。
実施の形態2の受光素子10では、裏面の電流取り出し電極15Aおよび細線電極15Bと素子間接続体30とが電気的に接続されているので、電流取り出し電極15Aまでの集電抵抗が小さくなり、受光素子10単体での評価に比べて高い出力を示すという利点を有する。特に、両面発電が可能な受光素子10の場合、おもて面から入射した光が裏面側の銅箔からなる平面部31Aによって光が反射されて受光素子10へと再入射されるため、受光素子10単体に比べて大きな発電出力を得ることができる。しかしその一方で、裏面側の素子間接続体30を接続することによって受光素子10の出力が変化するため、受光素子10間で発電特性のばらつきが生じ易くなる。発電特性が異なる受光素子10を直列に接続すると発電特性が一致しないために、発電特性が同等の受光素子10を直列に接続した場合に比して発電効率が低下する。そこで実施の形態2では、受光素子モジュール1を作製する前に受光素子10の発電特性を測定する(ステップS24)。たとえば、裏面側に銅箔(平面部31A)を有する両面発電太陽電池素子の発電特性を、擬似太陽光照射下で評価する。そして、この特性評価に基づいて事前に受光素子モジュール1を構成する受光素子10の組み合わせを最適化することによって受光素子モジュール1の発電効率を最大化するようにしている。
その後、つぎに処理する受光素子10がある場合(ステップS25でYesの場合)には、ステップS21に戻り、上記した処理を繰り返し実行する。つまり、最初に受光素子10の裏面に平面部31Aを接続する処理をまとめて実行する。
また、つぎの受光素子10がない場合(ステップS25でNoの場合)には、200℃程度に加熱したホットプレート上に素子間接続体30の帯状部32Aを配置し(ステップS26)、この上に裏面側に形成された平面部31Aを上向きにして受光素子10aを載置する(ステップS27)。また、受光素子配列の端部に位置する受光素子10aの場合には、その上から受光素子モジュール1用の電流引き出し線38を載置する。この際、受光素子10aのバス電極13と平行になるように電流引き出し線38を配置する。
ついで、たとえばスタンパなどを用いて、裏面電極の部分に下向きの圧力を加えながらホットプレートの温度を220〜300℃程度まで上昇させてから再び200℃程度まで温度を下げることによって、素子間接続体30の帯状部32Aに付着している半田を受光素子10a上のバス電極13と融着させ、受光素子10aのバス電極13と素子間接続体30との間を接続する電気接続体21を形成する(ステップS28、図17(b))。この際、圧力で受光素子10aが破損しないように、スタンパまたはホットプレートの上面には、凸部となる受光素子10aの電極または素子間接続体30と同じパターンの凹部を有していてもよい。
その後、他に接続する受光素子10がある場合(ステップS29でYesの場合)には、ステップS26へと処理が戻る。つぎの受光素子10を接続する場合として、(1)前回の素子間接続体30の帯状部32Aの延在方向に沿ってバス電極13を配置するように受光素子10を接続する場合、(2)前回の素子間接続体30の帯状部32Aの延在方向とは異なる方向にバス電極13が延在するように受光素子10を接続する場合、(3)受光素子モジュール1の他方の端部の受光素子10fを接続する場合に分けることができる。ここでは、それぞれの場合について簡単に説明する。
(1)前回の素子間接続体30の帯状部32Aの延在方向に沿ってバス電極13を配置するように受光素子10を接続する場合
たとえば、新たな素子間接続体30の帯状部32Aを、既に帯状部32Aを取り付けた受光素子10aの横に配置する(ステップS26)。ついで、この新たな帯状部32Aとバス電極13の位置が一致するように裏面側に形成された平面部31Aを上側にして新たな受光素子10bを配置し、その上に既に帯状部32Aを取り付けた受光素子10aから延びる素子間接続体30の帯状部32Aを配置する(ステップS27、図17(c))。
その後、スタンパなどを用いて、受光素子10bの裏面側から平面部31Aの部分に下向きの圧力を加えながら加熱する(ステップS28)。これによって、おもて面側の新たな帯状部32Aに付着している半田が受光素子10b上のバス電極13と融着する。また、受光素子10aから延びる帯状部32Aに付着している半田が受光素子10bの裏面の平面部31と融着する。その結果、2つの受光素子10a,10b間が電気的に接続される。
