以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し、また実施の形態および実施例を適宜組み合わせることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、メモリとCPUを有する半導体装置について説明する。図3は、メモリとCPUを有する半導体装置の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、半導体装置は、CPU151と、メインメモリ152と、入出力インタフェース153と、アドレスバス156と、データバス157と、コントローラバス158とを有する。メインメモリ152はROM154と、RAM155とを含む。ROM154はCPU151が実行するプログラムを記憶するプログラムメモリとして用いられる。RAM155は、CPU151がプログラムを実行するときの作業メモリとして用いられる。
CPU151と、メインメモリ152とはアドレスバス156で接続されている。さらに、CPU151、メインメモリ152、および入出力インタフェース153はデータバス157およびコントローラバス158で互いに接続されている。
CPU151は機器の動作を制御し、CPU151がプログラムを実行するために必要な情報はメインメモリ152内のROM154に格納されている。ROM154はデータの読み出し専用のメモリ回路である。ROM154に格納されるデータは製造段階で固有のものである。CPU151が処理する命令および処理に必要なプログラムデータはROM154に記憶されているため、CPU151の処理動作とメインメモリ152からのデータの読み出し動作は繰り返し行われる。CPU151の動作に必要なデータを読み出す際にROM154は電力を消費する。RAM155はデータの書き込みや書き換えが可能なメモリ回路である。RAM155は、主にプログラムの途中のCPU151における処理結果を保存するために用いられる。外部からの信号の入力および、外部への処理結果などの信号の出力は入出力インタフェース153を介して行われる。
メインメモリ152に記憶されるデータなど、図3に示す半導体装置で使用されるデータは2進法で記述され、すなわち、データは「1」および「0」で記述されている。以下、データを構成する「1」と「0」を、信号の電位の高低に対応して、”high(ハイ)”と”low(ロー)”で記す。
アドレスバス156はCPU151が必要とする命令やデータをメインメモリ152に伝えるための配線(経路)である。データバス157はメインメモリ152に対するデータの読み出しおよび書き込み、並びに入出力インタフェース153を介して外部装置とのデータの取得や提供を行うための配線(経路)である。コントローラバス158はメインメモリ152や入出力インタフェース153に制御情報を与えるための配線(経路)である。
ROM154の構成について図1、図4を用いて説明する。図1はROM154に格納されているデータにおいて”high”が多い場合の構成例を示す回路図である。図4はROM154に格納されているデータにおいて”low”が多い場合の構成例を示す回路図である。
ROM154の構成を決定するために、CPU151が必要とするプログラムなど、ROM154に格納するデータの解析を行い、”high”または”low”のいずれが多いかを調べる。その結果によりROM154の構成を決定することで、半導体装置全体の消費電力を低減することができる。最初に”high”が多い場合のROM154の回路構成例について図1を用いて説明する。
図1に示すように、ROM154は、第1のワード配線101、第2のワード配線102、第1のビット配線103、第2のビット配線104、第1のメモリセル106、第2のメモリセル107、第3のメモリセル108、第4のメモリセル109を有する。
また、これらのメモリセル(106〜109)からデータを読み出すための手段として、本実施の形態のメモリ回路は、第1のプリチャージ回路110、第2のプリチャージ回路111、第1のラッチ回路112、第2のラッチ回路113、第1のバッファ124、第2のバッファ125と、第1のメモリ出力配線126、および第2のメモリ出力配線127を含む。第1のプリチャージ回路110は、プリチャージ配線105を第1の電位とすることで第1のビット配線103を第2の電位とする機能を有する。第2のプリチャージ回路111は、プリチャージ配線105を第3の電位とすることで第2のビット配線104を第4の電位とする機能を有する。第1のラッチ回路112は第1のビット配線103の第2の電位を保持する機能を有し、第2のラッチ回路113は、第2のビット配線104の第4の電位を保持する機能を有する。
図1のROM154(メモリ回路)の構成例は、ワード配線およびビット配線の本数を2本とし、4個のメモリセルを2行2列に配列した例を示している。ワード配線、ビット配線の本数、並びにメモリセルの配置および数は、図1の構成例に限定されるものではなく、ワード配線およびビット配線は、それぞれ、2本以上設けることができる。そして、これらの配線の数に応じてメモリセルの配列および数が決定される。この点は、他の図面に示したメモリ回路の構成例についても同様である。
図1に示すように、ワード配線(101、102)とビット配線(103、104)は交差して配置され、2本のワード配線(101、102)と2本のビット配線(103、104)が交差することで規定される4つの領域(図1で点線で囲んだ領域)にメモリセル(106〜109)が設けられている。
第1のメモリセル106は、ビット配線およびワード配線に接続されている半導体素子を含むセルであり、第1のワード配線101と第1のビット配線103の交差することで規定される領域に配置される。第2のメモリセル107は空セルであり、第1のワード配線101と第2のビット配線104の交差することで規定される領域に配置される。第3のメモリセル108は空セルであり、第2のワード配線102と第1のビット配線103の交差することで規定される領域に配置される。第4のメモリセル109は空セルであり、第2のワード配線102と第2のビット配線104の交差することで規定される領域に配置される。空セルとは、ダイオード、トランジスタ、メモリ素子などの半導体素子を含まないセルであり、すなわち、メモリセル内が空であるものをいう。
また、第1のメモリセル106は半導体素子を含むセルである。半導体素子としては、トランジスタ、ダイオード、メモリ素子(メモリトランジスタ)などを用いることができる。本実施の形態では、半導体素子としてトランジスタを用いた例を示す。図1では、メモリセルに形成されるトランジスタとして、n型トランジスタ114が用いられる。
第1のメモリセル106において、n型トランジスタ114のゲート電極は、第1のワード配線101に接続され、ソース電極は第1のビット配線103に接続され、ドレイン電極は電位が固定されるように所定の配線に接続され、図1の構成例ではドレイン電極を接地電位端子に接続している。本明細書では、半導体素子を含むメモリセルの構造の1つとして、半導体素子の電極が接地電位端子に接続されているセルを「接地セル」と呼ぶことにする。よって、第1のメモリセル106は接地セルである。
また、第1のビット配線103には、第3のメモリセル108(最終行のメモリセル)の出力側に、第1のラッチ回路112、第1のプリチャージ回路110が順に接続され、第1のビット配線103の出力端には、第1のバッファ124の入力端子が接続されている。また、第2のビット配線104にも、第1のビット配線103と同様、第4のメモリセル109(最終行のメモリセル)の出力側に、第2のラッチ回路113、第2のプリチャージ回路111が順に接続され、第2のビット配線104の出力端には、第2のバッファ125の入力端子が接続されている。
第1のラッチ回路112および第2のラッチ回路113は同じ構成であり、それぞれ、2つのインバータを有する。第1のラッチ回路112はインバータ120、121を有し、第2のラッチ回路113はインバータ122、123を有する。なお、第1のラッチ回路112および第2のラッチ回路113をコンデンサで構成することもできる。
