JP5298277B2 - 樹脂改質剤、ビニル樹脂、塗料及び塗料組成物 - Google Patents

樹脂改質剤、ビニル樹脂、塗料及び塗料組成物 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂改質剤、ビニル樹脂、これを含有してなる塗料及び塗料組成物に関する。
樹脂改質剤としては、塗膜を親水化して、建築物の外装面の汚れを降雨により洗い流す防汚性を付与するもの、たとえば、グリセリン又はペンタエリスリトール等にエチレンオキシドやプロピレンオキシドを重合させた化合物等からなる防汚性付与剤(特許文献1)や、エポキシ基含有化合物と水酸基含有化合物との反応による架橋重合物等からなる親水性付与剤(特許文献2)が知られている。
特開平11−279454号公報 特開2003−253197号公報
特許文献1に記載の防汚性付与剤では、塗膜に付与された親水性(防汚性)が短期間に消失するという問題がある。また特許文献2に記載の親水性付与剤では、塗膜に十分な親水性(防汚性)を付与しようとすると、塗膜の耐水性が著しく低下し、逆に十分な耐水性を付与しようとすると、親水性(防汚性)が著しく低下するという問題、すなわち、親水性と耐水性とのバランスがとり難いという問題がある。
本発明の目的は、塗膜の耐水性を損なうことなく塗膜に充分な親水性(防汚性)を付与し、且つ長期に亘る親水性保持能力(長期防汚性)に優れた塗膜を形成できる樹脂改質剤を提供することである。
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に達した。
すなわち、本発明の樹脂改質剤の特徴は、一般式(1)〜(3)のいずれかで表されるポリオキシアルキレン化合物を含む点を要旨とする。
Figure 0005298277


一般式(1)〜(3)において、Qは非還元性の二又は三糖類のm個の1級水酸基から水素原子を除いた反応残基、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、Lは2−ヒドロキシプロピレン基{-CHCH(OH)CH-}、Lは炭素数10〜60のジグリシジルエーテルの反応残基又は炭素数6〜20のジイソシアネートの反応残基、nは3〜30の整数、mは2〜4の整数、Hは水素原子を表し、OA、(OA)n、Q、n、m、L、Lはそれぞれ同じでも異なってもよい。また反応残基(Q)1個当たりのオキシアルキレン基(OA)の総数{有機基(X)中のオキシアルキレン基(OA)を含まない。}は10〜80の整数である。
また、Xは一般式(4)で表される有機基である。

CH=CH−CH−O−(OA) (4)

