JP4120812B2 - 浮体減衰装置、及び浮体減衰装置を備えた浮体式免震構造物 - Google Patents

浮体減衰装置、及び浮体減衰装置を備えた浮体式免震構造物 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体に浮揚する浮体の挙動を安定に保持する浮体減衰装置、及び浮体減衰装置を備えた浮体式免震構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、図5に示すように、構造物本体12を液体13中に浮かべることで、固有周期の長周期化を図る完全浮体構造の浮体式免震構造物11は、水平地震動に対して高い免震効果を得ることのできる構造として、一般に広く知られている(非特許文献1参照)。このような完全浮体構造の浮体式免震構造物11は、高い免震性能を有するものの、構造物本体12に生じる変動荷重により構造物本体12が容易に傾いたり、液面の変動に追随して構造物本体12が鉛直方向に変動するなど、居住性及び使用性の面で課題が生じていた。
【0003】
そこで、これらの課題に対応すべく、図6に示すように、構造物本体12を完全に液体13中に浮揚させることなく、構造物本体12自身の固定荷重の一部を免震装置等の低せん断構造体15を介して支持する部分浮体式構造の浮体式免震構造物11を考案した(特許文献1参照)。これら部分浮体式構造の浮体式免震構造物11は、前述した完全浮体構造の浮体式免震構造物11と同等の免震性能を確保しながら鉛直方向の挙動を抑制でき、固定構造物と同等の居住性及び使用性を確保できるものである。
【0004】
【非特許文献1】
大山 巧他、「浮体式免震工法に関する研究−水平免震性能と風外力に対する安定性−」、日本建築学会大会学術講演概集、p765-766、1999年9月
【特許文献1】
特願平2002−188430号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような浮体式免震構造物11は、何れも構造物本体12の固有周期を、地震動の卓越周期帯域から長周期側にずらすことにより、地震に対してほぼ揺れない構造を実現するものである。しかし、軟弱地盤上に浮体式免震構造物11を構築する場合、地震動は軟弱地盤中を伝播する過程で長周期化されるため、構造物本体12に入力される地震外力は長周期成分を含むものとなり、免震性能は悪化しやすい。また、構造物本体12には地震動のみならず長周期成分を多く含む風外力が作用するため、固有周期を長周期側にずらすだけでは強風時に構造物の揺れが大きくなり、居住性の確保が困難となる。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、浮体に作用する固有周期に近い周期帯域の水平外力に対しても、浮体の水平挙動を抑制することのできる浮体減衰装置、及び浮体減衰装置を用いた浮体式免震構造物を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の浮体減衰装置は、液体中に浮揚する浮体の底面に備えられており、立体構造体に成形されるとともに、透水性能を有し、前記浮体に水平外力が作用した際に内方に侵入した前記液体の粘性に起因するエネルギー逸散を利用して前記浮体の水平挙動を抑制するように形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の浮体減衰装置を備えた浮体式免震構造物は、請求項1に記載の浮体減衰装置と、地盤を掘削して構築する免震ピットと、該免震ピット内に満たされた液体と、該液体中に少なくとも固定荷重より大きい浮力を生じない深さまで挿入される浮体構造物本体と、地盤上に配置され、前記浮体構造物本体に生じる鉛直下方向の変動荷重、及び浮力で相殺しない固定荷重を支持できる鉛直剛性を有するとともに、浮体構造物本体と地盤とを絶縁する低せん断剛性構造体を備えてなり、前記浮体構造物本体の底面に、前記浮体減衰装置が設置されることを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る浮体減衰装置、及び浮体減衰装置を備えた浮体式免震構造物について、図1から図4を用いて詳述する。本発明の浮体減衰装置は、透水性能を有する立体構造体により形成されることにより、液体が浮体減衰装置の内方で運動する際に生じる液体の粘性に起因したエネルギー逸散を利用して、減衰力を得るものであり、該浮体減衰装置を部分浮体式の浮体式免震構造物に備えることにより、長周期成分を含む地震動や強風等の水平外力に対しても、高い免震性能を維持するものである
