JP5293499B2 - リン酸カルシウムの沈着を抑制したコラーゲンビトリゲル - Google Patents

リン酸カルシウムの沈着を抑制したコラーゲンビトリゲル Download PDF

Info

Publication number
JP5293499B2
JP5293499B2 JP2009193723A JP2009193723A JP5293499B2 JP 5293499 B2 JP5293499 B2 JP 5293499B2 JP 2009193723 A JP2009193723 A JP 2009193723A JP 2009193723 A JP2009193723 A JP 2009193723A JP 5293499 B2 JP5293499 B2 JP 5293499B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
collagen vitrigel
collagen
vitrigel
culture
cells
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009193723A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011041552A (ja
Inventor
綾 和田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2009193723A priority Critical patent/JP5293499B2/ja
Publication of JP2011041552A publication Critical patent/JP2011041552A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5293499B2 publication Critical patent/JP5293499B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

本発明は、リン酸カルシウムの沈着を抑制したコラーゲンビトリゲルに関するものである。
一般に、動物細胞の培養は、培養担体としてプラスチックシャーレを用いて2次元培養を行うが、特に初代培養細胞では、継代維持を繰り返すことにより、元来の細胞の機能発現を維持できなくなることがある。これに対して、細胞を3次元的に培養すると、その細胞が有している組織特異的機能を向上させ、維持できることが知られている。
このような3次元培養を行う手段としては、中空糸を利用して細胞を多層化培養する方法、多数のビーズ担体の周囲に細胞を培養する方法、PUFをはじめとするスポンジ担体の多孔質内で細胞を凝集培養する方法、温度感受性培養担体等の機能性培養担体を利用した多細胞性球状凝集塊(スフェロイド)培養法、ガーゼ等の通液性培養担体を用いた多細胞性再構築体の培養法、生体内臓器の細胞の足場である細胞外マトリックスを連続的3段階灌流法により培養担体に改変して臓器をまるごと培養する器官工学の技術を利用した培養法、および生体の組織を複雑な構造とその構成成分を保持している動物組織の切片から成る培養担体上で細胞を培養する方法等が知られている。
上述したような種々の3次元培養法の中でも、特にコラーゲンの細胞外マトリックス構成成分を用いた培養方法は、細胞の分化誘導に優れているのみならず、上皮間充織細胞からなる皮膚等のオルガノイドを再構築できること、血管内皮細胞による血管新生モデルを構築できること、ガン細胞によるガン浸潤モデルを構築できることから、その有用性が実証されてきた。
しかしながら、コラーゲンゲルなどのハイドロゲルから成る3次元培養担体は、その調製作業の操作も煩雑であり、それを用いた3次元培養、さらに培養細胞の観察も困難であるという欠点があった。すなわち、コラーゲンゲルは、その調製時に、塩濃度、pHおよび温度の管理が必須であるが、特に温度は、ピペッティング操作などの際に低温を維持することが難しく、操作中にピペット内でゲル化が始まるなどの困難さがあった。
また、2種類の細胞を細胞外マトリックス構成成分のハイドロゲル培養担体を用いて共培養する手段としては、両方の細胞をゲル内に包埋培養する方法、一方の細胞をゲル内に培養し他方の細胞をゲル上に培養する方法、さらに両方の細胞をゲル上に共培養する方法が開発されてきたが、ハイドロゲルの表面と裏面に異なる細胞を共培養する方法は、片面に細胞を播種した後にハイドロゲル培養担体を裏返すことが困難であるがゆえに、これまで開発されていなかった。