一般式(4)において、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、qは10〜50の整数、Cは炭素原子、Hは水素原子、Oは酸素原子である。
また、本発明の樹脂改質剤の特徴は、非還元性の二又は三糖類(a1)1モル部及び炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)10〜80モル部の化学反応による化合物(a12)1モル部と、
アリルアルコール(a3)1モル部及び炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)10〜50モル部の化学反応による化合物(a32)1モル部と、エピハロヒドリン(a4)1モル部との化学反応によるアリル基含有グリシジルエーテル(a324)1モル部との化学反応により製造されポリオキシアルキレン化合物(Y10);
化合物(a12)1モル部と、
化合物(a32)1モル部と、
炭素数10〜60のジグリシジルエーテル(a5)1モル部との化学反応により製造されポリオキシアルキレン化合物(Y21);
化合物(a12)1モル部と、
化合物(a32)1モル部と、
炭素数6〜20のジイソシアネート(a6)1モル部との化学反応により製造されポリオキシアルキレン化合物(Y22);
化合物(a12)2モル部と、
化合物(a32)1モル部と、
ジグリシジルエーテル(a5)2モル部との化学反応により製造されポリオキシアルキレン化合物(Y31);並びに/又は
化合物(a12)2モル部と、
化合物(a32)1モル部と、
ジイソシアネート(a6)2モル部との化学反応により製造されポリオキシアルキレン化合物(Y32)を必須成分としてなる点を要旨とする。
また、本発明のビニル樹脂の特徴は、上記の樹脂改質剤及びビニルモノマーを必須構成モノマーとしてなり、
ポリオキシアルキレン化合物単位{樹脂改質剤に由来するもの}の含有量がビニルモノマー単位及びポリオキシアルキレン化合物単位{樹脂改質剤に由来するもの}の重量に基づいて1〜20重量%である点を要旨とする。
本発明の塗料の特徴は、上記のビニル樹脂を含有してなる点を要旨とする。
本発明の塗料組成物の特徴は、上記の樹脂改質剤及びビニルモノマーを必須構成モノマーとしてなり、ポリオキシアルキレン化合物単位{樹脂改質剤に由来するもの}の含有量がビニルモノマー単位及びポリオキシアルキレン化合物単位{樹脂改質剤に由来するもの}の重量に基づいて1〜20重量%であるビニル樹脂を含有してなる塗料と、
上記の樹脂改質剤とからなり、この樹脂改質剤を塗料の重量に基づいて0.5〜5重量%含有してなる点を要旨とする。
本発明の樹脂改質剤は、塗膜の耐水性を損なうことなく塗膜に充分な親水性(防汚性)を付与し、且つ長期に亘る親水性保持能力(長期防汚性)に優れた塗膜を形成できる。すなわち、本発明の樹脂改質剤を用いると、耐水性、親水性及び親水性保持能力に著しく優れた塗膜を容易に得ることができる。
本発明のビニル樹脂は上記の樹脂改質剤を構成単位として含むので、耐水性、親水性及び親水性保持能力に著しく優れた塗膜を容易に得ることができる。
本発明の塗料は上記のビニル樹脂を含有するので、耐水性、親水性及び親水性保持能力に著しく優れた塗膜を容易に得ることができる。
本発明の塗料組成物は上記のビニル樹脂及び上記の樹脂改質剤を含有するので、耐水性、親水性及び親水性保持能力に著しく優れた塗膜を容易に得ることができる。
一般式(1)〜(3)において、非還元性の二又は三糖類のm個の1級水酸基から水素原子を除いた反応残基(Q)を構成することができる二又は三糖類としては、蔗糖(サッカロース)、トレハロース、イソトレハロース、イソサッカロース、ゲンチアノース、ラフィノース、メレチトース及びプランテオース等が含まれる。これらのうち、耐水性、親水性及び親水性保持能力の観点等から、蔗糖、トレハロース、ゲンチアノース、ラフィノース及びプランテオースが好ましく、さらに好ましくは蔗糖及びラフィノースであり、供給性及びコスト等の観点から特に好ましくは蔗糖である。
炭素数2〜4のオキシアルキレン基(OA)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン及びこれらの混合等が挙げられる。これらのうち、親水性及び親水性保持能力の観点等からはオキシエチレンが好ましく、また耐水性の観点等からはオキシプロピレン及びオキシブチレンが好ましく、親水性、親水性保持能力及び耐水性の観点等から、さらに好ましくはオキシプロピレン、及びオキシプロピレンとオキシエチレンとの混合である。また、n個のOAは、同じでも異なってもよい。複数個の(OA)nは同じでも異なってもよい。
(OA)n内に複数種類のオキシアルキレン基を含む場合、これらのオキシアルキレン基の結合順序(ブロック状、ランダム状及びこれらの組合せ)及び含有割合には制限ないが、ブロック状又はブロック状とランダム状との組合せを含むことが好ましい。またこの場合、親水性をさらに向上させるためにオキシエチレンを含むことが好ましい。オキシエチレンを含む場合はその含有割合(モル%)は、オキシアルキレン基の全モル数{有機基(X)中のオキシアルキレン基を含まない。}に基づいて、5〜20が好ましく、さらに好ましくは5〜15、特に好ましくは7〜15、最も好ましくは10〜15である。
また、(OA)nにオキシエチレン基と、オキシプロピレン基又は/及びオキシブチレン基とを含む場合、反応残基(Q)から離れた端部にオキシプロピレン又は/及びオキシブチレンが位置することが好ましい。すなわち、(OA)nにオキシエチレン基を含む場合、反応残基(Q)にオキシエチレン基が直接的に結合し得ていることが好ましい。
nは、3〜30の整数が好ましく、さらに好ましくは5〜25の整数、特に好ましくは10〜25の整数、最も好ましくは10〜20の整数である。この範囲であると塗膜の親水性、親水性保持能力及び耐水性がさらに良好となる。
mは、2〜4の整数であり、たとえば、蔗糖の場合は3、トレハロースの場合は2、メレチトースの場合は4である。この範囲であると塗膜の親水性及び親水性保持能力がさらに良好となる。n又はmは、すべて同じでもよく、一部又は全部が異なってもよい。
反応残基(Q)1個当たりのオキシアルキレン基(OA)の総数{有機基(X)中のオキシアルキレン基(OA)を含まない。}は、10〜80の整数が好ましく、さらに好ましくは15〜70の整数、特に好ましくは15〜60の整数、最も好ましくは20〜50の整数である。この範囲であると、塗膜の耐水性、親水性及び親水性保持能力がさらに良好となる。
なお、反応残基(Q)1個当たりのOAの総数{有機基(X)中のオキシアルキレン基(OA)を含まない。}とは、一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物又は一般式(2)で表されるポリオキシアルキレン化合物の場合、ポリオキシアルキレン化合物に含まれるオキシアルキレン基の数のうち、有機基(X)に含まれるオキシアルキレン基の数を除いた数を意味し、一般式(3)で表されるポリオキシアルキレン化合物の場合、ポリオキシアルキレン化合物に含まれるオキシアルキレン基の数のうち有機基(X)に含まれるオキシアルキレン基の数を除いた数を、2で除した値を意味する。
一般式(1)において、Lは2−ヒドロキシプロピレン基{-CHCH(OH)CH-}を表し、エピハロヒドリンの反応残基等から構成される。
一般式(2)、(3)において、Lは炭素数10〜60のジグリシジルエーテルの反応残基又は炭素数6〜20のジイソシアネートの反応残基(−CO−NH−M−NH−CO−で表される基)を表す。
炭素数10〜60のジグリシジルエーテルの反応残基としては、2,11−ジヒドロキシ−4,9−ジオキサドデシレン{−CHCH(OH)CHOCHCHCHCHOCHCH(OH)CH−}、2,10−ジヒドロキシ−4,8−ジオキサ−6、6−ジメチルウンデシレン{−CHCH(OH)CHOCHC(CHCHOCHCH(OH)CH−}、2,13−ジヒドロキシ−4,11−ジオキサテトラデシレン{−CHCH(OH)CHOCHCHCHCHCHCHOCHCH(OH)CH−}、2,6,10−トリヒドロキシ−4,8−ジオキサウンデシレン{−CHCH(OH)CHOCHCH(OH)CHOCHCH(OH)CH−}、2,10−ジヒドロキシ−4,8−ジオキサ−6−ヒドロキシメチル−6−エチルウンデシレン{−CHCH(OH)CHOCHC(C)(CHOH)CHOCHCH(OH)CH−}、2,10−ジヒドロキシ−4,8−ジオキサ−6,6−ビスヒドロキシメチルウンデシレン{−CHCH(OH)CHOCHC(CHOH)CHOCHCH(OH)CH−}及びポリオキシアルキレン(炭素数4〜54、アルキレンの炭素数は2〜4)ジグリシジルエーテルの反応残基{−CHCH(OH)CH(−OA)t−OCHCH(OH)CH−;OAはオキシアルキレン基、tは2〜20の整数}等が挙げられる。
炭素数6〜20のジイソシアネートの反応残基(−CO−NH−M−NH−CO−で表される基)において、Mは炭素数4〜18の有機基{アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン及びアルアルキレン(アリールアルキレン)等}を表す。
この有機基は、水素原子の一部がハロゲン原子及び/又は炭素数1〜6のアルコキシ等で置換されていても構わず、またこれらの基同士がオキサ基(−O−)又はスルホニル基(−SO−)で結合されていてもよい。
アルキレンとしては、炭素数4〜8のアルキレン等が用いられ、ブチレン、ヘキサメチレン及び2−エチルヘキシレン等が挙げられる。
シクロアルキレンとしては、炭素数6〜15のシクロアルキレン等が用いられ、シクロヘキシレン、ジシクロヘキシレン、メチルシクロヘキシレン、トリメチルシクロヘキシレン、ノニルシクロヘキシレン、-(ch)-CH-(ch)-で表される基、-CH-(ch)-CH-で表される基、-(ch)-C(CH-(ch)-で表される基、-(ch)-CHCH-(ch)-で表される基及び-(tmch)-CH-で表される基等が挙げられる。なお、(ch)はシクロヘキシレン、(tmch)はトリメチルシクロヘキシレン、Cは炭素原子、Hは水素原子を表す(以下同様)。これらの他、-(ch)-O-(ch)-で表される基、-(ch)-SO-(ch)-で表される基、クロロシクロヘキシレン及びメトキシシクロヘキシレン等も使用できる。
アリーレンとしては、炭素数6〜15のアリーレン等が用いられ、フェニレン、トリレン、メチルフェニレン、エチルフェニレン、テトラメチルフェニレン、キシリレン、ノニルフェニレン、ナフチレン、ビフェニリレン、ジメチルビフェニリレン、アントリレン、フェナントリレン、-(ph)-CH-(ph)-で表される基、-(ph)-C(CH-(ph)-で表される基、-(ph)-CHCH-(ph)-で表される基及び-CH-(ph)-CH-で表される基等が挙げられる。なお、(ph)はフェニレンを表す(以下同様)。これらの他、-(ph)-O-(ph)-で表される基、-(ph)-SO-(ph)-で表される基、ブロモフェニレン、クロロナフチレン、クロロビフェニレン及びメトキシフェニレン等も使用できる。
アルアルキレンとしては、炭素数7〜18のアルアルキレン等が用いられ、フェニルエチレン、トリルブチレン、エチルフェニルエチレン、キシリルヘキシレン、ノニルフェニルエチレン、ナフチルブチレン、ビフェニリルエチレン及びフェナントリルプロピレン等が挙げられる。これらの他、ブロモフェニルエチレン、クロロビフェニリルエチレン、メトキシフェニルエチレン、ブトキシナフチルブチレン及びジエトキシビフェニリルエチレン等も使用できる。
これらの有機基(M)のうち、アルキレン、シクロアルキレン及びアリーレンが好ましく、さらに好ましくはヘキサメチレン、-(tmch)-CH-で表される基及びキシリレン、特に好ましくはヘキサメチレンである。
一般式(4)で表される有機基において、{CH=CH−CH−O−}は、アリルアルコール{CH=CH−CH−OH}から活性水素を除いた反応残基等から構成される。
炭素数2〜4のオキシアルキレン基(OA)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン及びこれらの混合等が挙げられる。これらのうち、親水性及び親水性保持能力の観点等からはオキシエチレンが好ましく、また耐水性の観点等からはオキシプロピレン及びオキシブチレンが好ましく、さらに好ましくは、親水性、親水性保持能力及び耐水性の観点等から、オキシプロピレン、及びオキシプロピレンとオキシエチレンとの混合である。
また、q個のOAは、同じでも異なってもよい。
(OA)q内に複数種類のオキシアルキレン基を含む場合、これらのオキシアルキレン基の結合順序(ブロック状、ランダム状及びこれらの組合せ)及び含有割合には制限ないが、ブロック状又はブロック状とランダム状との組合せを含むことが好ましい。またこの場合、親水性をさらに向上させるためにオキシエチレンを含むことが好ましい。オキシエチレンを含む場合はその含有割合(モル%)は、有機基(X)中のオキシアルキレン基の全モル数に基づいて、10〜40が好ましく、さらに好ましくは10〜35、特に好ましくは10〜30、最も好ましくは15〜30である。
また、(OA)qにオキシエチレン基と、オキシプロピレン基又は/及びオキシブチレン基とを含む場合、アリルアルコール反応残基から離れた端部にオキシエチレンが位置することが好ましい。
一般式(4)において、qは、10〜50の整数が好ましく、さらに好ましくは15〜45の整数、特に好ましくは15〜40の整数、最も好ましくは20〜40の整数である。この範囲であると塗膜の親水性がさらに良好となる。
一般式(1)〜(3)で表されるポリオキシアルキレン化合物としては、非還元性の二又は三糖類(a1)1モル部及び炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)10〜80モル部との化学反応による化合物(a12)1モル部と、
アリルアルコール(a3)1モル部及び炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)10〜50モル部の化学反応による化合物(a32)1モル部と、エピハロヒドリン(a4)1モル部との化学反応によるアリル基含有グリシジルエーテル(a324)1モル部との化学反応により製造されポリオキシアルキレン化合物(Y10);
化合物(a12)1モル部と、化合物(a32)1モル部と、炭素数10〜60のジグリシジルエーテル(a5)1モル部との化学反応により製造されポリオキシアルキレン化合物(Y21);
化合物(a12)1モル部と、化合物(a32)1モル部と、炭素数6〜20のジイソシアネート(a6)1モル部との化学反応により製造されポリオキシアルキレン化合物(Y22);
化合物(a12)2モル部と、化合物(a32)1モル部と、ジグリシジルエーテル(a5)2モル部との化学反応により製造されポリオキシアルキレン化合物(Y31);並びに/又は
化合物(a12)2モル部と、化合物(a32)1モル部と、ジイソシアネート(a6)2モル部との化学反応により製造されポリオキシアルキレン化合物(Y32)等が含まれる。
これらの化学反応により製造されポリオキシアルキレン化合物は、オキシアルキレン基やn、qの数等に分布を生じる場合があり、この場合、厳密には複数種類のポリオキシアルキレン化合物の混合物となり、この混合物の中に、一般式(1)〜(3)で表されるポリオキシアルキレン化合物が含まれるものである。なお、この場合でも製造方法を限定するものではない。
そして、化合物(a12)において、アルキレンオキシド(a2)の使用量(モル部)としては、非還元性の二又は三糖類(a1)1モル部に対して、10〜80が好ましく、さらに好ましくは15〜70、特に好ましくは15〜60、最も好ましくは20〜50である。この範囲であると、親水性及び親水性保持能力及び耐水性がさらに良好となる。
化合物(a32)において、アルキレンオキシド(a2)の使用量(モル部)としては、アリルアルコール(a3)1モル部に対して、10〜50モルが好ましく、さらに好ましくは15〜45、特に好ましくは15〜40、最も好ましくは20〜40である。この範囲であると、親水性及び親水性保持能力がさらに良好となる。
ポリオキシアルキレン化合物(Y10)には一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物が含まれ、ポリオキシアルキレン化合物(Y21)、(Y22)には一般式(2)で表されるポリオキシアルキレン化合物が含まれ、ポリオキシアルキレン化合物(Y31)、(Y32)には一般式(3)で表されるポリオキシアルキレン化合物が含まれる。
非還元性の二又は三糖類(a1)としては、反応残基(Q)を構成することができる二又は三糖類と同じものが使用でき、好ましい範囲も同じである。
アルキレンオキシド(a2)としては、炭素数2〜4のアルキレンオキシド等が使用でき、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド(BO)及びこれらの混合物等が挙げられる。これらのうち、親水性及び親水性保持能力等の観点からEOが好ましく、耐水性等の観点からPO及びBOが好ましく、親水性、親水性保持能力及び耐水性等の観点からさらに好ましくはPO、及びPOとEOとの混合である。
炭素数10〜60のジグリシジルエーテル(a5)としては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル及びポリオキシアルキレングリコール(炭素数4〜54、アルキレンの炭素数は2〜4)ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
