JP2007302830A - 被覆用樹脂組成物及びそれを用いた積層成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温強度、耐傷付き性、および加工性に優れた被覆用樹脂組成物およびこれを用いた積層成形品を提供する。
【解決手段】
グラフト共重合体(A)とメタクリル系樹脂(B)を含む(メタ)アクリル系樹脂、およびアクリル系高分子滑剤(C)を含有する樹脂基材上に積層され表層を形成するための被覆用樹脂組成物であって、前記多段重合グラフト共重合体(A)は、特定の単量体成分を重合して得られる第1段重合体(A−1)、該第1段重合体(A−1)の存在下に、特定の単量体成分を重合して得られる第2段重合体(A−2)と、該第2段重合体(A−2)まで形成した重合体の存在下に、特定の単量体成分を重合して得られる第3段重合体(A−3)とを有する被覆用樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は耐候性、耐衝撃性、耐傷付き性および加工性に優れた積層成形品並びにその表層に使用される被覆用樹脂組成物に関するものであり、また該被覆用樹脂組成物を用いた耐傷付き性と低温下における耐衝撃性に優れた積層成形品に関する。
従来、窓枠、壁材、化粧板等の建築用材料には、形状の自由度や加工性の観点から塩化ビニル系樹脂が広く使用されている。しかしながら、この塩化ビニル系樹脂の成形品を屋外で使用する場合には、塩化ビニル系樹脂の耐候性が低いため、表面白化、光沢低下、黄変色等が問題となっていた。この問題点を改善する方法として、耐候性に優れるメタクリル系樹脂を主成分とする樹脂層を共押出成形等により塩化ビニル系樹脂の成形品表面に形成することが行われている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、メタクリル系樹脂を主成分とする樹脂層を表層に有する積層成形品は、メタクリル系樹脂の耐衝撃性が低いため、積層成形品の表層側から衝撃が加わる際に破損しやすい傾向がある。メタクリル系樹脂は特に室温以下の低温での耐衝撃性が劣るため、積層成形品を使用できる用途が制限されていた。
この積層成形品の耐衝撃性の向上を目的として、メタクリル系樹脂にポリブタジエン系ゴムを含有させる技術が開示されている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、この技術により得られた積層成形品は、室温以下の低温下における耐衝撃性は向上するが、耐候性の劣るポリブタジエン系ゴムを含有するため、太陽光に曝された際に黄変色しやすく、窓枠や外壁材等の屋外用途においては十分な耐候性を有していなかった。
また、特許文献3にはアクリル系多層構造重合体と架橋微粒子を含有する共押出成形用アクリル樹脂組成物が示されている。しかしながらこの技術により得られた積層成形品は、耐候性、耐衝撃性にすぐれるものの耐傷付き性が不十分である。
特開平5−93122号公報 特開平5−339459号公報 特開2003−335916号公報
本発明は、上記の従来技術の問題点を考慮してなされたものであって、耐候性、耐衝撃性、耐傷付き性および加工性に優れた積層成形品並びにその表層に使用される被覆用樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定構造の多段重合グラフト共重合体とメタクリル系樹脂を含む(メタ)アクリル系樹脂組成物、およびアクリル系高分子滑剤を含有する被覆用樹脂組成物を使用することにより、耐候性、耐衝撃性、耐傷付き性および加工性に優れた積層成形品が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、多段重合グラフト共重合体(A)を15〜99質量%、メタクリル系樹脂(B)を1〜85質量%含む(メタ)アクリル系樹脂組成物100質量部、およびアクリル系高分子滑剤(C)0.01〜10質量部を含有する樹脂基材上に積層され表層を形成するための被覆用樹脂組成物であって、
前記多段重合グラフト共重合体(A)は、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート40〜100質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート0〜60質量%、および、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%からなる単量体または単量体混合物100質量部と、多官能単量体0.1〜10質量部とからなる単量体成分を重合して得られる第1段重合体(A−1)、
該第1段重合体(A−1)の存在下に、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート70〜90質量%、芳香族ビニル化合物10〜30質量%、および、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%からなる単量体混合物100質量部と、多官能単量体1〜3質量部とからなる単量体成分を重合して得られる第2段重合体(A−2)と、
該第2段重合体(A−2)まで形成した重合体の存在下に、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート50〜100質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート0〜50質量%、および、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%からなる単量体成分を重合して得られ、Tgが20〜80℃である第3段重合体(A−3)とを有し、
