JP5304311B2 - タイル壁 - Google Patents

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本発明は、タイルユニットを張り付けたタイル壁に関するものである。
タイルユニットとして、タイルの裏面に、隣接するタイルに架け渡すように薄い合成樹脂フィルムや紙などよりなる連結体を接着剤で接着することにより、複数個のタイルを連結したものがある。このタイルユニットは、1回のタイル張り操作で、複数個のタイルを施工することができ、施工作業の軽減、工期の短縮に有効であることから、従来、内外装用タイルの施工用に広く用いられている。
このようなタイルユニットは、複数個のタイルを、裏面を上にして型枠などに入れて整列させ、紙などの連結体をタイル裏面に接着することにより製造されている(例えば、特開平8−109730号公報)。合成樹脂フィルムや紙の代わりに、ガラス繊維等の高弾性率の繊維よりなるネットをタイル整列体の裏面に接着したタイルユニットも近年開発されている。
特開2006−83536の図6〜図9にはこのようなタイルユニットを用いて出隅を構築する構成が示されている。第9図及び第10図は同号公報の図8,9のタイルユニット及びタイル壁出隅部を示すものである。
このタイルユニット20は、2種類の細長いタイル21,22を平行に且つ1段毎に左右位置を交互にずらして配列し、連結体(図示略)を各タイル21,22の裏面に接着して一体化したものである。
第9図の右側のタイルユニット20では、出隅側に突出する端面Rは上から奇数段に配置されている。第9図の左側のタイルユニット20にあっては、出隅側に突出する端面Lは上から偶数段に配置されている。
このように、左側タイルユニット20の右端部におけるタイル21,22の出入りは、上から奇数段が凹になり、右側のタイルユニットの左端部におけるタイル21,22の出入りは上から奇数段が凸になる。従って第10図の通り、出隅を挟んだ双方のタイルユニット20の端部同士を出隅で係合させることができる。
この第10図のタイル壁では、出隅においても出隅両側のタイルユニット20のタイル21,22の端部同士が噛合状に係合しており、見栄えが極めて良好である。
特開平8−109730号公報 特開2006−83536号公報
第9,10図に示す従来のタイルユニットにあっては、タイル21,22の前面はフラットなものとして図示されており、前面に凹凸が存在する場合についての言及は上記特許文献2にはない。
第9,10図のタイルユニット及びタイル壁においてタイル前面に比較的大きな凹凸が存在すると、出隅よりも左側又は右側の壁面に張られたタイルユニットのタイル21の端面(所謂コバ面)E又はRと、出隅よりも右側又は左側の壁面のタイル21,22の前面とが意匠上のまとまりを欠いたものとなり、美観が損なわれるおそれがある。
即ち、例えば、第10図の左側のタイルユニット20のタイルの右端側の突出端面Eと、右側のタイルユニットのタイル21,22の前面とは略面一状になるが、この端面Eが平坦であると、タイル21,22の前面の凹凸と著しく外観が異なったものとなり、美観が低下する。
本発明は、このような問題点を解決し、出隅を挟んで左右に配設されたタイルユニットのタイルの前面に凹凸が存在する場合でも、出隅部における意匠に連続性を持たせることを目的とする。
本発明のタイル壁は、複数のタイルユニットを出隅部の壁面に張り付けたタイル壁であって、該タイルユニットは、長方形のタイルが、長手方向を平行にして2列以上配置され、それらの裏面に貼着されたネット又はシート状の連結体によって連結されているタイルユニットであり、該タイルユニットのタイル長手方向一端側にあっては、奇数列目の第1のタイルの端面が偶数列目の第2のタイルの端面よりも略タイル厚み分だけ後退しており、該第1のタイル及び第2のタイルの少なくとも該一端側の前面は凹凸面となっており、該第2のタイルの該一端側の端面をタイル正面側から見た正面視形状は、該第1のタイルの該一端側近傍におけるタイル長手方向と直交方向の断面形状と略同一であり、該タイルユニットの一端側における各タイル同士の間に対し、出隅を挟んで隣接配置されたタイルユニットの一端側におけるタイルの端部が入り込むように各タイルユニット同士を係合させてあり、タイルユニットの前記第1のタイルの前記一端側の端面は、出隅から所定距離だけ後退していることを特徴とするものである。
