JP2012062235A - 塩素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、固定層反応器を用いて、塩化水素を酸素により酸化して塩素を製造するにあたり、一酸化炭素を含む原料ガスを用いても、塩素の生産性を低下させること無く、効率よく、経済的にかつ安定して、高い生産性を長期にわたって維持が可能な塩素の製造方法を供することである。
【解決手段】本発明の塩素の製造方法は、触媒充填層からなる反応域を有する固定層反応器を用いて、塩化水素、酸素および一酸化炭素を含む原料ガス中の塩化水素を、塩素製造用触媒下で、酸素により酸化して塩素を製造する方法であり、前記原料ガス中に含まれる一酸化炭素は、前記原料ガス100vol%に対して、0.1vol%以上、8vol%以下であり、前記塩素製造用触媒は、銅元素、アルカリ金属元素および298Kにおける酸素との結合解離エネルギーが100〜185kcal/molを満たすランタノイド金属元素を含む活性成分が、多孔質担体に担持された触媒であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、固定層反応器中で、塩化水素を酸素により酸化して塩素を製造する場合に、原料ガス中に含まれる一酸化炭素による、塩素の生産性低下を抑制することで、長期に渡って、効率よく、経済的かつ安定して、高い生産性をもって、塩素を製造できる方法に関する。
塩素は塩化ビニル、ホスゲン等の原料として有用であり、食塩の電気分解法、あるいは塩化水素の触媒的酸化等により、工業的に製造できることが広く知られている。
しかしながら、食塩の電気分解法は、多くの電力を用いるため、エネルギー的に不利であり、また苛性ソーダを副生するため、塩素と苛性ソーダの需給バランスが常に問題となる。
一方、塩化水素の触媒的酸化による製造は、塩化ビニルモノマーやイソシアネート類を製造する際に副生する塩化水素の回収法の1つとして考案された。副生する塩化水素を原料とする為、環境負荷の観点から非常に有効なプロセスであると言える。また、触媒としては、例えば、従来からDeacon触媒と呼ばれる銅系の触媒が優れた活性を有するとされ、塩化銅と塩化カリウムに第三成分として種々の化合物を添加した触媒、また、酸化クロムを含む触媒や酸化ルテニウムを含む触媒などが提案されている。
しかしながら、原料となる塩化水素ガスには、通常、一酸化炭素が高濃度で含まれている。そのため、高濃度の一酸化炭素に起因して、触媒成分の揮散量が増加することや、一酸化炭素の酸化による二酸化炭素の生成が著しい発熱を伴う為に、不均一触媒の表面における制御不可能な局所的温度上昇(ホットスポット)を引き起し、触媒活性の低下や失活の原因となることや、触媒表面への一酸化炭素の吸着により金属カルボニルが生成し、塩素生成反応が抑制されることなどが問題となる。これらの現象は特に固定層プロセスにおいて顕著であり、高価な一酸化炭素分離工程が必要となる場合もある。(特許文献1、2)。
固定層プロセスは、軸方向の流体混合が少なく、押し出し流れに近似できるので反応収率が高い。また、反応流体と触媒の接触時間を変化させることが容易であって、速い反応から遅い反応まで適用可能である。そのため、広範囲の分野で用いられ、工業的には最も好ましいプロセスと言える。
しかしながら、固定層反応器内で塩素を製造する場合には、前述のホットスポットの影響が非常に大きくなるため、塩化水素と一酸化炭素を分離しなければ、工業的に安定して塩素を製造することは困難である。
したがって、固定層反応器を用いて、塩化水素の触媒的酸化により塩素を製造する場合に、一酸化炭素の影響を受けずに、長期にわたって、効率よく、経済的かつ安定して、塩素を高生産性で製造できる方法が望まれていた。
なお、特許文献3には、固定層反応器を用いた塩素の製造方法であって、原料ガスに、不純物として一酸化炭素を含む場合を想定した製造モデルが開示されている。しかしながら、特許文献3は、あくまでも計算化学に基づいた理想モデルであるため、実際の塩素の製造に直ぐに適用できず、工業的に適した製造方法を得るためには、さらなる検討、改良の余地がある。
特開昭62−270404号公報 特表2009−537450号公報 特開2010−189206号公報
本発明は、固定層反応器を用いて、塩化水素を酸素により酸化して塩素を製造するにあたり、一酸化炭素を含む原料ガスを用いても、塩素の生産性を低下させること無く、効率よく、経済的にかつ安定して、高い生産性を長期にわたって維持が可能な塩素の製造方法を供することである。
本発明の塩素の製造方法は、触媒充填層からなる反応域を有する固定層反応器を用いて、塩化水素、酸素および一酸化炭素を含む原料ガス中の塩化水素を、塩素製造用触媒下で、酸素により酸化して塩素を製造する方法であり、前記原料ガス中に含まれる一酸化炭素は、前記原料ガス100vol%に対して、0.1vol%以上、8vol%以下であり、前記塩素製造用触媒は、銅元素、アルカリ金属元素および298Kにおける酸素との結合解離エネルギーが100〜185kcal/molを満たすランタノイド金属元素を含む活性成分が、多孔質担体に担持された触媒であることを特徴とする。
前記反応域におけるガス空塔速度が、標準状態(0℃、0.1MPa)で、0.002m/s以上、10.0m/s以下であることが好ましい。
前記銅元素が、前記塩素製造用触媒100重量%あたり、1.5重量%以上、15重量%以下であることが好ましい。
前記反応域における反応温度が、300℃以上、420℃以下であることが好ましい。
前記反応域における塩化水素のガス空間速度が、標準状態(0℃、0.1MPa)で、250h-1以上、2000h-1以下であることが好ましい。
前記多孔質担体が、シリカからなる多孔質担体であることが好ましい。
