JP2581769B2 - 水性インク - Google Patents

水性インク

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JP2581769B2 JP17261288A JP17261288A JP2581769B2 JP 2581769 B2 JP2581769 B2 JP 2581769B2 JP 17261288 A JP17261288 A JP 17261288A JP 17261288 A JP17261288 A JP 17261288A JP 2581769 B2 JP2581769 B2 JP 2581769B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は印刷、筆記、記録計、インクジェット記録等
に用いられるグリーンおよびシアンの色調を有する水性
インク組成物に関するものである。
[従来の技術] 従来、フタロシアニン骨格を有する染料を水性インク
として用いる発明は数多くある。例えば特公昭54−1624
3号公報では、銅フタロシアニンジスルホンをインクジ
ェット用インクに使用することが記載されている。ま
た、特公昭60−50394号公報には銅フタロシアニンの1
〜4個のスルホン酸誘導体を用いることが記載されてい
る。これらの銅フタロシアニンで1〜2個スルホン基を
有するC.I.ダイレクトブルー86は目詰りしやすく、約3
個スルホン基を有するC.I.ダイレクトブルー87及び4個
のC.I.アシッドブルー249では耐水性が悪く、記録液の
溶剤に対する溶解性と耐水性の両方を満足するものは得
られていない。
そこでこれらの改良を行うべく、特開昭60−208365で
は一般式(I)の銅フタロシアニン誘導体、特開昭61−
2772では(II)の銅フタロシアニン誘導体を使用するこ
とにより耐水性の改良が試みられているが、なかなか満
足な特性が得られていないのが現状である。たとえば
(II)の化合物は起泡性が高く、インク調製時に泡の発
生が操作に支障をきたしたり、インク循環式プリンター
では回収系での泡あふれを起こす。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、従来技術の上記問題点を解決して、耐水
性、耐光性に優れ、かつ、高濃度の記録画像を形成でき
るインクジェット記録用水性インクを提供しようとする
ものである。
[課題を解決するための手段] 上記課題を解決するための本発明の構成は、下記一般
式(A)で示される染料を少なくとも一種含む水性イン
クにおいて、該染料のカウンターイオンがアルカリ金属
イオン、第4級アンモニウム及び第4級ホスホニウムイ
オンであることを特徴とする水性インク、 一般式(A) ただし、 Ar1〜Ar4:置換または未置換のフェニル基 R1〜R4:カルボキシル基又はスルホン酸基又は水素 M:Cu2+、Co2+、Ni2+、Fe2+、Mg2+、Sn2+、Mn2+である。
本発明者らは従来のフタロシアニン系化合物の欠点を
改良すべく、研究を行ったところ、上記一般式(A)の
染料がカウンターイオンとしてアルカリ金属イオン、第
4級アンモニウム、第4級ホスホニウムイオンである
時、耐候性、溶解性の点で充分満足するものであること
を見出し本発明を完成させた。
一般式(A)の染料はCa2+、Fe2+等の多価金属が存在
すると難溶性塩を作りやすく、インクジェット記録液に
使用する場合に目詰りしやすいと考えられる。しかし、
本発明ではカウンターイオンとしてアルカリ金属イオ
ン、第4級アンモニウム及び第4級ホスホニウムをカウ
ンターイオンとして用いることにより、溶解安定性を得
ることができた。
アルカリ金属イオンとしてはLi+、Na+、K+等が挙げら
れるが、特にLi+イオンをカウンターイオンとして用い
た場合に優れた溶解性を示す。
第4級アンモニウム及び第4級ホスホニウムイオンと
しては、特に一般式(B)で示されるカウンターイオン
を用いることにより、一般式(A)の染料は優れた溶解
性を示す。
一般式(B) X:窒素又はリン R5〜R8:炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキ
ル基及びハロゲン化アルキル基 一般式(B)のR5〜R8の炭素数が5以上になると上記
染料の水に対する溶解性が悪くなる。またR5〜R8のうち
1つが水素であるアミン塩も溶解性が悪いとともに異臭
が強く毒性の高いものもあり使用することは望ましくな
い。
また、一般式(A)の染料は従来のフタロシアニン系
の染料に比して耐水性が優れているが、これは一般式
(A)中のAr1〜Ar4のフェニル基あるいは置換フェニル
基が導入されているためであると推測される。
一般式(A)の染料の遊離酸の具体例を以下に示す。
