JPWO2012165526A1 - アクリル樹脂組成物、その成形体、製膜方法、及びアクリル樹脂フィルム - Google Patents
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Abstract
ゴム含有多段重合体(I)100質量部と熱可塑性重合体(II)0〜10質量部を含んでなるアクリル樹脂組成物であって、(1)ISO178に従って、温度23℃、試験速度2mm/minで測定した成形体の曲げ弾性率の値が400MPa以下、(2)動的粘弾性測定装置の引張モードで測定した、80℃以上の領域で出現するピークの値が85℃以上、(3)キャピラリー径φ=1mm、L/D=16、温度230℃の条件で、一定速度(1.57cm3/min)でアクリル樹脂組成物を押し出し、そのストランドを一定速度(10m/min)で引き取った際のメルトテンションの値が0.03N以上である、高い耐候性、柔軟性、耐熱性を有するアクリル樹脂組成物が開示される。
Description
本発明は高い耐候性、柔軟性、耐熱性を両立する成形体を成形し得るアクリル樹脂組成物に関する。
従来、ガーデニング材、人工竹垣、波板等の屋外建装材や、窓枠、玄関扉、家電製品等の表面を保護し、また意匠性を付与する目的で、これらの部材の表面に、絵柄を印刷したポリ塩化ビニル樹脂からなる化粧シートをラミネートする方法が知られている。ポリ塩化ビニル樹脂には、熱成形性に優れ安価であるという利点が有る。ただし、耐候性に劣るという欠点が有るので、特に屋外での使用にはあまり適していない。
そこで、ポリ塩化ビニル樹脂からなる化粧シートの表面にアクリル樹脂フィルムをラミネートし、その耐候性を改善した化粧シートが多く用いられるようになって来た。このような構成の化粧シートは、ヨーロッパ等の比較的低温で太陽光が弱い地域で広く使用されている。
アクリル樹脂フィルムの原料としては、これまでに様々な樹脂組成物が提案され、実用化されている。特に、耐候性及び透明性に優れ、かつ耐折り曲げ白化性等の耐ストレス白化性にも優れたアクリル樹脂フィルムを与える原料として、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート及びグラフト交叉剤を重合体の構成成分とし、弾性重合体、中間重合体、硬質重合体からなる特定構造の多段重合体が知られている(特許文献1、特許文献2)。
しかし、この化粧シートは、アメリカ、アフリカ等の高温で太陽光が強い地域で使用する場合は、耐候性が不十分で使用可能な期間が短く、耐熱性も不十分で高温下での機械的強度が小さい。すなわち、ポリ塩化ビニル樹脂シートの表面にアクリル樹脂フィルムをラミネートしても、高温で太陽光が強い地域での使用には適していない。
そこで、ポリ塩化ビニル樹脂に代えてアクリル樹脂からなる化粧シートを製造する方法が考えられる。ただし、アクリル樹脂はポリ塩化ビニル樹脂よりも柔軟性が劣る。したがって、例えばその化粧シートを鋼板等の基材に貼り合わせ、この基材を窓枠等の各種部材の形状にする為に常温曲げ加工すると、曲部で化粧シートのクラックが発生する場合が有る。そしてクラックにより剥き出しになった基材は、太陽光等に曝され腐食するという問題が有る。
クラックを防ぐ為にアクリル樹脂の柔軟性を向上する方法として、先に述べたような多段重合体中の硬質重合体に使用するモノマーの種類や割合を調整し、ガラス転移温度(Tg)を下げる方法が有る。しかし、アクリル樹脂のTgを下げると耐熱性も低下してしまうので、高温で太陽光が強い地域での使用は困難である。
また、アクリル樹脂の柔軟性を向上する方法として、多段重合体中の弾性重合体の割合を高める方法が知られている(特許文献3、特許文献4)。しかし、弾性重合体の割合が高過ぎると、得られる成形体の厚み精度が低下したり、流動性の低下によって成形時の生産性が低下したりする。したがって、弾性重合体の割合を高めるには限界があり、特許文献3に記載のアクリル樹脂でも柔軟性はまだ不十分である。
このように従来の技術では高い耐候性、柔軟性、耐熱性を両立することは困難であった。
本発明の目的は、高い耐候性、柔軟性、耐熱性を両立するアクリル樹脂組成物を提供することにある。特に高温で太陽光が強い地域を含む広い地域での利用に適し、常温で基材と貼り合わせ曲げ加工してもクラック等の問題が生じないフィルム等の成形体を製造する為の材料として好適なアクリル樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、以下の[1]〜[6]である。
[1]ゴム含有多段重合体(I)と熱可塑性重合体(II)0〜10質量部(ゴム含有多段重合体(I)100質量部に対して)を含んでなるアクリル樹脂組成物であって、次の条件(1)、(2)及び(3)を満足するアクリル樹脂組成物。
(1)ISO178に従って、温度23℃、試験速度2mm/minで測定した成形体の曲げ弾性率の値が400MPa以下である。ここで、成形体は厚み4mm、長さ80mm、幅10mmである。
(2)動的粘弾性測定装置の引張モードで測定した、80℃以上の領域で出現するピークの値が85℃以上である。ここで、試験片はアクリル樹脂組成物を幅6mm、厚さ1mmに成形したシートであり、初期チャック間距離は2cmである。
(3)キャピラリー径φ=1mm、L/D=16、温度230℃の条件で、一定速度(1.57cm3/min)でアクリル樹脂組成物を押し出し、そのストランドを一定速度(10m/min)で引き取った際のメルトテンションの値が0.03N以上である
(1)ISO178に従って、温度23℃、試験速度2mm/minで測定した成形体の曲げ弾性率の値が400MPa以下である。ここで、成形体は厚み4mm、長さ80mm、幅10mmである。
(2)動的粘弾性測定装置の引張モードで測定した、80℃以上の領域で出現するピークの値が85℃以上である。ここで、試験片はアクリル樹脂組成物を幅6mm、厚さ1mmに成形したシートであり、初期チャック間距離は2cmである。
(3)キャピラリー径φ=1mm、L/D=16、温度230℃の条件で、一定速度(1.57cm3/min)でアクリル樹脂組成物を押し出し、そのストランドを一定速度(10m/min)で引き取った際のメルトテンションの値が0.03N以上である
[2]ゴム含有多段重合体(I)及び熱可塑性重合体(II)がそれぞれ下記で表される[1]記載のアクリル樹脂組成物。
<ゴム含有多段重合体(I)>
炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート(a1)及び炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート(a2)からなる群より選ばれる1種以上の単量体と、架橋性単量体(a4)とを含む単量体(a)を重合して得られる弾性重合体(A)の存在下で、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートを含む単量体(b)を重合して得られるゴム含有多段重合体。
<熱可塑性重合体(II)>
メチルメタクリレート単位50〜100質量%と、これと共重合可能な1種以上のビニル単量体単位0〜50質量%とからなる重合体であり、0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定した還元粘度が0.2〜2g/Lである熱可塑性重合体。
<ゴム含有多段重合体(I)>
炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート(a1)及び炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート(a2)からなる群より選ばれる1種以上の単量体と、架橋性単量体(a4)とを含む単量体(a)を重合して得られる弾性重合体(A)の存在下で、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートを含む単量体(b)を重合して得られるゴム含有多段重合体。
<熱可塑性重合体(II)>
メチルメタクリレート単位50〜100質量%と、これと共重合可能な1種以上のビニル単量体単位0〜50質量%とからなる重合体であり、0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定した還元粘度が0.2〜2g/Lである熱可塑性重合体。
[3]次の条件(4)及び(5)を満足する[2]記載のアクリル樹脂組成物。
(4)ゴム含有多段重合体(I)100質量%中における弾性重合体(A)の割合が50質量%以上である。