同様に、新たなと受光素子10と帯状部32Aとを配置し、加熱していく工程を繰り返していくことで、直線状に繋がれた受光素子10のストリングを形成することができる。
(2)前回の素子間接続体30の帯状部32Aの延在方向とは異なる方向にバス電極13が延在するように受光素子10を接続する場合
この場合には、ステップS26でホットプレート上に素子間接続体30の帯状部32Aを配置するにあたって、図17(d)に示されるように、帯状部32Aをそれまでの置き方から90度回転させ、ストリングの延長方向に対して直交するように配置する(ステップS26)。また、これに合わせて受光素子10cの向きもおもて面のバス電極13がそれまでのストリング形成方向から90度回転した方向となるように回転させて、受光素子10cをホットプレート上の新たな帯状部32A上に配置し、隣接する受光素子10bから延在する帯状部32Aをその上に配置する(ステップS27)。この後、受光素子10bの裏面側から帯状部32Aと平面部31Aの部分にスタンパ等で下向きの圧力を加えながら加熱して(ステップS28)、受光素子10b,10c間を接続する。このようにして、直線的なストリングから90度曲げた方向へ別の新たな直線状のストリングを繋げていくことができる。
(3)受光素子モジュール1の他方の端部の受光素子10fを接続する場合
この場合には、ステップS26でホットプレート上に素子間接続体30の帯状部32Aを配置するにあたって、帯状部32Aをそれまでの置き方から90度回転させ、ストリングの延長方向に対して直交するように配置する(ステップS26)。また、これに合わせて受光素子10fの向きもおもて面のバス電極13がそれまでのストリング形成方向から90度回転した方向となるように回転させて、受光素子10fをホットプレート上の新たな帯状部32A上に配置し、隣接する受光素子10eから延在する帯状部32Aをその上に配置する(ステップS27)。この後、圧力を加えながら加熱して、半田により受光素子10fと素子間接続体30とを接続する(ステップS28)。
その後、図16に戻り、ステップS29で他に接続する受光素子10がない場合(ステップS29でNoの場合)には、ストリングの終端部の受光素子(図11と図12中の受光素子10fに相当)から延びる帯状部32Aに対して、導体によって受光素子10に影を作らない位置で受光素子モジュール1の電流引き出し線38を半田付けして、受光素子配列が形成される(ステップS30)。
以上では、素子間接続体の帯状部分を先に素子と接続した後に素子間接続線の平面部をとなりの素子と接続するように説明したが、素子間接続線の平面部を素子と接続した後に素子間接続体の帯状部分をとなりの素子と接続するようしてもよい。また、素子の受光面側をホットプレート側にして接続したが、この逆に素子裏面をホットプレート側に向けて素子間接続体と接続するようにしてもよい。
以上の工程を組み合わせながら繰り返し実行することによって、図11と図12に示される受光素子配列が得られる。2列のストリングから構成される受光素子配列のおもて面側上には、受光素子配列より若干大きい程度の大きさのシート状のエチレンビニルアセテート樹脂などの封止材22とガラスなどのおもて面側主面材23を配置し、裏面側上には受光素子配列より若干大きい程度の大きさのシート状のエチレンビニルアセテート樹脂などの封止材22と耐候性のポリエチレンテレフタラート樹脂シートなどからなる裏面側主面材25を配置した積層体を構成する。そして、この積層体を真空ラミネータによって減圧下で100〜150度の温度で20分程度加熱することによって、受光素子配列がおもて面側主面材23と裏面側主面材25によって封止される(ステップS31)。
封止材22やおもて面側主面材23、裏面側主面材25に挟んでラミネートする前に、素子間接続体30の平面部31Aと受光素子10との間に0.05mm程度の厚さのシート状のエチレンビニルアセテート樹脂や、フィラーを含むエポキシ樹脂液、シリコーン樹脂、重合剤を含むPMMAモノマー溶液等を挿入または注入してもよい。これをラミネート時に真空下で加熱すると、図14に示される接着層26が形成され、受光素子10と素子間接続体30および封止材22との密着性を向上させることができる。ここで、両面受光素子が透過する光を素子間接続体30の平面部31Aで反射できるように接着層26は受光素子10を透過する波長の光に体して透明である材料を用いることが好ましい。このような材料としては、たとえば結晶シリコン太陽電池を受光素子10に用いる場合はPMMA等を用いることができる。
