JP5293246B2 - トロイダル型cvtの押圧油圧制御装置 - Google Patents

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この発明は、トロイダル型の無段変速機(CVT)の押圧油圧制御装置であり、特に油圧機構を制御する制御装置に関するものである。
この種の油圧制御装置として、油圧の温度や圧力を演算して制御する装置が広く知られている。しかしながら、単に油圧の温度や圧力の演算だけではなく、その他の情報を必要とする。そこで、従来、それら複数の情報の演算を行う機構が提案されている。
例えば、特許文献1には、実際の温度および傾斜角における油圧値をマップから読み出して油圧演算し、予め求めておいたマップに基づいて迅速に演算を行い、最適な油圧を供給する構成が記載されている。また、特許文献2には、調圧制御はアクセル操作量および変速比の他、油圧回路の油温や油圧などの情報を用いて行われ、平坦路と悪路とで異なる挟圧力マップが用いられる構成が記載されている。そして、特許文献3には、作動油温およびライン圧の2次元マップを予め定めておき、変速比フィードバックゲインを求める構成が記載されている。さらに、特許文献4には、自動変速機の変速機油温が低温時にスッロトル開度用ライン圧マップとエンジン回転速度用ライン圧マップとから読み出される両マップ値を比較していずれか大きい値を選択してライン圧を制御する構成が記載されている。また、特許文献5には、トラクション部の面圧を作動状態に応じて最適に制御できる油圧式の押圧装置で、コンパクト化を図りつつ押圧制御ピストンシリンダおよび入力側ディスクの弾性変形を抑える構成が記載されている。そして、特許文献6には、トロイダルCVTの押圧油圧制御において、入力動力を検知し、動力により押圧油圧を変化させ、また温度、回転数等によっても押圧油圧を変化させる構成が記載されている。
特開2002−206631号公報 特開2001−254814号公報 特開2000−97328号公報 特開2002−48222号公報 特開2003−21211号公報 特開2004−36804号公報
特許文献1に示されている構成は、実際の温度および傾斜角における油圧値をマップから読み出して油圧演算し、予め求めておいたマップに基づいて迅速に演算を行うので、各温度や傾斜角に応じたマップを多く必要とする可能性がある。
また、特許文献2に示されている構成は、調圧制御はアクセル操作量および変速比の他、油圧回路の油温や油圧などの情報を用いて行われ、平坦路と悪路とで異なる挟圧力マップが用いられるため、多くの情報を処理する必要がある。
そして、特許文献3に示されている構成は、作動油温およびライン圧の2次元マップを予め定めておき、そこから変速比フィードバックゲインを求めるため、その2次元マップを構成する作動油温やライン圧や、さらに変速比フィードバックゲインの大量の数値を必要とする。
さらに、特許文献4に示されている構成は、自動変速機の変速機油温が低温時にスッロトル開度用ライン圧マップとエンジン回転速度用ライン圧マップとから読み出される両マップ値を比較していずれか大きい値を選択してライン圧を制御するため、その予め用意された多量のマップ値を計算する制御装置のメモリを多く必要とする可能性がある。
さらにまた、特許文献5に示されている構成は、コンパクト化を図りつつ押圧制御ピストンシリンダおよび入力側ディスクの弾性変形を抑えるためのパラメータが多く用意されているので、大量の情報をコンピュータに読み込ませなければならず、メモリを大量に消費する可能性がある。
そして、特許文献6に示されている構成は、トロイダルCVTの押圧油圧制御において、入力動力を検知した動力により押圧油圧を変化させるとともに、最適な押圧油圧を設定するために、温度、トルク、変速比、回転数によって最大トラクション係数がどのように変化するかをコンピュータのメモリに格納しておく必要があり、この点数が膨大となる可能性がある。
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、トロイダル型CVTの押圧油圧の制御に要するメモリ量を削減することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、トロイダル型CVTの押圧油圧制御装置において、通常運転領域では、最大トラクション係数が大きい油温と最大トラクション係数が小さい油温とを取得するとともに、その取得した油温に対応し、かつ入力回転数と変速比と入力トルクとにより変化する最大トラクション係数のマップを用いて押圧油圧を制御し、冷間域および高温域では演算で補完し押圧油圧を制御するように構成されることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、トロイダル型CVTの押圧油圧の制御に要するメモリ量を削減することができる。
この発明に係るトロイダル型CVTの押圧油圧制御装置のトラクション係数を示すグラフである。 この発明に係るトロイダル型CVTの部分概略図である。
以下、この発明を実施する形態について説明する。図1は、この発明に係るトロイダル型CVTの押圧油圧制御装置のトラクション係数を示すグラフである。図1において、油温、入力回転数、入力トルク、変速比によって変化する最大トラクション係数(μmax)のマップをコンピュータに読み込ませて、これらを基に図1に示す演算手法で最適押圧油圧を算出する。
一般に最大トラクション係数は油温が高くなると小さくなり、油温が低くなると大きくなる傾向がある。そのため、油温の冷間域では最大トラクション係数が大きく、油温が高温域では最大トラクション係数が小さくなる。たとえば、油温について油温に関するマップは通常の運転領域でのみ設けて冷間域や高温域ではマップを設けずに演算で補完する。これは、油温が冷間域において実際の最大トラクション係数は大きいが、その冷間域では演算によって想定している。また、油温が高い高温域でもコンピュータによるマップを使用せず演算によって想定している。
したがって、通常の運転領域での最大トラクション係数が大きい位置と通常の運転領域での最大トラクション係数が小さい位置での2点において、コンピュータがそのマップを読み込む。そのため、2点においてのマップを読み込めばよいのでコンピュータの温度依存に関する情報において情報量を削減できる。したがって、メモリを大量に使用することがないので、コンピュータのメモリの使用量を大幅に削減することができる。
また、この2点のマップは、たとえば図示するように入力回転数と後述する最大トラクション係数(μmax)とで示す変速比と入力トルクとを表すマップであり、通常の運転領域の高低である両端の2点において算出する。また、油温の著しい低温域では最大トラクション係数が下がる傾向にあるため、後述する安全率を上げるか、または一律に押圧油圧を上げる等の対策を行うのがよい。
そして、図1の通常の運転領域でのコンピュータでのマップによる最大トラクション係数(μmax)によって示されるように、押圧油圧は、押圧油圧=入力トルク×sinφ×安全率/2×μmax×入力半径×ピストン面積、となる。この式におけるμmaxは、最大トラクション係数を表し、またsinφのφは、図2に示すように、トロイダル型CVT1を構成するパワーローラ2の入力ディスク3および出力ディスク4における回転傾斜角度を表している。
1…トロイダル型CVT、 2…パワーローラ、 3…入力ディスク、 4…出力ディスク。

Claims (1)

  1. トロイダル型CVTの押圧油圧制御装置において、
    通常運転領域では、最大トラクション係数が大きい油温と最大トラクション係数が小さい油温とを取得するとともに、その取得した油温に対応し、かつ入力回転数と変速比と入力トルクとにより変化する最大トラクション係数のマップを用いて押圧油圧を制御し、
    冷間域および高温域では演算で補完し押圧油圧を制御するように構成される
    ことを特徴とするトロイダル型CVTの押圧油圧制御装置。
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