JP5289131B2 - 塩素製造用流動層触媒および該触媒を用いた塩素の製造方法 - Google Patents

塩素製造用流動層触媒および該触媒を用いた塩素の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、流動層反応器内で塩化水素から塩素を製造する触媒、およびそれを用いた塩素の製造方法に関する。
塩素は塩化ビニル、ホスゲン等の原料として有用である。塩素を製造する方法としては、食塩の電気分解法、あるいは塩化水素の触媒的酸化等が広く知られている。
食塩の電気分解法は、多くの電力を用いるため、エネルギー的に不利であり、また苛性ソーダを副生するため、塩素と苛性ソーダの需給バランスが常に問題となる。
一方、塩化水素の触媒的酸化による製造は、塩化ビニルモノマーやイソシアネート類を製造する際に副生する塩化水素の回収法の1つとして考案された。副生する塩化水素を原料とする為、環境負荷の観点から非常に有効なプロセスである。
塩化水素の触媒的酸化による、塩化水素からの塩素の製造においては、電気分解法、気相接触酸化法、非接触酸化法の3種がある。電気分解法は塩化水素の電気分解により、塩素と水素を得る方法であり、1960年代にウーデ(UHDE)社により提案された。その後、様々な改良がなされているが、多量の電力を消費する点に課題が残る。気相接触酸化法はDeaconプロセスとも呼ばれ、塩化水素と酸素から、塩素を得る方法として1860年代に提案された。この反応は発熱を伴う平衡反応であり、反応温度が低いほど反応が優位に進行する。この反応に用いられる触媒としては、例えば、銅を主成分とする触媒、クロムを主成分とする触媒、ルテニウムを主成分とする触媒等が知られている。
銅を主成分とする触媒としては、例えば、比表面積200m2/g以上および平均細孔直径60Å以上のシリカゲル担体に塩化銅、アルカリ金属塩化物、塩化ジジミウム等のランタノイド類を担持した触媒(特許文献1)、比表面積が410m2/g、細孔容積が0.72ml/gのシリカゲルに銅、カリウム、ジジミウムを含浸し調製した触媒(特許文献2)などが知られている。これらの触媒は安価な成分で構成されているが、反応活性が低く、充分な活性を得る為には高温を要する。Deaconプロセスは発熱を伴う平衡反応である為、高温ほど、塩化水素の平衡転化率が低くなってしまうという問題点がある。また、ジジミウムは、様々な希土類元素を含む混合物であるが、混合物であるが故に、その採掘場所や時期によって、組成が一定ではなく、ジジミウムを用いた触媒では活性が一定ではなく、安定した使用には不利である。
クロムを主成分とする触媒としては、例えば、酸化珪素にクロミアを担持した酸化クロム触媒が知られている(特許文献3)。この触媒も反応活性が低いため、銅を主成分とする触媒と同様に、充分な平衡転化率を得難いという問題点がある。同時に、安全衛生上、問題があるクロムを主成分としており、環境負荷の観点からも問題が大きいと言える。
ルテニウムを主成分とする触媒としては、例えば、担持金属ルテニウム触媒、酸化ルテニウム触媒、ルテニウム複合酸化物触媒、等が知られている(特許文献4、5)。これらの触媒は低温下においても充分な活性を有するが、主成分であるルテニウムが高価であるため、廃触媒からのルテニウムを回収、再利用する必要性がある。また、ルテニウム希少金属であるため、需要増による価格高騰の影響を受けやすく、安定供給、コスト面から問題があると言える。
流動層プロセスは、固体粒子を流体により浮遊化させて反応、熱処理をなどの操作を行うプロセスであり、19世紀後半から広く知られるようになった。塩化水素の触媒的酸化反応においても、クロムを主成分とした触媒を用いた流動層プロセスが実用化されている。
流動層プロセスにおいては、固体粒子からなる流動層触媒が良好な流動性を維持することが求められ、その為には、反応時に触媒形状が維持されることが必要である。反応中に触媒が磨耗、破砕、等により著しく形状が変化すると、触媒成分の飛散を招くこととなり、反応活性の低下の要因となる。
このような状況において、本願出願人は、特定の粒径および比表面積を有する触媒が、活性の経時変化が少なく、流動層で用いた場合にも固着が少ないことを見出してこれをすでに提案している(特許文献6)。
しかしながら、工業的な塩素の製造においては、さらに塩素への転化率が高く、流動層で用いる場合の触媒寿命に優れた塩素製造用触媒の出現が望まれていた。
米国特許3260678号公報 米国特許3483136号公報 特許第2513756号公報 特許第3284879号公報 特許第3543550号公報 特許第3852983号公報
本発明は、塩化水素を酸素により酸化して塩素を生成する反応において、流動層反応器で使用する場合に、反応時に粒子形状が変化せず、良好な反応収率を長期にわたって維持可能で、かつ、安価で安定供給が可能である塩素製造用触媒を提供すること、ならびに該触媒を用いた塩素製造方法を提供することを課題としている。
本発明の塩素製造用触媒は、流動層反応器内で、塩化水素を酸素により酸化して塩素を製造するための触媒であって、
銅元素、アルカリ金属元素、および希土類金属元素を含む球状粒子からなり、
粒子磨耗速度が0.20重量%/時間以下であることを特徴としている。
本発明の塩素製造用触媒では、
触媒中の銅元素含有量が0.3重量%以上、4.5重量%以下であり、
