JP5100551B2 - オキシクロリネーション用触媒組成物およびその製造方法 - Google Patents

オキシクロリネーション用触媒組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、オキシクロリネーション用触媒組成物およびオキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法に関し、さらに詳しくは、流動性、流動性の低下抑制、耐摩耗性等に優れると共に活性、1,2−ジクロルエタン(以下、EDCと略記することがある。)の選択性、エチレン燃焼抑制等に優れたオキシクロリネーション用触媒組成物およびオキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法に関する。
従来、オキシ塩素化法による脂肪族炭化水素の塩素化には一般に、多孔質なアルミナ、シリカアルミナ、粘土などの担体に金属塩を担持させた触媒が用いられていた。特に、エチレンのオキシクロリネーションによるEDCの製造には、工業的には古くから塩化第二銅を含浸法によりアルミナ担体に担持させた流動床用触媒が用いられる。しかし、この触媒は活性成分である銅が移動あるいは昇華し、活性の低下や流動性の低下を引き起こし、この結果、触媒層の温度分布が不均一となり高温部においてエチレンの燃焼反応が進行し、EDCの選択性や収率が低下する等の問題があった。銅の移動、昇華を抑制する為に、さらには選択性を向上させるためにアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属等を添加することが行われている。
一方、担体成分と活性成分を同時に沈殿(以下、共沈法ということがある。)させ、噴霧乾燥して得た触媒が知られている(特許文献1参照)。さらに、共沈法で調合して得た触媒にアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属等を担持した触媒も知られている(特許文献2〜4参照)。
本願発明者等は、アルミナ源としてあらかじめ調製した擬ベーマイトアルミナスラリーを用い、これに銅等の活性成分、アルカリ、アルカリ土類、希土類等の助触媒成分を加え、噴霧乾燥して得られる触媒は前記流動性の低下が少なく、かつ、高い活性と選択性を示すことを開示している(特許文献5、6参照)。
しかしながら、従来の流動床オキシクロリネーションでは、時間の経過とともに活性、選択性が低下したり、触媒が磨耗して飛散しがちであるので、触媒の一部を抜き出しながら、新たな触媒の補給が行われている。また、従来のアルミナを担体とする触媒では初期の活性および選択性は比較的よいものの、長期に性能を維持することができず、シリカアルミナを担体とする触媒では初期の活性および選択性が不充分であることに加えてエチレンの燃焼反応が進行しEDCの選択性や収率が低下する問題があった。
従って、さらにエチレンの燃焼反応の抑制、EDCの選択性や収率が低下の抑制が求められている。
特公昭45−39616号公報 特開平11−90232号公報 特開平11−90233号公報 特開平11−90234号公報 特開2005−000730号公報 特開2005−000731号公報
本願発明者等は鋭意検討した結果、シリカ・アルミナ粒子、特に、アルミナを被覆したシリカ粒子をアルミナ担体に配合することによりオキシクロリネーション触媒のエチレンの燃焼反応の抑制、EDCの選択性や収率の低下を抑制できることを見出して本発明を完成するに至った。
本発明は、流動性、流動性の低下抑制、耐摩耗性等に優れると共に活性、EDCの選択性、エチレン燃焼抑制等に優れたオキシクロリネーション用触媒組成物を提供することを発明が解決しようとする課題とする。また、本発明はそのようなオキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法を提供するものである。
本発明に係るオキシクロリネーション用触媒組成物は、酸化物として5〜40重量%の範囲のシリカ・アルミナ粒子、酸化物(CuO)として5〜20重量%の範囲の銅、およびAl23として40〜90重量%の範囲の担体アルミナからなることを特徴としている。
前記シリカ・アルミナ粒子がシリカ粒子をアルミナで被覆した粒子であることが好ましい。
前記シリカ・アルミナ粒子の平均粒子径が3〜100nmの範囲にあり、シリカ・アルミナ粒子中のアルミナの含有量が0.1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
さらに、アルカリ土類を含み、アルカリ土類の含有量が酸化物(MO:Mはアルカリ土類元素を示す)として0.1〜6重量%の範囲にあることが好ましい。
さらに、希土類を含み、希土類の含有量が酸化物(RE23:REは希土類元素を示す)として0.1〜6重量%の範囲にあることが好ましい。
さらに、アルカリを含み、アルカリの含有量が酸化物(N2O:Nはアルカリ元素を示す)として0.1〜3重量%の範囲にあることが好ましい。
前記アルカリ土類がマグネシウムであることが好ましい。
前記アルカリがカリウムであることが好ましい。
本発明に係るオキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法(1)は、下記の工程(a)〜(c)からなることを特徴としている。
(a)擬ベーマイトアルミナスラリーに、シリカ・アルミナ粒子分散液と、酸と硝酸第二銅水溶液とを添加して噴霧乾燥用スラリーを調製する工程
(b)前記スラリーを噴霧乾燥する工程
(c)(b)工程で得られた微粒子を焼成する工程
前記噴霧乾燥用スラリーのpHが1.5〜5.5の範囲にあることが好ましい。
前記シリカ・アルミナ粒子がシリカ粒子をアルミナで被覆した粒子であることが好ましい。
前記シリカ・アルミナ粒子の平均粒子径が3〜100nmの範囲にあり、シリカ・アルミナ粒子中のアルミナの含有量が0.1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
前記工程(a)で、さらにアルカリ土類塩水溶液を添加することが好ましい。
前記工程(a)で、さらに希土類塩水溶液を添加することが好ましい。
前記工程(a)で、さらにアルカリ塩水溶液を添加することが好ましい。
本発明に係るオキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法(2)は、下記の工程(a)〜(f)からなることを特徴とする。
(a)アルミニウム塩水溶液にアルミン酸アルカリ水溶液と、シリカ・アルミナ粒子分散液と、第二銅塩水溶液とを混合する工程
(b)前記混合スラリーを洗浄して噴霧乾燥用スラリーを調製する工程
(c)噴霧乾燥する工程
(d)洗浄する工程
(e)乾燥する工程
(f)焼成する工程
前記噴霧乾燥用スラリーのpHが4〜9.5の範囲にあることが好ましい。
前記シリカ・アルミナ粒子がシリカ粒子をアルミナで被覆した粒子であることが好ましい。
