JP5294108B2 - 制震ダンパー - Google Patents

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Description

本発明は、構造物本体が液体中に配設されない免震構造物又は制震構造物に設置され、地震などによる振動を減衰させる制震ダンパーに関する。
従来、地震などによる建物などの構造物の揺れを吸収し低減するための様々な形態の減衰装置(ダンパー)を備えた免震構造物及び制震構造物が普及している。地震などによる構造物の揺れを減衰させる一般的な方法として、例えば構造物の鉛直荷重を支える支承材の機能も併せ持つ高減衰積層ゴム支承や、オイルダンパーなどの減衰装置を地盤と構造物との間に設置する方法がある。
例えば、図5(a)に示すように従来の免震構造物31aでは、例えば居住空間を有する構造物本体32aと地盤Gとの間に、構造物本体32aの鉛直荷重を支え、水平変形可能であると共に水平変位を復元する免震装置33と、構造物本体32aの水平力による揺れのエネルギーを吸収する減衰装置34aとが配設されている。
ここで、構造物本体32aの質量をm、免震装置33の水平剛性をk、減衰装置34aの減衰係数をcとし、地震などによる地盤Gの振動変位、振動速度、振動加速度をx00、x01、x02、構造物本体32aの振動変位、振動速度、振動加速度をx、x、xとして、免震構造物31aに対応した振動方程式を表すと下記のような式(1)となる。
mx+c(x−x01)+k(x−x00)=0 ・・・(1)
なお、免震装置33や減衰装置34aの条件によって振動方程式は非線形特性を有し、水平剛性kや減衰係数cの値は構造物本体32aの振動変位x00や振動速度x01の関数となる場合もあるが、ここでは線形な振動方程式として表す。
そして、地盤Gの角振動数をω、構造物本体32aの固有振動数をω 、構造物本体32の振動加速度xと地盤Gの振動加速度x02との比|x /|x02|をA1、減衰装置34aの減衰定数をh(=c/2mω)とし、式(1)を解くことで得られる加速度の応答関数を図5(b)に示す。
図5(b)に示すように、減衰定数h=0の場合は、地盤Gの振動数と構造物本体32の固有振動数が一致するω/ω=1では、構造物本体32aの振動加速度xと地盤G の振動加速度x02の比は無限大となり、構造物本体32aの加速度は無限大となるが、減衰定数hの値を大きくするにしたがって構造物本体32aの加速度のピーク値は小さくなる。しかしω/ωの値が大きい高振動数領域では減衰定数hの値を大きくするにしたがって構造物本体32aの振動加速度xと地盤Gの振動加速度x02との比のA1が大きくなることがわかる。これは、減衰装置34aを通して地盤Gの振動を構造物本体32aに伝えてしまうためである。
そこで、特許文献1に示すような地盤の振動を構造物本体へほとんど伝達しない減衰装置が提案されている。
図6(a)に示すように、免震構造物31bは、地盤Gを掘削して構築された免震ピット35に液体36が収容されて、例えば居住空間を有する構造物本体32bが液体36中に設置され、構造物本体32bと地盤Gとの間に免震装置33が配設されており、構造物本体32bの底面に透水性能を有する例えば立体不織布などの透水構造体を板状に形成した減衰装置34bが配設される。地震などにより構造物本体32bが振動した際に透水構造体に液体36が透過し、透水構造体に液体36が透過することで生じる摩擦抵抗を利用して構造物本体32bの振動を減衰させる構成である。
このとき免震ピット35内の液体36には、地盤Gの振動に伴うスロッシングにより共振を起こす振動数が存在するが、免震ピット35の水平面積を広くすることで地盤Gと液体36の共振振動数を構造物本体32bの固有振動数や地震の卓越振動数よりも大幅に低く設定することができ、地盤Gと液体36の共振振動数よりも高い振動数で地盤Gが振動しても液体36は絶対座標系でほぼ静止した状態とすることができる。
そして、地震などにより地盤Gが振動しても液体36はほぼ静止した状態とすると、地盤Gの振動は構造物本体32bへほとんど伝達しない構成とすることができる。