銅元素とアルカリ金属元素との重量比が1:0.2〜1:2.0の範囲であり、かつ、
銅元素と希土類金属元素との重量比が1:0.2〜1:3.0の範囲であることが好ましい。
本発明の塩素製造用触媒では、希土類金属元素が、プラセオジム、ネオジム、サマリウムおよびユウロピウムよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明の塩素製造用触媒では、アルカリ金属元素が、ナトリウムおよび/またはカリウムを含むことが好ましい。
本発明の塩素の製造方法は、前記本発明の塩素製造用触媒の存在下で、流動層反応器内で、塩化水素を酸素により酸化することを特徴としている。
本発明によれば、塩化水素を酸素により酸化して塩素を生成する反応において、流動層反応器で使用する場合に、反応時に粒子形状が変化せず、良好な反応収率を長期にわたって維持可能で、かつ、安価で安定供給が可能である塩素製造用触媒を提供することができる。また本発明によれば、該触媒を用いた効率的かつ経済的な塩素製造方法を提供することができる。
図1は、粒子の磨耗速度を測定する装置の概略図を示す。 図2は、実施例および比較例において、触媒活性評価に用いたガラス製反応管の概略図を示す。
以下、本発明について具体的に説明する。
<塩素製造用触媒>
本発明の塩素製造用触媒は、流動層反応器内で、塩化水素を酸素により酸化して塩素を製造するための触媒であって、銅元素、アルカリ金属元素、および希土類金属元素を含む球状粒子からなり、粒子磨耗速度が0.20重量%/時間以下である。
本発明において粒子磨耗速度とは、石油化学分野で用いられる流動接触分解触媒の試験法により求められる、触媒に室温空気を連続的に流通させた際に触媒が磨耗する割合であって、磨耗が定常状態になったとみなされる空気流通開始5時間経過時から20時間経過時までの15時間について、磨耗により発生した微細粒子の飛散量を、1時間あたりの平均値として表したものである。具体的には、非特許文献1(Test Method for Synthetic Fluid Cracking Catalyst; American Cyanamid Company)および非特許文献2(流動層反応装置 化学工学協会編 化学工業社(1987年))を参考にし、図1に示す装置を用いて測定される。
すなわち、図1に記載の粒子磨耗速度を測定する装置において、あらかじめガス排出口のフラスコと円筒濾紙の重量とを測定しておき、触媒20.0gを1.5インチ管に入れる。下部の多孔板より424L/時間(室温状態)の空気を流す。出口のフラスコ、および円筒濾紙内に貯まった触媒量を測る。空気流通開始から5時間までを初期微粒量[g]とし、5時間から20時間までを粒子飛散量[g]として捕集した微粒子を測定し、粒子磨耗速度[重量%/時間]を以下のように定義する。
粒子磨耗速度[重量%/時間]=粒子飛散量[g]/(20.0[g]−初期微粒量[g])/15[時間]×100
本発明の塩素製造用触媒は、上記のようにして求められる粒子磨耗速度が、0.20重量%/時間以下、好ましくは0.18重量%/時間以下であることが望ましい。粒子磨耗速度が0.20重量%より大きいと、反応中、短期間に触媒自身が磨耗、破砕することにより粒子形状が変化してしまい、良好な流動性を維持できず、塩素製造の生産性低下の要因となる場合がある。
本発明の塩素製造用触媒は、銅元素、アルカリ金属元素および希土類金属元素を活性成分として含有する。以下、これらの各成分について説明する。
本発明の塩素製造用触媒中において、銅元素は、原子価が1価、2価いずれの状態で含まれていてもよい。銅元素の含有量は、触媒100重量%あたり、0.3重量%以上、4.5重量%以下であり、好ましくは0.5重量%以上、3.5重量%以下、より好ましくは0.5重量%以上、3.0重量%以下である。銅含有量が4.5重量%より大きいと、担体表面に存在し、剥離しやすい銅量が多くなり、反応活性の経時的な低下を招く場合があるため好ましくない。一方、銅含有量が0.3重量%未満であると、充分な塩素収率が得られず、好ましくない。
本発明の塩素製造用触媒に含まれるアルカリ金属元素としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられる。これらのアルカリ金属は単独で使用しても、2種以上で使用しても良い。このうち、ナトリウムおよび/またはカリウムが好ましく、カリウムがより好ましい。アルカリ金属元素の含有量は、塩素製造用触媒100重量%あたり、0.1重量%以上、5.0重量%以下が好ましく、0.2重量%以上、4.0重量%以下がより好ましく、0.3重量%以上、3.0重量%以下がさらに好ましい。
本発明の塩素製造用触媒に含まれる希土類元素としては、周期律表第3族のスカンジウム、イットリウム、原子数57〜71のいわゆるランタノイドが挙げられる。これらの希土類金属は、単独で使用しても、2種以上で使用しても構わない。このうち、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウムがより好ましく、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウムが塩素化水素から塩素への転化率、及び流動安定性のバランスの観点からさらに好ましい。
