JP5305591B2 - 耐衝撃性改質剤及び樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、透明性、耐衝撃性に優れた樹脂組成物及びそれに用いる耐衝撃性改質剤に関する。
メタクリル樹脂は透明性、耐候性、成形加工性に優れており、自動車部品、照明用品、各種パネル等に広く用いられている。しかし、一般にメタクリル樹脂は耐衝撃性が十分でないため、その用途が狭められている。
そこで、メタクリル樹脂の耐衝撃性を改良するために、特定の硬質−軟質−硬質の三層構造を基本構造とする多層構造グラフト共重合体を添加することにより、メタクリル樹脂等の硬質樹脂の耐衝撃性を向上させることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この方法では、ある程度の耐衝撃性の改良は見られるものの、満足できるものではない。
また、内層の少なくとも1層のTgが25℃未満の軟質層であり、最外層のTgが25℃以上の硬質層である多層構造グラフト共重合体により、耐衝撃性を向上させることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この方法においても、ある程度の耐衝撃性の改良は見られるものの、さらなる耐衝撃性の向上が求められている。
上記の多層構造グラフト共重合体のような耐衝撃性改質剤を多量に使用すればより高い耐衝撃性を実現することは可能であるが、そのようなメタクリル樹脂組成物の硬度は低下してしまうため実用性が低い。また、耐衝撃性改質剤を多量に使用するほど製造コストが高くなるため、上記のような耐衝撃性改質剤の添加量は少ないほど好ましく、少量で効率良く耐衝撃性を改善できる耐衝撃性改質剤及びそれを用いた樹脂組成物が望まれている。
特公昭55−27576号公報 特開平4−356502号公報 POLYMER HANDBOOK THIRD EDITION
本発明の目的は、メタクリル樹脂が持つ、優れた透明性を損なうことなく、耐衝撃性に優れた樹脂組成物及びそれに用いる耐衝撃性改質剤を提供することにある。
本発明者らはこのような現状に鑑み鋭意検討した結果、適切な組成、粒子径からなる内層重合体と、適切な範囲のTgの外層重合体との2層を少なくとも有する多層構造重合体からなる耐衝撃性改質剤を、メタクリル樹脂に配合することで上記問題が解決することを見いだし本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下に示す多層構造グラフト共重合体からなる耐衝撃性改質剤である。このような本発明の耐衝撃性改質剤は、メタクリル樹脂が持つ優れた透明性を損なうことなく、耐衝撃性に優れた樹脂組成物を与えることができる。
多層構造グラフト共重合体:
アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート70〜90質量%、芳香族ビニル化合物10〜30質量%、および、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%からなる単量体混合物100質量部と、多官能単量体0.1〜2質量部とからなる単量体成分を重合して得られる内層重合体(A)と、該内層重合体(A)の存在下に、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート50〜100質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート0〜50質量%、および、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%からなる単量体成分を重合して得られ、Tgが20〜80℃である外層重合体(B)とを有し、前記内層重合体(A)の質量平均粒子径が200〜300nmであり、前記内層重合体(A)を100質量部としたときの前記外層重合体(B)が30〜100質量部である多層構造グラフト共重合体。
また、本発明は、メチルメタクリレートを主要構成単位とするメタクリル樹脂と、上記の耐衝撃性改質剤とを含有する樹脂組成物である。このような本発明の樹脂組成物は、メタクリル樹脂が持つ、優れた透明性を損なうことなく、耐衝撃性に優れた樹脂組成物となる。
本発明によれば、メタクリル樹脂が持つ、優れた透明性を損なうことなく、耐衝撃性に優れた樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
なお、本発明で言う重合体のTg(ガラス転移温度)とは、通常知られているFOXの式:
1/Tg=a/Tg+a/Tg+a/Tg+…
に従い計算により求めたものであり、式中のTg、TgおよびTgは各重合体を形成させるのに用いた単量体成分に含まれる単量体を単独で重合した際に得られるそれぞれのホモポリマーのTgを表し、「POLYMER HANDBOOK THIRD EDITION」(非特許文献1)に記載されている値を引用した。また、上記FOXの式中のa、aおよびaは各重合体を形成させるのに用いた単量体成分に含まれる単量体のそれぞれの質量分率を表す。
本発明の耐衝撃性改質剤は、内層重合体(A)および外層重合体(B)の2層を少なくとも有する多層構造重合体からなるものであり、その多層構造重合体における各層は以下に示される組成からなる単量体成分によって構成される。
