JP5299015B2 - 多孔質焼結体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔質焼結体の製造方法に関する。
多孔質焼結体は、軽量構造材、燃料電池やアルカリ二次電池の電極、各種フィルタ、触媒担持体、人工骨等の生体材料、消音材、断熱材、気化促進部品、電磁波遮蔽材などの素材として、多様な用途に用いられている。
従来、このような多孔質焼結体を製造する方法として、原料粉末を含むスラリーを製造し、これを焼成する方法(スラリー発泡法)が知られている(特許文献1)。また、表面をメッキした発泡樹脂を加熱して樹脂部分を消失させる方法により、金属製の多孔質焼結体を製造することも提案されている(特許文献2)。
特開平9−118901号公報 特開平4−2759号公報
多孔質焼結体には、各種用途に応じて、任意の気孔率や気孔サイズが求められる。従来、多孔質焼結体の気孔率や気孔サイズは、スラリー発泡法の場合にはスラリーの組成や処理温度等を調整することによって、また発泡樹脂を基材とする場合には任意の形状の発泡樹脂を用いることによって、ある程度の制御が可能である。しかしながら、従来の製造方法において、気孔率や気孔サイズを精密に制御することは困難であり、さらに気孔径のばらつきを抑えることも技術的に大きな課題であった。加えて、厚さ5mm以上の厚板や3D(立体任意形状)の多孔質焼結体ではこれらの課題はより困難である。
さらに、多孔質焼結体は、各種用途に応じて適切な通水性や通気性が求められる。通水性や通気性は、気孔率、気孔サイズの大きさだけでなく、隣接する気孔同士を接続する開口寸法(ウィンドウサイズ)の大きさによっても異なるため、ウィンドウサイズの大きさを制御することも求められている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、任意の気孔率および気孔サイズやウィンドウサイズを有する多孔質焼結体を提供することを目的とする。
本発明は、原料粉末、バインダ、および水を含む材料からなり気泡が分散形成されたスラリーを調製するスラリー製造工程と、このスラリーからグリーン体を形成するグリーン体形成工程と、このグリーン体を焼結する焼結工程とを有する多孔質焼結体の製造方法であって、前記スラリー製造工程は、真空雰囲気で前記材料を混練してスラリーを調製するとともに、その混練を前記スラリーの凝固点を超え沸点未満の保持温度で行い、前記スラリーから気泡および溶存ガスを除去する混練工程および脱泡工程と、前記保持温度に維持しつつ、前記スラリーに添加ガスを導入しながら攪拌することにより、前記スラリー中に前記添加ガスからなる気泡核を分散形成する気泡核形成工程とを有し、前記グリーン体形成工程は、前記気泡を有する前記スラリーを前記保持温度で所定の保持時間保持する安置工程と、前記スラリーを所定の凍結温度に冷却して凍結固化させる凍結固化工程と、凍結した前記スラリーを真空凍結乾燥させる真空凍結乾燥工程とを含む
この製造方法によれば、スラリーを冷却状態でしばらく保持することにより気泡を安定させ、そのスラリーを凍結して形状を固定してグリーン体を形成する。スラリーを保持する間に、隣接する気泡間でウィンドウを通じて気体が移動したり、ウィンドウサイズが拡
大したりするので、冷却温度および保持時間を設定することにより、任意の気泡サイズおよびウィンドウサイズすなわち任意の連通度を有するグリーン体を形成でき、それを真空凍結乾燥および焼結することにより、任意の気孔径およびウインドウサイズ(任意の連通度)を有する多孔質焼結体を製造することができる。
この場合、スラリーの凝固点を超える温度に保持温度を設定するのは、スラリーが凍結すると気泡核が膨張しにくくなるからである。また、沸点以下に保持温度を設定するのは、スラリーが沸騰すると添加ガスがスラリーから脱出するとともに、沸騰による気泡が形成されるため、気孔率や気孔サイズの制御が困難となるからである。スラリーをこの保持温度に保持することにより、スラリーの粘度は常温時よりも増大しており、気泡核形成工程で導入された添加ガスがスラリーの表面から脱出することが防止される。また、スラリーを脱泡した後に添加ガスを導入することにより気泡核を形成するので、スラリー中に含まれる気体量を精密に制御することができる。
この製造方法において、前記スラリーを保持する前記保持時間は1分以上60分以下であることが好ましい。1分以上に設定するのは気泡を安定させる効果を十分に得るためであり、60分以下に設定するのは隣接する気泡同士の一体化による気泡サイズの過剰な成長を防止するためである。