そこで、液体36が不動状態であると仮定した場合、この31bに対応した振動方程式を式1と同様の記号を使って表すと、下記のような式(2)となる。
mx+cx+k(x−x00)=0 ・・・(2)
なお、式(1)においては構造物本体32aの質量をmとしているが、式(2)においては液体36による構造物本体32bにかかる浮力を相殺した構造物本体32b質量をmとする。
式(1)と同様に式(2)を解くことで得られる加速度の応答関数を図6(b)に示す。
図6(b)に示すように構造物本体32bの加速度の応答関数は、図5(b)に示す構造物本体32aの加速度の応答関数と同様に、減衰定数hの値を大きくするに従い構造物本体32bの加速度のピーク値は小さくなるが、図5(b)に示す構造物本体32aの加速度の応答関数のように高振動数で加速度が大きくなるという悪影響は現れず、減衰定数hを増加するにしたがって全振動数帯域で加速度を低減することができる。図6(a)に示す免震構造物31bに備える減衰装置34bは、図5(a)に示す免震構造物31aに備える減衰装置34aに比べて高性能な減衰効果を得ることがわかる。
特開2004−353257号公報
しかしながら、従来の減衰装置を備える免震構造物及び制震構造物では以下のような問題があった。特許文献1による免震構造物31bでは、液体36中に構造物本体32bおよび減衰装置34bを配設するので、構造物本体32bの防水処理が必要であると共に減衰装置34bの維持管理や点検、万一の交換などのメンテナンスが行いづらく、また、免震装置33も液体36中に配設される場合には、免震装置33の防水、防錆処理や、液体36の液質維持のための消毒薬剤に対する耐薬品性の確保などが必要であり、免震構造物31bの構築や維持管理に労力やコストがかかるという問題があった。
また、透水構造体と液体36との摩擦を利用した減衰装置34bは、液体36に構造物本体32bが配設される免震構造物31bに備えられた液体36を利用しており、構造物本体が液体中に配設されない免震構造物又は制震構造物には備えられることがなかった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、構造物本体が液体中に配設されない免震構造物又は制震構造物に備えることができて、地震などによる構造物本体の振動を効率的に減衰させ、免震構造物又は制震構造物の施工性、メンテナンス性がよい制震ダンパーを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る制震ダンパーは、構造物本体が液体中に配設されない免震構造物又は制震構造物に設置され、地震などによる振動を減衰させる制震ダンパーであって、地盤に設けられた貯液槽と、貯液槽に収容された液体と、構造物本体に連結されていて、透水性能を有し液体中に配設されて液体中を相対移動して液体との間で振動を減衰させる透水構造体とを備え、透水構造体は液体中で相対移動する方向が限定されることを特徴とする。
本発明では、透水構造体は、貯液槽に収容された液体中に配設されると共に構造物本体と連結されているので、液体中に構造物本体が配設されない免震構造物又は制震構造物であっても、地震などで振動が生じた際に構造物本体と透水構造体とが共に液体中で振動し、透水構造体に液体が透過して生じる摩擦によって、透水構造体および構造物本体の振動を減衰させることができる。また、透水構造体は地盤と直接連結されていないので、地盤から透水構造体を通じて構造物本体に伝わる振動が少ない。また、液体は制震ダンパーに使用されて、構造物本体や免震装置などの設備は液体中に配設されないので、構造物本体や免震装置などの設備が水中に配設される従来の免震構造物に比べて、防水処理や防錆処理などが必要なくメンテナンスも行いやすい。
また、透水構造体は液体中で相対移動する方向が限定されるので、透水構造体が貯液槽内を相対移動した際の透水構造体が貯液槽の側壁に衝突しないためのクリアランスは限定された方向以外に対しては必要なく、貯液槽を小さくすることができる。また、制震ダンパーは透水構造体の相対移動する方向に対する振動を減衰させることができるので、透水構造体がそれぞれ異なる方向に相対移動する複数の制震ダンパーを組み合わせることで多方向に対して減衰力を発揮でき、また、透水構造体の形状や体積を調整することで減衰力を調整することができる。