(5)ゴム含有多段重合体(I)の弾性重合体(A)中に含まれる架橋性単量体(a4)の量が、弾性重合体(A)の単量体合計量100質量%に対して0.15〜0.60質量%である。
(4)ゴム含有多段重合体(I)100質量%中における弾性重合体(A)の割合が50質量%以上である。
(5)ゴム含有多段重合体(I)の弾性重合体(A)中に含まれる架橋性単量体(a4)の量が、弾性重合体(A)の単量体合計量100質量%に対して0.15〜0.60質量%である。
[4][1]〜[3]いずれか1項に記載のアクリル樹脂組成物を成形して得られる成形体。
[5][1]〜[3]いずれか1項に記載のアクリル樹脂組成物をカレンダー加工により製膜する方法。
[6][5]記載の方法で得られたアクリル樹脂フィルム。
本発明のアクリル樹脂組成物は高い耐候性、柔軟性、耐熱性を両立する。特に、本発明のアクリル樹脂組成物を使用すれば、高温で太陽光が強い地域を含む広い地域での利用に適し、常温で基材と貼り合わせ曲げ加工してもクラック等の問題が生じないフィルム等の成形体を製造することができる。
本発明に用いるゴム含有多段重合体(I)は、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート(a1)及び炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート(a2)からなる群より選ばれる1種以上の単量体と、架橋性単量体(a4)とを含む単量体(a)を重合して得られる弾性重合体(A)の存在下で、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートを含む単量体(b)を重合して得られるゴム含有多段重合体であることが好ましい。
弾性重合体(A)の原料として用いる炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート(a1)は、直鎖状、分岐状の何れでもよい。その具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレートが挙げられる。これらは一種を単独で、又は二種以上を併せて用いてもよい。特に、ガラス転移温度(Tg)が低いアルキルアクリレートが好ましく、n−ブチルアクリレートが好ましい。Tgが低ければ、弾性重合体(A)が良好な耐衝撃性を有し、かつ容易に成形できる。
弾性重合体(A)の原料として用いる炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート(a2)は、直鎖状、分岐状の何れでもよい。その具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレートが挙げられる。これらは一種を単独で、又は二種以上を併せて用いてもよい。
アルキルアクリレート(a1)とアルキルメタクリレート(a2)は、何れか一方のみを用いてもよく、双方を組み合わせて用いてもよい。特に、弾性重合体(A)の原料として用いる単量体100質量%中、アルキルアクリレート(a1)の割合は50質量%以上が好ましい。
また、弾性重合体(A)の原料として用いる単量体として、アルキルアクリレート(a1)及びアルキルメタクリレート(a2)以外の二重結合を有する単量体(a3)や架橋性単量体(a4)を併せて用いることもできる。
アルキルアクリレート(a1)及びアルキルメタクリレート(a2)以外の二重結合を有する単量体(a3)としては、例えば、炭素数9以上のアルキル基を有する高級アルキルアクリレート、低級アルコキシアクリレート、シアノエチルアクリレート等のアクリレート単量体、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン、アルキル置換スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。
架橋性単量体(a4)は、得られる成形体にゴム弾性を付与するような単量体に限定されない。例えば耐熱性等が厳しく要求される場合等、成形体の使用目的に応じて適宜用いればよい。架橋性単量体(a4)としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート等のアルキレングリコールジメタクリレートが挙げられる。また、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等のポリビニルベンゼンも使用できる。
弾性重合体(A)の原料として用いる架橋性単量体(a4)は、アルキルアクリレート(a1)及び/又はアルキルメタクリレート(a2)と架橋を形成し重合体にゴム弾性を付与し、硬質部(B)との間に架橋を形成する。このような効果を有するものとして、例えば、共重合性のα、β−不飽和カルボン酸又はジカルボン酸のアリル、メタリル又はクロチルエステルが挙げられる。特に、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又はフマル酸のアリルエステルが好ましい。中でも、アリルメタクリレートが優れた効果を奏する。その他、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートも有効である。
以上の単量体(a1)〜(a4)の合計100質量%中、アルキルアクリレート(a1)とアルキルメタクリレート(a2)の合計量は80〜100質量%、単量体(a3)の量は0〜20質量%が好ましい。架橋性単量体(a4)の量は、単量体(a1)〜(a4)の合計100質量%中、0.1〜3質量%が好ましく、0.1〜0.8質量%がより好ましく、0.15〜0.70質量%が特に好ましい。この量が0.1質量%以上であれば、弾性重合体(A)のゴム弾性をより向上でき、得られる成形体の耐衝撃性が増大する。また3質量%以下であれば、弾性重合体(A)と硬質部(B)との間の架橋を適度に制御でき、得られる成形体の柔軟性が好適に発現する。
弾性重合体(A)は2段以上に分けて重合してもよい。その場合、組成の異なる単量体混合物を重合してもよい。2段以上に分けて重合することで、最終的に得られる多段重合体(I)の粒子径の制御が容易になる。
弾性重合体(A)は、乳化重合、懸濁重合等の重合法により得られる。乳化重合による場合、乳化剤、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤を用いることが好ましい。
乳化剤としては、アニオン系、カチオン系又はノニオン系の界面活性剤が使用できる。特にアニオン系の界面活性剤が好ましい。アニオン系界面活性剤の具体例としては、ロジン酸石鹸、オレイン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム系等のカルボン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム系等のスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸ナトリウム系等のリン酸エステル塩が挙げられる。乳化液を調製する方法としては、例えば、水中に単量体混合物を仕込んだ後界面活性剤を投入する方法、水中に界面活性剤を仕込んだ後単量体混合物を投入する方法、単量体混合物中に界面活性剤を仕込んだ後水を投入する方法が有る。このうち、水中に単量体混合物を仕込んだ後界面活性剤を投入する方法及び水中に界面活性剤を仕込んだ後単量体混合物を投入する方法が好ましい。
ラジカル重合開始剤の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、これらの過硫酸塩又は有機過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤が挙げられる。中でも、レドックス系開始剤が好ましく、特に、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート・ハイドロパーオキサイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤がより好ましい。ラジカル重合開始剤は、水相及び単量体相の何れか一方又は両方に添加することができる。
連鎖移動剤の具体例としては、炭素数2〜20のアルキルメルカプタン、メルカプト酸類、チオフェノール、四塩化炭素が挙げられる。連鎖移動剤は、硬質部(B)の重合時に混在させることが好ましい。
重合温度は、重合開始剤の種類や量によって異なるが、好ましくは40〜120℃、より好ましくは60〜95℃である。
