JP5291945B2 - 車両用シート - Google Patents

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Description

この発明は、例えば送風機等の車載品を備えた座部を有する車両用シートに関する。
送風機や車載コンピュータ等の車載品を備えた車両用シートが知られている。例えば送風機を備えた車両用シートは、蒸れやすい季節などに送風機によって座部やシートバックに空気を供給することにより、快適に着座することができる。しかし送風機等の車載品を座部付近の狭いスペースに収納するには格別な配慮が必要である。
例えば車両用のフロントシートは、前後方向の位置を調節するために、スライドレール機構によって所定のストロークで移動させることができるように構成されている。このため送風機が車体の床側に固定されると、送風機に対して座部が前後方向に相対移動するため、送風機が座部と干渉しないように配置を工夫する必要がある。しかも送風機の空気吹出口が座部の移動に追従できるような構造にする必要もある。また、座部の下面から車載品の上面までの距離を十分確保しておかないと、着座荷重によって座部の下面が車載品の上面に当接し、いわゆる底突き感が生じて座り心地が悪くなってしまう。
そこで、下記の特許文献1に開示されているように、座部のパッド部分等に送風機を配置することにより、送風機が座部と一体に前後方向および上下方向に移動可能な車両用シートも提案されている。この従来例では、座部のばねユニットを構成する複数本のシートばね(ばね要素)に送風機を取付けている。従ってこのシートの座部に乗員が座ると、着座荷重によってシートばねが下方に撓むとともに、送風機がシートばねと一体に下方に移動する。
特許第3861674号公報
特許文献1の車両用シートのように、送風機がばねユニットに直接取付けられている場合、送風機の回転によって生じる振動がばねユニットとパッド部材を介して乗員に伝わることがある。また、ばねユニットが着座荷重によって上下方向に移動するたびに送風機が頻繁に上下するため、送風機の構造健全性に影響が出ることが懸念される。また送風機の質量がばねユニットに加わるため、ばねユニットの撓みに影響が出る可能性もある。
また、フロントシートの座部の下面から車両の床までの距離が比較的大きい車両において、フロントシートの座部下に送風機が配置されていると、リヤシートに着座した乗員の足がフロントシートの座部と床との間に進入し、送風機が足で蹴られることにより送風機の一部が破損したり変形したりするおそれがある。
従って本発明の目的は、座部に車載品を配置できるとともに、この車載品が座り心地に悪影響を与えることがなく、しかもこの車載品がリヤシートに着座した乗員の足等によって蹴られることを防止できる車両用シートを提供することにある。
本発明の車両用シートは、座部と、該座部の下に配置される車載品とを有する車両用座席であって、前記座部は、前側に位置する前枠部材および後側に位置する後枠部材および左右一対の側枠部材を含む座部フレームと、前記座部フレームに張り渡された複数本のばね要素を含むばねユニットと、前記ばねユニットの上に配置されたパッド部材と、前記車載品を取付けるための車載品取付部を有する第1ブラケットと、前記後枠部材によって支持される上端部と該上端部から下方に延びる遮蔽プレートを有する第2ブラケットとを具備し、前記第1ブラケットの前部が前記ばねユニットに接続され、前記第1ブラケットの後部が前記第2ブラケットの前記上端部の下方の連結部に結合され、前記遮蔽プレートが前後方向に移動可能であり、かつ、前記ばねユニットと前記第1ブラケットとの間に前記ばね要素が上下方向に撓むことを許容する空間部が形成されている。
本発明では、前記ばね要素が前記座部フレームの前記前枠部材と前記後枠部材との間に張り渡され、前記第1ブラケットの前端が前記ばねユニットの前記ばね要素に接続され、かつ、この第1ブラケットの後端が前記第2ブラケットの前記上端部の下方の前記連結部に結合されている。また実施形態では、前記車載品が前記座部に空気を供給する送風機であり、該送風機が前記第1ブラケットの前記車載品取付部の下面に取付けられている。
本発明によれば、座部下に配置された第1ブラケットの車載品取付部によって車載品を支持することができ、着座荷重によってばねユニットが上下方向に撓む際に第1ブラケットの前部側が上下方向に動く。このため座部に入力する着座荷重をばねユニットによって弾性的に支持することができ、座部の下面から床までの距離が小さい車両であっても、座り心地が良好である。しかも座部の下面から車両の床までの距離が比較的大きい車両の場合に、座部下に配置された車載品がリヤシートに着座した乗員の足等によって蹴られることを第2ブラケットの遮蔽プレートによって防止することができ、車載品が破損したり変形したりすることを防止できる。