上記染料は公知の方法により容易に合成できる。例え
ば具体例(A−1)で示される染料は、桂皮酸に2,3−
ジメチル−1,3ブタジエンをDiels−Alder反応で付加
し、これを脱水素化し酸化することにより、下記化合物
(I)のビフェニル−2,4,5−トリカルボン酸を得る。
これとCuCl2を用い、モリブデン酸アンモニウムを触
媒として尿素と溶融することにより例(A−1)のNa塩
化合物が得られる。遊離酸にするには水溶液に塩酸を添
加することにより容易にできる。また、イオン交換法に
より遊離酸とすることもできる。
得られた上記染料のカウンターイオンを一般式(B)
で示された第4級アンモニウムあるいは第4級ホスホニ
ウムにするには、一般式(B)の水酸化物 X:窒素、又はリン R5〜R8:炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキ
ル基及びハロゲン化アルキル基 の水溶液を染料遊離酸に作用させることにより容易に行
える。
以下に一般式(B)の第4級アンモニウム及び第4級
ホスホニウムの水酸化物の具体例を示す。
テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド メチルトリプロピルアンモニウムハイドロオキサイド メチルトリエチルアンモニウムハイドロオキサイド メチルトリエタノールアンモニウムハイドロオキサイド ジメチルジエタノールアンモニウムハイドロオキサイド テトラ塩化プロピルアンモニウムハイドロオキサイド テトラメチルホスホニウムハイドロオキサイド テトラエチルホスホニウムハイドロオキサイド メチルトリエタノールホスホニウムハイドロオキサイド テトラブチルホスホニウムハイドロオキサイド ジメチルジエタノールホスホニウムハイドロオキサイド 本発明において一般式(A)で示された染料のアルカ
リ塩は合成段階においてアルカリ金属水酸化物を用いる
ことにより容易に得られるが、第4級アンモニウム及び
第4級ホスホニウムをカウンターイオンにするためには
アルカリ塩を遊離酸にする必要がある。この際、強酸を
加え水溶液から染料を沈澱させても、全ての酸性基が遊
離酸の型とならない場合がある。また所望のpH値にイン
クを調整するために当量以下又は当量以上の第4級アン
モニウムあるいは第4級ホスホニウムの水酸化物を加え
なければならない場合がある。また、第4級アンモニウ
ム及びホスホニウムイオンの添加量はインク中の硫酸イ
オン、塩素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、酢酸
イオン等の不純物として含まれる陰イオンの量も考慮し
て添加しなければならない。本発明においてはこれら不
純物としての陰イオンはインク中に0.1重量%以下にす
ることが好ましく、またカウンターイオンとしての第4
級アンモニウム及び第4級ホスホニウムイオンは染料中
のすべての酸性基から計算される当量の30%をインク中
に含有させることにより、本発明の効果が示されるよう
になる。
一般式(A)で示される染料の含有量はインク100重
量部に対して0.5〜20.0重量部、好ましくは1.0〜6.0重
量部が適当である。0.5重量部未満であると着色剤とし
ての効力が薄れて、得られる画像濃度が不充分となり、
また20.0重量部を越えると長時間経時させた時に、イン
ク中に析出が生じてインクジェット記録が十分に行われ
なくなる傾向がある。
これら一般式(A)の染料は1種のみならず混合して
用いても良い。更に色調を整えるためや、黒色とするた
め本発明の染料と他の青色染料や赤色染料、黄色染料を
併用することもできる。
C.I.ダイレクトブルー1,8,71,76,86,199,200,201,20
2,236、 C.I.ダイレクトレッド4,9,23,62,89,95,225,227,24
2、 C.I.ダイレクトイエロー44,86,87,142,144等の直接染
料、 C.I.アシッドブルー1,249、 C.I.アシッドレッド35,52,92,249,254,289、 アシッドイエロー7,17,23,42,44,79,99,142 等の酸性染料、 その他C.I.ダイレクトオレンジ29,102、C.I.リアクテ
ィブブルー7等が挙げられる。
本発明のインクは溶媒成分として水を使用するもので
あるが、インク物性を所望の値に調整するため、インク
の乾燥を防止するため、染料の溶解性を向上するため等
の目的で、下記の水溶性有機溶媒と水とを混合して使用
することも出る。
エチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエ
チレングリコール,ポリエチレングリコール,ポリプロ
ピレングリコール,グリセリン等の多価アルコール類,
エチレングリコールモノエチルエーテル,エチレングリ
