JP5300136B2 - 圧着端子及び圧着構造 - Google Patents
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1)相手方端子に対する電気接続部と電線の導体部を加締める導体圧着部を備え、導電性母材表面にスズメッキを施した部分を有し、該部分のうち前記導体圧着部が前記電線の前記導体部に圧着されることで該電線と電気的に接続する圧着端子であって、
前記スズメッキは、前記電気接続部については薄く施され、前記導体圧着部については厚く施されて、
圧着前の前記導体圧着部のエンボス加工による表面粗さが0.1〜1.0μmであり、かつ当該圧着により、スズが導体を構成する素線の表面に凝着しながら各素線間の隙間を埋め、前記導体圧着部と前記導体部とが凝着することを特徴とする圧着端子。
2)前記電線が、前記導体部としてアルミニウム製またはアルミニウム合金製の導体部を有するアルミニウム電線であることを特徴とする上記1)に記載の圧着端子。
3)前記導体圧着部の表面にディンプル状の凹凸が形成されていることを特徴とする上記1)または2)に記載の圧着端子。
4)前記導体圧着部の表面が、ショットピーニングで処理されたものであることを特徴とする請求項3に記載の圧着端子。
5)アルミニウム製またはアルミニウム合金製の導体部を有するアルミニウム電線と、導電性母材表面にスズメッキを施した部分を有する圧着端子と、を備え、前記圧着端子の前記部分のうち導体圧着部が前記アルミニウム電線の導体部に圧着され、これにより前記圧着端子が該アルミニウム電線と電気的に接続される圧着構造であって、
圧着前の前記アルミニウム電線の導体部の表面粗さが0.1〜1.0μmであり、かつ当該圧着により前記導体圧着部と前記導体部とが凝着することを特徴とする圧着構造。
6)前記導体圧着部が圧着する前記アルミニウム電線の導体部の表面にディンプル状の凹凸が形成されていることを特徴とする上記5)に記載の圧着構造。
7)前記導体圧着部が圧着する前記アルミニウム電線の導体部の表面が、ショットピーニングで処理されたものであることを特徴とする上記6)に記載の圧着構造。
本発明においては、接続前の導体圧着部または導体部の表面粗さを0.1〜1.0μm、好ましくは0.2〜0.8μm、更に好ましくは0.3〜0.6μmとする。この表面粗さが0.1μm未満及び1.0μmを超えると十分な凝着が得られない。なお、本発明においては、圧着端子及び圧着構造において、導体圧着部及び導体部の表面粗さを上記のように規定してもよい。また、表面粗さが本発明の範囲に規定される領域は、少なくとも上記圧着部が含まれれば、それ以外の領域が包含されてもよい。
本発明において、圧着部における表面粗さは、JIS B0601−1994で規定される算術平均粗さと定義される。
上記表面粗さを得るための該表面は、特に制限はないがディンプル状の凹凸からなることが好ましい。
上記表面粗さを得るための手段としては、特に制限されないが、ショットピーニング、ローラ等によるエンボス加工等が挙げられるが、ショットピーニングが好ましい。
ショットピーニングに用いる素材としては、特に制限されるものではないが、セラミック微粒子を用いたものが好ましい。この素材としては、球形もしくは球形に類似の形状が表面をディンプル状に形成できる観点から好ましく、その平均粒径は20〜100μmが好ましく、40〜60μmが更に好ましい。
表面粗さが本発明の範囲になるように表面処理された圧着部は、表面が適度に粗くなり、圧着部の接触面積が増大すると共に後述するような端子接続工程での摺動抵抗が増大するために凝着(原子間結合)エネルギーが増大し、圧着端子の信頼性が向上する。
特にショットピーニングにより表面処理された圧着部は、表面粗さが粗くなると同時に硬度が向上するので端子接続工程での摺動抵抗が更に増大することが期待できるために凝着(原子間結合)エネルギーが増大し、圧着端子及び圧着構造の更なる信頼性向上が期待できる。
この凝着は、少なくとも圧着部に圧力を印加することにより行われる。場合により更に熱を印加してもよい。
なお、荷重の単位はN、抵抗の単位はΩである。そして、白抜きのポイントのグループは、銅プレート−サンプル板間、又はアルミニウムプレート−サンプル板間の荷重を徐々に増加していったときの抵抗変化をプロット(図中、銅プレート−サンプル板間は、Cuで矢印は右向きに表示、アルミニウムプレート−サンプル板間は、Alで矢印は右向きに表示)したものを示し、黒塗りのポイントのグループは、銅プレート−サンプル板間又はアルミニウムプレート−サンプル板間の荷重をいったん最大値(10N)まで加えた後、サンプル板を1mm摺動した後、荷重を徐々に減少していったときの抵抗変化をプロット(図中、銅プレート−サンプル板間は、Cuで矢印は左向きに表示、アルミニウムプレート−サンプル板間は、Alで矢印は左向きに表示)したものを示している。
なお、サンプル板としてはインデントを設けた銅合金にスズ(Sn)メッキを施したものを用い、銅プレートとしては純銅(C1020)を、アルミニウムプレートとしては、アルミ(A1050)を用いた。また、電気抵抗は、デジタルマルチメータにより、加圧加重はフォースリンクにより測定した。
サンプル板のメッキ表面の表面粗さは、0.046μm、アルミニウムプレートの表面粗さは、0.048μmである。