前記シリカ・アルミナ粒子の平均粒子径が3〜100nmの範囲にあり、シリカ・アルミナ粒子中のアルミナの含有量が0.1〜10重量%の範囲にあることが好ましい。
前記工程(a)で、アルミニウム塩水溶液に予めアルカリ土類金属塩水溶液、希土類金属塩水溶液、アルカリ金属塩水溶液から選ばれる少なくとも1種の金属塩水溶液を混合するころが好ましい。
前記工程(a)で、アルカリ土類金属塩水溶液、希土類金属塩水溶液、アルカリ金属塩水溶液から選ばれる少なくとも1種の金属塩水溶液を、第二銅塩水溶液と同時にあるいは第二銅塩水溶液に次いで混合することが好ましい。
本発明のオキシクロリネーション用触媒組成物は、シリカ・アルミナ粒子、特に、アルミナを被覆したシリカ粒子を所定範囲量を含んでいる。そのため、触媒の初期の比表面積は低いものの耐熱性、耐水熱性に優れるとともに流動性、流動性の低下抑制効果、耐摩耗性に優れ、長期に亘って高い活性、選択性およびエチレン燃焼抑制特性を発揮する。
[オキシクロリネーション用触媒組成物]
本発明に係るオキシクロリネーション用触媒組成物は、シリカ・アルミナ粒子、銅、および担体アルミナを含んでいる。
銅の含有量は、酸化物(CuO)として5〜20重量%、さらには8〜15重量%の範囲にあることが好ましい。銅の含有量が5重量%未満の場合は、活性が不充分となり、EDCの収率が低下する。銅の含有量が20重量%を越えると、原料エチレンの燃焼が顕著になり、EDCの収率が低下するとともに、銅が多すぎて触媒粒子外部表面に移動したり、昇華し、流動性低下の原因となることがある。
本発明の触媒組成物を構成するシリカ・アルミナ粒子は、シリカとアルミナが複合した一般的なシリカ・アルミナ複合酸化物粒子でも良いが、シリカ粒子をアルミナで被覆した粒子であることが好ましい。
本願出願人は、シリカ粒子を少量含有させたアルミナ担体を用いた触媒組成物が耐熱性と耐水熱性が改善されることを見出して特許出願をしている(特願2006−192959号)。しかしながら、エチレンの燃焼反応の抑制が充分でなく、EDCの選択性や収率に改善の余地があった。
シリカ・アルミナ粒子がシリカ粒子をアルミナで被覆した粒子であると、触媒の耐熱性と耐水熱性が改善されることに加えて、エチレンの燃焼反応を抑制することができ、このためEDCの選択性や収率に優れた触媒を得ることができる。
このような効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、シリカ粒子をアルミナ担体に配合して用いるとシリカ粒子と担体のアルミナとが結合して所謂固体酸性を発現し、この固体酸が酸化反応(エチレンの燃焼反応)に寄与していると考えられ、一方、シリカ粒子をアルミナで被覆して用いると、シリカ・アルミナ粒子の内部はシリカ粒子で表面はアルミナと変わらず、このためエチレンの燃焼反応を抑制しながら前記シリカ粒子と同様の耐熱性と耐水熱性改善効果が得られると考えられる。
シリカ・アルミナ粒子中のアルミナの含有量は0.1〜10重量%、さらには0.2〜5重量%、特に0.5〜3重量%の範囲にあることが好ましい。
シリカ・アルミナ粒子中のアルミナの含有量が0.1重量%未満の場合は、シリカ粒子を充分に被覆することができず、シリカ・アルミナ粒子は前記したアルミナと同様の性質にならず、このため触媒の耐熱性、耐水熱性の向上が不充分となることがある。
シリカ・アルミナ粒子中のアルミナの含有量が10重量%を越えると、触媒組成物の流動性が低下したり耐摩耗性が不充分となることがある。
シリカ・アルミナ粒子の平均粒子径は3〜100nm、さらには5〜50nmの範囲にあることが好ましい。
シリカ・アルミナ粒子の平均粒子径が3nm未満の場合は、シリカ粒子をアルミナで被覆することが困難であるとともに、担体の主成分であるアルミナと結合してシリカ・アルミナを形成し易く、その結果エチレンの燃焼反応が進行しEDCの選択性や収率が不充分となることがある。
シリカ・アルミナ粒子の平均粒子径が100nmを越えると、銅などの活性成分、アルカリ金属、アルカリ土類金属との反応性が悪くなり、活性低下、EDCの選択性が不充分となる場合があり、さらに耐摩耗性が低下したり、耐熱性、耐水熱性を向上させる効果が充分得られないことがある。
このようなシリカ・アルミナ粒子の触媒中の含有量は酸化物として5〜40重量%、さらには10〜25重量%の範囲にあることが好ましい。
触媒中のシリカ・アルミナ粒子の含有量が酸化物として5重量%未満の場合は、耐熱性および耐水熱性の改善が不充分で、長期に亘って高い活性、選択性を維持することができない場合がある。
触媒中のシリカ・アルミナ粒子の含有量が酸化物として40重量%を越えると耐摩耗性が低下したり、耐熱性、耐水熱性を向上させる効果が充分得られないことがある。
本発明に用いるシリカ・アルミナ粒子は、前記したシリカ・アルミナ粒子が得られれば特に制限はないが、例えば、シリカゾルにアルミニウム化合物、アルミニウム化合物の部分加水分解物、加水分解物、アルミナゾル等を、得られるシリカ・アルミナ粒子中のアルミナの含有量が前記した範囲となるように添加し、必要に応じてpH調製し、熟成することによって得ることができる。
シリカゾルとしては従来公知のシリカゾルを用いることができるが、シリカゾルの平均粒子径は概ね3〜100nmの範囲にあることが好ましい。シリカゾルの平均粒子径がこの範囲にあると、得られるシリカ・アルミナ粒子の平均粒子径が前記範囲となり好適に用いることができる。
アルミニウム化合物としては、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム等の無機アルミニウム塩、有機アルミニウム塩等が用いられる。
なかでも、下記式(1)で表される金属塩の部分加水分解物であるカチオン性水和金属化合物は好適に用いることができる。
[M2(OH)n(2a-n)/bm ・・・(1)
(式中、Mは3価以上の金属カチオン、Xはアニオンであり、aは金属カチオンの価数、bはアニオンの価数を示し、1<n<5、n<2aであり、1≦mである。)
このようなカチオン性水和金属化合物を用いると、シリカコロイドの表面がアルミナで被覆されると同時に正に帯電した粒子となり、アルミナ担体中に高分散することができるためと考えられる。
本発明に係るオキシクロリネーション用触媒組成物は、アルカリ土類を含んでいることが好ましく、アルカリ土類の含有量が酸化物(MO:Mはアルカリ土類元素を示す)として0.1〜6重量%、さらには0.2〜4重量%の範囲にあることが好ましい。アルカリ土類の含有量が0.1重量%未満の場合は、得られる触媒の嵩密度、耐摩耗性が低下する傾向がある。アルカリ土類の含有量が6重量%を越えると、得られる触媒の細孔容積が低下し、活性が不充分となることがある。
前記アルカリ土類としてはマグネシウムが好ましく、マグネシウムを用いると活性を低下させることなく耐摩耗性に優れた触媒を得ることができる。