炭素数6〜20のジイソシアネート(a6)としては、アルキレンジイソシアネート、シクロアルキレンジイソシアネート、アリーレンジイソシアネート及びアルアルキレンジイソシアネート等が含まれる。
なお、アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン又はアルアルキレン(アリールアルキレン)に含まれる水素原子の一部がハロゲン原子及び/又は炭素数1〜6のアルコキシ等で置換されていても構わず、またオキサ基(−O−)又はスルホニル基(−SO−)を含んでいてもよい。
アルキレンジイソシアネートとしては、炭素数4〜8のアルキレンジイソシアネート等が用いられ、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及び2−エチルヘキシレンジイソシアネート等が挙げられる。
シクロアルキレンジイソシアネートとしては、炭素数6〜15のシクロアルキレンジイソシアネート等が用いられ、シクロヘキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、トリメチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ノニルシクロヘキシレンジイソシアネート、OCN-(ch)-CH-(ch)-NCOで表されるジイソシアネート、OCN-CH-(ch)-CH-NCOで表されるジイソシアネート、OCN-(ch)-C(CH-(ch)-NCOで表されるジイソシアネート、OCN-(ch)-CHCH-(ch)-NCOで表されるジイソシアネート及びOCN-(tmch)-CH-NCO(イソホロンジイソシアネート)で表されるジイソシアネート等が挙げられる。これらの他、OCN-(ch)-O-(ch)-NCOで表されるジイソシアネート、OCN-(ch)-SO-(ch)-NCOで表されるジイソシアネート、クロロシクロヘキシレンジイソシアネート及びメトキシシクロヘキシレンジイソシアネート等も使用できる。なお、−NCOはイソシアナト基を表す(以下同じ)。
アリーレンジイソシアネートとしては、炭素数6〜15のアリーレンジイソシアネート等が用いられ、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、メチルフェニレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、テトラメチルフェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ノニルフェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ビフェニリレンジイソシアネート、ジメチルビフェニリレンジイソシアネート、アントリレンジイソシアネート、フェナントリレンジイソシアネート、OCN-(ph)-CH-(ph)-NCOで表されるジイソシアネート、OCN-(ph)-C(CH-(ph)-NCOで表されるジイソシアネート、OCN-(ph)-CHCH-(ph)-NCOで表されるジイソシアネート及びOCN-CH-(ph)-CHNCO-で表されるジイソシアネート等が挙げられる。これらの他、OCN-(ph)-O-(ph)-NCOで表されるジイソシアネート、OCN-(ph)-SO-(ph)-NCOで表されるジイソシアネート、ブロモフェニレンジイソシアネート、クロロナフチレンジイソシアネート、クロロビフェニレンジイソシアネート及びメトキシフェニレンジイソシアネート等も使用できる。
アルアルキレンジイソシアネートとしては、炭素数7〜18のアルアルキレンジイソシアネート等が用いられ、フェニルエチレンジイソシアネート、トリルブチレンジイソシアネート、エチルフェニルエチレンジイソシアネート、キシリルヘキシレンジイソシアネート、ノニルフェニルエチレンジイソシアネート、ナフチルブチレンジイソシアネート、ビフェニリルエチレンジイソシアネート及びフェナントリルプロピレンジイソシアネート等が挙げられる。これらの他、ブロモフェニルエチレンジイソシアネート、クロロビフェニリルエチレンジイソシアネート、メトキシフェニルエチレンジイソシアネート、ブトキシナフチルブチレンジイソシアネート及びジエトキシビフェニリルエチレンジイソシアネート等も使用できる。
これらのジイソシアネートのうち、アルキレンジイソシアネート、シクロアルキレンジイソシアネート及びアリーレンジイソシアネートが好ましく、さらに好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート、OCN-(tmch)-CH-NCOで表されるジイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)及びキシリレンジイソシアネート、特に好ましくはヘキサメチレンジイソシアネートである。
非還元性の二又は三糖類(a1)及びアルキレンオキシド(a2)の化学反応において、複数種類のアルキレンオキシドを用いる場合、反応させる順序(ブロック状、ランダム状及びこれらの組合せ)及び使用割合には制限ないが、ブロック状又はブロック状とランダム状との組合せを含むことが好ましくい。また、この場合、EOを含むことが好ましい。EOを含有する場合、EOの使用割合(モル%)は、アルキレンオキシドの全モル数に基づいて、5〜20が好ましく、さらに好ましくは5〜15、特に好ましくは7〜15、最も好ましくは10〜15である。EOと、PO又は/及びBOとを含む場合、二又は三糖類(a1)へのEOの反応後にPO及び/又はBOを反応させることが好ましい。
アリルアルコール(a3)及びアルキレンオキシド(a2)の化学反応において、複数種類のアルキレンオキシドを用いる場合、反応させる順序(ブロック状、ランダム状及びこれらの組合せ)及び使用割合には制限ないが、ブロック状又はブロック状とランダム状との組合せを含むことが好ましい。この場合、親水性をさらに向上させるためにEOを含むことが好ましい。EOを使用する場合、EOの使用割合(モル%)は、アルキレンオキシドの全モル数に基づいて、10〜40が好ましく、さらに好ましくは10〜35、特に好ましくは10〜30、最も好ましくは15〜30である。EOと、PO又は/及びBOとを含む場合、アリルアルコール(a3)へのEOの反応後にPO及び/又はBOを反応させることが好ましい。
非還元性の二又は三糖類(a1)及びアルキレンオキシド(a2)の化学反応、並びにアリルアルコール(a3)及びアルキレンオキシド(a2)の化学反応は、アニオン重合、カチオン重合又は配位アニオン重合等のいずれの形式で実施してもよい。また、これらの重合形式は単独でも、重合度等に応じて組み合わせて用いてもよい。
これらのアルキレンオキシド(a2)との化学反応には反応触媒が使用できる。なお、反応溶媒として以下に説明するアミドを用いる場合、反応触媒を用いる必要がない。
反応触媒としては、通常使用されるアルキレンオキシド付加反応用触媒等が使用でき、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ルビジウム及び水酸化セシウム等)、アルカリ金属のアルコラート(カリウムメチラート及びセシウムエチラート等)、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の炭酸塩(炭酸カリウム、炭酸セシウム及び炭酸バリウム等)、炭素数3〜24の3級アミン(トリメチルアミン、トリオクチルアミン、トリエチレンジアミン及びテトラメチルエチレンジアミン等)、及びルイス酸(塩化第二錫及びトリフッ化ホウ素等)等が用いられる。これらのうち、アルカリ金属の水酸化物及び3級アミン化合物が好ましく、さらに好ましくは水酸化カリウム、水酸化セシウム及びトリメチルアミンである。
反応触媒を使用する場合、その使用量(重量%)は、非還元性の二又は三糖類(a1)及びアルキレンオキシド(a2)の合計重量、又はアリルアルコール(a3)及びアルキレンオキシド(a2)の合計重量に基づいて、0.05〜2が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1、特に好ましくは0.2〜0.6である。
反応触媒を使用する場合、反応触媒は反応生成物から除去することが好ましく、その方法としては、合成アルミノシリケートなどのアルカリ吸着剤{例えば、商品名:キョーワード700、協和化学工業(株)製、「キョーワード」は同社の登録商標である。}を用いる方法(特開昭53−123499号公報等)、キシレン又はトルエンなどの溶媒に溶かして水洗する方法(特公昭49−14359号公報等)、イオン交換樹脂を用いる方法(特開昭51−23211号公報等)及びアルカリ性触媒を炭酸ガスで中和して生じる炭酸塩を濾過する方法(特公昭52−33000号公報)等が挙げられる。
反応触媒の除去の終点としては、CPR(Controlled Polymerization Rate)値が20以下であることが好ましく、さらに好ましくは10以下、特に好ましくは5以下、最も好ましくは2以下である。なお、CPRは、JIS K1557−4:2007に準拠して測定される。
反応容器としては、加熱、冷却及び撹拌が可能な耐圧性反応容器を用いることが好ましい。反応雰囲気としては、アルキレンオキシド(a2)を反応系に導入する前に反応装置内を真空または乾燥した不活性気体(アルゴン、窒素及び二酸化炭素等)の雰囲気とすることが好ましい。また、反応温度(℃)としては80〜150が好ましく、さらに好ましくは90〜130である。反応圧力(ゲージ圧:MPa)は0.8以下が好ましく、さらに好ましくは0.5以下である。
反応終点の確認は、次の方法等により行うことができる。すなわち、反応温度を15分間一定に保ったとき、反応圧力(ゲージ圧)の低下が0.001MPa以下となれば反応終点とする。所要反応時間は通常4〜12時間である。
非還元性の二又は三糖類(a1)及びアルキレンオキシド(a2)の化学反応には、反応溶媒を用いることが好ましい。反応溶媒としては、活性水素を持たないものが好ましく、さらに好ましくは非還元性の二又は三糖類(a1)、アルキレンオキシド(a2)及びこれらの反応により生成する生成物(a12)を溶解するものが好ましい。
このような反応溶媒としては、炭素数3〜8のアルキルアミド及び炭素数5〜7の複素環式アミド等が使用できる。
アルキルアミドとしては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−N−プロピルアセトアミド及び2−ジメチルアミノアセトアルデヒドジメチルアセタール等が挙げられる。
複素環式アミドとしては、N−メチルピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム及びN,N−ジメチルピロールカルボン酸アミド等が挙げられる。
これらのうち、アルキルアミド及びN−メチルピロリドンが好ましく、さらに好ましくはDMF、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチルピロリドン、特に好ましくはDMF及びN−メチルピロリドン、最も好ましくはDMFである。
反応溶媒を用いる場合、その使用量(重量%)は、二又は三糖類(a1)とアルキレンオキシド(a2)との反応により生成する化合物(a12)の重量に基づいて、20〜200が好ましく、さらに好ましくは40〜180、特に好ましくは60〜150である。
反応溶媒を用いた場合、反応後に反応溶媒を除去することが好ましい。反応溶媒の残存量(重量%)は、ポリオキシアルキレン化合物の重量に基づいて、0.1以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.05以下、特に好ましくは0.01以下である。なお、反応溶媒の残存量は、内部標準物質を用いるガスクロマトグラフィー法にて求めることができる。
反応溶媒の除去方法としては、減圧留去及び吸着除去等が適用でき、減圧留去した後さらに吸着除去することが好ましい。
減圧留去する条件としては、0.6〜27kPaの減圧下にて100〜150℃にて留去する条件等が適用できる。
吸着除去としては、合成アルミノシリケート等のアルカリ吸着剤{例えば、商品名:キョーワード700、協和化学工業(株)製}を用いて処理する方法等が適用できる。例えば、キョーワード700を用いる場合、アルカリ吸着剤の添加量(重量%)は、化合物(a12)の重量に基づいて、0.1〜10程度、処理温度は60〜120℃程度、処理時間は0.5〜5時間程度である。続いてろ紙又はろ布等を用いてろ別してアルカリ吸着剤を取り除くことにより、反応溶媒の残存量を減少させることができる。
化合物(a32)とエピハロヒドリン(a4)との反応によるアリル基含有グリシジルエーテル(a324)は、(1)化合物(a32)の水酸基とエピハロヒドリン(a4)のエポキシ基とをエポキシ開環反応させ、次いで、(2)脱ハロゲン化水素によるエポキシ環の再生させる方法又は、(3)化合物(a32)の水酸基の水素原子とエピハロヒドリン(a4)のハロゲン原子による脱ハロゲン化水素によるエーテル結合の生成(ウイリアムソン合成法)させる方法等により得られる。
化合物(a32)とエピハロヒドリン(a4)とのエポキシ反応には、加熱、冷却、攪拌及び還流管付き容器を用いることができる。
反応温度(℃)は、60〜160が好ましく、さらに好ましくは80〜140である。エポキシ開環反応の雰囲気としては、乾燥した不活性気体雰囲気下が好ましい。
エポキシ開環反応には、反応触媒を用いることができ、このような触媒としては、アルキレンオキシド(a2)の付加反応に用いられるものと同一であり、公知の触媒(特開2004−224945号公報等)等が適用できる。
反応の終点は、エポキシ基の消滅により行うことができる。エポキシ基の定量としては、過塩素酸と第四級アンモニュウム塩(CTAB)とからハロゲン化水素(HB)を発生させてこれとエポキシ基とを反応させるセチルトリメチルアンモニュウムブロマイド(CTAB)法(JIS K7236:2001、対応国際規格ISO3001:1999に準拠)が適用できる。
エポキシ環再生反応は、水を10〜60重量%含有する懸濁状態にて強攪拌下で、反応温度40〜90℃で行うことが好ましい。
脱ハロゲン化水素によるエポキシ環再生反応には、生成するハロゲン化水素を中和する塩基性物質、例えばアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム及び水酸化バリウム等)等が触媒として用いられる。これらのうち、アルカリ金属の水酸化物が好ましく、さらに好ましくは水酸化ナトリウムである。
これらの反応触媒は1〜20重量%程度の水溶液として用いることが好ましい。反応温度は40〜80℃程度が好ましい。
化合物(a32)とエピハロヒドリン(a4)とのエーテル結合生成反応(ウイリアムソン合成法)には、加熱、冷却、攪拌可能な容器を用いることができる。生成する(脱)ハロゲン化水素とほぼ等量の上記塩基性物質の存在下、反応温度(℃)は、40〜120が好ましく、さらに好ましくは60〜100である。
引き続いてエポキシ開環反応を実施する場合、エポキシ開環反応触媒存在下に攪拌しつつ、反応温度80〜140℃で行うことが好ましい。
化合物(a12)、化合物(a32)及びジグリシジルエーテル(a5)の反応は、非還元性の二又は三糖類(a1)とアルキレンオキシド(a2)との反応と同じであり、反応装置、触媒及びその除去も同様である。
化合物(a12)、化合物(a32)及びジイソシアネート(a6)の反応は付加反応であり、反応速度の小さいイソシアネート(アルキレンジイソシアネート又はシクロアルキレンジイソシアネート)との反応の場合、反応時間の短縮を目的として反応触媒を用いることができる。反応触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、スタナスオクトエート及びトリエチレンジアミン等が一般的である。
化合物(a12)、化合物(a32)及びジイソシアネート(a6)の反応には、加熱、冷却及び攪拌が可能な密閉容器を用いることができる。反応温度(℃)は、70〜150が好ましく、さらに好ましくは90〜130である。反応雰囲気としては、乾燥した不活性気体雰囲気下が好ましい。反応終点の確認は次の方法等により行うことができる。すなわち、ジ−n−ブチルアミンのジオキサン溶液を用いるイソシアナト基含有量測定法において、イソシアナト基含有量が0.01重量%以下となった時点を反応の終点とする。
ポリオキシアルキレン化合物のうち、ポリオキシアルキレン化合物(Y10){一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物を含む}としては、表1で示される化合物等が挙げられる。なお、Q、(OA)n、(OA)q、m及びLは一般式(1)に対応する。また、Q1は蔗糖の反応残基を、Q2はトレハロースの反応残基を、Q3はラフィノースの反応残基を表す(以下同じ)。また、Pはオキシプロピレンを、Eはオキシエチレンを、Bはオキシブチレンを表し、これらの添え字は、それぞれ、非還元性のニ又は三糖類の残基1モル又は、アリルアルコール1モルに対するモル数(この合計がn、qに相当する)を表す。さらに、(OA)n、(OA)q中の/はブロック状を、・はランダム状を意味する(以下同じ)。また、ECHはエピクロルヒドリンの反応残基を、EBHはエピブロモヒドリンの反応残基を表す。
Figure 0005298277


