JP5301744B1 - 工作機械用チャック機構、爪材及び旋盤 - Google Patents

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Abstract

【課題】高精度でワークの芯出しができ、且つ、芯出しの再現性を高める。
【解決手段】第1の方向に延在する複数のマスター側セレーション55及び第1の方向と異なる第2の方向に延在するレール21が取り付けられたマスター側セレーション面52を有するマスタージョー50と、マスター側セレーション面52に、工作物を把持する複数のソフトジョー60を備え、ソフトジョー60に、マスター側セレーション55に嵌合するソフト側セレーション65を設けると共に、第2の方向に延在してレール21が嵌合するレール溝31を設ける。第2の方向においてセレーション成形時の誤差の累積の影響を受けず、さらに、レール21とレール溝31の嵌合において第1の方向の位置決めを確実に行うことができ、高精度でワークの芯出しを行うことができ、安価にして取付の再現性を向上することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、工作物を把持して工作機械に固定する為の工作機械用チャック機構、爪材、及び、チャック機構を有する旋盤に関する。
一般に、工作物(ワーク)を切削加工する旋盤などの工作機械は、ステージと、ステージ上に工作物を固定するチャック機構と、ステージを高速回転させるスピンドルとを主に備えている。たとえば、円柱形状の工作物の外周面を切削加工する場合には、工作物の外周面をチャック機構により把持して、ステージに固定する。
例えば、特許文献1の工作機械用チャックには、円筒状のチャック本体と、チャック本体に、その円周方向に120度間隔で設けられ、且つ、チャック本体の径方向に沿ってスライド移動可能に取り付けられた3つのマスタージョーと、各マスタージョーに固定されてワークを把持するトップジョーとを有する工作機械用チャックが開示されている。
前記トップジョーは、それぞれ、マスタージョーにボルトで国定されており、エア等の圧力により、マスタージョーと共にチャック本体の径方向に沿ってスライド移動しうる。マスタージョーに固定されたトップジョーを径方向中心側に向かって移動させて、トップジョーの中心端面をワークの外周面に当接させることにより、ワークを把持している。
このとき、トップジョーの中心側端面は、ワーク外周面を中心側に向かって押圧しているので、その反力としてトップジョーの中心側端面には、径方向外側に向かう非常に大きな力が働くことになる。この反力は、マスタージョーに固定されているトップジョーを、径方向外側に向かって押す力として作用するので、マスタージョーとトップジョーとが堅く固定されていない場合等には、反力に負けてトップジョーが径方向外側にずれてしまう虞がある。
そこで、トップジョーが径方向外側に向かってずれることを防ぐために、マスタージョーとトップジョーとの、互いに当接する面にはそれぞれ、複数の鋸刃状の突起(セレーション)が形成されており、各鋸刃状の突起はチャック本体の周方向に延在している。これらのセレーションが互いに骸合した状態で、トップジョーとマスタージョーとが固定されるので、トップジョーは、セレーションの延在する方向(周方向)と直行する方向である径方向にずれる虞がない。
特開2000−288809号公報 実開昭59−93804号公報 実開平5−16017号公報 特開2009−12155号公報
ワークを精度よく加工する為には、スピンドルの回転中心とワークの中心とを十分な精度で位置合わせすること、即ち、十分高い精度でワークを芯出しすることが必要である。ここで、ワークを加工している途中に、ワークを工作機械用チャックから取り外すことがありうる。その際、トップジョーをマスタージョーから取り外してしまうと、再度同じトップジョーおよびマスタージョーを用いて、同じワークを把持する場合であっても、ワークの中心がスピンドルの回転中心からずれてしまうという問題があった。
ここで、トップジョーはマスタージョーにボルトで固定されているが、例えば、M16の
ボルトを用いる場合に、ボルトの外形は−20μmの公差で製作し、ボルト穴の内径は+20μmの公差で形成することが規格で定められている。そのため、トップジョーをマスタージョーにボルトで固定する際に、これらの公差の範囲内で位置ずれする可能性があるからである。もっとも、前述のように、トップジョーとマスタージョーの当接面にはそれぞれ、周方向に延在するセレーションが形成されており、これらが互いに嵌合しているので、トップジョーが半径方向にずれる虞はないが、周方向について、前述のボルトとボルト穴の公差の範囲内でずれてしまうという問題があった。
また、特許文献2に記載の旋盤用チャックにおける生爪は、一方向に延びる表面突条が形成された旋盤用チャックの生爪取付部と、この表面突条に嵌合する溝が形成された生爪を含んでいる。ここで、生爪に形成された溝は複数の方向に延在する溝を含んでおり、これらの複数の方向のうち、いずれかの方向に沿って生爪を固定することができる。つまり、生爪を回転させつつ生爪取付部に固定できるので、生爪がワークを把持する端面を多数形成することができる。このような旋盤用チャックにおいても、同様に、生爪を取り付ける際に、生爪取付部の表面突条の延在する方向に、前述の公差の範囲内でずれてしまうという問題がある。
このような問題を避けるために、一度ワーク等を取り外した後、再度ワークを取り付ける際の、ワークの芯出しの再現性が高いチャックとして、特許文献3の歯面チャッキング爪には、前述の工作機械用チャックにおけるトップジョーに代えて、親爪及び子爪を備えるチャックが開示されている。ここで、親爪は略扇形の形状であって、マスタージョーにボルトで固定される。親爪の半径方向の両側面には、それぞれ子爪が取り付けられている。ここで、親爪及び子爪の、互いに当接する面にはそれぞれ、半径方向と直行する方向に延在する複数のセレーションが形成されており、これらが互いに嵌合した状態で子爪が親爪に固定される。