【0010】
浮体式免震構造物1は、図1に示すように、浮体構造物本体2と、免震ピット3と、液体7と、低せん断剛性構造体9と、浮体減衰装置8を備えている。浮体構造物本体2は、居住空間やオフィス空間等の居室機能を有するものであり、免震ピット3は、地盤6を所望の深さまで掘削することにより形成され、外回りには土圧を受けるための地下外壁5を備えている。また、前記免震ピット3は、浮体構造物本体2が免震ピット3の内方に配置された際に、外壁面と免震ピット3の地下外壁5との間には所定幅のクリアランスを確保しており、地震により浮体構造物本体2が水平方向に移動した場合にも、地下外壁5に接触しない大きさの平面形状に構築されている。
【0011】
このような免震ピット3は、その内方に液体7が配されることを目的として設けられるスペースである。つまり、前記浮体式免震構造物1は、免震ピット3に液体7が配され、該液体7に浮揚するように浮体構造物本体2が配される構成となっている。このような浮体構造物本体2の浮体荷重Wは、浮体構造物本体2の固定荷重Wと、内装等による積載荷重及び利用者の移動等により生じる活荷重を含む鉛直下方向に作用する正値の変動荷重Wとを足しあわせたもの(W=W+W)である。本実施の形態では、前記浮体構造物本体2の浮体荷重W全てを浮力により相殺することなく、浮体構造物本体2の固定荷重Wの一部(ΔW)を除いた荷重(W−ΔW)を浮力Bにより相殺する深さまで、浮体構造物本体2を液体7中に挿入する構成としている。このため、浮体構造物本体2は、変動荷重W及び固定荷重Wの一部(ΔW)が鉛直下方向に生じることとなり、この荷重W+ΔW は、低せん断剛性構造体9を介して地盤6により支持される。
【0012】
ところで、一般に、構造物に対して高い免震性能を確保するためには、構造物の固有周期を長周期化することにより高い免震効果が挙げられることが知られている。そこで、本実施の形態では、前記浮体構造物本体2の上部構造2aの平面視形状を、免震ピット3より張り出す程度の大きさに形成するとともに、免震ピット3の外周縁近傍の地盤6に、所定の距離を持ってせん断弾性係数の小さいゴム等の前記低せん断剛性構造体9を複数配することとし、該低せん断剛性構造体9に浮体構造物本体2の上部構造2aを軟着底させる構成としている。
なお、水中使用可能な低せん断剛性構造体9を用いる場合には、浮体構造物本体2の底面と免震ピット3の掘削底面4の間に低せん断剛性構造体9を設置しても良い。
【0013】
先にも述べたように、本実施の形態では浮体構造物本体2は、固定荷重Wの一部(ΔW)を除いた荷重(W−ΔW)を液体7より受ける浮力Bにより相殺する構成としているため、ここで用いられる前記低せん断剛性構造体9は、前記浮体構造物本体2に生じる変動荷重W及び固定荷重Wの一部(ΔW)を支持する機能と、浮体構造物本体2と免震ピット3との水平挙動を絶縁し、長周期化する機能とを有するアイソレーターとして機能するものである。
【0014】
本実施の形態では、該低せん断剛性構造体9に積層ゴムを用いているが、必ずしもこれにこだわるものではなく、上述する変動荷重W及び固定荷重Wの一部(ΔW)を支持する機能と、浮体構造物本体2と免震ピット3との水平挙動を絶縁し、浮体構造物本体2の固有周波数を長周期化する機能とを有するものであれば、何れの低せん断剛性構造体を用いてもよい。ただし、免震ピット3の液体7は、いずれかの現象により液面下降することが想定され、このような場合には、浮力Bが減少して浮体構造物本体2の固定荷重Wの一部(ΔW)は増大する。該低せん断剛性構造体9は、液体7が最下液面に達した際の固定荷重Wの一部(ΔW)を支持する場合にも、上述する機能を損なうことなく、浮体構造物本体2を支持できる強度を確保しておくこととする。
【0015】
また、浮体構造物本体2の固定荷重Wの一部(ΔW)を除いた荷重(W−ΔW)を浮力Bで相殺し、低せん断剛性構造体9で、変動荷重W及び固定荷重Wの一部(ΔW)を支持させる構成は、免震ピット3に配される液体7がいずれかの原因で、液面変位を生じる場合に備えるものである。つまり、免震ピット3に配される液体7の液面が、何らかの現象により上昇した場合に、増大した浮力Bを固定荷重Wの一部(ΔW)で相殺することにより、浮体構造物本体2の浮き上がりを防止するものである。