ポリオキシアルキレン化合物(Y21){一般式(2)で表されるポリオキシアルキレン化合物を含む}としては、表2で示される化合物等が挙げられる。なお、Q、(OA)n、(OA)q、m及びLは一般式(2)に対応する。HMGGはヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテルの反応残基を、POG7はポリオキシプロピレン(7モル)グリコールジグリシジルエーテルの反応残基を、NPGGはネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルの反応残基を表す(以下同じ)。
Figure 0005298277


ポリオキシアルキレン化合物(Y22){一般式(2)で表されるポリオキシアルキレン化合物を含む}としては、表3で示される化合物等が挙げられる。なお、Q、(OA)n、(OA)q、m及びLは一般式(2)に対応する。HEXはヘキサメチレンジイソシアネートの反応残基を、ISPはイソホロンジイソシアネートの反応残基を、XYLはキシリレンジイソシアネートの反応残基を表す(以下同じ)。
Figure 0005298277


ポリオキシアルキレン化合物(Y31){一般式(3)で表されるポリオキシアルキレン化合物を含む}としては、表4で示される化合物等が挙げられる。なお、Q、(OA)n、(OA)q、m及びLは一般式(3)に対応する。
Figure 0005298277


ポリオキシアルキレン化合物(Y32){一般式(3)で表されるポリオキシアルキレン化合物を含む}としては、表5で示される化合物等が挙げられる。なお、Q、(OA)n、(OA)q、m及びLは一般式(3)に対応する。
Figure 0005298277


