JP4479433B2 - タイルユニット及びタイル壁の施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数個のタイルユニットを紙、フィルム、ネット等の連結体によって連結したタイルユニットに関するものであり、特に、この連結体がタイルの裏面に接着されているタイルユニットに関する。また、本発明は、このタイル壁を張り付けたタイル壁の施工方法に関するものである。
タイルユニットとして、第10図に示す如く、タイル2の裏面に、隣接するタイルに架け渡すように薄い合成樹脂フィルムや紙などよりなる連結体3を接着剤で接着することにより、複数個のタイル2を連結したものがある。このタイルユニット1は、1回のタイル張り操作で、複数個のタイルを施工することができ、施工作業の軽減、工期の短縮に有効であることから、従来、内外装用タイルの施工用に広く用いられている。
このようなタイルユニット1は、複数個のタイル2を、裏面を上にして型枠などに入れて整列させ、紙などの連結体をタイル裏面に接着することにより製造されている(例えば、特開平8−109730号公報)。合成樹脂フィルムや紙の代わりに、ガラス繊維等の高弾性率の繊維よりなるネットをタイル整列体の裏面に接着したタイルユニットも近年開発されている。
第11図(a)は、上記のタイルユニット1を壁面4に張り付ける方法を示す模式的な縦断面図であり、壁面4には変性シリコン系あるいはエポキシ系接着剤等よりなるタイル張り用接着剤層5が塗着されている。なお、第11図(a)のタイルユニット1は第10図のA−A線に沿う断面を示している。
特開平8−109730号公報
I.上記従来のタイルユニットは、側端面の位置が揃っているため、タイルを水平横長にして壁に張り付け施工した場合、すべての縦目地が上下一直線に延在した通し目地となり、意匠上の面白みに欠け易い。
本発明は、入り組んだ目地を形成することが可能なタイルユニットと、このタイルユニットを用いたタイル壁の施工方法を提供することを目的とする。
II.上記従来のタイルユニット1にあっては、第11図(b)の如く、施工時や持ち運び時に目地間隙Cを狭めるように変形(例えば凹反り)するため、取り扱いにくいという不便があった。
本発明は、その一態様において凹反り等の変形が抑制ないし防止され、取り扱い易いタイルユニットとこれを用いたタイル壁の施工方法を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)のタイルユニットは、長方形のタイルが、長手方向を平行にして3列以上配置され、それらの裏面に貼着されたネット又はシート状の連結体によって連結されたタイルユニットにおいて、各列にはタイルが1個配置されており、該タイルの長手方向が左右方向となるように壁面に配置した状態において、少なくとも3列にあっては、各列におけるタイルの長手方向両端部の左右方向位置が異なっており、上下に隣接するタイルにあっては、長手方向両端部の左右方向位置が異なっており、該タイルユニットは上下及び左右が逆となるように180°回転させても各タイルの長手方向両端部の位置が同一となる点対称形状であることを特徴とするものである。
なお、このタイルユニットは、主として壁の出隅又は入隅以外の平部に張り付け施工されるものであるところから、以下、この請求項1及びその従属請求項に係るタイルユニットを平部用タイルユニットということがある。
請求項のタイルユニットは、請求項1において、タイル同士の目地間隙を維持するための目地間隙維持手段を備えたことを特徴とするものである。
本発明(請求項)のタイルユニットは、長方形のタイルが、長手方向を平行にして3列以上配置され、それらの裏面に貼着されたネット又はシート状の連結体によって連結されたタイルユニットにおいて、該タイルが長手方向を平行にして偶数列配置されており、各列にはタイルが1個配置されており、該タイルの長手方向が左右方向となるように壁面に配置した状態において、少なくとも3列にあっては、各列におけるタイルの長手方向一端部の左右方向位置が異なっており、各列におけるタイルの長手方向他端部の左右方向位置は上下に隣接するタイル同士で異なり、且つタイル1つおきに同一であることを特徴とするものである。
なお、この請求項のタイルユニットは、主として、出隅又は入隅に張り付け施工されるものであるところから、以下この請求項及びその従属請求項に係るタイルユニットを隅用タイルユニットということがある。
