JP5291477B2 - 電動弁 - Google Patents

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本発明は、冷凍サイクルシステムにおける冷媒の流量制御等に使用される電動弁に関する。
上記電動弁として、特許文献1には、電動モータのロータの回転を利用して弁体を弁座に接離させる駆動機構を備え、該弁の全閉時に、弁軸ホルダに固着された上ストッパ体がガイドブッシュに固着された下ストッパ体に衝突し、弁軸の回転下動が終了する電動弁が提案されている。この電動弁は、全開方向については、最終的に弁軸ホルダが弁本体に固定されたガイドブッシュとの螺合が解除され、弁軸の上動が終了するねじ抜け構造を採用している。
一方、特許文献2には、弁座及び弁体等を備えたバルブ部と、該バルブ部の上方に位置し、ロータの回転により前記弁座に弁体を接離させるステッピングモーター部とで構成され、密閉型ケース内のロータの上方に該弁の全開ストッパと全閉ストッパとを備える電動式コントロールバルブが提案されている。
特開2006−70990号公報 実公平3−9565号公報
しかし、特許文献1に記載の電動弁のような全開方向のねじ抜け構造は、弁軸ホルダとガイドブッシュとの螺合を解除することができない構成を有する電動弁には採用することができない。
また、特許文献2に記載の電動式コントロールバルブでは、全開閉ストッパがロータの上方に位置するため、電動式コントロールバルブの全長が長くなる上、全開閉ストッパに用いる部品点数が多くなり、バルブの組立作業性が悪化し、製造コストの上昇に繋がるという問題があった。また、このような全開閉ストッパをロータ内に設置しようとすると、設置スペースを設けるために弁軸ホルダの外径を小さくする必要があり、これに伴い、弁体を付勢するためのコイルばねの設置スペースを確保することが困難となる。そのため、大きな弁口径を維持しながら電動弁を小型化することが困難であるという問題があった。
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、部品点数が少なく、組立が容易で、小型化しても大きな弁口径を維持することのできる電動弁を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、電動モータのロータの回転に伴って回転し、弁本体に固定された雌ねじ部材と螺合する雄ねじ部材と、該雄ねじ部材が回転することにより、前記弁本体内の弁座と接離する弁体とを備えた電動弁において、前記電動モータのロータの回転に伴って回転する2つのストッパ部と、前記雌ねじ部材に、該電動弁の全開時において、前記2つのストッパ部の一方と当接して前記雄ねじ部材の弁開方向の回転を規制する全開ストッパ部と、該電動弁の全閉時において、前記2つのストッパ部の他方と当接して前記雄ねじ部材の弁閉方向の回転を規制する全閉ストッパ部とを備え、前記ロータの回転に伴って回転する前記2つのストッパ部は、前記雄ねじ部材に螺嵌されることを特徴とする。
そして、本発明によれば、雌ねじ部材に、電動弁の全開時及び全閉時に機能する2つのストッパ部を設けたため、電動弁の小型化が可能となる上、部品点数が少なく、組立性も良好な電動弁を提供することができる。また、雌ねじ部材に全開ストッパ部と全閉ストッパ部両方を設けているため、全開ストッパ部と全閉ストッパ部の位置関係を安定させることもできる。また、前記ロータの回転に伴って回転する前記2つのストッパ部を前記雄ねじ部材に螺嵌することにより、前記2つのストッパ部が前記全開ストッパ部及び前記全閉ストッパ部に対してねじを基準として位置決めされるため、これらの相対位置関係を精度良く決定することができる。
上記電動弁において、前記雌ねじ部材の前記全閉ストッパ部に当接する前記他方のストッパ部を、前記ロータと前記雄ねじ部材とを接続する支持リングあるいは前記ロータに設けることができる。また、前記雌ねじ部材の前記全閉ストッパ部に当接する前記他方のストッパ部を、前記雄ねじ部材の側表面に設けることができる。