これらのうちでは、No.4、6、8、10、12、21、23、17、26又は27で表されるポリオキシアルキレン化合物が好ましく、さらに好ましくはNo.4、8、12、17又は27で表されるポリオキシアルキレン化合物である。
本発明の樹脂改質剤は、反応性を有するため、ビニル樹脂の一部を構成するモノマー{ビニルモノマーの乳化重合用乳化剤を含む。}として好適である。
ビニル樹脂を構成する他のビニルモノマー{乳化重合に用いられるビニルモノマーを含む。}としては、ポリオキシアルキレン化合物と共重合できれば制限がなく、公知のビニルモノマー等が使用できる。
ビニル樹脂の一部を構成するモノマーとして用いる場合、本発明の樹脂改質剤の使用量は、ポリオキシアルキレン化合物単位{樹脂改質剤に由来するもの}の含有量(重量%)が、全モノマーの重量{ポリオキシアルキレン化合物単位(樹脂改質剤に由来するもの)及び他のビニルモノマー単位の重量}に基づいて、1〜20が好ましく、さらに好ましくは2〜19、特に好ましくは3〜18、より特に好ましくは4〜17、最も好ましくは5〜15である。この範囲であると、塗料バインダー等として適用した場合、親水性(防汚性)、親水性保持能力(長期防汚性)及び耐水性がさらに良好となる。
すなわち、本発明のビニル樹脂は、上記の樹脂改質剤及びビニルモノマーを必須構成モノマーとしてなり、ポリオキシアルキレン化合物単位{樹脂改質剤に由来するもの}の含有量がビニルモノマー単位及びポリオキシアルキレン化合物単位の重量{樹脂改質剤に由来するもの}に基づいて1〜20重量%であることが好ましい。
本発明のビニル樹脂は、塗料用バインダーとして使用でき、水性塗料用樹脂又は非水性塗料用樹脂として適しており、さらに水性塗料用樹脂に好適であり、水性エマルション塗料用樹脂として最適である。また、塗料としては、水性塗料又は非水性塗料が好ましく、さらに好ましくは水性塗料、特に好ましくは水性エマルション塗料である。水性エマルション塗料としては、アクリル系、酢酸ビニル系、スチレン系、ハロゲン化オレフィン系、アクリル−ウレタン系又はアクリル−シリコーン系の塗料等が挙げられる。
本発明の塗料組成物は、上記の樹脂改質剤及びビニルモノマーを必須構成モノマーとしてなり、ポリオキシアルキレン化合物単位{樹脂改質剤に由来するもの}の含有量がビニルモノマー単位及びポリオキシアルキレン化合物単位{樹脂改質剤に由来するもの}の重量に基づいて1〜20重量%であるビニル樹脂を含有してなる塗料と、
上記の樹脂改質剤とからなり、この樹脂改質剤を塗料の重量に基づいて0.5〜5重量%含有してなるものである。
本発明の塗料組成物を調製する方法に制限はなく、たとえば、(1)顔料を分散するときに、本発明の樹脂改質剤を添加混合する方法、(2)分散した顔料にバインダー樹脂及び各種添加剤を配合するときに、本発明の樹脂改質剤を添加混合する方法、及び(3)さらに塗装する直前に、本発明の樹脂改質剤を添加混合する方法等のいずれでもよい。
樹脂改質剤の添加量(重量%)としては、塗料の重量に基づいて、0.5〜5が好ましく、さらに好ましくは0.5〜4.5、特に好ましくは0.5〜4、より特に好ましくは1〜3.5、最も好ましくは1〜3である。この範囲であると、親水性(防汚性)、親水性保持能力(長期防汚性)及び耐水性がさらに良好となる。
本発明の樹脂改質剤を用いた塗料及び塗料組成物は、通常の方法により被塗装体に塗装することができ、ハケ塗り、ローラー塗装、エアスプレー塗装、エアレス塗装、ロールコーター塗装及びフローコーター塗装等の塗装方法等が適用できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特記しない限り、部は重量部、%は重量%を意味する。
<製造例1>
攪拌、加熱、冷却、滴下、窒素による加圧及び真空ポンプによる減圧の可能な耐圧反応容器に、精製グラニュー糖{台糖(株)製、以下同じ}342部(1モル部)及びDMF{三菱ガス化学(株)製、以下同じ}1000部を投入した後、窒素ガスを用いて、ゲージ圧で0.4MPaになるまで加圧し0.02MPaになるまで排出する操作を3回繰り返した(以下、「窒素置換」と略する)。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、この温度にてプロピレンオキシド(PO)232部(4モル部)を3時間かけて滴下し、さらに同温度にて3時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた。次いでブチレンオキシド(BO)432部(6モル部)を3時間かけて滴下し、同温度にて2時間攪拌を続けて残存するBOを反応させた。その後120℃、減圧(−0.05〜−0.098MPa:以下、単に「減圧」と省略する)下にてDMFを除去し、蔗糖/PO4モル/BO6モルブロック付加物(S1)を得た。DMF含有量(内部標準物質を用いるガスクロマトグラフィー法;以下同じ)は0.05%であった。
<製造例2>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、トレハロース{和光純薬工業(株)製}342部(1モル部)及びDMF800部を投入した後、窒素置換をした。その後、攪拌しつつ100℃まで昇温した後、この温度にてPO870部(15モル部)を6時間かけて滴下し、さらに同温度にて3時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた。その後120℃、減圧下にてDMFを除去し、トレハロース/PO15モル付加物(S2)を得た。DMF含有量は0.02%であった。
<製造例3>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、ラフィノース{和光純薬工業(株)製}504部(1モル部)及びDMF1000部を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ100℃まで昇温した後、この温度にてPO1160部(20モル部)を8時間かけて滴下し、さらに同温度にて3時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた。その後120℃、減圧下にてDMFを除去し、ラフィノース/PO20モル付加物(S3)を得た。DMF含有量は0.04%であった。
<製造例4>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、精製グラニュー糖342部(1モル部)及びDMF1000部を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ100℃まで昇温した後、この温度にてPO1740部(30モル部)を8時間かけて滴下し、さらに同温度にて3時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた。その後120℃、減圧下にてDMFを除去し、蔗糖/PO30モル付加物(S4)を得た。DMF含有量は0.06%であった。
<製造例5>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、製造例4で得た蔗糖/PO30モル付加物(S4)2082部(1モル部)及び水酸化カリウム5部{試薬特級、和光純薬工業(株)製、使用量は水分を除いた純分換算量で表示す。以下、同じ}(0.09モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ130℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いで110℃にてPO580部(10モル部)を3時間かけて滴下し、さらに同温度にて1時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた。次いで90℃にてイオン交換水20部を加えた後、キョーワード700{協和化学工業(株)製}60部を加え、同温度にて1時間攪拌した。さらに同温度にてNo.2濾紙{東洋濾紙(株)製}を用いて濾過してキョーワード700を取り除き、さらに減圧下、120℃にて1時間脱水(以下、キョーワード700等によるこれらの処理を「キョーワード処理」と略する)して、蔗糖/PO40モル付加物(S5)を得た。
<製造例6>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、製造例2で得たトレハロース/PO15モル付加物(S2)1212部(1モル部)及び水酸化カリウム5部(0.09モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ130℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いで110℃にてPO2030部(35モル部)を8時間かけて滴下し、さらに同温度にて3時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた後キョーワード処理して、トレハロース/PO50モル付加物(S6)を得た。
<製造例7>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、製造例3で得たラフィノース/PO20モル付加物(S3)1664部(1モル部)及び水酸化カリウム7部(0.12モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ130℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いで110℃にてPO2320部(40モル部)を8時間かけて滴下し、さらに同温度にて3時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた後キョーワード処理して、ラフィノース/PO60モル付加物(S7)を得た。
<製造例8>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、製造例4で得た蔗糖/PO30モル付加物(S5)2082部(1モル部)及び水酸化カリウム6.2部(0.11モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ130℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いで110℃にてPO2320部(40モル部)を5時間かけて滴下し、さらに同温度にて2時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた後キョーワード処理して、蔗糖/PO70モル付加物(S8)を得た。
<製造例9>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、精製グラニュー糖342部(1モル部)及びDMF1500部を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ100℃まで昇温した後、この温度にてエチレンオキシド(EO)440部(10モル部)を2時間かけて滴下し、さらに同温度にて1時間攪拌を続けて残存するEOを反応させた。続いてPO2320部(40モル部)を10時間かけて滴下し、さらに同温度にて4時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた。その後120℃、減圧下にてDMFを除去し、蔗糖/EO10モル/PO40モルブロック付加物(S9)を得た。DMF含有量は0.05%であった。
<製造例10>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、製造例9で得た蔗糖/EO10モル/PO40モル付加物(S9)3102部(1モル部)及び水酸化カリウム6.2部(0.11モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ130℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いで110℃にてPO1740部(30モル部)を5時間かけて滴下し、さらに同温度にて2時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた後キョーワード処理して、蔗糖/EO10モル/PO70モルブロック付加物(S10)を得た。
<製造例11>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、精製グラニュー糖342部(1モル部)及びDMF1600部を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ100℃まで昇温した後、この温度にてEO132部(3モル部)とPO3306部(57モル部)の混合液を8時間かけて滴下し、さらに同温度にて3時間攪拌を続けて残存するEO、POを反応させた。その後120℃、減圧下にてDMFを除去し、蔗糖/EO3モル・PO57モルブロック付加物(S11)を得た。DMF含有量は0.05%であった。
<製造例12>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、アリルアルコール{試薬特級、和光純薬工業(株)製、以下、同じ}58部(1モル部)及びDMF200部を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ80℃まで昇温した後、この温度にてEO132部(3モル部)を2時間かけて滴下し、さらに同温度にて1時間攪拌を続けて残存するEOを反応させた。続いて110℃にてPO406部(7モル部)を10時間かけて滴下し、さらに同温度にて4時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた。その後120℃、減圧下にてDMFを除去し、アリルアルコール/EO3モル/PO7モルブロック付加物(A1)を得た。DMF含有量は0.05%であった。
<製造例13>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、アリルアルコール58部(1モル部)及びDMF700部を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ100℃まで昇温した後、この温度にてEO132部(2.2モル部)と、PO742.4部(12.8モル部)の混合液を10時間かけて滴下し、さらに同温度にて4時間攪拌を続けて残存するEO、POを反応させた。その後120℃、減圧下にてDMFを除去し、アリルアルコール/EO2.2モル・PO12.8モルランダム付加物(A2)を得た。DMF含有量は0.05%であった。
<製造例14>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、アリルアルコール58部(1モル部)及びDMF1200部を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ110℃まで昇温した後、この温度にてPO1044部(18モル部)を8時間かけて滴下し、その後EO88部(2モル部)を1時間かけて滴下した。さらに同温度にて2時間攪拌を続けて残存するPO、EOを反応させた。その後120℃、減圧下にてDMFを除去し、アリルアルコール/PO18モル/EO2モルブロック付加物(A3)を得た。DMF含有量は0.05%であった。
<製造例15>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、アリルアルコール58部(1モル部)及びDMF2000部を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ110℃まで昇温した後、この温度にてPO1624部(28モル部)を11時間かけて滴下し、さらに同温度にて4時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた。その後EO528部(12モル部)を3時間かけて滴下し、さらに同温度にて1時間攪拌を続けて残存するEOを反応させた。その後120℃、減圧下にてDMFを除去し、アリルアルコール/PO28モル/EO12モルブロック付加物(A4)を得た。DMF含有量は0.04%であった。
<製造例16>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、アリルアルコール58部(1モル部)及びDMF2000部を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ80℃まで昇温した後、この温度にてEO695.2部(15.8モル部)を2時間かけて滴下し、さらに同温度にて1時間攪拌を続けて残存するEOを反応させた。続いて110℃にてPO1693.6部(29.2モル部)を8時間かけて滴下し、さらに同温度にて4時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた。その後120℃、減圧下にてDMFを除去し、アリルアルコール/EO15.8モル/PO29.2モルブロック付加物(A5)を得た。DMF含有量は0.02%であった。
<製造例17>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、アリルアルコール58部(1モル部)及びDMF2000部を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ80℃まで昇温した後、この温度にてEO220部(5モル部)を2時間かけて滴下し、さらに同温度にて1時間攪拌を続けて残存するEOを反応させた。続いて110℃にてPO2610部(45モル部)を12時間かけて滴下し、さらに同温度にて4時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた。その後120℃、減圧下にてDMFを除去し、アリルアルコール/EO5モル/PO45モルブロック付加物(A6)を得た。DMF含有量は0.02%であった。
<製造例18>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、アリルアルコール58部(1モル部)及びDMF2000部を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ110℃まで昇温した後、PO1160部(20モル部)を12時間かけて滴下し、さらに同温度にて4時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた。その後120℃、減圧下にてDMFを除去し、アリルアルコール/PO20モル付加物(A7)を得た。DMF含有量は0.02%であった。
<製造例19>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、製造例18で得たアリルアルコール/PO20モル付加物(A7)1218部(1モル部)及び水酸化カリウム4.5部(0.08モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ130℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いで110℃にてPO870部(15モル部)を5時間かけて滴下し、さらに同温度にて2時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた後キョーワード処理して、アリルアルコール/PO35モル付加物(A8)を得た。
<製造例20>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、製造例18で得たアリルアルコール/PO20モル付加物(A7)1218部(1モル部)及び水酸化カリウム4.5部(0.08モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ130℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いで110℃にてBO720部(10モル部)とを7時間かけて滴下し、さらに同温度にて2時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた後キョーワード処理して、アリルアルコール/PO20モル/BO10モルブロック付加物(A9)を得た。
<製造例21>
製造例1と同様な耐圧反応容器に、ニューポールBP−5P{三洋化成工業株式会社(株)製、ビスフェノールA/PO5モル付加物、「ニューポール」は同社の登録商標である。}518部(1モル部)及び水酸化カリウム2.3部(0.04モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ130℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いで110℃にてPO464部(8モル部)を4時間かけて滴下し、さらに同温度にて2時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた後、キョーワード処理してビスフェノールA/PO13モル付加物を得た。
攪拌、加熱、冷却及び真空ポンプによる減圧の可能な反応容器に、ビスフェノールA/PO13モル付加物982部(1モル部)及び水酸化ナトリウム{試薬特級、和光純薬工業(株)製、使用量は水分を除いた純分換算量で表示す。以下、同じ}84部(2.1モル部)を脱イオン水100gに溶解させた水酸化カリウム水溶液を加えて130℃にて減圧下2時間脱水を実施して脱水処理品を得た。
次いで製造例1と同様な耐圧反応容器に、エピクロルヒドリン{鹿島ケミカル(株)製、以下同じ。}190部(2.05モル部)を仕込み、攪拌下、80℃にて、上記ビスフェノールA/PO13モル付加物及び水酸化ナトリウム水溶液の脱水処理品1066部を、6時間かけて攪拌しつつ投入した。次いで水道水2000gを投入、80℃にて2時間攪拌した後、分液ロートにて一夜静置して有機成分を分液し、これを製造例1と同様な耐圧反応容器に移し、70℃にて減圧下3時間脱水してからキョーワード処理(但し、脱水は70℃にて減圧下で行った)して、エポキシ当量510のビスフェノールA/PO13モル/ジグリシジルエーテル(D1)を得た。
<製造例22>
攪拌、加熱、冷却及び真空ポンプによる減圧の可能な反応容器に、製造例20で得たアリルアルコール/PO20モル/BO10モル付加物(A9)1938部(1モル部)及び水酸化ナトリウム42部(1.05モル部)を脱イオン水60gに溶解させた水酸化ナトリウム水溶液を加えて130℃にて減圧下2時間脱水を実施した。次いでエピクロルヒドリン92.5部(1.0モル部)を攪拌下、80℃にて一括投入して同温度にて5時間攪拌した。次いで水道水4000gを投入、80℃にて2時間攪拌した後、分液ロートにて一夜静置して有機成分を分液し、攪拌、加熱、冷却及び真空ポンプによる減圧の可能な反応容器に移し、70℃にて減圧下3時間脱水してからキョーワード処理(但し、脱水は70℃にて減圧下で行った)して、アリルアルコール/PO20モル/BO10モル/モノグリシジルエーテル(G1)を得た。
<製造例23>
製造例22と同様な反応容器に、製造例16で得たアリルアルコール/EO15.8モル/PO29.2モルブロック付加物(A5)2447部(1モル部)及び水酸化ナトリウム42部(1.05モル部)を脱イオン水60gに溶解させた水溶液を加えて130℃にて減圧下2時間脱水を実施した。次いでエピクロルヒドリン92.5部(1.0モル部)を攪拌下、80℃にて一括投入して同温度にて5時間攪拌した。次いで水道水5000gを投入、80℃にて2時間攪拌した後、分液ロートにて一夜静置して有機成分を分液し、製造例22と同様な反応容器に移し、70℃にて減圧下3時間脱水してからキョーワード処理(但し、脱水は70℃にて減圧下で行った)して、アリルアルコール/EO15.8モル/PO29.2モル/モノグリシジルエーテル(G2)を得た。
<製造例24>
製造例22と同様な反応容器に、製造例18で得たアリルアルコール/PO20モル付加物(A7)1218部(1モル部)及び水酸化ナトリウム42部(1.05モル部)を脱イオン水60gに溶解させた水溶液を加えて130℃にて減圧下2時間脱水を実施した。次いでエピクロルヒドリン92.5部(1.0モル部)を攪拌下、80℃にて一括投入して同温度にて5時間攪拌した。次いで水道水3000gを投入、80℃にて2時間攪拌した後、分液ロートにて一夜静置して有機成分を分液し、製造例22と同様な反応容器に移し、70℃にて減圧下3時間脱水してからキョーワード処理(但し、脱水は70℃にて減圧下で行った)して、アリルアルコール/PO20モル/モノグリシジルエーテル(G3)を得た。
<実施例1>
製造例22と同様な反応容器に、製造例1で得た蔗糖/PO4モル/BO6モルブロック付加物(S1)1006部(1モル部)及び水酸化カリウム4.5部(0.08モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ120℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いで、製造例22で得たアリルアルコール/PO20モル/BO10モル/モノグリシジルエーテル(G1)1994部(1モル部)を投入し、120℃にて6時間攪拌を続け、エポキシ基の消失を確認した。次いでキョーワード処理及び脱水して、本発明の樹脂改質剤{(G1)1モル/(S1)1モル}(Y101)を得た。
<実施例2>
製造例22と同様な反応容器に、製造例4で得た蔗糖/PO30モル付加物(S4)2082部(1モル部)及び水酸化カリウム5.6部(0.1モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ120℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いで製造例23で得たアリルアルコール/EO15.8モル/PO29.2モル/モノグリシジルエーテル(G2)2503部(1モル部)を投入し、120℃にて8時間攪拌を続け、エポキシ基の消失を確認した。次いでキョーワード処理及び脱水して、本発明の樹脂改質剤{(G2)1モル/(S4)1モル}(Y102)を得た。
<実施例3>
製造例22と同様な反応容器に、製造例6で得たトレハロース/PO50モル付加物(S6)3242部(1モル部)及び水酸化カリウム5.6部(0.1モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ120℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いで製造例24で得たアリルアルコール/PO20モル/モノグリシジルエーテル(G3)1274部(1モル部)を投入し、120℃にて8時間攪拌を続け、エポキシ基の消失を確認した。次いでキョーワード処理及び脱水して、本発明の樹脂改質剤{(G3)1モル/(S6)1モル}(Y103)を得た。
<実施例4>
製造例22と同様な反応容器に、製造例12で得たアリルアルコール/EO3モル/PO7モル付加物(A1)596部(1モル部)、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略する。)168部(1モル部)を仕込み窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ1時間で120℃まで昇温し、同温度にて6時間攪拌を続けた後にイソシアナト基含有量が7.0%(100%反応時の理論値:5.5%)となった後、80℃にて製造例10で得た蔗糖/EO10モル/PO70モルブロック付加物(S10)4842部(1モル部)を仕込み窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ1時間で100℃まで昇温し、同温度にて5時間攪拌を続けた後にイソシアナト基含有量が0.006%となったことを確認し、本発明の樹脂改質剤{(A1)1モル/(HDI)1モル/(S10)1モル}(Y221)を得た。
<実施例5>
製造例22と同様な反応容器に、製造例14で得たアリルアルコール/PO18モル/EO2モル付加物(A3)1190部(1モル部)、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略する。)222部(1モル部)を仕込み窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ1時間で120℃まで昇温し、同温度にて6時間攪拌を続けた後にイソシアナト基含有量が4.3%(100%反応時の理論値:3.0%)となった後、80℃にて製造例9で得た蔗糖/EO10モル/PO40モルブロック付加物(S9)3102部(1モル部)を仕込み窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ1時間で100℃まで昇温し、同温度にて5時間攪拌を続けた後にイソシアナト基含有量が0.004%となったことを確認し、本発明の樹脂改質剤{(A3)1モル/(IPDI)1モル/(S9)1モル}(Y222)を得た。
<実施例6>
製造例22と同様な反応容器に、製造例16で得たアリルアルコール/EO15.8モル/PO29.2モル付加物(A5)2447部(1モル部)、キシリレンジイソシアネート(以下、XDIと略する。)188部(1モル部)を仕込み窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ1時間で120℃まで昇温し、同温度にて6時間攪拌を続けた後にイソシアナト基含有量が1.9%(100%反応時の理論値:1.6%)となった後、80℃にて製造例4で得た蔗糖/PO30モル付加物(S4)2082部(1モル部)を仕込み窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ1時間で100℃まで昇温し、同温度にて5時間攪拌を続けた後にイソシアナト基含有量が0.0%となったことを確認し、本発明の樹脂改質剤{(A5)1モル/(XDI)1モル/(S4)1モル}(Y223)を得た。
<実施例7>
製造例22と同様な反応容器に、製造例15で得たアリルアルコール/PO28モル/EO12モル付加物(A4)2210部(1モル部)水酸化カリウム4.5部(0.08モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ130℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いでグリシエールPP−300P{三洋化成工業株式会社(株)製、水/PO7モル付加物のジグリシジルエーテル、エポキシ当量:300、「グリシエール」は同社の登録商標である。}600部(1モル部)を投入した後、減圧下80℃にて脱水した。次いで減圧のまま120℃にて8時間反応させた。次いで80℃にて製造例11で得た蔗糖/EO3モル・PO57モル付加物(S11)3780部(1モル部)を投入し、120℃にて6時間攪拌を続け、エポキシ基の消失を確認した。次いでキョーワード処理及び脱水して、本発明の樹脂改質剤{(A4)1モル/(グリシエールPP−300P)1モル/(S11)1モル}(Y211)を得た。
<実施例8>
製造例22と同様な反応容器に、製造例19で得たアリルアルコール/PO35モル付加物(A8)2088部(1モル部)水酸化カリウム5.0部(0.09モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ130℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いで製造例21で得たビスフェノールA/PO13モル/ジグリシジルエーテル(D1)1094部(1モル部)を投入した後、減圧下80℃にて脱水した。次いで減圧のまま120℃にて10時間反応させた。次いで80℃にて製造例7で得たラフィノース/PO60モル付加物(S7)3984部(1モル部)を投入し、120℃にて10時間攪拌を続け、エポキシ基の消失を確認した。次いでキョーワード処理及び脱水して、本発明の樹脂改質剤{(A8)1モル/(D1)1モル/(S7)1モル}(Y212)を得た。
<実施例9>
製造例22と同様な反応容器に、製造例18で得たアリルアルコール/PO20モル付加物(A7)1218部(1.0モル部)水酸化カリウム2.8部(0.05モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ130℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いでエピオールE−400{日油(株)製、水/EO9モル付加物のジグリシジルエーテル、エポキシ当量:280、「エピオール」はエーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社の登録商標である。}560部(1モル部)を投入した後、減圧下80℃にて脱水した。次いで減圧のまま120℃にて7時間反応させた。次いで80℃にて製造例10で得た蔗糖/EO10モル/PO70モル付加物(S10)4842部(1モル部)を投入し、120℃にて10時間攪拌を続け、エポキシ基の消失を確認した。次いでキョーワード処理及び脱水して、本発明の樹脂改質剤{(A7)1モル/(エピオールE−400)1モル/(S10)1モル}(Y213)を得た。
<実施例10>
製造例22と同様な反応容器に、製造例19で得たアリルアルコール/PO35モル付加物(A8)2088部(1モル部)、XDI376部(2モル部)を仕込み窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ1時間で120℃まで昇温し、同温度にて6時間攪拌を続けた後にイソシアナト基含有量が5.4%(100%反応時の理論値:5.1%)となった後、80℃にて製造例5で得た蔗糖/PO40モル付加物(S5)5324部(2モル部)を仕込み窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ1時間で110℃まで昇温し、同温度にて5時間攪拌を続けた後にイソシアナト基含有量が0.002%となったことを確認し、本発明の樹脂改質剤{(A8)1モル/(HDI)2モル/(S5)2モル}(Y321)を得た。
<実施例11>
製造例22と同様な反応容器に、製造例13で得たアリルアルコール/EO2.2モル・PO12.8モル付加物(A2)932部(1モル部)、IPDI444部(2モル部)を仕込み窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ1時間で120℃まで昇温し、同温度にて6時間攪拌を続けた後にイソシアナト基含有量が10.6%(100%反応時の理論値:9.1%)となった後、80℃にて製造例8で得た蔗糖/PO70モル付加物(S8)8804部(2モル部)を仕込み窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ1時間で120℃まで昇温し、同温度にて5時間攪拌を続けた後にイソシアナト基含有量が0.005%となったことを確認し、本発明の樹脂改質剤{(A2)1モル/(IPDI)2モル/(S8)2モル}(Y322)を得た。
<実施例12>
製造例22と同様な反応容器に、製造例20で得たアリルアルコール/PO20モル/BO10モル付加物(A9)1938部(1モル部)、HDI336部(2モル部)を仕込み窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ1時間で120℃まで昇温し、同温度にて6時間攪拌を続けた後にイソシアナト基含有量が6.0%(100%反応時の理論値:5.6%)となった後、80℃にて製造例9で得た蔗糖/EO10モル/PO40モル付加物(S9)6204部(2モル部)を仕込み窒素置換を3回繰り返した。その後攪拌しつつ1時間で120℃まで昇温し、同温度にて5時間攪拌を続けた後にイソシアナト基含有量が0.002%となったことを確認し、本発明の樹脂改質剤{(A9)1モル/(HDI)2モル/(S9)2モル}(Y323)を得た。
<実施例13>
製造例22と同様な反応容器に、製造例17で得たアリルアルコール/EO5モル/PO45モル付加物(A6)2888部(1モル部)水酸化カリウム4.5部(0.08モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ130℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いでグリシエールPP−300P1200部(2モル部)を投入した後、減圧下80℃にて脱水した。次いで減圧のまま120℃にて8時間反応させた。次いで80℃にて製造例2で得たトレハロース/PO15モル付加物(S2)2424部(2モル部)を投入し、120℃にて7時間攪拌を続け、エポキシ基の消失を確認した。次いでキョーワード処理及び脱水して、本発明の樹脂改質剤{(A6)1モル/(グリシエールPP−300P)2モル/(S2)2モル}(Y311)を得た。
<実施例14>
製造例22と同様な反応容器に、製造例15で得たアリルアルコール/PO28モル/EO12モル付加物(A4)2210部(1モル部)水酸化カリウム5.6部(0.1モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ130℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いで製造例21で得たビスフェノールA/PO13モル/ジグリシジルエーテル(D1)2188部(2モル部)を投入した後、減圧下80℃にて脱水した。次いで減圧のまま120℃にて8時間反応させた。次いで80℃にて製造例3で得たラフィノース/PO20モル付加物(S3)3328部(2モル部)を投入し、120℃にて10時間攪拌を続け、エポキシ基の消失を確認した。次いでキョーワード処理及び脱水して、本発明の樹脂改質剤{(A4)1モル/(D1)2モル/(S3)2モル}(Y312)を得た。
<実施例15>
製造例22と同様な反応容器に、製造例14で得たアリルアルコール/PO18モル/EO2モル付加物(A3)1190部(1モル部)水酸化カリウム2.8部(0.05モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ130℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いでエピオールE−400を1120部(2モル部)を投入した後、減圧下80℃にて脱水した。次いで減圧のまま120℃にて7時間反応させた。次いで80℃にて製造例1で得た蔗糖/PO4モル/BO6モル付加物(S1)2012部(2モル部)を投入し、120℃にて5時間攪拌を続け、エポキシ基の消失を確認した。次いでキョーワード処理及び脱水して、本発明の樹脂改質剤{(A3)1モル/(エピオールE−400)2モル/(S1)2モル}(Y313)を得た。
<比較例1>
製造例1と同様な耐圧反応容器(1)に、ペンタエリスリトール{試薬特級、和光純薬工業(株)製}136部(1モル部)及びDMF2000部を加えて窒素置換をした。その後攪拌しつつ100℃まで昇温し、同温度にてPO1740部(30モル部)を7時間かけて滴下した後、同温度にて3時間攪拌を続けて残存するPOを反応させた。次いでEO880部(20モル部)を2時間かけて滴下した後、同温度にて30分間攪拌を続けて残存するEOを反応させた。次いで110℃に昇温した後、この温度にて次いで120℃にて減圧下にてDMFを除去し、比較用の樹脂改質剤(F1){ペンタエリスリトール/PO30モル/EO20モルブロック付加物}を得た。(F1)のDMF含有量は0.02%であった。
<比較例2>
製造例101と同様な反応容器に、比較例1で得た(F1)2756部(1モル部)及び水酸化カリウム5.6部(0.1モル部)を投入した後、窒素置換をした。その後攪拌しつつ120℃まで昇温し、減圧下1時間脱水を実施した。次いで製造例103で得たアリルアルコール/PO20モル/モノグリシジルエーテル(G3)1274部(1モル部)を投入し、120℃にて8時間攪拌を続け、エポキシ基の消失を確認した。次いでキョーワード処理及び脱水して、比較用の樹脂改質剤{(G3)1モル/(F1)1モル}(F2)を得た。
<比較例3>
製造例1と同様な耐圧反応容器(1)に、ステアリルグリシジルエーテル{日本油脂(株)製、製品名:エピオールSK}652部(2モル部)、ポリオキシエチレングリコール{三洋化成工業(株)製、分子量600、製品名:PEG−600}600部(1モル部)及びトリエチレンジアミン{試薬特級、和光純薬工業(株)製}3部を仕込み、窒素置換をした。次いで100℃にて5時間攪拌後、比較用の樹脂改質剤(F3){ステアリルグリシジルエーテル2モル/ポリオキシエチレングリコール1モル}を得た。
<比較例4>
ポリエチレングリコールモノアクリレート{商品名:AE−350、日本油脂(株)製、数平均分子量:423}を比較用の樹脂改質剤(F4)とした。
<評価用樹脂の調製>
(1)ビニル樹脂溶液(JSt)
加熱、冷却、及び攪拌可能な還流管、窒素導入管付き反応容器に、プロピレングリコールモノメチルエーテル{日本乳化剤(株)製、製品名:MFG}500部を仕込み、窒素を導入しながら攪拌しつつ110℃に昇温した。次いで同温度に保ちながら、スチレン{試薬特級、和光純薬工業(株)製}208部(2モル部)、2−エチルヘキシルメタクリレート{日本油脂(株)製、製品名:ブレンマーEHMA−25、「ブレンマー」は同社の登録商標である。}138.6部(0.7モル部)、n−ブチルメタクリレート{日本油脂(株)製、製品名:ブレンマーBMA}142部(1モル部)、メタクリル酸{日本触媒(株)製}86部(1モル部)、表6に示した使用量の評価用試料{樹脂改質剤(Y101)〜(Y312)、樹脂改質剤(F1)〜(F4)}及びアゾビスイソブチロニトリル{試薬特級、和光純薬工業(株)製}2部の混合液を4時間かけて滴下した。その後120℃にて2時間攪拌して不揮発分(サンプル量約5g:105℃×1.5時間)58.5%の黄色透明なビニル樹脂溶液を得た。
次いで減圧下、60〜90℃にてプロピレングリコールモノメチルエーテルを除去し、不揮発分を約80%とし、さらに脱イオン水/10%アンモニア水にて、不揮発分40%、pH8のビニル樹脂溶液(J1)〜(J15)及び比較用のビニル樹脂(JC1)〜(JC4)を得た。
Figure 0005298277