そこで、竹澤等は細胞外マトリックス成分含有の溶液を保持体と共にゲル化させ、さらに乾燥させてガラス化し、次いで再水和することで保持体と一体化した細胞外マトリックス含有ハイドロゲル薄膜を作製する技術を報告した(特許文献1)。
すなわち、この技術は、細胞外マトリックス成分をはじめとするハイドロゲル培養担体が、柔らかく、取扱いが難しいこと等の問題点があることを解決すべく、ハイドロゲルよりも強度を高め、さらに支持体をつけることでその取扱いを簡便にしたものである。
しかしながら、この技術では、細胞外マトリックス含有ハイドロゲル薄膜を再現性良く作製するための条件が設定できておらず、また、充分な透明性を持たせることができていなかった。すなわち、特許文献1に記載された方法では、ハイドロゲル薄膜の強度をハイドロゲルよりも2倍程度上昇させることには成功していたものの、両面培養等の操作、もしくは細胞播種済みの状態での移動には、その強度は未だ不十分なものであった。また、顕微鏡観察にはハイドロゲル薄膜の透明性が必要であるが、特許文献1に記載の方法では、ハイドロゲル薄膜に濁りが残るという問題点があった。
そして竹澤等は、上記特許文献1の欠点を克服するために、ハイドロゲルを十分時間乾燥させてガラス化した後に、再水和して作製されるハイドロゲル薄膜を報告した(特許文献2)。該薄膜の強度はハイドロゲルの強度より8倍に増加することができ、さらに該薄膜の400nmにおける吸光度をハイドロゲルの吸光度より60%減少させることができた。すなわち、特許文献2では、ハイドロゲル薄膜自体の透明度を向上させることに成功した。
また、竹澤等はこのハイドロゲル薄膜を新しい物性状態のゲルを意味する用語として、ビトリゲル(Vitrigel)という学術用語を設定した(参照:Takezawa T, et al., Cell Transplant. 13:463-473, 2004)。
これまでに、ビトリゲルの透明性を生かし、角膜上皮細胞を播種した後、ビトリゲルを角膜欠損患者に移植する方法は提案されていた。しかし、特許文献1および2で開示されている従来のコラーゲンビトリゲルでは、移植前の長期培養時に生じる白色物質の沈着についての知見がなく、白色物質の沈殿を防ぐことが出来なかった。
特開平8−228768 WO2005/014774
本発明者は、従来使用されているコラーゲンビトリゲルを使用して細胞を数日間、さらには長期間培養すると、コラーゲンビトリゲルに白色物質が沈着することを新たに発見した。
すなわち、コラーゲンハイドロゲルを十分乾燥させて得られたコラーゲンビトリゲル(従来のコラーゲンビトリゲル)を使用して、数日間、さらには長期間細胞を培養するとコラーゲンビトリゲルに白色物質の沈着が生じるという問題があった。
コラーゲンビトリゲル上では、種々の細胞培養が可能であり、特に細胞分化を目的とした培養では長期の培養が必要であるから、本発明者は、長期培養におけるコラーゲンビトリゲルの白色物質の沈着を防ぐ方法を提供することを解決すべき課題とした。加えて、長期間の培養でも白色物質の沈着を防ぐコラーゲンビトリゲルを提供することも解決すべき課題とした。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、新規に「白色物質の主成分がリン酸カルシウムであること」を見出した。そして、コラーゲンビトリゲルを作製する培地、洗浄液及び細胞培養時の使用培地が長期間培養による白色物質の沈着に及ぼす影響について鋭意検討を重ねた結果、コラーゲンビトリゲル中に含有するカルシウム濃度及び/又はリン濃度を低減させることにより、長期間の培養でも白色物質の沈着を防ぐコラーゲンビトリゲルを提供することができた。
長期間の培養でも白色物質の沈着を防ぐことができるコラーゲンビトリゲルを提供することができた。本発明のコラーゲンビトリゲルは、長期培養を必要とする培養系、詳しくは、胚細胞培養、肝臓細胞培養、間葉系幹細胞の分化培養、さらに詳しくは透明性が重要となる角膜細胞分化の培養に好ましい。
回収した白色物質を含むコラーゲンビトリゲル乾燥体のFT-RI分析結果 白色物質の沈着のないコラーゲンビトリゲル乾燥体のFT-RI分析結果
本発明者は、コラーゲンビトリゲルの長期培養にて得られた白色物質を解析し、白色物質の主成分がリン酸カルシウムであることを特定した。
さらに、本発明者は、上記知見を基にして、コラーゲンビトリゲル中に含有するカルシウム濃度及び/又はリン濃度を低減させることにより、長期間の培養でも白色物質の沈着を防ぐことができるコラーゲンビトリゲルを提供することに成功した。
(コラーゲンビトリゲル)
