JP5296964B2 - 表示パネル用の光学シート及び表示パネル - Google Patents
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Description
さらに、図14に示された透過型スクリーン901のように、レンズシート910,920への埃付着や傷つきの防止、もしくは意匠性のために観察者側に透明の前面板930を設けて3枚構成とするものが多くなっている。さらにまた、図15のように、前面板930とレンチキュラーレンズシート920を接着した構成を有するスクリーンもある。このような各種透過型スクリーンは、特許文献1等に開示されている。
さらに、フレネルレンズシート910とレンチキュラーレンズシート920の2枚構成のスクリーン全体が環境変化によらず、平面を維持しながら観察方向の前後移動を少なくするために、スクリーン全体をテレビセット光源側に5mm〜15mm程度の反りを設ける必要があった。
すなわち、湿度変化や温度変化、さらには四辺のスクリーンを取付ける部材からの不均一な応力変化を受けるなど、種々の環境変化によって、部分的または全体的に応力を受ける。これによって、各レンズシート910,920が密着せずに浮きが発生したりして、画像品質を悪化させる場合があった。これを防止するために、レンチキュラーレンズ920の反りを増やすと、両レンズシート910,920間の密着応力が強くなりすぎ、白粉の発生や刃つぶれを起こしたりすることが多くなるので、限界があった。
前面板930についても、2枚レンズシート910,920を重ね合わせた構成のスクリーンとは距離をおいて観察者側に設置する場合が多い。この場合には、環境変化によって部分的に変形し、又は全体的に前後に移動したりして、前面板の平面性が損なわれて高級感を失する場合がある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、高品質な表示パネル用の光学シート及び表示パネルを提供することを目的とする。
まず、図1を用いて、本発明に係るディスプレイ用の光学シートについて説明する。図1(a)は、本発明に係る光学シートの断面模式図である。図1(a)に示すように、本発明に係る光学シート1は、シート基材11、挟持部材121,122を備えている。
シート基材11は、例えば樹脂から構成されたシート状の部材である。好適には、シート基材11を構成する樹脂基材としては、ポリメチルメタクリレート(以下では、PMMAと略すことがある)、ポリスチレン、スチレン−メチルメタクリレート共重合体(以下では、MSと略すことがある)、ポリカーボネート(以下では、PSと略すことがある)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(以下ASと略すことがある)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等を使用することができる。これらの中でも、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体等が好適に使用される。
図1(a)では、好適な例として、シート基材11が透明樹脂、例えばPMMAやMS、AS樹脂等から構成され、挟持部材121,122がガラス材料から構成された場合が示されている。また、図1(a)では、シート基材11と挟持部材121,122とが接着樹脂によって接着されているが、下記の光学シート1の詳細な説明で主たる構成として機能しないので、この接着樹脂が省略されている。
図1(b)の模式図に、本発明に係る光学シート1に加えられた集中荷重によって光学シート1がたわむ状態が示されている。また、図1(b)では、両もち状態で光学シート1の中央に集中的にかけられたときの集中荷重たわみが示されている。
図1(b)に示すように、集中荷重W(N)、光学シート1の上下方向の長さL(mm)、ヤング率をE(N/mm 2 )、慣性モーメントIz(mm 4 )とすると、この光学シート1の集中荷重たわみy(mm)は、
このような場合には、後述するように、ガラスのような高い曲げ剛性を有する光学シート1を得ることが可能である。
このような本発明に係る光学シート1で、パラメータKsが3より大きい場合には、EzIz>3E'zI'zが成立する。すなわち、本発明の一体構造を有する光学シート1の曲げ剛性が均一な光学シートの曲げ剛性の3倍より大きいことを示している。従って、集中荷重たわみy(mm)が曲げ剛性EzIzに反比例するので、本発明に係る光学シート1の集中荷重たわみは、均一な光学シートの集中荷重たわみの1/3よりも小さくなる。
図2に示すように、光学シート1の集中荷重たわみは、挟持部材121,122の厚みが薄くなるほどよくたわむ。特に、挟持部材121,122の厚みb(mm)が0の場合は、光学シート全体がPMMAもしくはMS樹脂のみから均一に構成されている場合を示している。逆に、挟持部材121,122の厚みb(mm)が1.0の場合は、光学シート全体がガラスのみから均一に構成されている場合を示している。
より好ましくは、挟持部材121,122の厚みb(mm)は、光学シート1の厚み(2mm)に対して1/10〜2/5程度、すなわちシート基材11の厚みに対して約1/3とすることができる。この場合には、光学シート1の曲げ剛性を最適にすること可能である。
このように、本発明に係る光学シート1では、透明樹脂であるPMMAやMS樹脂のシート基材11の両面をガラス材料から構成された挟持部材121,122によって挟み込み、挟持部材121,122の厚みを調整にする。これによって、ガラス材料から構成された光学シートと樹脂から構成された光学シートとの間の曲げ剛性を有する光学シート1を得ることができる。
