JP5295946B2 - エレベータのロープ端末装置及びロープ装置 - Google Patents

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Description

この発明は、エレベータ用ロープのロープ端末に結合されるエレベータのロープ端末装置、及びエレベータ用ロープにロープ端末装置を結合してなるエレベータのロープ装置に関するものである。
従来の多くのエレベータでは、8本又は6本のストランドを含むエレベータ用ロープが使用されていた。また、エレベータ用ロープ、及びエレベータ用ロープが巻き掛けられる綱車の早期摩耗や断線を防止するため、綱車の直径がエレベータ用ロープの直径の40倍以上に設定されていた。
これに対して、近年、エレベータ用ロープの強度及び曲げ疲労性の向上により、ロープ本数の削減や綱車の小径化が望まれている。このため、ストランドの本数を増やすことにより、ストランドを構成する素線の径を小さくし、また、断面構造を多層化することにより、実装面積を大きくしたエレベータ用ロープが提案されている。
一方、従来のエレベータのロープ端末装置では、バビットメタル詰め方式又はスリーブ圧着方式によりロープ端末にソケットが固定される。バビットメタル詰め方式では、全てのストランドの端部を折り返して1つに束ね、ソケット内のテーパ穴に挿入した後、溶融したバビットメタルをテーパ穴内に流し込み硬化させる。また、スリーブ圧着方式では、外周部にテーパ状部が形成されたスリーブをロープ端末に圧着した後、ソケットのテーパ穴にスリーブのテーパ状部を嵌合させる(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−211857号公報
上記のような従来のバビットメタル詰め方式のロープ端末装置では、ストランドの本数が多い場合に、ストランドの端部を折り曲げる作業にかなりの手間がかかるとともに、折り曲げられた全てのストランドの端部を挿入するためにソケットが大型化してしまう。また、従来のスリーブ圧着方式のロープ端末装置では、ロープ径が大きい場合に、大型の圧着装置が必要となり、圧着装置のコストが高くなるとともに、ロープ架設現場に大きな作業スペースを確保する必要が生じてしまう。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ソケットの大型化を防止するとともに、ロープ端末にソケットを容易に結合することができるエレベータのロープ端末装置及びロープ装置を得ることを目的とする。
この発明によるエレベータのロープ端末装置は、複数本のコアロープストランドを含むコアロープと、コアロープの外周部に配置された複数本の外層ストランドとを有するエレベータ用ロープのロープ端末に固定されるものであって、断面テーパ状のソケットテーパ孔を有するソケット、及びソケットテーパ孔の内壁面との間に外層ストランドの端部を挟持する断面テーパ状のスリーブ外周面と、コアロープの端部が挿入されるコアロープ挿入孔とを有し、コアロープの端部に固定されソケットテーパ孔内に配置されるスリーブ
を備えている。
この発明によるエレベータのロープ装置は、複数本のコアロープストランドを含むコアロープと、コアロープの外周部に配置された複数本の外層ストランドとを有するエレベータ用ロープ、及びエレベータ用ロープのロープ端末に固定されたロープ端末装置を備えたものであって、ロープ端末装置は、断面テーパ状のソケットテーパ孔を有するソケット、及び断面テーパ状のスリーブ外周面と、コアロープの端部が挿入されたコアロープ挿入孔とを有し、ソケットテーパ孔内に配置されたスリーブを備え、外層ストランドの端部は、ソケットテーパ孔の内壁面とスリーブ外周面との間に挟持されており、スリーブは、コアロープの端部に固定されている。
この発明の実施の形態1によるエレベータの要部を示す側面図である。 図1のエレベータ用ロープの断面図である。 図1の結合部を示す側面図である。 図3の矢印IV方向から見た結合部を示す正面図である。 図3のエレベータ用ロープに結合部を結合する途中の状態を示す側面図である。 この発明の実施の形態2によるエレベータのロープ装置の結合部を示す側面図である。 図6の矢印VII方向から見た結合部を示す正面図である。 図6のエレベータ用ロープに結合部を結合する途中の状態を示す側面図である。 この発明の実施の形態3によるエレベータのロープ装置の結合部を示す側面図である。 図9の矢印X方向から見た結合部を示す正面図である。 この発明の実施の形態4によるエレベータのロープ装置の結合部を示す正面図である。
