JP5296305B2 - インクジェット記録用インク - Google Patents
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Description
まず、クロロスルホン化剤を用いて銅フタロシアニンをクロロスルホン化する。クロロスルホン化剤としては、例えば、クロロスルホン酸と塩素化剤(オキシ塩化リン又は三塩化リン)との混合物を含んだものを使用する。クロロスルホン酸と銅フタロシアニン化合物のモル比(クロロスルホン酸:銅フタロシアニン化合物)は、5:1〜200:1の範囲が好ましく、塩素化剤と銅フタロシアニンのモル比(塩素化剤:銅フタロシアニン)は、0.5:1〜10:1の範囲が好ましい。
次に、工程(i)で得られた生成物を、必要に応じてカウンターイオンの少なくとも一部がアンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンとなるように、アンモニア又は有機アミンと縮合させて、C.I.ダイレクトブルー199のカウンターイオンのうち2〜20モル%がアンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンであるものを得る。
表1に示すインク組成を均一に混合することにより、インクジェット記録用インクを調製した。金属フタロシアニン化合物中のアンモニウムイオン以外のカウンターイオン種は、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオン等の1価の金属イオンであった。
インクジェット記録用インクについて、保存安定性(濾過試験)、噴射安定性、耐久噴射安定性、防黴性、防錆性、ゴム析出性、光沢感及び耐オゾン性を、以下に説明するように試験評価した。得られた結果を表1に示す。
インクジェット記録用インク100mLをガラス容器内に密閉し、60℃の恒温槽中に14日間放置した後、インク50mLを孔径1.0μmの親水性メンブランフィルタで濾過を行い、メンブランフィルタ上の析出物の有無を目視観察及び顕微鏡観察によって、以下の基準で評価した。
A…メンブランフィルタ上に析出物が存在しない
C…メンブランフィルタ上に析出物が存在する
インクジェット記録用インクを所望のインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機(ブラザー工業(株)製;DCP−110C)に装着し、1億ドット(約3万枚)の連続印字を行い、以下の基準に従って評価した。
AA…連続印字中において、不吐出及び吐出曲がりがまったくない
A…連続印字中において、不吐出又は吐出曲がりが僅かにあり、不吐出又は吐出曲がりが共に5回以内のパージによって回復
C…連続印字中において、不吐出及び吐出曲がりが多数あり、不吐出及び吐出曲がりが共に短時間で回復せず
上述の噴射安定性の試験を行った後、インクカートリッジが装着された状態のインクジェットプリンタ搭載デジタル複合機(DCP−110C)をそのまま60℃の恒温槽中に2週間放置し、その後、再び1億ドット(約3万枚)の連続印字を行い、以下の基準で評価した。
AA…連続印字中において、不吐出及び吐出曲がりがまったくない
A…連続印字中において、不吐出又は吐出曲がりが僅かにあり、不吐出又は吐出曲がりが共に5回以内のパージによって回復
C…連続印字中において、不吐出及び吐出曲がりが多数あり、不吐出及び吐出曲がりが共に短時間で回復せず
日水製薬(株)製の細菌検査用フードスタンプ(生菌数用及び真菌用)のキャップをとり、寒天培地面に充分なインクジェット記録用インクを塗布した。キャップをしないまま10時間放置することにより、菌の付着を促した。その後キャップをし、生菌数用フードスタンプについては36℃の恒温槽中で2日間、真菌用フードスタンプについては23℃の恒温槽中で5日間、培養した。目視観察により、以下の基準にて評価を行った。
A…黴の発生がない
C…黴の発生があり
インクジェットヘッド部に使用している金属部材を、縦50mm×横10mm×厚さ2mmの短冊形状に加工した金属部材サンプル片1枚を、密閉容器内でインクジェット記録用インク10mLに浸漬し、60℃の恒温槽中に2週間放置した。その後、浸漬した金属部材サンプル片を取り出し、金属部材サンプル片を目視観察及び顕微鏡観察を行い、以下の基準にて評価を行った。
AA…着色及び腐食がまったくない
A…わずかな着色があるが腐食はない
C…着色及び腐食がある
縦50mm×横10mm×厚さ2mmの短冊形状に加工したゴムサンプル1枚を、密閉容器内でインクジェット記録用インク10mLに浸漬し、60℃の恒温槽中に2週間放置した。その後、浸漬したサンプルを取り出し、サンプルを取り出した後のインク全量を電鋳フィルター(孔径13μm、有効濾過面積8cm2)で濾過し、濾過に要する時間を計測した。また、対照として、ゴムサンプルを加えないインクのみを同条件(60℃、2週間)で放置し、同一規格の電鋳フィルターで濾過し、濾過に要する時間(基準時間)を求めた。ゴムサンプルを浸漬させたインクの濾過に要した時間の基準時間に対する割合を求め、以下の基準で評価した。なお、濾過後の電鋳フィルターを顕微鏡観察したところ、濾過時間の基準時間に対する割合が大きいほど、析出物の量が多い傾向があった。