そして、ワークを把持する際には、親爪に子爪を取り付けた状態で、親爪がマスタージョーに固定され、マスタージョーとともに径方向中心側に向かってエア駆動される。子爪の径方向中心側の面がワークの外周面に当接してワークを保持する。ワークを取り外す際、たとえ子爪を取り外したとしても、親爪をマスタージョーから取り外さなければ、再度ワークを芯出しする際に再現性が保たれる。なぜならば、子爪と親爪との当接面には、前述のようにセレーション加工が施されているので、子爪の径方向の位置決めの再現性は高い。さらに、親爪を取り外さない限り、子爪の位置が周方向にずれる虞はないからである。
しかしながら、上述の親子爪を採用したチャックにおいては、一旦、親爪をマスタージョーから取り外すと、ワークの芯出しの再現性がなくなるため、親爪を常時マスタージョーに取り付けておく必要がある。また、旋盤に常時親爪が取り付けられていると、他の用途で旋盤を利用できなくなるという不都合が生じる。また、親爪及び子爪が必要となるので、チャックの重量が大きくなり、加工時にスピンドルの回転数を高くすることができない。さらに、チャックの部品点数が多くなるので、チャックの取り付け調整などの段取り時間及び部品交換にかかる時間が長くなり、作業時間の短縮が図れないという点も問題となる。
一方、特許文献4に記載のチャック機構は、マスタジョー側に交差する複数のセレーションを形成しなければならない。セレーションが複数形成されるため、各セレーションの形成時の誤差が累積される。また、ソフトジョー側も、交差する複数のセレーションを形成するため、マスタージョー側と同様に、各セレーションの形成時の誤差が累積される。従って、マスタージョーとソフトジョーの嵌合が不完全になる虞がある。また、加工に費用が掛かるという問題がある。
本発明の目的は、部品点数が少ないチャック機構であって、高精度でワークの芯出しができ、且つ、芯出しの再現性が高いチャック機構、爪材、及び、そのようなチヤツク機構
を備える旋盤を提供することである。
(1)本発明は、工作物を把持するチャック機構であって、所定の回転軸を中心に回転可能であるステージと、前記ステージに設けられた複数のマスタージョーであって、前記ステージの前記回転軸に向う方向に沿って移動可能であって且つ、第1の方向に延在する複数のマスター側セレーション及び第1の方向と異なる第2の方向に延在するレールが取り付けられたマスター側セレーション面を有するマスタージョーと、前記マスタージョーの前記マスター側セレーション面にそれぞれ固定されて、前記工作物を把持する複数のソフトジョーであって、前記マスター側セレーション面と対向して配備され、且つ、前記第1の方向に延在して、前記マスター側セレーションに嵌合するソフト側セレーション、及び、前記第2の方向に延在して、前記レールが嵌合するレール溝が形成されたソフト側セレーション面を有するソフトジョーと、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、マスタージョー側セレーション面には、異なる2つの方向にマスター側セレーションとレールが配置されており、ソフト側セレーション面には、異なる前記2つの方向に延在し、前記マスター側セレーションとレールとそれぞれ嵌合するソフト側セレーションとレール溝が形成されているので、マスタージョーのセレーション面と、ソフトジョーのセレーション面とを対向させて、マスタージョーにソフトジョーを固定した場合に、ソフトジョーがマスタージョーのセレーション面の面方向にずれる虞がない。その為、マスタージョーにソフトジョーを取り付ける際の、取付の精度を高くすることができるとともに、取付の再現性も高くなる。
また、交差する複数のセレーションを形成する必要がなく、安価に製造できると共に、第2の方向においてセレーション成形時の誤差の累積の影響を受けず、さらに、レールとレール溝の嵌合において第1の方向の位置決めを確実に行うことができ、高精度でワークの芯出しを行うことができ、安価にして取付の再現性を向上することができる。
(2)また、本発明は、前記第1の方向と第2の方向が、互いに直交する方向であることを特徴とする。
上記構成によれば、マスター側セレーションとレール、及び、ソフト側セレーションとレール溝が互いに直交する方向に延在しているので、これら直交する2つの方向について、ソフトジョーのずれが抑制される。そのため、ソフトジョーがマスタージョーのセレーション面の面方向(セレーション面内の任意の方向)にずれる虞がなく、ソフトジョーの取付の再現性が向上する。
(3)また、本発明は、前記第1の方向が前記ソフトジョーの幅方向(ステージの周方向)であり、前記第2の方向が前記ソフトジョー長さ方向(ステージの半径方向)である。
上記構成によれば、マスター側セレーションとソフト側セレーションがマスタージョーの幅方向に形成され、レールとレール溝がマスタージョーの長さ方向に形成されているので、マスタージョーが、前記ステージの前記回転軸に向う方向とこれに交差する方向のずれが確実に防止される。
(4)また、本発明は、前記レールより前記レール溝が長く、複数の前記レールが前記第2の方向に並んで設けられている。
上記構成によれば、レール溝にレールを係合することにより、第1の方向に位置合わせすることができ、この状態で第2の方向において個々のセレーションの寸法単位で位置決することができる。さらに、複数のレールがレール溝に嵌合することにより、マスタージョーに対するソフトジョーの第1の方向に対する位置決めが正確になされる。
また、レール及びレール溝の断面は、セレーションの断面より大きく、マスタージョーにソフトジョーを取付ける際、レール溝にレールの先端側が入った後、セレーション同士が嵌合するから、マスタージョーに対してソフトジョーを第2の方向に位置合わせしながら近付けて、セレーション同士を嵌合しようとすると、レールがレール溝に嵌合する際、第1の方向位置合わせがなされるため、主として第2の方向のみを注意しながらソフトジョーをマスタージョーの正しい位置に取り付けることができ、その作業を簡便に行うことができる。