前記メタクリル系樹脂(B)は、メチルメタクリレート単位を50質量%以上含有し、
被覆用樹脂組成物中の第1段および第2段重合体の合計量が15〜40質量%である被覆用樹脂組成物である。
また本発明は、樹脂基材と、該樹脂基材上に積層された前記の被覆用樹脂組成物からなる表層とを有する積層成形品である。
本発明によれば、高い耐候性を有しながら、耐衝撃性、特に室温以下の低温下での耐衝撃性、耐傷付き性、および加工性に優れた積層成形品並びにその表層に使用される被覆用樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の被覆用樹脂組成物は、樹脂基材上に積層され表層を形成することで、耐候性と耐衝撃性に優れた積層成形品を提供することができる。
前記樹脂基材としては、形状の自由度や加工性の観点から塩化ビニル系樹脂を好適に用いることができる。その他、前記樹脂基材としては、例えば、建築用材料等の各種の成形材料に一般に使用されているABS樹脂やAAS樹脂等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
前記樹脂基材として塩化ビニル系樹脂を用いる場合、該塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル単独重合体あるいは塩化ビニル単位を主成分とする共重合体であることが好ましい。前記共重合体としては、塩化ビニル80質量%以上と、他の共重合可能な単量体との共重合体が好ましい。これらの単独重合体あるいは共重合体は単独でまたは複数種の重合体を混合して用いることができる。塩化ビニルと共重合可能な他の単量体としては、特に制限はなく、例えば酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、α−オレフィン、塩化オレフィン等が挙げられる。塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、600〜1100程度のものが好ましい。本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂は、公知の重合法により製造することができる。また、本発明における塩化ビニル系樹脂は、各種の配合剤として、公知のポリブタジエン系ゴム等の耐衝撃改良剤、アクリル樹脂系の加工助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の安定剤、酸化チタン等の充填剤、着色剤、発泡剤等を配合したものを使用できる。ここで「(メタ)アクリル」とは、「メタクリル」あるいは「アクリル」のことをいう。
本発明において用いられる被覆用樹脂組成物を構成する(メタ)アクリル系樹脂組成物は、多段重合グラフト共重合体(A)15〜99質量%、メタクリル樹脂(B)1〜85質量%を含有する樹脂組成物である。多段重合グラフト共重合体の含有量が15質量%未満であると十分な耐衝撃性が得られない。また多段重合重合体の含有量が99質量%を超えると、押出成形等の成形加工する際に良好な流動性が得られない。
また前記被覆用樹脂組成物は(メタ)アクリル系樹脂組成物100質量部と、アクリル系高分子滑剤(C)を0.01〜10質量部とを含む必要がある。アクリル系高分子滑剤が0.01質量部未満の場合、押出成形時の溶融張力が不足し、均一な厚みの積層成形品が得られない。また10質量部を超えて高分子滑剤(C)を配合すると、積層成形品の耐衝撃性などの特性が低下する。より好ましくは、0.1〜1.0質量部である。
本発明でいう重合体のTgは、通常知られているFOXの式:
1/Tg=a1/Tg1+a2/Tg2+a3/Tg3+…
に従い計算により求めたものであり、式中のTg1、Tg2およびTg3は各重合体を形成させるのに用いた単量体成分に含まれる単量体を単独で重合した際に得られるそれぞれのホモポリマーのTgを表し、「POLYMER HANDBOOK, THIRD EDITION」John Wiley & Sons,Inc.(1989)に記載されている値を引用した。また、上記FOXの式中のa1、a2およびa3は各重合体を形成させるのに用いた単量体成分に含まれる単量体のそれぞれの質量分率を表す。
本発明の多段重合グラフト共重合体(A)は、第1段重合体(A−1)、第2段重合体(A−2)および第3段重合体(A−3)の少なくとも3段の重合により得られる多段重合重合体からなるものであり、その多段重合重合体における各層は以下に示される組成からなる単量体成分によって構成される。
第1段重合体(A−1)は、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート40〜100質量%(好ましくは40〜94質量%、より好ましくは50〜70質量%)、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート0〜60質量%(好ましくは5〜60質量%、より好ましくは30〜50質量%)、および、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%(好ましくは1〜10質量%)からなる単量体混合物100質量部と、多官能単量体0.1〜10質量部(好ましくは0.1〜5質量%)とからなる単量体成分を重合して得られるものである。
単量体成分の組成を前記の各範囲内にすることにより優れた耐衝撃性及び透明性を持つ樹脂組成物が得られるようになる。特に、前記単量体または単量体混合物におけるアルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレートの使用量が40質量%以下では、高度な透明性を持つ樹脂組成物が得られない。
アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート等があげられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。メチルメタクリレートを使用することが好ましい。
また、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等があげられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。n−ブチルアクリレートを使用することが好ましい。
その他の共重合可能な単量体としては、前記の単量体と共重合可能であれば特に制限されないが、例えばフェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリルアミド、グリシジルメタクリレート等の他、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物があげられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。スチレンを使用することが好ましい。なお、共重合可能な官能基を2以上有する単量体は以下に示す多官能単量体に分類し、その他の共重合可能な単量体には分類しないものとする。
多官能単量体としては、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、アリルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、マレイン酸ジアリル、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリル、フマル酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル等があげられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。1,3−ブタンジオールジメタクリレート、アリルメタクリレートを使用することが好ましい。
第2段重合体(A−2)は、第1段重合体(A−1)の存在下に、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート70〜90質量%(好ましくは75〜85質量%)、芳香族ビニル化合物10〜30質量%(好ましくは15〜25質量%)、および、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%(好ましくは0〜10質量%)からなる単量体混合物100質量部と、多官能単量体1〜3質量部(好ましくは1.5〜2.5質量部)とからなる単量体成分を重合して得られるものである。
単量体成分の組成を前記の各範囲内にすることにより優れた耐衝撃性を持つ樹脂組成物が得られるようになる。特に、前記単量体混合物におけるアルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートの使用量が70質量%未満では、高度な耐衝撃性を持つ前記樹脂組成物からなる積層成形品が得られない。前記アルキルアクリレートの使用量が90質量%を超えると、前記積層成形品の透明感が損なわれる。
アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとしては、前記した多段重合グラフト共重合体(A)の第1段重合体(A−1)に用いうる単量体の例としてあげたものと同様のものが使用できる。n−ブチルアクリレートを使用することが好ましい。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等があげられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。スチレンを使用することが好ましい。
その他の共重合可能な単量体としては、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリルアミド、グリシジルメタクリレート等があげられる。
多官能単量体としては、上述した多段重合グラフト共重合体の第1段重合体(A−1)に用いうる多官能単量体の例としてあげたものと同様のものが使用できる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。1,3−ブタンジオールジメタクリレート、アリルメタクリレートを使用することが好ましい。
第3段重合体(A−3)は、上述した第2段重合体(A−2)まで形成した重合体の存在下、より正確に表現すれば第1段重合体(A−1)および第2段重合体(A−2)を含んでなる重合体の存在下に、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート50〜100質量%(好ましくは60〜85質量%)、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート0〜50質量%(好ましくは15〜40質量%)、および、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%(好ましくは0〜10質量%)からなる単量体成分を重合して得られるものである。また、この単量体成分を重合した時のTgが20〜80℃である必要がある。好ましくは30〜70℃である。Tgが20℃未満では、粉体として回収した時にブロッキングしやすいため、取り扱い性が低下する。一方、80℃を越えると、高度な耐衝撃性を持つ樹脂組成物が得られない。
アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレートとしては、上述した第1段重合体(A−1)に用いうるアルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレートと同様のものが使用できる。メチルメタクリレートを使用することが好ましい。
アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートとしては、上述した第1段重合体(A−1)に用いうるアルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレートの例としてあげたものと同様のものが使用できる。n−ブチルアクリレートを使用することが好ましい。
また、その他の共重合可能な単量体としては、前記の第1段重合体(A−2)に用いうる芳香族ビニル化合物及びその他の共重合可能な単量体の例としてあげたものと同様のものが使用できる。
また、これらの単量体成分の重合、特に第3段重合体(A−3)を得るための単量体成分の重合では、マトリックス樹脂(例えば、メタクリル系樹脂)との相溶性、流動性、耐衝撃性を良好にするためにアルキルメルカプタン等の連鎖移動剤を用いることが好ましい。アルキルメルカプタンとしては、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等があげられ、用いられる単量体成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜2質量部用いる。より好ましくは0.2〜0.5質量部である。0.1質量部以上の場合、被覆用樹脂組成物に求められる十分な流動性および耐衝撃性が得られ、2質量部以下の場合、被覆用樹脂組成物の外観が良好となり、グラフト共重合体粉体の取り扱い性が向上する。
多段重合グラフト共重合体の第2段重合体(A−2)まで形成した重合体の質量平均粒子径は200〜400nmであることが好ましい。第2段重合体(A−2)まで形成した重合体の質量平均粒子径が200nm以上の場合には樹脂組成物の耐衝撃性が良好となり、400nm以下でも耐衝撃性が良好となる。重合時に使用する乳化剤の添加量を調整すること等により、前記重合体の質量平均粒子径を、前記の範囲内のものにすることができる。
本発明における多段重合グラフト共重合体は、第1段重合体(A−1)と第2段重合体(A−2)と第3段重合体(A−3)以外に、それぞれの重合の前後に少なくとも一段の重合を行って重合体を追加形成してもよい。ただしその場合、本発明における第1段、第2段、第3段重合の各序数はそのままとし、追加重合分はこれらの序数からは除外するものとする。
本発明では、前記単量体成分を乳化重合することにより、それぞれ多段重合グラフト共重合体のラテックスを得、そこから多段重合グラフト共重合体を回収することができる。乳化重合は公知の方法にしたがって行えばよい。
乳化重合に用いる乳化剤は、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれの乳化剤も使用できるが、特にアニオン系の乳化剤が好ましい。アニオン系の乳化剤としてはオレイン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム等のカルボン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウム等のリン酸エステル塩等があげられる。
乳化剤の量は、使用する乳化剤、単量体成分の種類や配合比、重合条件によって適宜決めればよいが、通常、単量体成分100質量部に対して0.1質量部以上、特に0.5質量部以上であることが好ましい。また、重合体への残存量を抑えるため、単量体成分100質量部に対して10質量部以下、特に5質量部以下であることが好ましい。
多段重合グラフト共重合体の各段の重合反応に用いる重合開始剤には特に限定されないが、例えば、ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸化合物;過塩素酸化合物;過ホウ酸化合物;過酸化物と還元性スルホキシ化合物との組み合わせからなるレドックス系開始剤などが挙げられる。これらのラジカル重合開始剤の添加量は、用いるラジカル重合開始剤や単量体成分の種類や配合比によって適宜決められるが、単量体成分100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましい。
多段重合グラフト共重合体の製造において、単量体成分及び重合開始剤等は、一括添加法、分割添加法、連続添加法、モノマー添加法、エマルション添加法等各種の方法で添加することができる。反応を円滑に進めるために反応系を窒素置換する、残存単量体を除去するために反応終了後に必要に応じて選択した触媒を添加するなどの方法をとってもよい。また、各層を形成する重合を行う際には、pH調整剤や酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を共存させることができる。
このようにして得られる多段重合グラフト共重合体のラテックス中の固形分の量は、重合体の生産性を高くするために、10質量%以上、特に30質量%以上であることが好ましい。また、ラテックス中の固形分の量は、ラテックスの安定性を損なわないために、60質量%以下、特に50質量%以下であることが好ましい。
