JP2004027732A - 浮体式免震構造物の免震構造 - Google Patents

浮体式免震構造物の免震構造 Download PDF

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Takumi Oyama
大山 巧
Takeshi Nozu
野津 剛
Katsuyuki Tamaoki
玉置 克之
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Abstract

【課題】本発明は、簡略な構成で安定的に、液体に浮揚する浮体構造物本体の鉛直方向の挙動を抑制する浮体式免震構造物の免震構造を提供する。
【解決手段】浮体式免震構造物1は、免震ピット3に液体7が配され、液体7に浮揚するように浮体構造物本体2が配される。浮体構造物本体2の浮体荷重Wは、固定荷重Wと変動荷重Wよりなり、浮体構造物本体2の浮体荷重W全てを浮力により相殺することなく、固定荷重Wの一部(ΔW)を除いた荷重(W−ΔW)を浮力Bにより相殺し、免震ピット3の掘削底面4上に低せん断剛性構造体8aを配し、浮体構造物本体2をこれに軟着底させて、変動荷重W及び固定荷重Wの一部(ΔW)を低せん断剛性構造体8aで支持する。また、浮体構造物本体2の軟着底は、浮体構造物本体2の側面に張出部2bを設けて、免震ピット3の外周部に低せん断剛性構造体8aを配し、これに支持させても良い。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体に浮揚する浮体構造物本体の鉛直方向の挙動を安定に保持する浮体式免震構造物の免震構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、図10に示すように、免震ピット3、該免震ピット3の内方に配された液体7、及び前記免震ピット3の内方に配置される浮体構造物本体2を備えた浮体式免震構造物1は、前記免震ピット3内の液体7に浮体構造物本体2を浮揚させることにより、水平地震動等が生じた際にも、浮体構造物本体2に非常に高い免震効果が期待できる構成であることは一般に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記浮体構造物本体2の内方に変動荷重が生じると、浮体構造物本体2は容易に傾斜し、また、図11(a)に示すように、浮体構造物本体2が非常に大きいものでない限り、人の移動程度の変動荷重でも浮体構造物本体に傾斜が生じる。さらに、図11(b)に示すように、何らかの原因で前記液体7の液面位置が変動すると、前記浮体構造物本体2は、これに追従して上下方向に変動するなど、居住性能や構造物に求められる様々な機能等を考慮すると、浮体式免震構造物1は鉛直方向の挙動に課題が多く、一般的な構造物への応用が困難であった。
【0004】
上記事情に鑑み、本発明は、簡略な構成で安定的に、液体に浮揚する浮体構造物本体の鉛直方向の挙動を抑制する浮体式免震構造物の免震構造を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の浮体式免震構造物の免震構造は、居室機能を有する浮体構造物本体と、地盤を掘削して構築される免震ピットと、該免震ピットの底面に配置される低せん断剛性構造体と、前記免震ピットの内方に配される液体を備えてなり、前記浮体構造物本体が、前記免震ピットに配される液体に対して、浮体構造物本体の固定荷重と浮力とを同一、もしくはこれより大きい浮力を生じない深さまで挿入されるとともに、前記浮体構造物本体が、前記低せん断剛性構造体に軟着底されることを特徴としている。
【0006】
請求項2記載の浮体式免震構造物の免震構造は、前記低せん断剛性構造体が、前記免震ピットの底面に代わり、免震ピットの外周縁近傍に沿って、地盤上に配置されるとともに、前記浮体構造物本体の側面には、水平に突出する張出部が設けられており、該張出部が、前記低せん断剛性構造体に軟着底されることを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る浮体式免震構造物の免震構造について、図1から図9を用いて詳述する。浮体式免震構造物の免震構造は、液体が配された免震ピット内に配される浮体構造物本体を、完全に液体中に浮揚させることなく、支持機構及び地震時における長周期化機構として機能する低せん断剛性構造体に軟着底させて、一部の荷重を低せん断剛性構造体に支持させる構成とすることにより、浮体構造物本体に作用する変動荷重や液面変位などによる浮体構造物本体の鉛直方向の挙動を安定に保持するものである。