「コラーゲンビトリゲル」とは、コラーゲンゲルを乾燥させてガラス化した後に、再水和して作製される細胞培養単体である(参照:インターネットURL:http://atg.ushop.jp/rika/hbin/collagen.htm)。
(ガラス化)
「ガラス化(vitrification)」とは、鶏卵のタンパク質(白身)を熱変性させたもの(ハイドロゲル)を、十分乾燥することで固くて透明な物質に変えるガラス化技術(Takushi E.,Edible eyeballs from fish.Nature345,298,1990)で定義される。
(乾燥方法)
コラーゲンビトリゲルの「乾燥方法」としては、風乾、密閉容器内で乾燥(容器内の空気を循環させ、常に乾燥空気を供給する)、シリカゲルを置いた環境下で乾燥する等、種々の方法を用いることができるが、特に限定されない。
なお、上記風乾の方法としては、10℃、40%湿度で無菌に保たれたインキュベーターで2日間乾燥させる、もしくは無菌状態のクリーンベンチ内で一昼夜、室温で乾燥する等といった方法がある。さらに、風乾後は無菌状態を保ったままで、室温もしくは4℃で無菌的に保管する。この保管時間が1ヶ月以上になると、強度・透明度が有意に上昇することが確認されている。
(乾燥時間)
コラーゲンビトリゲルを充分に乾燥させる時間は、その含有水分量の違いによって異なるが、圧縮破壊強度、透明度、重量の変化を検討した結果、コラーゲンビトリゲル乾燥体の乾燥重量が、コラーゲンゲル重量の1/50〜1/100に減少する範囲となるように乾燥時間を設定することにより、強度及び透明性に優れた薄膜を作製することができる。
(厚み)
コラーゲンビトリゲルの厚みを1μm〜1mmの範囲で作製することが好ましい。なお、コラーゲンビトリゲルの厚みが1μmより薄いと、必要な強度を得られない。一方、乾燥前のゲルの量を増やすことで、1mm以上の厚みのコラーゲンビトリゲルを作製することは可能であるが、乾燥させるのに長時間を要する。
加えて、コラーゲンビトリゲルの単位面積あたりのコラーゲン含有量は、100μg/cm〜1mg/cm、好ましくは約250μg/cmが最適濃度である。コラーゲン含有量が100μg/cm以下だと、コラーゲンの濃度が薄すぎてゲル化が弱く、充分な強度を有するコラーゲンビトリゲルを作製することができない。
(コラーゲン)
「コラーゲン」としては、タイプI、タイプII、タイプIII及びタイプV等、いかなるタイプのコラーゲンもゲル化ができれば使用可能であるが、好ましくはタイプIを使用する。
また、コラーゲンの溶解に用いる溶媒としては、コラーゲンが溶解し、コラーゲンを変質させるものでなければ特に限定されない。例えば、水、塩酸溶液、メチルアルコール、エチルアルコール、リン酸緩衝液、及びこれらを混合したものを用いることができる。
さらに、コラーゲンをゲル化する方法としては、コラーゲンを至適な塩濃度とpH(好ましくはpH6〜10)に調製し、至適温度(好ましくは37℃)でゲル化することができる。
(生理活性物質の添加)
コラーゲンビトリゲルが、ゲル構成要素である高分子以外に生理活性物質を有していても良い。この生理活性物質としては、細胞増殖因子、分化誘導因子、細胞接着因子、抗体、酵素、サイトカイン、ホルモン、レクチン、またはゲル化しない細胞外マトリックス成分としてファイブロネクチン、ビトロネクチン、エンタクチン、オステオポエチン等が挙げられる。また、これらを複数含有させることも可能である。
上記の様な生理活性物質を含んだコラーゲンビトリゲルは、まずゲル化する前のゲル構成高分子溶液に、含有させたい生理活性物質を混合し、その後、ゲル化・ガラス化等のコラーゲンビトリゲルの作製工程を経て作製することができる。これにより、細胞増殖・分化・接着などに必要な因子をコラーゲンビトリゲル側から供給することができるので、より良い培養環境を実現することができる。また、含有させた生理活性物質の細胞に対する影響を調べる試験を行うのに非常に有用である。
(細胞培養担体としての利用)
コラーゲンビトリゲルは、培養容器に挿入して動物細胞を培養する細胞培養担体として用いることができる。培養する動物細胞としては、初代培養細胞、株化細胞、受精卵、およびそれらの細胞に外来遺伝子を導入した細胞が挙げられる。さらに、それらの細胞が、未分化な幹細胞、分化過程にある細胞、終末分化した細胞、および脱分化した細胞であっても良い。また、それらの細胞の培養を開始する手段としては、細胞懸濁液、細切組織片、受精卵、または三次元再構築した多細胞性凝集塊の播種が挙げられる。つまり、既存の方法で培養できる接着性の細胞は本コラーゲンビトリゲル上で培養することが可能である。