また、この製造方法において、前記スラリーに界面活性剤を添加してもよい。この場合、界面活性剤を適量添加することにより、ウィンドウサイズが大きく、連通度の大きい気孔を形成することができる。
この製造方法において、前記スラリー製造工程は、前記材料を混練してスラリーを調製する混練工程と、前記スラリーから気泡および溶存ガスを除去する脱泡工程と、このスラリーに添加ガスを導入しながら攪拌することにより、前記スラリー中に前記添加ガスからなる気泡核を分散形成する気泡核形成工程と、を有することが好ましい。
この方法によれば、スラリーを脱泡した後に添加ガスを導入することにより気泡核を形成するので、スラリー中に含まれる気体量を精密に制御することができる。
本発明の多孔質焼結体の製造方法は、特に厚いものや3D形状のものに有効の製造方法であり、任意量の気体が安定した気泡を形成するスラリーを凍結するので、気孔径やウィンドウサイズが制御され、任意の連通度を有する多孔質焼結体を実現できる。
多孔質焼結体の製造過程における気泡のウィンドウサイズを示す模式図である。 本発明の多孔質焼結体の製造方法において、気泡核形成工程を示す攪拌装置の模式図である。 本発明の多孔質焼結体の製造方法において、スラリーの充填工程(a)、減圧膨張工程(b)、凍結固化工程および真空凍結乾燥工程(c)および焼結工程(d)を示す模式図である。
以下、本発明の多孔質焼結体の製造方法について説明する。この製造方法は、気泡を有するスラリーを調製するスラリー製造工程と、このスラリーをグリーン体に形成するグリーン体形成工程と、グリーン体を焼結する焼結工程とを有する。
スラリー製造工程は、原料粉末とバインダと水とを含有する材料を混練してスラリーを調製する混練工程と、このスラリーから気泡および溶存ガスを除去する脱泡工程と、スラリー中に気泡核を分散形成する気泡核形成工程とを含む。
グリーン体を形成する工程は、スラリー中の気泡核を膨張させる減圧膨張工程と、気泡核が膨張した状態のスラリーを保持する安置工程と、そのスラリーを凍結させる凍結固化工程と、凍結したスラリーからグリーン体を形成する真空凍結乾燥工程とを含む。
ここで、多孔質焼結体全体における気孔の体積割合を気孔率と呼ぶ。気孔率は、同形の中実体の計算上の重量に対する実測重量から算出することができる。
また、多孔質焼結体の表面における5〜100倍顕微鏡写真の視野中の気孔の面積を測定して算出した円相当径の算術平均を、平均気孔径と呼ぶ。
また、視野中の円相当径から下記式により標本標準偏差σを求め、σの大きさから気孔径のばらつきの度合いを判断する。
Figure 0005299015
また、図1に示すように、スラリー中で気泡C同士が連結した部分wをウィンドウと呼ぶ。スラリー中の水分が除去され原料粉末が焼結された多孔質焼結体においては、ウィンドウwは開口した状態となる。したがって、このウィンドウwの大きさ(ウィンドウサイズ)が大きいほど、連続気孔の連通度が大きい、すなわち通気性や通水性の高い多孔質焼結体となる。
[スラリー製造工程]
(混練工程および脱泡工程)
まず、原料粉末、バインダ、水を含む材料を混練し、スラリーSを調製する混練工程を行う。この混練を真空雰囲気で行うことにより、脱泡しながらスラリーSを作成できる。つまり、混練工程と脱泡工程とが同時に行われる。
原料粉末は、Ni,Cu,Ti,Al,Ag,ステンレス鋼等の金属やセラミックス等、焼結が可能な材料の粉末であって、水アトマイズ法,プラズマアトマイズ法などのアトマイズ法、酸化物還元法,湿式還元法,カルボニル反応法などの化学プロセス法によって製造される。スラリー中の原料粉末の含有割合は30〜80質量%とする。なお、多孔質焼結体の平均気孔径や、スラリーSにおけるウィンドウの大きさは、原料粉末の平均粒径(粒度)が大きいほど大きくなる。したがって、原料粉末の平均粒径を調整することにより、多孔質焼結体の平均気孔径やウィンドウの大きさを調整することができる。
バインダは、原料粉末の粒子間を結合するものであり、メチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロース,カルボキシメチルセルロースアンモニウム,エチルセルロース,ポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂結合剤を使用することができる。スラリー中のバインダの含有割合は0.5〜20質量%とする。
水は、水溶性樹脂結合剤であるバインダの溶媒であるとともに、凍結することによりスラリーSの形状を固定する。スラリーSの粘度が低いほどウィンドウサイズは大きくなるので、水の含有割合を制御してスラリーSの粘度を制御することにより、多孔質焼結体における気孔の連通度を制御することができる。