【0016】
したがって、常時における浮体構造物本体2の液体7中への挿入深さが、前記免震ピット3に配された液体7の液面が上昇し、最上液面に達した際にも、固定荷重Wの一部(ΔW)が0以上となる挿入深さとなるように、液深の最大値もしくは液面の最上レベルを調整しておくことが必要であり、これにより、液体7が最上液面に達した際にも、浮体構造物本体2が完全に浮揚することなく、低せん断剛性構造体9に支持される状態を維持できるものである。
【0017】
なお、前記免震ピット3に配される液体7が、液面変位を生じない場合には、浮体構造物本体2の液体7中への挿入深さを、固定荷重Wの全部を浮力Bで相殺するように調整しておき、低せん断剛性構造体9には、変動荷重Wのみを支持させる構成としても良い。
【0018】
上述する構成の浮体式免震構造物1には、浮体構造物本体2の底面に浮体減衰装置8が設置されている。該浮体減衰装置8は、透水性能を有する部材により構成され、所定の厚さ及び面積を有する立体構造体に形成されている。本実施の形態では、これら浮体減衰装置8の材料に、立体不織布を用いているが、必ずしもこれにこだわるものではなく、アスファルト等のれき性材料やモルタル及びコンクリート等のセメント系材料で構成される透水性を有するマット、あるいは軽石などを収納したスリット状の収納装置等、空隙率が高く、透水係数の高い材料であれば何れを用いても良い。
【0019】
なお、本実施の形態において、浮体減衰装置8は浮体構造物本体2の底面全面に設置されているが、必ずしもこれにこだわるものではなく、底面の何れかの位置に単体で、もしくは複数に分割して設置しても良い。したがって、前記浮体構造物本体2は、必ずしも上部構造2aの平面視形状を、免震ピット3より張り出す程度の大きさに形成し、免震ピット3の外周縁近傍の地盤6上に配置された前記低せん断剛性構造体9に支持させる必要はなく、浮体構造物本体2の浮体減衰装置8が設置されていない底面を、免震ピット3の掘削底面4に配置した低せん断剛性構造体9に軟着底させる構成としても良い。
【0020】
上述する浮体減衰装置8を、前記浮体構造物本体2の底面に設置する構成は、浮体減衰装置8の内方に侵入した液体粒子と浮体減衰装置8との相対速度に応じて、液体の粘性に起因して起こるエネルギー逸散、つまり減衰力を利用するもので、さらにその形状を立体構造体とすることにより運動エネルギーの逸散が顕著になるため、より大きい減衰性能が得られるものである。これら浮体減衰装置8を付加することによる減衰性能は、浮体減衰装置8に用いる材料の空隙率や透水係数により調整することができるものであり、また、浮体減衰装置8の体積を変化させることによっても、所望の減衰性能を確保することができるものである。
【0021】
したがって、同一材料の浮体減衰装置8について、減衰性能を向上させたい場合には、浮体減衰装置8の体積を増加させることにより、減衰性能を向上させることが可能となる。しかし、浮体減衰装置8は、前記浮体構造物本体2の底面に設置するものであり、前記免震ピット3の掘削底面4とのクリアランスを考慮する必要があることから、浮体減衰装置8の減衰性能を調整する際には、部材厚を一定とし、面積を拡縮することで、減衰性能を調整すればよい。
【0022】
上述する浮体式免震構造物1の減衰機能の効果を把握すべく、前記浮体構造物本体2の底面に対して、図2(a)に示すように、何も設置せず滑面とする第1のケース、図2(b)に示すように、複数の突起物10を設置する第2のケース、図2(c)に示すように、前記浮体減衰装置8を設置する第3のケース、の3つの条件について比較を行った。以下に、浮体式免震構造物1の諸条件を示す。
【0023】
まず、前記浮体構造物本体2は、図2(a)に示すように、幅1m、長さ2mのアクリル製模型を用いることとし、固定荷重の2/3を浮力で支持、1/3を前記低せん断剛性構造体9を介して地盤6に支持させる構成としている。