本発明によれば、座部下の車載品がリヤシートの乗員の足等によって蹴られることを防止できるため、車載品を座部の後寄りの位置(後枠部材に近い位置)に配置することが可能となる。このため、着座荷重によって第1ブラケットの前部が下がる量と比較して、車載品が下がる量を小さくすることができ、車載品から床までの高さを小さくすることが可能となる。そして遮蔽プレートに足が当たったときの荷重を遮蔽プレートが移動することによって逃がすことができるため、足先が痛くなることも防止でき、かつ、足蹴りによる衝撃が座部に着座している乗員に伝わることを緩和できる。
以下に本発明の一実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
図1は、車両用シートの一例であるフロントシート10を示している。フロントシート10は、座部11と、座部11の後部に設けられたシートバック12とを備えている。座部11と車両の床15(図2に示す)との間に、図示しないスライドレール機構が設けられている。座部11はこのスライドレール機構によって車両の床15に対して前後方向(矢印Xで示す方向)の位置を調節できるように移動可能に支持されている。フロントシート10の後側には、図示しないリヤシートが配置されている。
座部11は、座部フレーム20と、ばねユニット21と、ばねユニット21の上に配置されたパッド部材22(図2に示す)と、パッド部材22の外面を覆う通気性のカバー部材23などによって構成されている。座部11に入力する着座荷重(図4に矢印Aで示す方向の荷重)は、ばねユニット21とパッド部材22とによって弾性的に支持される。
座部フレーム20は、座部11の前部に配置された前枠部材30と、座部11の後部に配置された後枠部材31と、左右一対の側枠部材32,33等によって構成されている。前枠部材30と側枠部材32,33は、例えば板金のプレス成形品からなる。後枠部材31は、例えば断面が円形の金属パイプからなり、車両の幅方向に延びている。後枠部材31の両端が側枠部材32,33の後端部に連結されている。
座部11のばねユニット21は、複数のばね要素40によって構成されている。ばね要素40の一例は、同一平面内でS形に蛇行する形状に成形されたSばねである。ばね要素40の前端は、前枠部材30に設けられたばね受け部41に接続されている。ばね要素40の後端は、後枠部材31のばね受け部42に係止されている。これらのばね要素40は、同一平面内でS形に蛇行するように配置されているため、ばねユニット21は概ね平面をなすマット状の面ばねユニット(いわゆるコンターマット)を構成している。なお、ばね要素40の一部がZ形に成形されていてもよいし、あるいはストレートな形状であってもよい。
シートバック12は、シートバックフレーム50と、ばねユニット51と、ばねユニット51の前面側に配置されたパッド部材52(図2に示す)と、パッド部材52を覆う通気性のカバー部材53などを有している。このシートバック12は、リクライニング機構を備えたヒンジ装置(図示せず)によって、座部フレーム20の後部に傾動可能に取付けられている。
座部11の下面側に、車載品の一例である送風機(ブロア)60が配置されている。この送風機60を座部11に取付けるために、座部フレーム20に、第1ブラケット61と第2ブラケット62が設けられている。
図3に後枠部材31と第1ブラケット61と第2ブラケット62が示されている。これら第1ブラケット61と第2ブラケット62は、いずれも板金のプレス成形品である。第1ブラケット61は、送風機60を取付けるための主部である車載品取付部65と、車載品取付部65の前部に位置する第1ブラケット61の前端61aに形成された一対のフック部66と、車載品取付部65の後部に位置する第1ブラケット61の後端61bから上方に立ち上がる縦壁部67とを有している。
車載品取付部65は、おおむね車両の床15と平行な方向(略水平方向)に延びている。車載品取付部65の適宜個所に、曲げ剛性を高めるために、リブ等の凹部または凸部65aがプレスによって成形されている。車載品取付部65の下面に、送風機60が固定されている。
第2ブラケット62は、座部フレーム20の後枠部材31に取付けられる上端部70と、この上端部70から車両の床15に向って下方に延びる遮蔽プレート71とを有している。上端部70は、後枠部材31を周方向に半周以上巻き込むような円弧形状をなしている。この上端部70は、後枠部材31に完全に固定されていてもよいが、後枠部材31の周方向に回動可能に支持されていてもよい。
