以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す構成図である。
図1において、画像形成装置10は、本実施の形態では電子写真方式によりフルカラーの画像形成を行うレーザビームプリンタとして構成されており、画像形成部、転写部、定着部、給紙部を備えている。画像形成部は、各色(イエロー:Y、マゼンタ:M、シアン:C、ブラック:K)に対応して4個並列に配置され、スキャナユニット11Y〜11K、感光ドラム13Y〜13K、現像器14Y〜14K、コロナ帯電器15Y〜15Kから構成されている。
感光ドラム13Y〜13K(像担持体)は、転写ベルト12の駆動方向(矢印B方向)に沿って等間隔で配置されている。感光ドラム13Y〜13Kの周囲には、それぞれ、スキャナユニット11Y〜11K、現像器14Y〜14K(現像手段)、コロナ帯電器15Y〜15Kが配置されている。現像器14Y〜14Kは、それぞれ感光ドラム13Y〜13Kの外周部と対向する位置に固定状態に配置されている。現像器14Y〜14Kには、それぞれY、M、C、Kのトナーが収容されている。まず、感光ドラム13Y〜13Kに対しそれぞれY、M、C、Kのトナー画像を形成する工程を説明するが、Y、M、C、Kの画像形成方法は同じであるため、Mを例にとって説明する。
感光ドラム13Mは、表面に有機光導電体からなる光導電層を有しており、駆動機構(不図示)により矢印A方向に回転駆動される。まず、露光部9M(LEDアレイ等)により感光ドラム13M上に残っている電荷を除去する。次に、コロナ帯電器15Mにより感光ドラム13M上に一様に電荷を付与する。次に、スキャナユニット11Mから画像入力装置(不図示)で得られたデジタル画像データに従い変調したレーザビームを出力し、感光ドラム13M上の光導電層に静電潜像を形成する。その後、現像器14Mと感光ドラム13Mの間に現像バイアス電圧を印加することで感光ドラム113M上の静電潜像にトナーを付着させ、静電潜像を可視画像とする。
転写部は、転写ベルト12、転写帯電器17Y〜17K、記録紙転写ローラ24を備えている。転写ベルト12は、感光ドラム13Y〜13Kに対向配置されており、駆動機構(不図示)によりローラ21〜23を介して矢印B方向に回転駆動される。転写帯電器17Y〜17Kは、転写ベルト12を挟んでそれぞれ感光ドラム13Y〜13Kに対し対向配置されている。転写帯電器17Y〜17Kにより、感光ドラム13Y〜13K上に形成された可視画像(Y、M、C、Kのトナー画像)を1つの転写ベルト12上に静電的に吸着し重ね合わせることで1つのカラーのトナー画像を形成する。記録紙転写ローラ24は、転写ベルト12を挟んでローラ22に対向配置されている。
給紙部(不図示)は、搬送機構により記録紙25を記録紙転写ローラ24とローラ22の間のニップ部まで搬送する。記録紙転写ローラ24により、転写ベルト12上のトナー画像を記録紙25に転写する。転写後の記録紙25は、矢印C方向に定着部まで搬送される。定着部は、定着上ローラ30、定着下ローラ31を備えている。定着上ローラ30と定着下ローラ31により、記録紙上のトナー画像を熱と圧力により定着する。定着後の記録紙25は、画像形成装置外部もしくは画像形成装置内部の搬送路(不図示)へ搬送される。
次に、画像形成装置の現像器14Y〜14Kの中で現像器14Mを例にとり、現像器14Mの構成及び動作について図2〜図10を参照しながら詳細に説明する。
図2は、画像形成装置の現像器14Mの構成を示す断面図である。
図2において、現像器14Mは、現像剤返し部材41、ブレード42、現像スリーブ43、トナー濃度検知センサ47(検知手段)、シャッタ部材48、第1の撹拌搬送部51、第2の撹拌搬送部52、磁石53、現像室56、撹拌室57を備えている。現像剤返し部材41は、現像剤の供給位置から現像剤の穂を切る穂切り位置までの汲み上げられる現像剤の量を規制する。ブレード42は、現像剤の穂の高さを規制する。現像スリーブ43は、現像剤を収容する現像剤担持体である。トナー濃度検知センサ47は、2成分現像剤を構成するトナーとキャリアの比をトナー濃度として検知する。シャッタ部材48は、トナー濃度検知センサ47のセンサ面の汚れを防止する。
ブレード42は、アルミニウム(Al)等の非磁性材料から構成されており、感光ドラム13Mよりも現像スリーブ143の回転方向上流側に配置されている。ブレード42は、現像スリーブ43の表面との間の隙間を調整することで現像スリーブ43上を現像領域へ搬送される現像剤の厚さを規制する。従って、本実施の形態では、ブレード42の先端部と現像スリーブ43との間を非磁性トナーと磁性キャリアの両方が通過して現像領域へ送られる。
現像器14Mの内部は、鉛直方向に延出した隔壁46により現像室(第1室)56と撹拌室(第2室)57とに区画されている。隔壁46の上方は開放空間であり、現像室56で余分となった2成分現像剤が撹拌室57側に回収可能となっている。現像室56、撹拌室57には、非磁性トナーと磁性キャリアを含む2成分現像剤が収容されている。現像室56には、スクリュータイプの第1の撹拌搬送部51が配置され、撹拌室57には、スクリュータイプの第2の撹拌搬送部52が配置されている。
第1の撹拌搬送部51は、現像室56内の現像剤を撹拌しながら搬送する。第2の撹拌搬送部52は、制御部(不図示)の制御に基づきトナー補給槽(不図示)から第2の撹拌搬送部52の上流側に供給されるトナーと、既に撹拌室57内にある現像剤とを撹拌しながら搬送し、トナー濃度を均一化する。現像室56は、感光ドラム13Mに対向した現像領域に相当する位置に開口部が形成されている。
現像スリーブ43は、現像室56の開口部に一部が露出する状態で回転可能に配置されている。現像スリーブ43は、非磁性材料から構成されると共に、磁界を発生する磁石53が内部に固定されており、現像動作時には矢印方向に回転駆動される。磁石53は、本実施の形態では、現像磁極S1と、現像剤を搬送するための磁極N1、S2、N2、N3とを有する。