なお、スラリーSにはさらに、必要に応じて界面活性剤、可塑剤等の添加剤を添加してもよい。
界面活性剤をスラリーSに添加することにより、多孔質焼結体の平均気孔径を大きくすることができる。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩,α‐オレフィンスルホン酸塩,アルキル硫酸エステル塩,アルキルエーテル硫酸エステル塩,アルカンスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤,ポリエチレングリコール誘導体,多価アルコール誘導体、アルキルベタインなどの非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤などを使用することができる。界面活性剤を混合する場合、スラリー中の含有割合は0.05〜10質量%とすることが好ましい。
可塑剤は、グリーン体に可塑性を付与して崩壊を防止する必要がある場合に添加され、例えばエチレングリコール,ポリエチレングリコール,グリセリンなどの多価アルコール、鰯油,菜種油,オリーブ油などの油脂、石油エーテルなどのエーテル類、フタル酸ジエチル,フタル酸ジNブチル,フタル酸ジエチルヘキシル,フタル酸ジオクチル,ソルビタンモノオレート,ソルビタントリオレート,ソルビタンパルミテート,ソルビタンステアレートなどのエステル等を使用することができる。可塑剤を混合する場合、スラリー中の含有割合は0.05〜3質量%とすることが好ましい。
なお、スラリーSの特性や成形性を向上させるために、任意の添加成分をさらに加えてもよい。例えば、防腐剤を添加してスラリーSの保存性を向上させたり、結合助材としてポリマー系化合物を加えて成形体の強度を向上させたりすることができる。しかしながら、不純物の少ない多孔質焼結体を製造するためには、原料粉末、水以外の材料は少ない方が好ましい。
これらの材料を1時間〜1.5時間真空混練し、含まれる気体(気泡および溶存ガス)を除去しながらスラリーSを作成する。さらに保持温度(予備冷却温度)に冷却した状態で1時間程度、真空混練を行う。予備冷却温度は、所定圧力におけるスラリーの凝固点を超え沸点未満(たとえば5℃以下)の温度に設定される。この予備冷却温度に保持されることにより、スラリーSの粘度は常温時よりも増大している。
(気泡核形成工程)
次に、この脱泡されたスラリーS中に気泡核を分散形成する気泡核形成工程を行う。この工程においては、図2に示すように、スラリーSを攪拌装置10に連続的に投入しながら、添加ガスC1をスラリーSに導入する。これらスラリーSおよび添加ガスC1は、それぞれ一定の体積流量で導入される。添加ガスC1としては、たとえば空気、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等のように、スラリーSを変質させず、焼結後に不純物として残存しない気体が好ましい。この添加ガスC1は、脱泡されたスラリーSの体積:添加ガスの体積=10:0.1〜8となる量で導入される。
この攪拌装置10内においても、スラリーSは予備冷却温度に冷却されている。このスラリーSを高速で攪拌することにより、スラリーS中に添加ガスC1が分散し、気泡核C2が形成される。このとき、スラリーSは冷却状態であって粘度が増大している状態であるので、導入された添加ガスC1はスラリーSの表面から脱出することが防止される。また、スラリーSは予め脱泡されている。したがって、導入された添加ガスC1のほぼ全てが気泡核C2として分散するとともに、スラリーS中の全ての気泡核C2は添加ガスC1で形成される。つまり、この工程において、スラリーS中に導入する添加ガスC1の量を制御することにより、スラリーSに含まれる気体量を精密に制御できる。
気泡核C2は、この気泡核形成工程における攪拌速度および攪拌時間を制御することによって、その平均径が制御される。また、予備冷却温度が低いほどスラリーSの粘度が高くなり、気泡核C2が小さく形成されやすい。すなわち、攪拌速度、攪拌時間、および予備冷却温度を制御することにより、気泡核C2の平均径を制御できる。
また、図2に示すように、スラリーSが取り出される攪拌装置10の出口11の断面積と、攪拌装置10中に導入されるスラリーSおよび添加ガスC1の流量とを制御することによって、攪拌装置10の内圧が制御される。この内圧を適切に設定することにより、気泡核C2をスラリーS中に均一に分散させることができる。たとえば、この気泡核形成工程においては、攪拌装置10の内圧をゲージ圧で0〜1atmに維持しながら、0.5分〜5分程度の間、スラリーSを攪拌することにより、平均径および分散を制御して気泡核C2を形成する。