(5)また、本発明は、前記レールの断面は前記マスター側セレーションの断面より大きく、前記レール溝の断面は前記ソフト側セレーションの断面より大きく、前記レール及び前記レール溝は断面が略三角形であり、前記レールの先端が面取りされている。
上記構成によれば、大きな断面のレールとレール溝との嵌合により取付強度に優れた位置あわせを行うことができる。また、断面が略三角形のレール溝に、先鋭なレールがスムーズに嵌合する。この際、レールの先端が面取りされているので、ソフトジョーのレール溝と嵌合する際に、先端がソフトジョーのレール溝の谷間に当接する虞がなく、レールの斜面とレール溝の斜面とを確実に面接触させることができ、ソフトジョーの取り付けの再現性を向上させることができる。
(6)また、本発明は、前記マスタージョーと前記ソフトジョーとを連結する連結部材を有し、前記各マスタージョーには、前記連結部材を挿入連結する溝が形成され、この溝に連結した前記連結部材と前記ソフトジョーとを螺着手段により連結し、この螺着手段を挟んだ両側に前記レールが配置されている。
上記構成によれば、寸法公差が発生する虞がある螺着手段を挟むようにしてレール及びレール溝を配置することにより、確実な位置決めができると共に、螺着手段を外した後の再度の取り付けでも、再現性の高いものになる。
(7)また、本発明は、前記ステージは、略円形の固定ステージと、前記固定ステージの径方向に移動可能に設けられ、且つ、前記マスタージョーが挿入される溝が形成された複数の可動ステージを有し、前記複数のマスタージョーは、それぞれ、前記複数の可動ステージの前記溝の内側に固定されている。
上記構成によれば、マスタージョーは、可動ステージに固定されているので、マスタージョーも可動ステージとともに固定ステージの径方向に移動することができる。
(8)また、本発明は、前記マスタージョーと前記ソフトジョーとをそれぞれ連結する連結部材を有し、前記各マスタージョーには、前記連結部材を挿入する溝が形成されている。
上記構成によれば、チャック機構が、マスタージョーとソフトジョーとを連結する連結部材を有しているので、ソフトジョーをマスタージョーに確実に連結できる。また、マスタージョーに連結部材を挿入する溝が形成されているので、連結部材の位置決めが容易となり、ソフトジョーをマスタージョーに固定する際の手間が軽減される。
(9)また、本発明は、前記マスタージョーは、本体と、この本体の先端側と基端側に設けられ該本体より幅広な先端,基端幅広部とを有し、 前記可動ステージには、前記マスタージョーに対応して、前記溝に前記本体を挿入する本体溝部と、前記先端,基端幅広部を挿入する先端,基端幅広溝部が設けられている。
上記構成によれば、溝の幅広溝部に連結部材の幅広部を挿入することにより、溝の深さ方向に連結部材が抜け出る虞がない。
(10)また、本発明は、前記各ソフトジョーの前記ソフト側セレーション面には、前記連結部材の本体の先端と嵌合する嵌合溝が形成されている。
上記構成によれば、連結部材の脚部がソフトジョーに当接することが防止され、確実にソフトジョーとマスタージョーとを連結できる。
(11)また、本発明は、前記連結部材は、前記溝の深さ方向の長さ、前記溝の深さよりも短く、前記連結部材を前記溝に挿入したとき、前記連結部材の頂面が、前記マスタージョーの前記マスター側セレーション面よりも低く形成されている
上記構成によれば、連結部材の、溝の深さ方向の長さは、溝の深さよりも短い。つまり、連結部材をマスタージョーの溝に挿入したとき、連結部材の頂面を、マスタージョーのセレーション面よりも低くすることができる。そのため、ソフトジョーの、連結部材と対向する部分に、連結部材との当接を防ぐための溝等を形成する必要がなく、ソフトジョーの構造を簡略化できる。連結部材の溝の深さ方向の長さが溝の深さよりも短い場合であっても、上述のように、ソフトジョーがマスタージョーのセレーション面の面方向にずれる虞がない。
(12)また、本発明は、請求項1〜11のいずれか1項に記載の工作機械用チャック機構を備える。
上記構成によれば、本発明のチャック機構を備える旋盤が提供される。本発明の旋盤によれば、本発明のチャック工作物に応じて、ソフトジョーを交換した場合に、容易且つ迅速にワークの芯出しを行うことができる。
(13)また、本発明は、工作物を把持する工作機械用チャック機構に用いる爪材であって、第1の方向に延在する複数のマスター側セレーション形成され、及び第1の方向と異なる第2の方向に延在するレールが配置されたマスター側セレーション面を有するマスタージョーと、前記マスタージョーの前記マスター側セレーション面にそれぞれ固定されて、前記工作物を把持するソフトジョーであって、前記マスター側セレーション面と対向して配置され、且つ、前記第1の方向に延在して、前記マスター側セレーションに嵌合するソフト側セレーション、及び、第1の方向に延在してレールに嵌合するレール溝が形成されたソフト側セレーション面を有するソフトジョーと、を備える。
上記構成によれば、マスタージョー側セレーション面には、異なる2つの方向にマスター側セレーションとレールが配置されており、ソフト側セレーション面には、異なる前記2つの方向に延在し、前記マスター側セレーションとレールとそれぞれ嵌合するソフト側セレーションとレール溝が形成されているので、マスタージョーのセレーション面と、ソフトジョーのセレーション面とを対向させて、マスタージョーにソフトジョーを固定した場合に、ソフトジョーがマスタージョーのセレーション面の面方向にずれる虞がない。その為、マスタージョーにソフトジョーを取り付ける際の、取付の精度を高くすることができるとともに、取付の再現性も非常に高くなる。
(14)また、本発明は、前記第1の方向と前記第2の方向が、互いに直交する方向である。
上記構成によれば、マスター側セレーションとレール、及び、ソフト側セレーションとレール溝が互いに直交する方向に延在しているので、これら直交する2つの方向について、ソフトジョーのずれが抑制される。そのため、ソフトジョーがマスタージョーのセレーション面の面方向(セレーション面内の任意の方向)にずれる虞がなく、ソフトジョーの取付の再現性が向上する。