本発明によれば、固定層反応器を用いて、塩化水素を酸素により酸化し、塩素を生成する反応において、原料ガス中に、塩素の生産性を低下させる要因となる一酸化炭素が含有されていても、高い生産性を長期にわたって、効率よく、経済的にかつ安定して、塩素を製造するこができる。また、本発明の製造方法に好適な塩素製造用触媒を用いることで、使用する触媒量を削減できるため、環境への負荷を最小限にすることが可能となる。
図1に、実施例および比較例において、触媒反応試験法にて用いたハステロイ製反応管の概略図を示す。
本発明の塩素の製造方法は、触媒充填層からなる反応域を有する固定層反応器を用いて、原料ガス中に含まれる塩化水素を、塩素製造用触媒下で、原料ガス中に含まれる酸素により酸化して塩素を製造する方法であり、原料ガスには、一酸化炭素も含むことを特徴とする。前記原料ガス中に含まれる一酸化炭素は、原料ガス100vol%に対して、0.1vol%以上、8vol%以下であり、前記塩素製造用触媒は、銅元素、アルカリ金属元素および298Kにおける酸素との結合解離エネルギーが100〜185kcal/molの範囲を満たすランタノイド金属元素を含む活性成分が、多孔質担体に担持された触媒である。
本発明の塩素の製造方法は、固定層反応器内に、塩素製造用触媒を充填することで反応域を形成して実施する。固定層反応器は、特に限定されないが、たとえば、化学工学便覧(改訂六版、発行年月:平成11年2月25日、編者:化学工学会、発行元:丸善株式会社)の189頁に記載されている公知の固定層反応器を任意に使用可能であるが、好ましくは、塩化水素の酸化反応が発熱反応であるため、多管式熱交換器型が好適である。
また、本発明においては、固定層反応管内に二つ以上の触媒充填層からなる反応域を有してもよい。二つ以上の触媒充填層からなる反応域を形成する方法としては、反応管内の触媒充填層を管軸方向に、二つ以上の反応域に分割して、同一、または活性成分の組成や触媒形状等の異なる触媒を充填する方法、触媒を担体のみからなる等の不活性物質で希釈させた混合触媒を、希釈率を変えて充填する方法、などを挙げることができ、これらの方法を適宜、組み合わせて用いることが出来る。
通常、連続する反応域は直に接している状態にあるが、反応域の間に不活性物質や担体のみからなる層を設置してもよい。ただし、不活性物質や担体のみで成型した充填物のみからなる充填層は、触媒充填層とは見なさない。
本発明の塩素の製造方法においては、触媒充填層からなる反応域の温度制御を、二つ以上の独立した温度制御方法によって制御しても良い。温度制御を、二つ以上の独立した温度制御により行なう方法としては、例えば、反応管内に管軸方向に少なくとも二つ以上の異なる触媒からなる触媒充填層を設置し、反応域に分割して反応熱の発生量を制御することにより触媒充填層の温度を制御する方法、少なくとも二つ以上に分割された反応域に、それぞれ独立した熱交換器を設置し、それぞれ独立に温度制御を行なう方法、少なくとも2つ以上の固定層反応器を直列に接続し、それぞれ独立に温度制御を行なう方法等を挙げることができ、これらの方法を単独、もしくは複数用いることができる。これらの方法により、触媒充填層からなる反応域の温度制御が容易に可能となる。
本発明における、固定層反応管の内径は、通常10〜80mm、好ましくは10〜60mm、更に好ましくは10〜50mmである。反応管の内径が10mm未満であると、一定量の塩素製造量を確保する為に必要な反応管数が過剰に必要となるため、製造効率が悪く、装置の建設コストが増加するため好ましくない。一方、反応管の内径が80mmより大きいと、触媒充填層からなる反応域の温度制御が困難となり、過度のホットスポットが生じるおそれがあり、好ましくない。
本発明において用いられる塩化水素は、特に限定されず、通常は塩化水素の発生源からガス状で供給される塩化水素を含むガスをそのまま反応器に供給する。塩化水素を工業的に得る場合、塩化水素は有機化合物の置換反応や縮合反応などの副生物として得られるために、かならずしも高純度ではなく、不純物として、例えばベンゼン、クロロベンゼンなどの有機化合物や、窒素、アルゴン、一酸化炭素、二酸化炭素、水素などの無機性ガスなどが含まれることがある。これらのうち有機化合物は塩素化されて高沸点化合物となり、ガスラインの閉塞などプラントトラブルの原因となりえることから、通常反応前に除去される。本発明においても、塩化水素中の有機化合物は極力除去することが好ましい。有機化合物を除去する方法としては、特に限定されないが、活性炭等の吸着剤に接触させて有機化合物を除去する方法や、有機化合物を含むガスを加圧、冷却して有機化合物を凝縮除去する方法等が挙げられる。また、これらの方法を併用しても良い。
また、工業的に塩素を製造する場合、反応ガスから生成物である塩素を分離したガスを、再度、固定層反応器にリサイクルすることが一般的である。このリサイクルガス中には、塩素を分離する方法にもよるが、塩化水素、酸素、塩素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素等が含まれる。
従って、本発明にかかる原料ガスには、塩素の原料となる塩化水素、酸素の他に、ベンゼン、クロロベンゼン等の有機化合物、窒素、アルゴン、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、塩素等を含むことがある。
原料ガス中に含まれる、一酸化炭素以外の無機ガスは、そのまま反応器へ混入しても特に問題はないが、無機ガスの濃度が高くなると、相対的に塩化水素及び酸素の濃度が低下し、結果的に塩素の生産性が低下するおそれがあるため、好ましくない。本発明において、一酸化炭素以外の無機ガスの全濃度は、供給されるガスの全量に対して、50vol%以下、好ましくは40vol%以下、更に好ましくは30vol%以下である。