現像スリーブ43は、ブレード42により穂の高さ(層厚)が規制された2成分現像剤の層を担持して搬送し、感光ドラム13Mと対向する現像領域において感光ドラム13Mに現像剤を供給することで静電潜像を現像する。現像スリーブ43には、現像効率(静電潜像に対するトナーの付与率)を向上させるために、電源55から直流電圧と交流電圧を重畳した現像バイアス電圧が印加される。
図3は、現像器14Mのトナー搬送を行う部分の構成を示す断面図である。
図3において、現像器14Mの隔壁46の長手方向の両端部(図2では手前側と奥側の両端部)の外側には、現像室56と撹拌室57とを相互に連通させる現像剤通路が形成されている。現像によるトナー消費でトナー濃度が低下した現像室56内の現像剤は、第1の撹拌搬送部51、第2の撹拌搬送部52の搬送力により、撹拌室57内へ移動されるように構成されている。
第1の撹拌搬送部51は、現像室56内の底部に現像スリーブ43の軸線方向(現像幅方向)に沿ってほぼ平行に配置されており、回転軸の周りに羽根部材をスパイラル形状に設けたスクリュー構造を有する。第1の撹拌搬送部51は、回転することで現像室56内の現像剤を現像室56の底部にて現像スリーブ43の軸線方向に沿って一方向に搬送する。
第2の撹拌搬送部52は、撹拌室57内の底部に第1の撹拌搬送部51とほぼ平行に配置されており、回転軸の周りに羽根部材を第1の撹拌搬送部51とは逆向きにしてスパイラル形状に設けたスクリュー構造を有する。第2の撹拌搬送部52は、第1の撹拌搬送部51と同じ方向に回転することで撹拌室57内の現像剤を第1の撹拌搬送部51とは反対の方向に搬送する。第1の撹拌搬送部51及び第2の撹拌搬送部52の回転により、現像剤は現像室56と撹拌室57との間で循環される。
現像室56内の現像剤は、現像スリーブ43に内蔵されている磁石53の作用により現像スリーブ43に担持され、ブレード42により層厚が規制された状態で現像領域へ搬送される。感光ドラム13Mと現像スリーブ43の間では、現像スリーブ43の磁石53で発生する磁界における磁束に沿って現像剤の穂が立つ。電源55から現像スリーブ43に現像バイアス電圧を印加することで、現像スリーブ43から現像剤が感光ドラム13Mに転移される。
尚、本実施の形態では、トナー濃度検知センサ47を現像器14Mに一体化した構成を例に挙げたが、これに限定されるものではない。トナー濃度検知センサ47を現像器14Mに別体として取り付ける構成としてもよい。
図4は、トナー濃度検知センサ47の構成を示す図である。
図4において、トナー濃度検知センサ47は、発光LED61(発光部)、参照用受光素子62、反射信号用受光素子63(受光部)を備えている。参照用受光素子62と反射信号用受光素子63は、検知面が180度反転した状態に構成されている。トナー濃度検知センサ47における参照用受光素子62の検知面に対向する内壁部には、反射率の高いミラーシート65が貼り付けられている。
トナー濃度検知センサ47における反射信号用受光素子63の検知面に対向する部分は、開口部が設けられると共に、開口部に透過性の保護シート64が貼り付けられている。保護シート64は、現像スリーブ43に対向しているので、帯電したトナーが静電気で保護シート64に載らないように帯電しない材質で形成する必要がある。更に、反射信号用受光素子63と発光LED61の間には、隔壁が配設されており、発光LED61の光を反射信号用受光素子63が直接受けないように構成されている。
図5は、トナー濃度検知センサ47の制御回路の構成を示すブロック図である。
図5において、トナー濃度検知センサ制御回路は、CPU74(判定手段)、定電流回路75、LED点灯モジュール76、回路素子77、78、79、80を備えている。CPU74は、制御回路各部の制御を司るものであり、LED点灯モジュール76に制御信号を出力する。また、CPU74は、プログラムに基づき図11のフローチャートに示す処理を実行する。LED点灯モジュール76は、CPU74から出力された制御信号に従ってON信号73をトナー濃度検知センサ47に出力する。トナー濃度検知センサ47は、ON信号73により発光LED61が点灯し、発光LED61の光を受けて参照用受光素子62が参照出力信号72を定電流回路75に出力する。
定電流回路75は、参照出力信号72が示す電圧と予め設定された電圧とを比較し、トナー濃度検知センサ47の発光LED61の電流が常に所定の値になるように制御する。即ち、定電流回路75は、発光LED61の発光量が常に同じになるように制御する。この時、トナー濃度検知センサ47の反射信号用受光素子63は、検知対象物(現像スリーブ43)からの反射光を受けてアナログ反射信号71をCPU74に出力する。CPU74(制御手段)は、アナログ反射信号71をトナー濃度の演算に用いる。
図6(a)は、トナー濃度検知センサ47のシャッタ部材48を閉じた状態を示す図、図6(b)は、トナー濃度検知センサ47のシャッタ部材48を開いた状態を示す図である。
図6において、シャッタ部材48は、トナー濃度検知センサ47の反射信号用受光素子63の検知面の前方に配置された保護シート64を覆うように配置されており、保護シート64を介して検知面を開閉可能に保護する。シャッタ部材48を閉じた状態((a))では、トナー濃度検知センサ47の発光LED61を点灯した場合、反射信号用受光素子63はシャッタ部材48の裏面(保護シート64に対向する面)からの反射光量を検知することとなる。一方、シャッタ部材48を開いた状態((b))では、反射信号用受光素子63は検知対象物である現像スリーブ43上の現像剤からの反射光量を検知することができる。
図7は、シャッタ部材48のトナー濃度検知センサ対向側の面に貼り付けた反射シート81を示す斜視図である。