また、上述したような動物細胞を、コラーゲンビトリゲルの片面はもちろんのこと、両面に1種類以上の細胞を培養することが可能である。さらに、両面培養においては、各々の面に異種の細胞を培養することが可能である。特に、コラーゲンビトリゲルの一方の面には上皮系細胞、他方の面には間充織細胞を培養することで、上皮間充織相互作用を有した経皮吸収モデルや腸管吸収モデルなど、また、一方の面には血管内皮細胞、他方の面にはガン細胞を培養することで、血管新生モデルやガン浸潤モデルなどの細胞機能アッセイを可能とする。
(動物実験の代替)
さらに、コラーゲンビトリゲルを用いて培養した上皮間充織相互作用のある再構築体を、動物実験の代替モデル、培養臓器の開発および培養臓器の移植に適応することができる。コラーゲンビトリゲル担体のみで、臓器癒着防止に応用可能であるが、さらにコラーゲンビトリゲルの片面もしくは両面に細胞を培養し、かつその透明性を生かした角膜上皮細胞を播種した後、コラーゲンビトリゲルを角膜欠損患者へ移植する方法、あるいは高齢化社会に伴い、数回に渡る開腹手術により腹膜中皮組織が欠損し、腸管臓器癒着から腸閉塞等の合併症を引き起こす問題が起きているが、これに対し本培養担体上で腹膜のみならず胸膜、心膜の中皮を培養して、潤滑成分(ヒアルロン酸等)を分泌する優れた培養担体を移植することが可能となる。
(本発明のコラーゲンビトリゲルの作製方法)
本発明のコラーゲンビトリゲルは、上記従来のコラーゲンビトリゲルの特性を維持しつつ、従来のコラーゲンビトリゲルと比較して、含有するカルシウム濃度及び/又はリン濃度を低減させたものである。下記実施例から明らかなように、コラーゲンビトリゲルが含有するカルシウム濃度及び/又はリン濃度を予め低くしておけば、該コラーゲンを細胞培養の使用時に使用する培地及び緩衝液中のカルシウム濃度及び/又はリン濃度に影響されることなく、長期間に渡って白色物質の沈着を防ぐことができる。
よって、本発明のコラーゲンビトリゲルの作製方法は、該コラーゲンビトリゲルが含有するカルシウム濃度及び/又はリン濃度を低減させることができれば特に限定されない。
例えば、ドーナツ状の支持体を培養用シャーレに入れる。一方、コラーゲン水溶液を予めカルシウム濃度及び/又はリン濃度を低減させた作製培地に入れ、均一に混和する。混和したコラーゲン混合液を先の支持体を入れた培養用シャーレに入れた後、5%CO2/95%空気存在下の37℃の保湿インキュベーターで2時間維持してゲル化する。
さらに、このゲルをクリーンベンチ内で蓋をはずした状態で無菌的に数日間乾燥することでガラス化させる。ガラス化した乾燥コラーゲンビトリゲルにPBSを加えることで、再水和する。
さらに、再水和したコラーゲンビトリゲルを超純水又はPBSで洗浄する。なお、PBSで洗浄した場合には、さらには超純水で追加の洗浄を行うことが好ましい。
さらにクリーンベンチ内で蓋をはずした状態で無菌的に2日間完全に乾燥させ、コラーゲンビトリゲル乾燥体を得る。
その後、室温で無菌的に保管維持し、さらに、使用前に超純水、PBSもしくは使用する培養液で水和することでコラーゲンビトリゲルは作製される。また、シャーレの内壁を周囲に沿って先の鋭敏なピンセットでなぞることで、支持体がついた強度のあるコラーゲンビトリゲルとしてシャーレより脱着回収することが可能である。
上記作製工程において、コラーゲンビトリゲル作製培地の含有カルシウム濃度は、好ましくは72mg/L未満であり、より好ましくは42mg/L未満であり、最も好ましくは12mg/L未満である。
しかしながら、カルシウム濃度の高い培地を用いても、その後の洗浄によりコラーゲンビトリゲルに含有するカルシウムを除去すれば良い。
以上により、本発明のコラーゲンビトリゲルの好ましい作製方法を記載した。しかし、本発明のコラーゲンビトリゲルの作製方法は、公知のコラーゲンビトリゲルの作製工程に、コラーゲンビトリゲルが含有するカルシウム濃度、さらにはリン濃度を低減させる工程を追加すれば良い。
(コラーゲンビトリゲル乾燥体)
本発明の「コラーゲンビトリゲル乾燥体」とは、コラーゲンゲル重量の1/50〜1/100の範囲まで重量を減少させたものである。
また、コラーゲンビトリゲル乾燥体とは、上記「コラーゲンビトリゲル」を、好ましくは上記記載の乾燥方法で乾燥させて重量を減少させて得る。
(本発明のコラーゲンビトリゲル)
本発明のコラーゲンビトリゲルの含有するカルシウム濃度は、乾燥重量当たり0.2%以下であり、好ましくは0.06%以下、より好ましくは0.03%以下である。
また、本発明のコラーゲンビトリゲルの含有するリン濃度は、乾燥重量当たり0.8%以下であり、好ましくは0.48%以下、より好ましくは0.08%以下である。