請求項4のタイルユニットは、請求項3において、各列のタイルの前記長手方向他端部の左右方向位置が、請求項1又は2に記載のタイルユニットにおける各列のタイルの長手方向一端側の左右方向位置と合致しており、該タイルユニットを上下及び左右が逆となるように180°回転させた状態にあっては、各列のタイルの前記長手方向他端部の左右方向位置が、請求項1又は2に記載のタイルユニットにおける各列のタイルの長手方向他端側の左右方向位置と合致していることを特徴とするものである。
請求項5のタイルユニットは、請求項3又は4において、複数個の第1タイルと、該第1タイルとは長手方向の長さが異なる複数個の第2タイルとが、長手方向を平行にして配置されており、該第1タイルは、少なくとも1つの奇数列及び少なくとも1つの偶数列に配置されており、該第2タイルも、少なくとも1つの奇数列及び少なくとも1つの偶数列に配置されていることを特徴とするものである。
請求項のタイルユニットは、請求項3ないし5のいずれか1項において、タイル同士の目地間隙を保つための目地間隙維持手段を備えたことを特徴とするものである。
請求項のタイルユニットは、請求項又はにおいて、該目地間隙維持手段は、タイルの目地に臨む側面に設けられた凸部であることを特徴とするものである。
請求項のタイルユニットは、請求項において、該凸部はタイルの該側面の厚さ方向の中間付近に設けられていることを特徴とするものである。
請求項のタイルユニットは、請求項又はにおいて、該目地間隙維持手段は、該目地間隙に介在する接着剤硬化物であることを特徴とするものである。
請求項10のタイルユニットは、請求項において、前記連結体とタイル裏面とが接着剤によって接着されており、この接着剤と前記接着剤硬化物とが一連一体となっていることを特徴とするものである。
請求項11のタイルユニットは、請求項10において、該目地間隙に介在する前記接着剤硬化物は、前記連結体からタイル厚みの10〜40%の範囲まで存在することを特徴とするタイルユニット。
請求項12のタイルユニットは、請求項10又は11において、該タイルの裏側の角縁部が面落し状の斜面となっていることを特徴とするものである。
請求項13のタイルユニットは、請求項1ないし12のいずれか1項において、少なくとも一部の隣接タイルの厚さが異なることを特徴とするものである。
本発明(請求項14)のタイル壁は、請求項ないしのいずれか1項に記載のタイルユニット(以下、隅用タイルユニットという。)をタイル長手方向が水平方向となるように壁の出隅又は入隅を挟んだ両壁面にそれぞれ張り付けタイル壁の施工方法であって、該隅用タイルユニットの前記長手方向他端部が左側を指向する状態を第1状態とし、該第1状態の該隅用タイルユニットを左右逆となるように180°回転させ、該隅用タイルユニットの前記長手方向他端部が右側を指向する状態を第2状態とすると、該第1状態の隅用タイルユニットを該隅を挟んだ左側の壁面に張り付け、該第2状態の隅用タイルユニットを該隅を挟んだ右側の壁面に張り付け、該第1状態の隅用タイルユニットの該隅側におけるタイル同士の間に対し該第2状態の隅用タイルユニットの該隅側におけるタイルの端部入り込ませて双方の隅用タイルユニットを係合させることを特徴とするものである。
請求項15のタイル壁の施工方法は、請求項14において、該隅用タイルユニットに水平方向に隣接して請求項1又は2に記載のタイルユニットをそのタイル長手方向が水平方向となるように壁面に張り付けるタイル壁の施工方法であって、該隅用タイルユニットの隅と反対側におけるタイル同士の間に、該平部用タイルユニットの隅近傍側のタイルの端部を係合させるようにして、該隅用タイルと平部用タイルとを係合させることを特徴とするものである。
請求項16のタイル壁の施工方法は、請求項15において、隅用タイルユニットと平部用タイルユニットとは、タイルの上下方向の数が同一であることを特徴とするものである。
本発明(請求項1)の平部用タイルユニットにあっては、タイルの長手方向の両端部の左右方向位置が異なっており、入り組んだ目地を有したタイル壁を構築することができる。
また、上下に隣接するタイルの長手方向両端部の左右方向位置を異ならせてあるため、目地をさらに入り組んだものとすることができる。
