JP2004246352A - レンチキュラーレンズシート、背面投射型スクリーン及び背面投射型プロジェクション装置並びにレンチキュラーレンズシートの製造方法 - Google Patents

レンチキュラーレンズシート、背面投射型スクリーン及び背面投射型プロジェクション装置並びにレンチキュラーレンズシートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 コントラストの向上を図り、外光吸収層のムラが少なく、またシート同士の接触による傷の発生を抑制することができるレンチキュラーレンズシート、背面投射型スクリーン、背面投射型プロジェクション装置を提供すること。
【解決手段】 本発明にかかる背面投射型スクリーンは、レンチキュラーレンズシート1を有する。このレンチキュラーレンズシート1の、入射面には第1のレンズ層14上に第1のレンズ列12が形成されている。第1のレンズ層14と第2のレンズ層15の界面に、第1のレンズ列12とほぼ直交する第2のレンズ列13が形成されている。第2のレンズ層15は、第1のレンズ層14と異なる屈折率を有している。この第2のレンズ層15上の光の非通過位置に、格子状又はストライプ状の自己整列式外光吸収層17が形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、レンチキュラーレンズシート、背面投射型スクリーン及び背面投射型プロジェクション装置並びにレンチキュラーレンズシートの製造方法に関するものである。
背面投射型プロジェクション装置等に使用される背面投射型スクリーンは、一般に、2枚のレンズシートが重ね合わされた構成を有している。すなわち、光源側には、背面投射型プロジェクターからの映像光を一定の角度の範囲内になるように絞り込むフレネルレンズシートが配置され、観察者側には、フレネルレンズシートを透過した映像光を適度な角度の範囲に広げる機能を有するレンチキュラーレンズシートが配置される。
特に、高精細・高画質の背面投射型液晶プロジェクションテレビでは、0.3mm以下のファインピッチを有するレンズシートが求められる。このようなレンズシートの構造は、例えば、特許文献1(特開平9−120101号公報)に開示されている。図16に当該公報に開示されたレンズシートの構造を示す。
図16において、1はレンチキュラーレンズシートであり、この例では、透明支持体3とレンズ部2より構成される。このレンチキュラーレンズシート1の出射面側には、レンチキュラーレンズの非集光位置、即ち光の非通過位置に外光吸収層4が設けられている。外光吸収層4を設けることによって、レンチキュラーレンズシート1にその出射面側から即ち観察者側から入射した外光がレンチキュラーレンズシート1で反射されて観察者側に戻る光を減少させ、映像コントラストの向上が図られる。
さらにこのレンチキュラーレンズシート1には、拡散層5を介して透明樹脂フィルム6が設けられている。この透明樹脂フィルム6については、例えば、特許文献2(特開平8−22077号公報)、特許文献3(特開平7−307912号公報)に開示されている。透明樹脂フィルム6は、レンチキュラーレンズシートを保護する、一般的なブラウン管方式のテレビに似た表面光沢を得る等の目的のために設けられる。
その他、図16には示されていないが、レンチキュラーレンズシート1の入射面側に、フレネルレンズシートが設けられるのが一般的である。このフレネルレンズシートは、等間隔で同心円状の微細ピッチのレンズからなるフレネルレンズが光出射面に設けられたシートで構成されている。
このような構成を有するレンズシートでは、水平方向の視野角性能は主として入射レンズによる拡散で得られるが、垂直方向の拡散性能は拡散層5によってのみ達成しうる。従って、必要とされる垂直視野角を得るために投入された拡散材による入射光の反射ロスを生じ、原理的に高輝度なスクリーンを得ることに限界があると同時に、画像のボケが生じやすい。また、拡散層5が外光吸収層4を覆うため、外光吸収効率が下がり、コントラストが劣化する。さらに、外光吸収層4は、原理的に平行ストライプ状にしか形成できず、得られるブラック面積比率に限界があった。
他方、入射面に凸状の3次元レンズが並設され、他面には各レンズの非集光部に相当する位置に格子状の遮光パターンが形成され、このパターン上に透明支持体若しくは拡散層入りの支持体が形成された投射型スクリーン用の3次元レンズアレイシートも提案されている。
もし、これを実現できたとしたら、遮光パターンを格子状に形成でき、拡散層も不要か又は最小限に抑えることができるため、コントラストを著しく改善できる。しかしながら、微細な3次元レンズアレイシートを製造するためには、高精度かつ大型サイズの金型が必要とされるが、この金型自体の製作が極めて困難であるため、未だ実現された例はない。
このような問題点を解決するために、レンチキュラーレンズシートの入射面と出射面のそれぞれにレンチキュラーレンズを設け、それらのレンズ配列を相互に直交させる構造が提案されている(例えば、特許文献4(特開昭50−10134号公報))。このような構成においても、コントラストの向上のために外光吸収層、即ち遮光パターンが設けられるが、従来技術では、外光吸収層をレンチキュラーレンズシートとは独立した別のシートに設けていた。
しかしながら、レンチキュラーレンズシートとは独立した別のシートに外光吸収層を設けると、シートの沿面方向の相対位置がずれる事があるため、外光吸収層をレンチキュラーレンズの非通過位置に正確に配置することが極めて困難であった。またシート相互の間隔が温度変化、湿度変化によって変化し、レンズの焦点位置がずれるために外光吸収層の面積が減ってコントラストの向上が妨げられたり、外光吸収層のムラが発生するという問題点があった。また、レンズシートをテレビセット枠に固定して輸送するなどした場合、シート同士がぶつかり、傷が発生する、という問題もあった。従って実用化に成功した例は皆無であった。
特開平9−120101号公報 特開平8−22077号公報 特開平7−307912号公報 特開昭50−10134号公報
本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、コントラストの向上を図り、外光吸収層のムラが少なく、またシート同士の接触による傷の発生を抑制することができるレンチキュラーレンズシート、背面投射型スクリーン、背面投射型プロジェクション装置を提供することである。他の目的は、本発明による高性能なレンチキュラーレンズシートの製造方法を提供するものである。
かかる目的を解決するために、本発明にかかるレンチキュラレンズシートは、入射面に形成された第1のレンズ列と、前記第1のレンズ列より光出射側に形成され、前記第1のレンズ列とほぼ直交する第2のレンズ列であって、当該第2のレンズ列のレンズ界面の入射側と出射側が互いに屈折率の異なる光透過性材質により構成されている第2のレンズ列と、前記第1のレンズ列及び前記第2のレンズ列を通過した光の非通過位置に設けられた自己整列式外光吸収層とを備え、前記第1のレンズ列から前記自己整列式外光吸収層までの間が光透過性材質による中実構造を有する。
好適には、前記自己整列式外光吸収層の出射側に光透過性を有する前面板が積層形成されている。また、前記第2のレンズ列は、複数の入射側に凹のレンズにより構成され、前記第2のレンズ列のレンズ界面の出射側の光透過性材質は、入射側の光透過性材質よりも低い屈折率を有する。若しくは、前記第2のレンズ列は、複数の入射側に凸のレンズにより構成され、前記第2のレンズ列のレンズ界面の出射側の光透過性材質は、入射側の光透過性材質よりも高い屈折率を有する。
特に、前記第1のレンズ列のレンズピッチは、前記第2のレンズ列のレンズピッチの2倍以上10倍以下であることが好ましい。前記自己整列式外光吸収層は、格子状またはストライプ状に形成されている。
背面投射型プロジェクタより出射された光を一定の角度の範囲内になるように絞り込むフレネルレンズシートと、上述のレンチキュラーレンズシートと、前記レンチキュラーレンズシートの出射面側に設けられた前面板とを備えることによって、背面投射型スクリーンが構成される。さらに、映像光を生成し、出射する背面投射型プロジェクタと、前記背面投射型プロジェクタより出射された映像光を入射する背面投射型スクリーンとを備えることにより、背面投射型プロジェクション装置が構成される。
本発明にかかる別の構成を有するレンチキュラーレンズシートは、入射面に第1のレンズ列を有する第1のレンズ層と、前記第1のレンズ層の出射側界面に前記第1のレンズ列とほぼ直交する第2のレンズ列を有し、前記第1のレンズ層と異なる屈折率を有する第2のレンズ層と、前記第2のレンズ層の出射面上であって、前記第1のレンズ層及び前記第2のレンズ層を通過した光の非通過位置に設けられた自己整列式外光吸収層とを備えたものである。