内層重合体(A)は、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート70〜90質量%(好ましくは75〜85質量%)、芳香族ビニル化合物10〜30質量%(好ましくは15〜25質量%)、および、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%(好ましくは0〜10質量%)からなる単量体混合物100質量部と、多官能単量体0.1〜2質量部(好ましくは0.1〜1質量部)とからなる単量体成分を重合して得られるものである。
単量体成分の組成を上述の各範囲内にすることにより優れた耐衝撃性及び透明性を持つ樹脂組成物が得られるようになる。特に、上記単量体混合物におけるアルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートの使用量が70質量%以上90質量%以下の場合に、高度な耐衝撃性と透明性とを持つ樹脂組成物が得られる。
アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等があげられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。n−ブチルアクリレートを使用することが好ましい。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等があげられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。スチレンを使用することが好ましい。
その他の共重合可能な単量体としては、上記の単量体と共重合可能であれば特に制限されないが、例えばフェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリルアミド、グリシジルメタクリレートなどがあげられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、共重合可能な官能基を2以上有する単量体は以下に示す多官能単量体に分類し、その他の共重合可能な単量体には分類しないものとする。
多官能単量体としては、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、アリルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、マレイン酸ジアリル、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリル、フマル酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル等があげられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。アリルメタクリレートを使用することが好ましい。
多官能単量体の量はアルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート70〜90質量%、芳香族ビニル化合物10〜30質量%、および、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%からなる単量体混合物100質量部に対して0.1〜2質量部である。0.1質量部以上2質量部以下とすることによって優れた耐衝撃性をもつ樹脂組成物が得られる。より高度な耐衝撃性が得られる多官能単量体の量の範囲は0.7〜1.1質量部である。
外層重合体(B)は、上述した内層重合体(A)の存在下に、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート50〜100質量%(好ましくは60〜85質量%)、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート0〜50質量%(好ましくは15〜40質量%)、および、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%(好ましくは0〜10質量%)からなる単量体成分を重合して得られるものである。また、この単量体成分を重合した時のTgが20〜80℃である必要がある。好ましくは20〜70℃である。Tgが20℃以上の場合に、粉体として回収した際にブロッキングしにくくなり、取り扱い性が良好となる。一方、80℃以下の場合には高度な耐衝撃性を持つ樹脂組成物が得られる。
アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート等があげられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。メチルメタクリレートを使用することが好ましい。
アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとしては、上述した内層重合体(A)に用いうるアルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートの例としてあげたものと同様のものが使用できる。n−ブチルアクリレートを使用することが好ましい。
また、その他の共重合可能な単量体としては、上述した内層重合体(A)に用いうる芳香族ビニル化合物及びその他の共重合可能な単量体の例としてあげたものと同様のものが使用できる。