【0008】
(本発明の第1の実施の形態)
図1から図5に、免震ピット3の底面に低せん断剛性構造体8aが配され、該低せん断剛性構造体8aに浮体構造物本体2が軟着底される浮体式免震構造物1を事例に、その免震構造を詳述する。
【0009】
水平地震動に高い免震性能を有する前記浮体式免震構造物1は、図1に示すように、浮体構造物本体2と、免震ピット3と、液体7を備えている。浮体構造物本体2は、居住空間やオフィス空間等の居室機能を有するものであり、免震ピット3は、地盤6を所望の深さまで掘削することにより形成され、掘削底面4と、外回りには土圧を受けるために地下外壁5を備えている。また、前記免震ピット3は、浮体構造物本体2が免震ピット3の内方に配された際に、外壁面と免震ピット3の地下外壁5との間には液体7を備えた領域があり、地震により浮体構造物本体2が水平方向に移動した場合にも地下外壁5に接触しない平面形状に構築されている。
【0010】
このような免震ピット3は、その内方に液体7が配されることを目的として設けられるスペースである。つまり、前記浮体式免震構造物1は、免震ピット3に液体7が配され、該液体7に浮揚するように浮体構造物本体2が配される構成となっている。このような浮体構造物本体2の浮体荷重Wは、浮体構造物本体2の固定荷重Wと、内装等による積載荷重及び利用者の移動等により生じる活荷重を含む鉛直下方向に作用する正値の変動荷重Wとを足しあわせたもの(W=W+W)である。本実施の形態では、前記浮体構造物本体2の浮体荷重W全てを浮力により相殺することなく、浮体構造物本体2の固定荷重Wの一部(ΔW)を除いた荷重(W−ΔW)を浮力Bにより相殺する深さまで、浮体構造物本体2を液体7中に挿入する構成としている。このため、浮体構造物本体2は、変動荷重W及び固定荷重Wの一部(ΔW)が鉛直下方向に生じることとなるため、下面が免震ピット3の掘削底面4に着底することとなる
【0011】
ところで、一般に、構造物に対して高い免震性能を確保するためには、図3に示すように、構造物の固有周波数fpを地震の卓越周波数よりも十分に低周波数に設定する、つまり長周期化することにより高い免震効果が挙げられることが知られている。図2に、幅が30m、液深が6mの浮体構造物本体2を例に取り、浮体構造物本体2の下端面が、免震ピット3内の掘削底面4に着底している場合のせん断弾性係数と浮体構造物本体2の固有振動数fpとの関係を示す。浮体構造物本体2の下端面が、直に免震ピット3の掘削底面4等に着定される場合のせん断弾性係数Gは、10〜10kN/m程度であるため、地盤厚を1mとすれば浮体構造物本体2の固有振動数fpは、10Hz以上となり、免震効果は期待できない。しかし、せん断弾性係数Gを、0.3kN/m以下まで低減できる構成とすれば、浮体構造物本体2の固有振動数fpは、地震の卓越周波数よりもはるかに低周波数となるため、非常に高い免震性能を得ることが可能となる。
【0012】
そこで、免震ピット3の掘削底面4上に、せん断弾性係数の小さいゴム等の前記低せん断剛性構造体8aを配し、該低せん断剛性構造体8aに浮体構造物本体2を軟着底させる構成としている。先にも述べたように、本実施の形態では浮体構造物本体2は、固定荷重Wの一部(ΔW)を除いた荷重(W−ΔW)を液体7より受ける浮力Bにより相殺する構成としているため、ここで用いられる前記低せん断剛性構造体8aは、前記浮体構造物本体2に生じる変動荷重W及び固定荷重Wの一部(ΔW)を支持する機能と、浮体構造物本体2と免震ピット3との水平挙動を絶縁し、長周期化する機能とを有するアイソレーターとして機能するものである。
このように、低せん断剛性構造体8aは、上述する変動荷重W及び固定荷重Wの一部(ΔW)を支持する機能と、浮体構造物本体2と免震ピット3との水平挙動を絶縁し、長周期化する機能とを有するとともに、耐水性能を有するものであれば、何れの低せん断剛性構造体を用いてもよい。ただし、免震ピット3の液体7がいずれかの現象により液面下降し、浮力Bが減少したことにより固定荷重Wの一部(ΔW)は増大するが、低せん断剛性構造体8aは、最下液面に達した際の最荷重時の固定荷重Wの一部(ΔW)を支持する場合にも、免震機能を損なうことなく、浮体構造物本体2を支持できる強度を確保しておくものである。