第1のプリチャージ回路110および第2のプリチャージ回路111は同じ構成であり、それぞれ、トランジスタを有している。第1のプリチャージ回路110は第1のプリチャージ用p型トランジスタ118を有し、第2のプリチャージ回路111は第2のプリチャージ用p型トランジスタ119を有する。第1のプリチャージ用p型トランジスタ118および第2のプリチャージ用p型トランジスタ119は、それぞれ、ゲート電極が共通のプリチャージ配線105に接続され、ソース電極は共通の電源配線130に接続されている。また、第1のプリチャージ用p型トランジスタ118のドレイン電極は第1のビット配線103に接続され、第2のプリチャージ用p型トランジスタ119のドレイン電極は第2のビット配線104に接続されている。電源配線130の電位は一定の電位に固定されている。
第1のバッファ124の出力端子に第1のメモリ出力配線126が各々接続され、第2のバッファ125の出力端子に第2のメモリ出力配線127が接続されている。
次に、図2のタイミングチャートを用いて、図1に示すROM154(メモリ回路)からデータを読み出す動作を説明する。なお、図1のROM154は2本のビット配線および2本のワード配線でなる回路例のため、図2のタイミングチャートが示すように、1回のデータの読み出し動作には、第1のプリチャージ信号期間208、第1のワード信号期間209、第1のデータ保持期間210、第2のプリチャージ信号期間211、第2のワード信号期間212、第2のデータ保持期間213で構成される。
図2において、201は第1のワード配線101に入力される信号(以下、「第1のワード信号」という。)であり、第1のワード配線101の電位を示している。202は第2のワード配線102に入力される信号(以下、「第2のワード信号」という。)である。203は第1のビット配線103に入力される信号(以下、「第1のビット信号」という。)であり、204は第2のビット配線104に入力される信号(以下、「第2のビット信号」という。)である。205はプリチャージ配線105に入力される信号(以下、「プリチャージ信号」という。)である。206は、第1のメモリ出力配線126から出力される信号(以下、「第1のメモリ出力信号」という。)であり、207は、第2のメモリ出力配線127から出力される信号(以下、「第2のメモリ出力信号」という。)である。
まず、第1のプリチャージ信号期間208でプリチャージ配線105の電位(プリチャージ信号205)を”low”とすると、第1のプリチャージ用p型トランジスタ118のゲート電極の電位、および第2のプリチャージ用p型トランジスタ119のゲート電極の電位が”low”となる。第1のビット配線103には、第1のプリチャージ用p型トランジスタ118を介して、そのソース電極に接続された電源配線130から電荷が供給され、第2のビット配線104にも、第2のプリチャージ用p型トランジスタ119を介して、そのソース電極に接続された電源配線130から電荷が供給される。その結果、第1のビット配線103の電位(第1のビット信号203)が”high”となり、第2のビット配線104の電位(第2のビット信号204)が”high”となる。第1のラッチ回路112、第2のラッチ回路113により、それぞれ、第1のビット配線103の電位(第1ビット信号203)、第2のビット配線104の電位(第2のビット信号204)が保持される。
続いて第1のワード信号期間209で、プリチャージ配線105の電位(プリチャージ信号205)を”high”にし、第1のワード配線101の電位(第1のワード信号201)を”high”にする。このとき、第1のワード配線101に接続した第1のメモリセル106のn型トランジスタ114のゲート電極に”high”が印加されることになる。n型トランジスタ114のドレイン電極の電位が接地電位にあるため、ゲート電極に”high”が印加されると、第1のビット配線103の電位は”low”になる。一方、第2のメモリセル107が空セルのため、第2のビット配線104の電位は何も操作されず、”high”のままである。つまり、第1のビット配線103の電位(第1ビット信号203)は”low”となり、第2のビット配線104の電位(第2ビット信号204)は、”high”となる。
ここで、第1ビット信号203、第2ビット信号204は、それぞれ、第1のバッファ124、第2のバッファ125を介して、第1のメモリ出力配線126、第2のメモリ出力配線127に”low”、”high”の信号として出力される。つまり、第1のワード配線101に対応する第1のメモリセル106、第2のメモリセル107から、それぞれ、”low”、”high”が読み出せたことになる。
次に、第1のデータ保持期間210では、第1のビット配線103の電位は第1のラッチ回路112によって保たれ、第2のビット配線104の電位は第2のラッチ回路113によって保たれる。そのため、第1のメモリ出力配線126の電位は”low”の状態を保持し続け、第2のメモリ出力配線127の電位は”high”の状態を保持し続ける。
次に、第2のプリチャージ信号期間211で、プリチャージ配線105の電位(プリチャージ信号205)を”low”とすると、第1のプリチャージ用p型トランジスタ118のゲート電極の電位、および第2のプリチャージ用p型トランジスタ119のゲート電極の電位が”low”となる。第1のビット配線103には、第1のプリチャージ用p型トランジスタ118を介して、そのソース電極に接続された電源配線130から電荷が供給され、第2のビット配線104にも、第2のプリチャージ用p型トランジスタ119を介して、そのソース電極に接続された電源配線130から電荷が供給される。
第1のビット配線103の電位(第1のビット信号203)は”high”の状態を維持し、第2のビット配線104の電位も”high”の状態を維持する。第1のラッチ回路112、第2のラッチ回路113により、それぞれ、第1のビット配線103の電位(第1ビット信号203)、第2のビット配線104の電位(第2のビット信号204)が保持される。
続いて第2のワード信号期間212で、プリチャージ配線105の電位を”high”にし、第2のワード配線102の電位を”high”にする。第2のワード配線102にはメモリセルが電気的に接続されてないので、第1、第2のビット配線103、104の電位は何も操作されないため、”high”のままである。つまり、第1、第2のビット配線103、104の電位は”high”、”high”となる。その後、第1、第2のビット配線103、104の信号は、それぞれ、第1、第2のバッファ124、125を介して、第1、第2のメモリ出力配線126、127に”high”、”high”の信号として出力される。つまり、第3、第4のメモリセル108、109から”high”、”high”のデータが読み出せたことになる。
第2のデータ保持期間213では、第1のビット配線103の電位は第1のラッチ回路112によって保たれ、第2のビット配線104の電位は第2のラッチ回路113によって保たれる。そのため、第1のメモリ出力配線126の電位は”high”の状態を保持し続け、第2のメモリ出力配線127の電位は”high”、の状態を保持し続ける。
以上のように、第1〜第4のメモリセル106〜109から、それぞれ、”low”、”high”、”high”、”high”のデータが得られる。”high”のデータを記憶しているメモリセル(107〜109)ではワード配線に半導体素子が接続されていないため、読み出しの動作のとき、メモリセルで電力が消費されない。よって、半導体装置全体で無駄な電力消費を削減することができる。特に第2のワード配線102のように全く半導体素子が接続されない場合、ワード配線で電力は消費されない。このように、メモリ回路に格納させるデータが、”high”を多く含む多い場合は図1の構成例のように”high”を格納するメモリセルに空セルを用いる構成にするとよい。
次に、図4を用いて、ROM154に格納されるデータが”low”の方を多く含む場合のROM154の回路構成例について説明する。
図4において、図1と同じ符号は同じ構成要素を示す。図4に示すROM154の構成で、図1と異なる点は、図1の第1のバッファ124、第2のバッファ125を、それぞれ、第1のインバータ144、第2のインバータ145に変更したことであり、他は図1の回路と同様である。
次に、図5のタイミングチャートを用いて、図4に示すROM154(メモリ回路)からデータを読み出す動作を説明する。なお、図4のROM154は2本のビット配線および2本のワード配線でなる回路例のため、図5のタイミングチャートが示すように、1回のデータの読み出し動作には、第1のプリチャージ信号期間508、第1のワード信号期間509、第1のデータ保持期間510、第2のプリチャージ信号期間511、第2のワード信号期間512、第2のデータ保持期間513で構成される。