の平部用タイルユニットは、左右が逆となるように180°回転させても各タイルの長手方向両端部の位置が同一となる点対称形状である。このように構成された平部用タイルユニットは、左右の向きを確認することなく壁面に張り付けることができ、張り付け施工効率が向上する。
本発明(請求項)の隅用タイルユニットは、出隅又は入隅に臨むように且つタイル長手方向が水平方向となるように壁面に張り付け施工される。この場合、該隅用タイルユニットの長手方向該一端部が隅部から遠い位置を占め、該隅用タイルユニットの長手方向他端部が隅部側となるようにタイルユニットを張り付ける。
この場合も、タイルの縦目地が入り組んだものとなる。
この隅用タイルの長手方向該一端側においては、請求項の通り、上下に隣接するタイル端部の左右方向位置を異ならせることにより、縦目地を細かく入り組んだものとすることができる。この隅用タイルユニットでは、タイルを偶数個配列することが好ましい。これにより、隅を挟んで両壁面に隅用タイルユニットを配置したときに、両タイルユニットを同一高さに揃えて係合させることができる。
請求項の通り、この平部用タイルユニット及び隅用タイルユニットに目地間隙維持手段を設けた場合には、目地間隙を狭める変形が抑制ないし防止されるため、取り扱いが容易となる。
特に、複数のタイルユニットを、隣接する一方のタイルユニットのタイルの端部を他方のタイルユニットのタイル同士の間に入り込ませるように係合させてタイルユニットの張り付け作業を行う場合、この目地間隙が維持されているとタイルユニット同士の係合作業効率が格段に良好なものとなる。
請求項の通り、この目地間隙維持手段として、タイルの端面に凸部を設けてもよい。この場合、目地間隙を狭めるようにタイルユニットが変形しようとすると、一方のタイルが隣接するタイルの凸部に当り、上記変形が抑制ないし防止される。
この凸部は、前過ぎるとタイルユニット前方から視認され、後過ぎると目地間隙維持機能が弱くなるので、タイルの厚さ方向の中間付近に設けられることが好ましい(請求項)。
請求項の通り、この目地間隙維持手段は、目地間隙に介在する接着剤硬化物であってもよい。この場合、請求項10の通り、シート、フィルム等の連結体をタイルに接着するための接着剤とこの目地間隙の接着剤硬化物とが一連一体となっていることが望ましい。かかる構成のタイルユニットにあっては、連結体に接着剤を付着させておき、この連結体をタイル裏面に貼り付ける際に余剰の接着剤を目地間隙に押し込んで接着剤硬化物を形成することができる。
この場合、請求項11の通り、接着剤硬化物が連結体からタイル厚みの10〜40%の範囲まで存在することにより目地間隙維持機能が十分に高いものとなる。
このようにタイル同士の間に接着剤を押し込む場合、請求項12の通り、タイルの裏側の角縁部を面落し状の斜面とすることにより、接着剤が目地間隙に押し込まれ易くなる。
請求項13の通り、本発明のタイルユニットにおいて、少なくとも一部の隣接するタイルの厚さを異ならせることにより、凹凸感に富んだタイル張り壁面を構築することができる。このタイル張り壁面にあっては、縦目地が入り組んでいることと相俟って極めて意匠性の高いものとなる。
本発明(請求項14)のタイル壁の施工方法は、上記隅用タイルユニットを、その一端部側が隅から離隔し、他端部側が隅に臨むように建物隅部を挟んだ両壁面に張り付け施工したものであり、双方の隅用タイルユニットのタイル端部同士が入り込み合う。これにより、隅部においてもタイルの端部同士が入り組んで係合した仕上げとすることができる。
このように隅部に隅用タイルユニットを張り付け施工した場合、この隅用タイルユニットに隣接して上記平部用タイルユニットを張り付け施工し、且つ隅用タイルユニットの一端側のタイル間に平部用タイルユニットの他端側のタイル端部を入り込ませることにより、壁面全体にわたって縦目地が入り組んだタイル張り壁面を構築することができる。
この場合、請求項16の通り、隅用タイルユニットと平部用タイルユニットとのタイルの上下方向の数を同一とすることにより、タイル張り付け作業性が著しく向上する。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係る平部用タイルユニットの正面図、第2図はその斜視図、第3図はその裏側の斜視図、第4図は施工方法の説明図、第5図は構築されたタイル壁の立面図である。第6図は第5図のタイル壁の出隅に用いられている隅用タイルユニットの正面図、第7図はその斜視図、第8図は出隅における隅用タイルユニットの係合関係を示す斜視図、第9図は出隅の斜視図である。なお、図面を明瞭とするために第5図では横目地の図示を省略してある。