【0013】
また、前記浮体構造物本体2には、地盤6上で前記免震ピット3の外周縁近傍に設けられた壁等の鉛直部材10の内側面と、前記浮体構造物本体2の外壁面とを連結するように、係留装置9が水平に取り付けられている。これらは、風や地震等の作用により、浮体式免震構造物1の浮体構造物本体2に生じる水平挙動に対して、所定位置に係留させることを目的に設けるもので、鋼材等の材料よりなるものを用いている。
なお、前記係留装置9は、復元バネ係数が十分に小さいものであれば、これにこだわるものでなく、他形状の係留装置や、その他何れの材料よりなる係留装置を用いてもよい。また、低せん断剛性構造体8aに積層ゴムのような復元機能を有するものを用いる場合には、係留装置9は必ずしも用いる必要はない。さらに、前記係留装置9の設置に際し、あらためて免震ピット3の外周縁に鉛直部材10を立設しなくとも、前記免震ピット3の地下外壁5に連結しても良い。
【0014】
ところで、前記低せん断剛性構造体8aに作用する荷重は、変動荷重W及び固定荷重Wの一部(ΔW)であり、浮体荷重W(=W+W)と比較すると微小な荷重である。このため、必ずしも浮体構造物本体2の下端面全面を前記低せん断剛性構造体8aで支持する必要がなく、例えば図4に示すように、免震ピット3の掘削底面4上に複数の低せん断剛性構造体8aを所定の間隔をもって離間配置し、これらを用いて、前記浮体構造物本体2を支持する構成としても良い。
もしくは、図5に示すように、水中での耐久性を有する球状物体等の滑り支承8bを、免震ピット3の掘削底面4上に所定の間隔をもって複数離間配置し、これらに前記浮体構造物本体2の下端面を軟着底させる構成としても良い。なお、滑り支承は、球状物体にこだわるものではなく、水中での耐久性を有し、低せん断剛性構造体8aとして機能するものであれば、何れを用いても良い。
【0015】
なお、本実施の形態では、浮体構造物本体2の固定荷重Wの一部(ΔW)を除いた荷重(W−ΔW)を浮力Bで相殺し、低せん断剛性構造体8aで、変動荷重W及び固定荷重Wの一部(ΔW)を支持させる構成を示した。これは、免震ピット3に配される液体7がいずれかの原因で、液面変位を生じる場合に備えるものである。つまり、免震ピット3に配される液体7の液面が、何らかの現象により上昇した場合に、増大した浮力Bを固定荷重Wの一部(ΔW)で相殺することにより、浮体構造物本体2の浮き上がりを防止するものである。
したがって、常時における浮体構造物本体2の液体7中への挿入深さが、前記免震ピット3に配された液体7の液面が上昇し、最上液面に達した際にも、固定荷重Wの一部(ΔW)が0以上となる挿入深さとなるように、液深の最大値もしくは液面の最上レベルを調整しておくことが必要であり、これにより、液体7が最上液面に達した際にも、浮体構造物本体2が完全に浮揚することなく、低せん断剛性構造体8aに支持される状態を維持できるものである。
しかし、これに限るものではなく、免震ピット3に配される液体7が液面変位を生じない場合には、浮体構造物本体2の液体7中への挿入深さを、固定荷重Wの全部を浮力Bで相殺するように調整しておき、低せん断剛性構造体8aには、変動荷重Wのみを支持させる構成としても良い。
【0016】
上述する構成によれば、浮体式免震構造物1の免震構造は、浮体構造物本体2を免震ピット3の内方に配された液体7に配し、固定荷重Wの一部(ΔW)を除いた荷重(W−ΔW)を浮力Bで相殺するとともに、浮体構造物本体2を前記免震ピット3の掘削底面4上に配された低せん断剛性構造体8aに軟着底させ、浮体構造物本体2に生じる変動荷重W及び固定荷重Wの一部(ΔW)を低せん断剛性構造体8aに支持させる構成とした。
これにより、変動荷重Wが変動しても、これらの変動量は低せん断剛性構造体8aに作用するのみで、浮体構造物本体2の鉛直方向の挙動を制御することが可能となる。
また、常時において、低せん断剛性構造体8aに、免震ピット3の内方に配された液体7が最大液面まで上昇した場合にも、浮力Bにより0以下となることがない荷重に設定された固定荷重Wの一部(ΔW)を支持させることにより、何らかの原因で免震ピット3の内方に配された液体7の液面が上昇し浮力が増大しても、浮力Bは固定荷重Wの一部(ΔW)を除いた荷重(W−ΔW)を相殺するのみで、浮体構造物本体2の浮き上がりを防止することが可能となる。