以下、この発明の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるエレベータの要部を示す側面図である。図において、ロープ接続部1は、例えばかご、釣合おもり又は昇降路上部等に設けられている(但し、昇降路上部の場合は、図1は上下逆向きである)。ロープ接続部1には、かご及び釣合おもりを昇降路内に吊り下げるエレベータ用ロープ2が、ロープ端末装置3を介して接続されている。ロープ装置は、エレベータ用ロープ2のロープ端末にロープ端末装置3を結合することにより構成されている。
ロープ端末装置3は、結合部4、連結ピン5、ロッド部6、ばね座7、主ナット8、止めナット9及び圧縮コイルばね10を有している。結合部4は、エレベータ用ロープ2のロープ端末に結合されている。ロッド部6は、連結ピン5を介して結合部4に回動可能に連結されている。また、ロッド部6は、ロープ接続部1を貫通している。
ロッド部6の反結合部4側の端部には、ねじ部6aが設けられている。ばね座7は、ねじ部6aにより貫通されている。主ナット8及び止めナット9は、ねじ部6aに螺着され、ロープ接続部1から離れる方向へのばね座7の変位を規制する。圧縮コイルばね10は、ロープ接続部1とばね座7との間に配置されている。
図2は図1のエレベータ用ロープ2の断面図である。エレベータ用ロープ2は、コアロープ11と、コアロープ11の外周部に配置された複数本(図2では12本)の外層ストランド12とを有している。外層ストランド12は、コアロープ11の外周部に撚り合わせられている。
コアロープ11は、その中心に配置されたコアロープストランドである中心ストランド13と、中心ストランド13の外周部に撚り合わせられたコアロープストランドである複数本(図2では6本)の内層ストランド14とを有している。ストランド12,13,14は、それぞれ複数本の鋼製の素線を撚り合わせることにより構成されている。
図3は図1の結合部4を示す側面図、図4は図3の矢印IV方向から見た結合部4を示す正面図である。結合部4は、円筒状のソケット15と、ソケット15内に配置されたスリーブ16とを有している。ソケット15は、断面テーパ状のソケットテーパ孔15aを有している。ソケットテーパ孔15aの径は、ソケット15の一端部へ向けて連続して減少されている。
スリーブ16は、断面テーパ状のスリーブ外周面16aと、コアロープ11の端部が挿入されたコアロープ挿入孔としての断面テーパ状のスリーブテーパ孔16bとを有している。また、スリーブ16は、ソケットテーパ孔15a内に配置されている。
外層ストランド12の端部は、コアロープ11の外周部から解きほぐされ、ソケットテーパ孔15aの内壁面とスリーブ外周面16aとの間に挟持されている。中心ストランド13及び内層ストランド14の端部は、解きほぐされ折り返されてスリーブテーパ孔16b内に収容されている。また、スリーブテーパ孔16b内には、融着用金属としてのバビットメタル17が融着されている。これにより、スリーブ16は、コアロープ11の端部に固定されている。
コアロープ11のスリーブ16からの引出部には、コアロープ11の外周部を締め付けるコアロープ締付具18が設けられている。また、エレベータ用ロープ2のソケット15からの引出部には、エレベータ用ロープ2の外周部を締め付けるエレベータ用ロープ締付具19が設けられている。
次に、エレベータ用ロープ2のロープ端末への結合部4の結合方法について説明する。まず、エレベータ用ロープ2のロープ端末をソケット15に挿通させる。次に、外層ストランド12の端部を所定の長さだけ解きほぐし真っ直ぐに伸ばす。
この後、露出したコアロープ11の端部をスリーブ16に挿通させる。次に、中心ストランド13及び内層ストランド14の端部を所定の長さだけ解きほぐす。そして、中心ストランド13及び内層ストランド14の端部を折り返しつつスリーブテーパ孔16b内に収容する。この後、スリーブテーパ孔16b内に溶融したバビットメタルを流し込み硬化させる。これにより、コアロープ11の端部は、スリーブ16に固定される。図5はこのときの状態を示している。