さらに、上記電動弁において、前記全開ストッパ部及び前記全閉ストッパ部を、前記雌ねじ部材に一体成形することができ、より一層の部品点数の減少、電動弁の組立性の向上を図ることができる。
また、上記電動弁において、前記雄ねじ部材と前記弁体との間に、該雄ねじ部材より外径が大径で、内部に前記弁体を前記弁座方向に付勢するコイルばねを備えるばね収容部を備え、該ばね収容部の前記ロータ側外表面に前記一方のストッパ部を備えるように構成することができる。これにより、コイルばねの設置スペースを充分に確保することが可能となり、大きな弁口径を維持しながら電動弁を小型化することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、部品点数が少なく、組立が容易で、小型化しても大きな弁口径を維持することのできる電動弁を提供することができる。
本発明にかかる電動弁の第1の実施形態を示す断面図であって、(a)は全閉時、(b)は全開時を示す。 本発明にかかる電動弁の第2の実施形態を示す断面図であって、(a)は全閉時、(b)は全開時を示す。 本発明にかかる電動弁の第3の実施形態を示す断面図であって、(a)は全閉時、(b)は全開時を示す。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明にかかる電動弁の第1の実施形態を示し、図1(a)は全閉時の断面図を示し、図1(b)は全開時の断面図を示す。この電動弁1は、2本の導管2、3と弁座4とを備える弁本体5と、弁本体5に接合されたキャン6と、キャン6の内部に配置され、電動モータの一部を構成するロータ7と、キャン6の外周部に固定され、ロータ7を回転駆動するステータ(不図示)と、支持リング9を介してロータ7に一体に連結された弁軸(雄ねじ部材)10と、弁本体5に下端部が圧入固定され、弁軸10が内挿された弁軸ホルダ11(雌ねじ部材)と、弁軸10の下端部に係止された弁体12等で構成される。
弁本体5は、円筒状に形成され、2本の導管2、3によって形成される2つの流路2a、3aに連通する弁室5aを備える。弁室5aと流路3aとの間に弁座4が位置し、弁体12を弁座4に接離させることで電動弁1が開閉する。
キャン6は、下部が開口し、上部が閉じた円筒状に形成され、弁本体5の上部に接合される。キャン6の内部には、ロータ7等の主要部品が収容される。
ロータ7は、円筒状に形成され、キャン6の内部に回転可能に配置される。このロータ7は、該ロータ7の上部に固定された支持リング9を介して弁軸10と一体に連結される。支持リング9には、全閉上ストッパ部9aが弁軸ホルダ11の上面に向かって突出するように一体に形成される。ロータ7と、キャン6の外周部に固定されたステータとで電動モータが構成され、ステータへの給電によりロータ7が回転する。
弁軸10は、上部に雄ねじ部10aが螺刻されるとともに、下端部10cが下方に向かって開口し、天井部10eを備えるばね収容部10bを形成し、下端部10cには、弁体12の係止リング16がかしめ固定される。ばね収容部10b内には、弁体12をボール13を介して下方に付勢する緩衝用のコイルばね14が縮装される。天井部10eの雄ねじ部10a側の面には、雄ねじ部10aに螺嵌されて固定される全開下ストッパ部17が設けられる。
弁軸ホルダ11は樹脂製で、上部に雌ねじ部11aが成形されるとともに、雌ねじ部11aの下方には天井部11eを備える筒状の嵌挿部11bが設けられている。この嵌挿部11bはばね収容部10bの外周に配在され、下端部11cが下方に向かって開口している。なお、弁軸ホルダ11は連結保持部5bに一体成形されており、連結保持部5bは弁本体5に圧入されることによって固定される。そして、弁軸ホルダ11の雌ねじ部11aと弁軸10の雄ねじ部10aとが螺合し、弁軸ホルダ11の内部を弁軸10が上下方向に案内される。また、弁軸ホルダ11の上面には、全閉下ストッパ部11dが設けられ、天井部11eのばね収容部10b側の面には、全開上ストッパ部11fが設けられる。弁軸ホルダ11の側面には、弁室5aとキャン6との均圧を図る均圧孔15が穿設される。