(充填工程)
次に、任意の量の添加ガスC1を気泡核C2として含むスラリーSを、予備冷却温度に保持しながら、ポリスチレン等からなる成形型12に充填する(図3(a))。この工程においては、成形型12に充填したスラリーSに対して、打撃や超音波によって衝撃を与えたり、予備冷却温度に維持したまま1時間程度安置したりすることにより、充填されたスラリーSと成形型12との間に抱き込まれた気泡や、充填時にスラリーS中に形成された大きな空隙を取り除くことができる。
[グリーン体形成工程]
(減圧膨張工程)
次に、予備冷却温度に保持した状態でスラリーSを所定圧力に減圧して、スラリーS中の気泡核C2を膨張させて気泡C3を形成する。具体的には、スラリーSが充填された成形型12を減圧容器に入れ、0.01〜0.4atmに減圧することにより、気泡核C2を膨張させる(図3(b))。なお、スラリーSは予備冷却温度に冷却されているので、減圧容器内で減圧されても沸騰せず、気泡核C2が膨張して気泡C3となり、スラリーS全体の体積が増大する。
このとき、減圧速度が速すぎると、気泡C3が破裂してスラリーSから脱出するなどして安定せず、成形型12へのスラリーSの充填性が悪化するおそれがある。一方、減圧速度が遅すぎると、気泡C3同士が一体となって各気泡C3が大きくなりすぎるおそれがある。したがって、1分〜15分かけて所定圧力となるように、減圧容器内の圧力を調整する。
また、予備冷却温度が低いほど、スラリーSの粘度が高くなることにより、隣接する気泡C3同士が一体となりにくく、またウィンドウサイズが大きくなりにくくなる。すなわち、この減圧膨張工程における予備冷却温度を制御することにより、多孔質焼結体の平均気孔径および連通度を制御することができる。
(安置工程)
このように膨張したスラリーSを、圧力および温度を維持したまま、所定の保持時間(1分〜60分)安置する。この工程において、原料粉末が移動することにより気泡C3のウィンドウが拡大したり、スラリーS中で気体が移動することにより気泡C3自体が膨張・縮小したりするので、原料粉末および気体の移動を落ち着かせ、スラリーSを安定させることができる。この工程におけるスラリーSの保持時間は、短かすぎるとスラリーを安定させる効果が十分に得られず、長すぎると隣接する気泡同士が連結して一体となって気泡サイズが過剰に大きくなるおそれがあるが、適切に設定することにより気泡サイズのばらつきを小さくすることも可能である。なお、原料粉末の材質や界面活性剤の添加の有無等によってスラリーS中の気体や原料粉末の移動しやすさが異なるので、原料粉末の比重が小さい場合や界面活性剤を添加した場合等には、保持時間を比較的短く設定することが好ましい。
(凍結固化工程)
次に、このスラリーSを、−80℃以上凝固点以下の凍結温度に冷却し、0.1時間〜2時間保持する。この工程においては、スラリーS中の水が凝固することにより、気泡C3を含むスラリーSの形状が固定される。
(真空凍結乾燥工程)
次に、凍結したスラリーSを真空凍結乾燥させる。この工程において、スラリーSを真空中で水分を昇華させることにより、形状が維持されたまま原料粉末がバインダによって保持されてなるグリーン体Gを形成する(図3(c))。このグリーン体Gには、気泡核C2を成長させた気泡C3の形状をほぼ維持した状態で気孔Hが形成されている。なお、スラリーSは凍結固化工程により固化されているので、この工程は成形型12から取りだした状態で行ってもよい。グリーン体Gは、バインダの混合量が少ない場合には脆弱であり自重による崩壊のおそれがあるが、スラリーに可塑剤を混合しておくことにより、強度を向上させ崩壊を防止することができる。なお、バインダや可塑剤は多孔質焼結体には不要な不純物として残存するので、多孔質焼結体の不純物を減少させるためには、バインダや可塑剤の含有割合を減少させることが好ましい。
[焼結工程]
このグリーン体Gを焼結し、多孔質焼結体Pを形成する(図3(d))。このとき、成形型12に入れたままグリーン体Gを焼結させることができる場合には、グリーン体Gが崩壊するおそれが小さいので、バインダの含有割合を減少させ、多孔質焼結体Pに残留する不純物をさらに減少させることも可能となる。
以上のように、任意量の添加ガスC1を気泡核C2として有するスラリーSを冷却状態で減圧し、所定時間保持することにより、任意の連通度を有する多孔質焼結体Pを製造することができる。
ここで、安置工程における保持時間を変化させた場合に得られる多孔質焼結体について、実施例をあげて説明する。