【0017】
さらに、浮体構造物本体2の軟着底に用いた低せん断剛性構造体8aは、免震ピット3との水平挙動を絶縁し、長周期化する機能を有することから、浮体構造物本体2を液体7に浮揚させる浮体式免震構造物1が本来より有する免震機能の障害となることなく、水平挙動に対する高い免震性能をも保持することが可能となる。
また、前記低せん断剛性構造体8aに作用する鉛直荷重は、浮体構造物本体2の変動荷重W及び固定荷重Wの一部(ΔW)であり、浮体荷重W(=W+W)と比較して微小であるため、前記低せん断剛性構造体8aを免震ピット3の基礎構造に支持される場合にも、その構成を簡略化でき、工費削減、工期短縮に大きく寄与することが可能となる。
【0018】
(本発明の第2の実施の形態)
図6〜図9に、免震ピット3の外周縁部における地盤6上に低せん断剛性構造体8aが配され、該低せん断剛性構造体8aに浮体構造物本体2が軟着底される浮体式免震構造物1を事例に、その免震構造を詳述する。
【0019】
図6に示すように、前記浮体式免震構造物1の浮体構造物本体2には、その側面から水平方向に突出し、免震ピットの外周部に達する長さを有する張出部2bが設けられている。本実施の形態では、その上部に居室部2aが構築されている構成としたが、これにこだわるものではない。また、前記免震ピット3は、その深さが張出部2bより下方に位置する浮体構造物本体2の高さよりも大きくなるように、前記前記地盤6を掘削して形成されており、第1の実施の形態に用いられたものと同様に、その床部となる掘削底面4と、外回りに土圧を受けるために地下外壁5が設けられることにより形成される。
【0020】
このような免震ピット3の内方には液体7が配置されており、該液体7に浮揚するように浮体構造物本体2が配置されているが、浮体構造物本体2は、張出部2bが免震ピット3の上方で免震ピット3より外方に張り出すように位置することとなる。このような浮体構造物本体2の浮体荷重Wは、浮体構造物本体2の固定荷重Wと、内部のレイアウトや利用者が移動することにより生じる変動荷重Wを足しあわせたものである。本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、前記浮体構造物本体2の浮体荷重W全てを浮力により相殺することなく、浮体構造物本体2の固定荷重Wの一部(ΔW)を除いた荷重(W−ΔW)を浮力Bにより相殺する深さまで、浮体構造物本体2を液体7中に挿入している。このため、変動荷重W及び固定荷重Wの一部(ΔW)を鉛直下方向に生じる前記浮体構造物本体2は、その張出部2bの下端面が、前記免震ピット3の外周縁部の地盤6に着底することとなる。
しかし、第1の実施の形態でも示したように、浮体構造物本体2は、固有振動数fpを地震の卓越周波数よりも低周波数とし、免震性能を確保する必要がある。このため、浮体構造物本体2の着底面となる地盤6のせん断弾性係数Gを十分に低減できる構成として、免震ピット3の外周縁近傍の地盤6に、所定の距離を持って複数の前記低せん断剛性構造体8aを配することとし、該低せん断剛性構造体8aに浮体構造物本体2の張出部2bが軟着底される構成としている。
【0021】
前記低せん断剛性構造体8aは、本発明の第1の実施の形態と同様で、前記浮体構造物本体2の利用時に生じる変動荷重Wと固定荷重Wの一部(ΔW)を支持する支持機能と、浮体構造物本体2と免震ピット3との水平挙動を絶縁し、長周期化する機能とを有する、いわゆるアイソレーターが用いられている。
なお、低せん断剛性構造体8aは、最下液面に達した際の最荷重時の固定荷重Wの一部(ΔW)を支持する場合にも、免震機能を損なうことなく、浮体構造物本体2を支持できる強度を確保しておくものである。また、前記免震ピット3は、前記浮体構造物本体2を免震ピット3の内方に配された液体7に浮揚する際に、液体7が固定荷重Wもしくは一部(ΔW)を除いた荷重(W−ΔW)を浮力Bで相殺できる深さを有する構成としておく。
【0022】
ところで、前記低せん断剛性構造体8aは、地盤上に配されているため、水中での耐久性等を考慮する必要が無く、例えば図7に示すように復元機能をも備えた積層ゴム8cを用いれば、係留装置9を設ける必要がなく、簡略な免震構造を構成できるものである。