また、本発明に係る制震ダンパーでは、制震ダンパーは免震構造物又は制震構造物に液体中で相対移動する方向が限定された透水構造体を備える第一の制震ダンパーと、その限定された方向に直交する方向へ相対移動する透水構造体を備える第二の制震ダンパーとを備えることが好ましい。
本発明では、免震構造物又は制震構造物に透水構造体が限定された方向に相対移動して、限定された方向の振動に対して減衰力を発揮する第一の制震ダンパーと、その限定された方向に直交する方向へ相対移動し、その限定された方向に直交する方向の振動に対して減衰力を発揮する第二の制震ダンパーとが備えられているので、第一及び第二の制震ダンパーを組み合わせることで、全ての方向に対して減衰力を発揮することができる。
また、本発明に係る制震ダンパーでは、透水構造体は連結部材によって構造物本体に連結されていて、連結部材は構造物本体に固定された第一の部材と、透水構造体を固定する第二の部材を備え、第一及び第二の部材は一方向に相対的に移動可能で、この方向に直交する方向には一体的に移動するように保持されていることが好ましい。
本発明では、構造物本体と透水構造体とは一方向に相対的に移動可能で、この方向に直交する方向には一体的に移動する第一及び第二の部材を備えた連結部材で連結されているので、第一の部材が固定された構造物本体が移動した際に、第二の部材が固定する透水構造体と構造物本体が一体的に移動する方向を限定することができる。
また、本発明に係る制震ダンパーでは、制震ダンパーは構造物本体の配設された地盤の外側に配設されていてもよい。
本発明では、制震ダンパーが構造物本体の配設される地盤の外側に配設されるので、制震ダンパーのメンテナンスが行いやすい。
また、本発明に係る制震ダンパーでは、制震ダンパーは構造物本体の下方の地盤に配設される構成としてもよい。
本発明では、制震ダンパーが構造物本体の下方の地盤に配設されているので、制震ダンパーを設置するための専用スペースが必要なく設置計画が行いやすい。
本発明によれば、制震ダンパーは液体を収容した貯液槽と液体中に配設されると共に構造物本体と連結された透水構造体を備えているので、構造物本体が液体中に配設されない免震構造物または制震構造物に制震ダンパーを設けることができ、地震などによる構造物本体の振動を効果的に減衰させることができる。
以下、本発明の第一の実施の形態による制震ダンパーについて、図1乃至図2に基づいて説明する。
図1(a)は本発明の第一の実施の形態による制震ダンパーを備える免震構造物の一例を示す上面図、(b)は図1(a)に示す免震構造物のA―A線断面図で、図2は図1(a)、(b)に示す制震ダンパーに備える連結部材の一例を示す斜視図である。
図1(a)および(b)に示すように、第一の実施の形態による免震構造物1aは、地盤Gを掘削して構築する免震ピット2の底面に鉛直荷重を支持し水平方向に変更可能な免震装置3が配設され、居室性能を有する構造物本体4が免震装置3の上部に配設され、水平力による揺れのエネルギーを吸収する制震ダンパー5aが免震ピット2の側壁2aの外側の地盤Gに配設された構成である。
免震ピット2は地盤Gを所望の深さまで掘削することにより形成され、土圧を受けるための側壁2aを備え、底面には床を備えている。また、免震ピット2は、構造物本体4が免震ピット2の内方に配設された際に、構造物本体4の側壁4aと免震ピットの側壁2aとの間に所定幅のクリアランスが全周にわたって確保できる大きさの平面視長方形状に構築されており、地震等により構造物本体4が水平方向に移動した場合にも、免震ピット2の側壁2aに構造物本体4が接触しない形状である。
構造物本体4は、例えば居住空間やオフィス空間等の居室機能を有する平面視長方形状の建物である。