図3に示すように、光学シート1の自重は、挟持部材121,122の厚みb(mm)が厚くなるのに比例して大きくなる。特に、挟持部材121,122の厚みb(mm)が0の場合は、光学シート全体が透明樹脂であるPMMAやMS樹脂のみから均一に構成されている場合を示している。逆に、挟持部材121,122の厚みb(mm)が1.0の場合は、光学シート全体がガラス材料のみから均一に構成されている場合を示している。
この範囲において、光学シート1の自重は、光学シートがシート基材11を構成するPMMA/MS樹脂のみから均一に構成された場合に比べて1.5倍程度となっている。従って、光学シート1の自重は、光学シートが樹脂材料のみから均一に構成された場合に近づいている。
このように、本発明に係る光学シート1では、ガラスのような曲げ剛性を有し、かつ樹脂のように比較的軽量な光学シート1を得ることができる。
まず、図4,5を用いて、本発明に係る背面投射型表示パネルについて説明する。図4,5は、本発明に係る背面投射型表示パネルの一構成例を示し、図4は斜視模式図、図5は断面模式図である。
図4,5に示すように、背面投射型表示パネル20は、フレネルレンズシート21、レンチキュラーレンズシート22、前面板23を備える。映像光の投射側から映像光の出射側に向かって、フレネルレンズシート21、レンチキュラーレンズシート22、前面板23が順次配置されている。換言すれば、これら各部材は、背面投射型表示パネル20の背面から前面に向かって順に配設されている。
光を遮断する遮光層223は、レンチキュラーレンズ222のレンズ面と反対側の平坦面に並設され、映像光が通過しない非集光領域に形成されている。
前面板基材231は、上記のシート基材11と同様にシート状の形状を有し、これと同様の材料から構成されている。挟持部材232,233は、上記のシート基材11と同様にシート状の形状を有し、これと同様の材料から構成され、前面板基材231よりも高い曲げ剛性を有する。図5に示すように、挟持部材232,233は、接着樹脂234,235によって貼付されている。
前面板23は、レンチキュラーレンズシート22の遮光層223の配設面に、光学用途の接着剤または粘着剤を介して積層されている。また、挟持部材232,233や接着樹脂234,235に光拡散剤を混入した場合には、前面板13は光を拡散する拡散板として機能する。
光学シート1に使用されるシート基材11は、例えば押出し成形によって形成される。具体的には、押出機が溶融した樹脂を吐出し、一対のロール対の間に形成されたエアギャップに送ってロール対に押し付ける。この押し付けられた樹脂は冷却されることによって、シート基材11が形成される。シート基材11は搬送ロールによって搬送され、押出し成形工程が終了する。押出し成形によって形成されたシート基材11は、搬送ロールによって搬送された後、挟持部材121,122が貼り合せられる。
またなお、本実施形態では押出し成形によって形成されたシート基材11を切断せずに挟持部材121,122を貼付しているが、シート基材11を切断し、1枚または複数枚を順次貼り付けてもよい。
実施形態1では、挟持部材121,122がシート基材11に接着された光学シート1を前面板23に適用した。これに対して、本実施形態2では、挟持部材121,122がシート基材11上に直接形成された光学シート1を前面板23に適用した場合について説明する。具体的には、前面板基材231の両面にコーティングを施して挟持部材を形成する。
図7の断面模式図に、本実施形態2における背面投射型表示パネルが示されている。背面投射型表示パネル41は、レンズシート21,22に加えて、前面板43を備える。なおここでは、実施形態1における部材と同じ部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図8に、本実施形態における前面板43の製造装置の主たる構成が示されている。図8に示された装置は、前面板基材231にコーティング部材431,432を形成する装置である。このコーティング装置51は、図8に示すように、コーティング材を塗布するダイコータ511、ロールコータ512を有する。
実施形態2では、コーティング樹脂を塗工してコーティング部材431,432を形成したが、コーティング樹脂を転写してコーティング部材を形成することもできる。
図9に、本発明に係る前面板43の製造装置の主たる構成が示されている。図9に示された装置は、前面板基材231にコーティング部材431,432を転写する装置である。この転写装置53は、図9に示すように、ダイ531、成形ロール532,533、アニーリングロール534,535、転写ロール536,537、貼り合せロール538,539、紫外線照射機34を有する。
紫外線照射装置34は、前面板基材231の平坦面の両側から紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂を硬化する。これによって、コーティングフィルムは、前面板基材231に貼り付けられ、前面板43が完成する。ここで、これらコーティングフィルムが前面板43のコーティング部材431,432となる。
実施形態2,3では、コーティング部材431,432を前面板基材231上に直接形成したが、コーティング部材431,432を前面板基材231上に接着部材を介して接着してもよい。
図10の断面模式図に、本実施形態4における背面投射型表示パネルが示されている。背面投射型表示パネル60は、レンズシート21,22に加えて、前面板63を備える。なおここでは、実施形態1,2における部材と同じ部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図11に、本実施形態における前面板53の製造装置の主たる構成が示されている。図11に示された装置は、前面板基材231にコーティング部材431,432を形成する装置である。このコーティング装置65は、図11に示すように、コーティング材を塗布するダイコータ651を有する。