図7において、シャッタ部材48のトナー濃度検知センサ47に対向する側の面には、薄い反射シート81(基準部材)が貼り付けられている。反射シート81は、トナー濃度検知センサ47における反射信号用受光素子63の検知面に対向する開口部を全面にわたり覆う程度の大きさが必要である。反射シート81は、規定のトナー濃度を有する現像剤からの反射光量と同程度の反射光量を有する。
図8は、トナー濃度検知センサ47に対してシャッタ部材48が閉じている時の反射シート81からの反射を示す図である。
図8において、シャッタ部材48は、トナー濃度検知センサ47と現像スリーブ43の間に配置されている。トナー濃度検知センサ47の発光LED61から発した光は、反射シート81により反射される。トナー濃度検知センサ47の反射信号用受光素子63は、反射シート81からの反射光を受光することで反射信号を出力する。
ここで、上記の図4は、トナー濃度検知センサ47に対してシャッタ部材48及び反射シート81が開いている時の位置関係を示したものである。トナー濃度検知センサ47の発光LED61及び反射信号用受光素子63と現像スリーブ43とが向き合い、現像スリーブ43上に載っているトナーから反射される光量を反射信号用受光素子63が受光することで反射信号を出力する。
図9は、トナー濃度検知センサ47の個体差による出力電圧とトナー濃度の関係を示す図である。
図9において、トナー濃度検知センサ47の個体差(ロット違い)に応じて付加した部品番号をセンサA及びセンサBとする。横軸はトナー濃度(2成分現像剤を構成するトナーとキャリアの比。2成分現像剤におけるトナーの割合)であり、製造工場等で初期剤として使われている現像剤のトナー濃度をゼロとしている。縦軸はトナー濃度検知センサ47の反射信号受光素子63から出力される反射信号71である。縦軸に表示している数値は目安の数値であり、必ずしも表示の値でなくてもよいものとする。
センサAとセンサBは、トナー濃度=ゼロの時の出力電圧差が生じている。即ち、[センサAのトナー濃度ゼロ時の出力電圧]―[センサBのトナー濃度ゼロ時の出力電圧]=ΔVoffの関係になっている。初期剤として使われている現像剤のトナー濃度が必ずゼロであるため、製造工場において現像器を組み立てる場合もしくは市場において現像器を交換した場合に、ΔVoffの値を読み込むことでオフセット調整を行っている。
しかしながら、センサAとセンサBでは、トナー濃度が所定量(ΔC)変化したときの出力電圧の変化量が異なっている。例えば、図示のようにトナー濃度が所定量変化したときのセンサAの出力電圧の変化量をΔVa、センサBの出力電圧の変化量をΔVbとし、ΔVa>ΔVbという関係であるとする。この時、トナー濃度が大きくなるほどセンサAとセンサBの出力電圧の差が大きくなり、出力電圧とトナー濃度のずれが大きくなる。これを防止するために、シャッタ部材48に取り付ける反射シート81を、規定のトナー濃度を有する現像剤からの反射光量に一致した反射光量を持つものに設定する。
図10は、トナー濃度検知センサ47の出力補正を示す図である。
図10において、反射シート81の反射光量をトナー濃度がゼロの位置よりも大きく設定した場合におけるトナー濃度検知センサ47の出力補正制御時の出力電圧とトナー濃度との関係を示している。尚、反射シート81の反射光量をトナー濃度がゼロの位置よりも小さく設定してもよい。反射光量をトナー濃度がゼロの位置よりも小さく設定した場合のトナー濃度検知センサ47の出力補正制御は、反射光量をトナー濃度がゼロの位置よりも大きく設定した場合と同じになる。即ち、反射シート81の反射光量は、トナー濃度の中央値に対応する反射光量とは異なる反射光量に設定される。
まず、トナー濃度検知センサ制御回路のCPU74は、シャッタ部材48が閉じている時にLED点灯モジュール76によりトナー濃度検知センサ47の発光LED61を点灯する。これに伴い、トナー濃度検知センサ47の反射信号用受光素子63は、反射シート81からの反射光を受光し出力電圧V1として出力する。CPU74は、出力電圧V1をメモリ(不図示)に保持し、次にシャッタ駆動機構(不図示)によりシャッタ部材48を開く。これに伴い、トナー濃度検知センサ47の反射信号用受光素子63は、現像スリーブ43からの反射光を受光し出力電圧V0として出力する。CPU74は、出力電圧V0をメモリに保持する。
反射シート81の反射光量がトナー濃度がゼロの位置からΔCだけずれている場合は、トナー濃度検知センサ47における単位トナー濃度あたりの出力変化量Vsは(V1−V0)/ΔCで表すことができる。仮に、トナー濃度検知センサ47が調整不良等で異常な出力を出している場合や、シャッタ駆動機構が壊れている場合などは、Vsの値が異常になる。従って、Vsが規定範囲以内(Vs0〜Vs1)にあるものを規格内(OK)とし、Vsが規定範囲以内にないものを規格外(NG)としてエラーと判定し画像形成装置本体の動作を停止する処置を行うとよい。
次に、本実施の形態のトナー濃度検知センサ47の出力補正処理について説明する。
図11は、トナー濃度検知センサ47の出力補正処理を示すフローチャートである。
図11において、トナー濃度検知センサ制御回路のCPU74は、トナー濃度検知センサ47の出力補正処理(判定処理)を開始する(ステップS1)。まず、CPU74は、シャッタ駆動機構(不図示)によりシャッタ部材48を閉じる制御を行い(ステップS2)、シャッタ部材48が確実に閉じている状態にする。次に、CPU74は、トナー濃度検知センサ47の発光LED61を点灯(ON)する(ステップS3)。CPU74は、反射シート81から返ってくる反射光をトナー濃度検知センサ47の反射信号用受光素子63により受光し、反射信号用受光素子63の出力電圧V1を入力し、メモリ(不図示)に保管(記憶)する(ステップS4)。