さらに、本発明の触媒にはアルカリを含んでいてもよく、アルカリの含有量は酸化物(N2O:Nはアルカリ元素を示す)として0.1〜3重量%、さらには0.2〜2重量%の範囲にあることが好ましい。アルカリの含有量が0.1重量%未満の場合は、エチレンの燃焼を抑制する効果が不充分となるためにEDCの収率が低下する。アルカリの含有量が3重量%を越えると、Clの反応率が低下しEDCの収率が低下する。
前記アルカリとしてはカリウムが好ましい。カリウムを用いるとエチレンの酸化抑制効果が他のアルカリに比してマイルドであり、主反応である酸素を介し塩酸から生成されるClのエチレンへの付与反応の活性を大きく低下することなく、エチレンの酸化を抑制することが容易である。
さらに、本発明の触媒には希土類を含んでいてもよく、希土類の含有量は酸化物(RE23:REは希土類元素を示す)として0.1〜6重量%、さらには0.2〜4重量%の範囲にあることが好ましい。希土類の含有量が0.1重量%未満の場合は、EDCの選択性が低下するとともに、エチレンの燃焼を抑制する効果が不充分となるためにEDCの収率も低下する。希土類の含有量が6重量%を越えると、Clの反応率が低下しEDCの収率が低下する。
本発明の触媒組成物は、前記シリカ・アルミナ粒子のアルミナを除いて、担体としてのアルミナをAl23として40〜90重量%、さらには60〜82重量%の範囲で含有することが好ましい。アルミナの含有量が40重量%未満の場合は、触媒の比表面積および細孔容積が小さくなり、比表面積および細孔容積が小さい一方で活性成分等が多くなるため活性が有効に発現しないことがある。また、耐摩耗性が不充分となることがある。アルミナの含有量が90重量%を越えると、シリカ・アルミナ粒子、活性成分および/または希土類、アルカリ土類、アルカリ等の助触媒成分が少なくなり活性または選択性が不充分となることがある。
また、担体アルミナがγ-Al23であると、触媒の比表面積、細孔容積が大きく、触媒の活性、選択性とともに耐久性に優れる。
本発明に係るオキシクロリネーション用触媒は、平均粒子径が40〜75μm、さらには45〜70μmの範囲にあることが好ましい。平均粒子径が40μm未満の場合は充分な流動性が得られなかったり、触媒の損失が増加することがある。平均粒子径が75μmを越えても平均粒子径が小さい場合と同様に充分な流動性が得られないことがある。
また、粒子径分布は、概ね正規分布しており、粒子径が30μm未満の微粒子が10重量%以下であることが好ましく、粒子径が90μmを越える粒子が20重量%以下であることが好ましい。なお、必要に応じてさらに分級することもできる。
このような粒子径分布は、マイクロメッシュシーブ法によって求めることができる。
触媒組成物の比表面積は150〜350m2/g、さらには200〜300m2/gの範囲にあることが好ましい。比表面積が150m2/g未満の場合は、Clのエチレンへの付加反応の効率が下がり、目的生成物であるEDCの収率が低下する。触媒組成物の比表面積が350m2/gを超えると、エチレンの酸化反応が顕著になることがある。
触媒組成物の細孔容積は0.25〜0.40ml/g、さらには0.30〜0.35ml/gの範囲にあることが好ましい。0.25ml/g未満の場合は、触媒組成物の比表面積も低く、EDCの収率が不充分となることがある。また、触媒組成物の嵩比重が高くなり、反応時の流動状態が不良となることがある。細孔容積が0.40ml/gを超えると、耐摩耗性が不充分となり、反応時の触媒飛散が増加する傾向がある。
触媒組成物の嵩比重(CBD)は0.85〜1.20g/ml、さらには0.95〜1.10g/mlの範囲にあることが好ましい。嵩比重(CBD)が0.90g/ml未満の場合は、触媒が軽すぎて反応槽外へ飛散することがある。嵩比重(CBD)が1.20g/mlを超えると、流動不良を生じることがあり、反応槽内の偏流・偏熱によるエチレンの燃焼が問題となることがある。
このような嵩比重(CBD)は、所定の条件で加熱処理をした触媒を定量容器(例えば、メスシリンダー)へ一定量を充填し、充分に振動を加え最も細密に充填された状態での体積(嵩)を測定し、触媒の充填量を体積(嵩)で除して求めることができる。
[オキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法(1)]
本発明に係るオキシクロリネーション用触媒組成物の第1の製造方法は、下記の工程(a)〜(c)からなることを特徴としている。
(a)擬ベーマイトアルミナスラリーに、シリカ・アルミナ粒子分散液と、酸と硝酸第二銅水溶液とを添加して噴霧乾燥用スラリーを調製する工程
(b)前記スラリーを噴霧乾燥する工程
(c)(b)工程で得られた微粒子を焼成する工程
工程(a)
本発明にはアルミナ源として擬ベーマイトアルミナを用いる。擬ベーマイトアルミナ(Al23・nH2O、n:0.5〜2.5)は結晶性アルミナ水和物の一種であり、通常、繊維状の一次粒子が束になった繊維状の二次粒子である。
本発明に用いる擬ベーマイトアルミナの一次粒子の大きさは、平均長さ(L1)が1〜10nmの範囲にあり、平均幅(W1)が0.5〜3nmの範囲にあることが好ましい。
一次粒子の平均長さ(L1)が1nm未満の場合は、後述するシリカ・アルミナ粒子と反応して複合酸化物を形成し、本発明の耐熱性、耐水熱性を向上させる効果が得られないだけでなく、初期の活性および選択性が不充分であることに加えてエチレンの燃焼反応が進行しEDCの選択性や収率が低下する傾向がある。
一次粒子の平均長さ(L1)が10nmを越えると得られる触媒組成物の嵩比重が低下したり、耐摩耗性が不充分となることがある。
一次粒子の平均幅(W1)が0.5nm未満の場合は、アルミナ・シリカ複合酸化物を形成し、本発明の耐熱性、耐水熱性を向上させる効果が得られないだけでなく、初期の活性および選択性が不充分であることに加えてエチレンの燃焼反応が進行しEDCの選択性や収率が低下する傾向がある。
一次粒子の平均幅(W1)が3nmを越えると、得られる触媒組成物の嵩比重が低下したり、耐摩耗性が不充分となる。
このような 一次粒子の大きさは走査型電子顕微鏡写真を撮影して観察することによって求めることができる。
本発明に用いる擬ベーマイトアルミナとしては、前記の一次粒子の条件を満たすものであれば従来公知の擬ベーマイトアルミナを用いることができる。
このような擬ベーマイトアルミナは、例えば、アルカリ性アルミニウム塩水溶液と酸性物質とを反応させ、必要に応じて洗浄、熟成等することによって得ることができる。さらに具体的には、所望の濃度範囲のアルミン酸ナトリウム水溶液と硫酸アルミニウム水溶液とを所望の量比で反応させ、純水あるいは希アルカリ性水を掛け水等して洗浄し、必要に応じて熟成することによって得ることができる。
本発明に用いる擬ベーマイトアルミナスラリーの濃度はAl23として2〜20重量%、さらには5〜18重量%の範囲にあることが好ましい。濃度が2重量%未満の場合は、噴霧乾燥用スラリーの濃度が低くなり、得られる微小球状粒子中に小さ過ぎる粒子が多くなり、流動性が低下したり、触媒をサイクロンで捕捉できないために触媒の損失が多くなる。濃度が20重量%を越えると、噴霧乾燥用スラリーの濃度が高くなり過ぎて粘度が高くなり噴霧乾燥が困難な場合があり、噴霧乾燥できたとしても活性成分の分散性が不充分となり得られる触媒の性能が不充分となったり、耐摩耗性や嵩比重(CBD)が低下することがある。