AA…基準時間の130%未満の濾過時間を要する
A…基準時間の130%以上200%未満の濾過時間を要する
B…基準時間の200%以上400%未満の濾過時間を要する
C…基準時間の400%以上の濾過時間を要する
インクジェット記録用インクを所望のインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機(ブラザー工業(株)製;DCP−110C)に装着し、写真光沢紙(ブラザー工業(株)製;BP60GLA)にベタ印字を行ない、目視観察によって以下の基準に従い、画質の評価を行った。
A…ベタ印字部と周囲の非印字部にまったく光沢差がない、又は若干の光沢差を感じるが、ベタ印字部が浮き上がることなく均一に見える
B…ベタ印字部と周囲の非印字部に光沢差を感じ、ベタ印字部が若干浮き上がって見えるが、実用上の大きな問題はない
C…ベタ印字部と周囲の非印字部に大きな光沢差を感じ、ベタ印字部が浮き上がって見える
インクジェット記録用インクを所望のインクカートリッジに充填し、インクジェットプリンタ搭載デジタル複合機(ブラザー工業(株)製;DCP−110C)に装着し、印字評価を行った。まず、評価サンプルとして、写真光沢紙(ブラザー工業(株)製;BP60GLA)にシアンインクのグラデーションサンプルをプリントし、さまざまなOD値のパッチを作成した。このパッチに対し、耐オゾン性評価試験を、スガ試験機(株)製オゾンウェザーメーターOMS−Hを用いて、オゾン濃度1ppm、槽内温度24℃、湿度60%RHで40時間放置する条件下で行なった。具体的には、試験前にOD値1.0(ただし、OD値が1.0に満たないインクジェット記録用インクは最大OD値)を示すシアン色プリント部カラーパッチについて、耐オゾン性評価試験後におけるOD値を測定した。OD値はGretag Macbeth社製Spectrolino(光源:D65;視野:2°;status A)により測定した。得られた測定値(試験後OD値)を以下の数式に代入し、試験前OD値に対するOD値減少率を求めた。
AA…OD値減少率が20%未満
A…OD値減少率が20%以上30%未満
B…OD値減少率が30%以上40%未満
C…OD値減少率が40%以上
以上の評価結果を勘案し、以下の基準にて総合評価を行った。
G …すべての評価結果がAA又はAである
NG…評価結果のいずれかにB又はCがある
実施例1のインクジェット記録用インク(銅フタロシアニン顔料と金属フタロシアニン化合物の合計含有量(以下、フタロシアニン合計含有量という)=4.0重量%)においては、金属フタロシアニン化合物であるC.I.ダイレクトブルー199のカウンターイオンの12モル%がアンモニウムイオンであるため、析出物の発生はなく、インクジェット記録用インクを終始安定に噴射することができた。防黴剤としてチアゾール系化合物であるProxel XL−2(S)を含むため、黴の発生はなく良好であった。また、防錆剤を含まないがチアゾール系化合物であるProxel XL−2(S)を含むため、金属部材の浸漬でわずかに着色するが腐食にはいたらず、問題はなかった。また、C.I.ダイレクトブルー199のカウンターイオンのアンモニウムイオン量が12モル%であるためゴムに対するアタック性は弱く、ゴム部材の析出を起こさなかった。C.I.ダイレクトブルー199をフタロシアニン合計含有量中10%含むため、光沢紙印字における光沢感は良好であった。耐オゾン性の良好な銅フタロシアニン顔料であるC.I.ピグメントブルー15:6をフタロシアニン合計含有量中90%含むため、耐オゾン性は良好であった。
Claims (4)
- チアゾール系化合物とC.I.ピグメントブルー15:x(xは1〜6の整数)とを含むインクジェット記録用インクであって、さらに、カウンターイオンを有する金属フタロシアニン化合物を含有し、該金属フタロシアニン化合物はC.I.ダイレクトブルー199または86であり、該カウンターイオンの2〜20モル%がアンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンであるインクジェット記録用インク。
- インクジェット記録用インク全量に対する前記銅フタロシアニン顔料と前記金属フタロシアニン化合物との合計含有量が、0.1〜5.0重量%である請求項1記載のインクジェット記録用インク。
- 前記銅フタロシアニン顔料と前記金属フタロシアニン化合物とを、重量比で70:30〜95:5の比率で含有する請求項1又は2記載のインクジェット記録用インク。
- さらに、ベンゾトリアゾール系化合物を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
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