図5において、501は第1のワード配線101に入力される信号(以下、「第1のワード信号」という。)であり、第1のワード配線101の電位を示している。502は第2のワード配線102に入力される信号(以下、「第2のワード信号」という。)である。503は第1のビット配線103に入力される信号(以下、「第1のビット信号」という。)であり、504は第2のビット配線104に入力される信号(以下、「第2のビット信号」という。)である。505はプリチャージ配線105に入力される信号(以下、「プリチャージ信号」という。)である。506は、第1のメモリ出力配線126から出力される信号(以下、「第1のメモリ出力信号」という。)であり、507は、第2のメモリ出力配線127から出力される信号(以下、「第2のメモリ出力信号」という。)である。
まず、第1のプリチャージ信号期間508で、プリチャージ配線105の電位を”low”とする。このとき、第1のプリチャージ用p型トランジスタ118のゲート電極の電位、および第2のプリチャージ用p型トランジスタ119のゲート電極の電位が”low”となる。第1のビット配線103には、第1のプリチャージ用p型トランジスタ118を介して、そのソース電極に接続された電源配線130から電荷が供給され、第2のビット配線104にも、第2のプリチャージ用p型トランジスタ119を介して、そのソース電極に接続された電源配線130から電荷が供給される。その結果、第1のビット配線103、第2のビット配線104の電位は各々”high”、”high”となる。第1のラッチ回路112、第2のラッチ回路113により、それぞれ、第1のビット配線103の電位(第1のビット信号503)、第2のビット配線104の電位(第2のビット信号504)が保持される。
続いて第1のワード信号期間509で、プリチャージ配線105の電位(プリチャージ信号505)を”high”にする。さらに、第1のワード配線101の電位(第1のワード信号501)を”high”にする。第1のワード配線101に接続している第1のメモリセル106に含まれるn型トランジスタ114のゲート電極に”high”が印加されることになる。n型トランジスタ114のドレイン電極の電位が接地電位にあるため、ゲート電極に”high”が印加されると、第1のビット配線103の電位(第1のビット信号503)は”low”になる。
一方、第2のメモリセル107が空セルのため、第2のビット配線104の電位(第2のビット信号504)は何も操作されず、”high”のままである。つまり、第1のワード信号期間509で、第1のビット配線103の電位(第1のビット信号503)は”low”となり、第2のビット配線104の電位(第2のビット信号504)は”“high”となる。
第1のビット信号503、第2のビット信号504は、それぞれ、第1のインバータ144、第2のインバータ145に入力され、反転される。よって、第1のメモリ出力配線126からは”high”の信号(第1のメモリ出力信号506)が出力され、第2のメモリ出力配線127から”low”の信号(第2のメモリ出力信号507)が出力される。つまり、第1のメモリセル106、第2のメモリセル107から、それぞれ、”high”、”low”のデータが読み出せたことになる。
第1のデータ保持期間510では、第1のビット配線103の電位は第1のラッチ回路112によって保たれ、第2のビット配線104の電位は第2のラッチ回路113によって保たれる。そのため、第1のメモリ出力配線126の電位は”high”の状態を保持し続け、第2のメモリ出力配線127の電位は”low”の状態を保持し続ける。
次に、第2のプリチャージ信号期間511で、プリチャージ配線105の電位(プリチャージ信号505)を”low”とする。このとき、第1のプリチャージ用p型トランジスタ118のゲート電極の電位、および第2のプリチャージ用p型トランジスタ119のゲート電極の電位が”low”となる。第1のビット配線103には、第1のプリチャージ用p型トランジスタ118を介して、そのソース電極に接続された電源配線130から電荷が供給され、第2のビット配線104にも、第2のプリチャージ用p型トランジスタ119を介して、そのソース電極に接続された電源配線130から電荷が供給される。その結果、第1のビット配線103の電位(第1のビット信号503)は”high”になり、第2のビット配線104の電位(第2のビット信号504)は”high”になる。第1のラッチ回路112、第2のラッチ回路113により、それぞれ、第1のビット配線103の電位、第2のビット配線104の電位が保持される。
続いて第2のワード信号期間512で、プリチャージ配線105の電位(プリチャージ信号505)を”high”にする。さらに第2のワード配線102の電位(第2のワード信号502)を”high”にする。第2のワード配線102には空セルのみ設けられているため、トランジスタが電気的に接続されていないので、第1のビット配線103、第2のビット配線104の電位は何も操作されない。つまり、第1のビット配線103の電位(第1のビット信号503)、第2のビット配線104の電位(第2のビット信号504)は、それぞれ、”high”、”high”となる。
第1のビット配線103の信号(第1のビット信号503)、第2のビット配線104の信号(第2のビット信号504)は、それぞれ、第1のインバータ144、第2のインバータ145に入力され、反転される。よって、第1のメモリ出力配線126からは、”low”の信号(第1のメモリ出力信号506)が出力され、第2のメモリ出力配線127からは、”low”の信号(第2のメモリ出力信号507)が出力される。つまり、第3のメモリセル108、第4のメモリセル109から”low”、”low”のデータが読み出せたことになる。
第2のデータ保持期間513では、第1のビット配線103の電位は第1のラッチ回路112によって保たれ、第2のビット配線104の電位は第2のラッチ回路113によって保たれる。そのため、第1のメモリ出力配線126の電位は”low”の状態を保持し続け、第2のメモリ出力配線127の電位は”low”、の状態を保持し続ける。
以上のように、第1〜第4のメモリセル106〜109から、各々”high”、”low”、”low”、”low”のデータが得られる。”low”のデータを記憶しているメモリセル(107〜109)ではワード配線に何らの半導体素子(特にそのゲート電極)が接続されていないため、読み出し時にメモリセルに電力が消費されないため、半導体装置全体として、無駄な電力消費を削減することができる。特に第2のワード配線102のように全く半導体素子と接続されない場合、ワード配線で電力は消費されない。そのため、メモリ回路(ROM154)に格納させるデータが、”low”の方を多く含む場合は、図4の構成例のように”low”を格納するメモリセルに空セルを用いる構成にするとよい。
このように、ROM154に格納されたデータ(例えば、CPU151のプログラムデータなど)に合わせて、”high”、または”low”のデータのうち、多い方のデータを記憶するメモリセルを空セルにすることで、消費電力を非常に効果的に低減することができる。さらに、消費電力が低減できるため発熱も低減することができる。すなわち、メモリ回路を本実施の形態に示した構成とすることで、低消費電力、発熱の少ない半導体装置を提供できる。
本実施の形態1の図1、図4に示すメモリ回路は、製造段階で各メモリセルに記憶するデータが決まっているメモリ回路(例えば、マスクROMなど)に対しては特に好適である。
(実施の形態2)
実施の形態1で説明したように、半導体装置の構成上、密接な関係にあるCPUとプログラムを記憶するメモリ回路(プログラムメモリ)において、CPUが必要とするプログラムのデータ解析を行うことで、メモリ回路を最も消費電力を低減した構成とすることが可能である。
また、プログラムのデータ解析を行わない場合でもCPUのNOP命令のデータに合わせてメモリの構成を変えることで、消費電力の削減を効果的に行うことができる。本実施の形態はそのような例について説明する。