(15)また、本発明は、前記マスタージョーと前記ソフトジョーとをそれぞれ連結する連結部材を有し、前記マスタージョーには、前記連結部材を挿入する溝が形成されており、前記連結部材は、前記溝の深さ方向の長さ、前記溝深さよりも短く、前記連結部材を前記溝に挿入したとき、前記連結部材の頂面が、前記マスタージョーの前記マスター側セレーション面よりも低く形成されている
上記構成によれば、連結部材の脚部がソフトジョーに当接することが防止され、確実にソフトジョーとマスタージョーとを連結できる。
本発明のチャック機構に係るマスタージョーとソフトジョーとを利用することにより、安価にして取付の再現性が向上し、また、部品点数の少ないチャック機構が実現できるので、チャック機構を軽量化することができ、ワークを加工する際のスピンドルの回転数を高くすることができる。
本発明の実施例1に係る旋盤の概略図である。 同上、チャック機構の概略図である。 同上、チャック機構のソフトジョー、マスタージョー及び固定部材の概略図である。 同上、ソフトジョーの平面図である。 同上、ソフトジョーの側面図である。 同上、一部を断面にしたソフトジョーの正面図である。 同上、マスタージョーの正面図である。 同上、マスタージョーの平面図である。 同上、マスタージョーの側面図である。 同上、ソフトジョーとマスタージョーとの嵌合を示す概略図である。 同上、図11(A)は、円筒形状のワークの平面図であり、図11(B)はワークの断面図である。 同上、チャック機構でワークを把持した状態を表す概略図である。 同上、断面図である。 本発明の実施例1に係る断面図である。
以下、本発明の実施例を説明する。
以下、本発明の実施例1を図1〜図13に基づいて説明する。図1に示した旋盤100は、加工される工作物(ワーク)を把持するためのチャック機構1と、チャック機構1を回転駆動するためのモータ(駆動源)101と、モータ101の回転軸と連動して、モータ101により生じた回転の動力をチャック機構1に伝達するシャフト(スピンドル)102と、モータ101の動作を制御するための制御部103とを備える。この制御部103からの指令に基づいて、モータ10の回転方向及び回転速度等が調整される。
図1及び図2に示すように、チャック機構1は、シャフト102に対して回転可能に設けられた略円筒型のステージ12と、ステージ12の周方向に沿って、約120度間隔で取り付けられた3つのマスタージョー50と、それぞれのマスタージョー50に固定された3つのソフトジョー(生爪)60と、ソフトジョー60をマスタージョー50に固定する固定部材(連結部材)70とを有している。
前記ステージ12は、略円筒形状の固定ステージ13と、固定ステージに設けられた複数の(3つ)の可動ステージ14とを備える。前記固定ステージ13の中心軸Xは、シャフト102の延在する方向と一致しており、固定ステージ13は、シャフト102に同軸に且つ回転可能に固定されている。すなわち、ステージ12の中心軸Xと、シャフト102及び固定ステージ13の回転軸とは同軸上に存在している。固定ステージ13のシャフト102と反対側の端面13Aには、3つの可動ステージ14が、固定ステージ13の半径方向に移動(摺動)可能に設けられている。各可動ステージ14は、中心角が約120°の略アーチ型の形状、即ち、中心部がくり貫かれたドーナツ型の円盤を、ほぼ3等分して得られる扇形状であり、固定ステージ13の中心軸Xを中心とする円周状に、ほぼ等間隔に設けられている。これらの可動ステージ14は、駆動機構(図示せず)によって、固定ステージ13の半径方向に沿って駆動される。各可動ステージ14の固定ステージ13と反対側の端面14Aは、平坦な面に形成されている。なお、可動ステージ14は、固定ステージ13に対して高精度に位置決めすることが可能である。例えば、所定の半径位置にあった可動ステージ14を、半径方向外側に向かって移動させた後、再び、半径方向中心側に向かって移動させて、前記所定位置に戻した際の位置のずれを、10μm以下に抑えることができる。
各可動ステージ14の端面14Aには、マスタージョー50を取り付けるための溝15が設けられている。この溝15は、本体溝部15Hを構成する先端溝部15S及び基端溝部15Kを有し、その先端溝部15Sが基端溝部15Kより僅かに幅狭に形成され、前記先端溝部15Sと基端溝部15Kとの間に先端幅広溝部16Sを設け、基端溝部15Kの基端に基端幅広溝部16Kを設け、これら先端幅広溝部16S及び基端幅広溝部16Kは、前記先端溝部15S及び基端溝部15Kより幅広に形成されている。それによって、溝15の断面形状は略土字形状になっている。なお、図示されていないが、溝15の底面部15Tには、マスタージョー50をボルトで固定するためのネジ穴(図示せず)が形成されている。
マスタージョー50は、一方向(長さ方向)に延在する金属部材であって、その断面形状は略T字型である。つまり、マスタージョー50は、前記溝15に対応して、本体51と、この本体51の先端側と基端側に設けた先端幅広部53S及び基端幅広部53Kとを有し、これら幅広部53S,53Kは前記本体51より幅広に形成されている。また、前記溝15に対応して、前記本体51は先端側が基端側に比べて幅広に形成されている。そして、マスタージョー50は、溝15の先端幅広溝部16S及び基端幅広溝部16Kに、その先端幅広部53S及び基端幅広部53Kを嵌合した状態で、溝15に挿入される。従って、溝15の延在方向(ステージ12の半径方向)に沿って溝15に挿入されたマスタージョー50を、溝15の深さ方向に、つまり、可動ステージ14の端面14に垂直に抜き出すことはできない。本体51にはボルト穴(図示せず)が形成されており、前述の溝15の底面部15Tに形成されたネジ穴と対応させた状態で、マスタージョー50が、可動ステージ14の溝15にボルトで固定される。