一方、プレートがアルミニウムの場合は、アルミニウムプレート−サンプル板間の荷重の増加時と減少時とで抵抗変化が大きく相違する傾向があることが分かる。特にアルミニウムプレート−サンプル板間の荷重が減少しても、抵抗が上がらないことが分かる。これは、プレートが銅の場合とアルミニウムの場合とでサンプル板のスズに対する荷重による親和力が異なることが起因すると考えられる。プレートが銅の場合もアルミニウムの場合も現実にはそのプレート表面及びサンプル板のスズ表面は酸化膜で被覆されている。アルミニウムの場合、酸化被膜が荷重により破れて、アルミニウム原子及びスズ原子の活性面が露出しアルミニウムとスズとの原子間結合(凝着)が進むものと考えられ、その結果この段階で荷重を減少しても、アルミニウムプレート−サンプル板間の抵抗がほとんど変わらなくなるものと考えられる。銅の場合は、アルミニウムに比べてスズとの凝着は起こり難いため上記結果となるものと考えられる。このことから、アルミニウム導体の導体部に端子の導体圧着部を圧着する際には、ある程度の荷重をかけた状態で、圧着部の摺動を促進させ該活性面を露出させることが重要であることが分かる。
本発明は、この原理を応用するものである。
上記電気的接続性能試験において、スズメッキしたサンプル板とアルミニウムプレートの組み合わせを以下の組み合わせ(例1〜7)に変更した以外は、上記と同様の条件で試験を行った。
(1)
スズメッキしたサンプル板:表面粗さを0.05μm(例1)、0.4μm(例2)、1.2μm(例3)とした。
アルミニウムプレート:図9の場合と同じ。
(2)
スズメッキしたサンプル板:図9の場合と同じ。
アルミニウムプレート:表面粗さを0.05μm(例4)、1.2μm(例5)、2.2μm(例6)とした。
(3)
スズメッキしたサンプル板:表面粗さを0.05μm(例7)、0.4μm(例8)、1.2μm(例9)とした。
銅プレート:図9の場合と同じ。
上記試験の結果、アルミニウムプレート−サンプル板間、銅プレート−サンプル板間の荷重に対する接触抵抗の変化の形は、概ね図9と同様であった。該荷重を減少させて0.1Nとなったときの該接触抵抗を比較した結果は以下のとおりである。
例2は例1、例3並びに図9の結果よりも接触抵抗が低下していた。例5は例4、例6並びに図9の結果よりも接触抵抗が低下していた。例8は例7、例9並びに図9の結果よりも接触抵抗が低下していた。
図1はアルミニウム電線と端子の圧着端子における凝着方法を説明するための図、図2は図1の圧着端子における圧着部の断面図、図3は導体圧着部のセレーションのある部分の縦断面図、図4は導体圧着部と電線の導体との関係を示す側断面図、図5は導体部を構成する素線の隙間に導体圧着部にメッキしたスズが入り込んでいる状態を模式的に示す断面図である。
このようにマスキング350を施してメッキする場合は、素材300の片面だけをメッキすることができるので、端子の導体圧着部の内面だけメッキすることができる。
端子の導体圧着部の表面処理は、第1及び第2の方法でも行うことは可能であるが、第3の方法で得たメッキ表面を処理し、本発明範囲の表面粗さとすることが好ましい。
また、上記実施態様では、端子の導体圧着部のみの表面粗さを規定したが、アルミニウム電線の導体部の表面粗さを規定したものを併用してもよい。あるいは、端子の表面粗さを規定するのではなく、該導体部の表面粗さを規定したものを用いてもよい。
11:底板部
12:電気接続部
13:導体圧着部
13a:導体加締片
51:端子母材
52:スズメッキ
100:アルミニウム電線
100a:アルミニウム製の導体部
Claims (7)
- 相手方端子に対する電気接続部と電線の導体部を加締める導体圧着部を備え、導電性母材表面にスズメッキを施した部分を有し、該部分のうち前記導体圧着部が前記電線の前記導体部に圧着されることで該電線と電気的に接続する圧着端子であって、
前記スズメッキは、前記電気接続部については薄く施され、前記導体圧着部については厚く施されて、
圧着前の前記導体圧着部のエンボス加工による表面粗さが0.1〜1.0μmであり、かつ当該圧着により、スズが導体を構成する素線の表面に凝着しながら各素線間の隙間を埋め、前記導体圧着部と前記導体部とが凝着することを特徴とする圧着端子。 - 前記電線が、前記導体部としてアルミニウム製またはアルミニウム合金製の導体部を有するアルミニウム電線であることを特徴とする請求項1に記載の圧着端子。
- 前記導体圧着部の表面にディンプル状の凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧着端子。
- 前記導体圧着部の表面が、ショットピーニングで処理されたものであることを特徴とする請求項3に記載の圧着端子。
- アルミニウム製またはアルミニウム合金製の導体部を有するアルミニウム電線と、導電性母材表面にスズメッキを施した部分を有する圧着端子と、を備え、前記圧着端子の前記部分のうち導体圧着部が前記アルミニウム電線の導体部に圧着され、これにより前記圧着端子が該アルミニウム電線と電気的に接続される圧着構造であって、
圧着前の前記アルミニウム電線の導体部の表面粗さが0.1〜1.0μmであり、かつ当該圧着により前記導体圧着部と前記導体部とが凝着することを特徴とする圧着構造。 - 前記導体圧着部が圧着する前記アルミニウム電線の導体部の表面にディンプル状の凹凸が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の圧着構造。
- 前記導体圧着部が圧着する前記アルミニウム電線の導体部の表面が、ショットピーニングで処理されたものであることを特徴とする請求項6に記載の圧着構造。
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