免震装置3は、例えばせん断弾性係数の小さい積層ゴムなどで構成されており、免震ピット2の床に所定の距離を持って複数配置されて、上部に構造物本体4が配設される。免震装置3は構造物本体4の鉛直荷重を支持する機能と、構造物本体4と免震ピット2との水平挙動を絶縁し長周期化する機能とを有するアイソレーターとして機能するものである。これにより、免震構造物1aは構造物本体4に対して、高い免震効果を付与でき、固定構造物と同じ居住性、使用性を確保できるものである。
制震ダンパー5aは、平面視長方形状を構成する4枚の免震ピット2の側壁2aのそれぞれの外側の地盤Gに4つ設けられており、地盤Gを掘削して形成した貯液槽11と、貯液槽11に収容される例えば水などの液体12と、液体12中に配設された透水構造体13と、透水構造体13及び構造物本体4を連結する連結部材14aとで概略構成される。
貯液槽11は、免震ピット2の側壁2aの外側へ所定の間隔をあけて側壁2aに沿って地盤Gを溝状に掘削して形成され、側壁2aに沿った方向の貯液槽11の長さ寸法は、側壁2aに対向する構造物本体4の側壁4aの長さとほぼ同じで、土圧を受ける側壁11aと床を備えている。
透水構造体13は、例えば、立体不織布や、礫材料やモルタル及びセメント系材料からなる透水性を有するマット、スリットが設けられた壁体、軽石などを収容しスリットを設けた収納物などの空隙率が高く透水性の高い材料を、例えば直方体などの立体構造に形成したものである。このような透水構造体13は液体12中で振動すると、透水構造体13に液体12が透水して液体12と透水構造体13との間に摩擦が生じ、この摩擦で透水構造体13の振動を減衰させるもので、透水構造体13は形状や体積を調整することで任意の減衰性能を設定できる。
連結部材14aは、構造物本体4に固定され構造物本体4の側壁4aから側壁4aの幅での水平方向に突き出た板状の水平部材15(第一の部材)と、下端に透水構造体13が固定されて透水構造体13の幅で鉛直方向に延びる直方体の鉛直部材16(第二の部材)とを備える。
図2に示すように水平部材15の下面には構造物本体4の側壁4aに直交する方向から見て略T字型状の凸部17が水平部材15の幅にわたって複数形成され、鉛直部材16の上端には凸部17と互いに噛み合う略T字型状の凹部18が鉛直部材16の幅にわたって凸部17と同数形成されており、噛み合った状態の凸部17と凹部18とは固定されず、構造物本体4の側壁4aに直交する方向にスライドでき、相対的に移動可能な構成である。
このような構成の制震ダンパー5aは、地震などが生じて構造物本体4が振動すると水平部材15も構造物本体4と共に振動し、水平部材15が固定された構造物本体4の側壁4aに直交する方向へは、凸部17が凹部18内をスライドするので水平部材15と鉛直部材16は一体的に振動せず、水平部材15が固定された構造物本体4の側壁4aに平行な方向へは、凸部17が凹部18を押して、水平部材15と鉛直部材16は一体的に振動するので、構造物本体4と透水構造体13も共に振動する構成である。
透水構造体13は、液体12中を水平部材15が固定された構造物本体4の側壁4aに平行な方向に振動することで透水構造体13に液体12が透過して、透水構造体13と液体12との間に摩擦が生じて透水構造体13の振動が減衰され、構造物本体4の水平部材15が固定された構造物本体4の側壁4aに平行な方向の振動が減衰される。
水平部材15は平面視長方形状を構成する4面の構造物本体4の側壁4aに固定されているので、構造物本体4が透水構造体13と共に振動し、透水構造体13が減衰効果を発揮する方向が構造物本体4の直交する幅方向と奥行き方向の2方向となるので、制震ダンパー5aはこの2方向に振動を分散させて、全ての水平方向の振動を減衰させる。
透水構造体13及び鉛直部材16は、水平部材15が固定された構造物本体4の側壁4aに平行な方向のみに前後に振動するので、振動した透水構造体13及び鉛直部材16が貯液槽11の側壁11aと接触しないためのクリアランスはこの方向のみに確保し、この方向に透水構造体13及び鉛直部材16が変位しやすいように、貯液槽11の側壁11aには鉛直部材16に接してベアリング22を配設する。
次に、上述した第一の実施の形態による制震ダンパーの作用効果について図面を用いて説明する。