前記のラテックスから多段重合グラフト共重合体を回収する方法としては、酸凝固法、塩凝固法、凍結凝固法、噴霧乾燥法等の各種の方法を用いることができる。塩凝固法で用いる回収剤としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、酢酸カルシウムなどの無機塩が挙げられるが、回収される多段重合グラフト共重合体を含有する樹脂組成物を成形して得られる成形物の着色を抑えるためには酢酸カルシウムが特に好ましい。これらは通常水溶液として使用される。回収剤水溶液の濃度は0.1〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。濃度が低すぎると安定して多段重合グラフト共重合体を回収できない場合があり、濃度が高すぎると回収した多段重合グラフト共重合体に多量の回収剤が残存して、着色が大きくなるなどの成形物の性能を低下させることがあり望ましくない。多段重合グラフト共重合体のラテックスを回収剤と接触させるときに、粒子径50〜100nmのメチルメタクリレート単位を主成分とする硬質重合体のラテックスを共存させると回収した粉体状の多段重合グラフト重合体がブロッキングしにくくなり、取り扱い性が良くなる。ラテックスを回収剤水溶液に接触させるときの温度は30℃〜100℃が好ましい。析出した多段重合グラフト共重合体は各種の方法で洗浄、脱水、乾燥される。乾燥した多段重合グラフト共重合体に、シリカゲル微粒子などの滑剤を添加すると、粉体状の多段重合グラフト重合体がブロッキングしにくくなり、取り扱い性が良くなる。
本発明で使用するメタクリル系樹脂(B)は、メチルメタアクリレート単位を50質量%以上含有する。メチルメタクリレート単位が50質量%未満では成形体の耐候性改良効果の点で不十分であり好ましくない。メタクリル系樹脂中のメチルメタクリレート単位の含有率は、耐候性および耐傷付き性の点から、好ましくは60〜98質量%、さらに好ましくは75〜95質量%である。メチルメタクリレートと共重合可能な他のモノマーとしては、たとえば芳香族ビニル化合物、アルキルアクリレート、メチルメタクリレート以外のアルキルメタクリレート、アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸やクロトン酸などのα,β−不飽和カルボン酸、酢酸ビニル、エチレンやプロピレンなどのオレフィン、塩化ビニルや塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル化合物、N−アルキルマレイミドなどのマレイミド化合物およびその他のビニル化合物があげられる。
芳香族ビニル化合物としては、たとえばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、その他のスチレン誘導体などがあげられる。
アルキルアクリレートとしては、たとえばエチルアクリレート、ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどがあげられる。
メチルメタクリレート以外のアルキルメタクリレートとしては、たとえばエチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートなどのアルキル基の炭素数が2〜8のアルキルメタクリレート、シクロへキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどがあげられる。これらの共重合性モノマーは単独または2種以上組み合わせて用いられる。
前記メタクリル系樹脂(B)は乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合などによって製造することができる。これらの中で特に重合体に含まれる不純物を減らすという点で塊状重合が好ましい。
本発明に用いられるアクリル系高分子滑剤(C)としては、還元粘度が0.01〜0.5L/gであるものが好ましい。より好ましくは0.05〜0.25L/gである。本発明における還元粘度とは、100mLのクロロホルム中に(C)アクリル系高分子滑剤0.1gを溶解し、25℃にて測定したものとする。還元粘度が0.5L/g以下であると、成形加工性、特にダイラインなど改善効果が見られるため好ましい。また、0.01L/g以上であると、耐衝撃性など諸物性の観点から好ましい。前記アクリル系高分子滑剤(C)の還元粘度は、重合時に用いる連鎖移動剤の添加量等を調整することにより、前記範囲にすることができる。
本発明に用いられるアクリル系高分子滑剤(C)は、アルキル基の炭素数が1以上18以下のアルキルメタクリレートと、アルキル基の炭素数が1以上18以下のアルキルアクリレートと、前記アルキルメタクリレート、アルキルアクリレートの少なくとも何れかと共重合可能なビニル系単量体とを含む単量体混合物を乳化重合することにより得られるものが好ましい。
本発明の被覆用樹脂組成物は、前記の多段重合グラフト共重合体(A)、メタクリル系樹脂(B)およびアクリル系高分子滑剤(C)とを所定の配合比でブレンドすることにより得られる。
また前記被覆用樹脂組成物中の第1段および第2段重合体の合計量が15〜40質量%である。
前記被覆用樹脂組成物には、所望により、70質量%以上がメチルメタクリレート単位であり、その還元粘度が0.30〜1.50L/gの範囲であるメタクリル系重合物(D)を0.01〜2部の範囲内で配合することができる。
本発明の被覆用樹脂組成物においては成形性の観点からその流動性も重要である。流動性は特に制限されるものではないが、JIS K7210による、230℃、37.3N荷重で測定したメルトフローレート(以下、「MFR」と称す。)が3〜20g/10分の範囲であることが好ましい。さらに好ましくはそのMFRが5〜15g/10分である。MFRが3g/10分以上では共押出における200℃での流動性が十分となり、成形品の形状が損なわれる恐れがある。また20g/10分以下では溶融張力が確保され、被覆層の厚みが均一になる。前記被覆用樹脂組成物の流動性は、メタクリル系樹脂(B)の重量平均分子量や共重合組成、多段重合グラフト共重合体(A)とメタクリル系樹脂(B)の配合比率等を調整することにより、前記範囲にすることができる。