本実施の形態では、メモリ回路において、NOP命令を格納する複数のメモリセルを空セルで構成する。例えば、NOP命令が”high”データ(または「1」)のみで構成されている場合は、図1のようなメモリ回路(ROM154)をプログラムメモリに用いることができる。図1の構成例において、メモリ回路の第2行(第2のワード配線102)に配置されたメモリセル(108、109)にNOP命令のデータを記憶する。第2行のメモリセル(第3のメモリセル108、第4のメモリセル109)は全て空セルで構成されており、第3のメモリセル108、第4のメモリセル109から”high”、”high”の信号を読み出すことができる。すなわち、「1」のみで記述されるNOP命令が得られる。このようにメモリを構成することで、NOP命令の読み出しに要する消費電力を削減できる。また消費電力の削減により、発熱も抑えることができる。
また、NOP命令が”low”データのみ(「0」のみ)で構成されている場合、図4のようなメモリ回路を用いることができる。図4の構成例でも、NOP命令のデータは第2行のメモリセル(第3のメモリセル108、第4のメモリセル109)に格納されている。第3のメモリセル108、第4のメモリセル109から”low”、”low”の信号を読み出すことができる。すなわち、「0」のみで記述されるNOP命令が得られる。第3のメモリセル108、第4のメモリセル109に格納されているデータでNOP命令を構成することができる。
以上のようにNOP命令を格納する複数のメモリセルを空セルとすることで、CPUのNOP命令の読み出しに必要な消費電力を低減することが可能となる。特に、少なくとも1つのワード配線に対応して形成されるメモリセルを全て空セルとすることで、消費電力を効果的に低減することができる。
なお、図1、4の構成例では、1本のワード配線(第1のワード配線101)に対応して形成されるメモリセル(第1および第2のメモリセル)にNOP命令を格納するようにしたが、NOP命令を格納するセルは、複数本のワード配線に対応して形成されるメモリセルとすることもできる。
本実施の形態2の図1、図4に示すメモリ回路は、製造段階で各メモリセルに記憶するデータが決まっているメモリ回路(例えば、マスクROMなど)に対して特に好適である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、空セルの代わりに、空セルと同様の機能を有するメモリセルを設けたメモリ回路の例を説明する。より具体的には、空セルと同様の機能を具備させるために、メモリセルにトランジスタなどの半導体素子を設けるが、半導体素子はワード配線との電気的に接続されていない構造とする。このように、ワード配線と電気的に接続されていない半導体素子を有するメモリセルを「オープンセル」と呼ぶこととする。
以下、本実施形態におけるメモリ回路の構成例について、図6を用いて説明する。本実施の形態では、メモリ回路に格納されるデータが”high”の方を多く含む場合の構成例を示す。図6のメモリ回路は図1のメモリ回路と同じデータ配列を持ち、また図6において、図1と同じ符号は同じ構成要素を示している。
図6のメモリ回路(ROM154)は、図1のメモリ回路とは、第1〜第4のメモリセル606〜609の構造が異なり、他の構成は、図1のメモリ回路と同様である。第1〜第4のメモリセル606〜609には、それぞれ、半導体素子としてn型トランジスタ616〜619が形成されている。
第1のメモリセル606は、図1の第1のメモリセル106と同様の接地セルであり、n型トランジスタ616は、ドレイン電極が接地電位端子に接続され、ソース電極が第1のビット配線103に接続され、ゲート電極が第1のワード配線101に接続されている。
一方、第2のメモリセル607、第3のメモリセル608および第4のメモリセル609はオープンセルである。第2のメモリセル607において、n型トランジスタ616は、ドレイン電極が接地電位端子に接続され、ソース電極が第2のビット配線104に接続されているが、ゲート電極は第1のワード配線101に電気的に接続されていない。第3のメモリセル608において、n型トランジスタ618は、ドレイン電極が接地電位端子に接続され、ソース電極が第1のビット配線103に接続されているが、ゲート電極は第2のワード配線102に電気的に接続されていない。第4のメモリセル609において、n型トランジスタ619は、ドレイン電極が接地電位端子に接続され、ソース電極が第2のビット配線104に接続されているが、ゲート電極は第2のワード配線102に電気的に接続されていない。
なお、本実施の形態の「オープンセル」の「オープン」とは、ワード配線とトランジスタのゲート電極が断線した状態を意味している。第2〜第4のメモリセルのようなオープンセルを作製するには、例えば、n型トランジスタのゲート電極とワード配線を接続しないように、ワード配線を形成することで可能である。
本実施の形態のメモリ回路(ROM154)の読み出し動作は、図1のメモリ回路と同様である。データの読み出し動作のタイミングチャートも図2のタイミングチャートと同じになる。
まず、第1のプリチャージ信号期間208で、プリチャージ配線105の電位(プリチャージ信号205)を”low”とする。このとき、第1のプリチャージ用p型トランジスタ118のゲート電極の電位が”low”となる。第1のビット配線103には、第1のプリチャージ用p型トランジスタ118を介して、そのソース電極に接続された電源配線130から電荷が供給され、第2のビット配線104にも、第2のプリチャージ用p型トランジスタ119を介して、そのソース電極に接続された電源配線130から電荷が供給される。よって、第1のビット配線103の電位(第1のビット信号203)が”high”になる。第1のラッチ回路112により第1のビット配線103の電位(第1のビット信号203)が保持される。
続いて第1のワード信号期間209で、プリチャージ配線105の電位(プリチャージ信号205)を”high”にする。さらに、第1のワード配線101の電位(第1のワード信号201)を”high”にする。このとき、第1のメモリセル606において、第1のワード配線101に接続したn型トランジスタ616のゲート電極に”high”が印加されることになる。n型トランジスタ616のドレイン電極の電位が接地電位にあるため、ゲート電極に”high”が印加されると、第1のビット配線103の電位(第1のビット信号203)は”low”になる。
一方、第2のメモリセル607において、第1のワード配線101とn型トランジスタ617のゲート電極とは結線されていないので、第2のビット配線104の電位は変化せず、”high”のままである。つまり、第2のビット配線104の電位(第2のビット信号204)は”high”のままである。
つまり、第1のワード信号期間209で、第1のビット配線103の電位(第1のビット信号203)、第2のビット配線104の電位(第2のビット信号204)は、それぞれ、”low”、”high”となる。ここで、第1のビット信号203、第2のビット信号204は、それぞれ、第1のバッファ124、第2のバッファ125に入力される。第1のバッファ124、第2のバッファ125からは、入力された信号の電位の高低(”low”と”high”)を変化させず、第1のメモリ出力配線126、第2のメモリ出力配線127に出力する。よって、第1のメモリ出力配線126からは、”low”の信号(第1のメモリ出力信号206)が出力され、第2のメモリ出力配線127から”high”の信号(第2のメモリ出力信号207)が出力される。つまり、第1のメモリセル606、第2のメモリセル607から、それぞれ、”low”、”high”のデータが読み出せたことになる。
第1のデータ保持期間210では、第1のビット配線103の電位は第1のラッチ回路112によって保たれ、第2のビット配線104の電位は第2のラッチ回路113によって保たれる。そのため、第1のメモリ出力配線126の電位は”low”の状態を保持し続け、第2のメモリ出力配線127の電位は”high”の状態を保持し続ける。
次に、第2のプリチャージ信号期間211で、プリチャージ配線105の電位(プリチャージ信号205)を”low”とする。このとき、第1のプリチャージ用p型トランジスタ118のゲート電極の電位と、第2のプリチャージ用p型トランジスタ119のゲート電極の電位とが”low”となる。ソース電極に接続された電源配線130から、第1のプリチャージ用p型トランジスタ118を介して第1のビット配線103に電荷が供給され、第2のプリチャージ用p型トランジスタ119介して第2のビット配線104に電荷が供給される。第1のビット配線103の電位は”high”になり、第2のビット配線104の電位は”high”の状態を維持する。なお、第1、第2のラッチ回路112、113により第1、第2のビット配線103、104の電位が保持される。