希土類元素の含有量は、塩素製造用触媒100重量%あたり、0.3重量%以上、10.0重量%以下が好ましく、0.5重量%以上、7.0重量%以下がより好ましく、0.5重量%以上、5.0重量%以下がさらに好ましい。
本発明の塩素製造用触媒は、銅元素、アルカリ金属元素、および希土類元素を含むが、銅元素とアルカリ金属元素との重量比が1:0.2〜1:2.0の範囲であり、銅元素と希土類元素との重量比が、1:0.2〜1:3.0であることが好ましい。また、銅元素とアルカリ金属元素との重量比が1:0.3〜1:1.5であり、銅元素と希土類元素との重量比が1:0.3〜1:2.5であることがより好ましい。さらには、銅元素とアルカリ金属元素との重量比が1:0.4〜1:1.0であり、銅元素と希土類元素との重量比が1:0.4〜1:2.0であることがもっとも好ましい。上記範囲では各元素が複合化しやすく、塩素製造用触媒が活性に優れたものとなる。
本発明の塩素製造用触媒では、活性成分である銅元素、アルカリ金属元素、および希土類元素が、通常、多孔質の球状粒子担体に担持されている。本発明の塩素製造用触媒を構成する担体は、活性成分を分散、担持でき、かつ、塩酸、塩素に対して分解しない耐腐食性を有するものである。
担体としては、平均粒子径が10μm以上、1000μm未満、好ましくは30μm以上、600μm未満、より好ましくは50μm以上、300μm未満であることが望ましい。
また、担体の細孔直径の平均値(以下、平均細孔径と記載)は3nm以上、50nm以下であることが好ましく、6nm以上、30nm以下であることがより好ましい。平均細孔径が3nm未満であると、細孔内に銅をはじめとする金属成分を導入しがたく、表面での凝集、細孔の閉塞などを招くこととなり好ましくない。一方、平均細孔径が50nmより大きいと、担体の表面積の低下を招くこととなり、反応効率が低下してしまうので好ましくない。
また、担体の比表面積は30m2/g以上、1000m2/g以下であることが好ましく、50m2/g以上、500m2/g以下であることがより好ましく、100m2/g以上、300m2/g以下であることがさらに好ましい。比表面積が30m2/g未満であると反応点の減少を招くこととなり好ましくない。1000m2/gより大きいと、担体の製造に特殊な手法が必要となり、製造コストの観点から好ましくない。
また、担体の嵩密度は0.20g/ml以上、1.00g/ml以下であることが好ましく、0.30g/ml以上、0.80g/ml以下であることがより好ましい。
さらに、担体の細孔容積は0.5ml/g以上、3.0ml/g以下であることが好ましく、0.5ml/g以上、2.0ml/g以下であることがより好ましい。担体の細孔容積が0.5ml/g未満であると、細孔内の空間が充分でなく、金属成分を細孔内に充分に担持することが出来ず、耐磨耗強度の低下を招く場合があり、一方、3.0ml/gよりも大きいと、担体としての強度が低下し、反応中に触媒自身が破壊されてしまう場合があるため好ましくない。
担体の素材としては、シリカ、シリカアルミナ、チタニア、ジルコニア、などが挙げられるが、なかでもシリカが好ましい。シリカ担体は通常の市販のシリカゲル、ヒュームドシリカ等、いずれも用いることができる。本発明の塩素製造用触媒中の担体の含有量は、触媒100重量%あたり、通常98〜65重量%、好ましくは97〜69重量%、より好ましくは94〜72重量%である。上記範囲では、塩素製造用触媒の活性と強度とを両立することができるため好ましい。
本発明の塩素製造用触媒は、球状粒子からなる。本発明の塩素製造用触媒は、球状粒子形状であれば特に限定されるものではないが、真球度が高いものが望ましく、たとえば平均真球度が0.80以上、好ましくは0.90以上の球状粒子形状を有することが望ましい。触媒粒子がこのように高い真球度を有する場合には、同等の組成であっても耐久性に優れ、粒子磨耗速度が小さいものとなるため好ましい。
なお本発明において、球状粒子の平均真球度は、顕微鏡写真(SEM)の画像から求められる円形度係数(各球状粒子の真球度)の平均値で表わされる値を意味する。ここで、測定粒子数は1000以上が望ましい。
真球度は、各粒子画像の周囲長と面積とから、
4×π×面積/(周囲長×周囲長)
で求められる値であって、粒子画像が真円に近いほど1に近い値となる。
本発明の塩素製造用触媒の球状粒子形状は、球状粒子形状の担体に活性成分を担持することで達成してもよく、活性成分を担持した担体を解砕あるいは研磨することにより達成してもよいが、触媒粒子の形状は通常、担体の形状に直接依存するため、本発明の塩素製造用触媒を構成する担体としては、球状粒子形状の担体を用いることが好ましく、真球度の高い球状粒子形状の担体を用いることがより好ましい。
また本発明の塩素製造用触媒は、上記活性成分および担体以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。その成分としては、パラジウム元素、イリジウム元素、クロム元素、バナジウム元素、ニオブ元素、アルカリ土類金属元素などがあげられる。これら他の成分が含まれる場合には、担体100重量部あたり、通常0.01〜10重量部の範囲で含まれる。
本発明の塩素製造用触媒は、特に限定されるものではないが、たとえば、平均粒子径が10μm以上、1000μm未満、好ましくは30μm以上、600μm未満、より好ましくは50μm以上、300μm未満であることが望ましい。