次に、CPU74は、トナー濃度検知センサ47の発光LED61を一旦消灯(OFF)し(ステップS5)、シャッタ駆動機構によりシャッタ部材48を開いた状態とする(ステップS6)。次に、CPU74は、トナー濃度検知センサ47の発光LED61を再度点灯(ON)させる(ステップS7)。CPU74は、現像スリーブ43から返ってくる反射光をトナー濃度検知センサ47の反射信号用受光素子63により受光し、反射信号用受光素子63の出力電圧V0を入力し、メモリに保管する(ステップS8)。
次に、CPU74は、トナー濃度検知センサ47の発光LEDを消灯(OFF)し(ステップS9)、シャッタ駆動機構によりシャッタ部材48を閉じた状態として初期動作状態にする(ステップS10)。次に、CPU74は、メモリに保管されている出力電圧V0と出力電圧V1から、トナー濃度検知センサ47における単位トナー濃度あたりの出力変化量Vs(=(V1−V0)/ΔC)を計算し(ステップS11)、Vsをメモリに保管する。
次に、CPU74は、単位トナー濃度あたりの出力変化量Vsが規定範囲以内(Vs0〜Vs1)にあるか否かを判定する(ステップS12)。単位トナー濃度あたりの出力変化量Vsが規定範囲以内にない場合は、CPU74は、エラーと判定し、画像形成装置本体の動作を停止する(ステップS13)。他方、単位トナー濃度あたりの出力変化量Vsが規定範囲以内にある場合は、CPU74は、通常どおり、Vsをメモリに保管し、本処理を終了する(ステップS14)。
上述したトナー濃度検知センサ47の出力補正処理で得られた単位トナー濃度あたりの出力変化量Vsの値は以下のように用いられる。即ち、画像形成装置の通常動作中においてトナー濃度検知センサ47の出力電圧からトナー濃度を演算するときに用いられる。また、トナーの異常な補給動作やトナー補給系の動作不良により現像器にトナー補給がなされない場合に画像形成装置でエラーを出力する場合のリミットレベルを演算するときに用いられる。
例えば、現像器のトナー濃度がC1(>C0)のときにエラーとしたい場合のトナー濃度検知センサ47の出力電圧の閾値は、トナー濃度がゼロの値(この時のトナー濃度をC0とする)の時の出力電圧V0に(C1−C0)/Vsを加算した値となる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、規定のトナー濃度を有する現像剤からの反射光量と同程度の反射光量を有する反射シート81を、トナー濃度検知センサ47の検知面を開閉するシャッタ部材48に貼り付ける。トナー濃度検知センサ47から反射シート81に光を照射した際の反射シート81からの反射光量を基に、トナー濃度検知センサ47の補正を行う。これにより、トナー濃度検知センサ個別の出力値のバラツキを考慮し、トナー濃度検知センサの出力値とトナー濃度を精度よく関係付けることが可能となり、現像器内の現像剤のトナー濃度を精度よく検出することが可能となる。
また、トナー濃度検知センサ47の検知面と反射シート81の位置関係を簡単に設定することが可能であり、トナー濃度検知センサ47の出力補正を簡略化することが可能となる。
また、反射シート81の反射光量がトナー濃度ゼロの位置からΔCずれている場合は、トナー濃度検知センサ47における単位トナー濃度あたりの出力変化量Vsを(V1−V0)/ΔCで表すことができる。これにより、トナー濃度検知センサ47の出力補正を精度よく行うことが可能となる。
また、シャッタ部材48を閉じた状態で得られた反射シート81からの反射光量と、シャッタ部材48を開けた状態で得られた現像剤からの反射光量とに基づき、トナー濃度検知センサ47の補正を行う。これにより、トナー濃度検知センサ47の出力補正を簡単に行うことが可能となる。
また、トナー濃度検知センサ47における単位トナー濃度あたりの出力変化量が規定範囲に無い場合は画像形成装置本体の動作を停止する。これにより、トナー濃度検知センサ47が故障している場合やシャッタ部材48の駆動が故障している場合に適正でない補正値を基に画像形成装置が使用されることを防止することが可能となる。
以上をまとめると、現像器内の現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知センサ47の検知感度のバラツキを補正することができ、現像器内の現像剤のトナー濃度をほぼ正確に判別することが可能となる。これにより、現像器に対するトナー補給の可否の判断基準を画像形成装置個別ごとに設定することが可能となり、現像器内の現像剤のトナー濃度を安定させることが可能となる。更に、従来のようなトナー濃度検知センサ及び現像器の交換とオフセット調整に手間がかかるなどの問題を解消することが可能となる。
[第2の実施の形態]
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す構成図である。
図12において、画像形成装置は、原稿から画像を読み取る画像読取部と、記録紙に画像形成を行う画像形成部とからなる複写機として構成されている。画像形成装置は、中間転写体103・現像ロータリ105(現像手段)・感光ドラム113(像担持体)を有する画像形成部、定着部108、給紙ユニット161〜163、マルチトレイ164、排紙トレイ165等を備えている。現像ロータリ105は、4色の現像器114Y、114M、114C、114Kが周方向に沿って設けられると共に、感光ドラム113の外周部と対向する位置に配置されている。画像読取部の説明は省略する。
給紙ユニット161〜163は、記録紙を収納するものであり、給紙ユニット163は、オプションによる接続が可能である。給紙ユニット161〜163に対し、ユーザは記録紙サイズに応じて自由に記録紙を振り分けることができる。マルチトレイ164には、様々なサイズの記録紙をセット可能である。給紙ユニット161〜163、マルチトレイ164に収納された記録紙は、モータにより駆動される搬送ローラによりピックアップされ、搬送路を経由して画像形成部へ搬送される。