本工程では先ず、このような擬ベーマイトアルミナスラリーに酸を加える。酸としては塩酸、硝酸、硫酸等の鉱酸の他、酢酸等の有機酸を用いることができる。なかでも硝酸は擬ベーマイトアルミナスラリーの凝集粒子(二次粒子)を均一化することができ、耐摩耗性や嵩比重(CBD)の高い触媒組成物を得ることができる。同時に、触媒製造時に製造装置を腐蝕することがなく、ハロゲン含有量が少ない触媒組成物を得ることができる。
酸の添加量はスラリー中のAl231モル当たり0.001〜0.1モル、さらには0.005〜0.05モルの範囲にあることが好ましい。0.001モル未満の場合は、擬ベーマイトアルミナスラリーの凝集粒子(二次粒子)が不均一なままであり、得られる触媒組成物の耐摩耗性や嵩比重(CBD)が低下することがある。また、擬ベーマイトスラリーのpHが6を越えることがあり、ついで添加する銅成分や、必要に応じて添加するアルカリ土類、希土類成分の多くが噴霧乾燥前に沈着し、アルミナ担体上に各成分を高分散の状態で沈着させることができず、活性、エチレンの酸化抑制効果および長期流動性等が低下する傾向がある。酸の添加量が0.1モルを越えると、多くの擬ベーマイトアルミナが酸と反応して溶解し、得られる触媒組成物の比表面積や細孔容積が低下し、活性が不充分となる傾向にある。
なお、酸は通常、濃度が10〜35重量%の酸が用いられる。
このときの擬ベーマイトスラリーのpHは概ね2〜6、さらには3〜5の範囲にあることが好ましい。
ついで、シリカ・アルミナ粒子の分散液を添加する。
シリカ・アルミナ粒子としては前記したシリカ・アルミナ粒子が用いられる。
シリカ・アルミナ粒子の使用量は、得られる触媒組成物中のシリカ・アルミナ粒子の含有量が5〜40重量%、さらには10〜25重量%の範囲となるように用いる。
このときのシリカ・アルミナ粒子の分散液の濃度は特に制限はないが、通常酸化物として5〜30重量%の範囲である。
ついで、硝酸第二銅水溶液を添加する。
硝酸第二銅水溶液の使用量は最終的に得られる触媒組成物中の銅の含有量が酸化物(CuO)として5〜20重量%、好ましくは10〜15重量%の範囲となるように用いる。
工程(a)では、必要に応じて、アルカリ土類塩水溶液、希土類塩水溶液、アルカリ塩水溶液の少なくとも1種を添加して、最終的に得られる触媒組成物中のこれらの酸化物含有量が前記した範囲となるようにすることが好ましい。これらの水溶液は、硝酸第二銅水溶液と同時にまたは硝酸第二銅水溶液の添加後に、添加することが好ましい。
アルカリ土類塩としてはマグネシウム、カルシウム、バリウム等の硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩等が用いられるが、なかでも硝酸塩を用いた場合は触媒製造装置の腐蝕を低減でき、ハロゲン含有量が少なく、有機ハロゲン化合物の副生の少ない触媒を得ることができる。
特に硝酸マグネシウムを用いると、活性の低下がなく、有機ハロゲン化合物の副生を抑制できるとともに耐摩耗性に優れた触媒組成物を得ることができる。
希土類塩としては、ランタン、セリウム等の硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩等が用いられるが、なかでも硝酸塩を用いた場合は触媒製造装置の腐蝕を低減でき、ハロゲン含有量が少なく、EDCの選択性に優れ、エチレンの燃焼を抑制することができるとともに有機ハロゲン化合物の副生の少ない触媒組成物を得ることができる。
アルカリ塩としては、ナトリウム、カリウム等の硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩等が用いられるが、なかでも硝酸塩が好ましく、特に硝酸カリウムを用いた場合はハロゲン含有量が少なく、EDCの選択性に優れ、エチレンの燃焼を抑制することができるとともに有機ハロゲン化合物の副生の少ない触媒組成物を得ることができる。
上記各水溶液の濃度は特に制限はないが、通常1〜30重量%の水溶液が用いられる。また、各水溶液の添加順序も特に制限はなく、アルカリ塩水溶液以外は混合水溶液として使用することもできる。
上記のようにして調製した噴霧乾燥用スラリーのpHは1.5〜5.5、さらには3〜5の範囲にあることが好ましい。pHが1.5未満の場合は、擬ベーマイトアルミナの溶解が進み過ぎているために得られる触媒組成物の比表面積や細孔容積が低下し、活性が不充分となる傾向にある。pHが5.5を越えると、高い割合で銅が噴霧乾燥前に水酸化物として沈殿するために、シリカ・アルミナ粒子を含むアルミナ担体上に銅成分を高分散状態で沈着させることができず、活性や長期流動性が低下する傾向がある。
また、噴霧乾燥用スラリーの濃度は固形分として5〜25重量%、さらには10〜20重量%の範囲にあることが好ましい。濃度が5重量%未満の場合は、噴霧乾燥して得られる球状微粒子の平均粒子径が小さくなるとともに20μm以下の微小粒子が増大することがあり、また水分が多いために噴霧乾燥の熱エネルギーを多く必要とし経済的でない。濃度が25重量%を越えると、スラリーの粘度が高すぎて噴霧乾燥が困難となることがある。
なお、噴霧乾燥用スラリーは、必要に応じてホモジナイザー、コロイドミル等により乳化処理、均一化処理等を行ってもよい。
工程(b)
工程(a)で得た噴霧乾燥用スラリーをついで噴霧乾燥する。噴霧乾燥する方法としては、従来公知のオキシクロリネーション用流動触媒と同様に微小球状の流動触媒が得られれば特に制限はないが、例えば熱風気流中でディスク回転式、ノズル式等の種々の噴霧乾燥機を用いることができる。
このとき、熱風気流温度は150〜500℃、さらには200〜350℃の範囲にあることが好ましい。熱風気流温度が150℃未満の場合は、乾燥が不充分となることがある。一方、500℃を越えると、乾燥が急激に起こるために、活性成分や助触媒成分が粒子表面に偏在することがある。
噴霧乾燥して得られる微小球状粒子は、平均粒子径が50〜80μm、さらには55〜75μmの範囲にあることが好ましい。平均粒子径が50μm未満の場合は、後述する焼成工程で焼成して得られる触媒の平均粒子径が40μm未満となることがあり、充分な流動性が得られなかったり、触媒の損失が増加することがある。平均粒子径が80μmを越える場合は、焼成工程で焼成して得られる触媒の平均粒子径が75μmを越えることがあり、平均粒子径が小さい場合と同様に充分な流動性が得られないことがある。
また、微小球状粒子の粒子径分布は、概ね正規分布しており、粒子径が30μm未満の微粒子が10重量%以下であることが好ましく、粒子径が90μmを越える粒子が20重量%以下であることが好ましい。なお、必要に応じてさらに分級することもできる。