また、これらの単量体成分の重合、特に外層重合体(B)を得るための単量体成分の重合では、マトリックス樹脂(例えば、メタクリル樹脂)との相溶性、流動性、耐衝撃性を良好にするためにアルキルメルカプタン等の連鎖移動剤を用いることが好ましい。アルキルメルカプタンとしては、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等があげられ、用いられる単量体成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜2質量部用いる。
多層構造グラフト共重合体の内層重合体(A)の質量平均粒子径は200〜300nmであり、より好ましくは230〜260nmである。内層重合体(A)の質量平均粒子径が200nm以上の場合には樹脂組成物の耐衝撃性が十分なものとなり、300nm以下の場合には樹脂組成物の優れた透明性が保たれる。
多層構造グラフト共重合体の内層重合体(A)を100質量部としたときの外層重合体(B)は30〜100質量部であり、より好ましくは50〜80質量部である。30質量部以上100質量部以下の場合には樹脂組成物の耐衝撃性が十分なものになる。
なお、多層構造グラフト共重合体の各層の重合体の質量は、内層重合体(A)については単量体混合物の質量、外層重合体(B)については単量体成分の質量の総和として算出する。
本発明では、上記単量体成分を乳化重合することにより、それぞれ多層構造グラフト共重合体のラテックスを得、そこから多層構造グラフト共重合体を回収することができる。乳化重合は公知の方法にしたがって行えばよい。
乳化重合に用いる乳化剤は、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれの乳化剤も使用できるが、特にアニオン系の乳化剤が好ましい。アニオン系の乳化剤としてはオレイン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム等のカルボン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩等があげられる。
乳化剤の量は、使用する乳化剤、単量体成分の種類や配合比、重合条件によって適宜決めればよいが、通常、単量体成分100質量部に対して0.1質量部以上、特に0.5質量部以上であることが好ましい。また、重合体への残存量を抑えるため、単量体成分100質量部に対して10質量部以下、特に5質量部以下であることが好ましい。
多層構造グラフト共重合体の各層を形成するための重合反応に用いる重合開始剤には特に限定されないが、例えば、ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化合物;過塩素酸化合物;過ホウ酸化合物;過酸化物と還元性スルホキシ化合物との組み合わせからなるレドックス系開始剤などが挙げられる。これらのラジカル重合開始剤の添加量は、用いるラジカル重合開始剤や単量体成分の種類や配合比によって異なるが、通常、単量体成分100質量部に対して0.01〜10質量部程度である。
多層構造グラフト共重合体の製造において、単量体成分及び重合開始剤等は、一括添加法、分割添加法、連続添加法、モノマー添加法、エマルション添加法等各種の方法で添加することができる。反応を円滑に進めるために反応系を窒素置換する、残存単量体を除去するために反応終了後に必要に応じて選択した触媒を添加するなどの方法をとってもよい。また、各層を形成する重合を行う際には、pH調整剤や酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を共存させることができる。
このようにして得られる多層構造グラフト共重合体のラテックス中の固形分の量は、重合体の生産性を高くするために、10質量%以上、特に30質量%以上であることが好ましい。また、ラテックス中の固形分の量は、ラテックスの安定性を損なわないために、60質量%以下、特に50質量%以下であることが好ましい。
上記のラテックスから多層構造グラフト共重合体を回収する方法としては、酸凝固法、塩凝固法、凍結凝固法、噴霧乾燥法等の各種の方法を用いることができる。塩凝固法で用いる回収剤としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、酢酸カルシウムなどの無機塩が挙げられるが、回収される多層構造グラフト共重合体を耐衝撃性改質剤として用いた樹脂組成物を成形して得られる成形物の着色を抑えるためには酢酸カルシウムが特に好ましい。これらは通常水溶液として使用される。回収剤水溶液の濃度は0.1〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。濃度が低すぎると安定して多層構造グラフト共重合体を回収できない場合があり、濃度が高すぎると回収した多層構造グラフト共重合体に多量の回収剤が残存して、着色が大きくなるなどの成形物の性能を低下させることがあり望ましくない。多層構造グラフト共重合体のラテックスを回収剤と接触させるときに、粒子径の小さい硬質重合体のラテックスを共存させると回収した多層構造グラフト重合体がブロッキングしにくくなり、取り扱い性が良くなる。ラテックスを回収剤水溶液に接触させるときの温度は30℃〜100℃が好ましい。析出した多層構造グラフト共重合体は各種の方法で洗浄、脱水、乾燥される。乾燥した多層構造グラフト共重合体に、シリカゲル微粒子などの滑剤を添加すると、多層構造グラフト重合体がブロッキングしにくくなり、取り扱い性が良くなる。
本発明の樹脂組成物は、メチルメタクリレートを主要構成単位とするメタクリル樹脂と、上記の多層構造重合体からなる耐衝撃性改質剤とを含有するものである。このような樹脂組成物は、メタクリル樹脂が持つ、優れた透明性、硬度を損なうことなく、耐衝撃性に優れたものとなる。