まず、第1図〜第4図を参照して平部用タイルユニット10を説明する。
この平部用タイルユニット10は、細長い棒状の同一長さのタイル11を複数本(この実施の形態では8本)平行に揃え、合成樹脂フィルム、紙などよりなる連結体12を裏面に接着して連結し一体化したものである。このタイル11は、長手方向の長さが短手幅の約11倍の細長いものである。
最上段(第1段)と第7段のタイル11の右端は、タイルユニットの右端部から最も後退し、第2段と第8段のタイル11の右端部はタイルユニットの最右端部に位置する。第3段と第5段のタイル11の右端は、それよりも若干後退し、第4段と第6段のタイルの右端はそれからさらに後退している。
かかるタイル配列としているため、このタイルユニット10は、上下及び左右を逆にするように180°回しても同一形状である。
各タイル11が同一長さであるから、このタイルユニット10は、第4図の如く左右に並べて突き合わせると、左側のタイルユニット10の右端部と右側のタイルユニット10の左端部とが完全に合一状に係合し、一方のタイルユニットのタイルの端部同士の間に他方のタイルユニットのタイルの端部が入り込む。
従って、この平部用タイルユニットを壁面両平部に上下左右に並設し張り付けることにより、第5図の如く縦目地が通らない意匠性に優れたタイル壁を構築することができる。
特に、この実施の形態では、タイルユニット10の隣接する各タイルの端部の左右方向位置が異なっているため、すべての縦目地が細かく食い違っており、入り組んだ縦目地となっている。
なお、この平部用タイルユニット10は、後述の隅用タイルユニット20と組み合わせるために偶数本のタイル11にて構成されることが望ましい。
次に、隅用タイルユニット20について第6図〜第9図を参照して説明する。
このタイルユニットは、2種類の細長いタイル21,22を4本ずつ平行に配列し、前記連結体12と同様の連結体(図示略)を各タイル21,22の裏面に接着して一体化したものである。短い方のタイル21の長手方向長さは短手幅の約7倍であり、長い方のタイル22の長手方向長さは短手幅の約13倍である。このタイル21,22の短手幅はタイル11の短手幅と同一である。
タイルユニット10,20の目地幅は同一である。
第6図の状態では、短いタイル21は最上段(第1段)と4,6,7段に配置され、長いタイル22は2,3,5,8段に配置されている。奇数段の1,3,5,7段のタイルの左端はタイルユニットの最左端に位置し、偶数段の2,4,6,8段のタイルの左端はそれよりもタイル厚み分だけ後退している。従って、タイルユニット20の右端側にあっては、1,7段の右端が最も後退し、2,8段の右端が最も突出し、3,5段の右端がそれからタイル厚み分だけ後退し、4,6段の右端がそれからさらに後退している。4,6段の右端は1,7段の右端よりもタイル厚み分だけ右方へ突出している。
このタイルユニット20の各タイル21,22の右端の位置関係は、前記タイルユニット10のタイル11の右端の位置関係と同一である。第7図と第8図の右半側は、この第6図の姿勢にあるタイルユニット20の斜視図である。
このタイルユニット20を第6図の状態から上下及び左右逆となるように180°回転させた状態(以下、反転状態という。)が第8図の左半側に示されている。タイル21,22の合計本数が偶数であるため、この反転状態のタイルユニット10の右端のタイル21,22の出入りは、第8図の右側のタイルユニット10の左端のタイル21,22の出入りと逆になる。即ち、反転状態のタイルユニット10の右端では、偶数段のタイルの右端部が出張り、奇数段のタイルの右端部が後退している。従って、出隅を挟んだ双方の壁面に同一高さにてタイルユニット20を第8図の如く配置した場合、第9図の通り、両タイルユニット20の端部を出隅の凸角部で係合させることができる。
第9図の通り、左側の反転状態にあるタイルユニット20の各タイル21,22の左端部の位置関係は、前記タイルユニット10の右端側における各タイル11の位置関係と合致する。