上記した平均粒子径、粒子径分布は、例えばマイクロメッシュシーブ法によって求めることができる。
工程(c)
噴霧乾燥して得た微小球状粒子は、ついで焼成することによってオキシクロリネーション用触媒組成物を得ることができる。
このとき、焼成温度は350〜850℃、特に500〜700℃の範囲にあることが好ましい。焼成温度が350℃未満の場合は、擬ベーマイトアルミナの脱水および結晶化(γ-Al23化)が不充分となり、また活性成分や助触媒成分との結合が不充分となるためか活性および選択性が不充分となる。焼成温度が850℃を越えるとγ-Al23がε−Al23、α−Al23等に結晶型が変化したり、活性成分である銅が完全に酸化物化し活性が不充分となる。
焼成時間は焼成温度によって変えることができ、特に限定されないが、概ね0.1〜24時間の範囲である。
このようにして、本発明に係るオキシクロリネーション用触媒組成物を得ることができる。
得られたオキシクロリネーション用触媒組成物は、銅の含有量が酸化物(CuO)として5〜20重量%の範囲にあり、アルカリ土類の含有量が酸化物として0.1〜6重量%の範囲にあり、アルカリの含有量が酸化物として0.1〜3重量%の範囲にあり、希土類の含有量が酸化物として0.1〜6重量%の範囲にあり、シリカ・アルミナ粒子の含有量が5〜40重量%の範囲にあり、担体用アルミナの含有量は概ね40〜90重量%、さらには60〜82重量%の範囲にあることが好ましい。
[オキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法(2)]
本発明に係るオキシクロリネーション用触媒組成物の第2の製造方法は、下記の工程(a)〜(f)からなることを特徴とする。
(a)アルミニウム塩水溶液にアルミン酸アルカリ水溶液と、シリカ・アルミナ粒子分散液と、第二銅塩水溶液とを混合する工程
(b)前記混合スラリーを洗浄して噴霧乾燥用スラリーを調製する工程
(c)噴霧乾燥する工程
(d)洗浄する工程
(e)乾燥する工程
(f)焼成する工程
工程(a)
本発明に用いるアルミニウム塩としては、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム等が挙げられる。
なかでも、塩化アルミニウムは、前記製造方法(1)で述べた繊維状の擬ベーマイトアルミナゲルを調製することが容易であり、活性、選択性に優れたオキシクロリネーション用触媒組成物を得ることができる。
このようなアルミニウム塩の水溶液の濃度はAl23として0.1〜5重量%、更には0.5〜2重量%の範囲にあることが好ましい。アルミニウム塩水溶液の濃度が0.1重量%未満の場合は、前記擬ベーマイトアルミナの一次粒子が大きくなる傾向があり、比表面積が高くならず活性が低下したり、耐摩耗性が不充分となることがある。アルミニウム塩水溶液の濃度が5重量%を超えると、擬ベーマイトアルミナの一次粒子が小さく凝集した粒子となり、このため耐摩耗性が不充分となったり、結晶性が高くならず活性が不充分となることがある。
アルミン酸アルカリ(MAlO2:Mはアルカリ)としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等が挙げられる。なかでもアルミン酸ナトリウムを前記塩化アルミニウムと組み合わせて用いると、前記繊維状の擬ベーマイトアルミナゲルを調製することが容易で、活性、選択性に優れたオキシクロリネーション用触媒組成物を得ることができる。
このようなアルミン酸アルカリ水溶液の濃度はAl23として0.1〜30重量%、更には1〜25重量%の範囲にあることが好ましい。この濃度が0.1重量%未満の場合は、アルミン酸アルカリの溶解安定性が低く、容易に加水分解し、前記繊維状の擬ベーマイトアルミナゲルの調製が困難となることがある。一方、濃度が30重量%を超えると、擬ベーマイトアルミナの一次粒子が小さく凝集した粒子となり、このため耐摩耗性が不充分となったり、結晶性が高くならず活性が不充分となることがある。
シリカ・アルミナ粒子としては前記したシリカ・アルミナ粒子が用いられる。
シリカ・アルミナ粒子の使用量は、得られる触媒組成物中のシリカ・アルミナ粒子の含有量が5〜40重量%、さらには10〜25重量%の範囲となるように用いる。
このときのシリカ・アルミナ粒子の分散液の濃度は特に制限はないが、通常酸化物として5〜30重量%の範囲である。
第二銅塩としては塩化第二銅、硝酸第二銅、硫酸銅、酢酸第二銅等の第二銅塩が挙げられる。なかでも、塩化第二銅は触媒組成物に適度な量の塩素を随伴するためか、活性、選択性に優れたオキシクロリネーション用触媒組成物を得ることができる。
第二銅塩水溶液の濃度は触媒組成物中の銅の含有量等によって適宜調整することができるが、CuOとして概ね0.1〜20重量%、更には1〜5重量%の範囲にあることが好ましい。
本工程では、まず、アルミニウム塩水溶液にアルミン酸アルカリ水溶液と第二銅塩水溶液とを混合する。
アルミニウム塩水溶液にアルミン酸アルカリ水溶液と第二銅塩水溶液とを混合することによって、高い比表面積を有し、高い活性および選択性を有するとともに、長期にわたって使用した場合にも活性および選択性の低下の少ないオキシクロリネーション用触媒組成物を得ることができる。
このとき、アルミニウム塩水溶液にアルミン酸アルカリ水溶液を混合し、ついでシリカ・アルミナ粒子分散液を添加し、ついで第二銅塩水溶液を混合することが好ましい。また、必要に応じて、各原料を添加した後熟成することもできる。
上記以外の混合方法を採用した場合、例えば、(1)アルミニウム塩水溶液とアルミン酸アルカリ水溶液とシリカ・アルミナ粒子分散液と第二銅塩水溶液とを同時に一定比で混合した場合、(2)アルミン酸アルカリ水溶液にアルミニウム塩水溶液と第二銅塩水溶液とを混合した場合、本発明の効果である耐熱性、耐水熱性向上効果が得られないばかりか、活性、選択制、流動性等が不充分となることがある。
アルミニウム塩のモル数(Ma)とアルミン酸アルカリのモル数(Mb)との比(Ma)/(Mb)は概ね0.1〜0.45、更には0.15〜0.35の範囲にあることが好ましい。モル比(Ma)/(Mb)が前記範囲にあると前記繊維状の一次粒子、二次粒子の擬ベーマイトアルミナゲルを調製することが容易で、活性、選択性に優れ、活性、選択性の低下の少ない触媒寿命に優れたオキシクロリネーション用触媒組成物を得ることができる。
アルミニウム塩水溶液にアルミン酸アルカリ水溶液を混合した際のpHは7〜12.5、更には8〜12の範囲にあることが好ましい。このときのpHが7未満の場合は、前記繊維状の一次粒子、二次粒子の擬ベーマイトアルミナゲルが得られないことがあり、pHが12を超えると、ついで混合する第二銅塩水溶液の加水分解による水酸化銅(水和物)が擬ベーマイトアルミナ粒子上に高分散状態で析出せず、分離した状態で析出することがあり、活性、選択性および触媒寿命が不充分となることがある。
ついで、硝酸第二銅水溶液を添加する。
第二銅塩水溶液は、最終的に得られる触媒組成物中のCuOの含有量が前記した範囲となるように混合することが好ましい。