本発明による第一の実施の形態による制震ダンパー5aでは、液体12を収容した貯液槽11と、液体12中に配設されると共に構造物本体4と連結している透水構造体13を備えているので、地震などで振動が生じた際に、制震ダンパー5aは地盤Gの振動を構造物本体4へ伝達しにくい構成で、透水構造体13と液体12との間に生じる摩擦によって構造物本体4の振動を減衰させることができ、地震等による振動を効率的に低減できる作用を奏する。
また、透水構造体13の形状や体積を調整することで減衰効果を調整できるので、例えば、透水構造体13の設置スペースが小さい場合には、透水構造体13の高さを高くすることで任意の減衰力を設定することができる。また、透水構造体13が変位する方向が限定されるので、透水構造体13が貯液槽11の側壁11aに接触しないためのクリアランスは限定された方向のみに設ければよいので、貯液槽11の設置面積を小さくすることができる。
また、地盤Gの振動が構造物本体4に伝わりにくい免震構造物1aに制震ダンパー5aを備えるので、効率的に振動を減衰させることができる。また、構造物本体4が液体12に配設されない免震構造物1aにも設けることができるので、構造物本体が液体中に配設される従来の免震構造物に比べて免震構造物1aの構築や維持管理にかかる労力やコストを少なくすることができる。
上述した第一の実施の形態による制震ダンパー5aでは、液体12を収容した貯液槽11と、液体12中に配設されると共に構造物本体4と連結された透水構造体13を備えているので、構造物本体4が液体12中に配設されない免震構造物1aに制震ダンパー5aを設けることができ、地震などによる構造物本体4の振動を効果的に減衰させる効果を奏する。
次に、第二の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第一の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第一の実施の形態と異なる構成について説明する。
図3(a)は本発明の第二の実施の形態による制震ダンパーを備える免震構造物の上面図、(b)は図2(a)に示す免震構造物のB―B線断面図である。
図3(a)及び(b)に示すように、第二の実施の形態による免震構造物1bでは、1つの制震ダンパー5bを備え、制震ダンパー5bは免震ピット2の床を掘り下げて形成され、制震ダンパー5bに備えられた透水構造体13は、液体12中に配設されると共に連結部材14bによって構造物本体4の底部4bに固定され、構造物本体4と透水構造体13は共に変位する構成である。
貯液槽11は免震ピット2の床を掘削して形成され、側壁2aと床を備える。貯液槽11は免震ピット2の床に配設された免震装置3と干渉しないように、免震装置3を避けて形成され、内部に液体12が収容される。
透水構造体13は平面視略ロの字型状の立体構造に形成したもので、貯液槽11の側壁11aと透水構造体13の側面との間には、貯液槽11内で透水構造体13が変位した際に、透水構造体13と貯液槽11の側壁11aとが接触しないようにクリアランスが設けられている。
連結部材14bは、透水構造体13と同じ平面形状で透水構造体13の上面全面に固定される板部材19と、板部材19及び構造物本体4の底部4bを連結する棒状の鉛直部材20を備えて、透水構造体13は構造物本体4と一体的に変位する構成である。透水構造体13及び板部材19は液体12中に配設される。
次に、上述した第二の実施の形態による制震ダンパー5bの作用効果について図面を用いて説明する。
第二の実施の形態による制震ダンパー5bでは、第一の実施の形態による制震ダンパーと同様に、地震などで振動が生じた際に、制震ダンパー5bは振動を効率的に低減できて、構造物本体4が液体12中に配設されない免震構造物1bに制震ダンパー5bを設けることができる作用効果を奏する。