弁体12は、下部に円錐状部分を有し、全体的に円柱状に形成される。弁体12の上部12aは、弁軸10のばね収容部10bに内挿されるとともに、弁軸10の係止リング16により抜け止め係止される。
次に、上記構成を有する電動弁1の動作について、図1を参照しながら説明する。
電動弁1を閉じる場合には、図1(b)の状態で、ステータに一方向の通電を行い励磁すると、ロータ7が上面視時計方向に回転すると同時に弁軸10も回転下降し、弁体12が弁座4に着座して電動弁1が閉弁する。
弁体12が弁座4に着座した時点では、全閉上ストッパ部9aが全閉下ストッパ部11dまで到達せず、ロータ7がさらに回転可能な状態にある。ロータ7がさらに上面視時計方向に回転し、全閉上ストッパ部9aが全閉下ストッパ部11dに当接すると、ロータ7の回転が強制的に停止される。
また、弁体12が弁座4に着座すると、弁体12の移動は停止するが、弁軸10はさらに下降するため、コイルばね14が圧縮されて弁体12を弁座4に押圧し、図1(a)に示す姿勢で動作が終了する。
一方、電動弁1を開く場合には、図1(a)の状態で、ステータに上記とは逆方向の通電を行い励磁すると、ロータ7が上面視反時計方向に回転し、弁軸10が上昇し、弁体12が弁座4から離れて電動弁1が開弁する。そして、ロータ7がさらに回転し、全開下ストッパ部17が全開上ストッパ部11fに当接すると、ロータ7の回転が停止し、弁体12の上昇も停止する。
以上のように、本実施の形態によれば、弁軸ホルダ11に、電動弁1の全開時及び全閉時に機能する2つのストッパ部11d、11fを一体成形したため、電動弁1の小型化が可能となる上、部品点数が少なくなり、さらに、弁軸ホルダ11に2つのストッパ部11d、11fを一体成形したため、2つのストッパ部11d、11fの位置関係を安定させることができ、組立性が向上する。
また、弁軸10にコイルばね14を収容するばね収容部10bを設け、このばね収容部10bの外径を雄ねじ部10aの外径より大径に形成し、ばね収容部10bのロータ7側の外表面に全開下ストッパ部17を設けたため、コイルばね14の設置スペースを充分に確保することが可能となり、大きな弁口径を維持しながら電動弁1を小型化することが可能となる。
なお、上記実施の形態においては、全開下ストッパ部17を弁軸10とは別部材として構成したが、部品点数の削減や組立性向上の観点から、弁軸10と一体成形することもできる。
また、全閉下ストッパ部11dを弁軸ホルダ11の上面に形成したが、全閉下ストッパ部11dの位置は、必ずしも弁軸ホルダ11の上面に限定されず、全閉下ストッパ部11dを弁軸ホルダ11の側面部に配置してもよい。この場合、全閉上ストッパ部9aの位置も半径方向外側へ合わせて変更する。
次に、本発明にかかる電動弁の第2の実施形態について、図2を参照しながら説明する。
この電動弁21は、図1に示した電動弁1と以下の点で異なる。すなわち、弁軸30と弁体32との間にばね収容部33を介装し、コイルばね34をばね収容部33の内部に縮装し、下方に凸状に形成された椀状部材23を介して弁体32を押圧している。また、弁本体25を薄肉の椀状に形成し、樹脂で成形した弁軸ホルダ31を接合リング35を介して溶接等で弁本体25に装着している。弁軸30の上端の側表面に全閉上ストッパ部37aを有するストッパ部材37が螺嵌され、弁軸ホルダ31の嵌挿部31aの天井部内面には全開上ストッパ部31bが形成され、弁軸ホルダ31の上端には全閉下ストッパ部31cが形成されている。弁体32は、弁軸30の下端部30aにおいてかしめ固定されているばね収容部33に圧入固定されている係止リング36により抜け止め係止されている。椀状部材23、薄肉の弁本体25、及び樹脂成形した弁軸ホルダ31を用いたのは、電動弁21の軽量化のためである。他の構成要素は第1の実施形態の電動弁1と同様であり、第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
上記構成を有する電動弁21についても、電動弁1と同様の弁の全開全閉機能を発揮させることができ、部品点数が少なく、組立が容易で、小型化しても大きな弁口径を維持することができ、より軽量化を図った電動弁を実現することができる。