本発明において、定常運転時の原料ガス中に含まれる塩化水素の濃度は、特に限定されないが、通常、原料ガス100vol%に対して、20vol%以上、80vol%以下であり、好ましくは30vol%以上、70vol%以下、より好ましくは40vol%以上、60vol%以下である。20vol%未満であると、原料である塩化水素の濃度が低いために塩素の生産性が低下するおそれがあり、好ましくない。一方、80vol%より大きいと、塩化水素に対して酸素が不足するために、塩化水素の塩素への転化率が低下し、安定して塩素を製造できないおそれがあるため、好ましくない。
また、該原料ガス中には、一酸化炭素が、原料ガス100vol%に対して、0.1vol%以上、8vol%以下含まれる。一酸化炭素の濃度が、8vol%を超えると、塩化水素の濃度が低下することにより、塩素の生産性が著しく減少してしまうため、好ましくない。なお、塩素の製造においては、原料ガス中に一酸化炭素が完全に含まれていないことが望ましいため、下限値は、理想的には0vol%である。本発明においては、従来の製造方法では悪影響が生じると推定される0.1vol%を下限と記載したが、この値未満でも、本発明の目的を損なわないので、本発明の塩素の製造方法を用いることができる。
本発明において、定常運転時の原料ガス中に含まれる酸素の濃度は、特に限定されないが、通常、原料ガス100vol%に対して、10vol%以上、50vol%以下であり、好ましくは15vol%以上、45vol%以下、より好ましくは20vol%以上、40vol%以下である。10vol%未満であると、原料である酸素の濃度が低いために塩素の生産性が低下するおそれがあり、好ましくない。一方、50vol%より大きいと、塩化水素の濃度の低下を招き、塩素の生産性を低下し、安定して塩素を製造できないおそれがあるため、好ましくない。また、本発明に用いる酸素は、酸素または空気が使用される。空気をそのまま使用してもよいが、塩化水素の酸化反応は平衡反応であり、ガス中の酸素分圧が高いほど、平衡は塩素生成に優位に作用する為、不純物ガスの少ない酸素ガスを用いることが好ましく、高純度の酸素を用いることが最も好ましい。
本発明の塩素の製造方法において、塩化水素1モルに対する酸素の理論モル量は0.25モルであるが、塩素の生産性を向上させる観点からは、理論モル量以上の酸素を供給することが好ましく、原料ガス中の塩化水素に対する酸素のモル比は、0.25以上、2.0以下が好ましく、0.30以上、1.5以下がより好ましく、0.40以上、1.0以下が最も好ましい。塩化水素に対する酸素のモル比が0.25未満であると、塩化水素の酸化が充分に進行しないおそれがあり、好ましくない。2.0より大きいと、原料ガス中に含まれる塩化水素の濃度が低くなり、結果として塩素の生産性が悪化するおそれがあり、好ましくない。
本発明における塩素製造用触媒量に対する塩化水素量、すなわち塩化水素のガス空間速度(GHSV)は、標準状態(0℃、0.1MPa)における塩化水素の供給速度(L/hr)と、触媒充填層の体積(L)との比で表すことができ、通常、250h-1以上、2000h-1以下、好ましくは300h-1以上、1500h-1以下である。250h-1未満であると塩化水素量に対して使用する触媒量が過剰であり、触媒コストが増大する為、効率的ではない。2000h-1より大きいと、塩化水素酸化反応が充分に進行せず、塩素の生産性が悪化するおそれがあり、好ましくない。
本発明においては、触媒充填層からなる反応域におけるガス空塔速度は、0.002m/s以上、10.0m/s未満であることが好ましく、0.005m/s以上、5.0m/s未満であることがより好ましく、0.01m/s以上、3.0m/s未満であることがさらに好ましい。尚、本発明におけるガス空塔速度とは、触媒充填層に供給される全てのガス、すなわち原料ガスの標準状態(0℃、0.1MPa)における供給速度と固定層反応管の内断面積との比を意味する。なお、ガス空塔速度は一般に反応域の後半になるにつれて遅くなるが、本発明においては、反応域の初期におけるガス空塔速度、すなわち第1反応域入口におけるガス空塔速度を示す。なお、第1反応域とは、原料ガスの流れについての最も上流側の反応域を意味する。
本発明において、触媒層からなる反応域の最高温度は、効率よく安定し、高い生産性をもって塩素を製造し得る点から、300℃以上、420℃以下が好ましく、320℃以上410℃以下がより好ましく、340℃以上、400℃以下が最も好ましい。最高温度が300℃未満であると、塩化水素酸化反応が充分に進行せず、好ましくない。一方、420℃より高いと、触媒主成分である銅の揮散速度が大きくなり、触媒活性の劣化を招き、またホットスポットを引き起こすおそれがある為、好ましくない。
本発明における、固定層反応器内の圧力は特に限定されないが、通常、常圧〜5MPaGが好ましい。加圧条件下で反応を実施する場合は、反応器に装入するガスを公知の圧縮機を用いて加圧する。圧縮機としては、例えばターボ型の軸流圧縮機、遠心圧縮機、容積型の往復式圧縮機、ねじ式(スクリュー)圧縮機等が挙げられ、必要とする圧力、風量を勘案して適宜選択される。圧縮機の腐食の観点から、反応器に装入するガス、特に塩化水素を乾燥させることが好ましい。
本発明における塩素の製造方法において、その製造工程は特に限定されないが、以下の各工程を含むことが好ましい。
(1)塩化水素、酸素、一酸化炭素を含有する原料ガスを予め加熱する工程
(2)塩化水素の酸化反応を行なう工程
(3)塩化水素、酸素、塩素、水、一酸化炭素、二酸化炭素を含有する生成ガスを冷却する工程
(4)生成ガスから塩化水素を回収・除去する工程
(5)生成ガスを脱水する工程
(6)生成ガスを圧縮、冷却し、塩素を液化塩素として分離する工程
塩化水素、酸素、一酸化炭素を含有する原料ガスを予め加熱する工程においては、固定層反応器にガスが導入する前に100℃以上、400℃未満に加熱することが好ましく、150℃以上、350℃未満であることがより望ましい。予め加熱する温度が100℃未満であると、塩化水素ガスが系内で凝縮し、装置腐食が進行してしまうおそれがあるため、好ましくない。