また、制震ダンパー5bが免震ピット2の床を掘り下げて形成されているので、免震ピット2の外側に制震ダンパー5aを設ける第一の実施の形態による免震構造物1a比べて、免震構造物1bの構築に必要な平面積を小さくできる。また、透水構造体13の変位の方向を限定する構造の第一の実施の形態による連結部材14aに比べて、連結部材14bは板部材19と鉛直部材20とで構成された簡易な構造なので、連結部材14bの製作や取り付けが容易でコストを下げることができる。
次に、第二の実施の形態による制震ダンパーの変形例について、添付図面に基づいて説明するが、第二の実施の形態による制震ダンパーと同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第二の実施の形態と異なる構成について説明する。
図4(a)は、本発明の第二の実施の形態による制震ダンパーに備える透水構造体の他の設置パターンの一例を示す図で、(b)は図4(a)における制震ダンパーのC−C断面図で、(c)は本発明の第二の実施の形態による制震ダンパーに備える透水構造体の更に他の設置パターンの一例を示す図で、(d)は図4(c)における制震ダンパーのD−D断面図である。
図4(a)および(b)に示す制震ダンパー5cは、透水構造体13を液体12中に挿入し、透水構造体13の上面を固定する板部材19は液体12の液面に配設したものである。このように板部材19を液面上に配設することで、水中に配設される透水構造体13の体積を増やすことができて減衰力を高めることができる。
図4(c)および(d)に示す制震ダンパー5dは、透水構造体13を固定する板部材19の代わりに、透水構造体13を囲って固定する帯部材21を複数備えたものである。
これらの制震ダンパーは透水構造体13の大きさや重さなどに応じて適宜選択されればよい。
以上、本発明による制震ダンパーの実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施の形態では、免震構造物1a、1bに制震ダンパー5a、5bを備えているが、免震構造物1a、1bに代わって、免震装置3は備えずに地震などによる揺れを低減できる減衰装置を備える制震構造物の減衰装置として制震ダンパー5a、5bを備えてもよいし、また例えばオイルダンパーなどの減衰装置と組み合わせて制震構造物に制震ダンパー5a、5bを備えてもよい。また、例えば高減衰積層ゴムやオイルダンパーなどの減衰装置を備える免震構造物制震に制震ダンパー5a、5bを配設してもよい。
例えば、上述した第一実施の形態では、構造物本体の配設された地盤Gの外側に複数の制震ダンパー5aを設け、それぞれ制震ダンパー5aが作用する方向を限定しているが、複数の制震ダンパー5aとせずに、1つの制震ダンパー5aとして設けてもよいし、制震ダンパー5aが作用する方向を限定しなくてもよい。例えば、上述した第二実施の形態では、構造物本体の下方の地盤Gに1つの制震ダンパー5bを備えているが、1つの制震ダンパー5bとせずに複数に分割して設けても良い。また、構造物本体4の下方の地盤Gに、振動を減衰させる方向が限定された制震ダンパー5aを配設する構成としてもよい。また、構造物本体4の配設された地盤Gの外側と構造物本体の下方の地盤Gにそれぞれ制震ダンパーを備えても良いし、振動を減衰させる方向が限定された制震ダンパー5aと振動を減衰させる方向を限定しない制震ダンパー5bを組み合わせて配設しても良い。
例えば、上述した実施の形態では、地盤Gを掘削して構築した免震ピット2の床に免震装置3を設置しているが、免震ピット2を構築せずに、地盤Gの上に免震装置3を配設してもよい。また、上述した実施の形態では、地盤Gまたは免震ピット2の床を掘り下げて貯液槽11を形成しているが、地盤Gまたは免震ピット2の床を掘り下げずに、地盤Gまたは免震ピット2の床の上に貯液槽11を設置してもよいし、貯液槽11の一部を地盤Gまたは免震ピット2の床を掘り下げた部分に設置してもよい。
例えば、上述した第一の実施の形態では、貯液槽11を溝状に形成しているが、例えば平面視正方形状などその他の形状でもよく、上述した第二の実施の形態では、貯液槽を平面視略ロの字型としているがその他の形状でもよい。