本発明にかかる別の構成を有するレンチキュラーレンズシートは、第1のレンズ列を有する第1のレンズ層と、前記第1のレンズ列とほぼ直交する第2のレンズ列を有する第2のレンズ層と、前記第1のレンズ層と前記第2のレンズ層との間に充填され、すくなくとも前記第2のレンズ層と異なる屈折率を有する充填層と、前記第1のレンズ列及び前記第2のレンズ列を通過した光の非通過位置に設けられた自己整列式外光吸収層とを備えている。
本発明にかかるレンチキュラーレンズシートの製造方法は、入射面に第1のレンズ列を有する第1のレンズ層と、前記第1のレンズ層の出射側界面に前記第1のレンズ列とほぼ直交する第2のレンズ列を有し、前記第1のレンズ層と異なる屈折率を有する第2のレンズ層と、前記第2のレンズ層の出射面上であって、前記第1のレンズ層及び前記第2のレンズ層を通過した光の非通過位置に設けられた自己整列式外光吸収層とを備えたレンチキュラーレンズシートの製造方法であって、前記第2のレンズ層を形成するステップと、前記第2のレンズ層を形成した後に、当該第2のレンズ層上に前記第1のレンズ層を形成するステップを備えたものである。
ここで、前記自己整列式外光吸収層を形成するステップをさらに備え、当該自己整列式外光吸収層を形成するステップは、前記レンチキュラーレンズシートの光出射面側に感光性材質層を形成するステップと、前記レンチキュラーレンズシートの入射面側から光を照射して、前記感光性材質層にレンズパターンに対応した感光部および非感光部を形成するステップとを有し、前記非感光部に対応する遮光パターンを前記自己整列式外光吸収層とすることが好ましい。尚、感光部は比較的高密度な感光部をいい、非感光部は比較的低密度な感光部をいう。従って、非感光部は、全く感光されていないことのみに限定されるものではない。好適な実施の形態における感光性材質層は感光性粘着層である。
さらに、前記感光性材質層が、第1の組成物と前記第1の組成物よりも表面自由エネルギーが低い第2の組成物とからなる光硬化性組成物層であり、前記光硬化性組成物層が前記第2の組成物よりも表面自由エネルギーが低い媒質に接触した状態で、前記レンチキュラーレンズシートの入射面側から前記光硬化性組成物層に光を照射し、前記レンチキュラーレンズパターンによる集光部分にある前記光硬化性組成物層を硬化するステップと、前記光硬化性組成物層が前記第1の組成物よりも表面自由エネルギーが高い媒質に接触した状態で、前記光硬化性組成物層側から前記光硬化性組成物層に光を照射し、前記集光部分以外の非集光部分にある前記光硬化性組成物を硬化するステップと、前記光硬化性組成物層上に着色材料を配置し、前記非集光部分に対応した遮光パターンを形成するステップとを備えることが好ましい。
本発明にかかる他のレンチキュラーレンズシートの製造方法は、入射面に第1のレンズ列を有する第1のレンズ層と、前記第1のレンズ層の出射側界面に前記第1のレンズ列とほぼ直交する第2のレンズ列を有し、前記第1のレンズ層と異なる屈折率を有する第2のレンズ層と、前記第2のレンズ層の出射面上であって、前記第1のレンズ層及び前記第2のレンズ層を通過した光の非通過位置に設けられた自己整列式外光吸収層とを備えたレンチキュラーレンズシートの製造方法であって、前記第1のレンズ層に前記第1のレンズ列と前記第2のレンズ列に対応する形状を形成するステップと、当該第1のレンズ層上に前記第2のレンズ層を形成するステップとを備えたものである。
ここで、前記第1のレンズ層に前記第1のレンズ列と前記第2のレンズ列に対応する形状を形成するステップは、前記第1のレンズ層に前記第1のレンズ列を形成するステップと、前記第1のレンズ層に前記第2のレンズ列を形成するステップとを備えるようにしてもよい。
本発明にかかる別のレンチキュラーレンズシートの製造方法は、第1のレンズ列を有する第1のレンズ層を形成するステップと、前記第1のレンズ列とほぼ直交する第2のレンズ列を有する第2のレンズ層を形成するステップと、前記第1のレンズ層と前記第2のレンズ層との間に前記第1のレンズ層と異なる屈折率を有する充填層を形成するステップと、前記第1のレンズ列及び前記第2のレンズ列を通過した光の非通過位置に設けられた自己整列式外光吸収層を形成するステップとを備えたものである。
本発明によれば、コントラストの向上を図り、外光吸収層のムラが少なく、またシート同士の接触による傷の発生を抑制することができるレンチキュラーレンズシート、背面投射型スクリーン、背面投射型プロジェクション装置を提供することができる。また、高性能なレンチキュラーレンズシートの製造方法を提供することができる。
以下に、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
発明の実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかるレンチキュラーレンズシートの主要部の構成を示す斜視図である。以下、レンチキュラーレンズシートに関して、自己整列式外光吸収層17を含まない構成をレンチキュラーレンズシートA(図中符号10)、及びレンチキュラーレンズシートAに自己整列式外光吸収層17を付与したシートをレンチキュラーレンズシートB(図中符号11)とする。
レンチキュラーレンズシートAは、第2のレンズ列13を境界面として互いに屈折率が異なる第1のレンズ層14と第2のレンズ層15とが一体化したレンチキュラーレンズシートであり、本発明の実施の形態1では、第1のレンズ層14の屈折率が、第2のレンズ層15の屈折率より低い構成となっている。
レンチキュラーレンズシートAの光入射面、すなわち第1のレンズ層14の入射面には第1のレンズ列12が設けられ、前記第1のレンズ層14と前記第2のレンズ層15の界面には第2のレンズ列13がほぼ直交する形で配列されている。
第1のレンズ列12は、入射した投射光をレンズ媒質内で集光させる側に作用する光入射面側から見て手前側(入射側)に凸のレンズからなる複数のレンズ列で構成されており、各レンズは垂直方向を長手方向とするシリンドリカルレンズであり、互いに平行に配列されている。従って、第1のレンズ列12は、入射光をレンズ媒質内で集光させた後、出射面で水平方向に拡散させることができる。また、第2のレンズ列13は、前記第1のレンズ列12と同様に光入射面から見て手前側(入射側)に凸の複数のレンズからなるレンズ列を構成している。第2のレンズ列13における各レンズは、水平方向を長手方向とするシリンドリカルレンズであり、互いに平行に配列されている。即ち、第2のレンズ列13は、第1のレンズ列12とほぼ直交して形成されている。従って、第2のレンズ列13は各レンズ層の屈折率とレンズ形状の関係から、入射光をレンズ媒質内で集光させた後、出射面で垂直方向に拡散させることができる。
ここで、第1のレンズ列12のレンズピッチP1は、第2のレンズ列13のレンズピッチP2の2〜10倍であり、さらに好ましくは3〜5倍である。このようにすることで、第1のレンズ列12の谷部と第2のレンズ列レンズ13の頂点部同士が繋がるか又は近接させることなく、両レンズの焦点位置を近傍にすることが可能となる。この例では、さらに両レンズの焦点位置の近傍に自己整列式外光吸収層17を設けているため、自己整列式外光吸収層17の面積を広くとることができるので、コントラストがより向上する。
なお、前記第2のレンズ列のレンズピッチP2が0.02mm以下の極めて微細なレンチキュラーレンズシートの場合には、自己整列式外光吸収層17の形成において投射光を通過させる開孔部が微細になりすぎ、ドット欠陥が生じ易くなることと、金型自体の製作が困難となることの両面から、P1のP2に対する拡大倍率上限は10倍程度が望ましい。
尚、第2のレンズ層15は、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、MS系樹脂(メチルメタクリレート、スチレン共重合樹脂)、ポリスチレン、PET(ポリエチレンテレフタレート)等により構成されている。
第1のレンズ層14の入射面側には、例えば、放射線硬化樹脂が充填されることによって形成される第1のレンズ列12が設けられている。前記第1のレンズ層14は、第2のレンズ列13を界面として接触し、第2のレンズ層15を覆うようにして設けられている。また、第2のレンズ層15の出射面は平坦であり、第1のレンズ列12の主平面とほぼ平行になるように構成されている。第1のレンズ列12の主平面とは、第1のレンズ列12の最も入射側に凸である位置を結んで得られる平面である。ここで、第1のレンズ層14と第2のレンズ層15の境界面をなす第2のレンズ列13は、第1のレンズ層14に形成されているとも捉えることができる。第1のレンズ層14に形成されたレンズとして捉えれば、このレンチキュラーレンズは、光出射面側から見て凹状である。