塩化水素、酸素および一酸化炭素、及び生成物である、塩素、水および二酸化炭素を含有する生成ガスを冷却する工程においては、固定層反応器内で生成した塩素、水および二酸化炭素と、未反応の塩化水素、酸素および一酸化炭素を含む生成ガスを冷媒によって冷却する。冷媒は特に限定されないが、水が好ましい。
生成ガスから塩化水素を回収・除去する工程は、塩化水素、酸素、塩素、水、一酸化炭素、二酸化炭素を含有する生成ガスから未反応の塩化水素を回収・除去することを目的とする。塩化水素の回収・除去方法は、特に限定されないが、塩化水素を回収媒体に吸収させる方法が好ましい。回収媒体は、特に限定されないが、取り扱いの容易さから水が好ましい。また、生成ガスを冷却する工程、及び塩化水素を吸収する工程は、別々の装置を用いて実施しても良いし、同一の装置で実施しても良い。
生成ガスを脱水する工程は、塩素、酸素、水を含む生成ガスから水を除去することを目的とする。脱水方法は、特に限定されないが、冷却脱水法、吸収脱水法、吸着脱水法、圧縮脱水法等の方法が好適に使用でき、吸収脱水法による方法が特に好ましい。当該工程を用いることで、生成ガス中に含まれる残存水分をほぼ完全に除去できる。
生成ガスを圧縮、冷却し、塩素を液化塩素として分離する工程においては、前工程で水分除去された生成ガスを圧縮・冷却し、塩素を液化させてガス相より分離する。この際に塩素を液化分離した後のガス相は、酸素、未回収の塩素を含んでいる。この酸素を含むガスは、(1)塩化水素、酸素を含有する原料ガスを予め加熱する工程へ、再度、導入することにより、(2)塩化水素の酸化反応工程の原料ガスとして使用することができる。
これらの工程を経ることにより、高純度の塩素が、連続的かつ効率的に製造可能となる。
本発明にかかる塩素製造用触媒は、銅元素、アルカリ金属元素および298Kにおける酸素との結合解離エネルギーが100〜185kcal/molを満たすランタノイド金属元素を含む活性成分が、多孔質担体に担持された触媒である。本発明において、このような特定の触媒を用いることで、原料ガス中に一酸化炭素が含まれていても、高い生産性を長期にわたって、効率よく、経済的にかつ安定して、塩素を製造するこができる。また、該触媒は高寿命であるため、使用する触媒量を著しく削減でき、環境への負荷を最小限にすることが可能となる。
該触媒中において、銅元素は、原子価が1価、2価いずれの状態で含まれていてもよい。銅元素の含有量は、触媒100重量%あたり、1.5重量%以上、15.0重量%以下であり、好ましくは3.0重量%以上、7.5重量%以下、より好ましくは4.5重量%以上、10.0重量%以下である。銅含有量は高いほど高活性であるが、15.0重量%より大きいと、触媒の製造が困難となるおそれがあり、好ましくなく、銅含有量が1.5重量%未満であると、充分な塩素収率が得られなくなるおそれがあり、好ましくない。
該触媒に含まれるアルカリ金属元素としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられる。これらのアルカリ金属元素は、触媒中に単独で含まれても、2種以上組み合わせて含まれてもよい。このうち、ナトリウムおよび/またはカリウムが好ましく、カリウムがより好ましい。アルカリ金属元素の含有量は、特に限定されないが、触媒100重量%あたり、1.0重量%以上、10.0重量%以下が好ましく、2.0重量%以上、8.0重量%以下がより好ましく、3.0重量%以上、6.0重量%以下がさらに好ましい。
該触媒に含まれるランタノイド元素は、原子番号57〜71のいわゆるランタノイド元素のうち、298Kにおける酸素との結合解離エネルギーが100〜185kcal/molの範囲にある。ここで、ランタノイドと酸素との298Kにおける結合解離エネルギーは、次の表1に示すとおりであり、触媒に含まれるランタノイド元素としては、具体的には、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)およびルテチウム(Lu)よりなる群から選ばれる1種以上のランタノイド元素が挙げられる。
Figure 2012062235
なお、上記表1に記載の298KでのLn−O(ランタノイド−酸素)結合解離エネルギーD298の値は、有機金属反応剤ハンドブック(玉尾皓平編著、化学同人、発行年月:2003年6月)223頁表2に記載の値である。
本発明において、ランタノイド元素の結合解離エネルギーが185kcal/molを超えると、酸素との結合が強くなりすぎ、また100kcal/mol未満であれば、酸素との親和性が低くなりすぎるため、反応活性(塩素収率)を十分に向上させることができない場合がある。
これらのランタノイド元素のうちでは、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウムが好ましく、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウムがより好ましい。これらのランタノイド元素は、単独で使用しても、2種以上で使用しても構わない。
ランタノイド元素の含有量は、特に限定されないが、塩素製造用触媒100重量%あたり、1.5重量%以上、15.0重量%以下が好ましく、3.0重量%以上、12.5重量%以下がより好ましく、4.5重量%以上、10.0重量%以下がさらに好ましい。
該触媒における銅元素、アルカリ金属元素、およびランタノイド元素の重量比は、特に限定されないが、銅元素とアルカリ金属元素との重量比が1:0.2〜1:4.0の範囲であり、かつ、銅元素とランタノイド元素との重量比が1:0.2〜1:6.0の範囲であることが好ましい。また、銅元素とアルカリ金属元素の重量比は、1:0.2〜1:2.0の範囲であり、銅元素とランタノイド元素との重量比が、1:0.2〜1:3.0であることがより好ましく、銅元素とアルカリ金属元素との重量比は、1:0.3〜1:1.5であり、銅元素とランタノイド元素との重量比が、1:0.3〜1:2.5であることがさらに好ましく、銅元素とアルカリ金属元素との重量比は、1:0.4〜1:1.0であり、銅元素とランタノイド元素との重量比が、1:0.4〜1:2.0であることが最も好ましい。上記範囲では活性成分である各元素が複合化しやすく、長寿命が得られ、塩素製造用触媒が活性に優れたものとなるため、好ましい。