画像形成の概略を説明する。CPU(不図示)はメモリに格納された画像データを読み出してデジタル信号からアナログ信号に再変換し、光学照射部によりレーザビームを感光ドラム113上に照射し、静電潜像を形成する。次に、現像器114Y〜114Kにより静電潜像をトナーで現像し、中間転写体103に転写したトナー画像を記録紙に転写し、定着部108により記録紙上のトナー画像を定着した後、排紙トレイ165に排出する。詳細は後述する。
図13は、画像形成装置の画像形成部の構成を示す図である。
図13において、感光ドラム113は、表面に有機光導電体からなる光導電層を有し、コピージョブ中は駆動モータ(不図示)により一定の速度で矢印方向に回転駆動される。現像ロータリ105は、感光ドラム113に接する状態で配置されており、駆動モータ(不図示)により回転軸を介して矢印方向に回転駆動される。本実施の形態では、現像ロータリ105が4色の現像器114Y〜114Kを備える構成としているが、4色に限定されるものではない。
トナー濃度検知センサ147(検知手段)は、現像ロータリ105の外周部に対向する位置に配置されており、現像器114Y〜114Kがそれぞれ備える現像スリーブ上の現像剤のトナー濃度を検知する。中間転写体103は、感光ドラム113に接する状態で配置されており、駆動モータ(不図示)により矢印方向に回転駆動される無端のベルト状の部材である。露光部152は、感光ドラム113の外周部に対向する位置に配置されている。
画像形成部における現像及び転写について説明する。まず、露光部152により感光ドラム113上の残留電荷を除去した後、一次帯電器により感光ドラム113に一様に電荷を付与する。光学照射部からメモリ内に格納された画像データに従い変調されたレーザビームを出力し、感光ドラム113上の光導電層に静電潜像を形成する。現像ロータリ105の該当する現像器が感光ドラム113に接する状態に回転し、現像器から感光ドラム113上の静電潜像にトナーを付着させ、静電潜像を可視画像にする。
感光ドラム113上の可視画像は中間転写体103と接する部分に到達すると、一次転写帯電器により中間転写体103に転写される。中間転写体103に転写されなかった余分なトナーは回収され、再度、露光部152により感光ドラム113上の残留電荷を除去する。現像ロータリ105の現像器114Y〜114Kについて同様の動作を繰り返し、中間転写体103に複数色の画像を重ね書きして画像を形成する。
一方、給紙ユニット161〜163、マルチトレイ164から給紙された記録紙は、可視画像に合わせて中間転写体103の下側を搬送される。2次転写帯電器155により記録紙を帯電させ、中間転写体103上の可視画像を記録紙に転写する。その後、中間転写体103と記録紙との分離性を上げるために、分離帯電器154により記録紙を帯電させる。中間転写体103と分離された記録紙は、搬送ベルト177により搬送され、定着部108を構成する定着ローラ132と加圧ローラ143の間に導入される。記録紙は未定着のトナー画像が溶着され、排紙センサ(不図示)を通過して排紙トレイ165に排出される。
図14は、画像形成部の現像ロータリ105の構成を示す図である。
図14において、現像ロータリ105の内部には、4色の現像器114Y〜114Kが周方向に等間隔で配置されている。現像器114Y〜114Kは、それぞれ現像スリーブ143Y〜143Kを備えている。現像ロータリ105は、所定位置にホームポジションセンサ(不図示)を備えており、ホームポジションセンサにより検知した位置で停止することで、感光ドラム113に対する現像位置が一意に決まる。現像ロータリ105は、駆動モータにより所定角度だけ回転することが可能であり、感光ドラム113に対し所定の色の現像器を対向させることができる。
図14ではブラックの現像器114Kが感光ドラム113に対向する現像位置にある状態を示している。現像ロータリ105を矢印方向に90度回転させるとイエローの現像器114Yが感光ドラム113に対向する現像位置に移動する。トナー濃度検知センサ147は、感光ドラム113における現像位置から回転方向に略90度下流の位置に現像器に対向する状態で配置されている。即ち、ブラックの現像器114Kが現像位置にあるとき、トナー濃度検知センサ147はシアンの現像器114Cを監視することができる。ただし、トナー濃度検知センサ147を現像位置から略90度回転した位置に配置したが、これ以外の位置でもよい。
現像器114Y〜114Kは、それぞれ現像剤返し部材、ブレード、現像スリーブ、シャッタ部材、第1の撹拌搬送部、第2の撹拌搬送部、磁石、現像室、撹拌室を備えている(以上不図示)。現像器114Y〜114Kの構成は、上記第1の実施の形態(図2)でトナー濃度検知センサを内蔵している以外は略同様であるため、図示及び説明を省略する。現像器114Y〜114Kにおける磁石の配置により、現像スリーブには感光ドラム113との間に現像剤の穂が立つ。
トナー濃度検知センサ147は、発光LED、参照用受光素子、反射信号用受光素子を備えている(以上不図示)。トナー濃度検知センサ147の構成、トナー濃度検知センサ147の制御回路、トナー濃度検知センサ147の個体差による出力電圧とトナー濃度の関係は、上記第1の実施の形態(図4、図5、図9)と同様であるため、図示及び説明を省略する。トナー濃度検知センサ147により現像器114Y〜114Kの現像スリーブ上の現像剤による穂を検知できるように、現像ロータリ105を回転することでトナー濃度検知センサ147との角度を合わせる。
上記第1の実施の形態(図9)で説明したように、トナー濃度が大きくなるほどトナー濃度検知センサ(センサA、センサB)の出力電圧の差が大きくなり、出力電圧とトナー濃度のずれが大きくなる。出力電圧の変化量のバラツキを防止するために、図15に示すように現像ロータリ105に反射シート159を貼り付ける。