図5の状態から、解きほぐされた外層ストランド12をスリーブ16の外周に均等に配置し、エレベータ用ロープ2のロープ端末をソケット15内に引き込む。これにより、外層ストランド12の端部は、ソケットテーパ孔15aとスリーブ16との楔効果によって、ソケット15に強固に固定される。
ここで、外層ストランド12の固定をより確実にするためには、ソケットテーパ孔15aの内壁面及びスリーブ外周面16aの少なくともいずれか一方が、外層ストランド12により圧縮変形され、変形により生じた凹部に外層ストランド12が食い込んでいることが望ましい。このため、例えば、スリーブ16は、外層ストランド12を構成する素線の材料に比べて十分に硬度が小さい材料(外層ストランド12よりも柔らかい材料)、例えば軟鋼(SS400等)により構成するのが好適である。
このようなエレベータのロープ端末装置及びロープ装置では、バビットメタル詰め方式で固定されるコアロープ11の径はエレベータ用ロープ2全体の径よりも小さく、かつコアロープ11のストランド数はエレベータ用ロープ2全体のストランド数よりも少ないため、コンパクトなスリーブ16を用いて、多大な作業時間を要することなく、コアロープ11をスリーブ16に固定することができる。また、外層ストランド12は折り曲げる必要がなく、楔効果でソケット15内に固定されるので、ソケット15の大型化を防止することもできる。
実施の形態2.
次に、図6はこの発明の実施の形態2によるエレベータのロープ装置の結合部を示す側面図、図7は図6の矢印VII方向から見た結合部を示す正面図、図8は図6のエレベータ用ロープに結合部を結合する途中の状態を示す側面図である。図において、実施の形態2における結合部4は、実施の形態1と同様のソケット15と、ソケット15内に配置されたスリーブ21とを有している。
スリーブ21は、断面テーパ状のスリーブ外周面21aと、コアロープ11の端部が挿入されたコアロープ挿入孔21bとを有している。コアロープ挿入孔21bの径は、全長に渡って均等である。スリーブ21は、ソケットテーパ孔15a内に配置されている。
外層ストランド12の端部は、コアロープ11の外周部から解きほぐされ、ソケットテーパ孔15aの内壁面とスリーブ外周面21aとの間に挟持されている。コアロープ11の端部は、解きほぐされずに撚線のままコアロープ挿入孔21b内に収容されている。そして、スリーブ21は、コアロープ11の端部に圧着されている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
このようなエレベータのロープ端末装置及びロープ装置では、コアロープ11にスリーブ21を圧着するので、多大な作業時間を要することなく、コアロープ11をスリーブ21に容易に固定することができる。また、コアロープ11の径はエレベータ用ロープ2全体の径よりも小さいため、コンパクトなスリーブ21を用いることができるとともに、小型の圧着装置で対応することができる。また、外層ストランド12は折り曲げる必要がなく、楔効果でソケット15内に固定されるので、ソケット15の大型化を防止することもできる。
実施の形態3.
次に、図9はこの発明の実施の形態3によるエレベータのロープ装置の結合部を示す側面図、図10は図9の矢印X方向から見た結合部を示す正面図である。図において、ソケットテーパ孔15a内には、外層ストランド12及びソケット15よりも柔らかい材料からなる充填層22が設けられている。充填層22は、ソケットテーパ孔15aの内壁面を覆うように配置され、一様の厚さを有している。外層ストランド12は、充填層22とスリーブ外周面16aとの間に挟持されている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
このようなエレベータのロープ端末装置及びロープ装置では、ソケットテーパ孔15a内に充填層22を設けたので、結合部4における外層ストランド12及びコアロープ11の荷重負担がさらに均等になり、高い締結強度を得ることができる。
なお、充填層22は、例えば軟鋼又は亜鉛合金等の材料で構成することができる。
また、予め円錐状に成形された充填層22をソケットテーパ孔15a内に挿入しても、溶融した材料をソケットテーパ孔15a内に流して込み硬化させることにより充填層22を形成してもよい。
さらに、実施の形態3で示した充填層22を、実施の形態2のソケットテーパ孔15a内に配置してもよい。
実施の形態4.