また、該触媒では、本発明の目的を損なわない範囲において、鉄元素、ニッケル元素、あるいは、ランタン、セリウム、イッテルビウム、スカンジウム、イットリウムなどのその他の希土類元素を1種または2種以上含んでいてもよい。なお、これらの元素は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜使用できるが、好ましくは、塩素製造用触媒100重量%あたり、0.001重量%以上、10重量%以下である。
また、該触媒には、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムからなる貴金属元素、及びクロム元素の含有量の合計が、触媒100重量%あたり、1.0重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以下であることが最も好ましい。貴金属元素、及びクロム元素の含有量が1.0重量%より大きいと、原料ガス中に含まれる一酸化炭素の酸化反応が急激に進行し、反応域の反応温度の制御が困難となるおそれがあるため、望ましくない。
該触媒は、特に限定されるものではないが、たとえば、平均細孔径が3nm以上、50nm以下であることが好ましく、6nm以上、30nm以下であることがより好ましい。平均細孔径が3nm未満であると、細孔内に銅をはじめとする活性成分を導入しがたく、表面での凝集、細孔の閉塞などを招くこととなり好ましくない。一方、平均細孔径が50nmより大きいと、触媒の表面積の低下を招くこととなり、反応効率が低下してしまうおそれがあり好ましくない。
該触媒は、特に限定されるものではないが、たとえば、比表面積は30m2/g以上、1000m2/g以下であることが好ましく、50m2/g以上、500m2/g以下であることがより好ましく、100m2/g以上、300m2/g以下であることがさらに好ましい。尚、本発明において、比表面積は、BET法比表面積測定装置(BELSORP−max、日本ベル株式会社製)を用いて測定した。
また該触媒は、特に限定されるものではないが、嵩密度が0.20g/ml以上、1.00g/ml以下であることが好ましく、0.30g/ml以上、0.80g/ml以下であることがより好ましい。
また該触媒は、特に限定されるものではないが、細孔容積が0.3ml/g以上、3.0ml/g以下であることが好ましく、0.5ml/g以上、2.0ml/g以下であることがより好ましく、0.6ml/g以上、1.5ml/g以下であることがさらに好ましい。0.3ml/g未満であると、細孔内の空間が不足し基質の拡散が不充分となる、比表面積が低下し反応効率が低下する、等を招く場合があり好ましくない。一方、3.0ml/gよりも大きいと、触媒としての強度が低下し、反応中に触媒自身が破壊されてしまう場合があるため好ましくない。
また、該触媒の形状は、反応圧力の制御の観点から、成形体が好ましい。成形体の形状は特に限定されず、タブレット状、リング状、円柱状、球状、顆粒状、塊状、フレーク状など、いずれの形状でも好適に利用できる。触媒のサイズについても、反応器に充填可能なサイズであれば特に限定されないが、触媒の長径が0.5〜10mmの範囲が好ましく、1〜8mmが特に好ましい。触媒のサイズが小さすぎると圧力損失が大きくなり、加圧する必要がある。反応管サイズにもよるが、反応管径が小さい場合、触媒サイズが大きすぎるとガス抜けが起こり、反応率が低下する恐れがある。なお、ここでいう触媒の長径とは、例えば球状の場合は球の直径、円柱形ペレットの場合には断面の長い方の径、その他の形状では最大の径を意味する。
該触媒における、多孔質担体の素材としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカアルミナ、などが挙げられるが、なかでも高強度であるため、触媒が長寿命になる点でシリカが好ましい。
多孔質担体の、細孔直径の平均値(以下、平均細孔径とも称す)は3nm以上、50nm以下であることが好ましく、6nm以上、30nm以下であることがより好ましい。平均細孔径が3nm未満であると、細孔内に銅をはじめとする活性成分を導入しがたく、表面での凝集、細孔の閉塞などを招くおそれがあり、好ましくない。一方、平均細孔径が50nmより大きいと、担体の表面積の低下を招くこととなり、反応効率が低下してしまうおそれがあるため、好ましくない。
また、多孔質担体の比表面積は30m2/g以上、1000m2/g以下であることが好ましく、50m2/g以上、500m2/g以下であることがより好ましく、100m2/g以上、300m2/g以下であることがさらに好ましい。比表面積が30m2/g未満であると反応点の減少を招くおそれがあり、好ましくない。1000m2/gより大きいと、担体の製造に特殊な手法が必要となり、効率的でなく、製造コストの観点からも好ましくない。尚、本発明において比表面積は、BET法比表面積測定装置(BELSORP−max、日本ベル株式会社製)を用いて測定した。
また、多孔質担体の嵩密度は0.20g/ml以上、1.00g/ml以下であることが好ましく、0.30g/ml以上、0.80g/ml以下であることがより好ましい。
さらに、多孔質担体の細孔容積は0.3ml/g以上、3.0ml/g以下であることが好ましく、0.5ml/g以上、2.0ml/g以下であることがより好ましく、0.6ml/g以上、1.5ml/g以下であることがさらに好ましい。0.3ml/g未満であると、細孔内の空間が充分でなく、反応効率の低下を招く場合があり好ましくない。一方、3.0ml/gよりも大きいと、担体としての強度が低下し、反応中に触媒自身が破壊されてしまう場合があるため好ましくない。