続いて第2のワード信号期間212で、プリチャージ配線105の電位を”high”にし、第2のワード配線102の電位を”high”にする。第2のワード配線102にはメモリセルがつながっておらず、第1、第2のビット配線103、104の電位は何も操作されないため、第1、第2のビット配線103、104の電位は”high”のままである。つまり、第1、第2のビット配線103、104の電位は”high”、”high”となる。その後、第1、第2のビット配線103、104の信号は各々第1、第2のバッファ124、125を介して、第1、第2のメモリ出力配線126、127に”high”、”high”の信号として出力される。つまり、第1、第2のメモリセル608、609から”high”、”high”のデータが読み出せたことになる。
第2のデータ保持期間213では、第1のビット配線103の電位は第1のラッチ回路112によって保たれ、第2のビット配線104の電位は第2のラッチ回路113によって保たれる。そのため、第1のメモリ出力配線126の電位は”high”の状態を保持し続け、第2のメモリ出力配線127の電位は”high”の状態を保持し続ける。
以上により第1〜第4のメモリセル606〜609から、各々”low”、”high”、”high”、”high”のデータが得られる本実施形態では、”high”のデータを格納するメモリセルのゲート電極とワード配線が接続されていないため、データを読み出すとき無駄な電力消費を削減することができる。第2のワード配線102のように全く半導体素子と接続されていない場合、ワード配線で電力は消費されない。これにより第1、第2のワード配線101、102の駆動に必要となる電力量を削減することができる。
なお、図6は、データに”high”の方が多い場合に、high”を格納するセルにオープンセルを用いる構成を示している。”low”の方が多い場合は、”low”を格納するメモリセルにオープンセルを適用すればよい。メモリセル以外の構成は、図4と同様にすることで、格納するデータに”low”の方が多い場合に、消費電力を削減したメモリ回路を構成することができる。
本実施の形態を用いることにより、メモリ回路は、ワード配線に接続されている行デコーダで消費する電力が低減することができる。また、ワード配線を形成するフォトレジストの露光マスクのみの変更で各メモリセルに記憶するデータが変更できるため、本実施の形態は異なるデータ配列を持つ多数のメモリ回路を作製することに有利である。
以上のような構成とすることで、消費電力を低減したメモリを搭載する半導体装置が提供できる。
本実施の形態2の図1、図4に示すメモリ回路は、製造段階で各メモリセルに記憶するデータが決まっているメモリ回路(例えば、マスクROMなど)に対して特に好適である。
なお本実施の形態は、他の実施の形態および他の実施例と適宜に組み合わせることができる。
(実施の形態4)
実施の形態1〜3においては、ROMのようにデータの読み出しのみで、データの書き換えをしないメモリ回路について説明した。本実施の形態ではデータの書き換えが可能なメモリ回路について説明する。本実施の形態では、一部のメモリセルをデータの書き換えができない、半導体装置固定のデータを記憶するメモリセルとするメモリ回路について説明する。
図7は、本実施の形態のメモリ回路の構成例を示す回路図である。図1と共通の要素には同じ符号を付している。図7のメモリ回路において、メモリセルに形成される半導体素子はメモリトランジスタである点が特徴である。メモリトランジスタは、例えば、ゲート電極として、制御ゲート電極と浮遊ゲート電極を有する構造のトランジスタや、ゲート絶縁膜に電荷トラップできる構造のトランジスタである。
本実施の形態のメモリ回路はデータの書き換え不可能領域と書き換え可能領域を有する。よって、図3で書き換え不可能なROM154、書き換え可能なRAM155を併せた機能を持つため、本実施形態のメモリ回路を図3のメインメモリ152として使用することができる。そのため、予めCPUが必要とするプログラムデータは書き換え不可能なデータとして書き換え不可能領域に記憶させる。一方、CPUが演算処理を行うときに、出力されるデータを書き換え可能領域に記憶させる。本実施形態のメモリ回路は、これら2つの動作を1つのメモリ回路で担うことができる。
図7のメモリ回路において、第1のワード配線101に対応して形成される全てのメモリセルを書き換えができない固有のデータを格納する構造としている。本実施の形態では第1のメモリセル706および第2のメモリセル707を空セルとする例を示す。空セルとは、半導体素子(本実施の形態ではメモリ素子)を含まないセルであり、すなわち、メモリセル内が空であるものを指す。また、図7のメモリ回路では空セルには、”high”のデータを格納する例を示している。
他方、第2のワード配線102に対応して形成される全てのメモリセルの構造は、メモリトランジスタを含む接地セルである。第3のメモリセル708には、メモリトランジスタ718が形成され、ゲート電極が第2のワード配線102に接続され、ソース電極が第1のビット配線103に接続され、ドレイン電極が接地電位端子に接続されている。第4のメモリセル709もメモリトランジスタ719を有し、ゲート電極が第2のワード配線102に接続され、ソース電極が第2のビット配線104に接続され、ドレイン電極が接地電位端子に接続されている。なお、メモリトランジスタ718、719が、ゲート電極として、制御用ゲート電極と浮遊ゲート電極を有する構造のトランジスタである場合は、制御用ゲート電極が第2のワード配線102に接続される。
次に、図7のメモリ回路のデータ書込動作について説明する。
各メモリセルに対して、データの書き込みは行単位(ワード配線単位)で行われる。ここでは、例として、メモリトランジスタ718、719に制御用ゲート電極と浮遊ゲート電極を有するトランジスタ適用し、ホットキャリアのエレクトロンを利用して書き込みを行う例を示す。また、第3のメモリセル708に”high”のデータを書き込み、第4のメモリセル709に”low”のデータを書き込む動作を説明する。
第1のワード配線101に対応するメモリセルにはデータの書き込みは不要であるため、第1のワード配線101については、書き込み動作を行わない。まず、第2のワード配線102に高電位(接地電位よりも高電位)を与える。同時に、第1のビット配線103に高電位(メモリトランジスタをオン状態にする電位)を与える。第3のメモリセル708において、第1のメモリトランジスタ718のチャネルに電流が流れ、ドレイン電極付近で高エネルギー電子(ホットキャリア)が発生し、浮遊ゲート電極に電荷が蓄積される。浮遊ゲート電極の電荷が制御ゲート電極のしきい値電圧を高電位にすることで、データ”high”を記憶する。
一方、第4のメモリセル709において、第2のワード配線102に高い電圧を与えて高電位にし、第2のビット配線104の電位を接地電位にする。第4のメモリセル709において、メモリトランジスタ719のドレイン電極付近にホットキャリアは発生せず、浮遊ゲート電極に電荷が蓄積されない。従って、制御ゲート電極のしきい値電圧は変化せずに、データ”low”を記憶する。
以上のようにメモリトランジスタは浮遊電極の電位状態に応じて”high”、”low”のデータを記憶する。
また、メモリトランジスタに対して書き込んだデータの消去はドレイン電極を開放し、制御ゲート電極を接地させ、ソース電極に高電圧を印加することで行う。高電圧印加で電子は高エネルギー状態になり、トンネル効果によって浮遊ゲート電極内の電子を浮遊ゲート電極からソース電極を介して引き抜くことができる。なお、全セルのソース電極に同時に高電圧を加えるため、メモリ素子を有する全てのメモリセルの記憶データは消去される。
次に、データ読み出し動作について説明する。