弾性重合体(A)の重合に先立って、Tgが0℃を超える芯部を重合してもよい。芯部はゴム含有多段重合体(I)中、0〜10質量%であることが好ましい。芯部は炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート(a1)10〜50質量%、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート(a2)20〜70質量%、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート(a1)及びアルキルメタクリレート(a2)以外の二重結合を有する単量体(a3)0〜10質量%、架橋性単量体(a4)0.1〜10質量%とを含む単量体(a)((a1)〜(a4)の合計が100質量%)を重合して得られるものが好ましい。
ゴム含有多段重合体(I)は、以上説明した弾性重合体(A)の存在下で、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート(b1)を含む単量体(b)を重合することにより得られる。単量体(b)は重合して硬質部(B)を形成する。
アルキルメタクリレート(b1)の具体例としては、先に説明したアルキルメタクリレート(a2)の具体例と同じものが挙げられる。それらは一種を単独で、又は二種以上を併せて用いてもよい。
単量体(b)として、アルキルメタクリレート(b1)以外の二重結合を有する単量体(b2)を併せて用いることもできる。この単量体(b2)の具体例としては、先に説明したアルキルアクリレート(a1)及び単量体(a3)の具体例と同じものが挙げられる。それらは一種を単独で、又は二種以上を併せて用いてもよい。
単量体(b)100質量%中、アルキルメタクリレート(b1)の量は70質量%以上が好ましく、85質量%以上であることがより好ましい。これにより、単量体(b)のみを重合させてなる硬質部(B)のTgを適度に高くすることができる。
単量体(b)は2段以上に分けて重合してもよい。その場合、組成の異なる単量体混合物を重合してもよい。
単量体(b)の重合反応は、弾性重合体(A)の重合反応終了後、得られた重合液をそのまま用いて、単量体(b)を添加して、引き続き重合を行うことが好ましい。この重合における乳化剤、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤の具体例は、先に説明した弾性重合体(A)の重合における具体例と同じである。連鎖移動剤の量は、単量体(b)100質量部に対して、0.01〜2質量部が好ましく、0.1〜1.5質量部がより好ましく、0.4〜0.8質量部がさらに好ましい。この量が0.01質量部以上であると成形体の柔軟性が高く、また2質量部以下であると成形体の機械的強度が高くなる傾向にある。
弾性重合体(A)のTgは0℃以下が好ましく、−30℃以下がより好ましい。Tgが0℃以下であれば、得られる成形体が好ましい耐衝撃性を有する。このTgは、動的粘弾性測定装置を用いて次のように測定、算出した値である。試験片を幅6mm、厚さ1mmのシートに成形し、動的粘弾性測定装置を用いて、ISO6721−4に準拠して、初期チャック間距離2cm、測定周波数0.1Hz、測定温度範囲−90〜150℃、昇温速度2℃/min、窒素気流200mL/minの条件で、引張モードで貯蔵弾性率(E')と損失弾性率(E'')の値を測定し、 tanδ=E''/E' の式にしたがって各温度におけるtanδ(損失正接)の値を算出する。次にtanδの値を温度に対してプロットすると、二つ以上のピークが現れる。このうちの最も低温で現れるピークに対応する温度を弾性重合体(A)のTgとする。硬質部(B)のTgは85℃以上、好ましくは90℃以上である。このようなTgを有することにより、成形性に優れるアクリル樹脂組成物が得られ、かつ成形体の耐熱性が高く、高温下での機械的強度が大きく、高温で太陽光が強い地域でも良好に使用可能となる。硬質部(B)のTgは、先に説明した弾性重合体(A)のTgの測定法と同様の動的粘弾性測定において、80℃以上の領域で出現するピークの値に対応する温度である。
また、弾性重合体(A)の重合反応終了後、単量体(b)の重合を行う前に、弾性重合体(A)を構成する単量体の組成から、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレートの含有量を徐々に減じ、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートの含有量を徐々に増加させた組成の単量体を順次重合して中間部(C)を形成することもできる。この中間部(C)によって、アクリル樹脂組成物の透明度を向上させることもできる。
中間部(C)は、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート(c1)と、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート(c2)と、必要に応じて用いる共重合可能な二重結合を有する他の単量体(c3)と、必要に応じて用いる架橋性単量体(c4)とを構成成分とすることが好ましい。
単量体(c1)〜(c4)の具体例は、先に説明した弾性重合体(A)の単量体(a1)〜(a4)の具体例と同じである。単量体(c1)〜(c4)の合計を100質量%とした場合、単量体(c1)の量は10〜90質量%、単量体(c2)の量は10〜90質量%、単量体(c3)の量は0〜20質量%、単量体(c4)の量は0〜10質量%であることが好ましい。
ゴム含有多段重合体(I)100質量%中における中間部(C)の割合は、0〜35質量%であることが好ましく、5〜15質量%がより好ましい。中間部(C)が含有される場合、弾性重合体(A)/中間部(C)/硬質部(B)の比率は、50〜60質量%/5〜15質量%/25〜45質量%が好ましい。
ゴム含有多段重合体(I)100質量%中における弾性重合体(A)の割合は、50質量%以上が好ましく、50〜70質量%がより好ましい。この割合が50質量%以上であれば、得られる成形体の機械強度や柔軟性がより向上し、クラックを抑制できる。また、特に成形体がフィルムである場合、成形時の破断を抑制できる。さらに直接又は各種樹脂シートに積層した後に軟化温度以上に加熱し、三次元形状の各種樹脂成形品、木工製品又は金属成形品の表面に積層する場合、破断、クラック、白化が抑制され、意匠性の高い成形体が得られる。このような成形体は、常温での加工にも適する。すなわち、成形体を鋼板等の基材に貼り合わせた後、この基材を窓枠等の各種部材の形状にする為に常温曲げ加工する際に曲部でクラックが発生せず、このため剥き出しになった基材が太陽光等に曝され腐食することがない。また、弾性重合体(A)の使用量が70質量%以下であれば、得られる成形体は厚み精度に優れ、またアクリル樹脂組成物の流動性の低下によって成形時の生産性が低下することも防止できる。また。硬質部(B)の割合は、50質量%以下が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
乳化重合法を用いた場合、重合反応終了後のラテックスからゴム含有多段重合体(I)を粉体として回収する。粉体として回収する方法としては、例えば、ラテックスを凝固剤と接触させて凝固あるいは塩析し、固液分離し、重合体の1〜100質量倍程度の水で洗浄し、ろ別等の脱水処理により湿潤状の粉体とし、さらにこの湿潤状の粉体を圧搾脱水機や流動乾燥機等の熱風乾燥機で乾燥させる方法が有る。その他、スプレードライ法によりラテックスを直接乾燥させてもよい。重合体の乾燥温度、乾燥時間は重合体の種類によって適宜決定できる。
凝固剤の具体例としては、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、ギ酸カリウム、ギ酸カルシウム等の有機塩や、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム等の無機塩が挙げられる。中でも、酢酸カルシウム、塩化カルシウム等のカルシウム塩が好ましい。特に、成形体の耐温水白化性の点、また回収される粉体の含水率を低くする点から、酢酸カルシウムがより好ましい。凝固剤は一種を単独で、又は二種以上を併せて用いてもよい。凝固剤は、通常、水溶液として用いられる。凝固剤、好ましくは酢酸カルシウムの水溶液の濃度は、安定してアクリル樹脂組成物を凝固、回収できる点から、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。また、凝固剤、好ましくは酢酸カルシウムの水溶液の濃度は、回収した粉体に残存する凝固剤の量が少なく、特に耐温水白化性、着色性等の成形体の性能をほとんど低下させない点から、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。また、酢酸カルシウムは、濃度が20質量%を超えると10℃以下では飽和により酢酸カルシウムが析出することがある。