メタクリル樹脂と耐衝撃性改質剤との混合割合は用途により異なるが、メタクリル樹脂と耐衝撃性改質剤との質量比が90/10〜20/80であることが好ましい。耐衝撃性改質剤の質量比率を10以上とすることで、耐衝撃性をより十分なものにすることが可能となり、80以下とすることで、射出成形等の成形が容易な流動性を確保でき、かつ、成形品の外観(透明性など)がより優れたものとなる。より好ましくは、メタクリル樹脂と耐衝撃性改質剤との質量比が80/20〜50/50である。
本発明で使用するメチルメタクリレートを主要構成単位とするメタクリル樹脂は、メチルメタクリレート50〜100質量%、および、その他のビニルまたはビニリデン単量体0〜50質量%からなる単量体成分の重合体であることが好ましい。その他のビニルまたはビニリデン単量体としては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルアクリレート;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物等が挙げられる。上記単量体成分中のメタクリル酸メチルの含有量は、80〜99質量%であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上述した、メタクリル樹脂と多層構造グラフト共重合体とを所定の配合比でブレンドすることにより得られる。
本発明の樹脂組成物には、上述した、メタクリル樹脂、多層構造グラフト共重合体以外に、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、顔料、染料等を含んでいても良い。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を、ヘイズ%以外の「%」は「質量%」をそれぞれ表す。多層構造グラフト共重合体、および樹脂組成物の諸特性は、次の方法に従って実施した。
[質量平均粒子径]
多層構造グラフト共重合体における内層重合体(A)まで形成した重合体の質量平均粒子径は、以下のように測定を行った。得られたラテックスを蒸留水で希釈して、固形分濃度約3%の希釈ラテックスとし、その0.1mlを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布測定装置を用い、流速1.4ml/min、圧力約2.76MPa(約4000psi)、温度35℃の条件下で測定した。測定では、粒子分離用キャピラリー式カートリッジおよびキャリア液を用い、液性はほぼ中性にした。なお、測定前には、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを標準粒子径物質とし、0.02μmから0.8μmの合計12点の粒子径を測定して、検量線を作成した。
[樹脂組成物の評価]
得られた樹脂組成物を下記の条件で射出成形した後、諸特性を測定した。
装置:日精樹脂(株)製PS−60E型(商品名)射出成形機
シリンダー温度:260℃
試験片サイズ:127mm×12.7mm×6.35mm厚(アイゾット衝撃強度測定用)
100mm×50mm×2mm厚(ヘイズ測定用)
[アイゾット衝撃強度の測定]
ASTM−D−256に準拠して測定した。
[MFRの測定]
JIS K7210法により、230℃、37.3Nの条件で測定した。
[ヘイズの測定]
ASTM−D1003に準拠して測定した。
なお、適宜、以下の略号を使用した。
SFS:ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート
ST:スチレン
BA:n−ブチルアクリレート
AMA:アリルメタクリレート
TBH:t−ブチルハイドロパーオキサイド
NA:下記の乳化剤
(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩:フォスファノールRS−610NA、商品名、東邦化学(株)製)
MMA:メチルメタクリレート
nOM:n−オクチルメルカプタン
MA:メチルアクリレート
メタクリル樹脂(AP−1):アクリペットV(商品名、三菱レイヨン(株)製)
メタクリル樹脂(AP−2):アクリペットSV(商品名、三菱レイヨン(株)製)
[実施例1]
[多層構造グラフト共重合体(1)の製造]
撹拌機、還流冷却器、窒素吹き込み口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、以下の成分1を入れた。
(成分1)
脱イオン水 234部
炭酸ナトリウム 0.034部
次に、系を混合撹拌下、窒素置換しながら80℃に昇温し、以下の成分2を入れた。
(成分2)
硫酸第1鉄 1.27×10−4
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 3.80×10−4
SFS 0.48部
5分後から下記の組成の混合物(a−1)を4時間かけて投入し(0.42部/分)、80℃に保ったまま2時間保持して、内層重合体の重合を完結させた。得られたラテックス(A−1)の重合率(未反応の単量体をガスクロマトグラフィーで測定、以下同様)は99%以上で、内層重合体の質量平均粒子径は254nmであった。
(混合物(a−1))
ST 18.5部
BA 81.5部
AMA 0.90部
TBH 0.30部
NA 2.40部