本発明のタイル壁で用いるタイルユニットは、奇数列目に配置された第1のタイルの端面が偶数列目の第2のタイルの端面よりも略タイルの厚み分だけ後退している。この第1のタイル及び第2のタイルは、少なくとも長手方向両端側の前面が凹凸面となっている。出隅を挟んで左側及び右側にそれぞれこのタイルユニットを、各タイルユニットのタイル一端側が出隅側となるように配置し、両タイルユニットの一端側同士を係合させてタイル壁を構築する。構築されたタイル壁にあっては、第2のタイルの一端側の端面が、出隅を挟んで隣接するタイルユニットの第1のタイルの前面と略面一状となる。本発明では、この第1のタイルの前面と第2のタイルの一端側の端面とが略同一凹凸意匠面となっているため、該第1のタイルの前面から第2のタイルの一端側の端面にかけて意匠が連続したものとなり、美観が向上する。
本発明のタイル壁にあっては、出隅を挟んで左側及び右側に張られたタイルユニットの第1のタイルの一端側の端面と、それが対面する第2のタイルの背面との間に所定の間隙があいている。従って、地震などによって建物が揺れても、該第1のタイルの一端側端面が第2のタイルの一端側の背面に当たることが防止される。
実施の形態に係るタイルユニットの斜視図である。 図1のタイルユニットの背面図である。 図1のタイルユニット同士の係合関係を示す斜視図である。 図1のタイルユニットの施工方法の説明図である。 図1のタイルユニットの施工方法の説明図である。 図1のタイルユニットの施工方法の説明図である。 構築されたタイル壁の出隅部における拡大立面図である。 出隅におけるタイルユニット同士の係合関係を示す拡大斜視図である。 従来のタイルユニットの斜視図である。 従来のタイル壁の斜視図である。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。まず、第1,2図を参照して実施の形態に係るタイルユニット10について説明する。
このタイルユニット10は、2種類の細長いタイル11,12を交互に同一本数だけ平行に配列し、ガラス繊維ネット13よりなる連結体を各タイル11,12の裏面に接着して一体化したものである。このタイル11,12の短手幅は同一である。
タイル11,12間の目地幅はタイルユニット全体において同一である。
第1図では、タイル11,12は合計で8本だけ示されているが、この実施の形態では実際には第2図の通り合計12本のタイル11,12がネット13によって連結されている。タイル数は偶数であることが好ましい。
各タイル11,12は、前面の短手幅方向の中央部が盛り上るように肉厚となっており、この前面の中央部をタイル長手方向の一端から他端まで延在するように凹条11a,12aが延設されている。凹条11a,12aの両側(タイル短手幅方向の両側)には、タイル11,12の一端から他端まで延在する凸条11b,12bが設けられている。各凸条11b,12bからタイル11,12の側縁にかけては、なだらかな下り勾配の斜面11c,12cとなっている。
第1のタイル11の一端面11e及び他端面11fは、タイル11の長手方向と直交する平坦面となっている。
タイル11,12の短手幅寸法、前面の凹凸形状は同一である。
各タイル11は、一端面11eが一直線状に揃うように配列されている。各タイル12は、一端面12eが該一端面11eから所定長さL突出している。各タイル12のこの突出長さは同一である。
第2のタイル12の一端面12eは、短手幅方向の中央部がタイル12の長手方向の延長方向に突出する非平坦面形状となっている。この一端面12eの中央部には、タイル厚み方向に縦通する溝12Aが設けられている。この溝12Aは、タイル12の前面から背面にまで達している。溝12Aの両側は最も該延長方向に突出した凸部12B,12Bとなっている。この凸部12B,12Bからタイル12の両側縁にかけては、徐々に後退する後退面12C,12Cとなっている。
第2のタイル12の第1図の左端部を正面から見た場合の凹凸形状は、タイル11,12を端面11e,11f,12e,12f側から見たときの側面視形状と同一である。
各タイル11の一端面11eから各タイル12の一端面12eの側辺部の先端部までの突出長さLは、各タイル11eの側辺部の厚さTよりも所定長さ大きいものとなっている。この長さLと厚さとの差(L−T)は好ましくは−3〜+3mm特に−1〜+1mmである。
この実施の形態では、第1のタイル11の長手方向の長さは第2のタイル12の長手方向の長さよりも大きく、タイル11の他端面11fはタイル12の他端面12fよりもタイル長手方向に延出している。
このタイルユニット10を出隅に張る手順について第3図〜第7図を参照して説明する。第3図〜第7図では、壁下地はボート等よりなる下地板15,16にて構成されている。この説明では、出隅17(第5図)よりも左側の下地板15にまずタイルユニット10を張るが、右側に先に張ってもよいことは明らかである。また、左側と右側とでタイルユニットの上下を図示と逆にしてもよい。