前記被覆用樹脂組成物には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、顔料、染料等を含んでいても良い。
本発明の積層成形品を得るための、樹脂基材と、前記被覆用樹脂組成物とを一体に成形する方法としては特に制限はないが、共押出成形による積層化する方法を挙げることができる。例えば、複数の押出機にてそれぞれの樹脂を溶融し、これらの溶融樹脂をダイス等の積層化装置に通して積層成形品を得る方法がある。この他、前記被覆用樹脂組成物を押出成形等により予めフィルム化しておき、このフィルムを、別に押出成形等で製造した塩化ビニル系樹脂成形品に重ねて、これをプレス成形して積層化する方法が挙げられる。
前記積層成形品は、通常は、樹脂基材と、この基材上に設けられた被覆用樹脂組成物の2層で構成されるが、必要に応じて、これらの一方または両方が複数積層された3層以上の積層体にしても良い。3層以上の積層体においては、少なくとも一層の被覆用樹脂組成物が表面層(最外層)に位置するように構成する。積層成形品の各層の厚みは製品の用途によって適宜設定されるが、成形品の表層に位置する被覆用樹脂組成物の層の厚みは0.05〜1mmに設定することが好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を、ヘイズ%以外の「%」は「質量%」をそれぞれ表す。実施例及び比較例における試験片作製方法及び評価方法を下記に示す。
(1)積層成形品の作製
被覆用樹脂組成物のペレットを、Tダイ(幅100mm)及びポリッシングロール(3本、縦型)を備えたφ25mm単軸押出機にて、シリンダー温度240℃、ロール温度90℃で押出して厚み0.4mmのフィルムを作製した。この被覆用樹脂組成物のフィルムを市販の塩化ビニル系樹脂シート(タキロンプレートET1980、厚み2mm、タキロン(株)製)に重ねて、プレス成形機にて140℃で加圧融着して積層成形品を得た。
(2)積層成形品の耐衝撃性評価
上記積層品を100mm×100mmの大きさに切り出し、高速衝撃試験機(島津ハイドロショット、島津製作所(株)製)により、撃芯径:1/2インチ、打ち抜き速度:1m/秒、測定温度:−10℃および23℃それぞれの条件下で、被覆用樹脂組成物側の面から打ち抜き、各20枚面衝撃強度を測定した。
その結果、最大エネルギーが20000N・mm以上のものを○(延性破壊)、20000N・mm未満のものを×(脆性破壊)と判定し、全測定個数に占める延性破壊サンプルの比率を計算した。
(3)積層成形品の耐候性評価
上記で得られた積層成形品を50mm×50mmに切り出し、メタルウェザー試験機(KU−R4CI−A、ダイプラウィンテス(株)社製)にて、照射強度80mW/cm、63℃、50%RHで、被覆用樹脂組成物側の面から200時間暴露した。暴露後の外観を目視評価した。○は外観変化(黄変色、白化、光沢低下、肌荒れ等)が小さく、×は大きいことを示す。
(4)流動性の評価
JIS K7210による、230℃、37.3N荷重でMFRの測定を行った。
(5)耐傷付き性の評価
JIS K5400に基づく鉛筆硬度の測定を行った。
(6)加工性
φ25mm単軸押出機でフィルムを作製する際、ダイラインの発生状況を目視で観察した。
その結果を以下のように分類した。
○:ダイラインがほとんど発生せず良好な加工性
△:ダイラインが多少発生した
×:ダイラインが多量発生した
(7)質量平均粒子径
多段重合グラフト共重合体における各段重合のラテックスの質量平均粒子径は、Matec Applied sciences社製CHDF2000型(商品名)粒度分布測定装置を用いて、カラム温度35℃、キャリア液流速1.4ml/minで測定した。
用いる原材料の略称を以下に示す。
RON:ロンガリット(ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート)
FE:硫酸第一鉄
EDTA:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩
NA:(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩:フォスファノールRS−610NA、商品名、東邦化学(株)製)
MMA:メチルメタアクリレート
ST:スチレン
BA:n−ブチルアクリレート
13BD:1,3−ブタンジオールジメタクリレート
AMA:アリルメタクリレート
TBH:t−ブチルハイドロパーオキサイド(パーブチルH:日本触媒(株)製)
CHP:クメンハイドロパーオキサイド
nOM:ノルマルオクチルメルカプタン
MA:メチルアクリレート
参考例1 [多段重合グラフト共重合体(G−1)の製造]
撹拌機、還流冷却器、窒素吹き込み口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、以下の成分1を入れた。
(成分1)
脱イオン水 190部
RON 0.4部
FE 4.2×10-5
EDTA 1.3×10-4
NA 0.00部
次に、系を混合撹拌下、窒素置換しながら80℃に昇温し、下記の組成の混合物(a−1)の1/10を投入し、80℃に保ったまま15分保持した。次に(a−1)の残りを50分かけて投入し、80℃に保ったまま1時間保持して、第1段重合体の重合を完結させた。得られたラテックスの重合率(未反応の単量体をガスクロマトグラフィーで測定、以下同様)は99%以上であった。