本発明にかかる塩素製造用触媒は、特に限定されないが、例えば次のような方法で製造することができる。
該触媒は、銅元素、アルカリ金属元素および特定のランタノイド金属元素を含む活性成分が、多孔質担体に担持された構造をとる。活性成分を担持する方法は、銅化合物とアルカリ金属化合物とランタノイド化合物とを多孔質担体に分散する工程と、銅化合物とアルカリ金属化合物とランタノイド化合物とが分散された担体を、乾燥あるいは焼成する工程とを有する。活性成分である銅元素、アルカリ金属元素、および特定のランタノイド元素は、それぞれ銅化合物とアルカリ金属化合物、およびランタノイド化合物として多孔質担体に分散される。多孔質担体としては、前述したものが好適に使用できる。
活性成分を多孔質担体に分散して担持させる方法については特に限定されず、真空チャンバー内での上記元素の蒸着、気相担持、液相担持(液相調製法)のいずれの方法も使用できるが、操作性や、均一分散性を考慮すると、液相担持が望ましい。液相担持の場合、各活性成分を含む化合物を溶媒に添加し、原料溶液や原料が溶媒中に分散した原料分散液とした後に、多孔質担体に吹き付けてもよいし、あるいは、多孔質担体を、前記原料溶液や原料分散液中に浸した後、そのまま、原料溶液や原料分散液を攪拌しながら蒸発乾固を行ってもよく、また、多孔質担体を、活性成分を含有する前記原料溶液や原料分散液中に浸した後、多孔質担体をこの原料溶液や原料分散液中から引き上げ、乾燥する方法を採用することもできる。
多孔質担体を、活性成分を含有する原料溶液や原料分散液中に浸して分散担持する場合は、担持量が少ない場合には、再度多孔質担体を原料溶液や原料分散液中に浸すことにより、活性成分の含有率を上げることができる。前記原料溶液や原料分散液中の活性成分は、担体の細孔内へ入る大きさであれば、溶媒中に溶解していない、固体状態のままでも構わないが、活性成分を均一に細孔内へ分散させるためには、各活性成分が溶媒中に溶解した状態すなわち原料溶液であることが好ましい。
原料溶液や原料が溶媒中に分散した原料分散液を、多孔質担体に吹き付ける場合には、原料分散液の容量が多孔質担体の細孔容積以下であることが望ましい。原料分散液容量が多孔質担体の細孔容積よりも大きいと、原料分散液が、多孔質担体の細孔内に充填しきれず、多孔質担体の表面に存在することとなり、好ましくない。
これら液相で担持する場合の各活性成分の溶媒としては、活性成分を含む化合物を溶解または分散できるものであれば特に限定されないが、取り扱いの容易さから水が好ましい。活性成分を溶媒に溶解、分散するときの濃度は、活性成分の化合物が均一に溶解または分散できれば、特に制限されないが、濃度が低すぎると、担持に時間がかかるため、活性成分および溶媒の合計100重量%当たりの活性成分量は、好ましくは1〜50重量%、更に好ましくは2〜40重量%である。
該触媒を製造する際には、前記分散後の触媒に細孔容積以上の量の溶媒が残存する場合には、前記分散後、反応器への充填前に溶媒除去が必要となるが、細孔容積以下の溶媒量であれば、そのままの状態で反応に用いても、溶媒除去を行ってもよい。溶媒を除去する場合には、乾燥だけでも良いが、更に焼成を行ってもよい。乾燥条件としては、特に限定されないが、通常は、大気中または減圧下、0〜200℃、10min〜24hrの条件で実施される。また、焼成条件としては、特に限定されないが、通常は、大気中下、200℃〜600℃、10min〜24hrの条件で実施することができる。
多孔質担体に分散される銅化合物、アルカリ金属化合物、および特定のランタノイド化合物は、どのような化合物、塩や錯塩でもよいが、それぞれ独立に、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、アルコキシドまたは錯塩であることが好ましい。中でも塩化物、硝酸塩または酢酸塩であることが複合塩を形成しやすいという点で好ましい。
また多孔質担体は、市販されているものをそのまま使用することもできるが、活性成分の担持前に、30〜700℃の温度で乾燥または焼成して使用することもできる。
該触媒の成形体を製造する方法としては、予め成形された多孔質担体に活性成分を担持してもよいし、活性成分を担持した多孔質担体を成形しても良く、あるいは活性成分の一部を担持した多孔質担体を成形した後、残りの活性成分を担持する方法でも良い。成形方法としては特に限定されず、公知の方法が利用できる。例えば、圧縮成形法、押し出し成形法、噴霧乾燥造粒法、転動造粒法、ビード造粒法、打錠成形法、等が好適に利用できる。また、各成形時に、加工性、保形性、均質性等の付与、あるいは向上の為に、公知のバインダー、あるいは添加剤を使用することも可能である。
以下、本発明を実施例、比較例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
なお、以下の実施例または比較例で得た触媒の触媒活性評価における塩素収率の測定は以下の方法により行なった。
[塩素収率]
ヨウ化カリウム(関東化学(株)、オキシダント測定用)を水に溶解し、0.2mol/L溶液を調製する。この溶液300mlに反応管から生成ガスを8分間吸収させた。この溶液を0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液(関東化学(株))で滴定し、生成した塩素の量を測定し、塩素収率を求めた。
[触媒中の各元素の濃度]
触媒中の各元素の含有量は、蛍光X線分析法(LAB CENTER XRE−1700、島津製作所社製)を用いて測定した。
[触媒の嵩密度]
嵩密度は、100mlメスシリンダー中に、容積が100mlとなるように触媒粒子を充填し、その重量:m(g)から以下の式により算出した。