次に、本発明にかかる電動弁の第3の実施形態について、図3を参照しながら説明する。
この電動弁41は、金属製の雌ねじ部42を弁軸ホルダ51に一体成形した点が図2に示した電動弁21と異なっている。弁軸ホルダ51の嵌挿部51aの天井部内面には全開上ストッパ部51bが形成され、弁軸ホルダ51の上端には全閉下ストッパ部51cが形成されている。弁軸ホルダ51及び雌ねじ部42により本発明の雌ねじ部材が構成されている。他の構成要素は電動弁21と同様である。金属製の雌ねじ部42を弁軸ホルダ51に一体成形したのは、用途に応じて雌ねじ部42の材質(耐摩耗性)を任意に選定できる自由度を持たせるという理由からである。
このような構成を有する電動弁41についても、電動弁1及び電動弁21と同様の弁の全開全閉機能を発揮させることができ、部品点数が少なく、組立が容易で、小型化しても大きな弁口径を維持することのできる電動弁を実現することができる。
1 電動弁
2 導管
2a 流路
3 導管
3a 流路
4 弁座
5 弁本体
5a 弁室
5b 連結保持部
6 キャン
7 ロータ
9 支持リング
9a 全閉上ストッパ部
10 弁軸
10a 雄ねじ部
10b ばね収容部
10c 下端部
10e 天井部
11 弁軸ホルダ
11a 雌ねじ部
11b 嵌挿部
11c 下端部
11d 全閉下ストッパ部
11e 天井部
11f 全開上ストッパ部
12 弁体
12a 上部
13 ボール
14 コイルばね
15 均圧孔
16 係止リング
17 全開下ストッパ部
21 電動弁
23 椀状部材
25 弁本体
30 弁軸
30a 下端部
31 弁軸ホルダ
31a 嵌挿部
31b 全開上ストッパ部
31c 全閉下ストッパ部
32 弁体
33 ばね収容部
34 コイルばね
35 接合リング
36 係止リング
37 ストッパ部材
37a 全閉上ストッパ部
41 電動弁
42 雌ねじ部
51 弁軸ホルダ
51a 嵌挿部
51b 全開上ストッパ部
51c 全閉下ストッパ部

Claims (5)

  1. 電動モータのロータの回転に伴って回転し、弁本体に固定された雌ねじ部材と螺合する雄ねじ部材と、
    該雄ねじ部材が回転することにより、前記弁本体内の弁座と接離する弁体とを備えた電動弁において、
    前記電動モータのロータの回転に伴って回転する2つのストッパ部と、
    前記雌ねじ部材に、該電動弁の全開時において、前記2つのストッパ部の一方と当接して前記雄ねじ部材の弁開方向の回転を規制する全開ストッパ部と、該電動弁の全閉時において、前記2つのストッパ部の他方と当接して前記雄ねじ部材の弁閉方向の回転を規制する全閉ストッパ部とを備え
    前記ロータの回転に伴って回転する前記2つのストッパ部は、前記雄ねじ部材に螺嵌されることを特徴とする電動弁。
  2. 前記雌ねじ部材の前記全閉ストッパ部に当接する前記他方のストッパ部は、前記ロータと前記雄ねじ部材とを接続する支持リングあるいは前記ロータに設けられることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
  3. 前記雌ねじ部材の前記全閉ストッパ部に当接する前記他方のストッパ部は、前記雄ねじ部材の側表面に設けられることを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
  4. 前記全開ストッパ部及び前記全閉ストッパ部は、前記雌ねじ部材に一体成形されることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の電動弁。
  5. 前記雄ねじ部材と前記弁体との間に、該雄ねじ部材より外径が大径で、内部に前記弁体を前記弁座方向に付勢するコイルばねを備えるばね収容部を備え、該ばね収容部の前記ロータ側外表面に前記一方のストッパ部を備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の電動弁。
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