第1のレンズ層14は、例えば、放射線硬化樹脂より構成される。放射線硬化樹脂は、例えば、アクリル系紫外線硬化樹脂、シリコン系紫外線硬化樹脂およびフッ素系紫外線硬化樹脂などから選択されて用いられる。ここで、第1のレンズ層14は、第2のレンズ層15の屈折率よりも低くする必要がある。本形態例1の場合は、例えば、第1のレンズ層には屈折率が1.49のアクリル系紫外線硬化樹脂を、第2のレンズ層には屈折率が1.58のMS系樹脂を用いる。第1のレンズ層14と第2のレンズ層15の屈折率差は、0.05以上が好ましく、0.1以上がさらに好ましい。
そして、第2のレンズ層15の出射面上には、自己整列式外光吸収層17が設けられている。この自己整列式外光吸収層17は、第1のレンズ列12及び第2のレンズ列13の非集光部、即ち、光の非通過部に設けられている。この例では、自己整列式外光吸収層17は、格子状に形成されている。この自己整列式外光吸収層17は、例えば、遮光性光硬化樹脂によって形成される。
図2に、前面板19との積層を含めた本発明の実施の形態1にかかる背面投射型スクリーンを形成するレンチキュラーレンズシートの上断面図(a)及び横断面図(b)を示す。ここで、前面板19とは、前記レンチキュラーレンズシートBの支持体を兼ねた光透過層であり、拡散層を含んだり、出射最外表面上にHC(ハードコート)、AG(防眩性)、AR(反射防止)、AS(帯電防止)等の各種の機能性膜を付与しても良い。図2では、さらに、背面投射型スクリーンに入射した光100の通過経路も示されている。図2に示されるように、この背面投射型スクリーンの全体構成は、レンチキュラーレンズシートBに加えて、前面板19及び機能性膜20を備えている。前面板19は、自己整列式外光吸収層17の上面に接着されて一体化されたスクリーンとなる。但し、前面板19は、レンチキュラーレンズシートBに対して接着されずに独立した構成としてもよい。この前面板19は、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、MS樹脂(メチルメタクリレート、スチレン共重合樹脂)、ポリスチレン等により構成される。前面板19は単層拡散板乃至は拡散層を設けた多層構造体としてもよい。機能性膜20は、前面板19上に直接コーティングされるか、又は機能性膜20をコーティングしたフィルムをラミネートすることにより形成する。機能性膜20には、HC(ハードコート)、AG(防眩性)、AR(反射防止膜)、AS(帯電防止)等の機能性膜が含まれる。
図2(a)の上断面図に示されるように、レンチキュラーレンズシートAの入射面に入射した光100は、第1のレンズ列12により水平方向に集光する形で屈折し、第1のレンズ層14を経て第2のレンズ層15の各レンズ媒質中で集光した後、出射する。図2(b)の横断面図に示したように、垂直方向に対しては第2のレンズ列13によって屈折し、第2のレンズ層14中で集光し、出射する。即ち、自己整列式外光吸収層17は、第1のレンズ列12及び第2のレンズ列13の双方の焦点位置の近傍に設けられている。このように、両レンズの焦点位置の近傍に自己整列式外光吸収層17を設けると、コントラストがより向上する。また、第1のレンズ列の焦点位置と第2のレンズ列の焦点位置とを異ならせて、自己整列式光吸収層17をストライプ状とすることもできる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態1にかかる背面投射型スクリーンは、互いに直交する第1のレンズ列12と第2のレンズ列13を有するレンチキュラーレンズシートAの出射面側に自己整列式外光吸収層17を形成し、第1のレンズ列12から自己整列式外光吸収層17までの間を光透過性材質による中実構造としたので、自己整列式外光吸収層17を精度良く形成することができる。特に、この例では、第1のレンズ列12及び第2のレンズ列13の双方の焦点位置が、自己整列式外光吸収層17が設けられた位置の近傍に来るように、精度良く自己整列式外光吸収層17を形成することができるため、コントラスト性能をより向上させることができる。
また、本発明の実施の形態にかかる背面投射型スクリーンによれば、拡散材を減らすことができるので、画像のボケを防止することができ、解像度を向上させることができる。
続いて、本発明の実施の形態1にかかる背面投射型スクリーンの製造方法について説明する。
まず、レンチキュラーレンズシートAのうち、第2のレンズ列13を有する第2のレンズ層15を作製する。例えば、第2のレンズ層15の基材樹脂をTダイによって溶融押出しを行い、賦形ロールでシリンドリカルレンズを片面成形する。この場合、第2のレンズ層の最大厚みは全幅に亘りほぼ均一であるようにする。
なお、賦形ロールに対するシリンドリカルレンズの形状転写方向は、該賦形ロールの回転軸心に対し凹溝列が平行な横溝方式であってもよいし、逆に、回転軸心に対し凹溝列が直角な縦溝方式のいずれであってもよい。若しくは、前記溶融押出し成形に代えて、片面凹溝金型により基材樹脂をプレス成形してもよいし、射出成形で片面成形してもよい。
その後、第2のレンズ列13上に第2のレンズ層15より屈折率が低い光透過性材質で第1のレンズ列12を有する第1のレンズ層14を成形する。この場合も、自己整列式外光吸収層17を形成する第2のレンズ層15の出射面に対し、第1のレンズ列12の主平面はほぼ平行になるようにする必要があるが、第2のレンズ層15の原反の張力調整及び放射線硬化型透明樹脂の粘度を調節することによりに容易に達成される。一方、第1のレンズ層14の形成は内側に紫外線照射ランプを挿入した中空円筒体の透明ガラス管を用いて、平板金型に押し当てながら成形してもよい。また、上記の成形工程では、例えば第2のレンズ列13の表面をプラズマ処理するなど、易接着処理をする事がより好ましい。
更に、上述の工程で一体化されたレンチキュラーレンズシートAの第2のレンズ層15の光出射面に遮光性光硬化型樹脂を塗工したフィルムを貼り合わせる。そして、レンチキュラーレンズシート入射面側から紫外線を照射する。そうすると、紫外線の集光部の遮光性光硬化樹脂は硬化する。その後に、フィルムを剥離する。紫外線の非集光部における遮光性光硬化樹脂は、第2のレンズ層15の出射面上に格子状に未硬化のまま残る。また、紫外線の集光部における遮光性光硬化樹脂は、フィルムに固着して剥離される。
次に格子状に残った非集光部の未硬化遮光性光硬化樹脂をレンチキュラーレンズシートの出射面側から放射線照射して硬化させる。これにより、自己整列式外光吸収層17が形成される。尚、この自己整列式外光吸収層17の形成は、上記方法に限定されるものではない。例えば上記第2のレンズ層15の光出射面に感光性粘着層を形成した後、入射面側から露光光線を照射し、前記感光性粘着層に、前記レンズ部の形状、ピッチに対応した露光部と非露光部を形成し、次いで、前記感光性粘着層の表面に黒色層を形成し、ラミネート手段によって前記感光性粘着層の非露光部のみに黒色層を転写する方法を用いても良い。ここで、露光部は比較的高密度の露光部をいい、非露光部は比較的低密度の露光部をいう。従って、非露光部は全く露光されていないことに限定されない。
また、露光部、非露光部の表面自由エネルギーの差を利用して自己整列式外光吸収層17を形成しても良い。例えば、前記第2のレンズ層15の光出射面に、表面自由エネルギーが30mN/m以上である光硬化性樹脂組成物(a)100質量部および表面自由エネルギーが25mN/m以下である化合物(b)0.01〜10質量部からなる組成物の層を設ける。次いでレンズ部側から化合物(b)よりも表面自由エネルギーが低い媒質(例えば大気)に接触した状態で露光光線を照射する。照射された光はレンズにより集光し、集光部の光硬化性組成物(A)のみが選択的に硬化する。このようにして、集光部の表面エネルギーが25mN/m以下であるレンズシートを得ることができる。得られたレンズシートを光硬化性樹脂組成物(a)よりも表面自由エネルギーが高い媒質(例えば水)に接触した状態で、レンズシートの出射面側から光を照射することにより、未硬化の光硬化性組成物(A)のみが硬化する。表面自由エネルギーの異なる表面では各種液体の濡れ性も異なり、一般的に用いられる溶剤、塗料の場合は表面自由エネルギーの高い表面の方が表面自由エネルギーの低い表面よりも液体が濡れ易い。したがって、表面改質したレンズシートは集光部よりも非集光部の方が各種液体に濡れ易いことになる。この性質を利用して、表面改質したレンズシートに着色塗料を塗工することにより、非集光部のみに該着色塗料が付着した遮光パターンを形成することが可能となる。
次に、自己整列式外光吸収層17の上には、前面板19を積層する。積層は放射線硬化樹脂による接着や、粘着材による接着により実現する。
さらに、前面板19の表面に機能性膜20を積層してもよい。具体的には、機能性膜20を前面板19上に直接コーティングするか又は機能性膜20をコーティングしたフィルムをラミネートする。
このような製造方法によって、図1及び図2に示される構造の背面投射型スクリーンを製造することができる。
発明の実施の形態2.