マスタージョー50の本体51の、基端側拡大部53Kと反対側の表面(頂面、セレーション面、マスター側セレーション面)52には、第1の方向のセレーション55が第2の方向に並んで複数形成されていると共に、第2の方向にレール21が設けられている。尚、レール21は、マスタージョー50及びソフトジョー60より硬質で且つ耐摩耗性に優れた金属材料からなる。また、本体5には、その長さ方向に延在する溝57が形成されている。溝57は、その深さ方向において、幅が異なる2つの空間(底部57A及び上部57B)よりなる。底部57Aの幅は上部57Bの幅よりも大きく、それによって、溝57の断面形状は略T字形状になっている。そして、溝57により前記表面52は該溝57を左右で挟む一側及び他側表面52A,52Aに分割されている。尚、一側及び他側表面52A,52Aの一方のみにセレーション55を設けてもよい。
図3に示すように、本体51の溝57には、固定部材70が挿入されている。固定部材70は、一方向(長さ方向)に延在する金属部材であって、その断面形状は略T字型である。つまり、固定部材70は、板状の頭部71と、頭部71から、その面方向に直交する方向(厚さ方向)に延び、且つ、頭部71よりも幅の狭い脚部72とを有している。固定部材70は、頭部71及び脚部72がそれぞれマスタージョー50の本体51に形成された溝57の底部57A及び上部57Bと嵌合状態又は遊挿状態で、溝57の長さ方向に沿って、溝57に挿入される。マスタージョー50を可動ステージ14の溝15に挿入した場合と同様に、固定部材70の頭部71の幅は溝57の上部57Bの幅よりも大きいので、溝57に挿入された固定部材70が溝57の深さ方向に抜け出る虞はない。固定部材70を溝57に挿入したとき、脚部72の頂面72Aは、マスタージョー50のセレーション面52よりも突出している。また、固定部材70の脚部72には、ソフトジョー60をボルト61で固定するためのネジ穴72Bが形成されている。
ソフトジョー60は、一方向(長さ方向:第2の方向)に長い略直方体の金属部材(例えば、S45C鋼のような炭素鋼鋼材等)であって、固定部材70にボルト61で固定するためのボルト穴60Aが複数形成されている。この場合、2つのボルト穴60Aはソフトジョー60の長さ方向(第2の方向)に間隔をおいて配置されている。また、ボルト穴60Aは、ボルト61の頭部を挿入する径大部60Bと、ボルト61の螺子部を挿通する径小部60Cとを備える。図4及び図5に示すように、ソフトジョー60の、マスタージョー50のセレーション面52と当接する面(頂面、セレーション面、ソフト側セレーション面)62には、第1の方向のセレーション65及び第2の方向のレール溝31が形成されている。さらに、ソフトジョー60のセレーション面62には、長さ方向に延在する嵌合溝たる溝67が形成されている。溝67の幅はマスタージョー50の溝57の上部57Bの幅とほぼ同じであり、前記脚部72が嵌合又は遊挿される。溝67は、後述するように固定部材70を用いてソフトジョー60をマスタージョー50に固定する際に、固定部材70の脚部72がソフトジョー60に当接することを防いでいる。そして、溝67により前記表面62は該溝67を左右で挟む一側及び他側表面62A,62Aに分割されている。
図9に示すように、前記セレーション65は、第1の方向であるソフトジョー60の幅方向に長く、且つ、セレーション面62Aに垂直な方向に向かって突出する複数の筋状の鋸歯65Aを有し、これらの鋸歯65Aは、所定のピッチP(1.5mm)でソフトジョー60の長さ方向に並んでいる。各鋸歯65Aの断面形状は略正三角形であって、各鋸歯65Aは、面取り加工が施された先端部65B(セレーション面62Aに垂直な方向の先端)と、先端部65Bから傾斜する2つの斜面65Cとを有する。
図4に示すように、マスタージョー50のセレーション面52に形成されたセレーション55は、第1の方向である幅方向に長く、且つ、セレーション面62Aに垂直な方向に向かって突出する複数の筋状の鋸歯55Aを有し、この鋸歯55Aはマスタージョーの幅方向に形成され、それらの鋸歯55Aは、前記鋸歯55Aと同一な所定のピッチP(1.5mm)で長さ方向に並んでいる。各鋸歯55Aの断面形状は略正三角形であって、各鋸歯55Aは、面取り加工が施された先端部55B(セレーション面52に垂直な方向の先端)と、先端部55Bから傾斜する2つの斜面55Cとを有する。このような、所定の方向に延在し、且つ、所定のピッチで並ぶ複数の鋸歯55A,65Aは、例えばセレーションカッターを用いて、セレーション加工を施すことにより形成することができる。また、鋸歯55A,65Aの角度は55度〜65度、この例では60度である。さらに、セレーション55,65には、幅方向両端部において、面取り部55M,65Mが形成されている。
また、前記レール21は、前記ボルト穴60A,60Aを挟んだ左右に設けられ、即ち第1の方向において、レール21、ボルト穴60A、レール21が並んで設けられ、また、第2の方向において、レール21,21同士が同一直線上に位置する。そして、レール21は、前記表面52に形成された装着溝22と、この装着溝22に装着したレール本体23とを備える。また、レール21は一側及び他側表面52A,52Aの幅方向中央にそれぞれ位置する。さらに、レール本体23の先端側の断面形状は略正三角形であって、面取り加工が施された先端部23A(セレーション面52に垂直な方向の先端)と、先端部23Aから傾斜する2つの斜面23Bとを有する。また、先端部23Aの角度は55度〜65度、この例では60度である。尚、レール21を一側及び他側表面52A,52Aの一方のみに設けてもよい。