上記のようにコラーゲンビトリゲルの含有するカルシウム濃度及び/又はリン濃度を低減することにより、少なくとも7日間以上、好ましくは20日間以上、より好ましくは28日間以上において白色物質の沈着を防いで細胞培養することが可能である。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(コラーゲンビトリゲルに沈着する白色物質の特定)
従来のコラーゲンビトリゲル上で細胞培養を長期間行うことによる該コラーゲンビトリゲルに沈着する白色物質の主成分を特定した。詳細は、以下の通りである。
(従来のコラーゲンビトリゲルの作製)
外径33mm、内径24mmの円形中空の支持体をナイロンメンブレン(Amersham#RPN1782B)を切り抜いて作製し、滅菌処理後、疎水性ポリスチレン製培養用シャーレ(φ35mm:IWAKI#1000-035)に入れた。氷上で冷却した50ml容量の滅菌コニカルチューブ(IWAKI#2342−050)に2.5mlの細胞培養液{10%非動化ウシ胎児血清(FBS)、20mmol/l HEPES(GIBCO#15630−080)}含有ダルベッコ改変イーグル培地(Mediatech#10-017-CV)と2.5mlの0.5%I型コラーゲン水溶液(高研#IAC50)を加え、均一に混和した。最終濃度0.25%のコラーゲン混合液を先の支持体を入れた疎水性ポリスチレン製培養用シャーレに2.0ml入れた後、5%CO2/95%空気存在下の37℃の保湿インキュベーターで2時間維持してゲル化した。この終濃度0.25%コラーゲンゲルを、クリーンベンチ内でふたをはずした状態で無菌的に2日間完全に乾燥することでガラス化させた。3mlのPBSをガラス化させたコラーゲンビトリゲル乾燥体に加えることで、再水和した。さらに2回3mlのPBSでリンスした。さらにこのコラーゲンビトリゲルを、クリーンベンチ内でふたをはずした状態で無菌的に2日間完全に乾燥させた。その後、室温で無菌的に保管維持した。さらに、使用前には培養液で水和した。
(コラーゲンビトリゲルに沈着する白色物質の回収)
上記で作製したコラーゲンビトリゲル上でTIG-3細胞を5×104cells/cm2で播種し、10%FBS/DMEM培地を用いて7日間培養した。そして、該コラーゲンビトリゲルに白色物質が沈着していることを確認した後に、白色物質を含むコラーゲンビトリゲルを培養液から回収し、乾燥させた。また、白色物質の沈着のないコラーゲンビトリゲルを培養液から回収し、乾燥させた。
さらに、回収した白色物質を含むコラーゲンビトリゲル乾燥体をEPMA(電子プローブマイクロアナライザー)及びFT-RIにより分析した。加えて、白色物質の沈着のないコラーゲンビトリゲル乾燥体をFT-RIにより分析した。
上記EPMAによる分析結果では、白色物質から主にカルシウムが検出された。
また、回収した白色物質を含むコラーゲンビトリゲル乾燥体のFT-RI分析結果を図1に示し、白色物質の沈着のないコラーゲンビトリゲル乾燥体のFT-RI分析結果を図2に示す。
なお、各図中の「(1)」は、「ポリアミド化合物類のピーク」を示し、「(2)」は、「リン酸塩素系化合物類」を示す。図1の結果及び図2の結果の比較から明らかなように、白色物質の主成分はリン酸塩系化合物であることが判明した。
本発明者は、以上の分析結果より、白色物質の主成分がリン酸カルシウムであることを特定した。
(作製時の培地、培養時の培地及び洗浄液による沈着する白色物質への影響の確認)
コラーゲンビトリゲル作製時の培地の種類、培養時の培地の種類及び洗浄液の種類によるコラーゲンビトリゲルに沈着する白色物質への影響を確認した。詳しくは、3種類の作製時の培地及び培養時の培地を使用し、さらに作製時の洗浄液の種類{PBS(リン酸緩衝生理食塩水)又はddw(超純水)}による白色物質の沈着開始時期を確認した。また、実施例1とは異なり、FBSの影響を避けるためにコラーゲンビトリゲル作製時の培地からFBSを除いた。
(本発明のコラーゲンビトリゲルの作製)
下記の使用した培地及び洗浄液以外は上記実施例1で記載のコラーゲンビトリゲルの作製方法に従って、本発明のコラーゲンビトリゲルを作製した。
(1)使用した培地
DMEM(Dulbecco's Modified Eagle Medium)
カルシウム濃度72mg/L、リン濃度28mg/L
DF50(DMEM:Ham'sF12=1:1)
カルシウム濃度42mg/L、リン濃度15mg/L
Ham's F12
カルシウム濃度12mg/L、リン濃度31mg/L
(2)使用した洗浄液
PBS(リン酸緩衝生理食塩水)リン濃度345mg/L
ddw(超純水)
(白色物質沈着確認試験)