図3(a)は、本発明の実施の形態2にかかる背面投射型スクリーンの主要部の構成を示す斜視図である。本発明の実施の形態2にかかる背面投射型スクリーンは、前記第1のレンズ層14の屈折率と前記第2レンズ層15の屈折率との関係が、本発明の実施の形態1と異なっている。即ち、第1のレンズ層14の屈折率が第2のレンズ層15の屈折率より高いという逆の構成になっている。従って、第2のレンズ列13を通過した出射光はレンズ媒質内で垂直方向に集光せず、自己整列式外光吸収層17はストライプ状となる。図3(a)に示す例では、自己整列式外光吸収層17は、線幅が均一であり、外光吸収層と光透過部分の境界が直線状である。しかしながら、レンズ形状等の光学設計によっては図3(b)に示すように、線幅が周期的に変化し、外光吸収層と光透過部分の境界が波線状になる場合もある。本明細書上では、自己整列式外光吸収層17の形状として図3(a)に示す形状も図3(b)に示す形状も双方ともストライプ状とする。
しかしながら、従来技術(図16)に対し、垂直方向の主たる拡散がレンズの屈折作用により得られるため、前面板19に付与する光拡散材の添加量を大幅に削減できる。この為、自己整列式外光吸収層17の面積自体は従来技術(図16)によるレンチキュラーレンズシートと同等であるが、コントラスト性能が向上する。また、本発明の実施の形態2の利点は、第2のレンズ列13の曲率、第1のレンズ列12のレンズピッチP1に対するレンズピッチP2等を変えることにより、水平方向の視野角特性を殆ど変えずに垂直方向の視野角を自在に可変できることである。その他の構成については、発明の実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
図4に、本発明の実施の形態2にかかる背面投射型スクリーンの上断面図(a)及び横断面図(b)を示す。図4では、さらに、背面投射型スクリーンに入射した光100の通過経路も示されている。
図4に示されるように、この背面投射型スクリーンは、レンチキュラーレンズシートBに加えて、前面板19及び機能性膜20を備えている。図4(a)の上断面図に示されるように、レンチキュラーレンズシートAの入射面に入射した光100は、第1のレンズ列12により屈折し、第1,2の各レンズ層内で集光した後、出射する。図4(b)の横断面図に示されるように、入射光は、第2のレンズ列13によって垂直方向に屈折し、前面板19を通過した後、出射する。図4においても、第1、第2の各レンズ層を通過して出射される光を遮断しない位置、即ち非集光位置に自己整列式外光吸収層17が設けられていることがわかる。即ち、自己整列式外光吸収層17は、第1レンズ列12の焦点位置の近傍に設けられが、一方、垂直方向は第2のレンズ列13で上下に広げられるため自己整列式外光吸収層17はストライプ状となる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態2にかかる背面投射型スクリーンは、第1のレンズ列12、第2のレンズ列13を有するレンチキュラーレンズシートAの出射面側に精度よくストライプ状の自己整列式外光吸収層17を形成できる。また、本発明の実施の形態2にかかる背面投射型スクリーンによれば、自己整列式外光吸収層17の面積自体は従来技術によるスクリーンと変わらないが、前面板19に付与される拡散材を減らすことができるので、画像のボケを防止することが可能となり、解像度を向上させることができる。また、第2のレンズ列13の曲率、第1のレンズ列12に対するレンズピッチP2等を変えることにより、垂直方向の視野角特性を自在に調整できるという大きな利点が有る。
尚、本発明の実施の形態2にかかる背面投射型スクリーンの製造方法は、レンチキュラーレンズシートAを構成する第1のレンズ層14と、第2のレンズ層15の屈折率の関係が、発明の実施の形態1の場合と逆の構成になっていることのみ異なるため、説明を省略する。
発明の実施の形態3.
図5は、本発明の実施の形態3にかかる背面投射型スクリーンの主要部の構成を示す斜視図である。本発明の実施の形態3にかかる背面投射型スクリーンは、レンチキュラーレンズシートAの第2のレンズ列13の形状が本発明の実施の形態1と異なっている。即ち、本発明の実施の形態3においては、第2のレンズ列13は、その断面が正弦波形をなすように形成されている。また、本発明の実施の形態3にかかる背面投射型スクリーンは、自己整列式外光吸収層17の形状が発明の実施の形態2と同様にストライプ状となっている。また、本発明の実施の形態3は形態2の場合と同様に、第2のレンズ列13のレンズピッチP2は、第1のレンズ列12のレンズピッチP1に対して任意に設定してよい。さらには、第2のレンズ列13の形状は、プリズム状や曲率の異なるレンズの組み合わせからなる複合レンズ列としてもよい。その他の構成については、発明の実施の形態1、2と同様であるため説明を省略する。
図6(a)に本発明の実施の形態3にかかる背面投射型スクリーンの上断面図及び図6(b)にその横断面図を示す。図6では、さらに、背面投射型スクリーンに入射した光100の通過経路も示されている。
図6に示されるように、この背面投射型スクリーンは、レンチキュラーレンズシートBに加えて、前面板19及び機能性膜20を備えている。図6(a)の上断面図に示されるように、レンチキュラーレンズシートAの入射面に入射した光100は、第1のレンズ列12により屈折し、第1、第2の各レンズ層中で集光した後、出射する。図6(b)の横断面図に示されるように、光100は、第2のレンズ列13によって上下方向に屈折した後、出射する。
以上、説明したように、本発明の実施の形態3にかかる背面投射型スクリーンは、第1のレンズ列12、第2のレンズ列13を有するレンチキュラーレンズシートAの出射面側に精度よくストライプ状の自己整列式外光吸収層17を形成できる。また、本発明の実施の形態3にかかる背面投射型スクリーンによれば、発明の実施の形態2と同様に、自己整列式外光吸収層17の面積自体は従来技術(図16)によるスクリーンと変わらないが、前面板19に付与される拡散材を減らすことができるので、画像のボケを防止することが可能となり、解像度を向上させることができる。また、第2のレンズ列13の曲率、第1のレンズ列12に対するレンズピッチ等を変えることにより、垂直方向の視野角特性を自在に調整できるという大きな利点が有る。
尚、本発明の実施の形態3にかかる背面投射型スクリーンの製造方法は、レンチキュラーレンズシートAを構成する第1のレンズ層14と第2のレンズ層15の界面をなす第2のレンズ列13の形状のみが、発明の実施の形態1の場合と異なるため、説明を省略する。
発明の実施の形態4.
図7は、本発明の実施の形態4にかかるレンチキュラーレンズシートの主要部の構成を示す斜視図である。
レンチキュラーレンズシートAにおいて、第2のレンズ層15の出射側には透明支持体21が設けられ、そして、この透明支持体21の出射側の面上に自己整列式外光吸収層17が設けられている点において発明の実施の形態1に示す構成と異なる。その他の構成については、発明の実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
透明支持体21は、アクリル樹脂系フィルム、MS樹脂系フィルム、或いはPETフィルム等が用いられる。
本発明の実施の形態4にかかる背面投射型スクリーンは、互いに直交する第1のレンズ列12及び第2のレンズ列13を有する透明支持体21の出射面側に自己整列式外光吸収層17を形成したので、自己整列式外光吸収層17を精度良く形成することができる。特に、この例では、第1のレンズ列12及び第2のレンズ列13の双方の焦点位置が、自己整列式外光吸収層17が設けられた位置の近傍に来るように、精度良く自己整列式外光吸収層17を形成することができるため、コントラスト性能をより向上させることができる。
また、本発明の実施の形態にかかる背面投射型スクリーンによれば、拡散材を減らすことができるので、画像のボケを防止することができ、解像度を向上させることができる。
続いて、本発明の実施の形態4にかかる背面投射型スクリーンの製造方法について説明する。
まず、透明支持体21の光入射側表面上に、第2のレンズ列13を有する第2のレンズ層15を成形する。例えば、透明性の放射線硬化樹脂を、前記透明支持体21の表面に直接塗工する、若しくは賦形ロールに塗工あるいは両方の面に塗工した後、放射線を照射して硬化させた後、取り出す。
なお、賦形ロールにおけるシリンドリカルレンズの形状転写方向は、該賦形ロールの回転軸心に対し凹溝列が平行な横溝方式であってもよいし、逆に、回転軸心に対し凹溝列が直角な縦溝方式のいずれであってもよい。
若しくは、賦形ロールに代えて片面凹溝の平板金型を用いてもよい。
次に上述の工程で得られた、前記透明支持体21と一体化された第2のレンズ層15の光入射面なる第2のレンズ列13の表面上に、前記第2のレンズ層15の屈折率より低い屈折率の透明性放射線硬化型樹脂によって第1のレンズ層14を成形する。この場合、第1のレンズ列12は前記第2のレンズ列13とほぼ直交する形で第1のレンズ層14を成形する。該第1のレンズ列12の主平面は、前記第2のレンズ列13の主平面とほぼ平行になるようにする必要があるが、第2のレンズ層15と一体化した透明支持体21の原反に与える張力調整と、第1のレンズ層用の放射線硬化型透明樹脂の粘度の適正化を図ることにより、精度よく均一に成形することができる。一方、第1のレンズ層14の形成は内側に紫外線照射ランプを挿入した中空円筒体の透明ガラス管を用いて、平板金型に押し当てながら成形してもよい。また、上記の成形工程では、例えば第2のレンズ列13の表面をプラズマ処理するなど、易接着処理をする事がより好ましい。
更に、上述の工程で一体化されたレンチキュラーレンズシートAの出射面である透明支持体21の表面に、遮光性光硬化型樹脂を塗工したフィルムを貼り合わせて、発明の実施の形態1において説明した方法により自己整列式外光吸収層17を形成する。
このような製造方法によって、図7に示される構造の背面投射型スクリーンを製造することができる。
尚、図7に示される構成を有するレンチキュラーレンズシートAにおいて、第1のレンズ層14の屈折率を第2のレンズ層15の屈折率より高くしてもよい。この場合において、第2のレンズ列13を通過した出射光はレンズ媒質内で垂直方向に集光せず、自己整列式外光吸収層17はストライプ状となる。
また、図7に示されるレンチキュラーレンズシートAにおいて、第2のレンズ列13を、その断面が正弦波形をなすように形成してもよい。この場合には、自己整列式外光吸収層17の形状が発明の実施の形態3と同様にストライプ状となる。
発明の実施の形態5.