図15は、現像ロータリ105の反射シート159の貼り付け位置を示す図である。
図15において、現像ロータリ105の外縁部には、反射シート159(基準部材)が貼り付けられている。現像ロータリ105がホームポジションにある時、ブラックの現像器114Kの現像スリーブ143Kは感光ドラム113に対して角度D1だけずれている。
本実施の形態では、反射シート159はイエローの現像器114Yの現像スリーブ143Yと、マゼンタの現像器114Mの現像スリーブ143Mとの間に配置されており、現像ロータリ105のホームポジションから角度D2だけ遅れた位置にある。尚、反射シート159の配置箇所は、イエローの現像器114Yとマゼンタの現像器114Mの間に限定されるものではなく、何れか1箇所の隣接する現像器の間に配置すればよい。
図16(a)は、トナー濃度検知センサ147と現像スリーブ143Y〜143K(現像スリーブ143と総称)の位置関係を示す図、図16(b)は、トナー濃度検知センサ147と反射シート159の位置関係を示す図である。
図16において、現像器114Y〜114Kの現像スリーブ143には、上述したように磁石の効果により現像剤の穂(不図示)が形成されている。現像剤の穂の高さは、現像器内の規制板(不図示)により常に決まった高さになるように設定されている。現像スリーブ143における現像剤の穂の先端とトナー濃度検知センサ147の検知面との間の距離をL0とする。反射シート159もトナー濃度検知センサ147の検知面との間の距離がL0となるように配置される。
現像剤の穂の高さは、現像剤の穂が感光ドラム113と対向した時に現像剤の穂と感光ドラム113の表面との間に隙間ができるような高さに設定されている。そのため、反射シート159を現像剤の穂と同じ高さにしても感光ドラム113にダメージを与えることはない。反射シート159の反射率は規定のトナー濃度に対応しており、色ごとに差が出てくるが、各々の色でトナー濃度基準点からΔCy、ΔCm、ΔCc、ΔCkだけずれた値になっている。本実施の形態では、ずれ量はトナー濃度基準点よりも高い(濃い)方向にずれている場合を例に挙げるが、トナー濃度基準点よりも低い(薄い)方向にずれても問題ない。
次に、トナー濃度検知センサ147の出力補正動作について説明する。出力補正動作は製品(画像形成装置)の組立時もしくはトナー濃度検知センサの交換時に行うが、必ず現像器に初期剤としての現像剤を入れて出力補正動作を行う。
図17は、トナー濃度検知センサ147の出力補正時に反射シート159をトナー濃度検知センサ147に対向させた状態を示す図である。
図17において、トナー濃度検知センサ制御回路のCPU(不図示)は、駆動モータにより現像ロータリ105をホームポジション(図15)から角度を90度+D2だけ矢印方向に回転駆動する。これにより、トナー濃度検知センサ147と反射シート159を対向させる。次に、CPUは、LED点灯モジュールによりトナー濃度検知センサ147の発光LEDを点灯する。これに伴い、トナー濃度検知センサ147の反射信号用受光素子は、反射シート159からの反射光を受光し出力電圧V1(反射信号)として出力する。CPUは、出力電圧V1をメモリに保持する。
次に、CPUは、現像器114Y〜114Kの各々の現像スリーブを順にトナー濃度検知センサ147に対向させる。これに伴い、トナー濃度検知センサ147の反射信号用受光素子は、現像スリーブからの反射光を受光し出力電圧V0(反射信号)として出力する。CPUは、出力電圧V0をメモリに保持する。
現像器114Y〜114Kの各々の現像スリーブからの反射光をトナー濃度検知センサ147で受光した際の出力電圧を、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各々でVy0、Vm0、Vc0、Vb0とする。CPUは、Vy0、Vm0、Vc0、Vb0をメモリに保持する。反射シート159の反射率がトナー濃度のゼロレベルからの換算で各々ΔCy、ΔCm、ΔCc、ΔCbに相当していると予めわかっているので、CPUは、各々の色でのトナー濃度―出力電圧の特性から各色ごとの傾きを求める。
ここで、イエロー、マゼンタ、シアンのトナーに関しては、現像剤からの反射光量はトナー濃度が同じであればトナー濃度検知センサ147から同程度の出力電圧が得られることが分かっている。従って、イエロー、マゼンタ、シアンのうちどれか1色を代表してトナー濃度検知センサ147の出力電圧を求めてもよい。ブラックに関しては、他の色よりもトナー濃度に対して出力電圧が低く出る傾向があるため、反射シート159からの反射光量に対応するトナー濃度は他の色よりも高く設定しなくてはならない。
図18は、トナー濃度検知センサ147の出力電圧とトナー濃度の関係を示す図である。
図18において、イエロー、マゼンタ、シアンの代表としてマゼンタのトナー濃度―出力電圧と、ブラックのトナー濃度―出力電圧を示している。トナー濃度―出力電圧の傾きは、マゼンタとブラックでは各々異なる。マゼンタの傾きΔVmsは、ΔVms=(V1−Vm0)/ΔCmと表すことができる。一方、ブラックの傾きΔVbsは、ΔVbs=(V1−Vb0)/ΔCbと表すことができる。同様に、イエロー、シアンに関しても、トナー濃度―出力電圧の傾きを計算することができる。
本実施の形態では、反射シート159の反射光量をトナー濃度基準点(トナー濃度の中央値)よりも高い出力が得られるように設定しているが、トナー濃度基準点よりも低い出力が得られるような反射シートを用いてもよい。その場合のマゼンタとブラックのトナー濃度―出力電圧の傾きは、それぞれ、ΔVms=(Vm0―V1)/ΔCm、ΔVbs=(Vb0―V1)/ΔCbとなる。