混合する際の温度は特に制限はないが0〜60℃、更には20〜30℃の範囲にあることが好ましい。混合温度が0℃未満の場合は、第二銅塩の加水分解による銅成分の析出に長時間を要したり、最終的に得られる触媒中の含有量が不足することがある。混合温度が60℃を超えると、必ずしも理由は明らかではないが活性、選択性および触媒寿命が不充分となることがある。
また、第二銅塩水溶液を混合する際の混合スラリーのpHは概ね4.0〜9.5、更には4.5〜6.5の範囲にあることが好ましい。pHが上記範囲にない場合は、繊維状の擬ベーマイト粒子が得られないために耐摩耗性が悪化したり、触媒組成物の比表面積や細孔容積が低下して活性および選択性および触媒寿命が不充分となることがある。
工程(a)では、前記混合スラリーを必要に応じて熟成することができる。熟成温度は30〜60℃、更には50〜60℃の範囲にあることが好ましい。
このような熟成を行うことによって、耐摩耗性、活性、選択性等に優れるとともに有機ハロゲン化合物等の生成の少ないオキシクロリネーション用触媒組成物を再現性よく製造することができる。
本工程では、前記製造方法(1)と同様に、アルカリ土類金属塩水溶液、希土類金属塩水溶液、アルカリ金属塩水溶液から選ばれる少なくとも1種の金属塩水溶液を混合することが好ましい。
このような金属塩水溶液は、あらかじめアルミニウム塩水溶液に混合するか、第二銅塩水溶液と同時にあるいは第二銅塩水溶液に次いで混合することが好ましい。
更に、本工程(a)では、混合スラリーのpHを前記範囲に調整し、維持するため酸またはアルカリを混合することができる。酸としては塩酸、硝酸、硫酸等を用いることができ、アルカリとしてはアルカリ金属水酸化物、アンモニア、有機アミン等を用いることができる。
工程(b)
混合スラリーを洗浄して噴霧乾燥用スラリーを調製する。
先ず、工程(a)で調製した混合スラリーを濾過する。濾過する際には必要に応じて温水等を掛けることができ、この濾過によって混合スラリー中の塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム等の過剰の塩を低減することができる。過剰の塩を低減しておくと耐摩耗性等に優れた触媒組成物を得ることができる。
ついで、必要に応じて、更に濾過し脱水するか、水を加えることによって濃度調整して噴霧乾燥用スラリーを調製する。
噴霧乾燥用スラリーの濃度は固形分として5〜20重量%、更には8〜18重量%の範囲にあることが好ましい。濃度が5重量%未満の場合は、噴霧乾燥して得られる球状微粒子の平均粒子径が小さくなるとともに20μm以下の微小粒子が増大することがあり、また水分が多いために噴霧乾燥の熱エネルギーを多く必要とし経済的でない。一方、濃度が20重量%を越えると、スラリーの粘度が高すぎて噴霧乾燥が困難となることがある。
なお、噴霧乾燥用スラリーは、必要に応じてホモジナイザー、コロイドミル等により乳化処理、均一化処理等を行ってもよい。
このような噴霧乾燥用スラリーのpHは4〜9.5、更には4.5〜6.5の範囲にあることが好ましい。pHが4未満の場合は、得られる触媒の比表面積や細孔容積が低下し、活性および触媒寿命が不充分となる傾向にある。一方、pHが9.5を超えると、アルミナ担体上に銅成分が高分散した状態で沈着しないためか、活性や触媒寿命および長期流動性が低下する傾向がある。
工程(c)
工程(b)で得た噴霧乾燥用スラリーを噴霧乾燥する。噴霧乾燥は前記製造方法(1)と同様に行う。
工程(d)
ついで、噴霧乾燥して得た微小球状粒子を洗浄する。洗浄する方法としては触媒中の有効成分(担体成分としてのアルミナ、シリカ・アルミナ粒子、活性成分としての銅、助触媒成分としての希土類、アルカリ土類およびアルカリ)以外の不純分塩を低減あるいは除去できれば特に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。
例えば、噴霧乾燥して得た微小球状粒子を水に分散させ、濾過し、水(温水)等を掛けて洗浄することができる。洗浄後の残留塩は固形分として5重量%以下、更には2重量%以下、特に1重量%以下であることが望ましい。
工程(e)
ついで洗浄した微小球状粒子を乾燥する。乾燥する方法としては従来公知の方法を採用することができ、乾燥温度としては特に制限はないが、通常60〜200℃、更には80〜150℃の範囲にあることが好ましい。乾燥時間は温度によっても異なるが通常1〜24時間の範囲である。
工程(f)
乾燥した後、ついで焼成することによってオキシクロリネーション用触媒組成物を得ることができる。焼成は前記製造方法(1)と同様に行う。

以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[オキシクロリネーション用触媒組成物(1)]
噴霧乾燥用スラリー(1)の調製
濃度がAl23として5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液10.8kgとAl23に換算した濃度が2.5重量%の硫酸アルミニウム水溶液10.8kgとを混合してアルミナヒドロゲルスラリーを調製した。このとき、アルミナヒドロゲルスラリーの調合温度は60℃、pHは9.5であった。
ついで、アルミナヒドロゲルスラリーを濾過し、60℃の純水を掛けて洗浄し、Al23としての濃度が15重量%の擬ベーマイトアルミナスラリー5.40kgを得た。
擬ベーマイトアルミナスラリーの一部を乾燥し、走査型電子顕微鏡写真で観察した結果、平均長さ3nm、平均幅1nmの繊維状一次粒子が束になった繊維状二次粒子であった。
別途、純水3.0kgにシリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI−40、平均粒子径17nm、濃度40重量%)430gを混合し、これにカチオン性水和金属化合物(多木化学(株)製:PAC#1000、Al23=23.34重量%、Cl=8.06重量%、塩基度=83.44%)15.1gを混合し、12時間撹拌して、SiO2・Al23濃度5.1重量%のアルミナでシリカ粒子を被覆したシリカ・アルミナ粒子(1)分散液3.45kgを調製した。シリカ・アルミナ粒子(1)の平均粒子径、Al23含有量を表1に示した。
これに、濃度63重量%の硝酸100gを混合し、純度97重量の硝酸第二銅三水物(Cu(NO3)2・3H2O)367.3g、純度99重量%の硝酸ランタン六水物(La(NO3)3・6H2O)48.3g、純度98重量%の硝酸セリウム六水物(Ce(NO3)3・6H2O)47.5g及び純度98重量%の硝酸マグネシウム六水物(Mg(NO3)2・6H2O)228.5gを溶解し、[SiO2・Al23+CuO+La23+Ce23+MgO]としての濃度が8.54重量%の混合硝酸塩水溶液を調製した。
上記の洗浄した擬ベーマイトアルミナスラリーの温度を50℃に調整した後、混合硝酸塩水溶液を混合した。