この塗工されたコーティングフィルムは、紫外線硬化樹脂が塗工された面が前面板231の平坦面に対向するように送られ、前面板基材231の平坦面に貼り合せられる。コーティングフィルムは、貼り合せロール331,332の間で前面板基材231に押し付けられ、これによってコーティングフィルムは、前面板基材231の平坦面に貼り合せられる。その後、コーティングフィルムが貼り合せられた前面板基材231は、紫外線照射機34へと送られる。
紫外線照射装置34は、前面板基材231の平坦面の片側から紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂を硬化する。これによって、コーティングフィルムは、前面板基材231に貼り付けられ、前面板63が完成する。ここで、これらコーティングフィルムが前面板63のコーティング部材431,432となる。
本実施形態5では、上記実施形態1〜4で得られた、基材231、挟持部材232,233を備えた基材シート64にフレネルレンズを形成した例について、図12を用いて説明する。
本発明の光学シートを基材シート64とし、この基材シート64の片面に紫外線硬化樹脂67を塗布し、塗布した面にフレネルレンズの逆形状を備えた成形型66を積層する(図12(a))。その後、基材シート64側から紫外線を照射し、紫外線硬化樹脂67を硬化し、成形型66を離形することでフレネルレンズシート68(図12(b))を成形することができる。
また、図示しない別の基材シートの片側にフレネルレンズを形成したフレネルレンズシートを基材シート64の片面に積層してフレネルレンズシート68を成形することもできる。
20…背面投射型表示パネル、21…フレネルレンズシート、211…基材、
212…フレネルレンズ、22…レンチキュラーレンズシート、221…基材、
222…レンチキュラーレンズ、323…遮光層、
23…前面板、231…前面板基材、232,233…挟持部材、
234,235…接着樹脂
30…貼付装置、311,312…搬送ロール、32…接着樹脂塗工機、
331,332…貼り合せロール、34…紫外線照射機
40…背面投射型表示パネル、43…前面板、431,432…コーティング部材
51…コーティング装置、511…ダイコータ511、512…ロールコータ
53…転写装置、531…ダイ、532,533…成形ロール、
534,535…アニーリングロール、536,537…転写ロール、
538,539…貼り合せロール
60…背面投射型表示パネル、63…前面板、631,632…調整部材
65…コーティング装置、651…ダイコータ
Claims (8)
- 表示パネルに用いられる光学シートであって、
当該光学シートのシート基材と、
当該シート基材の平坦面に配設された第1の挟持部材と、
前記シート基材の平坦面に対向した面に配設され、当該第1の挟持部材との間で前記シート基材を挟み込む第2の挟持部材とを備え、
前記第1の挟持部材と前記第2の挟持部材とは、前記シート基材の構成材料よりも高い曲げ剛性を有し、
当該第2の挟持部材の厚み及びヤング率は、前記第1の挟持部材の厚み及びヤング率と同じであり、
前記シート基材の厚みをa(mm)、ヤング率をEa(N/mm 2 )、前記第1の挟持部材及び前記第2の挟持部材の厚みをb(mm)、ヤング率をEb(N/mm 2 )、Ea<Ebとしたときに、
前記シート基材の比重をρa(g/cm2)、前記第1の挟持部材及び前記第2の挟持部材の比重をρb(g/cm2)としたときに、
- 前記第1の挟持部材と前記第2の挟持部材とは、ガラス材料とハードコート樹脂とのいずれかから構成されていることを特徴とする請求項1記載の表示パネル用の光学シート。
- 前記第1の挟持部材と前記第2の挟持部材を合せた厚みは、前記シート基材の厚みに対して1/9以上2/3以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の表示パネル用の光学シート。
- 前記シート基材は樹脂材料から構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表示パネル用の光学シート。
- 前記ガラス材料は、ソーダガラスと石英ガラスとのいずれかであり、
前記ハードコート樹脂は、アクリル系モノマー・オリゴマー・光反応開始剤を含む、アクリル系光硬化性ハードコート樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の表示パネル用の光学シート。 - 当該光学シートは前記表示パネルの前面を保護する前面板であって、前記シート基材、第1の挟持部材、及び第2の挟持部材は、光透過性を有する材料から構成される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の表示パネル用の光学シート。
- 映像光が入射され、当該入射光を所定の方向に絞り込むフレネルレンズシートと、
当該フレネルレンズシートと重ね合わせられ、前記絞り込まれた光を広げて出射するレンチキュラーレンズシートと、
当該レンチキュラーレンズシートの光が出射する側に配設され、請求項6に記載の前面板とを備えた表示パネル。 - 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光学シートと、
当該光学シートの少なくとも一方の面に設けられたフレネルレンズ層とを備えたフレネルレンズシート。
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