コールモノブチルエーテル,ジエチレングリコールモノ
メチルエーテル,ジエチレングリコールモノエチルエー
テル,ジエチレングリコールモノブチルエーテル,トリ
エチレングリコールモノメチルエーテル,トリエチレン
グリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのア
ルキルエーテル類,その他N−メチル−2−ピロリド
ン,2−ピロリドン,1,3−ジメチルイミダゾリジノン,ジ
メチルホルムアミド,トリエタノールアミン等である。
これらの中で特に好ましいのはジエチレングリコー
ル,ポリエチレングリコール200〜600、トリエチレング
リコール、エチレングリコール、グリセリン、N−メチ
ル−2−ピロリドンであり、これらを用いることにより
染料の高い溶解性と水分蒸発防止による目詰り防止の効
果を得ることができる。
インク中の上記水溶性有機溶媒の含有量はインク全重
量に対して5〜80%の範囲で使用できるが、粘性、乾燥
性等から15〜60%の範囲で用いることが好ましい。
本発明のインクには上記染料、溶剤の他に従来より知
られている添加剤を加えることができる。
例えば防腐防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウ
ム,ソルビン酸ナトリウム,2−ピリジンチオール−1−
オキサイドナトリウム,安息香酸ナトリウム,ペンタク
ロロフェノールナトリウム等が本発明に使用できる。
PH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよ
ぼさずにインクのPHを制御できるものであれば、任意の
物質を使用することができる。
その例として、ジェタノールアミン,トリエタノール
アミンなどのアミン,水酸化リチウム,水酸化ナトリウ
ム,水酸化カリウムなどのアルカリ金属元素の水酸化
物,水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化
物、第4級ホスホニウム水酸化物,炭酸リチウム,炭酸
ナトリウム,炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩
などがあげられる。
キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四
酢酸ナトリウム,ニトリロ三酢酸ナトリウム,ヒドロキ
シエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム,ジエチレ
ントリアミン五酢酸ナトリウム,ウラミル二酢酸ナトリ
ウムなどがある。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナ
トリウム,チオグリコール酸アンモン,ジイソプロピル
アンモニウムニトライト,四硝酸ペンタエリスリトー
ル,ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等があ
る。
その他目的に応じて水溶性紫外線吸収剤,水溶性赤外
線吸収剤,水溶性高分子化合物,染料溶解剤、界面活性
剤などを添加することができる。
以下に本発明の実施例及び比較例を示す。%はすべて
重量%である。
実施例1 上記記載の合成法によって得られた具体例(A−1)
の染料のNa塩の10重量%水溶液を作製し、この溶液に濃
塩酸を攪拌をしながら添加し、pHが0.5になるようにし
た。生じた沈澱を濾過し、水洗及び水−メタノール混合
溶媒で洗浄し、最終的に得られた染料の遊離酸を真空乾
燥器で乾燥し、固型物として染料を得た。次にこの酸型
染料を用いて下記処方により、組成物を約50℃で攪拌溶
解し、孔径0.22μmのテフロンフィルターで濾過したイ
ンクを作製した。
具体例(A−1)の染料 3.0% ジエチレングリコール 10.0% ポリエチレングリコール200 10.0% N−メチル−2−ピロリドン 5.0% 具体例(B−1)の水酸化物40%水溶液 3.0% デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2% イオン交換水 残量 下記の組成からなる材料を用いる以外は実施例1と同
様にして実施例2〜5及び比較例1〜3のインクを作製
した。
実施例2 具体例(A−2)の染料 3.0% ジエチレングリコール 20% グリセリン 10% 具体例(B−2)の水酸化物40%水溶液 3.1% デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2% イオン交換水 残量 実施例3 具体例(A−4)の染料 3.0% トリエチレングリコール 15.0% 1,3−ジメチルイミダゾリジノン 10.0% 具体例(B−7)の水酸化物40%水溶液 3.2% 2,4−ジメチル−6−アセトキシ−m−ジオキサン0.2% イオン交換水 残量 実施例4 具体例(A−5)の染料 3.0% テトラエチレングリコール 15.0% ジエチレングリコール モノブチルエーテル 10.0% 具体例(B−10)の水酸化物40%水溶液 3.5% 2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム 0.3