ビニル樹脂溶液(J1)〜(J15)及び比較用のビニル樹脂溶液(JC1)〜(JC4)の重量平均分子量を表6に示した。なお、重量平均分子量は、分子量既知のポリスチレンを標準物質としてゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ(GPC)を用いて以下のような条件で測定し、溶剤として使用したプロピレングリコールモノメチルエーテルのピークを除いて算出した。
装置:東ソ−(株)製(型式HLC−8120GPC)
カラム:東ソ−製型式SuperH−4000×2本及び同型式Super H−3000×1本をそれぞれ直列に接続したカラム
検出器:示差屈折検出器
データ処理機:東ソー(株)製データ処理機(形式SC−8020)
カラム温度:40℃
溶離液:THF(試薬1級、片山化学工業(株)製)
流速:0.5ml/min.
試料濃度:1%
試料溶液注入量:10μl
<塗料及び試験用塗装片の調整>
表7の原料組成にて、グラインディング工程及びレットダウン工程にインペラー型羽根を備えたエクセルオートホモジナイザー(日本精器(株)製、モデルED)を用い、室温(20〜30℃)にて3000rpm、5時間混合して、水性エマルション塗料(1)〜(15)及び(H1)〜(H4)を得た。得られた塗料はつぶゲージ法(JIS K5400−1990)にて5ミクロン以上の粒の無いことを確認した。
この水性エマルション塗料のそれぞれを、ストマー粘度計(JIS K5400−1990)で77KU(25℃)になるように水で希釈して、評価用塗料(1)〜(15)及び(H1)〜(H4)を得た。
評価用塗料(1)100部に対して、実施例14で得た本発明の樹脂改質剤{(A4)1モル/(D1)2モル/(S3)2モル}(Y312)0.5部を添加して評価用塗料組成物(16)とした。
評価用塗料(5)100部に対して、実施例7で得た本発明の樹脂改質剤{(A4)1モル/(グリシエールPP−300P)1モル/(S11)1モル}(Y211)3部を添加して評価用塗料組成物(17)とした。
評価用塗料(15)100部に対して、実施例3で得た本発明の樹脂改質剤{(G3)1モル/(S6)1モル}(Y103)5部を添加して評価用塗料組成物(18)とした。
Figure 0005298277