嵩密度(g/ml)=m(g)/100
[触媒調製例1]
200mlガラス製ビーカーに、硝酸第二銅・三水和物(和光純薬工業株式会社製、純度:99.9%):12.12g、硝酸カリウム(和光純薬工業株式会社製、純度:99%):4.99g、硝酸サマリウム・六水和物(和光純薬工業株式会社製、純度:99.9%):9.42gを秤取する。容積が50mlとなるように水を加えた後、常温で攪拌し、完全に溶解させ、含浸液1を調製する。この含浸液1に、シリカ(SS62138、サンゴバン(株)社製、粒径:φ4mm、全細孔容積:0.96ml/g)を20.00g添加する。常温にて1時間静置した後、ポリエチレンメッシュシートを用いて、含浸液1とシリカを分離する。シリカ表面に付着した含浸液1を市販のペーパーでふき取った後、電気炉を用いて、120℃で3時間乾燥した後、500℃で5時間焼成処理を施し、担持触媒1を得た。
担持触媒1中に含まれる、銅濃度は5.0重量%、カリウム濃度は3.0重量%、サマリウム濃度は5.0重量%であり、嵩密度は0.47g/mlであった。
[触媒調製例2]
硝酸第二銅・三水和物の使用量を16.96g、硝酸カリウムの使用量を6.99g、硝酸サマリウム・六水和物の使用量を13.19gとする以外は触媒調製例1と同様の方法により、担持触媒2を調製した。
担持触媒2中に含まれる、銅濃度は7.0重量%、カリウム濃度は4.2重量%、サマリウム濃度は7.0重量%であり、嵩密度は0.49g/mlであった。
[触媒調製例3]
硝酸サマリウム・六水和物:9.42gの代わりに、硝酸プラセオジウム・六水和物(アルドリッチ社製、純度:99.9%):9.22gを用いる以外は触媒調製例1と同様の方法により、担持触媒3を調製した。
担持触媒3中に含まれる、銅濃度は5.0重量%、カリウム濃度は3.0重量%、プラセオジウム濃度は5.0重量%であり、嵩密度は0.47g/mlであった。
[触媒調製例4]
硝酸サマリウム・六水和物:9.42gの代わりに、硝酸ネオジム・六水和物(和光純薬工業株式会社製、純度:99.5%):9.33gを用いる以外は触媒調製例1と同様の方法により、担持触媒4を調製した。
担持触媒4中に含まれる、銅濃度は5.0重量%、カリウム濃度は3.0重量%、ネオジム濃度は5.0重量%であり、嵩密度は0.47g/mlであった。
[触媒調製例5]
硝酸サマリウム・六水和物:9.42gの代わりに、硝酸ユウロピウム・五水和物(アルドリッチ社製、純度:99.9%):9.07gを用いる以外は触媒調製例1と同様の方法により、担持触媒5を調製した。
担持触媒5中に含まれる、銅濃度は5.0重量%、カリウム濃度は3.0重量%、ユウロピウム濃度は5.0重量%であり、嵩密度は0.47g/mlであった。
[触媒調製例6]
クロミア75重量%、酸化ケイ素25重量%からなる微小酸化クロム触媒50gをCuCl2・2H2O 6.71g、KCl 2.85g、La(NO33・6H2O 7.79gを溶解させた水溶液25mlに含浸後、510℃で5hr焼成し、酸化ケイ素と酸化クロムからなる担持触媒6を得た。担持触媒6の嵩密度は1.01g/mlであった。
尚、この触媒は、日本国特開昭61−275104号、及び日本国特許3270670号に記載の方法を参考に調製した。
[触媒調製例7]
硝酸サマリウム・六水和物:9.42gの代わりに、硝酸ランタン・六水和物(和光純薬工業株式会社製、純度:99.9%):9.18gを用いる以外は触媒調製例1と同様の方法により、担持触媒7を調製した。
担持触媒7中に含まれる、銅濃度は5.0重量%、カリウム濃度は3.0重量%、ランタン濃度は5.0重量%であり、嵩密度は0.48g/mlであった。
[実施例1]
担持触媒1をアルミナ乳鉢中で破砕後、10〜20メッシュの粒径にそろえた。ついで、該触媒を、内径1/2インチのハステロイ製反応管に図1のように2.0g充填した。酸素:24ml/min、窒素:14ml/minを流通させながら、触媒層の温度が350℃になるまでヒーターで昇温した。触媒層の温度が350℃となった後、塩化水素:40ml/min、一酸化炭素:2ml/minを追加供給し、塩化水素酸化反応を開始した。反応中は、触媒層の反応温度が350℃となるように制御した。この際の標準状態(0℃、0.1MPa)における塩化水素のガス空間速度は564h-1、標準状態0℃、0.1MPa)におけるガス空塔速度は0.011m/sであった。
反応開始後、5時間経過した時点の塩素収率は50.1%であり、反応開始後、100時間経過した時点の塩素収率は49.3%であった。
[実施例2]
担持触媒1の代わりに担持触媒2を用いる以外は実施例1と同様の方法で塩化水素酸化反応を実施した。この際の標準状態における塩化水素のガス空間速度は588h-1、標準状態におけるガス空塔速度は0.011m/sであった。
反応開始後、5時間経過した時点の塩素収率は54.2%であり、反応開始後、100時間経過した時点の塩素収率は53.4%であった。
[実施例3]
担持触媒1の代わりに担持触媒3を用いる以外は実施例1と同様の方法で塩化水素酸化反応を実施した。この際の標準状態における塩化水素のガス空間速度は588h-1、標準状態におけるガス空塔速度は0.011m/sであった。
反応開始後、5時間経過した時点の塩素収率は49.8%であり、反応開始後、100時間経過した時点の塩素収率は49.4%であった。
[実施例4]
担持触媒1の代わりに担持触媒4を用いる以外は実施例1と同様の方法で塩化水素酸化反応を実施した。この際の標準状態における塩化水素のガス空間速度は588h-1、標準状態におけるガス空塔速度は0.011m/sであった。
反応開始後、5時間経過した時点の塩素収率は50.3%であり、反応開始後、100時間経過した時点の塩素収率は49.9%であった。
[実施例5]