図8は、本発明の実施の形態5にかかるレンチキュラーレンズシートの主要部の構成を示す斜視図である。尚、この例では、第1のレンズ層14と第2のレンズ層15からなるレンチキュラーレンズシート部分をレンチキュラーレンズシートA(図中符号10)、これに充填層16及び自己整列式外光吸収層17を含めたレンチキュラーレンズシートをレンチキュラーレンズシートB(図中符号11)とする。レンチキュラーレンズシートAは、入射面に第1のレンズ列12が設けられ、出射面には第1のレンズ列12とほぼ直交する形で第2レンズ列13が設けられている。また、本発明の実施の形態5では、レンチキュラーレンズAを構成するレンズ層の屈折率が、前記充填層16の屈折率より高い組み合せとなっている。
前記第1のレンズ列12は、発明の実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
また、第2のレンズ列13は、光出射面から見て手前側(出射側)に凸状の複数のレンズからなるレンズ列を構成している。各レンズは、水平方向を長手方向とするシリンドリカルレンズであり、互いに平行に配列されている。即ち、第2のレンズ列13は、第1のレンズ列12とほぼ直交して形成されている。従って、第2のレンズ列13は屈折率とレンズ形状の関係から、入射光をレンズ媒質内で集光させた後、出射面で垂直方向に拡散させることができる。
ここで、発明の実施の形態1と同様に第1のレンズ列12のレンズピッチP1は、第2のレンズ列13のレンズピッチP2の2〜10倍であり、さらに好ましくは3〜5倍である。
レンチキュラーレンズシートAの出射面側には、樹脂が充填されることによって形成される充填層16が設けられている。充填層16は、第2のレンズ列13のレンズ界面と接触し、これを覆うようにして設けられている。また、この充填層16の第2のレンズ列13と接触する面と反対側の面は、平坦であり、レンチキュラーレンズシートAの主平面と平行になるように構成されている。
レンチキュラーレンズシートAの出射面となる第2のレンズ列13は、充填層16との界面に形成されているので、このレンズ列は充填層16に形成されているとも捉えることができる。充填層16に形成されたレンズとして捉えれば、このレンチキュラーレンズは、光入射面側から見て凹のレンズである。
充填層16は、第2のレンズ層と異なる屈折率を有する必要があり、例えば、放射線硬化樹脂を用いる。図8に示されるように、本発明の実施の形態5の場合はレンチキュラーレンズシートAの出射面に設けられた第2のレンズ列13が光を集光させる働きをさせる凸レンズとして機能するには、充填層16の屈折率を、レンチキュラーレンズシートAの屈折率よりも低くする必要がある。例えば、充填層16には屈折率が1.49のアクリル系紫外線硬化樹脂を、レンチキュラーレンズシートAの第1のレンズ層14には屈折率が1.58のMS系樹脂を用い、第2のレンズ層15にはほぼ同等の屈折率のMS系紫外線硬化樹脂を用いる。
そして、充填層16の平坦な出射面上には自己整列式外光吸収層17が設けられている。この自己整列式外光吸収層17は第1のレンズ列12及び第2のレンズ列13の非集光部、即ち光の非通過部に設けられている。この例では、自己整列式外光吸収層17は、格子状に形成されている。この自己整列式外光吸収層17は、例えば、遮光性光硬化樹脂によって形成される。
図9(a)に前面板19との積層を含めた本発明の実施の形態5にかかる背面投射型スクリーンの上断面図、図9(b)に横断面図を示す。図9では、さらに、背面投射型スクリーンに入射した光100の通過経路も示されている。
図9(a)の上断面図に示されるように、レンチキュラーレンズシートAの入射面に入射した光100は、第2のレンズ列13により屈折し、レンチキュラーレンズシートAや充填層16の各レンズ媒質中で集光した後、出射する。図9(b)の横断面図に示されるように、垂直方向に対しては第2のレンズ列13によって屈折し、充填層16中で集光した後、出射する。即ち、自己整列式外光吸収層17は、第1のレンズ列12及び第2のレンズ列13の双方の焦点位置の近傍に設けられている。このように、両レンズの焦点位置の近傍に自己整列式外光吸収層17を設けると、コントラストがより向上する。
以上、説明したように、本発明の実施の形態5にかかる背面投射型スクリーンは、互いに直交する各レンズ列12、13を有するレンチキュラーレンズシートAの出射面側に充填層16を形成し、その充填層16上に自己整列式外光吸収層17を形成し、第1のレンズ列12から自己整列式外光吸収層17までの間を光透過性材質による中実構造としたので、各レンズ列12、13と充填層16との位置関係において、自己整列式外光吸収層17を精度良く形成することができる。特に、この例では、第1のレンズ列12及び第2のレンズ列13の双方の焦点位置が、自己整列式外光吸収層17が設けられた位置の近傍に来るように、精度良く自己整列式外光吸収層17を形成することができるため、コントラスト性能をより向上させることができる。また、本発明の実施の形態にかかる背面投射型スクリーンによれば、拡散材を減らすことができるので、画像のボケを防止することができ、解像度を向上させることができる。
続いて、本発明の実施の形態5にかかる背面投射型スクリーンの製造方法について説明する。
まず、レンチキュラーレンズシートAのうち、第1のレンズ列12を有する第1のレンズ層14を作製する。例えば、第1のレンズ層14の基材樹脂をTダイによって溶融押出しを行い、賦形ロールでシリンドリカルレンズを片面成形する。この場合、賦形ロールに対するシリンドリカルレンズの形状転写方向は、該賦形ロールの回転軸心に対し凹溝列が平行な横溝方式であってもよいし、逆に、回転軸心に対し凹溝列が直角な縦溝方式のいずれであってもよい。
若しくは、前記溶融押出し成形に代えて、片面凹溝金型により基材樹脂をプレス成形してもよいし、射出成形で片面成形してもよい。
次に前記工程で得られた第1のレンズ層14の原反の光出射面側に前記第1のレンズ層14の基材樹脂とほぼ同等の屈折率の放射線硬化型透明樹脂によって第2のレンズ列13を有する第2のレンズ層15を成形する。この場合、第2のレンズ列13は前記第1のレンズ列12とほぼ直交する形で第2のレンズ層15を成形する。該第2のレンズ層15は前記第1のレンズ層14の主平面とほぼ平行になるようにする必要があるが、第1レンズ層14の原反に与える張力調整と、第2のレンズ層15用の放射線硬化型透明樹脂の粘度の適正化を図ることにより、各レンズ列のレンズ間距離は精度よく均一に成形することができる。
なお、第2のレンズ列13の放射線硬化型透明樹脂による成形は、押出賦形成形した第1のレンズ層14の原反を金型賦形ロールに巻き付けて放射線照射して硬化させてもよいし、内側に紫外線照射ランプを挿入した中空円筒体の透明ガラス管を用いて、平板金型に押し当てつつ成形してもよい。また、上記成形工程で、例えば、第2のレンズ列13の表面をプラズマ処理するなど、易接着処理をすることがより好ましい。
その後、第2のレンズ列13上に第2のレンズ層15より屈折率が低い充填層16を放射線硬化型透明樹脂で成形する。この場合も、自己整列式外光吸収層17を形成する充填層16の主平面が第1、2の各レンズ層の主平面とほぼ平行となるように、前記工程で一体となったレンチキュラーレンズシートAの張力調整及び放射線硬化型透明樹脂の粘度を調節することによりに容易に達成される。
更に、充填層16の上面に遮光性光硬化型樹脂を塗工したフィルムを貼り合わせて、発明の実施の形態1において説明した方法により自己整列式外光吸収層17を形成する。
このような製造方法によって、図8に示される構造の背面投射型スクリーンを製造することができる。
尚、図8に示される構成を有するレンチキュラーレンズシートAにおいて、充填層16の屈折率を第2のレンズ層15の屈折率より高くしてもよい。この場合において、第2のレンズ列13を通過した出射光はレンズ媒質内で垂直方向に集光せず、自己整列式外光吸収層17はストライプ状となる。
また、図8に示されるレンチキュラーレンズシートAにおいて、第2のレンズ列13を、その断面が正弦波形をなすように形成してもよい。この場合には、自己整列式外光吸収層17の形状が発明の実施の形態3と同様にストライプ状となる。
発明の実施の形態6.