また、第2のケースで用いる突起物10は、1cm四方の角材により構成され、図2(b)に示すように、浮体構造物本体2の底面に所定の離間間隔をもって1000個固着している。なお、前記浮体構造物本体2の底面に、複数の突起物10を設置する構成は、浮体構造物本体2に連動して突起物10が水平方向に移動する際に、液体7に渦を発生させることにより運動エネルギーを逸散させて減衰力を得る方法として、従来より考案されているものである。
さらに、第3のケースで用いる浮体減衰装置8は、空隙率96%、透水係数13.7cm/s、厚さ2.5cmの不織布よりなる透水マットより構成し、図2(c)に示すように、浮体構造物本体2の底面全面に固着している。
【0024】
上述する3ケースの浮体式免震構造物1について、様々な周波数で正弦波加振を行った際の、各ケースの水平振動に対する加速度伝達関数を図3に示す。前記浮体構造物本体2の底面が滑面である第1のケースでは、加速度応答倍率の最大値は22.6に達し、等価減衰係数はわずか2.2%である。また、底面に突起物10を固着した第2のケースでは、最大応答倍率は19.2に低減され、等価減衰係数は2.6%に増加し、極めて小さいが減衰付加効果を得ることができる。
これに対し、底面に浮体減衰装置8を取り付けた第3のケースでは、最大応答倍率は3.3に低減、等価減衰係数は15.2%と大きく増加し、高い減衰効果を発揮している様子がわかる。
【0025】
このように、減衰効果の高い浮体減衰装置8を用いた第3のケースと底面を滑面とした第1のケースについて、強震記録から得たタフト波(1952年EW方向)及び八戸波(1968年NS方向)、工学的基盤での関東地震波を軟弱地盤(40m厚)のサイトで再現した模擬地盤波であるサイト波1(NS方向)及びサイト波2(EW方向)の4種類の地震波を付与した際の、加速度応答倍率、最大相対変位を図4(a)(b)に示す。
なお、加速度応答倍率は、構造物の最大応答加速度地震の最大加速度の比であり、最大相対変位は、構造物変位と地盤変位の差の最大値と地盤の最大変位の比である。
【0026】
図4(a)に示すように、底面が滑面の第1のケースでは、軟弱地盤上のサイト波に対して、応答加速度倍率が大きくなり、サイト波2では0.56にまで達している。これに対して、底面に浮体減衰装置8を用いた第3のケースでは、最も応答加速度倍率が大きくなるサイト波2でも、その数値は0.4を下回っていることから、浮体減衰装置8を付加することにより浮体式免震構造物1は、軟弱地盤上の地震波においても免震性能が向上していることがわかる。
【0027】
このように、軟弱地盤上においても免震性能が向上している様子は、図4(b)に示す最大相対変位にも現れており、特にタフト波に対する減衰効果が顕著に現れている。これは、八戸波よりもタフト波の方が、固有周波数付近の成分を多く含んでいるためである。
上述する結果から、浮体構造物本体2の底面に浮体減衰装置8を設置した浮体式免震構造物1は、地震波の性質によって免震性能にばらつきを小さくすることができ、何れの地震波にも安定した免震性能を得られることがわかる。
【0028】
上述する構成によれば、浮体減衰装置8は、透水性能を有することにより液体が浮体減衰装置8の内方で運動する際に生じる液体の粘性に起因したエネルギー逸散を利用して減衰性能を得るものであり、浮体構造物本体2等の浮体の底面に設置されることにより、浮体の共振現象を抑えることのできることから、浮体に対して効果的な減衰機能を与えることが可能となる。
【0029】
また、該浮体減衰装置8は、上述するように、透水性能を有することにより液体が浮体減衰装置8の内方で運動する際に生じる液体の粘性に起因したエネルギー逸散を利用して減衰力を得ることから、一般に減衰装置として用いられているオイルダンパーや高減衰積層ゴム等の一般の免震構造に用いられているダンパーと比較して、安価でかつメンテナンスを不要とすることが可能となる。
さらに、該浮体減衰装置8の減衰性能は、浮体減衰装置8に用いる材料の空隙率や透水性能により調整できるとともに、浮体減衰装置8の体積でもコントロールすることができ、従来のダンパーと比較して取り扱いを容易に行うことが可能となる。
【0030】
このような浮体減衰装置8を備えた浮体式免震構造物1は、浮体構造物本体2の底面に浮体減衰装置8が設置されていることにより、浮体減衰装置8が長周期成分を多く含む軟弱地盤上での地震動や風外力に対する浮体構造物本体2の揺れを低減するためのパッシブな減衰機構として有効であることから、長周期成分を含む地震動や強風時にも高い免震性能を維持することが可能であり、これに伴い、快適な居住性及び使用性を確保することが可能となる。
