JP5290687B2 - 壁紙用裏打ち紙 - Google Patents

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Description

本発明は、塩化ビニル壁紙等の壁紙用裏打ち紙に関し、特に加熱時及び吸湿時においても寸法安定性が高く、ビニルペースト加工適性やその後の乾燥工程適性に優れた、塩化ビニル壁紙(以下、ビニル壁紙と称す)等の壁紙用として好適な裏打ち紙に関する。
壁紙は、一般住宅、ホテル、病院等における室内のインテリアのために、長期間壁に貼付して使用される。壁紙には塩化ビニル壁紙(以下、ビニル壁紙と称す)、オレフィン壁紙、織物壁紙、紙壁紙、無機質壁紙等があるが、これらの壁紙は、塩化ビニル樹脂層、オレフィン樹脂層、織物層、紙層、無機質層等の化粧層と、該化粧層を保持するための裏打ち紙により構成されている。
ビニル壁紙は、ビニルペーストを裏打ち紙の表面に塗工し、塗工物がゲル化した後、印刷、発泡、エンボス等の加工を行って製品化される。ビニル壁紙は織物壁紙等に比較して安価であるため広く用いられているが、ビニルペーストの塗工時、あるいはその後の乾燥工程において、裏打ち紙幅方向の両端部に波打ち状の変形(バタツキ)が発生し、このバタツキがひどくなると断紙が発生するという問題がある。これは、紙中水分の変化によって裏打ち紙に寸法変化が生じるためである。また、塩化ビニル樹脂層表面に裏打ち紙のパルプ繊維の毛羽立ちが原因となる突起ができ、この部分に印刷不良(白抜け)が発生するという問題もある。特に、近年ビニルペースト加工工程の高速化に伴い、ビニルペースト塗工後のゲル化温度がより高温化されるようになった。そのために、裏打ち紙に対してこれまでより大きなせん断力が加わるようになり、上記の諸問題が従来以上に発生しやすくなってきたので、これらの問題に対する対策が従来以上に求められている。
上記諸問題に対する対策の一つとして、壁紙の難燃化に伴う裏打ち紙の難燃化の観点から、有機繊維と、全重量当たり50〜70質量%の無機物質を主成分として含有するビニル壁紙裏打ち用難燃紙が提案されている(特許文献1)。この発明においては、全重量当たり有機繊維を3〜7質量%、全繊維原料当たり難燃性樹脂を0.3〜6質量%含有させることによって、寸法安定性が改善されている。しかしながら、この難燃紙は、上記したようにパルプ以外の合成繊維を混抄しているだけでなく、無機顔料を全重量当たり50〜70質量%も含むため、地合が悪化するという欠点があった。
特開平8-127999号公報
また、ビニル壁紙裏打ち用難燃紙の施工特性を改善するという観点から、分子量5万以上30万以下のポリアクリルアミドを主成分とする表面塗布剤を塗布し、さらにこの塗布面上に耐水化剤をオーバーコートすることによって、ブロッキングの改善を図ると共に腰を向上させたビニル壁紙裏打ち用難燃紙が提案されている(特許文献2)が、この場合には、吸水時における寸法安定性の改善が不十分であるという欠点があった。
特開平6-280192号公報
更に新しい対策としては、全重量当たりポリエチレングリコールを2〜25質量%含有させることによって、特に加熱時及び吸湿時における寸法安定性を改善した、ビニル壁紙用裏打ち紙が提案されている(特許文献3)。しかしながら、この発明の場合には、良好な寸法安定性を得るために、ポリエチレングリコールを2%以上含有させる必要があり、コストの面で問題があった。
特開2001-262490号公報
一方、加工工程において発生する表面の毛羽立ちが少ないだけでなく、壁面から壁紙を剥離する際のピール適性が良い上、オープンタイムが長く、施工時の作業性に優れる壁紙用裏打ち紙として、アクリル系樹脂を含有させてなる壁紙用裏打ち紙が提案されている(特許文献4)。しかしながらこの発明は、ガラス転移温度が20℃〜100℃のアクリル系樹脂を2g/m〜7g/mも含有させるため、生産コストが高くなるという欠点があった。
特開2006−97208号公報
したがって本発明の第1の目的は、吸水時における寸法安定性に優れ、ビニルペーストの塗工時、あるいはその後の乾燥工程において、裏打ち紙幅方向の両端部にバタツキが発生し難い、壁紙用裏打ち紙を提供することにある。
本発明の第2の目的は、塩化ビニルペースト等の塗工時、或いはその後の乾燥工程において毛羽立ちの発生が少ない、適度な紙力を有する壁紙用裏打ち紙を提供することにある。
本発明者等は、上記の諸目的を達成すべく鋭意検討した結果、紙基材に、特定の多価アルコール及び填料を一定の範囲で含有させることにより、良好な結果を得ることができることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、少なくともパルプを含有する紙基材からなる壁紙用裏打ち紙において、前記紙基材が、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2―ブタンジオール、1,4―ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2,3―ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、グリセリン、エリトリトール、及びキシリトールの中から選択された少なくとも1種の多価アルコールを0.1質量%〜25質量%含有すると共に、填料を1〜30質量%含有することを特徴とする壁紙用裏打ち紙である。
本発明においては、前記多価アルコールの含有量が0.3質量%〜25質量%であることが好ましく、該多価アルコールが、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エリトリトール、キシリトールから選択された少なくとも1種であることが必要であり、特に、グリセリンであることが好ましい。また、本発明においては、該填料として、クレー、焼成クレー、デラミネーティッドクレー、カオリン、焼成カオリン、デラミネーティッドカオリン、及びイライトから選択された少なくとも1種を含有することが好ましく、特に、焼成クレー、カオリン、イライトから選択された少なくとも1種を含有することが好ましい。
本発明のビニル壁紙用裏打ち紙は、高価な材料を使用しないにもかかわらず適度な紙力を有するので、加熱時及び吸湿時における寸法安定性が高く、ビニルペースト加工適性やその後の乾燥適性等の製造適性に優れる上、製造工程において裏打ち紙の表面繊維が起き上がらないので毛羽立ちの発生が少なくなるという、本発明格別の効果を有する。
本発明の壁紙用裏打ち紙に使用する、特定の多価アルコールの含有量は、紙基材に対して0.1質量%以上25質量%以下の範囲であることが必要であるが、0.3質量%以上10質量%未満であることが好ましく、特に、0.5質量%以上5質量%未満であることが好ましい。特定の多価アルコールの含有量が0.1質量%未満であると寸法安定性及び毛羽立ち防止の改善が不十分であり、25質量%を超えると紙力の低下が顕著となる。
上記した特定の多価アルコールとして、本発明においては、プロピレングリコール、13−ブチレングリコール、12―ブタンジオール、14―ブタンジオール、12−ペンタンジオール、15−ペンタンジオール、13―ブタントリオール、13−ペンタントリオール、グリセリン(13−プロパントリオール)、エリトリトール、及びキシリトールの中から少なくとも1種を選択して使用することが必要であるが、本発明においてはグリセリンを使用することが好ましい。グリセリンは水溶性高分子(特にPVA)の可塑化効果が高いので、特に好ましく用いることができる。
上記した特定の多価アルコールを紙基材に含有させる方法としては、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター、カーテンコーター等の通常使用される塗工機を用いて、塗布または含浸する方法が好ましい。また、寸法安定性を悪化させない範囲で、表面強度やサイズ性を付与することを目的として、通常使用する表面処理剤を上記多価アルコールに混合して塗布または含浸させてもよい。上記通常使用する表面処理剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、澱粉、加工澱粉等が例示される。
本発明の壁紙用裏打ち紙に使用する紙基材は、針葉樹の晒しクラフトパルプ(NBKP)、広葉樹の晒しクラフトパルプ(LBKP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、脱墨パルプ(DIP)を、単独または任意の配合率で混合して抄紙したものである。
本発明においては、使用するパルプのカナダ標準濾水度(CSF)を450ml〜550mlに調整することが好ましい。パルプのCSFは、前記した少なくとも1種のパルプを叩解して上記範囲に調整すれば良い。2種類以上のパルプを使用する場合には、別々に叩解したパルプを混合して上記範囲にしても、予め混合したパルプを叩解して上記範囲に調整してもよい。パルプのCSFが450mlより小さいと、水性の糊を用いて施工する際に、壁紙の伸びが大きくなるだけでなく乾燥時の収縮も大きくなり、隣同士に貼った壁紙の目開き(隙間)が大きくなるので好ましくない。パルプのCSFが550mlより大きいと紙力が不十分になるため、ビニルペースト等の塗工時に断紙が発生し易くなる上、原紙に毛羽立ちが発生し易くなるので好ましくない。
本発明の壁紙用裏打ち紙に使用する紙基材には、不透明度を向上させるために、填料を紙基材当たり1〜30質量%含有させることが必要である。上記填料としては、一般の抄紙において使用される填料の中から適宜選択した、少なくとも1種を使用することができる。このような填料としては例えば、カオリン、焼成カオリン、デラミネーティッドカオリン、クレー、焼成クレー、デラミネーティッドクレー、イライト、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などの無機填料、及び、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂等の有機填料などが挙げられる。
本発明においては、上記の填料の中でも、ビニルペースト塗工時のブリスター(裏打ち紙と塩化ビニル層との間の膨れ)の発生を抑制することが可能である、クレー、焼成クレー、デラミネーティッドクレー、カオリン、焼成カオリン、デラミネーティッドカオリン、イライトから選択された少なくとも1種の板状無機填料を使用することが好ましく、特に、給油量が大きい焼成クレー、カオリン、及びイライトから選択された少なくとも1種を使用することが好ましい。
本発明においては、壁紙用裏打ち紙に難燃性を付与することもできる。難燃性を付与するためには、前述した特定の多価アルコールと共に難燃剤を含有する塗工液を塗布または含浸させるか、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等を、填料として更に裏打ちし中に配合することが好ましい。前記難燃剤としては、スルファミン酸グアニジン、スルファミン酸グアニジンメチロール化物、リン酸グアニジン、スルファミン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等を単独または混合して使用することができる。
本発明の壁紙用裏打ち紙は、水に一時間浸漬した後の寸法変化が1.7%以下であることが好ましい。寸法変化とは、具体的には、JAPAN TAPPI No.27:2000の、紙及び板紙−水中伸度試験方法A法に従い、壁紙用裏打ち紙の短冊状の試験片を23℃、50%R/H雰囲気下で調湿した後の試験片の抄紙横方向の長さと、同試験片を水に15分浸漬した後に取り出した直後に測定した抄紙横方向の長さから、以下の式によって求められる水中伸度である。
水中伸度(%)=[{(水に1時間浸漬後の長さ)−(水浸漬前の長さ)}/(水浸漬前の長さ)]×100
本発明の壁紙用裏打ち紙には、通常の紙と同様にサイズ剤が内添及び/又は外添されていてもよい。サイズ剤としては、酸性抄きの場合、ロジン系サイズ剤、ロジンエマルジョン系サイズ剤、α−カルボキシルメチル飽和脂肪酸等を使用することができる。また、中性抄きの場合には、中性抄紙用ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、カチオンポリマー系サイズ剤を使用することができる。サイズ剤の添加量は特に限定されるものではないが、ステキヒトサイズ度で10秒以上となるように使用することが好ましい。また、サイズプレス等を用いた外添においても、ロジン系、合成樹脂系等の表面サイズ剤を使用することが可能である。
本発明の壁紙用裏打ち紙は、表面強度を高めるために、水溶性高分子及び/または水分散性高分子を主成分とする表面処理剤を含有する塗工液を、少なくとも化粧層を設ける側の表面に塗工することが好ましい。例えば、ビニル壁紙の場合には、壁紙用裏打ち紙の表面に塩化ビニルペーストを塗布し、塩化ビニルペーストの硬化後、印刷工程に付されて塩化ビニル層が化粧層となる。このとき壁紙用裏打ち紙の表面強度が低いと、化粧層の塗工時に紙表面の繊維が毛羽立ち、硬化後に該毛羽立ち部が壁紙表面で突起状となり、印刷不良の原因となる。したがって、前記毛羽立ちを防止するために、本発明においては、前記表面処理剤を、上記した特定の多価アルコールを含有する塗工液中に混合して塗工してもよい。この場合、該表面処理剤と前記特定の多価アルコールとの割合は、固形分重量比で、表面処理剤1に対して特定の多価アルコールが0.006〜30の範囲であることが好ましい。
上記表面処理剤の主成分として使用される水溶性高分子としては、酸化澱粉、酵素変性澱粉等の各種変性澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、カゼイン等を適宜使用することが可能である。また、水分散性高分子としては、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体ラテックス、アクリル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン等を適宜使用することができる。このとき水溶性高分子及び/または水分散性高分子を単独で使用してもよいが、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、シリカ等の各種顔料と混合して使用することもできる。
前記表面処理剤の塗工量は、固形分で0.2〜10g/mとすることが好ましい。塗工量が0.2g/m未満であると毛羽立ちが多くなり、10g/mを超えると裏打ち紙表面が完全に高分子で覆われるため、化粧層と裏打ち紙層の間におけるアンカー効果が低下する。
また、本発明の壁紙用裏打ち紙においては、品質に影響のない範囲で、定着剤、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、硫酸バンド、歩留り向上剤、染料、顔料等を内添薬品として使用することができる。更にサイズプレス等を用いて塗工又は含浸させる外添薬品として、表面紙力剤、染料、顔料等を使用することができる。
本発明の壁紙用裏打ち紙の坪量は、40g/m以上120g/m以下であることが好ましい。坪量が40g/m未満であると強度が低く、加工時に断紙が発生し易くなる。また、坪量が120g/mを超えると壁紙に加工した時に硬くなりすぎ、施工が困難となるという欠点が生じる。
本発明の壁紙用裏打ち紙は公知の抄紙機によって適宜製造することができ、その抄紙条件は特に限定されるものではない。抄紙機としては、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機等を使用することができる。
このようにして製造される本発明の壁紙用裏打ち紙は、寸法安定性に優れるだけでなく、塩化ビニルペースト等を塗工した際等に、表面に発生する毛羽立ちが少ないという特徴を有する。尚、毛羽立ちの評価は、アプリケータを用いて塩化ビニルペーストを塗工した時に発生する、塩化ビニル塗工面の毛羽立ち個数(凸部の数)を数えることによって行うことができる。
本発明の壁紙用裏打ち紙の上層に、化粧層を設けて壁紙とする。製品としては、例えば、化粧層としてビニル層を設けたビニル壁紙、オレフィン層を設けたオレフィン壁紙、織物層を設けた織物壁紙、紙層を設けた紙壁紙、無機質層を設けた無機質壁紙等の壁紙製品が挙げられる。何れの場合にも、化粧層となる層を設けた後に、必要に応じて印刷したり、発泡処理やエンボス処理を行ったりして化粧層とする。
以下に、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例で作製したビニル壁紙用裏打ち紙について、下記に示した方法にて、毛羽立ち、寸法安定性及び紙力を評価した。
<寸法安定性の評価>
JAPAN TAPPI No.27:2000の紙及び板紙−水中伸度試験方法A法に従い、壁紙用裏打ち紙の短冊状の試験片を23℃、50%R/H雰囲気下で調湿した後の試験片の抄紙横方向の長さ、及び、同試験片を水に1時間浸漬した後に取り出した直後に測定した抄紙横方向の長さを測定し、以下の式にて水中伸度を算出した。
水中伸度(%)=[{(水に1時間浸漬後の長さ)−(水浸漬前の長さ)}/(水浸漬前の長さ)]×100
このようにして算出された水中伸度が1.7%以下であれば寸法安定性が良好(○)とし、水中伸度が1.7%を超えた場合には寸法安定性が不良(×)とした。
<毛羽立ちの評価>
壁紙用裏打ち紙を23℃、50RH%の環境下で24時間調湿した後、32cm(MD方向)×15cm(CD方向)となるように断裁した。なお、サンプリングに際しては、紙面を擦らないように十分注意した。ガラス板上に、坪量150g/mの上質紙を2枚敷き、クリップで固定した。次に、幅250mm×長さ130mm×厚さ15mmの金属直方体(重さ約400g)にガーゼを4重に巻きつけ、上質紙の表面を2回擦ってガーゼの面をならした。
別の上質紙表面に、塩化ビニル塗工面となるF面が上になるように、壁紙用裏打ち紙のサンプルをのせ、ガーゼを巻きつけた金属直方体にて、自重により、MD方向の上から下に向かって1回擦った。壁紙用裏打ち紙の上下方向の向きを変え、同様に上から下に向かって1回擦った。
このようにして壁紙用裏打ち紙の擦った場所に、塗工厚が200μmとなるアプリケータを用い、塩化ビニルペーストを塗工した後、145℃の乾燥機中に1分間入れ、塩化ビニルペーストをゲル化させた。ゲル化した塩化ビニル層表面の中央部に、CD方向に5cm×MD方向に10cmの大きさとなるように切り抜いた型紙をのせ、その中に発生した突起物(欠陥)の数を計測した。同様にして作製したサンプル4枚の計測値を合計して、1サンプル当りの突起物の数(200cm当りの個数)とした。計測した突起物の数が20個以下である場合を○、21〜30個である場合を△、31個以上である場合を×と評価した。
<紙力の評価>
JIS P 8113に従い、紙の縦方向(抄紙方向)の裂断長を測定し、裂断長が3.5km以上であれば良好(○)、3.5km未満であれば不可(×)とした。
針葉樹晒クラフトパルプ(カナダ標準ろ水度(CSF):500ml)を35重量部、広葉樹晒クラフトパルプ(CSF:500ml)を65重量部配合したパルプスラリー中に、抄紙pHが4.5になるように硫酸バンドを添加した。次に、サイズ剤としてアルファーカルボキシメチル飽和脂肪酸塩(商品名:NSP−S、星光PMC(株)製)を、対パルプ絶乾重量あたり0.15質量%添加し、更に、湿潤紙力剤としてポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂(商品名:WS−547、星光PMC(株)製)を0.2質量%添加した。次に、脂肪酸アミン系樹脂(商品名:N−815、星光PMC(株)製)を0.1質量%添加し、更に、填料として焼成クレーを対パルプ絶乾重量あたり15%となるように添加して抄紙した。抄紙に際し、工程中のサイズプレスコーターにて対原紙当たり1.5質量%のポリビニルアルコール(商品名:ポバール117、(株)クラレ製)及び0.5質量%のグリセリンが含まれるように表面処理剤水溶液を含浸させて、紙中灰分が14%で坪量65g/mの壁紙用裏打ち紙を製造した。
グリセリンを対原紙当たり2質量%となるようにサイズプレスコーターにて含浸させたこと以外は、実施例1と同様に壁紙用裏打ち紙を作製し、寸法安定性及び紙力を評価した。
グリセリンを対原紙当たり10質量%となるようにサイズプレスコーターにて含浸させたこと以外は、実施例1と同様に壁紙用裏打ち紙を作製し、寸法安定性及び紙力を評価した。
グリセリンを対原紙当たり20質量%となるようにサイズプレスコーターにて含浸させたこと以外は、実施例1と同様に壁紙用裏打ち紙を作製し、寸法安定性及び紙力を評価した。
グリセリンを対原紙当たり0.2質量%となるようにサイズプレスコーターにて含浸させたこと以外は、実施例1と同様に壁紙用裏打ち紙を作製した。
グリセリンを対原紙当たり25質量%となるようにサイズプレスコーターにて含浸させたこと以外は、実施例1と同様に壁紙用裏打ち紙を作製した。
[比較例1]
サイズプレスコーターにてポリビニルアルコールのみを原紙に含浸させたこと以外は、実施例1と同様に壁紙用裏打ち紙を作製し、寸法安定性及び紙力を評価した。
[比較例2]
グリセリンを、対原紙当たり0.1質量%となるようにサイズプレスコーターにて含浸させたこと以外は、実施例1と同様に壁紙用裏打ち紙を作製し、寸法安定性及び紙力を評価した。
[比較例3]
グリセリンを、対原紙当たり30質量%となるようにサイズプレスコーターにて含浸させたこと以外は、実施例1と同様に壁紙用裏打ち紙を作製し、寸法安定性及び紙力を評価した。
[比較例4]
グリセリンの代わりに、分子量10000のポリエチレングリコールを、対原紙当たり0.5質量%となるようにサイズプレスコーターにて含浸させたこと以外は、実施例1と同様に壁紙用裏打ち紙を作製し、寸法安定性及び紙力を評価した。
[比較例5]
グリセリンの代わりにソルビトールを、対原紙当たり0.5質量%となるように、サイズプレスコーターにて含浸させたこと以外は、実施例1と同様に壁紙用裏打ち紙を作製し、寸法安定性及び紙力を評価した。
Figure 0005290687
Figure 0005290687
表1及び2より明らかなように、グリセリンを含有させることによって、壁紙用裏打ち紙の寸法安定性を改善すると共に、毛羽立ちを抑制することができることが確認された。また、比較例3の結果からは、紙基材に対してグリセリンを25質量%を超えて含浸させた場合には紙力の低下が顕著になり、壁紙用裏打ち紙に適さなくなることが確認された。
本発明のビニル壁紙用裏打ち紙は、特に加熱時及び吸湿時においても寸法安定性が高く、ビニルペースト加工適性やその後の乾燥工程適性に優れるので、印刷、発泡、エンボス等の加工がなされた塩化ビニル壁紙の製造に有用である。

Claims (6)

  1. 少なくともパルプを含有する紙基材からなる壁紙用裏打ち紙において、前記紙基材が、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2―ブタンジオール、1,4―ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2,3―ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、グリセリン、エリトリトール、及びキシリトールの中から選択された少なくとも1種の多価アルコールを0.1質量%〜25質量%含有すると共に、填料を1〜30質量%含有することを特徴とする壁紙用裏打ち紙。
  2. 前記多価アルコールの含有量が0.3質量%〜25質量%である、請求項1に記載された壁紙用裏打ち紙。
  3. 前記多価アルコールが、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エリトリトール、キシリトールから選択された少なくとも1種である、請求項1又は2に記載された壁紙用裏打ち紙。
  4. 前記多価アルコールがグリセリンである請求項3に記載された壁紙用裏打ち紙。
  5. 前記填料として、クレー、焼成クレー、デラミネーティッドクレー、カオリン、焼成カオリン、デラミネーティッドカオリン、及びイライトから選択された少なくとも1種を含有する、請求項1〜4の何れかに記載された壁紙用裏打ち紙。
  6. 前記填料として、焼成クレー、カオリン、イライトから選択された少なくとも1種を含有する、請求項5に記載された壁紙用裏打ち紙。
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