本発明の塩素製造用触媒は、特に限定されるものではないが、たとえば、平均細孔径が3nm以上、50nm以下であることが好ましく、6nm以上、30nm以下であることがより好ましい。平均細孔径が3nm未満であると、、細孔内に銅をはじめとする金属成分を導入しがたく、表面での凝集、細孔の閉塞などを招くこととなり好ましくない。一方、平均細孔径が50nmより大きいと、触媒の表面積の低下を招くこととなり、反応効率が低下してしまうので好ましくない。
本発明の塩素製造用触媒は、特に限定されるものではないが、たとえば、比表面積が30m2/g以上、1000m2/g以下であることが好ましく、50m2/g以上、500m2/g以下であることがより好ましく、100m2/g以上、300m2/g以下であることがさらに好ましい。
また本発明の塩素製造用触媒は、特に限定されるものではないが、嵩密度が0.20g/ml以上、1.00g/ml以下であることが好ましく、0.30g/ml以上、0.80g/ml以下であることがより好ましい。
また本発明の塩素製造用触媒は、特に限定されるものではないが、細孔容積が0.3ml/g以上、3.0ml/g以下であることが好ましく、0.5ml/g以上、2.0ml/g以下であることがより好ましく、0.6ml/g以上、1.5ml/g以下であることがさらに好ましい。0.3ml/g未満であると、細孔内の空間が不足し基質の拡散が不充分となる、比表面積が低下し反応効率が低下する、等を招く場合があり好ましくない。一方、3.0ml/gよりも大きいと、触媒としての強度が低下し、反応中に触媒自身が破壊されてしまう場合があるため好ましくない。
また本発明の塩素製造用触媒は、特に限定されるものではないが、粒子密度が0.4g/ml以上、1.2g/ml以下であることが好ましく、0.6g/ml以上、1.0g/ml以下であることがより好ましい。粒子密度がこのような範囲を満たす場合は、触媒が軽量となり、取り扱いが容易かつ安価であり、安定して長期間使用し得る触媒を提供可能となり好ましい。
なお本発明において、粒子密度:Z(g/ml)は、粒子の真密度:X(g/ml)と、細孔容積:Y(ml/g)とから、次式により算出される値である。
Z=1/(1/X+Y)
さらに本発明の塩素製造用触媒は、特に限定されるものではないが、ストークスの式から算出される空気中の終末速度が好ましくは0.05m/秒以上、1.0m/秒以下、より好ましくは0.10m/秒以上、0.80m/秒以下であることが望ましい。ストークスの式から算出される終末速度が、このような範囲を満たす場合には、流動層反応器内で触媒を反応に用いた際に、良好な流動性を示すため好ましい。
ここで、ストークスの式から算出される終末速度とは、次式により求められる値である。
終末速度ut=g(ρs−ρg)dp 2/18μ
(式中、g:重力加速度、ρs粒子密度、ρg気体の密度、dp:平均粒子径、μ:気体の粘度をそれぞれ表わす。本発明においては、気体を20℃の空気であると想定し、気体の密度を1.2kg/m3、気体の粘度を0.018mPa・s、重力加速度を9.807m/s2として終末速度を算出した。)
本発明の塩素製造用触媒を製造するための方法としては特に限定されないが、例えば次のような方法で製造することができる。
本発明の塩素製造用触媒を製造する方法としては、銅化合物とアルカリ金属化合物と希土類化合物とを、担体に分散する工程と、銅化合物とアルカリ金属化合物と希土類化合物とが分散された担体を、乾燥あるいは焼成する工程を有する方法が挙げられる。
上記触媒を製造する方法としては、触媒を解砕する工程、あるいは触媒を特定の粒径に分級する工程を、必要に応じて有しても良い。
このような塩素製造用触媒の製造において、活性成分である銅元素、アルカリ金属元素、および希土類元素は、それぞれ銅化合物とアルカリ金属化合物、および希土類化合物として担体に分散される。担体としては、上述したものを用いることができ、平均真球度が0.80以上、好ましくは0.90以上の球状粒子形状を有する担体を用いることが望ましい。
活性成分を前記担体に分散して担持させる方法については特に限定されず、真空チャンバー内での上記元素の蒸着、気相担持、液相担持(液相調製法)のいずれの方法も使用できるが、操作性や、均一分散性を考慮すると、液相担持が望ましい。液相担持の場合、各活性成分を含む化合物を溶媒に添加し、原料溶液や原料が溶媒中に分散した原料分散液とした後に、触媒担体に吹き付けてもよいし、あるいは、触媒担体を、前記原料溶液や原料分散液中に浸した後、そのまま、原料溶液や原料分散液を攪拌しながら蒸発乾固を行ってもよく、また、触媒担体を、活性成分を含有する前記原料溶液や原料分散液中に浸した後、触媒担体をこの原料溶液や原料分散液中から引き上げ、乾燥する方法を採用することもできる。いずれの方法においても、金属成分を担体の細孔内部に担持することにより、担体表面に存在する金属成分を抑制可能となる。その結果、触媒の耐磨耗強度が向上し、触媒劣化を抑制することが可能となる。
触媒担体を、活性成分を含有する原料溶液や原料分散液中に浸して分散担持する場合は、担持量が少ない場合には、再度触媒担体を原料溶液や原料分散液中に浸すことにより、活性成分の含有率を上げることができる。前記原料溶液や原料分散液中の活性成分は、担体の細孔内へ入る大きさであれば、溶媒中に溶解していない、固体状態のままでも構わないが、活性成分を均一に細孔内へ分散させるためには、各活性成分が溶媒中に溶解した状態すなわち原料溶液であることが好ましい。