ついで、混合スラリーをホモジナイザーを用いて均一化処理をして噴霧乾燥用スラリー(1)を調製した。このときのスラリーのpHは3.6であった。
噴霧乾燥
噴霧乾燥用スラリー(1)を温度220℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(1)を得た。
微小球状粒子(1)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
焼成
微小球状粒子(1)を回転式焼成炉にて、650℃で0.5時間焼成してオキシクロリネーション用触媒組成物(1)を調製した。
[物性の測定と評価]
オキシクロリネーション用触媒組成物(1)のCBD、平均粒子径、耐摩耗性、比表面積(SA)、組成、およびアルミナの結晶形を表1に示した。
耐摩耗性は、特許737,429号公報に記載の方法に準拠し、触媒充填量50g、ノズル径0.406mmφ、空気流量0.425m3/時間の条件で流動させ、流動開始後5〜20時間の間に、流動層容器から飛散して回収された微粒子の重量割合(%)を表示した。
また、以下の実施例と比較例の触媒組成物についても、同様に物性を測定し、評価した。
[触媒性能評価]
オキシクロリネーション用触媒組成物(1)について触媒性能を以下のように評価し、結果を表1に示した。また、以下の実施例と比較例の触媒組成物についても、同様に触媒性能を評価した。
(1)活性評価
固定流動床式反応器を用い、これにオキシクロリネーション用触媒組成物(1)を5g充填し、温度230℃で、窒素ガスを28.8ml/minで供給しながら流動化させ、ついで窒素ガスに代えて反応用混合ガス(エチレン39.2vol%、塩酸46.1vol%、酸素14.7vol%)を62.5ml/minで供給して反応を行った。このとき、WHSV=750(L/Hr./kg Cat.)であった。
生成ガスをガスクロマトグラフにて分析し、活性、選択性、収率および燃焼性を表1に示した。
・活性: 塩酸転化率=(供給塩酸−未反応塩酸)/供給塩酸×100(モル%)
・選択性: EDC選択率=EDCの実生成量/理論的EDC生成量×100(モル%)
・収率(塩酸基準):EDC収率=塩酸転化率 ×EDC選択率(モル%)
・燃焼性: エチレン燃焼率=(CO+CO2)モル数/C22モル数×100(モル%)
(2)流動性評価
前記反応中に、流動層下部温度と流動層上部温度との温度差(ΔT:℃)を測定し、以下の基準で評価した。
ΔTが3℃未満で、良好な流動性を示した : ◎
ΔTが3℃以上、5℃未満で、比較的良好な流動性を示した : ○
ΔTが5℃以上、7℃未満で、問題のない流動性を示した : △
ΔTが7℃以上で、流動性に問題があった : ×
(3)加速劣化試験
(3-1)活性低下割合による評価
上記活性試験を50時間継続して行い、塩酸転化率を測定し、初期の塩酸転化率と対比した低下率を求め、以下の基準で評価した。
塩酸転化率の低下率が10%未満 : ◎
塩酸転化率の低下率が10%〜20%未満 : ○
塩酸転化率の低下率が20%〜30%未満 : △
塩酸転化率の低下率が30%以上 : ×
(3-2)比表面積低下割合による評価
上記反応後、触媒を抜き出し、400℃で0.5時間焼成した触媒の比表面積をオキシクロリネーション用触媒組成物(1)の比表面積と対比した低下率を求め、以下の基準で評価した。
比表面積の低下率が10%未満 : ◎
比表面積の低下率が10%〜20%未満: ○
比表面積の低下率が20%〜30%未満: △
比表面積の低下率が30%以上 : ×
[オキシクロリネーション用触媒組成物(2)]
実施例1において、SiO2・Al23濃度5.1重量%のシリカ・アルミナ粒子(1)分散液2.29kgを用いた以外は同様にして噴霧乾燥用スラリー(2)を調製した。このときのスラリーのpHは3.8であった。
ついで、実施例1と同様にして噴霧乾燥し、焼成してオキシクロリネーション用触媒組成物(2)を調製した。噴霧乾燥した微小球状粒子(2)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
[オキシクロリネーション用触媒組成物(3)]
実施例1において、SiO2・Al23濃度5.1重量%のシリカ・アルミナ粒子(1)分散液4.61kgを用いた以外は同様にして噴霧乾燥用スラリー(3)を調製した。このときのスラリーのpHは3.7であった。
ついで、実施例1と同様にして噴霧乾燥し、焼成してオキシクロリネーション用触媒組成物(3)を調製した。噴霧乾燥した微小球状粒子(2)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
[オキシクロリネーション用触媒組成物(4)]
実施例1において、純水3.0kgにシリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI−40、平均粒子径17nm、濃度40重量%)438gを混合し、これにカチオン性水和金属化合物(多木化学(株)製:PAC#1000、Al23=23.34重量%、Cl=8.06重量%、塩基度=83.44%)3.8g、純水11.3gを混合し、12時間撹拌して、SiO2・Al23濃度5.1重量%のアルミナでシリカ粒子を被覆したシリカ・アルミナ粒子(4)分散液3.45kgを調製した。シリカ・アルミナ粒子(4)の平均粒子径、Al23含有量を表1に示した。
ついで、このシリカ・アルミナ粒子(4)分散液を用いた以外は実施例1と同様にしてオキシクロリネーション用触媒組成物(4)を調製した。噴霧乾燥した微小球状粒子(4)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
[オキシクロリネーション用触媒組成物(5)]
実施例1において、純水3.0kgにシリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI−40、平均粒子径17nm、濃度40重量%)418gを混合し、これにカチオン性水和金属化合物(多木化学(株)製:PAC#1000、Al23=23.34重量%、Cl=8.06重量%、塩基度=83.44%)37.7g、純水11.3gを混合し、12時間撹拌して、SiO2・Al23濃度5.1重量%のアルミナでシリカ粒子を被覆したシリカ・アルミナ粒子(5)分散液3.45kgを調製した。シリカ・アルミナ粒子(5)の平均粒子径、Al23含有量を表1に示した。
ついで、このシリカ・アルミナ粒子(5)分散液を用いた以外は実施例1と同様にしてオキシクロリネーション用触媒組成物(5)を調製した。噴霧乾燥した微小球状粒子(5)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
[オキシクロリネーション用触媒組成物(6)]