ラテックスを凝固剤に接触させる方法としては、例えば、凝固剤の水溶液を攪拌しながら、そこにラテックスを連続的に添加して一定時間攪拌を継続する方法や、凝固剤の水溶液とラテックスとを一定の比率で攪拌機付きの容器に連続的に注入しながら接触させ、凝固した粉体と水とを含む混合物を容器から連続的に抜き出す方法が有る。凝固剤の水溶液の量は、ラテックス100質量部に対して10質量部以上、500質量部以下が好ましい。凝固工程の温度は30℃以上、100℃以下が好ましい。
ゴム含有多段重合体(I)のアセトン可溶分の重量平均分子量は、30000〜100000が好ましく、35000〜75000がより好ましい。重量平均分子量が30000以上であれば、得られる成形体の機械強度が向上し、割れを抑制できる。また、特に成形体がフィルムである場合、成形時の破断を抑制できる。さらに直接又は各種樹脂シートに積層した後に軟化温度以上に加熱し、三次元形状の各種樹脂成形品、木工製品又は金属成形品の表面に積層する場合や、成形体を鋼板等の基材に貼り合わせた後、窓枠等の形状に常温で曲げ加工する場合に、破断や割れを抑制でき、成形体の機械的強度が高く、取り扱いが容易である。また重量平均分子量が100000以下であれば、得られる成形体は柔軟性が高く、常温での加工に適する。すなわち成形体を鋼板等の基材に貼り合わせた後、この基材を窓枠等の各種部材の形状にする為に常温曲げ加工する際に曲部でクラックが発生せず、このため剥き出しになった基材が太陽光等に曝され腐食することがない。
この重量平均分子量は、ゴム含有多段重合体(I)中のアセトン可溶分についてゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定した値である。具体的には、以下の方法による測定値を採用する。
[1]ゴム含有多段重合体(I)1gをアセトン50gに溶解させ、70℃で4時間還流させてアセトン可溶分を得る。
[2]得られた抽出液を、CRG SERIES((株)日立製作所製)を用いて、4℃において14000rpmで30分間遠心分離を行う。
[3]アセトン不溶分をデカンテーションで取り除き、真空乾燥機にて50℃で、24時間乾燥させて得られたアセトン可溶分について、以下の条件でGPC測定を行い、標準ポリスチレンによる検量線から重量平均分子量を求める。
装置:東ソー(株)製「HLC8220」、
カラム:東ソー(製)「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」(内径4.6mm×長さ15cm×2本、排除限界4×107(推定))、
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、
溶離液流量:0.35ml/分、
測定温度:40℃、
試料注入量 10μl(試料濃度0.1%)
[1]ゴム含有多段重合体(I)1gをアセトン50gに溶解させ、70℃で4時間還流させてアセトン可溶分を得る。
[2]得られた抽出液を、CRG SERIES((株)日立製作所製)を用いて、4℃において14000rpmで30分間遠心分離を行う。
[3]アセトン不溶分をデカンテーションで取り除き、真空乾燥機にて50℃で、24時間乾燥させて得られたアセトン可溶分について、以下の条件でGPC測定を行い、標準ポリスチレンによる検量線から重量平均分子量を求める。
装置:東ソー(株)製「HLC8220」、
カラム:東ソー(製)「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」(内径4.6mm×長さ15cm×2本、排除限界4×107(推定))、
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、
溶離液流量:0.35ml/分、
測定温度:40℃、
試料注入量 10μl(試料濃度0.1%)
ゴム含有多段重合体(I)のアセトン可溶分の重量平均分子量は、重合時に連鎖移動剤の量を適宜変更することによって調整できる。
本発明に用いる熱可塑性重合体(II)は、メチルメタクリレート単位50〜100質量%と、これと共重合可能な1種以上のビニル単量体単位0〜50質量%とからなる重合体であることが好ましい。熱可塑性重合体(II)を用いることにより、アクリル樹脂組成物の成形性を向上できる。すなわち熱可塑性重合体(II)を配合することによって、アクリル樹脂組成物のメルトテンションが上昇するので、カレンダー成形する場合には引き取り性が向上して破断し難くなる。また、フィルム状に溶融押出する場合には、吐出量が低下して生産性が悪化することを防止でき、さらにはフィルム等の成形体の厚み精度も向上できる。
熱可塑性重合体(II)に用いるメチルメタクリレートと共重合可能なビニル単量体としては、例えば、芳香族ビニル化合物、ビニルシアン化合物、メチルメタクリレート以外のアルキルメタクリレート、アルキルアクリレートが挙げられる。芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α−置換スチレン、核置換スチレン及びその誘導体(例えばα−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン)が挙げられる。ビニルシアン化合物の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられる。メチルメタクリレート以外のアルキルメタクリレートの具体例としては、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレートが挙げられる。アルキルメタクリレートの具体例としては、ブチルメタクリレートが挙げられる。アルキルアクリレートの具体例としては、先に説明した弾性重合体(A)に用いるアルキルアクリレート(a1)の具体例と同じである。
熱可塑性重合体(II)は、乳化重合、懸濁重合等の重合法により得られる。中でも、重合体を粉体又は顆粒状の形態で得られる点から、乳化重合が好ましい。乳化重合による場合、乳化剤、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤を用いることが好ましい。これらの具体例は、先に説明したゴム含有多段重合体(I)で用いる乳化剤、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤の具体例と同じである。重合開始剤の種類や量によって異なるが、好ましくは40〜80℃である。
乳化重合反応終了後のラテックスから熱可塑性重合体(II)を粉体として回収する方法は、先に説明したゴム含有多段重合体(I)を粉体として回収する方法と同様である。
熱可塑性重合体(II)0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定した還元粘度は、0.2〜2g/Lであることが好ましい。この還元粘度が0.2g/L以上であれば、アクリル樹脂組成物のメルトテンションが十分となり、カレンダー成形時の引き取り性、成形体の厚み精度や溶融押出時の吐出量精度、フィルムの厚み精度の向上の効果が発現する。また2g/L以下であれば、多段重合体(I)との相溶性が十分となり、アクリル樹脂組成物の成形時のメルトテンションを向上できる。
熱可塑性重合体(II)の配合量は、ゴム含有多段重合体(I)100質量部に対して0〜10質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。この配合量が0.1質量部以上であれば、アクリル樹脂組成物のメルトテンションを十分高くすることができ、カレンダー成形時の引き取り性、成形体の厚み精度や溶融押出時の吐出量精度、フィルムの厚み精度の向上の効果を十分発現する。また、10質量部以下であれば、アクリル樹脂組成物のメルトテンションが高くなり過ぎず、成形体の表面外観の悪化を防止できる。
本発明のアクリル樹脂組成物は、例えば、ゴム含有多段重合体(I)と熱可塑性重合体(II)を別々に粉体として回収し、それらを押出混錬、ロール混錬等の方法で溶融混合することによって得られる。また、ゴム含有多段重合体(I)と熱可塑性重合体(II)を各々乳化重合で得る場合は、ゴム含有多段重合体(I)の重合反応終了後のラテックスと熱可塑性重合体(II)の重合反応終了後のラテックスとを混合し、その後粉体として回収することによって得ることもできる。