第9図の通り、出隅に張り付け施工された各タイルユニット20に隣接して各壁面にタイルユニット10を張り付け施工することにより、第5図に示すタイル壁が構築される。このタイル壁では、出隅においても出隅両側のタイルユニット20のタイル21,22の端部同士が噛合状に係合しており、見栄えが極めて良好である。
上記第5,8,9図では、出隅にタイルユニット20が張り付け施工されているが、入隅の場合も同様にタイルユニット20の端部同士を噛合状に係合させることができる。
上記の如く、各タイルユニット10,20を張り付け施工する場合、隣接するタイルユニットのタイルの端部同士を噛合状に係合させるのであるが、この場合、タイルユニットの左右両端においてタイル同士の間の間隙が十分に開いていると、タイル端部同士を係合させ易く、好適である。
このような目的を達成するためには、第12,13図に示すタイルユニット30のタイル31のように、タイル間の目地間隙に臨むタイル端面(小口面)に凸部を設けるのが好ましい。
このタイルユニット30は、最上段にタイル34を配置し、その下段側に複数のタイル31を配置し、それらの裏面に合成樹脂フィルム、紙等よりなる連結体12を接着して連結し一体化したものである。タイル34の上下の端面は平坦である。タイル31は上側の端面に凸部32が設けられ、下側の端面は平坦面となっている。
凸部32は、タイル長手方向に延在する凸条よりなる。この凸条はタイルの上面の長手方向の全体にわたって設けられてもよいが、深目地調の外観を醸し出す場合には、長手方向の一部にだけ設けられていることが好ましい。長手方向の一部にだけ凸条を設ける場合には、長手方向の中間付近に設けるのが好ましいが、長手方向の両端側の2箇所に設けてもよく、さらに長手方向の3箇所以上に設けてもよい。第12図(b)のタイル31Aのように、突起状の凸部33を複数個設けてもよい。
この凸部32又は33の高さは、タイル間の目地間隙と略等しいか、又はそれよりも若干小さいことが好ましく、具体的には、目地間隙の幅寸法をc(図示略)とした場合、凸部の高さがcの60〜95%特に60〜90%とりわけ70〜85%程度であることが望ましい。
凸部32又は33の前後方向位置は、その目地間隙の深さをd(図示略)とした場合、凸部32又は33の最高位部の位置が連結体12からdの20〜70%特に20〜60%とりわけ30〜50%程度であることが望ましい。凸部32又は33の基底部のタイル厚み方向の幅は、dの5〜50%特に10〜30%程度が望ましい。
このように凸部32又は33を設けることにより、タイルユニット30は、第11図(b)に示した凹反り等の目地間隙を狭める変形が抑制ないし防止され、壁面への張り付け作業が容易となる。
第14図は別の実施の形態に係るタイルユニット40の縦断面図である。このタイルユニット40は、複数枚の前記タイル34を連結体12で連結したものであるが、接着剤硬化物41が目地間隙に介在している点が異なる。この接着剤硬化物41は、連結体12をタイル34の裏面に接着する接着剤と一連一体となっている。
即ち、このタイルユニット40を製造するに際し、連結体12に接着剤を塗着しておき、この接着剤付き連結体12を整列配置されたタイル34の裏面に押し付け、余剰の接着剤を目地間隙に入り込ませ、そのまま硬化させて接着剤硬化物41を形成する。
この接着剤硬化物41が目地間隙に存在することにより、タイルユニット40は目地間隙を狭めるように変形することが抑制され、タイルユニット40が張り付け施工し易いものとなる。
この第14図のタイルユニット40のタイル34は、縦断面が方形であり、裏面の上下の角縁が直角となっているが、第15図のタイルユニット40Aのタイル34Aのように、裏面の上下の角縁を面落し状の斜面としてもよい。このタイル34Aを用いてタイルユニット40Aを製造する場合、連結体12に塗着されていた接着剤が目地間隙に入り込み易くなる。第15図のタイルユニット40Aのその他の構成はタイルユニット40と同一である。
第14図及び第15図のタイルユニット40,40Aにあっては、接着剤硬化物41の最前面の位置が、連結体12より目地深さdの10〜40%特に10〜30%程度であることが望ましい。
第16図(a)はさらに別の実施の形態に係るタイルユニット50の縦断面図であり、第16図(b)はこれに用いられているタイル53の斜視図である。