また、図8に示すように、既存の滑り支承8dを免震ピット3の外周縁近傍に、所定の距離を持って複数離間配置し、これらを、前記浮体構造物本体2の居室部2aの下端面と連結する構成としても良い。この場合には、前記免震ピット3の地下外壁5と、前記浮体構造物本体2の下部構造物2bの外壁面とを連結するように、第1の実施の形態で用いたものと同様の前記係留装置9を水平に配置しておく。なお、これらは、下部構造物2bの各外壁面各々と、免震ピット3の地下外壁5とを連結するように設けるものである。
【0023】
さらに、図9に示すように、浮体構造物本体2の下部が、複数に分割されている場合には、前記免震ピット3をこの形状に合わせて内方に浮島3aを設けるとともに、該浮島3aの上端部に積層ゴム8cを配置し、浮体構造物本体2を軟着底する構成としてもよい。
【0024】
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、免震ピット3に配される液体7が何らかの現象により、液面変位を生じる場合を想定し、常時における浮体構造物本体2の液体7中への挿入深さが、前記免震ピット3に配された液体7の液面が上昇し、最上液面に達した際にも、固定荷重Wの一部(ΔW)が0以上となるように、液深の最大値あるいは液面の最上レベルを調整した上で、固定荷重Wの一部(ΔW)を除いた荷重(W−ΔW)を浮力Bで相殺し、低せん断剛性構造体8aには、変動荷重W及び固定荷重Wの一部(ΔW)を支持させる構成を示したが、免震ピット3に配される液体7が液面変位を生じない場合には、浮体構造物本体2の液体7中への挿入深さを、固定荷重Wの全部を浮力Bで相殺するように調整しておき、低せん断剛性構造体8aには、変動荷重Wのみを支持させる構成としても良い。
【0025】
上述する構成によれば、浮体式免震構造物1の免震構造は、浮体構造物本体2を免震ピット3の内方に配された液体7に配し、固定荷重Wの一部(ΔW)を除いた荷重(W−ΔW)を浮力Bで相殺するとともに、浮体構造物本体2の居室部2aの下端面を前記免震ピット3の外周縁部の地盤6上に設けられた低せん断剛性構造体8aに軟着底させて、変動荷重W及び固定荷重Wの一部(ΔW)を、低せん断剛性構造体8に支持させる構成とした。
これにより、変動荷重Wが変動しても、これらの変動量は低せん断剛性構造体8aに作用するのみで、浮力Bは一定の状態に保持されるため、浮体構造物本体2の鉛直方向の挙動を制御することが可能となる。
また、常時において、低せん断剛性構造体8aに、免震ピット3の内方に配された液体7が最大液面まで上昇した場合にも、浮力Bにより0以下となることがない荷重に設定された固定荷重Wの一部(ΔW)を支持させることにより、何らかの原因で免震ピット3の内方に配された液体7の液面が上昇し浮力が増大しても、浮力Bは固定荷重Wの一部(ΔW)を除いた荷重(W−ΔW)を相殺するのみで、浮体構造物本体2の浮き上がりを防止することが可能となる。
【0026】
さらに、浮体構造物本体2の軟着底に用いた低せん断剛性構造体8aは、免震ピット3との水平挙動を絶縁し、長周期化する機能を有することから、浮体構造物本体2を液体7に浮揚させる浮体式免震構造物1が本来より有する免震機能の障害となることなく、水平挙動に対する高い免震性能をも保持することが可能となる。
また、前記低せん断剛性構造体8aに作用する鉛直荷重は、浮体構造物本体2の変動荷重W及び固定荷重Wの一部(ΔW)であり、浮体荷重W(=W+W)と比較して微小であるため、前記低せん断剛性構造体8aを免震ピット3の基礎構造に支持される場合にも、その構成を簡略化でき、工費削減、工期短縮に大きく寄与することが可能となる。
さらに、前記低せん断剛性構造体8aを地上に配置できるため、積層ゴム等の既存の低せん断剛性構造体8aを流用できるとともに、メンテナンスも容易に行うことが可能となる。
【0027】
【発明の効果】
請求項1記載の浮体式免震構造物の免震構造によれば、居室機能を有する浮体構造物本体と、地盤を掘削して構築される免震ピットと、該免震ピットの底面に配置される低せん断剛性構造体と、前記免震ピットの内方に配される液体を備えてなり、前記浮体構造物本体が、前記免震ピットに配される液体に対して、浮体構造物本体の固定荷重と浮力とを同一、もしくはこれより大きい浮力を生じない深さまで挿入されるとともに、前記浮体構造物本体が、前記低せん断剛性構造体に軟着底されることから、変動荷重Wが変動しても、これらの変動量は低せん断剛性構造体に作用するのみで、浮体構造物本体の鉛直方向の挙動を制御することが可能となる。
また、常時において、低せん断剛性構造体に、免震ピットの内方に配された液体が最大液面まで上昇した場合にも、浮力Bにより0以下となることがない荷重に設定された固定荷重Wの一部(ΔW)を支持させることにより、何らかの原因で免震ピットの内方に配された液体の液面が上昇し浮力が増大しても、浮力Bは固定荷重Wの一部(ΔW)を除いた荷重(W−ΔW)を相殺するのみで、浮体構造物本体の浮き上がりを防止することが可能となる。
【0028】
さらに、浮体構造物本体の軟着底に用いた低せん断剛性構造体は、免震ピットとの水平挙動を絶縁し、長周期化する機能を有することから、浮体構造物本体を液体に浮揚させる浮体式免震構造物が本来より有する免震機能の障害となることなく、水平挙動に対する高い免震性能をも保持することが可能となる。
また、前記低せん断剛性構造体に作用する鉛直荷重は、浮体構造物本体の変動荷重W及び固定荷重Wの一部(ΔW)であり、浮体荷重W(=W+W)と比較して微小であるため、前記低せん断剛性構造体を免震ピットの基礎構造に支持される場合にも、その構成を簡略化でき、工費削減、工期短縮に大きく寄与することが可能となる。
【0029】
請求項2記載の浮体式免震構造物の免震構造によれば、前記低せん断剛性構造体が、前記免震ピットの底面に代わり、免震ピットの外周縁近傍に沿って、地盤上に配置されるとともに、前記浮体構造物本体の側面には、水平に突出する張出部が設けられており、該張出部が、前記低せん断剛性構造体に軟着底されることから、前記低せん断剛性構造体を地上に配置できるため、積層ゴム等の既存の低せん断剛性構造体を流用できるとともに、メンテナンスも容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る浮体式免震構造物の免震構造の第1の実施の形態の概略を示す図である。
【図2】せん断弾性係数と構造物の固有周波数の関係を示す図である。
【図3】建物の固有周期と建物に作用する地震力の関係を示す図である。
【図4】本発明に係る浮体式免震構造物の免震構造の第1の実施の形態の事例を示す図である。
【図5】本発明に係る浮体式免震構造物の免震構造の第1の実施の形態の他の事例を示す図である。
【図6】本発明に係る浮体式免震構造物の免震構造の第2の実施の形態の概略を示す図である。
【図7】本発明に係る浮体式免震構造物の免震構造の第2の実施の形態の事例を示す図である。
【図8】本発明に係る浮体式免震構造物の免震構造の第2の実施の形態の他の事例を示す図である。
【図9】本発明に係る浮体式免震構造物の免震構造の第2の実施の形態の他の事例を示す図である。
従来の浮体式免震構造物の免震構造の概略を示す図である。
【図10】従来の浮体式免震構造物の免震構造の概略を示す図である。
【図11】従来の浮体式免震構造物の鉛直挙動を示す図である。
【符号の説明】
1 浮体式免震構造物
2 浮体構造物本体
2a 居室部
2b 張出部
3 免震ピット
4 掘削底面
5 地下外壁
6 地盤
7 液体
8a 低せん断剛性構造体
8b 滑り支承
8c 積層ゴム
8d 滑り支承
9 係留装置
10 鉛直部材

Claims (2)

  1. 居室機能を有する浮体構造物本体と、
    地盤を掘削して構築される免震ピットと、
    該免震ピットの底面に配置される低せん断剛性構造体と、
    前記免震ピットの内方に配される液体を備えてなり、
    前記浮体構造物本体が、前記免震ピットに配される液体に対して、浮体構造物本体の固定荷重と浮力とを同一、もしくはこれより大きい浮力を生じない深さまで挿入されるとともに、
    前記浮体構造物本体が、前記低せん断剛性構造体に軟着底されることを特徴とする浮体式免震構造物の免震構造。
  2. 請求項1に記載の浮体式免震構造物の免震構造において、
    前記低せん断剛性構造体が、前記免震ピットの底面に代わり、免震ピットの外周縁近傍に沿って、地盤上に配置されるとともに、
    前記浮体構造物本体の側面には、水平に突出する張出部が設けられており、
    該張出部が、前記低せん断剛性構造体に軟着底されることを特徴とする浮体式免震構造物の免震構造。
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