本発明のアクリル樹脂組成物から得られる成形体は、ISO178に従って、温度23℃、試験速度2mm/minで測定した曲げ弾性率の値が400MPa以下、好ましくは200MPa以下である。曲げ弾性率が400MPa以下であれば、フィルム等の成形体の柔軟性が高く、常温での加工に適する。すなわち、成形体を鋼板等の基材に貼り合わせた後、この基材を窓枠等の各種部材の形状にする為に常温曲げ加工する際に曲部でクラックが発生せず、このため剥き出しになった基材が太陽光等に曝され腐食することがない。この曲げ弾性率は、アクリル樹脂組成物を長さ80mm、幅10mm、厚み4mmの大きさに成形し、これを温度23℃、支点間距離64mm、試験速度2mm/minで、たわみ0.088mmと0.44mmで測定した曲げ応力から求めた値である。成形体の曲げ弾性率を上記の範囲にするための手段として、ゴム含有多段重合体(I)の弾性重合体(A)の単量体中に含まれる架橋性単量体(a4)の量を、単量体(a1)〜(a4)の合計100質量%中、0.1〜3質量%とすることが好ましく、0.1〜0.8質量%がより好ましく、0.15〜0.70質量%が特に好ましい。
本発明のアクリル樹脂組成物は、メルトテンションの値が0.03N以上、好ましくは0.03〜2N、より好ましくは0.04〜1.5Nである。メルトテンションとは、カレンダー成形性、押出成形性、ブロー成形性、発泡成形性等の成形加工性を判断する指標の一つであり、メルトテンションの向上は成形加工性の向上とみなし得る。アクリル樹脂組成物のメルトテンションの値が上記の範囲内であれば、カレンダー成形や溶融押出成形において引き取り性が良好であり、破断し難くなる。また、フィルム状に溶融押出する場合は、吐出量が低下して生産性が悪化することを防止でき、さらにフィルム等の成形体の厚み精度も良好になる。このメルトテンションは、キャピラリー径φ=1mm、L/D=16、温度230℃の条件で、一定速度(1.57cm3/min)でアクリル樹脂組成物を押し出し、ストランドを一定速度(10m/min)で引き取った際の値である。
なお、ゴム含有多段重合体(I)の弾性重合体(A)中に含まれる架橋性単量体(a4)の量を、単量体(a1)〜(a4)の合計量100質量%に対して0.60質量%以上とすると、熱可塑性重合体(II)を含有しなくても、得られるアクリル樹脂組成物のメルトテンションを0.03N以上とすることができる。しかし、この場合は、弾性重合体(A)と硬質部(B)との間の架橋が強固になり過ぎ、得られる成形体の柔軟性が低下してしまう。
本発明のアクリル樹脂組成物は、必要に応じて配合剤を含有していてもよい。配合剤としては、例えば、安定剤、滑剤、可塑剤、耐衝撃助剤、充填剤、抗菌剤、防カビ剤、発泡剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、熱可塑性重合体が挙げられる。例えば、重合液のラテックスに配合剤を添加し、配合剤と重合体の混合物を粉体化することができる。また、ラテックスの粉体化後に配合剤を混合してもよい。また、溶融押出によって成形体を製造する場合は、成形機に付随する混練機に、ラテックスを粉体化したものと共に配合剤を供給してもよい。成形機に付随する混練機とは、例えば単軸押出機、二軸押出機である。
本発明のアクリル樹脂組成物は、例えば、まずゴム含有多段重合体(I)の全量の内の一部、熱可塑性重合体(II)、及び必要に応じて配合剤を混合してマスターバッチを作製し、このマスターバッチをさらにゴム含有多段重合体(I)の残部と混合する多段階配合により得ることもできる。また、アクリル樹脂組成物を溶融押出成形する場合は、まずゴム含有多段重合体(I)の全量の内の一部、熱可塑性重合体(II)、及び必要に応じて配合剤を混合して単軸押出機又は二軸押出機に供給し、溶融混練してマスターバッチペレットを作製し、このマスターバッチペレットとゴム含有多段重合体(I)の残部とを混合して再び単軸押出機又は二軸押出機に供給し、溶融混練、溶融押出しを行い成形体を得ることもできる。
本発明のアクリル樹脂組成物を成形して得られる成形体は、フィルム、シート、三次元構造体等の何れの形状であってもよい。特にフィルム状の成形体が好ましい。このような成形体の用途としては、例えば、農業用ビニルハウス、マーキングフィルム、ポスター、壁紙、発泡シート、屋外用塩ビレザー、塩ビ鋼板の屋根材及びサイディング材等の外壁建材、自動車内外装、家具等の塗装代替、エレベーター内装、雨樋、床材、波板、化粧柱、照明、浴室や台所等の水周り部材の被膜材が挙げられる。その他、断熱フィルム、液晶ディスプレイ等の偏光板に使用される偏光膜保護フィルム、視野角補償、位相差補償の為の位相差板に使用される位相差フィルムにも使用できる。ここで「フィルム状の成形体」とは、シートも含むものとする。
本発明のアクリル樹脂組成物を、例えば、溶液流延法、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出成形や、カレンダー成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、金型成形、圧縮成形等の方法により成形し、フィルム、シート、射出成形品、中空成形品等の各種成形品が得られる。成形時の溶融温度は100〜280℃が好ましい。
本発明のアクリル樹脂組成物を製膜してフィルムとする場合場合は、カレンダー加工により製膜することが好ましい。そのフィルムの厚さは、10〜500μmが好ましく、15〜200μmがより好ましく、40〜200μmが特に好ましい。フィルムの厚さがこれら範囲内であると、フィルムが適度な剛性を有し、またラミネート性や二次加工性が良好になる。
本発明のアクリル樹脂フィルムは、そのままで各種用途に使用してもよいし、基材に積層して使用してもよい。この透明なアクリル樹脂フィルムを基材に積層すれば、クリア塗装の代替となり、基材の色調を生かすことができる。このように基材の色調を生かす用途において、アクリル樹脂フィルムは、ポリ塩化ビニルフィルムやポリエステルフィルムに比べて、透明性、深み感、高級感の点で優れている。基材としては、例えば、各種樹脂又は鋼板等の金属からなる成形品、木工製品が挙げられる。基材を構成する樹脂は、アクリル樹脂フィルムと溶融接着可能な熱可塑性樹脂であることが好ましい。この熱可塑性樹脂の具体例としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂あるいはこれらを主成分とする樹脂が挙げられる。中でも、接着性の点から、ABS樹脂、AS樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂あるいはこれらの樹脂を主成分とする樹脂が好ましい。また、ポリオレフィン樹脂等の溶融接着し難い樹脂からなる基材の場合は、適宜接着層を設けてからアクリル樹脂フィルムを積層してもよい。
基材が二次元形状であって、かつ熱融着可能な材質である場合は、熱ラミネーション等の方法により基材とアクリル樹脂フィルムとを積層できる。熱融着が困難な材質の基材に対しては、接着剤を用いたり、アクリル樹脂フィルムの片面を粘着加工して積層すればよい。基材が三次元形状である場合は、予め所定の形状に加工したアクリル樹脂フィルムを射出成形用金型に挿入するインサート成形法、金型内で真空成形後、射出成形を行うインモールド成形法等の成形方法により基材とアクリル樹脂フィルムとを積層できる。中でも、インモールド成形法は、アクリル樹脂フィルムを真空成形により、三次元形状に成形した後、その成形体の中に射出成形により基材の原料となる樹脂を流し込み一体化させるので、表層にアクリル樹脂フィルムを有する積層体を容易に得ることができ好ましい。また、アクリル樹脂フィルムの成形と射出成形とを一工程で行うことができ、作業性、経済性に優れている点からも好ましい。
アクリル樹脂フィルムが、基材の保護を少なくとも目的の1つとして基材に積層される場合は、アクリル樹脂フィルムには耐候性付与のために、紫外線吸収剤を添加することが好ましい。紫外線吸収剤の分子量は300以上が好ましく、400以上がより好ましい。分子量が300以上の紫外線吸収剤を使用すると、例えばフィルムを製造する際に転写ロール等に樹脂が付着してロール汚れが発生する等の不具合を抑制できる。紫外線吸収剤の種類としては、分子量400以上のベンゾトリアゾール系、トリアジン系のものが特に好ましい。前者の市販品として、BASFジャパン(株)のTinuvin360、Tinuvin234、旭電化工業(株)のアデカスタブLA−31RG、後者の市販品として、BASFジャパン(株)のTinuvin1577、旭電化工業(株)のアデカスタブLA−46が挙げられる(以上、全て商品名)。