% イオン交換水 残量 実施例5 具体例(A−7)の染料 2.0% エチレングリコール 12.0% グリセリン 5.0% 具体例(B−12)の水酸化物40%水溶液 2.5% 2,4−ジメチル−6−アセトキシ−m−ジオキサン0.2% イオン交換水 残量 比較例1 C.I.ダイレクトブルー86 3.0% ジエチレングリコール 10.0% ポリエチレングリコール200 10.0% N−メチル−2−ピロリドン 5.0% 水酸化ナトリウム 0.03% デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2% イオン交換水 残量 比較例2 C.I.アシッドブルー249 3.0% ジエチレングリコール 20.0% グリセリン 10.0% 水酸化ナトリウム 0.02% デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2% イオン交換水 残量 比較例3 リアクティブブルー7 3.0% ジエチレングリコール 15.0% グリセリン 10.0% N−メチル−2−ピロリドン 5.0% 具体例(B−1)の水酸化物40%水溶液 3.0% デヒドロ酢酸ナトリウム 0.2% イオン交換水 残量 試験結果 実施例(1)〜(7)、比較例(1)〜(3)につい
て下記の試験を行なった。
1)画像の鮮明性 リコー製ワード・プロセッサー・リポート5600J用イ
ンクジエット・プリンターに、作製したインクを充填し
印字を行った。
鮮明な画像が得られたインクについて表−1において
○印で表わした。
2)画像の耐光性 1)で得た画像サンプルをフェード・メーター(カー
ボン・アーク灯、63℃)に3時間かけ、光照射前後の画
像濃度をマクベス濃度計で測定し、下式により耐光性
(退色率)を求めた。
3)画像の耐水性 1)で得た画像サンプルを30℃の水に1分間浸漬し、
浸清前後の画像濃度をマクベス濃度計で測定し、(2)
項の式と同様の式により耐光性(退色率%)を求めた。
4)保存性 インクをポリエチレン製の容器に入れ、−20℃,4℃,2
0℃,50℃,70℃それぞれの条件下で3か月間保存し、保
存前後の粘度,表面張力,電気伝導度の変化、および沈
澱物析出の有無を調べた。どの条件下で保存しても、物
性変化、沈澱物の発生がなかった物を表−1では○とし
た。
5)ノズルの目詰りテスト 1)で印字した後、印字休止したままで、20℃,65%R
Hの環境下で2か月間放置し、放置後再び正常な印字が
可能か否かを調べた。1つのインクサンプルについて3
台のプリンターを使用し試験した。
表−1には、3台のプリンターとも正常に印字できた
場合を○、3台中1台又は2台で正常印字ができなかっ
た場合を×、3台とも正常印字できなかった場合を××
で示した。なお5600J用プリンターには、ノズルに詰り
が生じ、噴射ができなくなった時、ジェットの噴霧方向
が著しく放置前と比べ変化した時には、それを自動的に
検出し、プリンターの作動を停止する装置が取り付けら
れている。
[発明の効果] 上記結果から明らかなとおり、本発明の水性インクは
記録画像の耐水性、耐光性に優れ、かつ、色調がよく、
インクジェット記録に用いても目詰りすることがない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−37176(JP,A) 特開 昭58−217569(JP,A) 特開 昭60−208365(JP,A) 特開 昭57−5772(JP,A) 特開 昭63−304071(JP,A) 特開 昭64−62371(JP,A) 特開 昭59−106989(JP,A) 特開 昭52−12008(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(A)で示される染料を少なく
    とも1つ含む水性インクにおいて、この染料のカウンタ
    ーイオンがアルカリ金属イオン、第4級アンモニウム及
    び第4級ホスホニウムイオンのうちの何れかであること
    を特徴とする水性インク、 一般式(A) ただし、 Ar1〜Ar4:置換または未置換のフェニル基 R1〜R4:カルボキシル基又はスルホン酸基又は水素 M:Cu2+、Co2+、Ni2+、Fe2+、Mg2+、Sn2+、Mn2+である。
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