このタイルユニット50は、タイル51〜58を連結体12で連結したものであり、目地間隙に接着剤硬化物60が介在している。最上段のタイル51は上下両端面が平坦面である。2段目以降のタイル52,53,54,55,56,57,58は、上側の端面に各々凸部52a,53a,54a,55a,56a,57a又は58aが設けられており、下側の端面は平坦面となっている。この凸部は第16図(b)の通り凸条よりなるものであるが、第16図(c)のタイル53Aのように突起53cであってもよい。
この実施の形態では、タイル51〜58の後面の上下の角縁は面落し状の斜面53bとなっている。
このタイルユニット50を製造するには、タイルユニット40と同様に、連結体12に接着剤を塗着しておき、裏面が面一となるように整列配置されたタイル51〜58の該裏面に連結体12を押し付けて接着する。この際、余剰の接着剤が目地間隙に入り込んで硬化することにより接着剤硬化物60が形成される。
この実施の形態では、目地間隙維持手段として凸部52a〜58aと接着剤硬化物60の双方を設けており、タイルユニット50は目地間隙を狭める方向にきわめて変形しにくいものとなっている。なお、凸部52a〜58aの好ましい高さや位置、接着剤硬化物の好ましい量は上記説明の通りである。
このタイルユニット50は、上下に隣接するタイル51〜58の面が出入りしており、凹凸感に富んだタイル張り壁面を構築することができる。この場合、目地深さdは厚みの小さいタイルの前面から連結体12までの距離として定義される。
上記実施の形態では、各段にタイルが1個のみ配置されている
記実施の形態はいずれも本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。例えば、連結体は第3図に示した形状に限定されない。また、合成樹脂又は紙よりなるシート状連結体のほか、ガラス繊維等の高弾性率繊維のネットを用いてもよい。
本発明では、タイルが上下方向に延在するようにタイルユニットを壁面に張ってもよい。
実施の形態に係る平部用タイルユニットの正面図である。 図1の平部用タイルユニット10の斜視図である。 図1の平部用タイルユニット10の裏側の斜視図である。 図1の平部用タイルユニット10の施工方法の説明図である。 構築されたタイル壁の立面図である。 隅用タイルユニット20の正面図である。 隅用タイルユニット20の斜視図である。 出隅における隅用タイルユニット20の係合関係を示す斜視図である。 出隅の斜視図である。 従来のタイルユニットの背後側からの斜視図である。 従来のタイルユニットの施工方法を示す断面図と、タイルユニットの変形状況の説明図である。 実施の形態に係るタイルユニット30の斜視図である。 図12のタイルユニットのタイルを示す斜視図である。 別の実施の形態に係るタイルユニット40の縦断面図である。 別の実施の形態に係るタイルユニット40Aの縦断面図である。 さらに別の実施の形態に係るタイルユニット50の構成図である。
1,10,20,30,40,40A,50 タイルユニット
2,2A,11,21,22,31,31A,34,34A,51〜58 タイル
3,12 連結体
4 壁面
5 接着剤層
32,33,52a〜58a 凸部
41,60 接着剤硬化物

Claims (16)

  1. 長方形のタイルが、長手方向を平行にして3列以上配置され、それらの裏面に貼着されたネット又はシート状の連結体によって連結されたタイルユニットにおいて、
    各列にはタイルが1個配置されており、
    該タイルの長手方向が左右方向となるように壁面に配置した状態において、少なくとも3列にあっては、各列におけるタイルの長手方向両端部の左右方向位置が異なっており、
    上下に隣接するタイルにあっては、長手方向両端部の左右方向位置が異なっており、
    該タイルユニットは上下及び左右が逆となるように180°回転させても各タイルの長手方向両端部の位置が同一となる点対称形状であることを特徴とするタイルユニット。
  2. 請求項1において、タイル同士の目地間隙を維持するための目地間隙維持手段を備えたことを特徴とするタイルユニット。
  3. 長方形のタイルが、長手方向を平行にして3列以上配置され、それらの裏面に貼着されたネット又はシート状の連結体によって連結されたタイルユニットにおいて、
    該タイルが長手方向を平行にして偶数列配置されており、