上記作製した各コラーゲンビトリゲル3種類に10%FBSのMedium(DMEM, DF50, Ham's F12)を2ml/wellで添加し、適宜培地交換(培地交換日:3,6,9,13,16,20,23,27日)を行いながら4週間放置した。
なお、サンプルAのみ、TIG-3細胞を5×103cells/mで、培地は10%FBS/DMEMを用いて播き込んだ。
上記白色物質の沈着確認試験の結果を下記表1に示す。
最終的に4種類のサンプル(A,B,E,H)において白色物質の沈着を確認した。白色物質の沈着があったサンプルの中で比較すると、サンプルA及びBでは白色物質がコラーゲンビトリゲルの表面全体に沈着して、顕微鏡下ではコラーゲンビトリゲル表面を全く観察することが出来なかった。それに比べ、サンプルEは白色物質の沈着度合いが低いため、顕微鏡下で観察すると、ビトリゲル表面を確認することができた。サンプルHの白色物質の沈着は、サンプルEの白色物質の沈着と比較して少なかった。
次に、2晩乾燥後の洗浄に使用したPBSとddwの相違において、白色物質が沈着した5種類のサンプルの中で、洗浄する際の溶液のみが異なるサンプルB及びEを比較すると、PBSで洗浄したサンプルBの白色物質沈着は1週間後に開始したのに対し、サンプルEの白色物質沈着は3週間後に開始した。この結果よりPBSが白色物質の沈着に関与していると考えられる。
実際に培養する際の培養液の違いであるが、同一作製条件で、培養に用いる培地のみ異なるサンプルBCD、EFG及びHIJをそれぞれ比較すると、DMEM以外の培地を培養に使用することで、白色物質の沈着を抑えることができることから、培養に用いる培地中のカルシウム濃度がコラーゲンビトリゲルの白色物質の沈着に影響を与えていることがわかった。
一方、作製時の培地が異なり、培養時の培地は同一のDMEMを用いたサンプルEHKの内、Kのみが白色物質の沈着が確認されなかった。
すなわち、培養時に用いる培地のカルシウム濃度及びリン濃度はコラーゲンビトリゲルの白色物質の沈着に影響を与えるが、作製時の培地中のカルシウム濃度、さらにはリン濃度を低減させることで白色物質の沈着を抑制できることがわかった。
以上の結果より、コラーゲンビトリゲルが含有するカルシウム濃度及び/又はリン濃度を予め低くしておけば、該コラーゲンビトリゲルを細胞培養に使用する培地及び緩衝液中のカルシウム濃度及び/又はリン濃度に関係なく、長期間に渡って白色物質の沈着を防ぐことができることがわかった。
Figure 0005293499
(本発明のコラーゲンビトリゲルのカルシウム及びリンの含有量の確認)
本発明のコラーゲンビトリゲルのカルシウム及びリンの含有量を測定した。詳細は、以下の通りである。
(コラーゲンビトリゲルの作製)
上記「実施例2」で得られた3種類の培地及び2種類の洗浄方法を用いて作製したコラーゲンビトリゲルをシャーレの内壁を周囲に沿って先の鋭敏なピンセットでなぞることで、支持体がついたコラーゲンビトリゲルとしてシャーレより脱着回収した。これを風乾して分析に供した。
(コラーゲンビトリゲルのカルシウム及びリンの含有量の測定)
上記により得られたコラーゲンビトリゲル試料を2分割した。分割した試料をそれぞれ秤量し、硝酸及び硫酸で加水分解した後に、希硝酸で加温溶解して定容とした。この溶液について、ICP発光分光分析法で下記測定条件で、カルシウム及びリン濃度を測定し、試料中の含有量を測定した。
測定条件:測定波長 Ca 393.3nm、P 213.6nm
高周波出力 1.3kW
プラズマガス流量 16L/min
補助ガス流量 0.5L/min
キャリアガス流量 1.0L/min
測光高さ 15mm
上記測定結果を下記表2に示す。なお、下記表2の値は、上記測定方法によって得られた値から、支持体の重量を減算し求めた、支持体なしのコラーゲンビトリゲルの乾燥重量当たりのカルシウム濃度及びリン濃度である。
下記表から明らかなように、本発明のコラーゲンビトリゲルの含有するカルシウム濃度は、乾燥重量当たり0.2%以下であり、好ましくは0.06%以下、より好ましくは0.03%以下である。また、本発明のコラーゲンビトリゲルの含有するリン濃度は、乾燥重量当たり0.8%以下であり、好ましくは0.48%以下、より好ましくは0.08%以下である。
なお、下記表中のカルシウム濃度の「<」は、検出限界値以下であることを示している。
Figure 0005293499
長期間の培養でも白色物質(主成分がリン酸カルシウム)の沈着が起こらないコラーゲンビトリゲルを提供することができる。本発明のコラーゲンビトリゲルは長期培養を必要とする培養系、詳しくは、胚細胞培養、肝臓細胞培養、間葉系幹細胞の分化培養、さらに詳しくは特に透明性が重要となる角膜細胞分化の培養に好ましい。