また、前記レール溝31は、前記レール21に対応して、表面52のセレーション65を施した部分の全長に設けられ、第1の方向に連続して形成されている。また、レール1は一側及び他側表面62A,62Aの略幅方向中央にそれぞれ位置する。尚、レール溝31の角度はレール21と同一である。さらに、レール溝31の断面形状は略正三角形であり、両側に斜面31A,31Aを有する。また、前記表面52の第1の方向一側(取付状態における半径方向の中央側)には、段差面32を形成し、セレーションが設けられておらず、また、表面52の第2の方向両側には、面取り部33,33Aを設け、この面取り部33Aはセレーション65を設けた表面52と段差面32との間に形成されている。また、前記レール溝31は、セレーション65を設けた表面52の全長に形成され、段差面32には形成されていない。
次に、マスタージョー50のセレーション面52と、ソフトジョー60のセレーション面62とを当接させる場合について説明する。図10に示すように、マスタージョー50とソフトジョー60との長さ方向を一致させた状態で、マスタージョー50のセレーション面52と、ソフトジョー60のセレーション面62とを当接させると、まず、レール溝31にレール21が係入し、次に、セレーション55とセレーション65とが互いに嵌合する。具体的には、鋸歯55Aの斜面55Cと、セレーション65の鋸歯65Aの斜面65Cとが当接する。ここで、鋸歯55Aの先端部55Bと、鋸歯65Aの先端部65Bには、それぞれ面取り加工が施されている。そのため、これらの先端部55B、65Bが対向するセレーション面62、52に当接することはなく、鋸歯55Aの斜面55Cと、鋸歯65Aの斜面65Cとが面接触することができる。
ここで、マスタージョー50のセレーション面52に形成されている鋸歯55Aの並ぶピッチは、鋸歯65Aの並ぶピッチと同一である。さらに、鋸歯55Aは、鋸歯65Aの延在する方向に対応して、マスタージョー50の長さ方向に並んでいる。そのため、マスタージョー50のセレーション面52に形成された鋸歯55Aは、ソフトジョー60のセレーション面62の鋸歯65Aと嵌合する。また、レール21はレール溝31に嵌合する。そのため、ソフトジョー60を、長さ方向について180度反転させて使用することも可能である。
次に、上述のチャック機構1を備える旋盤100を用いて、円筒型のワーク80の内筒面80を加工する手順について、以下に説明する。図12に示すように、ワーク80は内筒面80及び外筒面80Bを有する略円筒形状の金属部材である。
まず、可動ステージ14にチャック機構1を取り付ける。具体的には、まず、3つの可動ステージ14を駆動して、例えば、最も中心寄りの位置などの所定の半径位置に位置付ける。次に、図2に示されるように、可動ステージ14に形成された溝15に、マスタージョー50を挿入して、ボルトで固定する。次に、マスタージョー50の本体5に形成された溝57に、固定部材70を挿入する。さらに、マスタージョー50のセレーション面52と、ソフトジョー60のセレーション面62とを対向させて、ソフトジョー60のボルト穴60Aにボルト61を挿入して、固定部材70に固定する。すなわち、ソフトジョー60と固定部材70とをボルト61で締めして、固定部材70の頭部71とソフトジョー60のセレーション面62Aとの間に、マスタージョー50の本体51を挟んだ状態で締め付ける。これにより、ソフトジョー60がマスタージョー50に対して固定される。
このとき、各可動ステージ14に取り付けられるソフトジョー60の、可動ステージ14の半径方向(以下、単に半径方向と呼ぶ)中心側の端面60Tと、可動ステージ14の中心Oとの距離がそれぞれ、ワーク80の外径よりも小さくなるように配置し、上述したようにソフトジョー60をマスタージョー50に固定する。
次に、旋盤100を駆動して固定ステージ13(可動ステージ14)を回転させ、ソフトジョー60の先端を切削加工して、ソフトジョー60の端面60Bに円筒面に対応する把持面69Aを形成する。これにより、把持面69Aの曲率中心は、固定ステージ13及び可動ステージ14の中心、即ち、固定ステージの回転軸と完全に一致することになる。つまり、把持面69Aは、固定ステージ13及び可動ステージ14に対して、芯出しされる。
次に、駆動機構(図示せず)により、可動ステージ14を固定ステージ13の半径方向外側に向かって駆動する。ソフトジョー60の端面60B(把持面69A)が半径方向外側に向かって広がるので、ソフトジョー60の端面60Bの内側に、ワーク80を配置することができる。可動ステージ14の中心にワーク80を配置した後、可動ステージ14を再び半径方向内側に向かって駆動して、図12に示すように、ワーク80の外筒面80Bをソフトジョー60の把持面69Aで把持する。ここで、前述の通り、可動ステージ14を半径方向外側に駆動した後、再び半径方向内側に駆動してもとの位置に戻した場合であっても、可動ステージ14の半径方向の位置がずれることはない。つまり、可動ステージ14の駆動前後を通じて、把持面69Aの曲率中心は可動ステージ14の中心Oに対して、1ミクロン以下の精度で完全に一致している。従って、把持面69Aに把持されるワーク80の中心を、1ミクロン以下の精度で、可動ステージ14の中心Oに一致させることができる。
このようにワーク80を正確な位置に保持するには、ソフトジョー60の半径方向位置の精度を上げることが必要であり、即ち第1の方向のセレーション55,65の嵌合が重要であることが解る。
上述のようにして、ワーク80の芯出しを行った後、旋盤100を駆動して、ワーク80が固定された可動ステージ14及び固定ステージ13を回転させつつ、ワーク80の内筒面80Aを切削加工する。
ここで、前述のように、従来の旋盤のチャック機構においては、マスタージョーからソフトジョーを取り外した後、再び、ソフトジョーをマスタージョーに取り付けた場合には、ソフトジョーの把持面の曲率中心が固定ステージ等の中心からずれる虞があった。そのため、ソフトジョーをマスタージョーに取り付けるたびに、芯出しを行わなければならなかった。つまり、ソフトジョーをマスタージョーに取り付けるたびに、ソフトジョーの端面の加工をやり直して、新たに、芯出しされた把持面を形成する必要があった。そのため、ソフトジョーを交換するごとに、上述の芯出しの工程に時間と労力が費やされるという問題があった。