まず、プリチャージ配線105の電位(プリチャージ信号)を”low”とする。第1のプリチャージ用p型トランジスタ118のゲート電極の電位、および第2のプリチャージ用p型トランジスタ119のゲート電極の電位が”low”となり、電源配線130から第1のプリチャージ用p型トランジスタ118を介して第1のビット配線103に電荷が供給され、電源配線130から第2のプリチャージ用p型トランジスタ119とを介して第2のビット配線104に電荷が供給される。その結果、第1のビット配線103の電位(第1のビット信号)が”high”となり、第2のビット配線104の電位(第2のビット信号)が”high”とになる。第1のラッチ回路112、第2のラッチ回路113により、それぞれ、第1のビット配線103の電位(第1ビット信号)、第2のビット配線104の電位(第2のビット信号)が保持される。
次に、プリチャージ配線105の電位(プリチャージ信号)を”high”にし、第2のワード配線102の電位(第2のワード信号)を”high”にする。第3のメモリセル708において、メモリトランジスタ718の制御ゲート電極に”high”が印加されることになる。メモリトランジスタ718の制御ゲート電極のしきい値電圧は第2のワード配線102の電位”high”と比較して高いため、第1のビット配線103の電位は変化せず”high”のままとなる。
一方、第4のメモリセル709において、メモリトランジスタ719の制御ゲート電極にも”high”が印加される。メモリトランジスタ719の制御ゲート電極のしきい値電圧は第2のワード配線102の電位”high”と比較して低いため、第2のビット配線104の電位は接地電位となり、すなわち”low”となる。
以上のように、第3のメモリセル708、第4のメモリセル709に記憶された”high”、”low”のデータを読み出すことができる。
また、本発明の実施の形態で説明したように第1、第2のメモリセル706、707は空セルのため、第1のワード配線101に第1のワード信号が与えられても第1、第2のビット配線103、104の電位は変化しないので、第1、第2のメモリセル706、707から”high”、”high”のデータを読み出すことができる。
以上により、第1〜第4のメモリセル706〜709から各々”high”、”high”、”high”、”low”のデータが得られる。つまり、空セルから”high”データが、メモリトランジスタで構成されるメモリセルから”high”、”low”のデータが読み出せることがわかる。
図7のメモリ回路の構成例では、第1のワード配線101に対応して形成されるメモリセルを全て空セルとすることで、”high”で記述されるNOP命令を格納させることができる。
図7のメモリ回路の構成例では、空セルに”high”を格納する場合を示したが、第1〜第4のメモリセル706〜709以外の構成を、図4のメモリ回路の構成とすることで、空セルに”low”のデータを格納することができる。この場合、第1、第2のメモリ出力配線126、127の入力側に第1、第2のインバータ144、145が接続されているため、上記のように第3、第4のメモリセルにデータが書き込まれているならば、第1〜第4のメモリセル706〜709から各々”low”、”low”、”low”、”high”のデータが得られる。
また、図7の構成例では、1本のワード配線(第1のワード信号201)に対応して形成されるメモリセルに固有のデータを格納するようにしたが、複数本のワード配線に対応するメモリセルに固有のデータを格納するようにすることもできる。
また、図7の構成例では、固有のデータ(書き換えされないデータ)を格納するメモリセルを空セルのみで構成したが、図1、図4の第1のメモリセル106のような、トランジスタを用いた接地セルもあわせて用いることで、”low”、および”high”の双方のデータで構成されるデータを、書き換え不可能な固有なデータとして格納することができる。
メモリ回路において固定データを持つメモリセルに空セルを用いることで、行デコーダの消費電力を低減するのに非常に有用である。本実施の形態により、メモリ回路とCPUとを含む半導体装置全体の消費電力を効果的に低減することが可能である。また消費電力を低減することで、半導体装置の発熱を抑えることができる。
(実施の形態5)
本発明における半導体装置の実施の形態として、メモリと専用回路を有する構成例について、図8を用いて説明する。図8は本実施の形態における半導体装置のブロック図である。
図8(A)は専用回路と、メモリを有する半導体装置の構成例を示すブロック図である。図8(A)においてメインメモリ801、専用回路802、入出力インタフェース803、アドレスバス804と、データバス805と、コントローラバス806とを有する。
メインメモリ801と、専用回路802とはアドレスバス804で接続されている。さらに、メインメモリ801と、専用回路802、および入出力インタフェース803はデータバス805およびコントローラバス806で互いに接続されている。
専用回路802は、例えば、画像処理回路や暗号処理回路である。また、専用回路802はメインメモリ801に格納されたデータを用いて演算処理を行うため、必要となるデータはメインメモリ801に記憶される。メインメモリ801と専用回路802が一つの回路を構成するためにはどちらも欠かすことのできない要素である。この半導体装置において、メインメモリ801に、実施の形態1〜4で説明したメモリ回路を適用することにより、半導体装置全体の消費電力の低減が可能であり、かつ発熱を抑えることができる。なお、実施の形態1〜3のメモリ回路は、メインメモリ801のデータの書き換えを不可能なメモリ回路に適用される。実施の形態4のメモリ回路を適用することで、データの書き換えが不可能領域と書き換え可能領域を有するメインメモリを構成することができる。
次に、CPU、専用回路と、メモリを有する半導体装置の構成例を示すブロック図である図8(B)について説明する。
図8(B)において演算回路810、メインメモリ813、入出力インタフェース816、アドレスバス817と、データバス818と、コントローラバス819とを有する。
演算回路810はCPU811と、専用回路812とを含み、メインメモリ813はROM814と、RAM815とを含む。
ROM814はCPU811が実行するプログラムを記憶するプログラムメモリとして用いられ、専用回路812が動作するために必要なデータも格納されている。RAM815は、CPU811がプログラムを実行するときの作業メモリとして用いられる。
演算回路810と、メインメモリ813とはアドレスバス817で接続されている。さらに、CPU811、メインメモリ813、および入出力インタフェース816はデータバス818およびコントローラバス819で互いに接続されている。
CPU811は機器の動作を制御し、CPU811がプログラムを実行するために必要な情報はメインメモリ813内のROM814に格納されている。ROM814はデータの読み出し専用のメモリ回路である。ROM814に格納されるデータは製造段階で固有のものである。CPU811が処理する命令および処理に必要なプログラムデータはROM814に記憶されているため、CPU811の処理動作とメインメモリ813からのデータの読み出し動作は繰り返し行われる。CPU811の動作に必要なデータを読み出す際にROM814は電力を消費する。RAM815はデータの書き込みや書き換えが可能なメモリ回路である。RAM815は、主にプログラムの途中のCPU811における処理結果を保存するために用いられる。一方、専用回路812は固定動作を行うための回路であり、予め決められた命令に対する処理のみを行う。ROM814に専用回路812の処理動作に必要となるプログラムデータが記憶されており、専用回路812はROM814からプログラムデータを読み出すことで処理を行うことが可能となる。外部からの信号の入力および、外部への処理結果などの信号の出力は入出力インタフェース816を介して行われる。
なお、ROM814には、実施の形態1〜3のメモリ回路が適用できる。また、ROM814とRAM815を含むメインメモリ813には、実施の形態4のメモリ回路が適用できる。
アドレスバス817はCPU811が必要とする命令やデータをメインメモリ813に伝えるための配線(経路)である。データバス818はメインメモリ813に対するデータの読み出しおよび書き込み、並びに入出力インタフェース816を介して外部装置とのデータの取得や提供を行うための配線(経路)である。コントローラバス819はメインメモリ813や入出力インタフェース816に制御情報を与えるための配線(経路)である。