しかし、トナー濃度検知センサ147の故障や現像ロータリ105の駆動系の故障により正常値を検知できない場合を考慮し、トナー濃度―出力電圧の傾きが所定範囲内に入っていない場合はエラーと判定し、画像形成装置本体の動作を停止する。
次に、本実施の形態のトナー濃度検知センサ147の出力補正処理について説明する。
図19は、トナー濃度検知センサ147の出力補正処理を示すフローチャートである。
図19において、トナー濃度検知センサ制御回路のCPUは、トナー濃度検知センサ147の出力補正処理(判定処理)を開始する(ステップS21)。まず、CPUは、現像ロータリ105を回転駆動し、反射シート159とトナー濃度検知センサ147が対向する位置に移動し停止させる(ステップS22)。次に、CPUは、トナー濃度検知センサ147の発光LEDを点灯し、反射シート159からの反射光をトナー濃度検知センサ147の反射信号用受光素子により受光し、トナー濃度検知センサ147の出力電圧V1をメモリに保管(保持)する(ステップS23)。
次に、CPUは、反射シート159に一番近いマゼンタの現像器114M(図15参照)に対するトナー濃度検知センサ147の出力補正処理を開始する(ステップS24)。マゼンタの現像器114Mに対するトナー濃度検知センサ147の出力補正処理については図20により後述する。CPUは、マゼンタの現像器114Mに対する出力補正処理が終わると、マゼンタの現像器114Mに近い側である、シアンの現像器114Cに対するトナー濃度検知センサ147の出力補正処理を開始する(ステップS25)。
次に、CPUは、ブラックの現像器114Kに対するトナー濃度検知センサ147の出力補正処理を開始する(ステップS26)。次に、CPUは、イエローの現像器114Yに対するトナー濃度検知センサ147の出力補正処理開始する(ステップS27)。最後に、CPUは、現像ロータリ105をホームポジションに戻し(ステップS28)、出力補正処理を終了する(ステップS29)。
図20は、マゼンタの現像器114Mに対するトナー濃度検知センサ147の出力補正処理の詳細を示すフローチャートである。
図20において、CPUは、マゼンタの現像器114Mに対するトナー濃度検知センサ147の出力補正処理を開始する(ステップS31)。まず、CPUは、現像ロータリ105を回転駆動し、マゼンタの現像器114Mの現像スリーブ143Mとトナー濃度検知センサ147が対向する位置に移動し停止させる(ステップS32)。次に、CPUは、トナー濃度検知センサ147の発光LEDを点灯する。更に、CPUは、現像スリーブ143Mの現像剤からの反射光をトナー濃度検知センサ147の反射信号用受光素子により受光し、トナー濃度検知センサ147の出力電圧Vm0をメモリに保管する(ステップS33)。
次に、CPUは、上記図19のステップS23でメモリに保管した出力電圧V1とステップS33でメモリに保管した出力電圧Vm0から、マゼンタのトナー濃度―出力電圧の傾きΔVmsを計算する(ステップS34)。次に、CPUは、マゼンタのトナー濃度―出力電圧の傾きΔVmsが規定範囲以内(Vms0〜Vms1)にあるか否かを判定する(ステップS35)。
マゼンタのトナー濃度―出力電圧の傾きΔVmsが規定範囲以内にない場合は、CPUは、トナー濃度検知センサ147の故障もしくは現像ロータリ105の故障であるエラーと判定し、画像形成装置本体の動作を停止する(ステップS37)。他方、マゼンタのトナー濃度―出力電圧の傾きΔVmsが規定範囲以内にある場合は、CPUは、マゼンタの出力補正処理を終了する(ステップS36)。
図20はマゼンタの現像器114Mに対するトナー濃度検知センサ147の出力補正処理であるが、シアン、ブラック、イエローの各現像器に対するトナー濃度検知センサ147の出力補正処理についても図20と同様のシーケンスで行うことができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、現像器内の現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知センサ147の検知感度のバラツキを補正することができ、現像器内の現像剤のトナー濃度をほぼ正確に判別することが可能となる。これにより、現像器に対するトナー補給の可否の判断基準を画像形成装置個別ごとに設定することが可能となり、現像器内の現像剤のトナー濃度を安定させることが可能となる。更に、従来のようなトナー濃度検知センサ及び現像器の交換とオフセット調整に手間がかかるなどの問題を解消することが可能となる。
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態は、上記第2の実施の形態に対して、下記の点において相違する。本実施の形態のその他の要素は、上記第2の実施の形態(図12)の対応するものと同一なので説明を省略する。
図21は、本実施の形態に係る画像形成装置の現像ロータリ105の反射シートの貼り付け位置を示す図である。
図21において、現像ロータリ105の外縁部には、位相が90度異なる位置に2枚の反射シート159Aと反射シート159Bが貼り付けられている。反射シート159A(基準部材)は、イエローの現像器114Yとマゼンタの現像器114Mの間に配置されている。反射シート159B(基準部材)は、マゼンタの現像器114Mとシアンの現像器114Cの間に配置されている。尚、反射シート159Aと反射シート159Bを位相が90度異なる位置に配置しているが、位相は90度に限定されるものではない。
反射シート159Aと反射シート159Bは、それぞれ異なる所定の反射率を有しており、反射率は各現像剤のトナー濃度に一致している。マゼンタの現像剤の場合は、反射シート159Aの反射率はトナー濃度Cmxの現像剤の反射率と一致し、反射シート159Bの反射率はトナー濃度Cmyの現像剤の反射率と一致するように設定されている。現像剤によっては反射シート159Aと反射シート159Bの反射率と一致したトナー濃度は各色で異なるため、各色ごとに対応するトナー濃度が設定される。