これに対して、本実施形態のチャック機構1は、マスタージョー50からソフトジョー60を取り外した後、再び、ソフトジョー60をマスタージョー50に取り付ける場合において、取り付けの再現性が高く、ソフトジョー60の把持面69Aの曲率中心と固定ステージ等の中心Oとがずれることはない。そのため、再度ソフトジョー60をマスタージョー50に取り付けた際に、ソフトジョーの端面の加工をやり直す必要がなく、上述の芯出しの工程を大幅に軽減することができる。
本発明に係るチャック機構1において、ソフトジョー60の取り付けの再現性を非常に高くすることができる。即ちソフトジョー60のセレーション面62の一側及び他側表面62A,62Aには、周方向に延在するセレーション65(複数の鋸歯65A)が形成され、マスタージョー50のセレーション面52に形成された鋸歯55Aと嵌合している。ここで、図10に示すように、セレーション65の各鋸歯65Aの斜面65Cと、鋸歯55Aの斜面55Cとは、互いに面接触している。そのため、ソフトジョー60がマスタージョー50に配置される際に、鋸歯65Aが延びる周方向に直交する方向(半径方向)にずれる虞がないため、この方向についての取り付け位置の再現性が非常に高くなる。
さらに、ソフトジョー60のセレーション面62の一側及び他側表面62A,62Aには、それぞれレール溝31,31が形成され、マスタージョー50のセレーション面52に形成されたレール21と嵌合している。また、レール21の先端部23Aの斜面23Bと、レール溝31の斜面31Aとは、互いに面接触しているので、ソフトジョー60がマスタージョー50に配置される際に、半径方向に直交する方向(周方向)にずれる虞がないため、この方向についての取り付け位置の再現性も非常に高くなる。
つまり、レール溝31にレール21を係合することにより、第1の方向に正確に位置合わせすることができ、この状態で第2の方向において個々のセレーション55,65の寸法単位で位置決することができる。さらに、複数のレール21がレール溝31に嵌合することにより、マスタージョー50に対するソフトジョー60の第1の方向に対する位置決めが正しくなされる。しかも、交差する複数のセレーションを形成する必要がなく、安価に製造できると共に、第2の方向においてセレーション成形時の誤差の累積の影響を受けず、さらに、レール21とレール溝31の嵌合において第1の方向の位置決めを確実に行うことができ、高精度でワークの芯出しを行うことができ、安価にして取付の再現性を向上することができる。
また、実施例上の効果として、取付状態で、レール21は、ソフトジョー60のボルト穴60Aの小径部60Cの両側に位置するから、レール21とレール溝31の嵌合によりボルト穴60Aの位置を正確な位置に設定し、マスタージョー50に対するソフトジョー60の取り付け精度を向上することができる。さらに、マスタージョー50にレール21を設けたから、ソフトジョー60を安価に製造することができる。また、ソフトジョー60の表面52の第2の方向両側には、面取り部33,33Aを設けたから、ソフトジョー60の取り扱いで、表面52両側の鋸歯55Aの損傷を防止できる。さらに、セレーション55,65には、幅方向両端部において、面取り部55M,65Mが形成されていから、鋸歯55A,65Aの両端側の損傷を防止できる。また、四箇所のレール21及びレール溝31により確実な位置決めがなされる。
図14は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、固定部材70の脚部72の長さは、マスタージョー50の溝57の深さよりも短く、固定部材70をマスタージョー50の溝57に挿入したとき、固定部材70の頂面72が、マスタージョー50のセレーション面52よりも低く形成されている。したがって、ソフトジョー60には、溝67を形成する必要がなく、表面62の幅方向全長に鋸歯65Aを形成することができる。
このように本実施例では、溝67と脚部72の嵌合がないため、レール21とレール溝31によりマスタージョー50とソフトジョー60の第2の方向(幅方向)の位置決めが正確になされる。
なお、上記実施形態等において、マスタージョー及びソフトジョーの大きさ、材料、形状及び配置などは、ワークの形状及び材質に合わせて任意に設定しうる。例えば、ワークが略円筒形あるいは円環状の形状でなく、多角柱の形状である場合であっても、ソフトジョーの形状をワークの形状に適合させることにより本発明のチャック機構として利用しうる。さらに、上記実施形態では、ワークを外側から把持する場合を例に挙げて説明してきたが、ワーク80を内側から把持する際にも、本発明のチャック機構を用いることができる。
上記実施形態において、チャック機構のマスタージョーは、固定ステージの径方向に移動可能である可動ステージ上に固定されていた。しかしながら、マスタージョーが、例えばエア、油圧などを利用した駆動機構により、固定ステージの径方向に移動可能に設けられていてもよい。また、必ずしも固定部材が必要ではなく、例えば、マスタージョーにネジ孔が形成されるなどして、ソフトジョーがマスタージョーに直接ボルト等で固定されていてもよい。
上記実施形態においては、チャック機構は工作機械としての旋盤に取り付けられていたが、本発明のチャック機構を備える工作機械は、旋盤に限られない。上記実施形態の旋盤においては、チャック機構に固定されたワークを、高速回転させながら、ワークを加工していた。それに限らず、例えば、フライス盤及びマシニングセンターのように、ワークをチャック機構に固定した状態で、高速に移動する刃部を用いてワークを加工する工作機械に本発明のチャック機構を用いることもできる。
また、上記実施例では、図4に示したように、レールを第2の方向において2つ設ける例を示したが、レールは1つでも、3つ以上でもよく、例えばチャック機構(ステージ)の直径が300mm以上のものにおいては、レールを第2の方向において、等間隔で3つ設けることが好ましい。
1 チャック機構
12 ステージ
13 固定ステージ
14 可動ステージ
15 溝(マスタージョーが挿入される溝)
15H 本体溝部