    各列にはタイルが1個配置されており、
    該タイルの長手方向が左右方向となるように壁面に配置した状態において、少なくとも3列にあっては、各列におけるタイルの長手方向一端部の左右方向位置が異なっており、
    各列におけるタイルの長手方向他端部の左右方向位置は上下に隣接するタイル同士で異なり、且つタイル1つおきに同一であることを特徴とするタイルユニット。
  4. 請求項3において、各列のタイルの前記長手方向他端部の左右方向位置が、請求項1又は2に記載のタイルユニットにおける各列のタイルの長手方向一端側の左右方向位置と合致しており、
    該タイルユニットを上下及び左右が逆となるように180°回転させた状態にあっては、各列のタイルの前記長手方向他端部の左右方向位置が、請求項1又は2に記載のタイルユニットにおける各列のタイルの長手方向他端側の左右方向位置と合致していることを特徴とするタイルユニット。
  5. 請求項3又は4において、複数個の第1タイルと、該第1タイルとは長手方向の長さが異なる複数個の第2タイルとが、長手方向を平行にして配置されており、
    該第1タイルは、少なくとも1つの奇数列及び少なくとも1つの偶数列に配置されており、
    該第2タイルも、少なくとも1つの奇数列及び少なくとも1つの偶数列に配置されていることを特徴とするタイルユニット。
  6. 請求項3ないし5のいずれか1項において、タイル同士の目地間隙を保つための目地間隙維持手段を備えたことを特徴とするタイルユニット。
  7. 請求項又はにおいて、該目地間隙維持手段は、タイルの目地に臨む側面に設けられた凸部であることを特徴とするタイルユニット。
  8. 請求項において、該凸部はタイルの該側面の厚さ方向の中間付近に設けられていることを特徴とするタイルユニット。
  9. 請求項又はにおいて、該目地間隙維持手段は、該目地間隙に介在する接着剤硬化物であることを特徴とするタイルユニット。
  10. 請求項において、前記連結体とタイル裏面とが接着剤によって接着されており、この接着剤と前記接着剤硬化物とが一連一体となっていることを特徴とするタイルユニット。
  11. 請求項10において、該目地間隙に介在する前記接着剤硬化物は、前記連結体からタイル厚みの10〜40%の範囲まで存在することを特徴とするタイルユニット。
  12. 請求項10又は11において、該タイルの裏側の角縁部が面落し状の斜面となっていることを特徴とするタイルユニット。
  13. 請求項1ないし12のいずれか1項において、少なくとも一部の隣接タイルの厚さが異なることを特徴とするタイルユニット。
  14. 請求項ないしのいずれか1項に記載のタイルユニット(以下、隅用タイルユニットという。)をタイル長手方向が水平方向となるように壁の出隅又は入隅を挟んだ両壁面にそれぞれ張り付けタイル壁の施工方法であって、
    該隅用タイルユニットの前記長手方向他端部が左側を指向する状態を第1状態とし、該第1状態の該隅用タイルユニットを左右逆となるように180°回転させ、該隅用タイルユニットの前記長手方向他端部が右側を指向する状態を第2状態とすると、
    該第1状態の隅用タイルユニットを該隅を挟んだ左側の壁面に張り付け、該第2状態の隅用タイルユニットを該隅を挟んだ右側の壁面に張り付け、
    該第1状態の隅用タイルユニットの該隅側におけるタイル同士の間に対し該第2状態の隅用タイルユニットの該隅側におけるタイルの端部入り込ませて双方の隅用タイルユニットを係合させることを特徴とするタイル壁の施工方法
  15. 請求項14において、該隅用タイルユニットに水平方向に隣接して請求項1又は2に記載のタイルユニット(以下、平部用タイルユニットという。)をそのタイル長手方向が水平方向となるように壁面に張り付けるタイル壁の施工方法であって、
    該隅用タイルユニットの隅と反対側におけるタイル同士の間に、該平部用タイルユニットの隅近傍側のタイルの端部を係合させるようにして、該隅用タイルと平部用タイルとを係合させることを特徴とするタイル壁の施工方法
  16. 請求項15において、隅用タイルユニットと平部用タイルユニットとは、タイルの上下方向の数が同一であることを特徴とするタイル壁の施工方法
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