まず、下地面に接着剤を塗布しておく。第1のタイル11が最上辺となるようにしたタイルユニット10を左側の下地板15に張る。この際、第5図の通り、第1のタイル11の一端面11eが出隅17から所定距離tだけ後退し、第2のタイル12の一端面12e側が出隅17から所定長さFだけ突出するように位置決めする。この位置決めは、下地板15に水糸を張っておいたり、掛書き線を入れたりすることによって正確に行ってもよいが、適宜のスペーサを用いたりしてもよい。
出隅17からの後退長さtは、第2のタイル12の一端面12eの突出長さFが、第1のタイル11の前記厚さTと、接着剤層厚さ(下地板16にタイルユニット10を張ったときの接着剤層の厚さ)との合計となるようにするのが好ましい。
このように左側の下地板15にタイルユニット10を張った後、右側の下地板16に、第2のタイル12が最上辺となるようにしたタイルユニット10を張る。この際、右側のタイルユニット10のタイル12の出隅側が左側のタイルユニット10のタイル12,12の出隅側同士の間に入り込むようにする。また、右側のタイルユニット10のタイル12の一端面12eが左側のタイルユニット10のタイル11の前面と面一状となるようにする。
これにより、第7図の通り、出隅付近を下地板15又は16と正対方向から見たときに、出隅の左右一方の側のタイル一端面12eが他方の側のタイル11の前面と面一状に揃ったものとなる。
また、第7図及び第8図の通り、出隅の左右一方のタイル12の一端面12eの溝12A、突部12B及び後退部12Cが、他方のタイル11の凹条11a、凸条11b及び斜面11cとそれぞれ面一状に揃ったものとなる。
このようなことから、出隅付近の意匠が左右に連続したものとなり、美観が著しく良好となる。
また、この実施の形態では、第1のタイル11の一端面11eが出隅17から距離tだけ後退しており、この一端面11eと、それが対面するタイル12の背面との間に間隙が存在する。そのため、地震によって建物が揺れた場合でも、一端面11eがタイル12の背面に当ることが防止される。これにより、当接音が発生することが防止される。また、一端面11eがタイル12を背面から押すことに起因してタイル12に対し下地板から剥離方向に力が加えられることも防止される。
上記説明ではタイル一端面12eの凹凸形状がタイル11の前面の凹凸形状と同一であるとしたが、これは全く完全に同一である必要はなく、両者のシルエットが略同一であれば足りる。具体的には、両者の凹凸形状を重ね合わせたときに、±1mm以内のずれであれば出隅付近の美観は十分に良好となる。
なお、出隅にタイルユニット10を張った後、第6図のようにこれに隣接してタイルユニット30を張って壁面全体のタイル張りを行う。
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態とされてもよい。たとえば、タイルユニットのタイルの枚数は図示以外でもよく、タイル前面及び端面の凹凸形状も図示以外とされてもよい。
上記実施の形態では、タイル11の端面11e,11f,12fは全体として平坦面とされているが、部分的には平坦でない箇所があってもよい。
上記実施の形態では、タイル11,12の前面の凹条11a,12a及び凸条11b,12bはタイル11,12の全長にわたって延在するものとしているが、近傍だけかかる形状とし、その他は別形状としてもよい。ただし、図示のように凹条及び凸条をタイル全長にわたって延在させることにより、横筋状の美麗な仕上りとすることができる。
10,20 タイルユニット
11,21 第1のタイル
12,22 第2のタイル
11a,12a 凹条
11b,12b 凸条
11c,12c 斜面
12A 溝
12B 突部
12C 後退部
13 連続ネット

Claims (1)

  1. 複数のタイルユニットを出隅部の壁面に張り付けたタイル壁であって、
    該タイルユニットは、長方形のタイルが、長手方向を平行にして2列以上配置され、それらの裏面に貼着されたネット又はシート状の連結体によって連結されているタイルユニットであり、
    該タイルユニットのタイル長手方向一端側にあっては、奇数列目の第1のタイルの端面が偶数列目の第2のタイルの端面よりも略タイル厚み分だけ後退しており
    該第1のタイル及び第2のタイルの少なくとも該一端側の前面は凹凸面となっており、
    該第2のタイルの該一端側の端面をタイル正面側から見た正面視形状は、該第1のタイルの該一端側近傍におけるタイル長手方向と直交方向の断面形状と略同一であり、
    該タイルユニットの一端側における各タイル同士の間に対し、出隅を挟んで隣接配置されたタイルユニットの一端側におけるタイルの端部が入り込むように各タイルユニット同士を係合させてあり、
    タイルユニットの前記第1のタイルの前記一端側の端面は、出隅から所定距離だけ後退していることを特徴とするタイル壁。
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