以下の実施例において、スラリーは
原料粉末として、平均粒径8μmのステンレス鋼(SUS316)またはチタン粉末:73質量%、
バインダとして、水溶性樹脂結合剤:3質量%、
界面活性剤:0.05質量%
水:残部
を含有するものを用いた。
以下の実施例では、減圧膨張工程の圧力を0.1atmとして、脱泡状態のスラリーと減圧膨張後の気泡との体積比が10:3となるようにスラリーを調製し、縦50mm、横50mm、厚さ5mmの多孔質焼結体を製造した。
表1に、ステンレス鋼粉末を含むスラリーを用いて、安置工程における保持時間および界面活性剤の添加の有無を変化させて製造した多孔質焼結体の気孔率、平均気孔径、気孔径のばらつきおよび連通度について示す。
気孔径のばらつきについては、円相当径および平均気孔径から算出した標本標準偏差σから、σ>60であれば「ばらつき大」、60≧σ>25であれば「ばらつき中」、25≧σであれば「ばらつき小」と判断した。
Figure 0005299015
これらの実施例から、安置工程における保持時間が長い方が気孔率は高く、平均気孔径が大きくなって連通度が大きくなり、気孔径のばらつきが小さくなることが確認できた。また、界面活性剤の添加によって、平均気孔径が大きくなることが確認できた。
次に、スラリーに含まれる原料粉末をチタンに変更し、表1と同様に安置工程での保持時間を変化させて製造させた多孔質焼結体について表2に示す。これらの実施例から、安置工程における保持時間および界面活性剤の有無と気孔率、平均気孔径、気孔径のばらつきおよび連通度との関係は、原料粉末をステンレス鋼とした場合と同様であったが、同じ条件においてはチタン粉末の方が気孔率および平均気孔径が大きくなる傾向が確認できた。これは、ステンレス鋼に比較してチタンの比重が小さいため、安置工程において原料粉末がスラリー中で移動しやすく、保持時間や界面活性剤による影響が比較的大きくなるものと考えられる。
Figure 0005299015
以上説明したように、本発明によれば、気泡を形成したスラリーを所定温度で所定時間保持してから凍結してグリーン体を形成することにより、気孔径の大きさやばらつきを制御して、任意の連通度を有する多孔質焼結体を製造することができる。
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
10 攪拌装置
11 出口
C1 添加ガス
C2 気泡核
C3 気泡
G グリーン体
H 気孔
P 多孔質焼結体
S スラリー

Claims (4)

  1. 原料粉末、バインダ、および水を含む材料からなり気泡が分散形成されたスラリーを調製するスラリー製造工程と、このスラリーからグリーン体を形成するグリーン体形成工程と、このグリーン体を焼結する焼結工程とを有する多孔質焼結体の製造方法であって、
    前記スラリー製造工程は、真空雰囲気で前記材料を混練してスラリーを調製するとともに、その混練を前記スラリーの凝固点を超え沸点未満の保持温度で行い、前記スラリーから気泡および溶存ガスを除去する混練工程および脱泡工程と、前記保持温度に維持しつつ、前記スラリーに添加ガスを導入しながら攪拌することにより、前記スラリー中に前記添加ガスからなる気泡核を分散形成する気泡核形成工程とを有し、
    前記グリーン体形成工程は、前記気泡を有する前記スラリーを前記保持温度で所定の保持時間保持する安置工程と、前記スラリーを所定の凍結温度に冷却して凍結固化させる凍結固化工程と、凍結した前記スラリーを真空凍結乾燥させる真空凍結乾燥工程とを含むことを特徴とする多孔質焼結体の製造方法。
  2. 前記安置工程において前記スラリーを保持する前記保持時間は1分以上60分以下であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質焼結体の製造方法。
  3. 前記スラリー製造工程において、前記スラリーに界面活性剤を添加することを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質焼結体の製造方法。
  4. 前記気泡核を含む前記スラリーを前記保持温度に冷却した状態で所定圧力に減圧することにより前記気泡核を膨張させる減圧膨張工程を含み、
    この減圧膨張工程は、前記安置工程の前に行われることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の多孔質焼結体の製造方法。
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