またアクリル樹脂フィルムには光安定剤が添加されていることが好ましい。光安定剤としては、公知のものを用いることが出来るが、特にヒンダードアミン系光安定剤等のラジカル捕捉剤が好ましい。このような光安定剤の市販品として、旭電化工業(株)のアデカスタブLA−57、サノールLS−770が挙げられる(以上、全て商品名)。
アクリル樹脂フィルムは、その表面、すなわち基材との接着面とは逆の面に、各種の成形方法によって成形したアクリル樹脂フィルムをラミネートすることにより耐候性を高めることができる。アクリル樹脂とフッ素樹脂の二層以上からなるフィルムをラミネートすると、更なる耐候性や耐薬品性を付与できる。ここでアクリル樹脂とフッ素樹脂の二層以上からなるフィルムをラミネートする場合は、アクリル樹脂フィルムとの接着性や、得られる成形体の耐薬品性の点から、フッ素樹脂層を最表層とすることが好ましい。
アクリル樹脂フィルムの表面には、必要に応じて、各種機能付与のためのコーティング等の表面処理を施すこともできる。機能付与のための表面処理としては、シルク印刷、インクジェットプリント等の印刷処理、金属調付与あるいは反射防止のための金属蒸着、スパッタリング、湿式メッキ処理、表面硬度向上の為の表面硬化処理、汚れ防止のための撥水化処理あるいは光触媒層形成処理、塵付着防止、あるいは電磁波カットを目的とした帯電防止処理、反射防止層形成、防眩処理、艶消し処理が挙げられる。印刷処理としては、アクリル樹脂フィルムの片面に印刷をする片側印刷処理が好ましい。アクリル樹脂フィルムを基材の表面に積層させる場合には、印刷面を基材との接着面に配した裏面印刷が、印刷面の保護や高級感の付与の点から好ましい。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記載において「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示す。略号は以下のものを示す。
・「MMA」:メチルメタクリレート
・「n−BA」:n−ブチルアクリレート
・「1,3−BD」:1,3−ブチレングリコールジメタクリレート
・「AMA」:アリルメタクレート
・「CHP」:クメンハイドロパーオキサイド
・「RS−610NA」:モノ−n−ドデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸ナトリウム(商品名フォスファノールRS−610NA、東邦化学(株)製)
・「G15」:アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名ネオペレックスG15、花王(株)製)
・「ASK」:アルケニルコハク酸ジカリウム(商品名ラテムルASK、花王(株)製)
・「n−OM」:n−オクチルメルカプタン
・「KPS」:過硫酸カリウム
・「t−BH」:t−ブチルハイドロパーオキサイド
・「EDTA」:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム。
・「MMA」:メチルメタクリレート
・「n−BA」:n−ブチルアクリレート
・「1,3−BD」:1,3−ブチレングリコールジメタクリレート
・「AMA」:アリルメタクレート
・「CHP」:クメンハイドロパーオキサイド
・「RS−610NA」:モノ−n−ドデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸ナトリウム(商品名フォスファノールRS−610NA、東邦化学(株)製)
・「G15」:アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商品名ネオペレックスG15、花王(株)製)
・「ASK」:アルケニルコハク酸ジカリウム(商品名ラテムルASK、花王(株)製)
・「n−OM」:n−オクチルメルカプタン
・「KPS」:過硫酸カリウム
・「t−BH」:t−ブチルハイドロパーオキサイド
・「EDTA」:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム。
<実施例1〜11、比較例4〜6>
[ゴム含有多段重合体(I−i)の作製]
攪拌機、冷却管、熱電対、窒素導入管を備えた重合容器内に、脱イオン水を195部及びG15を1.0部投入し、75℃に昇温した。さらに、脱イオン水5部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.20部、硫酸第一鉄0.0001部及びEDTA0.0003部からなる混合物を一度に投入した。次いで、窒素下で攪拌しながら、MMA0.3部、n−BA4.7部及びAMA0.027部の単量体成分を、t−BH0.025部と共に、8分間に亘って重合容器内に滴下した。15分間反応を継続させ、第一弾性重合体(A1)の重合を完結した。
[ゴム含有多段重合体(I−i)の作製]
攪拌機、冷却管、熱電対、窒素導入管を備えた重合容器内に、脱イオン水を195部及びG15を1.0部投入し、75℃に昇温した。さらに、脱イオン水5部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.20部、硫酸第一鉄0.0001部及びEDTA0.0003部からなる混合物を一度に投入した。次いで、窒素下で攪拌しながら、MMA0.3部、n−BA4.7部及びAMA0.027部の単量体成分を、t−BH0.025部と共に、8分間に亘って重合容器内に滴下した。15分間反応を継続させ、第一弾性重合体(A1)の重合を完結した。
続いて、MMA3.0部、n−BA47.0部及びAMA0.273部の単量体成分を、t−BH0.250部と共に120分間に亘って重合容器内に滴下した。その後60分間反応を継続させ、第二弾性重合体(A2)の重合を完結した。
続いて、MMA40.5部、n−BA4.5部、t−BH0.061部及びn−OM0.30部の単量体成分(硬質部(B)の成分)を、120分間に亘って重合容器内に滴下し、60分間反応を継続させ、ラテックス状のゴム含有多段重合体(I−i)を得た。重合後に測定したラテックス状のゴム含有多段重合体(I−i)の固形分は33%であった。
[ゴム含有多段重合体(I−ii)〜(I−v)の作製]
第一弾性重合体(A1)、第二弾性重合体(A2)及び硬質部(B)の各成分を表1に示すように変更したこと以外は、ゴム含有多段重合体(I−i)と同様にして、ラテックス状のゴム含有多段重合体(I−ii)〜(I−v)を得た。重合後に測定したラテックス状のゴム含有多段重合体(I−ii)〜(I−v)の固形分は各々33%であった。
第一弾性重合体(A1)、第二弾性重合体(A2)及び硬質部(B)の各成分を表1に示すように変更したこと以外は、ゴム含有多段重合体(I−i)と同様にして、ラテックス状のゴム含有多段重合体(I−ii)〜(I−v)を得た。重合後に測定したラテックス状のゴム含有多段重合体(I−ii)〜(I−v)の固形分は各々33%であった。
[熱可塑性重合体(II−i)の作製]
攪拌機、冷却管、熱電対、窒素導入管を備えた重合容器内に、窒素下で攪拌しながら、脱イオン水222部、ASK3.9部、MMA80.0部、BA20.0部及びn−OM0.0008部を一度に投入し、45℃に昇温した。さらに、脱イオン水6部及びKPS0.15部を一度に投入し、55℃に昇温した。その後2.5時間に亘って反応を継続させ、ラテックス状の熱可塑性重合体(II−i)を得た。重合後に測定したラテックス状の熱可塑性重合体(II−i)の固形分は30%であった。
攪拌機、冷却管、熱電対、窒素導入管を備えた重合容器内に、窒素下で攪拌しながら、脱イオン水222部、ASK3.9部、MMA80.0部、BA20.0部及びn−OM0.0008部を一度に投入し、45℃に昇温した。さらに、脱イオン水6部及びKPS0.15部を一度に投入し、55℃に昇温した。その後2.5時間に亘って反応を継続させ、ラテックス状の熱可塑性重合体(II−i)を得た。重合後に測定したラテックス状の熱可塑性重合体(II−i)の固形分は30%であった。
[熱可塑性重合体(II−ii)の作製]
上記と同様の重合容器内に、窒素下で攪拌しながら、脱イオン水143部、ASK1.1部、MMA40.0部、BA2.0部及びn−OM0.0026部を一度に投入し、50℃に昇温した。さらに、脱イオン水7部及びKPS0.15部を一度に投入し、60℃に昇温した。その後反応を継続させると、温度が一旦上昇した後、再び下降した。70℃まで低下したところでMMA44.0部、n−BA14.0部の単量体成分を、n−OM0.0087部と共に、90分間に亘って重合容器内に滴下し、120分間反応を継続させ、ラテックス状の熱可塑性重合体(II−ii)を得た。重合後に測定したラテックス状の熱可塑性重合体(II−ii)の固形分は40%であった。