次に、図11はこの発明の実施の形態4によるエレベータのロープ装置の結合部を示す正面図である。図において、スリーブ外周面16aには、外層ストランド12を受ける螺旋状の複数(外層ストランド12と同数)の溝16cが設けられている。溝16cは、スリーブ16の周方向に互いに等間隔をおいて配置されている。各溝16cの底面の断面形状は、外層ストランド12の外周面よりも曲率半径の大きな円弧状である。他の構成は、実施の形態1と同様である。
このようなエレベータのロープ端末装置及びロープ装置では、スリーブ外周面16aに溝16cが均等に設けられているので、外層ストランド12を容易に均等配置することができ、各外層ストランド12に荷重を均等に負担させることができる。
なお、溝16cは、スリーブ16の軸線に平行な直線状であってもよい。
また、ソケットテーパ孔15aの内周面に外層ストランド12を受ける溝を設けてもよい。
さらに、実施の形態4のソケットテーパ孔15a内に実施の形態3で示した充填層22を配置してもよい。
さらにまた、エレベータ用ロープの断面構造は、図2で示した構造に限定されるものではなく、ロープ端末がコアロープと外層ストランドとに分割可能であれば他の構造であってもよい。例えば、3層以上の構造や、外層ストランド及び内層ストランドよりも小径の補助ストランドを含む構造等であってもよい。

Claims (11)

  1. 複数本のコアロープストランドを含むコアロープと、上記コアロープの外周部に配置された複数本の外層ストランドとを有するエレベータ用ロープのロープ端末に結合されるエレベータのロープ端末装置であって、
    断面テーパ状のソケットテーパ孔を有するソケット、及び
    上記ソケットテーパ孔の内壁面との間に上記外層ストランドの端部を挟持する断面テーパ状のスリーブ外周面と、上記コアロープの端部が挿入されるコアロープ挿入孔とを有し、上記コアロープの端部に固定され上記ソケットテーパ孔内に配置されるスリーブ
    を備えているエレベータのロープ端末装置。
  2. 上記コアロープ挿入孔は、断面テーパ状のスリーブテーパ孔である請求項1記載のエレベータのロープ端末装置。
  3. 上記ソケットテーパ孔内に設けられ、上記外層ストランド及び上記ソケットよりも柔らかい材料からなる充填層をさらに備えている請求項1記載のエレベータのロープ端末装置。
  4. 上記スリーブ外周面には、上記外層ストランドを受ける複数の溝が設けられている請求項1記載のエレベータのロープ端末装置。
  5. 上記溝は、上記スリーブ外周面に螺旋状に設けられている請求項4記載のエレベータのロープ端末装置。
  6. 複数本のコアロープストランドを含むコアロープと、上記コアロープの外周部に配置された複数本の外層ストランドとを有するエレベータ用ロープ、及び
    上記エレベータ用ロープのロープ端末に結合されたロープ端末装置
    を備えているエレベータのロープ装置であって、
    上記ロープ端末装置は、
    断面テーパ状のソケットテーパ孔を有するソケット、及び
    断面テーパ状のスリーブ外周面と、上記コアロープの端部が挿入されたコアロープ挿入孔とを有し、上記ソケットテーパ孔内に配置されたスリーブ
    を備え、
    上記外層ストランドの端部は、上記ソケットテーパ孔の内壁面と上記スリーブ外周面との間に挟持されており、
    上記スリーブは、上記コアロープの端部に固定されているエレベータのロープ装置。
  7. 上記コアロープ挿入孔は、断面テーパ状のスリーブテーパ孔であり、
    上記スリーブテーパ孔内には、上記コアロープストランドの端部がそれぞれ折り返されて収容されているとともに、融着用金属が融着されている請求項6記載のエレベータのロープ装置。
  8. 上記スリーブは、上記コアロープの端部に圧着されている請求項6記載のエレベータのロープ装置。
  9. 上記ソケットテーパ孔の内壁面及び上記スリーブ外周面の少なくともいずれか一方が、上記外層ストランドにより圧縮変形されている請求項6記載のエレベータのロープ装置。
  10. 上記スリーブは、上記外層ストランドよりも柔らかい材料により構成されている請求項6記載のエレベータのロープ装置。
  11. 上記外層ストランドは、互いに等間隔をおいて配置されている請求項6記載のエレベータのロープ装置。
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