また、裏面側主面材25および裏面側の封止材22に孔を開けておき、受光素子配列の裏側に形成されたこの孔の部分から2本の受光素子モジュール1の電流引き出し線38を出した状態で封止することによって、裏面側主面材25の孔部分から電流引き出し線38を取りせるようにしておく。この電流引き出し線38は、ジャンクションボックス中の導線と接続されて、ジャンクションボックスに接続されたケーブルを通じて受光素子モジュール1の外部に取り出される。
この後、封止された板状の受光素子配列の端部にフレームを、電流引き出し線38部分にはジャンクションボックスを、シリコーン樹脂等で接着する(ステップS32)。以上によって、受光素子モジュール1が得られる。
実施の形態2では、受光素子10の裏面に平面部31Aを接続した後に電気特性を測定し、その結果に基づいて受光素子10間を繋げていくようにしたので、受光素子10間の電気特性が揃い、光電変換特性に優れた受光素子モジュール1を製造できるという効果を、実施の形態1の効果に加えて有する。
また、従来の両面受光素子を用いた受光素子モジュールでは、受光素子を透過した光を再反射させて利用することができず、また、図13に示されるような裏面の細線電極15Bでは集電抵抗が大きく、受光素子モジュールの光電変換効率が低いという問題点があった。
これに対し、実施の形態2では、素子間接続体30の平面部31Aを受光素子10の裏面に裏面電極と接続されるように設けたので、おもて面側から入射した光を反射させて受光素子10へ光を再入射させるとともに、集電抵抗を低減することができる。その結果、光電変換効率に優れた受光素子モジュール1が得られるという効果を有する。
実施の形態3.
図18は、実施の形態3による受光素子モジュールを裏面側から見た平面図である。図18では見易さのため素子封止材、フレーム、ジャンクションボックスおよびおもて面と裏面に用いられるモジュール主面材の図示を省略している。また、実施の形態3の受光素子モジュールをおもて面から見た場合の平面図は、図11と同様であるため、図示を省略している。
実施の形態3の受光素子モジュール1では、ストリング端部分にのみ実施の形態2で説明した素子間接続体30を用い、それ以外の部分には直線状のタブ線(帯状部32A)を用いている点が、実施の形態2と異なっている。それ以外の点については、実施の形態2と同様であるため説明を省略する。
実施の形態3によっても、実施の形態1,2と同様の効果を得ることができる。
実施の形態4.
図19は、実施の形態4による受光素子モジュールをおもて面側から見た平面図であり、図20は、実施の形態4による受光素子モジュールを裏面側から見た平面図である。図21は、実施の形態4で用いられる受光素子をおもて面側から見た平面図である。図22と図23は、実施の形態4の受光素子モジュールに用いられる素子間接続体を裏面側から見た平面図である。なお、図19と図20では、見易さのため素子封止材、フレーム、ジャンクションボックスおよびおもて面と裏面に用いられるモジュール主面材の図示を省略している。また、実施の形態4の受光素子を裏面から見た場合の平面図は、図21と略同様であるため、図示を省略している。
実施の形態4では、受光素子モジュール1を構成する受光素子10a〜10fが実施の形態1〜3で示したように矩形状(正方形状)ではなく、正六角形状を有している。正六角形の場合には、正方形の場合と同様に、平面内に密に配列することができる。この場合には、図22に示されるような受光素子10よりも若干小さい正六角形状の平面部31Aを有する素子間接続体30を用いることもできるし、図23に示されるように受光素子10よりも若干小さい円形状の平面部31Aを有する素子間接続体30を用いることもできる。
また、図22に示されるように、素子間接続体30の平面部31Aに貫通孔41を設け、受光素子配列を封止する際に封止材22によって受光素子10の裏面と封止材22とを直に接触させて、接着強度を高めるようにしてもよい。
なお、それ以外の部分については、実施の形態2で説明したものと同様であるので、その説明を省略する。また、実施の形態4によっても、実施の形態1,2と同様の効果を得ることができる。
なお、以上の実施の形態1〜4では、片面から光を入射する受光素子について述べたが、裏面側に光を入射する受光素子についても同様に適用することができる。また、以上の実施の形態1〜4では、受光素子として、単結晶シリコン半導体基板を用いているが、多結晶シリコン半導体基板を用いてもよいし、ガリウム砒素など他の単結晶または多結晶の半導体基板を用いても、同様の効果が得られる。