原料溶液や原料が溶媒中に分散した原料分散液を、触媒担体に吹き付ける場合には、原料分散液の容量が触媒担体の細孔容積以下であることが望ましい。原料分散液容量が触媒担体の細孔容積よりも大きいと、原料分散液が、触媒担体の細孔内に充填しきれず、触媒担体の表面に存在することとなり、好ましくない。
これら液相で担持する場合の各活性成分の溶媒としては、活性成分を含む化合物を溶解または分散できるものであれば特に限定されないが、取り扱いの容易さから水が好ましい。活性成分を溶媒に溶解、分散するときの濃度は、活性成分の化合物が均一に溶解または分散できれば、特に制限されないが、濃度が低すぎると、担持に時間がかかるため、活性成分および溶媒の合計100重量%当たりの、活性成分量は、好ましくは1〜50重量%、更に好ましくは2〜40重量%である。
本発明の塩素製造用触媒を製造する際には、前記分散後の触媒に細孔容積以上の量の溶媒が残存する場合には、前記分散後、反応器への充填前に溶媒除去が必要となるが、細孔容積以下の溶媒量であれば、そのままの状態で反応に用いても、溶媒除去を行ってもよい。溶媒を除去する場合には、乾燥だけでも良いが、更に焼成を行ってもよい。乾燥条件としては、特に限定はないが、通常は大気中または減圧下、0〜200℃、10min〜24hrの条件で実施される。また、焼成条件としては、特に限定はしないが通常は大気中下、200℃〜600℃、10min〜24hrの条件で実施される。
担体に分散される銅化合物、アルカリ金属化合物、および希土類化合物は、どのような化合物でもよいが、通常はそれぞれ独立にハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、アルコキシドまたは錯塩である。中でも塩化物、硝酸塩または酢酸塩であることが複合塩を形成しやすいという点で好ましい。
銅化合物、アルカリ金属化合物、希土類化合物および担体の使用量としてはその担持方法によっても異なるが、得られる触媒に含まれる銅元素、アルカリ金属元素、および希土類元素が前述の範囲内になる量を用いることが好ましい。
上記製造方法によって得られる触媒の形状は、通常担体の形状に依存するが、活性成分を担体に担持し、必要に応じて乾燥、焼成を行った後に、解砕、研磨、凝集粒子の再分散などで粒子形状を、平均真球度が0.80以上、好ましくは0.90以上を満たすよう調整してもよい。
また担体として、シリカ担体を用いる場合には、市販されているものをそのまま使用することもできるが、活性成分の担持前に、30〜700℃の温度で乾燥または焼成して使用することもできる。
さらに上記銅化合物とアルカリ金属化合物、および希土類化合物に加えて、パラジウム化合物、イリジウム化合物、クロム化合物、バナジウム化合物、ニオブ化合物、アルカリ土類金属化合物などその他の化合物を担体に分散させる場合にも、その添加方法は特に限定されず、銅化合物とアルカリ金属化合物、および希土類化合物と一緒に溶液にして担体に分散しても良いし、別途、先に担体に分散しても、あるいは後から担体に分散しても良い。このようにして上記活性成分および担体以外の成分を含んでいる触媒を得ることができる。本発明の触媒にこれら他の成分が含まれる場合には、担体100重量部あたり、金属元素換算で通常0.01〜10重量部の範囲である。
本発明の塩素製造用触媒は、通常、球状粒子の集合体からなるものであって、個々の粒子がほぼ均一な組成であってもよく、全体として上記の特定性状を満たすものであればよい。すなわち、本発明の塩素製造用触媒は、同じ組成の球状粒子のみの集合体であることが好ましいが、異なる組成の球状粒子の混合体であって、全体として上記特定性状を満たすものであってもよい。異なる組成の球状粒子の混合体である本発明の塩素製造用触媒としては、たとえば、銅元素、アルカリ金属元素、および特定の希土類金属元素を含有する球状粒子と、反応に不活性な球状粒子との混合体であるなど、組成や物性の異なる球状粒子の集合体が、全体として本発明で定義する塩素製造用触媒の特性を満たすものであってもよい。本発明の塩素製造用触媒が、反応に不活性な球状粒子を含む場合、該不活性な球状粒子の素材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ガラスなどが挙げられるが、なかでもシリカ、アルミナが好ましく、特にシリカが好ましい。
このような本発明の塩素製造用触媒は、流動層反応器内で塩化水素を酸素により酸化して塩素を製造する際の触媒として好適に用いることができるとともに、粒子強度に優れ粒子の割れを生じにくく、粒子磨耗速度が0.20重量%以下と小さく耐摩耗性に優れるとともに、優れた流動性を示す。このため本発明の塩素製造用触媒を用いて塩素を製造する場合には、長期にわたり安定して塩素を連続的に製造することができる。
<塩素の製造方法>
次に、本発明の上記塩素製造用触媒を用いた塩素の製造方法について説明する。本発明の塩素の製造方法は、流動層反応器内で、触媒の存在下で塩化水素を酸素により酸化して塩素を製造する方法であって、該触媒が、上述した本発明の塩素製造用触媒であることを特徴とする。
本発明の塩素の製造方法では、流動層反応器を用いるものであり、反応方式については、バッチ式、流通式のいずれでもよいが、塩素を連続して製造することができるため流通式が好ましい。本反応は平衡反応であるため、反応温度が高すぎると転化率が低下し、低すぎると触媒の活性が充分でないため、反応温度は、通常は250〜500℃、好ましくは320〜420℃で行う。反応時の圧力は、操作性を考慮すれば、大気圧〜50気圧程度がよい。