次に、トナー濃度検知センサ147の出力補正動作について説明する。出力補正動作は製品(画像形成装置)の組立時もしくはトナー濃度検知センサの交換時に行うが、現像器の交換は特に必要ない。
図22は、トナー濃度検知センサ147の出力補正時に反射シート159Aをトナー濃度検知センサ147に対向させた状態を示す図である。図23は、トナー濃度検知センサ147の出力補正時に反射シート159Bをトナー濃度検知センサ147に対向させた状態を示す図である。
図22に示すように、トナー濃度検知センサ制御回路のCPUは、現像ロータリ105をホームポジション(不図示)から矢印方向に所定角度(90度+D2)だけ回転駆動し、反射シート159Aとトナー濃度検知センサ147を対向させる。次に、CPUは、トナー濃度検知センサ147の発光LEDを点灯し、反射シート159Aからの反射光をトナー濃度検知センサ147の反射信号用受光素子により受光し、反射信号用受光素子の出力電圧Vxをメモリに保持する。
次に、図23に示すように、CPUは、現像ロータリ105を矢印方向に90度だけ回転駆動し、トナー濃度検知センサ147と反射シート159Bを対向させる。次に、CPUは、トナー濃度検知センサ147と反射シート159Aを対向させた場合と同様に、以下の処理を行う。即ち、CPUは、トナー濃度検知センサ147の発光LEDを点灯し、反射シート159Bからの反射光をトナー濃度検知センサ147の反射信号用受光素子により受光し、反射信号用受光素子の出力電圧Vyをメモリに保持する。
図24は、トナー濃度検知センサ147の出力電圧とトナー濃度の関係を示す図である。
図24において、イエロー、マゼンタ、シアンの代表としてマゼンタのトナー濃度−出力電圧と、ブラックのトナー濃度−出力電圧を示している。トナー濃度―出力電圧の傾きは、マゼンタとブラックでは各々異なる。マゼンタの傾きΔVmsは、ΔVms=(Vy−Vx)/(Cmy−Cmx)と表すことができる。一方、ブラックの傾きΔVbsは、ΔVbs=(Vy−Vx)/(Cby−Cbx)と表すことができる。同様に、イエロー、シアンに関しても、トナー濃度―出力電圧の傾きを計算することができる。
しかし、トナー濃度検知センサ147の故障や現像ロータリ105の駆動系の故障により正常値を検知できない場合を考慮し、トナー濃度―出力電圧の傾きが所定範囲内に入っていない場合はエラーと判定し、画像形成装置本体の動作を停止する。
次に、本実施の形態のトナー濃度検知センサ147の出力補正処理について説明する。
図25は、トナー濃度検知センサ147の出力補正処理を示すフローチャートである。
図25において、トナー濃度検知センサ制御回路のCPUは、トナー濃度検知センサ147の出力補正処理を開始する(ステップS41)。まず、CPUは、現像ロータリ105を回転駆動し、反射シート159Aとトナー濃度検知センサ47が対向する位置に移動し停止させる(ステップS42)。次に、CPUは、トナー濃度検知センサ147の発光LEDを点灯し、反射シート159Aからの反射光をトナー濃度検知センサ147の反射信号用受光素子により受光し、トナー濃度検知センサ147の出力電圧Vxをメモリに保管(保持)する(ステップS43)。
次に、CPUは、現像ロータリ105を回転駆動し、反射シート159Bとトナー濃度検知センサ47が対向する位置に移動し停止させる(ステップS44)。次に、CPUは、トナー濃度検知センサ147の発光LEDを点灯し、反射シート159Bからの反射光をトナー濃度検知センサ147の反射信号用受光素子により受光し、トナー濃度検知センサ147の出力電圧Vyをメモリ保管する(ステップS45)。
次に、CPUは、ステップS43で取得した出力電圧VxとステップS45で取得した出力電圧Vyから、各色ごとにトナー濃度―出力電圧の傾きを計算する(ステップS46)。次に、CPUは、トナー濃度―出力電圧の傾きが所定範囲内であるか所定範囲外であるかを判定する(ステップS47)。トナー濃度―出力電圧の傾きが所定範囲外である場合は、CPUは、エラーと判定し、画像形成装置本体の動作を停止する(ステップS49)。他方、トナー濃度―出力電圧の傾きが所定範囲内である場合は、CPUは、本処理を終了する(ステップS48)。
上述したトナー濃度検知センサ147の出力補正処理で得られたトナー濃度―出力電圧の傾きΔVmsの値(マゼンタの場合)は以下のように用いられる。即ち、画像形成装置の通常動作中においてトナー濃度検知センサ147の出力電圧からトナー濃度を演算するときに用いられる。また、トナーの異常な補給動作やトナー補給系の動作不良により現像器にトナー補給がなされない場合に画像形成装置でエラーを出力する場合のリミットレベルを演算するときに用いられる。
例えば、現像器のトナー濃度がC1(>C0)のときにエラーとしたい場合のトナー濃度検知センサ147の出力電圧の閾値は、トナー濃度基準値(この時のトナー濃度をC0とする)の時の出力電圧Vm0に(C1−C0)/Vsを加算した値となる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、現像器内の現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知センサ147の検知感度のバラツキを補正することができ、現像器内の現像剤のトナー濃度をほぼ正確に判別することが可能となる。これにより、現像器に対するトナー補給の可否の判断基準を画像形成装置個別ごとに設定することが可能となり、現像器内の現像剤のトナー濃度を安定させることが可能となる。更に、従来のようなトナー濃度検知センサ及び現像器の交換とオフセット調整に手間がかかるなどの問題を解消することが可能となる。