16S 先端幅広溝部
16K 基端幅広溝部
21 レール
31 レール溝
50 マスタージョー
51 本体
52 表面
53S 先端幅広部
53K 基端幅広部
55 セレーション
57 溝(連結部材を挿入連結する溝)
60 ソフトジョー(生爪)
65 セレーション
67 溝(嵌合溝)
70 固定部材(連結部材)

Claims (15)

  1. 工作物を把持するチャック機構であって、
    所定の回転軸を中心に回転可能であるステージと、
    前記ステージに設けられた複数のマスタージョーであって、前記ステージの前記回転軸に向う方向に沿って移動可能であって且つ、第1の方向に延在する複数のマスター側セレーション及び第1の方向と異なる第2の方向に延在するレールが取り付けられたマスター側セレーション面を有するマスタージョーと、
    前記マスタージョーの前記マスター側セレーション面にそれぞれ固定されて、前記工作物を把持する複数のソフトジョーであって、前記マスター側セレーション面と対向して配備され、且つ、前記第1の方向に延在して、前記マスター側セレーションに嵌合するソフト側セレーション、及び、前記第2の方向に延在して、前記レールが嵌合するレール溝が形成されたソフト側セレーション面を有するソフトジョーと、
    を備えることを特徴とする工作機械用チャック機構。
  2. 前記第1の方向と第2の方向が、互いに直交する方向であることを特徴とする請求項1記載の工作機械用チャック機構。
  3. 前記第1の方向が前記ソフトジョーの幅方向であり、前記第2の方向が前記ソフトジョーの長さ方向であることを特徴とする請求項1又は2記載の工作機械用チャック機構。
  4. 前記レールより前記レール溝が長く、複数の前記レールが前記第2の方向に並んで設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の工作機械用チャック機構。
  5. 前記レールの断面は前記マスター側セレーションより大きく、前記レール溝の断面は前記ソフト側セレーションより大きく、前記レール及び前記レール溝は断面が略三角形であり、前記レールの先端が面取りされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の工作機械用チャック機構。
  6. 前記マスタージョーと前記ソフトジョーとを連結する連結部材を有し、前記各マスタージョーには、前記連結部材を挿入連結する溝が形成され、この溝に連結した前記連結部材と前記ソフトジョーとを螺着手段により連結し、この螺着手段を挟んだ両側に前記レールが配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の工作機械用チャック機構。
  7. 前記ステージは、略円形の固定ステージと、前記固定ステージの径方向に移動可能に設けられ、且つ、前記マスタージョーが挿入される溝が形成された複数の可動ステージを有し、
    前記複数のマスタージョーは、それぞれ、前記複数の可動ステージの前記溝の内側に固定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の工作機械用チャック機構。
  8. 前記マスタージョーと前記ソフトジョーとをそれぞれ連結する連結部材を有し、前記各マスタージョーには、前記連結部材を挿入する溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の工作機械用チャック機構。
  9. 前記マスタージョーは、本体と、この本体の先端側と基端側に設けられ該本体より幅広な先端,基端幅広部とを有し、
    前記可動ステージには、前記マスタージョーに対応して、前記溝に前記本体を挿入する本体溝部と、前記先端,基端幅広部を挿入する先端,基端幅広溝部が設けられていることを特徴とする請求項7記載の工作機械用チャック機構。
  10. 前記各ソフトジョーの前記ソフト側セレーション面には、前記連結部材の本体の先端と嵌合する嵌合溝が形成されていることを特徴とする請求項記載の工作機械用チャック機構。
  11. 前記連結部材は、前記溝の深さ方向の長さ、前記溝の深さよりも短く、前記連結部材を前記溝に挿入したとき、前記連結部材の頂面が、前記マスタージョーの前記マスター側セレーション面よりも低く形成されていることを特徴とする請求項8に記載の工作機械用チャック機構。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の工作機械用チャック機構を備えることを特徴とする旋盤。
  13. 工作物を把持する工作機械用チャック機構に用いる爪材であって、
    第1の方向に延在する複数のマスター側セレーション形成され、及び第1の方向と異なる第2の方向に延在するレールが配置されたマスター側セレーション面を有するマスタージョーと、
    前記マスタージョーの前記マスター側セレーション面にそれぞれ固定されて、前記工作物を把持するソフトジョーであって、前記マスター側セレーション面と対向して配置され、且つ、前記第1の方向に延在して、前記マスター側セレーションに嵌合するソフト側セレーション、及び、第1の方向に延在してレールに嵌合するレール溝が形成されたソフト側セレーション面を有するソフトジョーと、
    を備えることを特徴とする爪材。
  14. 前記第1の方向と前記第2の方向が、互いに直交する方向であることを特徴とする請求項13記載の爪材。
  15. 前記マスタージョーと前記ソフトジョーとをそれぞれ連結する連結部材を有し、前記マスタージョーには、前記連結部材を挿入する溝が形成されており、前記連結部材は、前記溝の深さ方向の長さ、前記溝深さよりも短く、前記連結部材を前記溝に挿入したとき、前記連結部材の頂面が、前記マスタージョーの前記マスター側セレーション面よりも低く形成されていることを特徴とする請求項13記載の爪材。
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