備考)入手先と剤名等
1:サンノプコ(株)製の分散剤
2:サンノプコ(株)製の増粘剤
3:サンノプコ(株)製の消泡剤
4:石原産業(株)製の二酸化チタン
5:ビニル樹脂溶液(J1)〜(J15)及び比較用のビニル樹脂溶液(JC1)〜(JC4)のいずれか1種
6:サンノプコ(株)製の防腐剤
7:イーストマンケミカル社製の造膜調整剤
8:サンノプコ(株)製の増粘剤
アセトンで脱脂処理したポリエステルフィルム{商品名:ルミラー75−S10、パナック(株)製、厚さ0.1mmを10×8cmにカットして使用}に、アプリケーターを用いて評価用塗料(1)〜(15)及び評価用塗料組成物(16)〜(18)及び評価用塗料(H1)〜(H4)をウェット膜厚が200μmになるように塗布した。ついで、25℃、50%相対湿度に調整したコントロールルーム(以下、温調室と略す)に、塗膜面が水平になるようにして7日間静置して乾燥させることにより試験用塗装片(1)〜(18)及び(H1)〜(H4)を得た。
<評価>
親水性{水との接触角、防汚性}、耐水性{目視判定}及び屋外暴露試験により塗膜の親水性保持能力{白色度の差、長期防汚性}を評価し、これらの結果を表8に示した。
なお、塗膜の水との接触角及び汚染低減性(防汚性)の関連については、接触角が小さいほど、汚染低減性(防汚性、降雨による水滴が表面に付着した汚れを運び去りやすさ)が良好であることが知られている(官民連帯共同研究「構造物の坊汚技術の開発」、建設省土木研究所化学研究室)。また、試験用塗装片を24時間脱イオン水に浸漬した後に乾燥させ、水との接触角を測定する促進耐久テスト後でも水との接触角が50度以下を保つ塗膜は、汚れが発生し難いとの報告がある{剣持信博、「建築外壁用塗料の表面性状と汚染性」、塗装工学、28、〔4〕147(1993);中家俊和、「建築用汚れ防止塗料の技術開発」、JETI、42、〔5〕8(1994)}。
1.水との接触角(防汚性)
試験用塗装片から1×5cmの大きさの試験片を採り、その塗膜の表面に0.005±0.001mLの脱イオン水を滴下し、1分後に水滴の接触角を測定して初期の接触角とした。なお、接触角は、温調室(25℃、60%相対湿度)の中で、協和化学製コンタクトアングルメーターCAAを用いて測定した。
2.浸漬処理後の接触角(長期防汚性)
試験用塗装片から1×5cmの大きさの試験片を採り、それを25℃の脱イオン水に7日間浸漬した後、温調室(約25℃、約60%相対湿度)に、塗膜面が水平になるようにして同室にて3日間放置して乾燥させた。次いで上記と同様にして水との接触角を測定し、これを浸漬処理後の接触角とした。
3.耐水性
試験用塗装片から5×5cmの大きさの試験片を採り、これを25℃の脱イオン水に24時間浸漬した後、水中より引き揚げ、塗膜表面に発生するブリスターの数及び大きさ等を目視観察して、以下の基準により評価した。
◎:ブリスターなし。
○:直径0.1mm程度のブリスターが若干ある。
△:直径0.5mm以上のブリスターが若干ある。
×:直径0.5mm以上のブリスターが多くある。
4.白色度の差(−△L値、屋外暴露試験)
試験用塗装片(10×25cm)をスレート板に両面テープを用いて貼り付け、試験板とした。愛知県東海市の6階立てビルの屋上暴露台(地上約25 m)に塗装面を水平面に対して45度になるようにし、かつ塗装面が真北を向くようにして試験板を設置し、約6ケ月間(平成20年5月上旬から同年11月中旬まで)暴露した。その後、試験用塗装片の表面に付着したゴミや汚れ等を自重の同じ量の水を含ませた木綿ウエスにて3回こすり落とし、さらに乾燥木綿ウエスで水気を取り除いた後、白色度(L2)を測定した。なお、この白色度(L2)から、暴露前の試験用塗装片の白色度(L1)を差し引いた値の絶対値(−△L)を算出し、これを「白色度の差(−ΔL)」とした。なお、白色度の差(−△L)は小さいほど長期防汚性が良好であることを示す。白色度は、日本電色工業(株)製SPECTRO COLOR METERMODEL PF-10を用いて測定した。
Figure 0005298277