混合物(a−1)
MMA 11.15部
ST 0.87部
BA 8.0部
13BD 0.6部
AMA 0.075部
TBH 0.035部
NA 0.72部
引き続き、RON0.27部を脱イオン水5.0部に溶解したものを、上記ラテックスに加えて、15分間保持した後、下記の組成の混合物(b−1)を4時間かけて滴下し、2時間保持して第2段重合体の重合を完結させた。得られたラテックスの重合率は99%以上で、中間層重合体まで形成した重合体の質量平均粒子径は250nmであった。
(混合物(b−1))
ST 14.0部
BA 66.0部
13BD 0.20部
AMA 1.40部
CHP 0.23部
NA 1.50部
引き続き、RON0.23部を脱イオン水5.0部に溶解したものを、上記ラテックスに加えて、15分間保持した後、下記の組成の混合物を2時間20分かけて滴下し、1時間保持して第3段重合体の重合を完結させた。得られた最終ラテックスの重合率は99%以上、質量平均粒子径は280nmであった。第3段重合体のTgを表1に示した。
(混合物(c−1))
MMA 49.2部
BA 9.0部
ST 1.8部
TBH 0.10部
nOM 0.12部
続いて、ステンレス製の容器に回収剤水溶液として1.5%酢酸カルシウム水溶液300部を仕込み、混合撹拌下60℃に昇温して前記ラテックス300部を10分間にわたって連続的に添加した。その後90℃に昇温して5分間保持した。室温まで冷却し、脱イオン水で洗浄しながら遠心脱水(1300G、3分間)でろ別して湿潤状の樹脂を得、75℃で48時間乾燥させて白色粉体状の多段重合グラフト共重合体(G−1)を得た。
[多段重合グラフト共重合体(G−2)の製造]
撹拌機、還流冷却器、窒素吹き込み口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、以下の成分1を入れた。
(成分1)
脱イオン水 94部
RON 0.25部
FE 2.5×10−5
EDTA 7.5×10−5
次に、系を混合撹拌下、窒素置換しながら80℃に昇温し、下記の組成の混合物(a−2)の2/10を投入し、80℃に保ったまま15分保持した。次に(a−2)の残りを50分かけて投入し、80℃に保ったまま1時間保持して、最初に第1段重合体の重合を完結させた。得られたラテックスの重合率(未反応の単量体をガスクロマトグラフィーで測定、以下同様)は99%以上であった。
(混合物(a−2))
MMA 7.0部
ST 0.5部
BA 5.0部
13BD 0.375部
AMA 0.047部
TBH 0.022部
NA 0.45部
引き続き、RON:0.17部を脱イオン水1.2部に溶解したものを、上記ラテックスに加えて、15分間保持した後、下記の組成の混合物(b−2)を240分かけて滴下し、105分保持して第2段重合体の重合を完結させた。得られたラテックスの重合率は99%以上で、第2段重合体まで形成した重合体の質量平均粒子径は250nmであった。
(混合物(b−2))
ST 8.75部
BA 41.25部
13BD 0.125部
AMA 0.875部
CHP 0.14部
NA 1.35部
引き続き、RON0.10部を脱イオン水1.1部に溶解したものを、上記ラテックスに加えて、15分間保持した後、下記の組成の混合物(c−2)を100分かけて滴下し、60分間保持して第2段後の追加のグラフト重合体の重合(実質3段目の重合)を完結させた。得られたラテックスの重合率は99%以上であった。
(混合物(c−2))
MMA 23.70部
BA 6.25部
ST 1.30部
TBH 0.053部
nOM 0.031部
引き続き、RON0.02部を脱イオン水1.2部に溶解したものを、上記ラテックスに加えて、15分間保持した後、下記の組成の混合物(d−2)を20分かけて滴下し、120分間保持して第3段グラフト重合体の重合(実質4段目の重合)を終えた。得られた最終ラテックスの重合率は99%以上であった。グラフト重合体のTgを表1に示した。
(混合物(d−2))
MMA 5.94部
MA 0.31部
TBH 0.011部
nOM 0.0187部
続いて、ステンレス製の容器に回収剤水溶液として1.0%酢酸カルシウム水溶液360部を仕込み、混合撹拌下60℃に昇温して前記ラテックス300部を10分間に亘って連続的に添加した。その後92℃に昇温して5分間保持した。室温まで冷却し、脱イオン水で洗浄しながら遠心脱水(1300G、3分間)でろ別して湿潤状の樹脂を得、75℃で48時間乾燥させて白色粉体状の多段重合グラフト重合体(G−2)を得た。
[多段重合グラフト共重合体(G−3)〜(G−10)の製造]
参考例1において、混合物の組成を表1に示すように変更した以外は同様の方法により、多段重合グラフト共重合体(G−3)〜(G−10)を製造した。第2段重合体の粒子径、グラフト層重合体のTgをそれぞれ表1に示す。
参考例2 アクリル系高分子滑剤(C−1)の製造
攪拌機を備えたセパラブルフラスコに、蒸留水280部、ビニルコハク酸カリウム及びアリルコハク酸カリウムの混合物1.5部、過硫酸アンモニウム2部、および下記の混合物1を投入し、窒素置換後65℃に昇温し2時間加熱攪拌した。
(混合物1):メチルメタクリレート30部およびn−オクチルメルカプタン0.03部
続いて、混合物2を1時間に渡り滴下し、2時間攪拌した。
(混合物2)n−ブチルメタクリレート20部、n−ブチルアクリレート30部及びn−オクチルメルカプタン0.25部