例えば、第一の実施の形態による制震ダンパー5aに備える連結部材14aは、凸部17を備えた水平部材15と凹部18を備えた鉛直部材16とをスライドさせて一方向に相対的に移動可能な構成としているが、水平部材15に備える凸部17及び鉛直部材16に備える凹部18に代わって、例えばレールと車輪などを組み合わせた構成としスライドさせて一方向に相対的に移動可能な構成としてもよい。
例えば、第二の実施の形態の変形例による制震ダンパー5c、5dに備える棒状の鉛直部材20代わりに、第一の実施の形態による制震ダンパー5aに備える直方体の鉛直部材16を、制震ダンパー5c、5dに備える板部材19及び帯部材21に固定して、制震ダンパー5c、5dに備える板部材19及び帯部材21を第一の実施の形態による制震ダンパー5aに適用させてもよい。
要は、本発明において所期の機能が得られればよいのである。
(a)は本発明の第一の実施の形態による制震ダンパーを備える免震構造物の一例を示す図、(b)は図1(a)に示す免震構造物のA―A線断面図である。 図1(a)、(b)に示す制震ダンパーに備える連結部材の一例を示す斜視図である。 (a)は本発明の第二の実施の形態による制震ダンパーを備える免震構造物の上面図、(b)は図2(a)に示す免震構造物のB―B線断面図である。 (a)は、本発明の第二の実施の形態による制震ダンパーに備える透水構造体の他の設置パターンの一例を示す図で、(b)は(a)における制震ダンパーのC−C断面図で、(c)は本発明の第二の実施の形態による制震ダンパーに備える透水構造体の更に他の設置パターンの一例を示す図で、(d)は(c)における制震ダンパーのD−D断面図である。 (a)は従来の免震構造物の一例を示す模式図であり、(b)は(a)に示す免震構造物の地盤及び構造物本体の角振動数の比と地盤及び構造物本体の加速度の比の関係を示す図である。 (a)は従来の他の免震構造物の一例を示す模式図であり、(b)は(a)に示す免震構造物の地盤及び構造物本体の角振動数の比と地盤及び構造物本体の加速度の比の関係を示す図である。
符号の説明
1a、1b 免震構造物
4 構造物本体
5a、5b 制震ダンパー
11 貯液槽
12 液体
13 透水構造体
14a、14b 連結部材
15 水平部材(第一の部材)
16 鉛直部材(第二の部材)
G 地盤

Claims (5)

  1. 構造物本体が液体中に配設されない免震構造物又は制震構造物に設置され、地震などによる振動を減衰させる制震ダンパーであって、
    地盤に設けられた貯液槽と、
    前記貯液槽に収容された液体と、
    前記構造物本体に連結されていて、透水性能を有し前記液体中に配設されて前記液体中を相対移動して前記液体との間で振動を減衰させる透水構造体と、を備え
    前記透水構造体は前記液体中で相対移動する方向が限定されることを特徴とする制震ダンパー。
  2. 前記制震ダンパーは前記免震構造物又は前記制震構造物に前記液体中で相対移動する方向が限定された前記透水構造体を備える第一の制震ダンパーと、その限定された方向に直交する方向へ相対移動する前記透水構造体を備える第二の制震ダンパーとを備えることを特徴とする請求項に記載の制震ダンパー。
  3. 前記透水構造体は連結部材によって前記構造物本体に連結されていて、前記連結部材は前記構造物本体に固定された第一の部材と、前記透水構造体を固定する第二の部材を備え、前記第一及び第二の部材は一方向に相対的に移動可能で、この方向に直交する方向には一体的に移動するように保持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の制震ダンパー。
  4. 前記制震ダンパーは前記構造物本体の配設された地盤の外側に配設されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の制震ダンパー。
  5. 前記制震ダンパーは前記構造物本体の下方の地盤に配設されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の制震ダンパー。
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