表8から、本発明の樹脂改質剤を用いて調製した塗料{評価用塗料(1)〜(15)及び評価用塗料組成物(16)〜(18)}は、比較用の樹脂改質剤を用いた塗料{評価用塗料(H1)〜(H4)}に比べて、水との接触角(初期及び浸漬処理後)及び白色度の差が極めて小さく、親水性(防汚性)、親水性保持能力(長期防汚性)が極めて高かった。また、本発明の樹脂改質剤を用いて調製した塗料は塗膜の耐水性を損なわないことが認められた。
本発明の樹脂改質剤は、水性塗料及び非水性塗料のいずれにも適用することができ、これらのうち特に水性塗料に汚染低減機能を付与するのに好適であり、特に水性エマルション塗料に適している。水性エマルション塗料としては、アクリル系、酢酸ビニル系、スチレン系、ハロゲン化オレフィン系、アクリル−ウレタン系及びアクリル−シリコン系の塗料が挙げられる。そして、本発明の樹脂改質剤は、外壁等の屋外に塗装される塗料(特に水性エマルション塗料)に極めて有用である。

Claims (6)

  1. 一般式(1)〜(3)のいずれかで表されるポリオキシアルキレン化合物を含むことを特徴とする樹脂改質剤。
    Figure 0005298277



    一般式(1)〜(3)において、Qは非還元性の二又は三糖類のm個の1級水酸基から水素原子を除いた反応残基、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、Lは2−ヒドロキシプロピレン基{-CHCH(OH)CH-}、Lは炭素数10〜60のジグリシジルエーテルの反応残基又は炭素数6〜20のジイソシアネートの反応残基、nは3〜30の整数、mは2〜4の整数、Hは水素原子を表し、OA、(OA)n、Q、n、m、L、Lはそれぞれ同じでも異なってもよい。また反応残基(Q)1個当たりのオキシアルキレン基(OA)の総数{有機基(X)中のオキシアルキレン基(OA)を含まない。}は10〜80の整数である。また、Xは一般式(4)で表される有機基である。

    CH=CH−CH−O−(OA) (4)

    一般式(4)において、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、qは10〜50の整数、Cは炭素原子、Hは水素原子、Oは酸素原子である。
  2. Qが蔗糖の3個の1級水酸基から水素原子を除いた反応残基である請求項1に記載の樹脂改質剤。
  3. 非還元性の二又は三糖類(a1)1モル部及び炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)10〜80モル部の化学反応による化合物(a12)1モル部と、
    アリルアルコール(a3)1モル部及び炭素数2〜4のアルキレンオキシド(a2)10〜50モル部の化学反応による化合物(a32)1モル部と、エピハロヒドリン(a4)1モル部との化学反応によるアリル基含有グリシジルエーテル(a324)1モル部との化学反応により製造されポリオキシアルキレン化合物(Y10);

    化合物(a12)1モル部と、
    化合物(a32)1モル部と、
    炭素数10〜60のジグリシジルエーテル(a5)1モル部との化学反応により製造されポリオキシアルキレン化合物(Y21);

    化合物(a12)1モル部と、
    化合物(a32)1モル部と、
    炭素数6〜20のジイソシアネート(a6)1モル部との化学反応により製造されポリオキシアルキレン化合物(Y22);

    化合物(a12)2モル部と、
    化合物(a32)1モル部と、
    ジグリシジルエーテル(a5)2モル部との化学反応により製造されポリオキシアルキレン化合物(Y31);並びに/又は

    化合物(a12)2モル部と、
    化合物(a32)1モル部と、
    ジイソシアネート(a6)2モル部との化学反応により製造されポリオキシアルキレン化合物(Y32)を必須成分としてなることを特徴とする樹脂改質剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂改質剤及びビニルモノマーを必須構成モノマーとしてなり、
    ポリオキシアルキレン化合物単位{樹脂改質剤に由来するもの}の含有量がビニルモノマー単位及びポリオキシアルキレン化合物単位{樹脂改質剤に由来するもの}の重量に基づいて1〜20重量%であることを特徴とするビニル樹脂。
  5. 請求項4に記載のビニル樹脂を含有してなることを特徴とする塗料。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂改質剤及びビニルモノマーを必須構成モノマーとしてなり、ポリオキシアルキレン化合物単位{樹脂改質剤に由来するもの}の含有量がビニルモノマー単位及びポリオキシアルキレン化合物単位{樹脂改質剤に由来するもの}の重量に基づいて1〜20重量%であるビニル樹脂を含有してなる塗料と、
    請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂改質剤とからなり、この樹脂改質剤を塗料の重量に基づいて0.5〜5重量%含有してなることを特徴とする塗料組成物。
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