上記と同様の重合容器内に、窒素下で攪拌しながら、脱イオン水143部、ASK1.1部、MMA40.0部、BA2.0部及びn−OM0.0026部を一度に投入し、50℃に昇温した。さらに、脱イオン水7部及びKPS0.15部を一度に投入し、60℃に昇温した。その後反応を継続させると、温度が一旦上昇した後、再び下降した。70℃まで低下したところでMMA44.0部、n−BA14.0部の単量体成分を、n−OM0.0087部と共に、90分間に亘って重合容器内に滴下し、120分間反応を継続させ、ラテックス状の熱可塑性重合体(II−ii)を得た。重合後に測定したラテックス状の熱可塑性重合体(II−ii)の固形分は40%であった。
[粉体状アクリル樹脂組成物の作製]
ラテックス状のゴム含有多段重合体(I−i)〜(I−v)、ラテックス状の熱可塑性重合体(II−i)〜(II−ii)を、表2に示す固形分の質量比となるように混合した。次いで、これを酢酸カルシウム0.8部を含む70℃の熱水100部中に滴下して、ラテックスを凝析した。さらに95℃に昇温して5分保持し、固化した。得られた凝析物を分離洗浄し、70℃で24時間乾燥して、粉体状アクリル樹脂組成物を得た。
ラテックス状のゴム含有多段重合体(I−i)〜(I−v)、ラテックス状の熱可塑性重合体(II−i)〜(II−ii)を、表2に示す固形分の質量比となるように混合した。次いで、これを酢酸カルシウム0.8部を含む70℃の熱水100部中に滴下して、ラテックスを凝析した。さらに95℃に昇温して5分保持し、固化した。得られた凝析物を分離洗浄し、70℃で24時間乾燥して、粉体状アクリル樹脂組成物を得た。
[分子量]
得られた粉体状アクリル樹脂組成物のアセトン可溶分の分子量を、先に説明した方法により測定したところ、ゴム含有多段重合体(I−i)の重量平均分子量(Mw)は41,200、ゴム含有多段重合体(I−ii)のMwは54,000、ゴム含有多段重合体(I−iii)のMwは53,300、ゴム含有多段重合体(I−iv)のMwは44,500、ゴム含有多段重合体(I−v)のMwは72,300、熱可塑性重合体(II−i)のMwは3,484,300、熱可塑性重合体(II−ii)のMwは1,837,200であった。
得られた粉体状アクリル樹脂組成物のアセトン可溶分の分子量を、先に説明した方法により測定したところ、ゴム含有多段重合体(I−i)の重量平均分子量(Mw)は41,200、ゴム含有多段重合体(I−ii)のMwは54,000、ゴム含有多段重合体(I−iii)のMwは53,300、ゴム含有多段重合体(I−iv)のMwは44,500、ゴム含有多段重合体(I−v)のMwは72,300、熱可塑性重合体(II−i)のMwは3,484,300、熱可塑性重合体(II−ii)のMwは1,837,200であった。
[弾性率]
庄司鉄工(株)製プレス成形機を用いて、粉体状アクリル樹脂組成物をSUS板に挟んで温度200℃、圧力0MPaで10分間加熱溶融させた後、温度200℃、圧力5MPaで5分間加圧した。次いで圧力2MPaをかけながら5分間冷却し、厚み4mmの成形体を得た。次にこの成形体を長さ80mm、幅10mmに切断し、試験片を作成した。東洋精機製作所(株)製ストログラフTを用いて、ISO178に準拠して温度23℃、支点間距離64mm、試験速度2mm/minで曲げ試験をし、たわみ0.088mmと0.44mmで測定した曲げ応力から弾性率を算出した。結果を表2に示す。
庄司鉄工(株)製プレス成形機を用いて、粉体状アクリル樹脂組成物をSUS板に挟んで温度200℃、圧力0MPaで10分間加熱溶融させた後、温度200℃、圧力5MPaで5分間加圧した。次いで圧力2MPaをかけながら5分間冷却し、厚み4mmの成形体を得た。次にこの成形体を長さ80mm、幅10mmに切断し、試験片を作成した。東洋精機製作所(株)製ストログラフTを用いて、ISO178に準拠して温度23℃、支点間距離64mm、試験速度2mm/minで曲げ試験をし、たわみ0.088mmと0.44mmで測定した曲げ応力から弾性率を算出した。結果を表2に示す。
[ガラス転移温度]
上記の弾性率の測定の際と同じ方法で成形体(但し、厚み1mm)を得た。この成形体を幅6mmに切断して試験片を作成し、セイコーインスツルメンツ(株)製動的粘弾性測定装置EXSTAR DMS6100を用いて、ISO6721−4に準拠して、初期チャック間距離20mm、測定周波数0.1Hz、測定温度範囲−55〜135℃、昇温速度2℃/min、窒素気流200mL/min下で引張モードで測定した貯蔵弾性率(E')と損失弾性率(E'')の値を用いて、 tanδ=E''/E' の式にしたがって各温度においてtanδ(損失正接)の値を算出した。次にtanδの値を温度に対してプロットすると、二つのピークが現れた。このうちの低温側に現れたピークに対応する温度を弾性重合体のTgとした。また高温側(80℃〜135℃)に現れたピークに対応する温度を硬質部(B)のTgとした。結果を表2に示す。
上記の弾性率の測定の際と同じ方法で成形体(但し、厚み1mm)を得た。この成形体を幅6mmに切断して試験片を作成し、セイコーインスツルメンツ(株)製動的粘弾性測定装置EXSTAR DMS6100を用いて、ISO6721−4に準拠して、初期チャック間距離20mm、測定周波数0.1Hz、測定温度範囲−55〜135℃、昇温速度2℃/min、窒素気流200mL/min下で引張モードで測定した貯蔵弾性率(E')と損失弾性率(E'')の値を用いて、 tanδ=E''/E' の式にしたがって各温度においてtanδ(損失正接)の値を算出した。次にtanδの値を温度に対してプロットすると、二つのピークが現れた。このうちの低温側に現れたピークに対応する温度を弾性重合体のTgとした。また高温側(80℃〜135℃)に現れたピークに対応する温度を硬質部(B)のTgとした。結果を表2に示す。
[メルトテンション]
東芝機械(株)製脱気式押出機TEM−35を用いて、粉体状アクリル樹脂組成物をシリンダー温度200〜220℃、ダイ温度220℃で溶融混練してペレットを得た。このペレットを70℃で12時間乾燥し、ROSAND製ツインキャピラリーレオメータRH−7を用いて、温度230℃で径φ=1mm、L/D=16のキャピラリーから一定速度1.57cm3/minで押し出し、一定速度10m/minで引き取ってメルトテンションを測定した。結果を表2に示す。
東芝機械(株)製脱気式押出機TEM−35を用いて、粉体状アクリル樹脂組成物をシリンダー温度200〜220℃、ダイ温度220℃で溶融混練してペレットを得た。このペレットを70℃で12時間乾燥し、ROSAND製ツインキャピラリーレオメータRH−7を用いて、温度230℃で径φ=1mm、L/D=16のキャピラリーから一定速度1.57cm3/minで押し出し、一定速度10m/minで引き取ってメルトテンションを測定した。結果を表2に示す。
<比較例1〜3>
[ゴム含有多段重合体(I−vi)の作製]
第一弾性重合体(A1)、第二弾性重合体(A2)及び硬質部(B)の各成分を表1に示すように変更したこと以外は、ゴム含有多段重合体(I−i)と同様にしてラテックス状の多段重合体(I−vi)を得た。重合後に測定したラテックス状のゴム含有多段重合体(I−vi)の固形分は33%であった。
[ゴム含有多段重合体(I−vi)の作製]
第一弾性重合体(A1)、第二弾性重合体(A2)及び硬質部(B)の各成分を表1に示すように変更したこと以外は、ゴム含有多段重合体(I−i)と同様にしてラテックス状の多段重合体(I−vi)を得た。重合後に測定したラテックス状のゴム含有多段重合体(I−vi)の固形分は33%であった。
[ゴム含有多段重合体(I−vii)の作製]
攪拌機、冷却管、熱電対、窒素導入管を備えた重合容器内に、脱イオン水195部を投入し、70℃に昇温した。さらに、脱イオン水5部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.20部、硫酸第一鉄0.0001部及びEDTA0.0003部からなる混合
物を一度に投入した。次いで、窒素下で攪拌しながら、MMA0.3部、n−BA4.5部、1,3−BD0.2部、AMA0.050部の単量体成分を、CHP0.025部及びRS−610NA 0.9部と共に、3分間に亘って重合容器内に滴下した。その後15分間反応を継続させ、第一弾性重合体(A1)の重合を完結した。