反応に用いる酸素の酸素源としては、空気をそのまま使用してもよいが、平衡反応であるため、転化率は100%に至らず、未反応塩化水素と生成物である塩素との分離が必要である。したがって、酸素源は不活性な窒素ガスを含まない純酸素がより好ましい。酸素に対する塩化水素の量論モル比(塩化水素/酸素)は4であるが、一般的に理論量よりも酸素を過剰に供給する方が高活性、かつ良好な流動性を得ることができるため、酸素に対する塩化水素のモル比(塩化水素/酸素)は1.0〜3.0が好ましく、1.0〜2.5がより好ましい。また、必要に応じて、塩化水素、及び酸素以外のガスを反応器内に流通させても良い。さらに、反応の開始時、あるいは終了時には、酸素に対する塩化水素のモル比を低下させること、不活性ガスを反応器内に流通させること、あるいは空塔速度を速めること、により安定な運転が可能となる。
また、本発明における塩素製造用触媒の使用重量に対する塩化水素の供給速度は、触媒1kgあたり、通常100〜2000NL/hrであることが好ましく、より好ましくは200〜1000NL/hrである。
本発明の塩素の製造方法では、上述した本発明の塩素製造用触媒のみを用いてもよいが、本発明の塩素製造用触媒とともに、不活性な粒子を反応器内に共存させて用いることも可能である。この際の不活性な粒子の使用割合は特に限定されるものではないが、塩素製造用触媒と不活性な粒子とからなる粒子全体に対して、1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%程度用いることができる。不活性な粒子の添加量が1重量%より少ないと、流動性向上の効果が低く、50重量%より多いと、塩化水素の転化率が低下し好ましくない。
不活性な粒子の素材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ガラスなどが挙げられるが、なかでもシリカ、アルミナが好ましく、特にシリカがさらに好ましい。不活性な粒子の形状も、流動層触媒として一般に用いられる粒子状、顆粒状、あるいは球状等いずれの形状でも構わないが、反応時の磨耗を抑えるためには、球状であることが好ましく、平均真球度が0.80以上の球状粒子であることがより好ましい。
このような本発明の塩素の製造方法によれば、触媒活性が高く、粒子磨耗速度が低く耐摩耗性に優れ、流動層反応器内で優れた流動性を示す本発明の塩素製造用触媒を用いることにより、流動層反応器を用いて、長期にわたり安定して塩素を連続的にかつ効率的に製造することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない
なお、以下の実施例または比較例で得た触媒の触媒活性評価は、特に記述がない限りは、以下の触媒反応試験法の条件にて実施した。また、以下の実施例および比較例において、各性状の測定及び評価は以下のようにして実施した。
・触媒反応試験法
中空部に厚さ3mmのガラスフィルターを設置した内径16mmのガラス製反応管(図1参照)の下部に石英砂を充填し、ガラス反応管中のガラスフィルターの上部に触媒を21.5ml充填する。ガラス反応管下部より、塩化水素を90.0ml/min、酸素を45.0ml/min供給し、触媒を流動させながら、反応温度380℃で反応させる。この時の空塔速度は2.8cm/secであった。
・塩化水素の転化率
ヨウ化カリウム(関東化学、オキシダント測定用)を水に溶解し、0.2mol/L溶液を調整する。この溶液300mlに反応管から生成ガスを8分間吸収させる。この溶液を0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液(関東化学)で中和滴定し、生成した塩素の量を測定し、塩化水素の転化率を求めた。
・触媒流動性の評価
反応温度を360℃とする以外は、前記触媒反応試験法に記載の方法にて、塩化水素の酸化反応を実施する。触媒層下部、すなわち、ガラスフィルターと接触している部分をA、ガラスフィルターから上へ40mmの部分をBとした場合に、AとBの温度差を測定する。この温度差が±2℃未満である状態を流動性良好、±2℃以上である場合を流動性不良と判断した。
・粒子磨耗速度の測定
図1に記載の粒子磨耗速度測定装置を用いて測定する。予め、ガス排出口のフラスコと円筒濾紙の重量を測定しておき、触媒20.0gを1.5インチ管に入れる。下部の多孔板より424L/時間(室温状態)の空気を流す。出口のフラスコ、および円筒濾紙内に貯まった触媒量を測る。空気流通開始から5時間までを初期微粒量[g]とし、5時間から20時間までを粒子飛散量[g]としてそれぞれ計量し、粒子磨耗速度[重量%/時間]を次式により算出した。
粒子磨耗速度[重量%/時間]=粒子飛散量[g]/(20.0[g]−初期微粒量[g])/15[時間]×100
・平均粒子径の測定
使用装置:粒度分布計、Microtrac MT3300EXII
(Microtrac社製)
測定原理:レーザー光回折散乱法(湿式)
測定範囲:0.021〜1408μm
粒子条件:透過性=透過、屈折率=1.81、形状=非球形
・粒子密度の測定
粒子密度は、通常、以下の方法により測定した。