担持触媒1の代わりに担持触媒5を用いる以外は実施例1と同様の方法で塩化水素酸化反応を実施した。この際の標準状態における塩化水素のガス空間速度は588h-1、標準状態におけるガス空塔速度は0.011m/sであった。
反応開始後、5時間経過した時点の塩素収率は49.2%であり、反応開始後、100時間経過した時点の塩素収率は49.1%であった。
[参考例1]
担持触媒1をアルミナ乳鉢中で破砕後、10〜20メッシュの粒径にそろえた。ついで、該触媒を、内径1/2インチのハステロイ製反応管に図1のように2.0g充填した。酸素:24ml/min、窒素:14ml/minを流通させながら、触媒層の温度が350℃になるまでヒーターで昇温した。触媒層の温度が350℃となった後、塩化水素:40ml/min、窒素:2ml/minを追加供給し、塩化水素酸化反応を開始した。反応中は、触媒層の反応温度が350℃となるように制御した。この際の標準状態における塩化水素のガス空間速度は564h-1、標準状態におけるガス空塔速度は0.011m/sであった。
反応開始後、5時間経過した時点の塩素収率は50.8%であり、反応開始後、100時間経過した時点の塩素収率は49.9%であった。
[参考例2]
担持触媒1の代わりに担持触媒2を用いる以外は参考例1と同様の方法で塩化水素酸化反応を実施した。この際の標準状態における塩化水素のガス空間速度は588h-1、標準状態におけるガス空塔速度は0.011m/sであった。
反応開始後、5時間経過した時点の塩素収率は54.7%であり、反応開始後、100時間経過した時点の塩素収率は54.1%であった。
[比較例1]
担持触媒1をメノウ乳鉢中で破砕後、10〜20メッシュの粒径にそろえた。ついで、該触媒を、内径1/2インチのハステロイ製反応管に図1のように2.0g充填した。酸素:24ml/min、窒素:8ml/minを流通させながら、触媒層の温度が350℃になるまでヒーターで昇温した。触媒層の温度が350℃となった後、塩化水素:40ml/min、一酸化炭素:8ml/minを追加供給し、塩化水素酸化反応を開始した。反応中は、触媒層の反応温度が350℃となるように制御した。この際の標準状態における塩化水素のガス空間速度は564h-1、標準状態におけるガス空塔速度は0.011m/sであった。
反応開始後、5時間経過した時点の塩素収率は44.2%であり、反応開始後、100時間経過した時点の塩素収率は39.8%であった。
[比較例2]
担持触媒1の代わりに担持触媒2を用いる以外は比較例1と同様の方法で塩化水素酸化反応を実施した。この際の標準状態における塩化水素のガス空間速度は588h-1、標準状態におけるガス空塔速度は0.011m/sであった。
反応開始後、5時間経過した時点の塩素収率は48.7%であり、反応開始後、100時間経過した時点の塩素収率は42.1%であった。
[比較例3]
担持触媒1の代わりに担持触媒6を用い、触媒量を4.0gとする以外は実施例1と同様の方法で塩化水素酸化反応を実施した。この際の標準状態における塩化水素のガス空間速度は606h-1、標準状態におけるガス空塔速度は0.011m/sであった。
反応開始後、5時間経過した時点の塩素収率は28.1%であり、反応開始後、100時間経過した時点の塩素収率は20.4%であった。
[比較例4]
担持触媒1の代わりに担持触媒7を用いる以外は実施例1と同様の方法で塩化水素酸化反応を実施した。この際の標準状態における塩化水素のガス空間速度は576h-1、標準状態におけるガス空塔速度は0.011m/sであった。
反応開始後、5時間経過した時点の塩素収率は37.1%であり、反応開始後、100時間経過した時点の塩素収率は35.3%であった。
本発明によれば、長期に渡り、効率よく、経済的にかつ安定して、高い生産性をもって、塩素を製造できる。
また、使用する触媒量を大きく削減できるため、環境への負荷を最小限にすることが可能となる。
1 原料ガス
2 生成ガス
3 ハステロイ製反応管
4 ヒーター
5 石英砂
6 触媒層
7 ガラスウール

Claims (6)

  1. 触媒充填層からなる反応域を有する固定層反応器を用いて、塩化水素、酸素および一酸化炭素を含む原料ガス中の塩化水素を、塩素製造用触媒下で、酸素により酸化して塩素を製造する方法であり、
    前記原料ガス中に含まれる一酸化炭素は、前記原料ガス100vol%に対して、0.1vol%以上、8vol%以下であり、
    前記塩素製造用触媒は、銅元素、アルカリ金属元素および298Kにおける酸素との結合解離エネルギーが100〜185kcal/molを満たすランタノイド金属元素を含む活性成分が、多孔質担体に担持された触媒である
    ことを特徴とする塩素の製造方法。
  2. 前記反応域におけるガス空塔速度が、標準状態(0℃、0.1MPa)で、0.002m/s以上、10.0m/s以下であることを特徴とする請求項1に記載の塩素の製造方法。
  3. 前記銅元素が、前記塩素製造用触媒100重量%あたり、1.5重量%以上、15重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の塩素の製造方法。
  4. 前記反応域における反応温度が、300℃以上、420℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の塩素の製造方法。
  5. 前記反応域における塩化水素のガス空間速度が、標準状態(0℃、0.1MPa)で、250h-1以上、2000h-1以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の塩素の製造方法。
  6. 前記多孔質担体が、シリカからなる多孔質担体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の塩素の製造方法。
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