遮蔽プレート71の下端に、前方に折曲げられた折曲部72が形成されている。折曲部72に引っ掛け部73が形成されている。引っ掛け部73には、遮蔽プレート71の後面(リヤシート側の面)を覆うカバー部材(図示せず)の下端が係止されるようになっている。遮蔽プレート71には、第1ブラケット61に設けられた送風機60に接続される下記のダクト82を通すための開口部74が形成されている。
第2ブラケット62の上端部70に孔部70aが形成されている。後枠部材31の上面には、孔部70aと対応した位置に凸部31aが形成されている。凸部31aを孔部70aに嵌め合わせ、かつ、凸部31bを第2ブラケット62の上端部70の間に配置することにより、第2ブラケット62の左右方向の位置決めと、前後方向の回動範囲が規制されている。なお、凸部31aを第2ブラケット62の上端部70に設け、孔部70aを後枠部材31に形成してもよい。凸部31aと孔部70aの形状や位置等についても、この実施形態に制約されることはなく、任意の形状と位置を採用することができる。
第1ブラケット61の前端61aに設けられたフック部66は、第1ブラケット61の前部をばねユニット21に接続するための係止手段として機能する。すなわち第1ブラケット61の前端61aに設けられたフック部66を、ばね要素40の前後方向の途中の部分40aに引っ掛けることにより、第1ブラケット61の前端61aがばねユニット21に接続されている。
第1ブラケット61の後端61bに設けられている縦壁部67は、ボルト75とナット76によって、第2ブラケット62の上下方向中間部すなわち第2ブラケット62の上端部70と折曲部72との間の連結部77に結合されている。
図2に示されるように、第1ブラケット61の前端61aがばねユニット21のばね要素40に接続され、かつ、第1ブラケット61の後端61bが第2ブラケット62の上端部70の下方の連結部77に結合されているため、ばねユニット51と第1ブラケット61の車載品取付部65との間に、ばね要素40が上下方向に撓むことを許容する空間部80が形成されている。また第2ブラケット62の上端部70が後枠部材31によって支持されているため、第2ブラケット62の遮蔽プレート71は、後枠部材31付近を中心として前後方向に回動することができる。
第1ブラケット61は、前端61aに設けられたフック部66によって、ばね要素40に引っ掛けられている。このことにより、後枠部材31付近を中心とした第2ブラケット62の前後方向の回動に伴う第1ブラケット61とばね要素40との前後方向の相対移動が、フック部66によって吸収される。
また、ばね要素40に接続された第1ブラケット61と、後枠部材31に上端が引っ掛けられている第2ブラケット62とが、連結部77においてボルト75とナット76によって互いに固定されている。このことにより、第1ブラケット61のばね要素40に対する組付き性が向上するとともに、第2ブラケット62が後枠部材31から上方に外れることを防止できる。
図1に示すように、送風機60の送風口に、第1のダクト81と第2のダクト82が接続されている。第1のダクト81の空気吹出口81aは、座部11のばねユニット21に取付けられている。この空気吹出口81aは、座部11の通気性のカバー部材23の内側において開口している。第2のダクト82の空気吹出口82aは、シートバック12のばねユニット51に取付けられている。この空気吹出口82aは、シートバック12の通気性のカバー部材53の内側において開口している。
次に前記構成の車両用シート10の作用について説明する。
車両用シート10の座部11に乗員が着座すると、図4に示すように、着座荷重が矢印Aで示す方向に加わることにより、パッド部材22が下方に圧縮されるとともに、ばねユニット21のばね要素40が下方に撓む。このため第1ブラケット61の前側部分が下がる。
また、ばねユニット21と第1ブラケット61との間に空間部80が形成されているため、着座荷重によってばね要素40が空間部80内を下方に撓むことが許容される。例えばこのばね要素40は、図4に2点差線で示す位置P1付近まで弾性的に撓むことができる。よって、ばねユニット21とパッド部材22とが協働してクッション性を発揮することにより、着座荷重を弾性的に支持することができ、着座時に底突き感が生じることがない。
図4に矢印Bで示すように、リヤシートに着座している乗員の足90が座部11と床15との間の隙間に向って矢印B方向に移動すると、足90の先端が第2ブラケット62の遮蔽プレート71に当たる。このため足90が送風機60を蹴ってしまうことを遮蔽プレート71によって抑制でき、送風機60が破損したり変形することが防止される。
足90が遮蔽プレート71に当ると、遮蔽プレート71の下部側が後枠部材31付近を中心として前側に回動することにより、遮蔽プレート71が矢印C方向に移動する。この遮蔽プレート71の動きに伴い、第1ブラケット61の後部側が矢印D方向に上昇する。ここで第1ブラケット61の前部がばねユニット21に係止されているため、矢印B方向の足蹴りによって座部11に入力される荷重は、第1ブラケット61の前端61aに設けられたフック部66とばねユニット21が撓むことによって吸収される。