1.真密度:X(g/ml)を以下の方法により測定する。
使用装置;乾式自動密度計 アキュピック1330(島津製作所製)
使用ガス;ヘリウム
測定温度;25℃
測定方法;試料を充填後、パージ(ヘリウム)を20回行った後、10回連続して測定を行った。
2.細孔容積:Y(ml/g)を以下の方法により測定する。
使用装置;オートソーブ3(カンタクローム社製)
前処理;室温での真空脱気処理
測定方法;液体窒素温度下(77K)における窒素ガス吸着法(BJH法)
3.上記の方法により測定した、真密度:X(g/ml)、及び細孔容積:Y(ml/g)の値より以下の式にて、粒子密度:Z(g/ml)を算出する。
Z=1/(1/X+Y)
・終末速度
触媒の終末速度(m/秒)は、ストークスの式から算出される空気中の終末速度であって、その値は次式により求めた。
終末速度ut=g(ρs−ρg)dp 2/18μ
(式中、g:重力加速度、ρs粒子密度、ρg気体の密度、dp:平均粒子径、μ:気体の粘度をそれぞれ表わす。本発明においては、気体を20℃の空気であると想定し、気体の密度を1.2kg/m3、気体の粘度を0.018mPa・s、重力加速度を9.807m/s2として終末速度を算出した。)
・真球度の測定
真球度の平均値の測定は以下の手順に従って行った。
1.測定サンプルを試料台の上に粘着テープで固定し、走査電子顕微鏡(SEM)写真を撮影する。
2.SEM像を画像解析装置に取り込み、各粒子の真球度(円形度係数)を計測し、測定粒子数から平均真球度を算出する。測定対象は円相当径が30μm以上の粒子とし、測定粒子数は1000以上が望ましい。
測定において使用した装置は以下のとおりである。
・走査電子顕微鏡(SEM):日立S−4800
加速電圧:30kV エミッション電流:20μA 倍率:30倍
・画像解析装置:ライカ Q−win
[実施例1]
担体として、球状シリカ(富士シリシア化学株式会社、Q−15、粒度分布:75〜500μm、メーカー分析表よりの物性値は、平均細孔径:15nm、平均粒子径:200μm、嵩密度:0.4g/ml、細孔容積:1.2ml/g、である。このシリカをシリカ担体1とする)を空気中、500℃で2hr焼成した。ガラス製フラスコ(1L)に水150gと塩化第二銅(和光純薬、特級)2.89g、塩化ネオジム・六水和物(和光純薬、特級)3.20g、塩化カリウム(和光純薬、特級)1.53gを加えて水溶液とし、これに焼成したシリカ担体を50.0g加え、ロータリーエバポレーターを用いて、80℃で蒸発乾固した。これを、空気中、250℃で3hr焼成し、担持触媒1を得た。担持触媒1のCu:K:Nd:SiO2重量比は2.5:1.5:2.5:93.5であった。得られた担持触媒1の粒子磨耗速度、反応開始後1時間後および20時間後の塩化水素転化率、平均粒子径、粒子密度、終末速度、平均真球度および流動性の測定・評価結果を表1に示す。
[実施例2]
塩化ネオジム・六水和物3.20gの代わりに、塩化サマリウム・六水和物3.26gを用いる以外は、実施例1と同様の方法にて、担持触媒2を得た。担持触媒2のCu:K:Sm:SiO2重量比は2.5:1.5:2.5:93.5であった。得られた担持触媒2の粒子磨耗速度、反応開始後1時間後および20時間後の塩化水素転化率、平均粒子径、粒子密度、終末速度、平均真球度および流動性の測定・評価結果を表1に示す。
[実施例3]
球状シリカとして、シリカ担体1の代わりに、シリカ担体2(富士シリシア化学株式会社、Q−15、粒度分布:75〜150μm、メーカー分析表よりの物性値は、平均細孔径:15nm、平均粒子径:100μm、嵩密度:0.4g/ml、細孔容積:1.2ml/gである)を用いる以外は、実施例1と同様の方法にて、担持触媒3を得た。担持触媒3のCu:K:Nd:SiO2重量比は2.5:1.5:2.5:93.5であった。得られた担持触媒3の粒子磨耗速度、反応開始後1時間後および20時間後の塩化水素転化率、平均粒子径、粒子密度、終末速度、平均真球度および流動性の測定・評価結果を表1に示す。
[実施例4]
球状シリカとして、シリカ担体1の代わりに、シリカ担体2を用い、塩化ネオジム・六水和物3.20gの代わりに、塩化サマリウム・六水和物3.26gを用いること以外は、実施例1と同様の方法にて、担持触媒4を得た。担持触媒4のCu:K:Sm:SiO2重量比は2.5:1.5:2.5:93.5であった。得られた担持触媒4の粒子磨耗速度、反応開始後1時間後および20時間後の塩化水素転化率、平均粒子径、粒子密度、終末速度、平均真球度および流動性の測定・評価結果を表1に示す。
[実施例5]
球状シリカとして、シリカ担体1の代わりに、シリカ担体3(富士シリシア化学株式会社、Q−6、粒度分布:75〜150μm、メーカー分析表よりの物性値は、平均細孔径:6nm、平均粒子径:100μm、嵩密度:0.5g/ml、細孔容積:0.8ml/gである)を用いる以外は、実施例1と同様の方法にて、担持触媒5を得た。担持触媒5のCu:K:Nd:SiO2重量比は2.5:1.5:2.5:93.5であった。得られた担持触媒5の粒子磨耗速度、反応開始後1時間後および20時間後の塩化水素転化率、平均粒子径、粒子密度、終末速度、平均真球度および流動性の測定・評価結果を表1に示す。
[実施例6]