図10は、本発明の実施の形態6にかかるレンチキュラーレンズシートの主要部の構成を示す斜視図である。本発明の実施の形態6は、発明の実施の形態5と透明支持体21上に第1のレンズ層14及び第2のレンズ層15が形成されている構成で異なるが、その他の構成は同じであり、説明を省略する。
本発明の実施の形態6にかかるレンチキュラーレンズシートも発明の実施の形態5にかかるレンチキュラーレンズシートと同様の効果を奏する。
続いて、本発明の実施の形態6にかかる背面投射型スクリーンの製造方法について説明する。
まず、透明支持体21の表面上に、第1のレンズ列12を有する第1のレンズ層14を片面成形する。例えば、放射線硬化型透明樹脂を前記透明支持体21若しくは賦形ロール表面に塗工して貼り合せるか、あるいは両者の表面に共に塗工して貼り合せた上で、前記透明支持体21面側から放射線を照射して硬化させ、これを取り出す。この場合、第1のレンズ層14の厚みは前記透明支持体21の原反に与える張力調整と、前記放射線硬化型透明樹脂の年度を適正化することにより、前記第1のレンズ層14の厚みは精度よく均一に成形することができる。
なお、賦形ロールにおけるシリンドリカルレンズの形状転写方向は、該賦形ロールの回転軸心に対し凹溝列が平行な横溝方式であってもよいし、逆に、回転軸心に対し凹溝列が直角な縦溝方式のいずれであってもよい。
次に、第1のレンズ層14と一体化された前記透明層21の反対側の面に、第2のレンズ列を有する第2のレンズ層15を透明性の放射線硬化型樹脂によって成形する。この場合、第2のレンズ列13は前記第1のレンズ列12とほぼ直交する形で第2のレンズ層15を成形する。また、該第2のレンズ列13の主平面は前記第1のレンズ列12の主平面とほぼ平行になるように形状を付与する必要があるが、上述の前工程で第1レンズ層14が付与されて一体化された前記透明支持体21の原反に与える張力調整と、第2のレンズ層15用の放射線硬化型透明樹脂の粘度の適正化を図ることにより、各レンズ列のレンズ間距離は精度よく均一に成形することができる。また、上記の成形工程では、例えば前記透明支持体21の表面をプラズマ処理するなど、易接着処理をする事がより好ましい。
その後、第2のレンズ列13上に第2のレンズ層15より屈折率が低い充填層16を放射線硬化型透明樹脂で成形する。この場合も、自己整列式外光吸収層17を形成する充填層16の主平面が第1、2の各レンズ列の主平面とほぼ平行で厚みが均一となるように、前各レンズ層と一体化されたレンチキュラーレンズシートAの張力調整及び放射線硬化型透明樹脂の粘度を調節する。
なお、透明支持体21表面への放射線硬化型透明樹脂による成形手順は、上述の説明手順によらず、例えば、透明支持体21の表面に第2のレンズ層15を最初に賦形してもよいし、第2のレンズ層15を最初に賦形し次工程で充填層16を賦形して最後に第1のレンズ層14を賦形する手順でもよい。
また、透明支持体21を連続的に賦形ロールに巻き付けて放射線照射して硬化させてもよいし、内側に放射線源を挿入した中空円筒体の透明ガラス管を用いて、平板金型に押し当てながら成形してもよい。また、上記の成形工程では、例えば第2のレンズ列13の表面をプラズマ処理するなど、易接着処理をする事がより好ましい。
更に、充填層16の上面に遮光性光硬化型樹脂を塗工したフィルムを貼り合わせて、発明の実施の形態1において説明した方法により自己整列式外光吸収層17を形成する。
尚、図10に示される構成を有するレンチキュラーレンズシートAにおいて、充填層16の屈折率を第2のレンズ層15の屈折率より高くしてもよい。この場合において、第2のレンズ列13を通過した出射光はレンズ媒質内で垂直方向に集光せず、自己整列式外光吸収層17はストライプ状となる。
また、図10に示されるレンチキュラーレンズシートAにおいて、第2のレンズ列13を、その断面が正弦波形をなすように形成してもよい。この場合には、自己整列式外光吸収層17の形状がストライプ状となる。
発明の実施の形態7.
図11は、本発明の実施の形態7にかかるレンチキュラーレンズシートの主要部の構成を示す斜視図である。本発明の実施の形態7にかかるレンチキュラーレンズシートは、図9に示す発明の実施の形態5にかかるレンチキュラーレンズシートと同じ構成を有するが、以下に説明するように製造方法が異なる。
まず、レンチキュラーレンズシートAを作製する。例えば、レンズシートの基材樹脂をTダイによって溶融押出しを行い、賦形ロールで両面のシリンドリカルレンズ列を同時成形する。この場合、賦形ロールに対するシリンドリカルレンズの形状転写は、該賦形ロールの回転軸心に対し凹溝列が平行な横溝ロールと、回転軸心に対し凹溝列が直角な縦溝ロールの組み合わせで同時成形する。
若しくは、前記溶融押出し成形に代えて、両面金型により基材樹脂をプレス成形してもよいし、射出成形で両面のレンズ列を同時に成形してもよい。
その後、レンチキュラーレンズシートAのレンズ層より屈折率が低い充填層16を放射線硬化型透明樹脂で成形する。この場合も、自己整列式外光吸収層17を形成する充填層16の主平面が前記両面シリンドリカルレンズシートの主平面とほぼ水平となるように、該両面シリンドリカルレンズシートの張力調整及び放射線硬化型透明樹脂の粘度を調節することによりに容易に達成される。
なお、前記充填層16の放射線硬化型透明樹脂による成形は、押出賦形成形したレンチキュラーレンズシートAの原反を金型賦形ロールに巻き付けて放射線照射して硬化させてもよいし、内側にUV照射ランプを挿入した中空円筒体の透明ガラス管を用いて、平板金型に押し当てつつ成形してもよい。また、上記成形工程で、例えば第2のレンズ列13の表面をプラズマ処理するなど、易接着処理をする事がより好ましい。
更に、充填層16の上面に遮光性光硬化樹脂を塗工したフィルムを貼り合わせて、発明の実施の形態1において説明した方法により自己整列式外光吸収層17を形成する。
尚、図11に示される構成を有するレンチキュラーレンズシートAにおいて、充填層16の屈折率を第2のレンズ層15の屈折率より高くしてもよい。この場合において、第2のレンズ列13を通過した出射光はレンズ媒質内で垂直方向に集光せず、自己整列式外光吸収層17はストライプ状となる。
また、図11に示されるレンチキュラーレンズシートAにおいて、第2のレンズ列13を、その断面が正弦波形をなすように形成してもよい。この場合には、自己整列式外光吸収層17の形状がストライプ状となる。
発明の実施の形態8.
上述の発明の実施の形態1乃至7にかかるレンチキュラーレンズシートにおいては、第1のレンズ列で水平方向の拡散制御を行い、第2のレンズ列で垂直方向の制御を行うレンズ形状と屈折率の組み合わせで構成されているが、これを逆転させた構成であっても構わない。すなわち、図12に示されるように、第1のレンズ列を水平方向を長手方向とするシリンドリカルレンズ列とし、第2のレンズ列を鉛直方向を長手方向とするシリンドリカルレンズ列とする構成も可能である。
発明の実施の形態9.