引き続き、SFS0.14部を脱イオン水3.0部に溶解したものを、上記ラテックス(A−1)に加えて、15分間保持した後、下記の組成の混合物(b−1)を90分かけて滴下し(0.77部/分)、1時間保持して外層重合体の重合を完結させた。得られた最終ラテックス(B−1)の重合率は99%以上であった。外層重合体のTgを表2に示した。
(混合物(b−1))
MMA 56.58部
BA 10.35部
ST 2.07部
TBH 0.10部
nOM 0.287部
NA 0.46部
続いて、ステンレス製の容器に回収剤水溶液として1.3%酢酸カルシウム水溶液300部を仕込み、混合撹拌下60℃に昇温して前記ラテックス(B−1)300部を10分間にわたって連続的に添加した。その後92℃に昇温して5分間保持した。室温まで冷却し、脱イオン水で洗浄しながら遠心脱水(1300G、3分間)でろ別して湿潤状の樹脂を得、75℃で48時間乾燥させて白色粉体状の多層構造グラフト共重合体(1)を得た。
Figure 0005305591
Figure 0005305591
Figure 0005305591
Figure 0005305591
[実施例11]
[耐衝撃性改質剤を配合した樹脂組成物の調製及び評価]
次に多層構造グラフト共重合体(1)400部、および、メタクリル樹脂(AP−1)(アクリペットV、商品名、三菱レイヨン(株)製)600部の混合物を外形30mmφの2軸スクリュー型押し出し機((株)池貝製PCM−30型(商品名)、L/D=25)を使用し、シリンダー温度230℃〜260℃、ダイ温度260℃で溶融混練して、[メタクリル樹脂(1)]/[多層構造グラフト共重合体(1)]=60/40(質量比)、となる樹脂組成物のペレットを作製した。続いて、このペレットを用いて成形体を作製し、アイゾット衝撃強度、ヘイズを評価し、その結果を表3に示した。
<実施例2〜10、比較例1〜6>
[多層構造グラフト共重合体(2)〜(16)の製造]
原材料の種類、量などを表1のように変更した以外は、実施例1に示した多層構造グラフト共重合体(1)を製造する方法と同様にして、多層構造グラフト共重合体(2)〜(16)を得た。また、内層重合体の質量平均粒子径、外層重合体のTgを表2に示した。なお、多層構造グラフト共重合体(16)は、外層のTgが低すぎるためか、回収時に凝集してしまい、粉体回収することができなかった。
<実施例11〜19、比較例7〜10>
[耐衝撃性改質剤を配合した樹脂組成物の調製及び評価]
次に、実施例1と同様にして、[メタクリル樹脂(AP−1)または(AP−2)]/[多層構造グラフト共重合体(2)〜(6)、(9)〜(12)、(14)、(15)]=60/40(質量比)となる樹脂組成物のペレットをそれぞれ作製し、続いて成形体をそれぞれ作製して、アイゾット衝撃強度、ヘイズを評価した。その結果を表3に示した。
Figure 0005305591
Figure 0005305591
<実施例20〜23、比較例11>
[耐衝撃性改質剤を配合した樹脂組成物の調製及び評価]
次に、実施例1と同様にして、[メタクリル樹脂(AP−2)]/[多層構造グラフト共重合体(7)、(8)、(13)]=60/40または50/50に変更した配合で樹脂組成物のペレットをそれぞれ作製し、続いて成形体をそれぞれ作製して、アイゾット衝撃強度、ヘイズおよびMFRを評価した。その結果を表4に示した。実施例22及び23の組成物は比較例11の組成物と同等または同等以上のMFRでありながら、アイゾット衝撃強度が大幅に高いため射出成形材料として好適に用いることができる。
Figure 0005305591
Figure 0005305591
以上のように、本発明の構成を満たす耐衝撃性改質剤は、透明性を損なうことなく耐衝撃性の向上効果が高いことが分かった。また、その耐衝撃性改質剤を用いた樹脂組成物は耐衝撃性が高く、透明性に優れていた。
本発明の樹脂組成物は、透明性、耐候性、成形加工性に優れており、自動車部品、照明用品、各種パネル等に広く用いることができる。

Claims (2)

  1. アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート70〜90質量%、芳香族ビニル化合物10〜30質量%、および、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%からなる単量体混合物100質量部と、多官能単量体0.1〜2質量部とからなる単量体成分を重合して得られる内層重合体(A)と、該内層重合体(A)の存在下に、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート50〜100質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート0〜50質量%、および、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%からなる単量体成分を重合して得られ、Tgが20〜80℃である外層重合体(B)とを有し、前記内層重合体(A)の質量平均粒子径が200〜300nmであり、前記内層重合体(A)を100質量部としたときの前記外層重合体(B)が30〜100質量部である多層構造グラフト共重合体からなる耐衝撃性改質剤。
  2. メチルメタクリレートを主要構成単位とするメタクリル樹脂と、請求項1に記載の耐衝撃性改質剤とを含有する樹脂組成物。
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