球状シリカとして、シリカ担体1の代わりに、シリカ担体3を用い、塩化ネオジム・六水和物3.20gの代わりに、塩化サマリウム・六水和物3.26gを用いること以外は、実施例1と同様の方法にて、担持触媒6を得た。担持触媒6のCu:K:Sm:SiO2重量比は2.5:1.5:2.5:93.5であった。得られた担持触媒6の粒子磨耗速度、反応開始後1時間後および20時間後の塩化水素転化率、平均粒子径、粒子密度、終末速度、平均真球度および流動性の測定・評価結果を表1に示す。
[実施例7]
シリカ担体1を空気中、500℃で2hr焼成した。ガラス製フラスコ(1L)に水150gと塩化第二銅(和光純薬、特級)1.68g、塩化ネオジム・六水和物(和光純薬、特級)1.86g、塩化カリウム(和光純薬、特級)0.90gを加えて水溶液とし、これに焼成したシリカ担体1を50.0g加え、ロータリーエバポレーターを用いて、80℃で蒸発乾固した。これを、空気中、250℃で3hr焼成し、担持触媒7を得た。担持触媒7のCu:K:Nd:SiO2重量比は1.5:0.9:1.5:96.1であった。得られた担持触媒7の粒子磨耗速度、反応開始後1時間後および20時間後の塩化水素転化率、平均粒子径、粒子密度、終末速度、平均真球度および流動性の測定・評価結果を表1に示す。
[実施例8]
塩化ネオジム・六水和物1.86gの代わりに、塩化サマリウム・六水和物1.89gを用いる以外は、実施例7と同様の方法にて、担持触媒8を得た。担持触媒8のCu:K:Sm:SiO2重量比は1.5:0.9:1.5:96.1であった。得られた担持触媒8の粒子磨耗速度、反応開始後1時間後および20時間後の塩化水素転化率、平均粒子径、粒子密度、終末速度、平均真球度および流動性の測定・評価結果を表1に示す。
[実施例9]
ガラス製フラスコ(200mL)に水25gと塩化第二銅(和光純薬、特級)2.89g、塩化ネオジム・六水和物(和光純薬、特級)3.20g、塩化カリウム(和光純薬、特級)1.53gを加えて攪拌し水溶液1とする。別途、ガラス製ミキサー(1L)に、500℃で2hr焼成したシリカ担体1を50.0g加え、攪拌させながら、水溶液1をスプレーで噴霧する。噴霧終了後、ロータリーエバポレーターを用いて、95℃で減圧乾燥処理を施し、担持触媒9を得た。担持触媒9のCu:K:Nd:SiO2重量比は2.5:1.5:2.5:93.5であった。得られた担持触媒9の粒子磨耗速度、反応開始後1時間後および20時間後の塩化水素転化率、平均粒子径、粒子密度、終末速度、平均真球度および流動性の測定・評価結果を表1に示す。
[実施例10]
塩化ネオジム・六水和物3.20gの代わりに、塩化サマリウム・六水和物3.26gを用いる以外は、実施例9と同様の方法にて、担持触媒10を得た。担持触媒10のCu:K:Sm:SiO2重量比は2.5:1.5:2.5:93.5であった。得られた担持触媒10の粒子磨耗速度、反応開始後1時間後および20時間後の塩化水素転化率、平均粒子径、粒子密度、終末速度、平均真球度および流動性の測定・評価結果を表1に示す。
[比較例1]
クロミア75重量%、シリカ25重量%からなる微小球状流動床用酸化クロム触媒50gをCuCl2・2H2O 6.71g、KCl 2.85g、La(NO33・6H2O 7.79gを溶解した水溶液25mlに含浸後、510℃で5時間焼成し、酸化ケイ素と酸化クロムからなる担持触媒11を得た。ここで、ベースの微小球状流動床用酸化クロム触媒は、特開昭61−275104に記載の方法により調製したものである。得られた担持触媒11の粒子磨耗速度、反応開始後1時間後および20時間後の塩化水素転化率、平均粒子径、粒子密度、終末速度および流動性の測定・評価結果を表1に示す。
なお、以上の実施例において、得られた各担持触媒は、いずれも用いた担体の90%以上の平均細孔径、および細孔容積を維持していた。
Figure 0005289131
本発明によれば、触媒活性、粒子強度および耐摩耗性に優れ、流動層反応器での反応に好適な塩素製造用触媒、および該触媒を用いた工業的に優れた塩素の製造方法を提供できる。

Claims (5)

  1. 流動層反応器内で、塩化水素を酸素により酸化して塩素を製造するための触媒であって、
    銅元素、アルカリ金属元素、および希土類金属元素を含む球状粒子からなり、
    粒子磨耗速度が0.20重量%/時間以下であることを特徴とする塩素製造用触媒。
  2. 触媒中の銅元素含有量が0.3重量%以上、4.5重量%以下であり、
    銅元素とアルカリ金属元素との重量比が1:0.2〜1:2.0の範囲であり、かつ、
    銅元素と希土類金属元素との重量比が1:0.2〜1:3.0の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の塩素製造用触媒。
  3. 希土類金属元素が、プラセオジム、ネオジム、サマリウムおよびユウロピウムよりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の塩素製造用触媒。
  4. アルカリ金属元素が、ナトリウムおよび/またはカリウムを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塩素製造用触媒。
  5. 1〜4のいずれかに記載の塩素製造用触媒の存在下で、流動層反応器内で、塩化水素を酸素により酸化することを特徴とする塩素の製造方法。
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