よって座部11に着座している乗員に不快な当接感を与えてしまうことを回避できるとともに、足90が第2ブラケット62に当たった時に足先が受ける衝撃を緩和することができ、足先が痛くなることを防止できる。
送風機60を作動させると、送風機60から供給される空気が第1のダクト81の空気吹出口81aから座部11に噴き出す。また送風機60から供給される空気が第2のダクト82の空気吹出口82aからシートバック12に噴き出す。このため着座中の蒸れ感が解消あるいは軽減され、座り心地がさらに良いものとなる。
以上説明したように本実施形態の車両用シート10は、第1ブラケット61の前端61aがばねユニット21に接続され、第1ブラケット61の後端61bが第2ブラケット62の上下方向中間部である連結部77に結合されていることにより、ばねユニット21と第1ブラケット61との間に、ばね要素40が上下方向に撓むことを許容する空間部80が形成されている。このため、送風機60が座部11の下方に配置されていても、着座荷重による座部11の上下方向の撓みストロークを確保することができ、良好な座り心地を確保できる。しかも送風機60の振動が座部11に伝わりにくいものである。
また、リヤシートに着座した乗員の足90が座部11と床15との間に入り込むことを遮蔽プレート71によって防止できるため、送風機60を足蹴りから保護できるとともに、足90が遮蔽プレート71に当たっても、第1ブラケット61と第2ブラケット62が適度に移動できることにより、足90が受ける衝撃を緩和することができる。
なお本発明を実施するに当たって、座部フレーム、ばねユニット、パッド部材、車載品、第1ブラケット、第2ブラケット等の座席の構成要素の構造と配置等を適宜に変更して実施できることは言うまでもない。車載品は送風機以外に、車載コンピュータ(ECU)やナビゲーションシステムの制御ボックス、オーディオ機器の一部等であってもよく、種類は問わない。
前記実施形態ではフロントシートを例にあげて説明したが、本発明を適用する車両用シートは前記実施形態に限定されるものではない。例えば本発明に係る車両用シートの構造をリヤシートに適用することによって、リヤシートの後側の荷物スペースに置かれた荷物等がリヤシートに衝突した時の対策にもなる。また3列シートを有する車両において、本発明を2列目のシートや3列目のシートに適用してもよい。
本発明の一実施形態に係る車両用シートの内部構造を示す斜視図。 図1に示された車両用シートの一部の縦断面図。 図1に示された車両用シートの第1ブラケットと第2ブラケットの分解斜視図。 図1に示された車両用シートに着座荷重が加わった状態の縦断面図。
符号の説明
10…車両用シート
11…座部
20…座部フレーム
21…ばねユニット
22…パッド部材
31…後枠部材
40…ばね要素
60…送風機(車載品の一例)
61…第1ブラケット
62…第2ブラケット
65…車載品取付部
71…遮蔽プレート
80…空間部

Claims (2)

  1. 座部と、該座部の下に配置される車載品とを有する車両用座席であって、
    前記座部は、
    前側に位置する前枠部材および後側に位置する後枠部材および左右一対の側枠部材を含む座部フレームと、
    前記座部フレームに張り渡された複数本のばね要素を含むばねユニットと、
    前記ばねユニットの上に配置されたパッド部材と、
    前記車載品を取付けるための車載品取付部を有する第1ブラケットと、
    前記後枠部材によって支持される上端部と該上端部から下方に延びる遮蔽プレートを有する第2ブラケットとを具備し、
    前記第1ブラケットの前部が前記ばねユニットに接続され、
    前記第1ブラケットの後部が前記第2ブラケットの前記上端部の下方の連結部に結合され、
    前記遮蔽プレートが前後方向に移動可能であり、かつ、
    前記ばねユニットと前記第1ブラケットとの間に前記ばね要素が上下方向に撓むことを許容する空間部が形成され
    前記ばね要素が前記座部フレームの前記前枠部材と前記後枠部材との間に張り渡され、前記第1ブラケットの前端が前記ばねユニットの前記ばね要素に接続され、かつ、この第1ブラケットの後端が前記第2ブラケットの前記上端部の下方の前記連結部に結合されていることを特徴とする車両用シート。
  2. 前記車載品が前記座部に空気を供給する送風機であり、該送風機が前記第1ブラケットの前記車載品取付部の下面に取付けられていることを特徴とする請求項に記載の車両用シート。
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