その後、混合物3を30分に渡り添加し、2時間攪拌して、共重合体ラテックスを得た。得られた共重合体ラテックスを、0.5%硫酸水溶液200部に50℃で滴下し、凝固、分離し、洗浄後、75℃で16時間乾燥し、粉末状のアクリル系高分子滑剤(C−1)を得た。
(混合物3)メチルメタクリレート20部及びn−オクチルメルカプタン0.05部
なお、アクリル系高分子滑剤(C−1)の還元粘度(ηsp/c)は、0.10L/gであった。
アクリル系高分子滑剤(C−2)の製造
参考例2において、混合物1および混合物3の添加においてn−オクチルメルカプタンを混合しなかった以外は同様の方法により、粉末状のアクリル系高分子滑剤(C−2)を製造した。なお、アクリル系高分子滑剤(C−1)の還元粘度(ηsp/c)は、0.30L/gであった。
[被覆用樹脂組成物の作製]
実施例1
多段重合グラフト共重合体(A−1)40部、メタクリル系樹脂(B−1);三菱レイヨン(株)製アクリペット(登録商標)SV60部、アクリル系高分子滑剤(C−1)0.50部、アデカスタブ2112:0.15部をハンドブレンドで混合し、外径30mmφの2軸スクリュー型押し出し機((株)池貝製PCM−30型(商品名)、L/D=25)を使用し、シリンダー温度230℃、ダイ温度230℃で溶融混練して樹脂組成物のペレットを作製した。続いて、このペレットを用いて各種評価用サンプルを作製し、物性評価を行った。その結果を表2に示した。
実施例2〜9、比較例1〜8
表2に示すように各原材料の配合を変更した以外は、実施例1と同様の方法により物性評価を行った。結果を表2に示す。なお、表2中のメタクリル系樹脂(B−2)は、三菱レイヨン(株)製アクリペット(登録商標)MFである。
各表に示すように、本発明に基づく実施例の被覆用樹脂組成物は、いずれも低温強度、耐傷付き性および加工性が優れており、耐候性も良好であった。第2段重合体の粒子径が200〜400nmの範囲にある実施例1および実施例4は最も物性バランスにすぐれていることが分かる。
一方、比較例では、低温強度、耐傷付き性および加工性の少なくとも1つを満たしておらず、本用途に適しているとは言い難い。
Figure 2007302830
Figure 2007302830
本発明によって得られた被覆用樹脂組成物は、低温強度、耐傷付き性、および加工性に優れるため、これを用いた積層成形品とすることができ有用である。

Claims (7)

  1. 多段重合グラフト共重合体(A)を15〜99質量%、メタクリル系樹脂(B)を1〜85質量%含む(メタ)アクリル系樹脂組成物100質量部、およびアクリル系高分子滑剤(C)0.01〜10質量部を含有する樹脂基材上に積層され表層を形成するための被覆用樹脂組成物であって、
    前記多段重合グラフト共重合体(A)は、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート40〜100質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート0〜60質量%、および、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%からなる単量体または単量体混合物100質量部と、多官能単量体0.1〜10質量部とからなる単量体成分を重合して得られる第1段重合体(A−1)、
    該第1段重合体(A−1)の存在下に、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート70〜90質量%、芳香族ビニル化合物10〜30質量%、および、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%からなる単量体混合物100質量部と、多官能単量体1〜3質量部とからなる単量体成分を重合して得られる第2段重合体(A−2)と、
    該第2段重合体(A−2)まで形成した重合体の存在下に、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート50〜100質量%、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルアクリレート0〜50質量%、および、その他の共重合可能な単量体0〜20質量%からなる単量体成分を重合して得られ、Tgが20〜80℃である第3段重合体(A−3)とを有し、
    前記メタクリル系樹脂(B)は、メチルメタクリレート単位を50質量%以上含有し、
    被覆用樹脂組成物中の第1段および第2段重合体の合計量が15〜40質量%である被覆用樹脂組成物。
  2. 多段重合グラフト共重合体(A)の第2段重合体(A−2)まで形成した重合体の質量平均粒子径が200〜400nmである請求項1記載の被覆用樹脂組成物。
  3. アクリル系高分子滑剤(C)の還元粘度が0.01〜0.5L/gである請求項1または2記載の被覆用樹脂組成物。
  4. 70質量%以上がメチルメタクリレート単位であるメタクリル系重合物(D)を0.01〜2質量部含み、前記重合物(D)の還元粘度が0.30〜1.50L/gの範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の被覆用樹脂組成物。
  5. JIS K7210に準拠して測定したメルトフローレートの値が3〜20g/10分の範囲のものである請求項1〜4のいずれかに記載の被覆用樹脂組成物。
  6. 樹脂基材と、該樹脂基材上に積層された請求項1〜5のいずれかに記載の被覆用樹脂組成物からなる表層とを有する積層成形品。
  7. 樹脂基材が塩化ビニル系樹脂からなる請求項6記載の積層成形品。
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