図13に本発明の実施の形態9にかかる背面投射型スクリーンの断面を示す。この発明の実施の形態9においては、2組のレンチキュラーレンズシート1a、1bが設けられている。レンチキュラーレンズシート1aは、入射面に対して垂直方向に配列された第1のレンズ列12を備えている。レンチキュラーレンズシート1aの出射面は、平面状に構成されており、自己整列式外光吸収層は設けられていない。レンチキュラーレンズシート1bは、入射面に対して水平方向に配列された第2のレンズ列13を備えている。即ち、第1のレンズ列12と第2のレンズ列13とは、略直交している。第1のレンズ列12のレンズピッチP1は、第2のレンズ列13のレンズピッチP2よりも長く、例えば2〜10倍であり、より好ましくは3〜5倍である。このようにすることで、両レンズの焦点位置を近傍にすることが可能となる。
レンチキュラーレンズシート1bの出射面には、自己整列式外光吸収層17が設けられている。この自己整列式外光吸収層17は、第1のレンズ列12と第2のレンズ列13の双方の焦点位置の近傍であって、非集光部に設けられている。この例では、自己整列式外光吸収層17は、格子状に形成される。
レンチキュラーレンズシート1aとレンチキュラーレンズシート1bとの間には、充填層22が形成されている。このような充填層22が形成されることによって、レンチキュラーレンズシート1aとレンチキュラーレンズシート1bとは、互いに正確な位置に配置することができる。特に、レンチキュラーレンズシート1aに設けられた第1のレンズ列12は、レンチキュラーレンズシート1bの出射面に設けられた自己整列式外光吸収層17の近傍において焦点を有するように配置する必要があるため、この点においてもレンチキュラーレンズシート1aとレンチキュラーレンズシート1bとを正確に配置できる効果は高い。
充填層22は、例えば、2P樹脂より構成される。ここで、2P樹脂は、紫外線硬化樹脂であり、例えば、フッ素系紫外線硬化樹脂が用いられる。充填層2は、レンチキュラーレンズシート1bと異なる屈折率を有する必要がある。図13に示されるように、レンチキュラーレンズシート1bの入射面に設けられた第2のレンズ列13が入射側に凸のレンズの場合には、充填層22の屈折率は、レンチキュラーレンズシート1bの屈折率よりも低くする必要がある。逆に、第2のレンズ列13が入射側に凹のレンズの場合には、充填層22の屈折率は、レンチキュラーレンズシート1bの屈折率よりも高くする必要がある。
レンチキュラーレンズシート1bの出射面には、透明シート18及び機能性膜19が形成される。これらの透明シート18及び機能性膜19について、発明の実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
以上、説明したように、本発明の実施の形態9における背面投射型スクリーンは、第1のレンズ列12を有するレンチキュラーレンズシート1aと第2のレンズ列13を有するレンチキュラーレンズシート1bの間に充填層22を形成し、そのレンチキュラーレンズシート1bの出射面に自己整列式外光吸収層17を形成し、第1のレンズ列12から自己整列式外光吸収層17までの間を光透過性材質による中実構造としたので、レンズ列12、13との位置関係において、自己整列式外光吸収層17を精度良く形成することができる。特に、この例では、第1のレンズ列12及び第2のレンズ列13の双方の焦点位置が、自己整列式外光吸収層17が設けられた位置の近傍に来るように、精度良く自己整列式外光吸収層17を形成することができるため、コントラスト性能をより向上させることができる。
尚、この例では、自己整列式外光吸収層17は、格子状に形成したが、これに限らず、ストライプ状に形成してもよい。また、レンチキュラーレンズシート1aにおいて、レンチキュラーレンズ11は、出射面に設けてもよい。
次に、本発明の実施の形態9にかかる背面投射型スクリーンの製造方法について説明する。
まず、レンチキュラーレンズシート1a及び1bを作製する。例えば、レンズシートの基材樹脂をTダイによって溶融押出しを行い、賦形ロールで両面のシリンドリカルレンズを同時成形する。基材をTダイによって溶融押出しを行い、賦形ロールで入射面側のシリンドリカルレンズを成形し、出射側シリンドリカルレンズは別の金型を用いて2Pで形成するようにしてもよい。若しくは、上下の両面金型により基材樹脂をプレス成形するようにしてもよい。レンチキュラーレンズシート1aと1bの基材樹脂及び成形方法は、同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。
次にレンチキュラーレンズシート1aの出射面に、レンチキュラーレンズシート1bの基材樹脂とは異なる屈折率の2P樹脂を充填することによって、充填層22を形成する。
さらに、レンチキュラーレンズシート1bを充填層22上に配置する。その後、充填層22に対してUV光を照射し、充填層22を硬化させる。
その後、充填層22の上面に遮光性2P樹脂を塗工したフィルムを貼り合わせて、発明の実施の形態1において説明した方法により自己整列式外光吸収層17を形成する。
自己整列式外光吸収層17の上に、レンチキュラーレンズシート1と同等の屈折率を有する透明シート18を積層する。積層は、低屈折率の2P樹脂による接着や、低屈折率の粘着材による接着により実現する。
さらに、透明シート18の表面に機能性膜19を積層する。具体的には、機能性膜19を透明シート18上に直接コーティングするか又は機能性膜19をコーティングしたフィルムをラミネートする。
このような製造方法によって、図13に示される構造の背面投射型スクリーンを製造することができる。
発明の実施の形態10.
図14に、本発明の実施の形態10にかかる背面投射型スクリーンの断面を示す。本発明の実施の形態10にかかる背面投射型スクリーンは、基本的に発明の実施の形態9にかかる背面投射型スクリーンの構成と同じであり、レンチキュラーレンズシート1bの出射面に、さらに透明シート23が設けられ、この透明シート23の出射面に自己整列式外光吸収層17が設けられている点でのみ異なる。このような構成においても、発明の実施の形態9と同様の効果を奏することができる。尚、本発明の実施の形態10にかかる背面投射型スクリーンの製造方法は、発明の実施の形態9と同様であるため、説明を省略する。
その他の発明の実施の形態.
図15の断面図に示されるように、充填層は、2層以上の充填層24、25により構成されてもよい。
尚、上述の例におけるレンチキュラーレンズシート1は、1枚構成であったが、2枚のそれぞれにレンズ列12、13を形成し、両者を貼り合わせることにより構成してもよい。
本発明にかかるレンチキュラーレンズシートは、例えば、背面投射型プロジェクションテレビやモニタ等の背面投射型プロジェクション装置において用いられる。図17に当該背面投射型プロジェクション装置の構成例を示す。図において、
背面投射型プロジェクタ51において生成され、出射された映像光は、ミラー52において反射され、背面投射型スクリーン53に入射する。この背面投射型スクリーン53は、フレネルレンズシート531、レンチキュラーレンズシート532及び前面板533により構成される。背面投射型スクリーン53に入射した光は、フレネルレンズシート531において、一定の角度の範囲内になるように絞り込まれた後、レンチキュラーレンズシート532に入射する。レンチキュラーレンズシート532において光は拡散した後、前面板533を介して出射面より出射する。観察者は、前面板533から出射した光を観察することになる。
上述の各発明の実施の形態にかかるレンチキュラーレンズシートにおいて、レンズ設計を行った。
図19、図20に、例1〜7に関する具体的なレンズ単位要素の屈折率の組み合わせと、レンズ形状の寸法諸元を示す。例1、例2及び例3は発明の実施の形態1、例4は発明の実施の形態4、例5は発明の実施の形態5、例6は発明の実施の形態6、例7は発明の実施の形態7に示す構成にそれぞれ相当する。
図19、図20に示す各符号を説明するために、図18(a)にレンズ単位要素の上断面図を図18(b)に同横断面図を示す。図18〜図20において、1は第1のレンズ列の部位を示す添え字、2は第2のレンズ列の部位を示す添え字、nはレンズ列の出射側材質の屈折率、fは平行入射光に対するレンズの焦点距離 [mm]、Cはレンズの曲率、Kはレンズの円錐定数、Pはレンズのピッチ[mm]、Sはレンズの深さ(SAG)[mm]を示す。ここで、Sは次式において、レンズ頂点からの距離Xの値を、X=±P/2とした場合の最大深さを示す。
Figure 2004246352

ここで、A2〜A10=0
また、φはレンズ谷部の接線角度[deg]、θはレンズの屈折角度(出射光のカットオフ角度)[deg]、ΔHは第1のレンズ列谷部と第2のレンズ列谷部の距離[mm]、ΔVは第1のレンズ列頂点部と第2のレンズ列頂点部の距離[mm]を示す。
実施例1、2において第1のレンズ層はアクリル系紫外線硬化樹脂により、第2のレンズ層はMS樹脂により形成されている。実施例3では第1のレンズ層はフッ素系紫外線硬化樹脂により、第2のレンズ層はMS樹脂により形成されることを想定して計算機シミュレーションを行なった。
実施例4、5、6において第1のレンズ層及び第2のレンズ層は双方ともアクリル系紫外線硬化樹脂により形成されている。実施例7において第1のレンズ層はMS樹脂により、また第2のレンズ層はアクリル系紫外線硬化樹脂により形成されている。