攪拌機、冷却管、熱電対、窒素導入管を備えた重合容器内に、脱イオン水195部を投入し、70℃に昇温した。さらに、脱イオン水5部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.20部、硫酸第一鉄0.0001部及びEDTA0.0003部からなる混合
物を一度に投入した。次いで、窒素下で攪拌しながら、MMA0.3部、n−BA4.5部、1,3−BD0.2部、AMA0.050部の単量体成分を、CHP0.025部及びRS−610NA 0.9部と共に、3分間に亘って重合容器内に滴下した。その後15分間反応を継続させ、第一弾性重合体(A1)の重合を完結した。
続いて、MMA2.7部、n−BA40.5部、1,3−BD1.8部、AMA0.450部の単量体成分を、CHP0.029部と共に、120分間に亘って重合容器内に滴下した後、60分間反応を継続させ、第二弾性重合体(A2)の重合を完結した。
続いてMMA6.9部、n−BA3.1部及びAMA0.075部の単量体成分を、CHP0.013部と共に45分間に亘って重合容器内に滴下した。その後60分間反応を継続させ、中間部(C)の重合を完結した。
続いて、MMA36.0部、n−BA4.0部、CHP0.059部及びn−OM0.13部の単量体成分(硬質部(B)成分)を95分間に亘って重合容器内に滴下し、60分間反応を継続させ、ラテックス状のゴム含有多段重合体(I−vii)を得た。重合後に測定したラテックス状のゴム含有多段重合体(I−vii)の固形分は33%であった。
[ゴム含有多段重合体(I−viii)の作製]
硬質部(B)の成分を表1に示すように変更したこと以外は、ゴム含有多段重合体(I−i)と同様にしてラテックス状のゴム含有多段重合体(I−viii)を得た。重合後に測定したラテックス状のゴム含有多段重合体(I−viii)の固形分は33%であった。
硬質部(B)の成分を表1に示すように変更したこと以外は、ゴム含有多段重合体(I−i)と同様にしてラテックス状のゴム含有多段重合体(I−viii)を得た。重合後に測定したラテックス状のゴム含有多段重合体(I−viii)の固形分は33%であった。
[凝固]
ラテックス状のゴム含有多段重合体(I−vi)〜(I−viii)の各々を、酢酸カルシウム0.8部を含む70℃の熱水100部中に滴下して、ラテックスを凝析した。その後95℃に昇温して5分保持し、固化した。得られた凝析物を分離洗浄し、70℃で24時間乾燥して、粉体状のゴム含有多段重合体(I−vi)〜(I−viii)を得た。
ラテックス状のゴム含有多段重合体(I−vi)〜(I−viii)の各々を、酢酸カルシウム0.8部を含む70℃の熱水100部中に滴下して、ラテックスを凝析した。その後95℃に昇温して5分保持し、固化した。得られた凝析物を分離洗浄し、70℃で24時間乾燥して、粉体状のゴム含有多段重合体(I−vi)〜(I−viii)を得た。
[分子量]
得られた粉体状のゴム含有多段重合体(I−vi)〜(I−viii)のアセトン可溶分の分子量を、先に説明した方法により測定したところ、ゴム含有多段重合体(I−vi)、ゴム含有多段重合体(I−vii)、熱可塑性重合体(II−viii)の重量平均分子量は、それぞれ54000、67800、36100であった。
得られた粉体状のゴム含有多段重合体(I−vi)〜(I−viii)のアセトン可溶分の分子量を、先に説明した方法により測定したところ、ゴム含有多段重合体(I−vi)、ゴム含有多段重合体(I−vii)、熱可塑性重合体(II−viii)の重量平均分子量は、それぞれ54000、67800、36100であった。
[弾性率]
実施例と同様にして測定した。結果を表2に示す。
実施例と同様にして測定した。結果を表2に示す。
[ガラス転移温度]
実施例と同様にして測定した。結果を表2に示す。
実施例と同様にして測定した。結果を表2に示す。
[メルトテンション]
実施例と同様にして測定した。結果を表2に示す。
実施例と同様にして測定した。結果を表2に示す。
以上の結果から明らかなように、本発明のアクリル樹脂組成物は、弾性率が小さく、柔軟性が高い。このため本発明のアクリル樹脂組成物を用いることにより、常温での加工に適する成形体を得ることができる。この成形体は、鋼板等の基材に貼り合わせた後、この基材を窓枠等の各種部材の形状にする為に常温曲げ加工する際に曲部でクラックが発生せず、このため剥き出しになった基材が太陽光等に曝され腐食することがない。また得られる成形体は耐熱性が高い。このため高温下での機械的強度が大きく、高温で太陽光が強い地域での使用に好適である。更に本発明のアクリル樹脂組成物は、メルトテンションの値が大きく、カレンダー成形や溶融押出成形において引き取り性が良好であり、破断し難い。フィルム状に溶融押出する場合には、吐出量が低下して生産性が悪化することを防ぐことができ、更にはフィルム状成形体の厚み精度も良好である。
一方、比較例1及び2では、弾性率が大きく柔軟性が低いので、成形体を鋼板等の基材に貼り合わせた後、窓枠等の形状に常温で曲げ加工する際に曲部でクラックが発生し、剥き出しになった基材が太陽光等に曝され腐食する恐れがある。比較例3では、硬質部(B)のTgが低い。このため得られる成形体は耐熱性が低く、高温下での機械的強度が小さいので、高温で太陽光が強い地域での使用には適していない。比較例4〜6では、メルトテンションの値が不足しており、カレンダー成形や溶融押出成形において、破断しやすい。
本発明のアクリル樹脂組成物は、弾性率が小さく、柔軟性が高い。このため常温での加工に適する成形体を得ることができる。また本発明のアクリル樹脂組成物を成形して得られる成形体は耐熱性が高く、高温で太陽光が強い地域での使用に好適である。更に本発明のアクリル樹脂組成物は、メルトテンションの値が大きく、カレンダー成形や溶融押出成形において引き取り性が良好で破断し難く、加工性に優れる。
Claims (6)
- ゴム含有多段重合体(I)と熱可塑性重合体(II)0〜10質量部(ゴム含有多段重合体(I)100質量部に対して)を含んでなるアクリル樹脂組成物であって、次の条件(1)、(2)及び(3)を満足するアクリル樹脂組成物。
(1)ISO178に従って、温度23℃、試験速度2mm/minで測定した成形体の曲げ弾性率の値が400MPa以下である。ここで、成形体は厚み4mm、長さ80mm、幅10mmである。
(2)動的粘弾性測定装置の引張モードで測定した、80℃以上の領域で出現するピークの値が85℃以上である。ここで、試験片はアクリル樹脂組成物を幅6mm、厚さ1mmに成形したシートであり、初期チャック間距離は2cmである。
(3)キャピラリー径φ=1mm、L/D=16、温度230℃の条件で、一定速度(1.57cm3/min)でアクリル樹脂組成物を押し出し、そのストランドを一定速度(10m/min)で引き取った際のメルトテンションの値が0.03N以上である。 - ゴム含有多段重合体(I)及び熱可塑性重合体(II)がそれぞれ下記で表される請求項1記載のアクリル樹脂組成物。
<ゴム含有多段重合体(I)>
炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート(a1)及び炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレート(a2)からなる群より選ばれる1種以上の単量体と、架橋性単量体(a4)とを含む単量体(a)を重合して得られる弾性重合体(A)の存在下で、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルメタクリレートを含む単量体(b)を重合して得られるゴム含有多段重合体。
<熱可塑性重合体(II)>
メチルメタクリレート単位50〜100質量%と、これと共重合可能な1種以上のビニル単量体単位0〜50質量%とからなる重合体であり、0.1gをクロロホルム100mLに溶解し、25℃で測定した還元粘度が0.2〜2g/Lである熱可塑性重合体。 - 次の条件(4)及び(5)を満足する請求項2記載のアクリル樹脂組成物。
(4)ゴム含有多段重合体(I)100質量%中における弾性重合体(A)の割合が50質量%以上である。
(5)ゴム含有多段重合体(I)の弾性重合体(A)中に含まれる架橋性単量体(a4)の量が、弾性重合体(A)の単量体合計量100質量%に対して0.15〜0.60質量%である。 - 請求項1記載のアクリル樹脂組成物を成形して得られる成形体。
- 請求項1記載のアクリル樹脂組成物をカレンダー加工により製膜する方法。
- 請求項5記載の方法で得られたアクリル樹脂フィルム。
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