Claims (8)

  1. カルシウム濃度がコラーゲンビトリゲルの乾燥重量に対して0.2%以下であることを特徴とするコラーゲンビトリゲル又はコラーゲンビトリゲル乾燥体。
  2. リン濃度がコラーゲンビトリゲルの乾燥重量に対して0.8%以下であることを特徴とするコラーゲンビトリゲル又はコラーゲンビトリゲル乾燥体。
  3. カルシウム濃度がコラーゲンビトリゲルの乾燥重量に対して0.2%以下でありかつリン濃度がコラーゲンビトリゲルの乾燥重量に対して0.8%以下であることを特徴とするコラーゲンビトリゲル又はコラーゲンビトリゲル乾燥体。
  4. 前記コラーゲンがコラーゲンタイプ1であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のコラーゲンビトリゲル又はコラーゲンビトリゲル乾燥体。
  5. コラーゲンタイプ1を乾燥させる工程を経てガラス化した後に、再水和し、さらに超純水で洗浄した後に乾燥して得られる乾燥コラーゲンビトリゲル。
  6. カルシウム濃度が乾燥重量に対して0.2%以下であることを特徴とする請求項5に記載の乾燥コラーゲンビトリゲル。
  7. リン濃度が乾燥重量に対して0.8%以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の乾燥コラーゲンビトリゲル。
  8. コラーゲン水溶液をコラーゲンビトリゲル作成培地と混和させ、ゲル化させ、このゲルを乾燥させて乾燥コラーゲンビトリゲルを作製し、この乾燥コラーゲンビトリゲルを再水和させてコラーゲンビトリゲルを作製し、このコラーゲンビトリゲルを超純水で洗浄させ、さらに乾燥させることを特徴とするコラーゲンビトリゲル乾燥体の作製方法。
JP2009193723A 2009-08-24 2009-08-24 リン酸カルシウムの沈着を抑制したコラーゲンビトリゲル Expired - Fee Related JP5293499B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009193723A JP5293499B2 (ja) 2009-08-24 2009-08-24 リン酸カルシウムの沈着を抑制したコラーゲンビトリゲル