本実施例では、無線チップの作製方法を説明する。本発明に係る無線チップを構成する各回路を薄膜トランジスタで作製することができる。本実施例では、無線チップを構成する回路を薄膜トランジスタで形成し、薄膜トランジスタの製造に使用した基板から、可撓性(フレキシブル)基板に回路を転載し、フレキシブルな無線チップを製造する方法を示す。
本実施例では、無線チップを構成する回路として、インバータなどを構成するpチャネル型TFT(「pch−TFT」とも表記する。)およびnチャネル型TFT(「nch−TFT」とも表記する。)、コンデンサ、および電源回路などに設けられる高耐圧型のnチャネル型TFTを代表的に示す。以下、図10〜図15に図示する断面図を用いて、無線チップの作製方法を説明する。
基板260にガラス基板を用いる。図10(A)に示すように、基板260上に第1層261a〜第3層261cでなる剥離層261を形成する。第1層261aは、平行平板型プラズマCVD装置により、原料ガスにSiH4、N2Oを用いて酸化窒化シリコン膜(SiOxNy、x>y>0)を厚さ100nm形成する。第2層261bとして、厚さ30nmのタングステン膜をスパッタリング装置で成膜する。第3層261cとして、厚さ200nmの酸化シリコン膜をスパッタリング装置で成膜する。
第3層261c(酸化シリコン)を成膜することで、第2層261b(タングステン)の表面が酸化され、界面にタングステン酸化物が形成される。タングステン酸化物が形成されることで、のちに素子形成層250を他の基板に転載するときに、基板260を分離しやすくなる。第1層261aは、素子形成層250を作製している間、第2層261bの密着性を維持するための層である。
第2層261bには、タングステン他、モリブデン、チタン、タンタル、ニオブ、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムの金属膜や、これらの金属の化合物が好ましい。また、第2層261bの厚さは20nm以上40nm以下とすることができる。
図10(B)に示すように、剥離層261上に、2層構造の下地絶縁層249を形成する。第1層249aとして、プラズマCVD装置により原料ガスにSiH4、N2O、NH3、H2を用いて窒化酸化シリコン膜(SiNxOy、x>y>0)を厚さ50nm形成する。第1層249aの窒素の組成比が40%以上となるようにしてバリア性を高めた。第2層249bは、プラズマCVD装置によりSiH4、N2Oを原料ガスに用いて、酸化窒化シリコン膜(SiOxNy、x>y>0)を厚さ100nm成膜する。第2層249bの窒素の組成比は0.5%以下とする。
図10(C)に示すように、下地絶縁層249上に、結晶性シリコン膜271を形成する。結晶性シリコン膜271は次の方法で作製する。プラズマCVD装置により、原料ガスにSiH4およびH2を用い、厚さ66nmの非晶質シリコン膜を形成する。非晶質シリコン膜にレーザを照射して結晶化させることで、結晶性シリコン膜271とする。レーザ照射方法の一例を示す。LD励起のYVO4レーザの第2高調波(波長532nm)を照射する。特に第2高調波に限定する必要はないが、第2高調波はエネルギー効率の点で3次以上の高次の高調波より優れている。照射面において、光学系によりビームの形状が長さ500μm、幅20μm程度の線状となるように、またその強度が10〜20Wとなるようにする。またビームを基板に対して相対的に10〜50cm/secの速度で移動する。
結晶性シリコン膜271を形成した後、結晶性シリコン膜271にp型不純物を添加する。ここでは、イオンドーピング装置において、ドーピングガスに水素で希釈したジボラン(B2H6)を用い、ボロンを結晶性シリコン膜271の全体に添加する。非晶質シリコンを結晶化した結晶性シリコンは不対結合を有するため、理想的な真性シリコンではなく、弱いn型の導電性を示す。そのため、p型不純物を微量添加することにより、結晶性シリコン膜271が真性シリコンとなるようにする効果がある。この工程は必要に応じて行えばよい。
図10(D)に示すように、結晶性シリコン膜271を素子ごとに分割し、半導体層273〜276を形成する。半導体層273〜275には、それぞれ、TFTのチャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域が形成される。半導体層276はMIS型コンデンサの電極を構成する。結晶性シリコン膜271を加工する方法の一例を示す。フォトリソグラフィ工程によりレジストを結晶性シリコン膜271上に形成し、レジストをマスクにして、ドライエッチング装置により、エッチング剤にSF6、O2を用いて結晶性シリコン膜271をエッチングすることで、所定の形状の半導体層273〜276を形成する。
図11(A)に示すように、フォトリソグラフィ工程によりレジストR31を形成し、nチャネル型TFTの半導体層274および275にp型不純物を微量添加する。ここでは、ドーピングガスに水素で希釈したジボラン(B2H6)を用い、イオンドーピング装置により半導体層274、275にボロンをドーピングする。ドーピングが終了したらレジストR31を除去する。
図11(A)の工程は、nチャネル型TFTのしきい値電圧が負の電圧にならないようすることを目的とする。nチャネル型TFTの半導体層274、275に5×1015atoms/cm3以上1×1017atoms/cm3以下の濃度でボロンを添加すればよい。図11(A)の工程は必要に応じて行えばよい。
図11(B)に示すように、基板260全体に絶縁膜277を形成する。絶縁膜277はTFTのゲート絶縁膜、コンデンサの誘電体となる。ここでは、プラズマCVD装置により、プラズマCVD装置により原料ガスSiH4、N2Oを用いて酸化窒化シリコン膜(SiOxNy、x>y>0)を厚さ20〜40nm形成する。
図11(C)に示すように、フォトリソグラフィ工程によりレジストR32を形成し、コンデンサの半導体層276にn型不純物を添加する。ドーピングガスに水素で希釈したホスフィン(PH3)を用いて、イオンドーピング装置により半導体層276にリンをドーピングし、半導体層276全体にn型不純物領域279を形成する。ドーピング工程が終了したら、レジストR32を除去する。
図11(D)に示すように、絶縁膜277上に導電膜281を形成する。導電膜281は、TFTのゲート電極などを構成する。ここでは、導電膜281を2層の多層構造とする。1層目は厚さ30nmのタンタル窒化物、2層目は厚さ370nmのタングステンとする。タンタル窒化物、タングステンはそれぞれスパッタリング装置で成膜する。
導電膜281上にフォトリソグラフィ工程によりレジストを形成し、エッチング装置により導電膜281をエッチングして、図12(A)に示すように、第1導電膜284〜286を半導体層273〜276上に形成する。第1導電膜283〜285はTFTのゲート電極またはゲート配線となる。高耐圧型のnチャネル型TFTでは、他のTFTよりもゲート幅(チャネル長)が広くなるように、導電膜285を形成している。第1導電膜286はコンデンサの一方の電極を構成する。
導電膜281はドライエッチング法によりエッチングする。エッチング装置にICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング装置を用いる。エッチング剤としては、はじめにタングステンをエッチングするためCl2、SF6、O2の混合ガスを用い、次に、処理室に導入するエッチング剤をCl2ガスのみに変更し、タンタル窒化物をエッチングする。
図12(B)に示すように、フォトリソグラフィ工程によりレジストR33を形成する。nチャネル型TFTの半導体層274と275にn型不純物を添加する。第1導電膜284がマスクとなり半導体層274にn型低濃度不純物領域288、289が自己整合的に形成され、第1導電膜285がマスクとなり半導体層275にn型低濃度不純物領域290、291が自己整合的に形成される。水素で希釈したホスフィン(PH3)をドーピングガスに用い、イオンドーピング装置により半導体層274、275にリンを添加する。図12(B)の工程は、nチャネル型TFTにLDD領域を形成するための工程である。n型低濃度不純物領域288、289のn型不純物が、1×1016atoms/cm3以上5×1018atoms/cm3以下の範囲で含まれるようにする。