本発明の実施の形態1にかかる背面投射型スクリーンの構成の一部を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1にかかる背面投射型スクリーンの上断面及び横断面を示す図である。 本発明の実施の形態2にかかる背面投射型スクリーンの構成の一部を示す斜視図及び自己整列式外光吸収層の形状を示す一部拡大図である。 本発明の実施の形態2にかかる背面投射型スクリーンの上断面及び横断面を示す図である。 本発明の実施の形態3にかかる背面投射型スクリーンの構成の一部を示す斜視図である。 本発明の実施の形態3にかかる背面投射型スクリーンの上断面及び横断面を示す図である。 本発明の実施の形態4にかかる背面投射型スクリーンの構成の一部を示す斜視図である。 本発明の実施の形態5にかかる背面投射型スクリーンの構成の一部を示す斜視図である。 本発明の実施の形態5にかかる背面投射型スクリーンの上断面及び横断面を示す図である。 本発明の実施の形態6にかかる背面投射型スクリーンの構成の一部を示す斜視図である。 本発明の実施の形態7にかかる背面投射型スクリーンの構成の一部を示す斜視図である。 本発明の実施の形態8にかかる背面投射型スクリーンの構成の一部を示す斜視図である。 本発明の実施の形態9にかかる背面投射型スクリーンの構成の一部を示す断面図である。 本発明の実施の形態10にかかる背面投射型スクリーンの構成の一部を示す断面図である。 その他の実施の形態にかかる背面投射型スクリーンの構成の一部を示す断面図である。 従来の背面投射型スクリーンの構成を示す断面図である。 背面投射型プロジェクション装置の構成を示す図である。 実施例におけるレンズ単位要素の上断面図及び横断面図である。 実施例に関する具体的なレンズ単位要素の屈折率の組み合わせと、レンズ形状の寸法諸元を示す表である。 実施例に関する具体的なレンズ単位要素の屈折率の組み合わせと、レンズ形状の寸法諸元を示す表である。
符号の説明
10,11 レンチキュラーレンズシート
12 第1のレンズ列
13 第2のレンズ列
14 第1のレンズ層
15 第2のレンズ層
16 充填層
17 自己整列式外光吸収層
19 前面板

Claims (21)

  1. 入射面に形成された第1のレンズ列と、
    前記第1のレンズ列より光出射側に形成され、前記第1のレンズ列とほぼ直交する第2のレンズ列であって、当該第2のレンズ列のレンズ界面の入射側と出射側が互いに屈折率の異なる光透過性材質により構成されている第2のレンズ列と、
    前記第1のレンズ列及び前記第2のレンズ列を通過した光の非通過位置に設けられた自己整列式外光吸収層とを備え、
    前記第1のレンズ列から前記自己整列式外光吸収層までの間が光透過性材質による中実構造であるレンチキュラーレンズシート。
  2. 前記自己整列式外光吸収層の出射側に光透過性を有する前面板が積層形成されていることを特徴とする請求項1記載のレンチキュラーレンズシート。
  3. 前記第2のレンズ列は、複数の入射側に凹のレンズにより構成され、
    前記第2のレンズ列のレンズ界面の出射側の光透過性材質は、入射側の光透過性材質よりも低い屈折率を有することを特徴とする請求項1記載のレンチキュラーレンズシート。
  4. 前記第2のレンズ列は、複数の入射側に凸のレンズにより構成され、
    前記第2のレンズ列のレンズ界面の出射側の光透過性材質は、入射側の光透過性材質よりも高い屈折率を有することを特徴とする請求項1記載のレンチキュラーレンズシート。
  5. 前記第1のレンズ列のレンズピッチは、前記第2のレンズ列のレンズピッチの2倍以上10倍以下であることを特徴とする請求項1記載のレンチキュラーレンズシート。
  6. 前記自己整列式外光吸収層は、格子状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のレンチキュラーレンズシート。
  7. 前記自己整列式外光吸収層は、ストライプ状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のレンチキュラーレンズシート。
  8. 背面投射型プロジェクタより出射された光を一定の角度の範囲内になるように絞り込むフレネルレンズシートと、
    請求項1記載のレンチキュラーレンズシートと、
    前記レンチキュラーレンズシートの出射面側に設けられた前面板とを備えた背面投射型スクリーン。
  9. 映像光を生成し、出射する背面投射型プロジェクタと、
    前記背面投射型プロジェクタより出射された映像光を入射する請求項8記載の背面投射型スクリーンとを備えた背面投射型プロジェクション装置。
  10. 入射面に第1のレンズ列を有する第1のレンズ層と、
    前記第1のレンズ層の出射側界面に前記第1のレンズ列とほぼ直交する第2のレンズ列を有し、前記第1のレンズ層と異なる屈折率を有する第2のレンズ層と、
    前記第2のレンズ層の出射面上であって、前記第1のレンズ層及び前記第2のレンズ層を通過した光の非通過位置に設けられた自己整列式外光吸収層とを備えたレンチキュラーレンズシート。
  11. 第1のレンズ列を有する第1のレンズ層と、
    前記第1のレンズ列とほぼ直交する第2のレンズ列を有する第2のレンズ層と、
    前記第1のレンズ層と前記第2のレンズ層との間に充填され、すくなくとも前記第2のレンズ層と異なる屈折率を有する充填層と、
    前記第1のレンズ列及び前記第2のレンズ列を通過した光の非通過位置に設けられた自己整列式外光吸収層とを備えたレンチキュラーレンズシート。
  12. 入射面に第1のレンズ列を有する第1のレンズ層と、前記第1のレンズ層の出射側界面に前記第1のレンズ列とほぼ直交する第2のレンズ列を有し、前記第1のレンズ層と異なる屈折率を有する第2のレンズ層と、前記第2のレンズ層の出射面上であって、前記第1のレンズ層及び前記第2のレンズ層を通過した光の非通過位置に設けられた自己整列式外光吸収層とを備えたレンチキュラーレンズシートの製造方法であって、
    前記第2のレンズ層を形成するステップと、
    前記第2のレンズ層を形成した後に、当該第2のレンズ層上に前記第1のレンズ層を形成するステップを備えたレンチキュラーレンズシートの製造方法。
  13. 前記自己整列式外光吸収層を形成するステップをさらに備え、
    当該自己整列式外光吸収層を形成するステップは、
    前記レンチキュラーレンズシートの光出射面側に感光性材質層を形成するステップと、
    前記レンチキュラーレンズシートの入射面側から光を照射して、前記感光性材質層にレンズパターンに対応した感光部および非感光部を形成するステップとを有し、前記非感光部に対応する遮光パターンを前記自己整列式外光吸収層とすることを特徴とする請求項12記載のレンチキュラーレンズシートの製造方法。
  14. 前記感光性材質層が感光性粘着層であることを特徴とする請求項13記載のレンチキュラーレンズシートの製造方法。
  15. 前記感光性材質層が、第1の組成物と前記第1の組成物よりも表面自由エネルギーが低い第2の組成物とからなる光硬化性組成物層であり、
    前記光硬化性組成物層が前記第2の組成物よりも表面自由エネルギーが低い媒質に接触した状態で、前記レンチキュラーレンズシートの入射面側から前記光硬化性組成物層に光を照射し、前記レンチキュラーレンズパターンによる集光部分にある前記光硬化性組成物層を硬化するステップと、
    前記光硬化性組成物層が前記第1の組成物よりも表面自由エネルギーが高い媒質に接触した状態で、前記光硬化性組成物層側から前記光硬化性組成物層に光を照射し、前記集光部分以外の非集光部分にある前記光硬化性組成物を硬化するステップと、
    前記光硬化性組成物層上に着色材料を配置し、前記非集光部分に対応した遮光パターンを形成するステップとを備えたことを特徴とする請求項13記載のレンチキュラーレンズシートの製造方法。
  16. 入射面に第1のレンズ列を有する第1のレンズ層と、前記第1のレンズ層の出射側界面に前記第1のレンズ列とほぼ直交する第2のレンズ列を有し、前記第1のレンズ層と異なる屈折率を有する第2のレンズ層と、前記第2のレンズ層の出射面上であって、前記第1のレンズ層及び前記第2のレンズ層を通過した光の非通過位置に設けられた自己整列式外光吸収層とを備えたレンチキュラーレンズシートの製造方法であって、
    前記第1のレンズ層に前記第1のレンズ列と前記第2のレンズ列に対応する形状を形成するステップと、
    当該第1のレンズ層上に前記第2のレンズ層を形成するステップとを備えたレンチキュラーレンズシートの製造方法。
  17. 前記第1のレンズ層に前記第1のレンズ列と前記第2のレンズ列に対応する形状を形成するステップは、
    前記第1のレンズ層に前記第1のレンズ列を形成するステップと、
    前記第1のレンズ層に前記第2のレンズ列を形成するステップとを備えたことを特徴とする請求項16記載のレンチキュラーレンズシートの製造方法。
  18. 前記自己整列式外光吸収層を形成するステップをさらに備え、
    当該自己整列式外光吸収層を形成するステップは、
    前記レンチキュラーレンズシートの光出射面側に感光性材質層を形成するステップと、
    前記レンチキュラーレンズシートの入射面側から光を照射して、前記感光性材質層にレンズパターンに対応した感光部および非感光部を形成するステップとを有し、前記非感光部に対応する遮光パターンを前記自己整列式外光吸収層とすることを特徴とする請求項16記載のレンチキュラーレンズシートの製造方法。
  19. 前記感光性材質層が感光性粘着層であることを特徴とする請求項18記載のレンチキュラーレンズシートの製造方法。
  20. 前記感光性材質層が、第1の組成物と前記第1の組成物よりも表面自由エネルギーが低い第2の組成物とからなる光硬化性組成物層であり、
    前記光硬化性組成物層が前記第2の組成物よりも表面自由エネルギーが低い媒質に接触した状態で、前記レンチキュラーレンズシートの入射面側から前記光硬化性組成物層に光を照射し、前記レンチキュラーレンズパターンによる集光部分にある前記光硬化性組成物層を硬化するステップと、
    前記光硬化性組成物層が前記第1の組成物よりも表面自由エネルギーが高い媒質に接触した状態で、前記光硬化性組成物層側から前記光硬化性組成物層に光を照射し、前記集光部分以外の非集光部分にある前記光硬化性組成物を硬化するステップと、
    前記光硬化性組成物層上に着色材料を配置し、前記非集光部分に対応した遮光パターンを形成するステップとを備えたことを特徴とする請求項18記載のレンチキュラーレンズシートの製造方法。
  21. 第1のレンズ列を有する第1のレンズ層を形成するステップと、
    前記第1のレンズ列とほぼ直交する第2のレンズ列を有する第2のレンズ層を形成するステップと、
    前記第1のレンズ層と前記第2のレンズ層との間に前記第1のレンズ層と異なる屈折率を有する充填層を形成するステップと、
    前記第1のレンズ列及び前記第2のレンズ列を通過した光の非通過位置に設けられた自己整列式外光吸収層を形成するステップとを備えたレンチキュラーレンズシートの製造方法。
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