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009193723A JP5293499B2 (ja) 2009-08-24 2009-08-24 リン酸カルシウムの沈着を抑制したコラーゲンビトリゲル

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011041552A JP2011041552A (ja) 2011-03-03
JP5293499B2 true JP5293499B2 (ja) 2013-09-18

Family

ID=43829471

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009193723A Expired - Fee Related JP5293499B2 (ja) 2009-08-24 2009-08-24 リン酸カルシウムの沈着を抑制したコラーゲンビトリゲル

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5293499B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9493744B2 (en) * 2012-06-20 2016-11-15 Genentech, Inc. Methods for viral inactivation and other adventitious agents
EP3702444A4 (en) 2017-10-12 2021-06-02 Tokyo Institute of Technology METHOD FOR INDUCING THE DIFFERENTIATION OF PLURIPOTENT STEM CELLS IN HEPATOCYTE

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05260950A (ja) * 1992-03-18 1993-10-12 Sumitomo Bakelite Co Ltd コラーゲンコート細胞培養器具およびその製造方法
JP2608016B2 (ja) * 1993-03-15 1997-05-07 株式会社バイオマテリアル研究所 細胞培養用基質材料
JP3081130B2 (ja) * 1995-02-23 2000-08-28 科学技術振興事業団 細胞外マトリックス成分含有ハイドロゲル薄膜
JP4566509B2 (ja) * 2001-12-28 2010-10-20 株式会社エンプラス プラスチックプレート及びプラスチックプレート組立体
JPWO2005014774A1 (ja) * 2003-08-11 2006-10-26 独立行政法人農業生物資源研究所 動物細胞の培養担体と、該培養担体を用いた動物細胞の培養方法および移植方法
JP2006288251A (ja) * 2005-04-08 2006-10-26 Kawamura Inst Of Chem Res 細胞培養基材及び細胞培養方法
JP2007167002A (ja) * 2005-12-22 2007-07-05 Asahi Techno Glass Corp 細胞培養用カセット、細胞培養用カセット着脱用治具及び細胞培養装置
JP5194698B2 (ja) * 2007-06-11 2013-05-08 大日本印刷株式会社 細胞培養膜、細胞培養キット及び細胞培養膜の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011041552A (ja) 2011-03-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7560050B2 (ja) 三次元組織体及びその製造方法、並びに、三次元組織体の形成剤
Fu et al. Skin tissue repair materials from bacterial cellulose by a multilayer fermentation method
CN103261394B (zh) 细胞培养室及其制造方法、以及利用该细胞培养室的组织模型及其制作方法
Ahn et al. A direct cell printing supplemented with low-temperature processing method for obtaining highly porous three-dimensional cell-laden scaffolds
JPWO2005014774A1 (ja) 動物細胞の培養担体と、該培養担体を用いた動物細胞の培養方法および移植方法
CN104726396A (zh) 一种全层皮肤模型的构建方法
CN104399125B (zh) 表皮干细胞向汗腺样上皮细胞分化的方法
JPWO2019208831A1 (ja) 細胞外マトリックス含有組成物、三次元組織体形成用仮足場材及び三次元組織体形成剤並びに三次元組織体から細胞を回収する方法
Jiang et al. Efficacy of engineered liver tissue based on poly-L-lactic acid scaffolds and fetal mouse liver cells cultured with oncostatin M, nicotinamide, and dimethyl sulfoxide
CN103721294B (zh) 一种人体表皮组织的快速构建制备方法
CN115261302A (zh) 一种基质胶及其制备方法和应用
JP5293499B2 (ja) リン酸カルシウムの沈着を抑制したコラーゲンビトリゲル
JP2015035978A (ja) ガラス化後のハイドロゲル膜の製造方法、ハイドロゲル材料の製造方法、ガラス化後のハイドロゲル膜、ガラス化後のハイドロゲル膜の乾燥体、細胞シート、およびガラス化後のハイドロゲル膜の製造装置
CN104826163B (zh) 一种有效提高骨损伤修复的复合支架材料
CN114042191A (zh) 一种细胞打印的成骨功能化支架及其制备方法和应用
CN100522264C (zh) 一种含基底膜结构的双层组织工程皮肤制备方法
JP2012239444A (ja) 細胞培養担体、細胞培養担体の製造方法、及び細胞培養方法
CN105031724A (zh) 一种组织工程软骨支架及其制备方法
CN103937736A (zh) 鱼鳃细胞系的建立方法
CN104707173B (zh) 一种三维细胞培养平台、其制备方法及其使用方法
CN105238740A (zh) 组织工程皮肤种子表皮角质形成细胞高拟体内细胞外基质附着体外筛选培养方法
CN106754367B (zh) 通过静电纺丝制备载药细胞爬片的方法
CN100393369C (zh) 明胶、蒙脱土和壳聚糖多孔组织工程支架材料及制备方法
CN108653193A (zh) 一种治疗脑部疾病的干细胞制剂海绵贴片复合体、其制备方法及应用
JP2015223108A (ja) 細胞培養チャンバーとその製造方法、細胞培養チャンバーを利用した細胞培養方法および細胞培養キット

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120306

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120824

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120911

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121108

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130514

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130527

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees