JP5290467B2 - プロバイオティックジュース飲料 - Google Patents

Description

本発明は、美味で、かつ長期保存できるプロバイオティック果汁飲料、特にプロバイオティックオレンジジュース、又はリンゴジュースに関連する。更に、このプロバイオティック果汁飲料は、消費者の健康に有益な効果を有する。

プロバイオティックバクテリアは、適当量投与することで宿主に有益に影響する微生物と定義されている。乳酸菌とビフィズス菌はプロバイオティックス製品の中で最も頻繁に使用されるバクテリアである。これらの細菌は、これらの微生物に基づいているプロバイオティックであるため、一般的には安全である。様々なプロバイオティックバクテリアの摂取は、様々な生理的又は病理的状態における臨床上の有益性を有することが示されている。プロバイオティックの定義を満たすバクテリアは、腸のなかで生残し、コロニーを形成し、食品の製造と貯蔵の厳しい過程で生き延びることができ、それだけでなく、このバクテリアが消費者の健康に良い影響を与える明確な証拠も必要である。

ラクトバチルス属が果実や果汁中の有機酸を代謝することは従来技術において周知である。この代謝が二酸化炭素などのガスの発生をもたらす。有機酸やクエン酸は柑橘系果実や、オレンジジュースやレモンジュースなどの柑橘系果汁の中に高濃度で存在している。有機酸であるリンゴ酸は、リンゴやリンゴジュース中に高濃度で存在している。これまでは、オレンジジュース又はリンゴジュース又はラクトバチルス種による同様の製品は、大量のガス（二酸化炭素）を発生し、貯蔵期間が非常に短かくなるだけでなく、味の変化をもたらすため、製造することができなかった。ガスの発生はパッケージの破裂を引き起こす。これはパッケージ内に生じた二酸化炭素によって、パッケージ内の圧力が高くなることによってパッケージが膨張することを意味する。さらには、有機酸の代謝で製品の発泡及び気泡化により、味が劣化する。二酸化炭素に加え、リンゴ酸やクエン酸の代謝により生成される乳酸や酢酸によって製品は不快な異味になる。図１乃至３参照。西洋ではリンゴジュースとオレンジジュースはともに、とりわけ朝に飲むジュースとして人気がある。従来は、これらの問題により、リンゴ又はオレンジのプロバイオティックジュースの製造又は流通は不可能であった。

ＰｒｏＶｉｖａ（登録商標）は、果実とオート麦ベースの、ラクトバチルス・プランタルム（Ｌａｃｔｏｂａｃｉｌｌｕｓ Ｐｌａｎｔａｒｕｍ）２９９ｖを含む商業的に入手可能なプロバイオティック製品である。これらの製品は、上述のガスが生じる問題のため、有機酸、クエン酸、及びリンゴ酸を含有する過剰量の果実を含むことができない。したがって、これらの製品は、リンゴ、オレンジ、又は多種の外来果実の果汁を含んでいない。その上、Ｐｒｏｖｉｖａ（登録商標）は純粋なジュースではない。

Ｎａｋｅｄ Ｊｕｉｃｅ Ｃｏｍｐａｎｙはリンゴ、マンゴー、オレンジ、バナナ、およびパイナップルのジュースだけでなくビフィズス菌を含むトロピカルマンゴージュース（１００％）を市販している。ビフィズス菌は低ｐＨ環境に非常に敏感であり、ビフィズス菌の大部分はｐＨ４より下の酸性環境に対処できず、死滅する。ビフィズス菌の代謝は乳酸菌とは異なっている。

米国特許出願公開第２００８／０２０６４０３号にはプロバイオティック食品、及び方法が記載されており、これは最終的な食品からの二酸化炭素の発生を抑えるために、有機酸を除去している。果実からの有機酸の除去は、自然の低酸性を有する果実由来の基質の選択により行われる。

米国特許出願公開第２００７／０１２８３２８号では、アリシクロバチルス属に属する耐熱及び耐酸性（ＴＡＢ）のバクテリアに対しアセロラを含む細菌増殖抑制剤又は静菌剤の使用が開示されている。アリシクロバチルス属の細菌は一般的な低温殺菌法に耐性があることが知られており、その結果、最終的な低温殺菌処理をした食品に品質低下や不快な香りをもたらすことがある。アリシクロバチルス・アシドテレストリス（Ａｌｉｃｙｃｌｏｂａｃｉｌｌｕｓ ａｃｉｄｏｔｅｒｒｅｓｔｒｉｓ）やアリシクロバチルス・アシドカルダウス（Ａｌｉｃｙｃｌｏｂａｃｉｌｌｕｓ ａｃｉｄｏｃａｌｄａｒｉｕｓ）は、果汁、及び果汁濃縮物の典型的な熱処理において生き残ることができる好熱好酸性、非病原性、胞子形成性のバクテリアである。その結果、バクテリアの内生芽胞が発芽、増殖し、酸性食品を腐敗させる。

したがって、当該技術分野には、果汁飲料内の酸性環境におけるプロバイオティックバクテリアの生存を管理でき、当該プロバイオティックバクテリアが、さらに胃腸管に有益な効果を提供するプロバイオティック果汁飲料を提供する必要があり、かつこの果汁飲料は、今までどおり美味でありパッケージの破裂を伴わずに長い保存期間を有する。現在、市場では、このような製品は販売されていない。

したがって、本発明の目的は、美味で、かつ長期保存できる果汁飲料の提供をすることである。このジュース飲料は、更に安定しており、従来からのガス発生の問題を解消している。

したがって、本発明の一の目的は、ラクトバチルスから選択される少なくとも１種のプロバイオティックバクテリア、及びアセロラ（ａｃｅｒｏｌａ）、ザクロ（ｐｏｍｅｇｒａｎａｔｅ）、クランベリー（ｃｒａｎｂｅｒｒｙ）、海棠（ａｒｏｎｉａ）、クロフサスグリ（ｂｌａｃｋｃｕｒｒａｎｔ）、クロウメモドキ（ｂｕｃｋｔｈｏｒｎ）、リンボク（ｓｌｏｅ）、又はニワトコの実（ｅｌｄｅｒｂｅｒｒｙ）、又はそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも１のガス発生減少剤と、主果汁と、選択的に副果汁、及び選択的に水と、から成るプロバイオティック果汁飲料を提供することである。驚くことに、本発明により、美味なプロバイオティック果汁飲料を製造することが可能である。ある乳酸菌株の存在により、クエン酸とリンゴ酸による従前の問題は解決される。

本発明の更なる目的は、プロバイオティック果汁飲料の生産にあたり、当該飲料の構成に、アセロラ、ザクロ、クランベリー、海棠、クロフサスグリ、クロウメモドキ、リンボク、又はニワトコの実、又はこれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも１のガス発生減少剤を使用することであり、このプロバイオティック果汁飲料が前記ガス発生減少剤に加え、ラクトバチルスから選択される少なくとも１種のプロバイオティックバクテリアと、主果汁と、選択的に副果汁、及び選択的に水と、を含む。

図１はクエン酸塩（クエン酸の塩）の代謝による二酸化炭素と酢酸の生成を示している。 図２はリンゴ酸の代謝による二酸化炭素と乳酸の生成を示している。 図３は１０％アセロラ（重量）をオレンジジュースに加えたプロバイオティック混合物（１０^９ＣＦＵ）を８℃で保管した保持期間中のラクトバチルス・プランタムＨＥＡＬ９株及びラクトバチルス・パラカゼイ（Ｌａｃｔｏｂａｃｉｌｌｕｓ ｐａｒａｃａｓｅｉ）８７００：２株を示している。 図４は様々な濃度のクランベリーの存在下でリンゴジュースに生じる二酸化炭素を示している。 図５は様々な濃度のザクロの存在下でオレンジジュースに生じる二酸化炭素を示している。

本発明によれば、ラクトバチルスから選択される少なくとも１種のプロバイオティックバクテリアと、アセロラ、ザクロ、クランベリー、海棠、クロフサスグリ、クロウメモドキ、リンボク、又はニワトコの実、又はそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも１のガス発生減少剤と、主果汁と、選択的に副果汁、及び選択的に水と、から成るプロバイオティック果汁飲料が提供されている。以下の実験によれば、ガス発生減少剤は、ラクトバチルス株と有機酸、クエン酸又はリンゴ酸を多量に含む果汁飲料、例えば、オレンジジュース又はアップルジジュース飲料の双方の存在下で二酸化炭素の発生が低下することを示した。上記及び図１乃至３に示すように、ラクトバチルス株は通常、代謝により、これらの有機酸を、それぞれ多量の二酸化炭素と酢酸と乳酸にする。しかし、本発明によれば、ここに述べたように、特定のガス発生減少剤の存在により二酸化炭素の発生は抑制される。

この所見により、驚くことにプロバイオティック果汁飲料、特にプロバイオティックオレンジジュースまたはリンゴジュースを提供することが可能であることがわった。本発明により、以前は製造不可能であった製品を製造するという、プロバイオティックスの技術分野内での長期の切実な要求を実現することができるようになった。

本文脈で「ガス発生減少剤」という語は、ガス発生減少剤を添加していない製品と比較して、ガス、好ましくは二酸化炭素の発生量が減少することを意味する。更に、二酸化炭素が減少したという事実の表示は、貯蔵期間中の製品の炭酸飲料化、及びパッケージの破裂などの発泡及び気泡化がおこらないことを指す。本発明により、プロバイオティックスの存在下で主果汁にガス発生減少剤を添加することにより、このジュースが従来ような大量の二酸化炭素を発生しない状態になる。本文脈では、特にジュース飲料にプロバイオティックのラクトバチルス・パラカゼイを使用した場合に風味を劣化させるジアセチルの生成も低下させることができる。ラクトバチルス・パラカゼイによりクエン酸が代謝される際、ジアセチルが生成される。ジュース飲料中のジアセチルは不快な味がする。実験により、本発明のジュース飲料ではジアセチルによって引き起こされる風味の劣化の低減が確認された。したがって、美味で、かつ長期保存できる果汁を製造できる。

ガス発生減少剤はアセロラ、ザクロ、クランベリー、海棠、クロフサスグリ、クロウメモドキ、リンボク、ニワトコの実、又は、これらの任意の組み合わせから選択される。これらの減少剤は、果実濃縮物又は純粋な果実、又は果汁の形態で添加してもよい。例えばアセロラであるガス発生減少剤の果実濃縮物を用いる場合、通常、濃縮物に水を添加して、濃縮物を希釈して、もとの果汁と同等、又はこれに似た濃度とする。ザクロの学名はＰｕｎｉｃａ ｇｒａｎａｔｕｍ Ｌ．である。アセロラの学名はＭａｌｐｉｇｈｉａ ｅｍａｒｇｉｎａｔａ ＤＣであるが、Ｍａｌｐｉｇｈｉａｃｅａｅ ｐｕｎｉｃｉｆｏｌｉａ Ｌ．やＭ．ｇｌａｂｌａ Ｌ．と呼ばれることもある。クランベリーの学名はＶａｃｃｉｎｉｕｍ ｍａｃｒｏｃａｒｐｏである。

本発明の実施態様では、主果汁は柑橘果汁又は種果汁であり、柑橘果汁はオレンジジュース、レモンジュース、グレープフルーツジュース、及びライムジュースから選択され、種果汁はリンゴジュース又は洋梨ジュースから選択される。

本発明の他の実施態様では、少なくとも１種のプロバイオティックバクテリアがラクトバチルス・プランタルム、ラクトバチルス・ラムノサス（Ｌａｃｔｏｂａｃｉｌｌｕｓ ｒｈａｍｎｓｏｓｕｓ）、及びラクトバチルス・パラカゼイから成る群から選択される。また、この種のラクトバチルスはラクトバチルス・アシドフィルス（Ｌａｃｔｏｂａｃｉｌｌｕｓ ａｃｉｄｏｐｈｉｌｕｓ）、ラクトバチルス・カゼイ（Ｌａｃｔｏｂａｃｉｌｌｕｓ ｃａｓｅｉ）、ラクトバチルス・ブルガリクス、ラクトバチルス・ヘルベティカス（Ｌａｃｔｏｂａｃｉｌｌｕｓ ｈｅｌｖｅｔｉｃｕｓ）、及びラクトバチルス・ロイテリ（Ｌａｃｔｏｂａｃｉｌｌｕｓ ｒｅｕｔｅｒｉ）から選択されてもよい。

好ましくは、少なくとも１種のラクトバチルス・プランタルムは、ラクトバチルス・プランタルム２９９、ＤＳＭ６５９５、ラクトバチルス・プランタルム２９９ｖ、ＤＳＭ９８４３、ラクトバチルス・プランタルムＨＥＡＬ９、ＤＳＭ１５３１２、ラクトバチルス・プランタルムＨＥＡＬ１９、ＤＳＭ１５３１３、およびラクトバチルス・プランタルムＨＥＡＬ９９、ＤＳＭ１５３１６から成る群から選択される。

上記のラクトバチルス・プランタラムの株は全てドイツ微生物細胞培養コレクション社に寄託されている。ラクトバチルス・プランタラム２９９、寄託番号ＤＳＭ６５９５は１９９５年の３月１６日に、ラクトバチルスプランタラムＨＥＡＬ９、ＤＳＭ１５３１２、ラクトバチルス・プランタラムＨＥＡＬ１９、ＤＳＭ１５３１３、及びラクトバチルス・プランタラムＨＥＡＬ９９、ＤＳＭ１５３１６は ２００２年１１月２８日に寄託されている。

少なくとも１種のラクトバチルス・パラカゼイは、ラクトバチルス・パラカゼイ８７００：２株、ＤＳＭ１３４３４、及びラクトバチルス・パラカゼ０２Ａ、ＤＳＭ１３４３２から成る群から選択される。ラクトバチルス・パラカゼイ８７００：２、ＤＳＭ１３４３４、及びラクトバチルスパラカゼイ０２Ａ、ＤＳＭ１３４３２は、ドイツ微生物細胞培養コレクション社に２０００年４月６日に寄託されている。

好ましくは、少なくとも１種のラクトバチルス・ラムノサスは、ラクトバチルス・ラムノサス２７１、ＤＳＭ６５９４から選択される。ラクトバチルス・ラムノサス２７１、ＤＳＭ６５９４、及びラクトバチルス・プランタルム２９９ｖ、寄託番号ＤＳＭ９８４３は１９９６年３月２５日にドイツ微生物細胞培養コレクション社に寄託されている。

本発明の実施態様では、この少なくとも１種のプロバイオティックのラクトバチルスが、１杯あたり（２５０ｍｌ）に約１×１０^５乃至約１×１０^１２ＣＦＵ、好ましくは１杯あたり約１×１０^６乃至約１×１０^１０に、より好ましくは１杯あたり約１×１０^７乃至約１×１０^９、果汁ジュース飲料に存在する。ＣＦＵは、一杯あたりの生残可能な細菌数のコロニー形成単位である。

本発明の他の実施態様では、副果汁は、パイナップルジュース、マンゴー、バナナ、白ブドウ、モモ、アンズ、パッションフルーツ、スイカ、キイチゴ、いちご、ブルーベリー、ブラックベリー、キウイ、グアヴァ、又は、それらの任意の混合物から選択される。副果汁は、例えば、ガス発生減少剤の味が主果汁とあまりにもかけ離れている場合、果実飲料の味に作用する機能がある。

更なる実施態様ではこの果汁飲料に水を追加的に加えることで、より希釈された費用対効果が良い製品を提供している。

主果汁の割合は５０乃至１００％（ｗ／ｗ）、好ましくは７５乃至１００％（ｗ／ｗ）、更に好ましくは９０乃至１００％（ｗ／ｗ）でよく、ガス発生減少剤の割合は０．５乃至４０％、好ましくは０．５乃至３０％（ｗ／ｗ）、更に好ましくは０．５乃至２０％（ｗ／ｗ）、水の割合は０乃至４９％（ｗ／ｗ）、好ましくは０乃至３０％（ｗ／ｗ）、更に好ましくは０乃至２０％（ｗ／ｗ）、及び副果汁の割合は０乃至１０％（ｗ／ｗ）、好ましくは ０乃至５％（ｗ／ｗ）の範囲である。

本発明の他の実施態様ではジュース飲料に、追加的にビタミンＣを添加する。例えば、生産過程で天然のジュースに存在していたビタミンＣが失われた場合に添加する。

本発明の一実施態様は、果汁がリンゴジュースであり、ガス発生減少剤がザクロジュースであり、ラクトバチルスの株がラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ラムノサス又はラクトバチルス・パラカゼイである果汁飲料を提供する。したがって、プロバイオティックバクテリアの添加をしたリンゴとザクロの１００％果汁を提供する。

本発明の他の実施態様は、果汁がオレンジジュースであり、ガス発生減少剤がアセロラであり、ラクトバチルスの株がラクトバチルス・プランタルム、又はラクトバチルス・パラカゼイであるプロバイオティックバクテリアを提供する。したがって、プロバイオティックバクテリアを添加したオレンジとアセロラの１００％果汁を提供する。

本発明の実施態様では、更に果汁飲料は、１００％果汁にプロバイオティックスのみを加えた１００％果汁であってもよい。１００％果汁は、果実や果実組織に天然に含まれている液体である。ジュースは、加熱もせず溶剤も使わずに新鮮な果物を機械的に絞るか軟化することにより調整する。例えば、オレンジジュースはオレンジの木の実の液体抽出物である。ジュースは、新鮮な果実や野菜を手若しくは電気ジューサーなど多様な方法を使用し、家で調整してもよい。多くの市販のジュースは繊維や果肉を取り除くために濾過されるが、果肉を多く含む新鮮なオレンジジュースは一般的な飲み物である。ジュースは、濃縮して、時に凍結させて市販されており、利用者が水を加えて「もとの状態」に戻すことが必要である。本発明の果汁の製造では、濃縮ジュースや天然ジュースタイプを使用して、両ケース共に最終製品が、プロバイオティックスのみを含む果汁１００％のジュース製品になるようにしてもよい。本文脈では、これは、例えば本明細書に記載する量で、ラクトバチルスのプロバイオティック種を加えたオレンジとアセロラの１００％果汁を提供することを意味する。代替的に、本明細書に記載する量のラクトバチルスのプロバイオティック種を加えたリンゴとザクロの１００％果汁を提供する。

殆どの国で、「果汁」と考えられる飲料用の基準純度を規定している。この名称は、１００％の純粋な果汁である飲料に限定されている。本文脈で、１００％果汁とは、１００％の純粋な果汁に、本明細書に記載した容量のプロバイオティックスを添加したものである。

本発明の果汁飲料の生産過程において濃縮物を使用する場合、特定の実施例においては、事後的に香味料、及び／又は芳香を製品に添加することが有益である。果実濃縮物の生産過程において、揮発性風味化合物が失われ、ジュースの味は平坦で台無しになりうることが知られている。最終産物に、このように事後的に香味料、又は芳香を添加をすることによりジュースを新鮮な味に回復させる。これらの添加物は、１００％果汁、又は果汁飲料を、もとの味に戻す作用があるため、本発明の範囲内にある。例えば、事後的に添加する香味料はＭａｓｔｅｒｔａｓｔｅ社により製造されており、本明細書に記載しうる例は、ＯＲ４６８７（オレンジジュースフレーバースペシャル（Ｏｒａｎｇｅ Ｊｕｉｃｅ Ｆｌａｖｏｒ Ｓｐｅｃｉａｌ ４６８７）），ＯＲ４６９２（オレンジアドバックスペシャル（Ｏｒａｎｇｅ Ａｄｄ−ｂａｃｋ Ｓｐｅｃｉａｌ ４６９２）），ＯＲ４９１４（オレンジオイルブレンド（Ｏｒａｎｇｅ Ｏｉｌ Ｂｌｅｎｄ ４９１４）），ＯＲ５００１（オレンジアロマ（Ｏｒａｎｇｅ Ａｒｏｍａ）），ＯＲ５０１０（オレンジアロマプレミアム１０（Ｏｒａｎｇｅ Ａｒｏｍａ Ｐｒｅｍｉｕｍ １０））である。

プロバイオティック果汁の実験的な製造
果汁飲料の様々な成分（ガス発生減少剤、主果汁及び任意の副果汁）を下記の所定濃度に混合し、低温殺菌（８５℃、１５秒）をした後、８℃に冷却した。しかし、本格的に製造する際は低温殺菌は９２℃で１０秒行う。

果汁の冷却後、凍結乾燥したバクテリア（Ｐｒｏｂｉ ＡＢ）を０．１×１０^９乃至１０×１０^９ｃｆｕ（コロニー形成単位）／２５０ｍｌの濃度になるように添加した。

その結果できたプロバイオティック果汁飲料を、包装前に、よく撹拌した。果汁は安定性試験及び官能試験のため、４℃又は８℃で、それぞれ１０週間及び６週間保存した。

保存期間中の二酸化炭素発生や味の劣化などの果汁飲料の能力の測定に、シェルフライフ促進試験（スウェーデン、Ｓｋａｎｅｍｅｊｅｒｉｅｒ社）を使用した（２５℃、５日）。これは、特定のジュース混合物の味の劣化及びガス発生を評価する予測試験である。もしＣＯ_２の濃度が、２５％よりも下ならば、製品は４℃又は８℃で、それぞれ１０週間及び６週間においてガスを全く発生しないと解釈することができる。３５０ｍｌのペットボトルを２５０ｍｌのプロバイオティック果汁で満たした。このボトルを５日間２５℃でインキュベートした後、ボトル頭隙のＣＯ_２を測定した。ＣＯ_２の測定後、このジュースのボトルを開け、官能試験を行った。二酸化炭素が２５％以下であった果汁飲料について追加のシェルフライフ促進試験を４℃又は８℃で、それぞれ１０週間及び６週間実施した。細胞数は、スウェーデンのＳｋａｎｅｍｅｊｅｒｉｅｒ社で使用されている標準的な方法に従って、１４日目にＭＲＳ寒天培地のプレートカウントをする方法（３日間、３７℃）により試料を測定した（スウェーデン、Ｓｋａｎｅｍｅｊｅｒｉｅｒ社）。

プロバイオティックバクテリアに関するオレンジジュースに添加した様々なガス減少効果
主果汁（オレンジジュース）に様々なガス発生減少剤（クランベリー、コケモモ、アセロラ）を添加し 熱処理後にプロバイオティックスバクテリアを添加した（実験の設定は上記参照）。二酸化炭素の発生と官能試験は、２５℃で５日間インキュベーションした後に、シェルフライフ促進試験で測定した（表１）。アセロラだけが、ガス発生及び風味の劣化を抑制する可能性を有していた。次いで、オレンジアセロラジュースで８℃で、６週間にわたり貯蔵安定性を試験した（図３）。細菌は貯蔵期間の全体を通して安定しており、また風味の劣化はなかった。表１は、様々な「ガス発生減少剤」がある場合とない場合の、ジュースの官能評価及び二酸化炭素（ＣＯ_２）の発生を示している。ジュースに、Ｌ．プランタラムＨＥＡＬ９とＬ．パラカゼイ８７００：２の総量５ｅ６ＣＦＵ／ｍｌ植菌した。

オレンジジュースにアセロラを様々な添加量５％、１０％、１５％、２０％（重量）で加えて追加的実験を行なった。Ｌ．プランタラムＨＥＡＬ９とＬ．パラカゼイ８７００：２を総量１×１０^９ＣＦＵ加え、２５℃で５日後に二酸化炭素を測定した。表２に結果を示す。

リンゴジュースに様々な量のクランベリージュース又はザクロを加えた試験
様々な量のガス発生減少剤（クランベリー）を主果汁のサンプル（リンゴジュース）に添加した。官能試験と二酸化炭素の発生の測定は、２５℃で５日間インキュベーションした後にシェルフライフ促進試験で行なった。表３を参照。プロバイオティックスバクテリアの代謝は、生存率が減少することなく、ガス発生減少剤（クランベリー）を加えて、０．７５乃至１．５％の狭い範囲において低下した（表３及び図４）。この狭い範囲を超えて、クランベリーの添加によりバクテリアが抑制され、また風味を劣化させる過度な増殖が抑制された。その他に加えたガス発生減少剤（ザクロ果汁）の影響に関しても調査した。ザクロ果汁の添加により、２５％以下の二酸化炭素の発生と、代謝が遅くなった。

表３は、様々な量のクランベリーを添加したプロバイオティックアップルジュースの、８℃で、３週間後における二酸化炭素発生、及び官能評価、及び生存率を示している。このジュースにＬ．プランタラムＨＥＡＬ９とＬ．パラカゼイ８７００：２を５ｅ６ＣＦＵ／ｍｌ植菌した。

表３ａ）乃至ｃ）は、様々な量のザクロを添加したプロバイオティックアップルジュースにおける二酸化炭素発生を示している。リンゴジュース／ザクロの３つの試験で用いる、プロバイオティックスはラクトバチルス・プランタラムＨＥＡＬ９とラクトバチルス・パラカゼイ８７００：２又はラクトバチルス・ラムノサス２７１である。

調整したその他のプロバイオティック果汁は以下のとおりである。
オレンジ／アセロラ（１００％ジュース）
オレンジ ９５％
アセロラ ５％
ラクトバチルス・パラカゼイ８７００：２／ラクトバチルス・プランタルムＨＥＡＬ９、総量１×１０^９ＣＦＵ／一杯

リンゴ／クランベリー（１００％ジュース）
リンゴ ９９．５％
クランベリー ０．５％
ラクトバチルス・パラカゼイ８７００：２／総量１×１０^９ＣＦＵ／一杯

オレンジジュース及びリンゴジュースにおける様々なプロバイオティックバクテリアの代謝に関するアセロラの効果
様々な量のガス発生減少剤（アセロラ；５、１０、２０または３０重量％）を主果汁（オレンジジュース）に添加した。ガス発生減少剤と主果汁を混合した後、できたジュースを上述の実験設定に従い、加熱処理し、次いでこの果汁混合物にプロバイオティックバクテリアを植菌した（ラクトバチルス・プランタルムＨＥＡＬ９及びラクトバチルス・パラカゼイ８７００：２；ラクトバチルス・プランタルムＨＥＡＬ９；ラクトバチルス・プランタルム２９９ｖ；ラクトバチルス・ラムノサス２７１）。

他のガス発生減少剤は二酸化炭素の減少効果が期待できる。従って、ガス発生減少剤である海棠、ブラックカラント、クロウメモドキ、またはエルダーベリーを、プロバイオティックス存在下でオレンジジュース、レモンジュース、グレープフルーツジュース、ライムジュース、リンゴジュースや洋梨ジュースのいずれかの主果汁を用いた飲料試験でテストする。

更なる実験では、海棠（５％）またはアメリカスモモ（５％）の入ったオレンジジュースを作って、純粋なオレンジジュースと比較した。すべてのジュースでラクトバチルス・プランタラムＨＥＡＬ９、ラクトバチルス・パラカゼイ８７００を、プロバイオティックスとして使用した。各バクテリアの添加量は２×１０^６ＣＦＵ／ｍｌであった。

ＣＦＵの測定は毎週行い、官能試験は、１週間後、３週間後にそれぞれ行なった。

純粋なオレンジジュースでは、３週間後に、不快なジアセチル味があり、所望しないガスも生じていたのに対し、５％の海棠または５％のアメリカスモモの入ったオレンジジュースは１週間後と３週間後の両方で良好であった。上記の表に見られるように、海棠とアメリカスモモは、それぞれ代謝は阻害するがプロバイオティックスの増殖は阻害しない。

プロバイオティックスオレンジジュースの大規模生産
５％のアセロラが入ったプロバイオティックスオレンジジュースと、入っていないプロバイオティックスオレンジジュースを５０００リットルの大規模で生産した。ラクトバチルス・プランタラムＨＥＡＬ９、ラクトバチルス・パラカゼイ８７００をプロバイオティックスとして使用した。このジュースの安定性は、数週間の間続いた。製造後にジュースを１リットルのパッケージに詰め、８℃で保存した。

予想された 大規模生産機能、すなわち、純粋なプロバイオティックスのオレンジジュースが不快なガス及びジアセチルを生成し、一方で５％アセロラの入ったオレンジジュースはガス及びジアセチル生産に関して問題なかった。

Claims (8)

1. ラクトバチルス・プランタラムＨＥＡＬ９、ＤＳＭ１５３１２；ラクトバチルス・パラカゼイ８７００：２、ＤＳＭ１３４３４；及びラクトバチルス・ラムノサス２７１、ＤＳＭ６５９４；からなる群から選択される、一杯（２５０ｍｌ）あたり１×１０ ^５ ないし１×１０ ^１２ ＣＦＵの量の少なくとも１種のラクトバチルスのプロバイオティックバクテリアと；
   ５ないし２０重量パーセントの量のアセロラ（ａｃｅｒｏｌａ）、１ないし１０重量パーセントの量のザクロ（ｐｏｍｅｇｒａｎａｔｅ）、０．７５ないし１．５重量パーセントの量のクランベリー（ｃｒａｎｂｅｒｒｙ）から選択される少なくとも１のガス発生減少剤と；
   ８０ないし９５重量パーセントの量のオレンジ果汁及び９０ないし９９．２５重量パーセントの量のリンゴ果汁から選択した主果汁と；
   選択的に水と；
   からなることを特徴とするプロバイオティック果汁飲料。
2. 請求項１に記載のプロバイオティック果汁飲料において、該少なくとも１種のプロバイオティックのラクトバチルスが一杯あたり１×１０ ^６ ないし１×１０ ^１０ ＣＦＵの量で該果汁飲料中に存在することを特徴とするプロバイオティック果汁飲料。
3. 請求項２に記載のプロバイオティック果汁飲料において、前記少なくとも１種のプロバイオティックのラクトバチルスが一杯あたり１×１０ ^７ ないし１×１０ ^９ ＣＦＵの量で前記果汁飲料中に存在することを特徴とするプロバイオティック果汁飲料。
4. 請求項１ないし３のいずれか１項に記載のプロバイオティック果汁飲料において、該果汁飲料が追加のビタミンＣを更に含むことを特徴とするプロバイオティック果汁飲料。
5. ５ないし２０重量パーセントの量のアセロラ、１ないし１０重量パーセントの量のザクロ、０．７５ないし１．５重量パーセントの量のクランベリーから選択される少なくとも１のガス発生減少剤の使用であって、当該ガス発生減少剤に加え：
   ラクトバチルス・プランタラムＨＥＡＬ９、ＤＳＭ１５３１２；ラクトバチルス・パラカゼイ８７００：２、ＤＳＭ１３４３４；及びラクトバチルス・ラムノサス２７１、ＤＳＭ６５９４；から選択される、一杯（２５０ｍｌ）あたり１×１０ ^５ ないし１×１０ ^１２ ＣＦＵの量の少なくとも１種のラクトバチルスのプロバイオティックバクテリアと；
   ８０ないし９５重量パーセントの量のオレンジ果汁及び９０ないし９９．２５重量パーセントの量のリンゴ果汁から選択した主果汁と；
   選択的に水と；
   からなるプロバイオティック果汁飲料の生産のためのガス発生減少剤の使用。
6. 請求項５に記載の使用において、該少なくとも１種のプロバイオティックのラクトバチルスが一杯あたり１×１０ ^６ ないし１×１０ ^１０ ＣＦＵの量で該果汁飲料中に存在することを特徴とする使用。
7. 請求項６に記載の使用において、前記少なくとも１種のプロバイオティックのラクトバチルスが一杯あたり１×１０ ^７ ないし１×１０ ^９ ＣＦＵの量で前記果汁飲料中に存在することを特徴とする使用。
8. 請求項５ないし７のいずれか１項に記載の使用において、前記果汁飲料が追加のビタミンＣを更に含むことを特徴とする使用。

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