【0031】
【発明の効果】
請求項1記載の浮体減衰装置によれば、液体中に浮揚する浮体の底面に備えられており、立体に成形されるとともに、透水性能を有することから、液体が浮体減衰装置の内方で運動する際に生じる液体の粘性に起因したエネルギー逸散を利用して減衰性能を得るとともに、浮体の共振現象を抑えることができることから、浮体に対して効果的な減衰機能を付与することが可能となる。
これらは、メガフロートのような海洋構造物の底面に備える構成とすれば、波による動揺の低減にも効果的に作用することが可能となる。
【0032】
また、該浮体減衰装置は、前述したように透水性能を有することで減衰性能を得ているため、一般に減衰装置として用いられているオイルダンパーや高減衰積層ゴム等の一般の免震構造に用いられているダンパーと比較して、安価でかつメンテナンスを不要とすることが可能となる。
【0033】
さらに、該浮体減衰装置の減衰性能は、浮体減衰装置に用いる材料の空隙率や透水性能により調整できるとともに、浮体減衰装置の体積でもコントロールすることができ、従来のダンパーと比較して取り扱いを容易に行うことが可能となる。
【0034】
請求項2記載の浮体減衰装置を備えた浮体式免震構造物によれば、請求項1に記載の浮体減衰装置と、地盤を掘削して構築する免震ピットと、該免震ピット内に満たされた液体と、該液体中に少なくとも固定荷重より大きい浮力を生じない深さまで挿入される浮体構造物本体と、該浮体構造物本体に生じる鉛直下方向の変動荷重、及び浮力で相殺しない固定荷重を支持できる鉛直剛性を有するとともに、浮体構造物本体と地盤とを絶縁する低せん断剛性構造体を備えてなり、前記浮体構造物本体の底面に、前記浮体減衰装置が設置される。
【0035】
これにより、浮体式免震構造物は、浮体構造物本体の底面に備えた浮体減衰装置が、長周期成分を多く含む軟弱地盤上での地震動や風外力に対する浮体構造物本体の揺れを低減するためのパッシブな減衰機構として有効であることから、長周期成分を含む地震や強風時にも浮体構造物本体の揺れを抑制することができ、快適な居住性及び使用性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
事例を示す図である。
【図1】 本発明に係る浮体式免震構造物を示す図である。
【図2】 本発明に係る浮体式免震構造物の性能比較に用いる他の浮体式免震構造物を示す図である。
【図3】 浮体式免震構造物の水平振動に対する加速度伝達関数を示すグラフである。
【図4】 4種類の典型的な地震波に対する浮体式免震構造物の加速度応答倍率、及び最大相対変位を示すグラフである。
【図5】 従来の完全浮体構造の浮体式免震構造物を示す図である。
【図6】 従来の部分浮体構造の浮体式免震構造物を示す図である。
【符号の説明】
1 浮体式免震構造物
2 浮体構造物本体
2a 上部構造
3 免震ピット
4 掘削底面
5 地下外壁
6 地盤
7 液体
8 浮体減衰装置
9 低せん断剛性構造体
10 突起物
11 浮体式免震構造物
12 構造物本体
13 液体
14 免震ピット
15 低せん断構造体

Claims (2)

  1. 液体中に浮揚する浮体の底面に備えられており、
    立体構造体に成形されるとともに、透水性能を有し、前記浮体に水平外力が作用した際に内方に侵入した前記液体の粘性に起因するエネルギー逸散を利用して前記浮体の水平挙動を抑制するように形成されていることを特徴とする浮体減衰装置。
  2. 請求項1に記載の浮体減衰装置と、
    地盤を掘削して構築する免震ピットと、
    該免震ピット内に満たされた液体と、
    該液体中に、少なくとも固定荷重より大きい浮力を生じない深さまで挿入される浮体構造物本体と、
    地盤上に配置され、前記浮体構造物本体に生じる鉛直下方向の変動荷重、及び浮力で相殺しない固定荷重を支持できる鉛直剛性を有するとともに、浮体構造物本体と地盤とを絶縁する低せん断剛性構造体を備えてなり、
    前記浮体構造物本体の底面に、前記浮体減衰装置が設置されることを特徴とする浮体減衰装置を備えた浮体式免震構造物。
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