図12(C)に示すように、フォトリソグラフィ工程によりレジストR34を形成し、pチャネル型TFTの半導体層273にp型不純物を添加する。半導体層273は、n型不純物領域273nとして残す部分がレジストR34に覆われているため、露出している領域がp型不純物領域273pとなる。第1導電膜283がマスクとなり半導体層273にp型高濃度不純物領域273a、273bが自己整合的に形成される。また第1導電膜283で覆われている領域273cがチャネル形成領域として自己整合的に形成される。p型不純物の添加は、ドーピングガスに水素で希釈したジボラン(B2H6)を用いる。ドーピングが終了したらレジストR34を除去する。
図12(D)に示すように、第1導電膜283〜286の周囲に絶縁層293〜296を形成する。絶縁層293〜296はサイドウォール、側壁と呼ばれるものである。まず、原料ガスにSiH4、N2Oを用いて、プラズマCVD装置により酸化窒化シリコン膜(SiOxNy、x>y>0)を100nmの厚さに形成する。次に、原料ガスにSiH4、N2Oを用いて、LPCVD装置により酸化シリコン膜を200nmの厚さに形成する。フォトリソグラフィ工程によりレジスト形成する。このレジストを用いて、まず、上層の酸化シリコン膜をバッファードフッ酸でウェットエッチング処理する。次に、レジストを除去し、下層の酸化窒化シリコン膜ドライエッチング処理をすることで、絶縁層293〜296が形成される。この一連の工程で、酸化窒化シリコンでなる絶縁膜277もエッチングされ、絶縁膜277は第1導電膜283〜285と絶縁層293〜296の下部のみ残る。
図13(A)に示すように、フォトリソグラフィ工程によりレジストR35を形成する。nチャネル型TFTの半導体層274、275とコンデンサの半導体層にn型不純物を添加し、n型高濃度不純物領域を形成する。半導体層274は、第1導電膜284、絶縁層294がマスクとなり、n型低濃度不純物領域288、289にさらにn型不純物が添加される。その結果、n型高濃度不純物領域274a、274bが自己整合的に形成される。第1導電膜284と重なる領域274cがチャネル形成領域として自己整合的に確定する。また、n型低濃度不純物領域288、289において絶縁層294と重なる領域274e、274dは、そのままn型低濃度不純物領域として確定する。半導体層275も半導体層274と同様、n型高濃度不純物領域275a、275b、チャネル形成領域275c、n型低濃度不純物領域275e、275dが形成される。また、第1導電膜286および絶縁層296がマスクとなり、n型不純物領域279にさらにn型不純物が添加され、n型高濃度不純物領域276a、276bが自己整合的に形成される。半導体層276の第1導電膜286および絶縁層296と重なる領域がn型不純物領域276cとして確定する。
n型不純物の添加工程は、上述したとおり、イオンドーピング装置を使用し、ドーピングガスに水素で希釈したホスフィン(PH3)を用いればよい。nチャネル型TFTのn型高濃度不純物領域274a、274b、275a、275bには、リンの濃度が1×1020atoms/cm3以上2×1021atoms/cm3以下の範囲になるように、リンがドーピングされる。
レジストR35を除去し、図13(B)に示すように、キャップ絶縁膜298を形成する。キャップ絶縁膜298として、プラズマCVD装置により、プラズマCVD装置により酸化窒化シリコン膜(SiOxNy、x>y>0)を50nmの厚さに形成する。酸化窒化シリコン膜の原料ガスには、SiH4、N2Oを用いる。キャップ絶縁膜298を成膜した後、窒素雰囲気中で550℃の加熱処理を行い、半導体層273〜276に添加したn型不純物およびp型不純物を活性化する。
図13(C)に示すように、第1層間絶縁膜300を形成する。第1層間絶縁膜300を2層構造とする。1層目の絶縁膜として、プラズマCVD装置により原料ガスにSiH4、N2Oを用いて、窒化酸化シリコン膜(SiNxOy、x>y>0)を100nmの厚さに形成する。2層目の絶縁膜には、プラズマCVD装置により原料ガスにSiH4、N2O、NH3、H2を用いて、酸化窒化シリコン膜(SiOxNy、x>y>0)を600nmの厚さに形成する。
フォトリソグラフィ工程とドライエッチング工程により、第1層間絶縁膜300およびキャップ絶縁膜298を除去し、コンタクトホールを形成する。第1層間絶縁膜300上に導電膜を形成する。ここでは、導電膜を4層構造とする。下から、厚さ60nmのチタン、40nmの窒化チタン、500nmの純アルミニウム、100nmの窒化チタンの順に積層する。それぞれの層はスパッタリング装置で成膜する。フォトリソグラフィ工程とドライエッチング工程により導電膜を所定の形状に加工し、第2導電膜303〜314を形成する。
なお、第2導電膜と第1導電膜が接続されることを説明するため、図面では、第2導電膜と第1導電膜が半導体層上で接続するように示しているが、実際には、第2導電膜と第1導電膜とのコンタクト部分は半導体層上をさけて形成されている。
第2導電膜312によりn型高濃度不純物領域276aと276bが接続されている。よって、n型不純物領域276c、絶縁膜277、第1導電膜286でなる積層構造のMIS型コンデンサが形成される。第2導電膜314はアンテナ回路の端子であり、アンテナ322が接続される。
図14(A)に示すように、第2層間絶縁膜316を形成する。第2層間絶縁膜316には、第2導電膜314に達するコンタクトホールを形成する。第2層間絶縁膜316を感光性ポリイミドで形成する例を示す。スピナーを用いて1.5μmの厚さでポリイミドを塗布する。フォトリソグラフィ工程を用いて、ポリイミドを露光し、現像することでコンタクトホールが形成されたポリイミドが形成される。現像後、ポリイミドを焼成する。
さらに、第2層間絶縁膜316上に導電膜を形成する。フォトリソグラフィ工程とエッチング工程により、この導電膜を所定の形状に加工し、第3導電膜320を形成する。第3導電膜320を構成する導電膜として、厚さ100nmのTiをスパッタリング装置で成膜する。第3導電膜320はアンテナ322をアンテナ回路の端子(第2導電膜314)と接続するためのアンテナのバンプである。
図14(B)に示すように、開口部が形成された第3層間絶縁膜321を形成する。ここでは、第2層間絶縁膜316と同様の方法で、感光性ポリイミドで形成する。開口部はアンテナ322を形成する領域に形成される。
図14(B)に示すように、アンテナ322を形成する。蒸着装置により、メタルマスクを用いてアルミニウムを蒸着し、所定の形状のアンテナ322を開口部に形成する。
図11(A)〜図14(B)に示す工程を経て、基板260上に無線チップを構成する回路が形成される。次に、図15に示すように、無線チップを可撓性基板により封止する工程を説明する。
アンテナ322を保護するための保護絶縁層323を形成する。フォトリソグラフィ工程とエッチング工程を行う、またはレーザ光を照射することにより、保護絶縁層323と共に基板260上に積層された絶縁膜を除去し、剥離層261に達する開口部を形成する。基板260上には、同じ多数の無線チップを構成する回路が多数形成されている。無線チップごとに、回路を分割するように形成される。
次に、保護絶縁層323上面に転載用の基板を一時的に固定した後、基板260を剥離する。剥離層261の第2層261bと第3層261cの界面で接合が弱くなっているため、物理的に力を加えることで開口部の端部から剥離が進行し、素子形成層250から基板260を剥がすことができる。基板260が剥がれた下地絶縁層249に可撓性基板324を接着剤により固定する。そして、転載用の基板を取り外す。保護絶縁層323に他方の可撓性基板325を接着剤により固定する。そして、可撓性基板324と可撓性基板325の外側から圧力を加えながら、加熱処理をすることにより、可撓性基板324と可撓性基板325で無線チップを構成する回路を封止する。
本実施例では、薄膜トランジスタと共にアンテナ322を形成する例について説明したが、外付けアンテナを用いることもできる。
また、本実施例では作製時に使用した基板260を剥離する例を示したが、作製時に使用した基板を残すこともできる。この場合、基板が撓むように、基板を研磨、または研削して薄くすればよい。
本実施例により撓めることが可能であり、薄型化で軽量な無線チップを作製することが可能である。なお、本実施例で示した基板の剥離方法は、無線チップの作製方法に限定されるものではなく、他の半導体装置に適用することで、撓めることが可能な半導体装置を作成することができる。
なお、本実施例は、他の実施の形態、他の実施例と自由に組み合わせて実施することが可能である。