実施例1において、純水2.66kgにシリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI−550、平均粒子径5nm、濃度20重量%)860gを混合し、これにカチオン性水和金属化合物(多木化学(株)製:PAC#1000、Al23=23.34重量%、Cl=8.06重量%、塩基度=83.44%)15.1gを混合し、12時間撹拌して、SiO2・Al23濃度5.1重量%のアルミナでシリカ粒子を被覆したシリカ・アルミナ粒子(6)分散液3.45kgを調製した。シリカ・アルミナ粒子(6)の平均粒子径、Al23含有量を表1に示した。
ついで、このシリカ・アルミナ粒子(6)分散液を用いた以外は実施例1と同様にしてオキシクロリネーション用触媒組成物(6)を調製した。噴霧乾燥した微小球状粒子(6)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
[オキシクロリネーション用触媒組成物(7)]
実施例1において、純水3.064kgにシリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI−50、平均粒子径26nm、濃度47重量%)366gを混合し、これにカチオン性水和金属化合物(多木化学(株)製:PAC#1000、Al23=23.34重量%、Cl=8.06重量%、塩基度=83.44%)15.1gを混合し、12時間撹拌して、SiO2・Al23濃度5.1重量%のアルミナでシリカ粒子を被覆したシリカ・アルミナ粒子(7)分散液3.45kgを調製した。シリカ・アルミナ粒子(7)の平均粒子径、Al23含有量を表1に示した。
ついで、このシリカ・アルミナ粒子(7)分散液を用いた以外は実施例1と同様にしてオキシクロリネーション用触媒組成物(7)を調製した。噴霧乾燥した微小球状粒子(7)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
[オキシクロリネーション用触媒組成物(8)]
実施例1において、カチオン性水和金属化合物(アルミニウム化合物)として硫酸アルミニウム・18水塩(関東化学(株)製、Al23=14.6重量%)24.1g用いた以外は同様にしてSiO2・Al23濃度5.1重量%のアルミナでシリカ粒子を被覆したシリカ・アルミナ粒子(8)分散液3.45kgを調製した。シリカ・アルミナ粒子(8)の平均粒子径、Al23含有量を表1に示した。
ついで、このシリカ・アルミナ粒子(8)分散液を用いた以外は実施例1と同様にしてオキシクロリネーション用触媒組成物(8)を調製した。噴霧乾燥した微小球状粒子(8)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
[オキシクロリネーション用触媒組成物(9)]
実施例1において、純度98重量%の硝酸マグネシウム六水物219.6gの代わりに純度98重量%の硝酸カリウム24.6gを用いた以外は同様にして噴霧乾燥用スラリー(9)を調製した。このときのスラリーのpHは3.7であった。
ついで、実施例1と同様にして噴霧乾燥し、焼成してオキシクロリネーション用触媒組成物(9)を調製した。噴霧乾燥した微小球状粒子(9)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
[オキシクロリネーション用触媒組成物(10)]
噴霧乾燥用スラリー(10)の調製
純水4.18kgに、純度99重量%の塩化アルミニウム六水和物(Al23含有量=22.07%)1.22kgを溶解し、実施例1と同様にして調製したSiO2・Al23濃度5.1重量%のアルミナでシリカ粒子を被覆したシリカ・アルミナ粒子(1)分散液3.72kg加え塩化アルミニウム水溶液を調製した。
これにAl23として5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液10.8kgを加えてアルミナヒドロゲルスラリーを調製した。このとき、混合温度は30℃、得られたアルミナヒドロゲルスラリーのpHは11.5であった。
ついで、アルミナヒドロゲルスラリーを濾過し、60℃の純水を掛けて洗浄し、Al23としての濃度が15重量%のアルミナスラリー6.66kgを得た。
アルミナヒドロゲルスラリーの一部を乾燥し、走査型電子顕微鏡写真で観察した結果、平均長さ10nm、平均幅0.5nmの繊維状一次粒子が束になった繊維状二次粒子が観察された。また、X線回折によれば擬ベーマイトアルミナであった。
別途、純水8.116kgに純度97重量%の塩化第二銅二水和物(CuO含有量=45.2重量%)534g、濃度30重量%の粗塩化希土類水溶液156.1gおよび純度98重量%の塩化マグネシウム六水和物(MgO含有量=19.3重量%)242.6gを溶解し、[CuO+RE23+MgO]としての濃度が3重量%の混合塩水溶液8.86kgを調製した。
上記アルミナヒドロゲルスラリーにこの混合塩水溶液を混合し、混合ヒドロゲルスラリーを調製した。混合ヒドロゲルスラリーのpHは6.1であった。
ついで、混合ヒドロゲルスラリーを脱水脱塩した後、純水を加えて固形分濃度を10重量%に調整し、ホモジナイザーを用いて均一化処理をして噴霧乾燥用スラリー(10)を調製した。噴霧乾燥用スラリー(10)のpHは6.8であった。
噴霧乾燥
噴霧乾燥用スラリー(10)を温度250℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(10)を得た。微小球状粒子(10)の平均粒子径は65μmであり、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった
洗浄
微小球状粒子(10)を重量比で10倍量の60℃温水に懸濁し、充分撹拌した後、濾過し、10倍量の60℃温水を掛けて洗浄した。
焼成
120℃で2時間乾燥した後、回転式焼成炉にて、400℃で0.5時間焼成してオキシクロリネーション用触媒組成物(10)を調製した。
[オキシクロリネーション用触媒組成物(11)]
噴霧乾燥用スラリー (11)の調製
実施例10において、実施例8と同様にして調製したSiO2・Al23濃度5.1重量%のアルミナでシリカ粒子を被覆したシリカ・アルミナ粒子(8)分散液を用いた以外は同様にして噴霧乾燥用スラリー(11)を調製した。噴霧乾燥用スラリー(11)のpHは6.8であった。
ついで、実施例10と同様にして噴霧乾燥し、焼成してオキシクロリネーション用触媒組成物(11)を調製した。噴霧乾燥した微小球状粒子(11)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
比較例1
[オキシクロリネーション用触媒組成物(R1)]
実施例1において、シリカ・アルミナ粒子(1)分散液を用いなかった以外は同様にして噴霧乾燥用スラリー(R1)を調製した。このときのスラリーのpHは3.7であった。
ついで、実施例1と同様にして噴霧乾燥し、焼成してオキシクロリネーション用触媒組成物(R1)を調製した。噴霧乾燥した微小球状粒子(R1)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
比較例2
[オキシクロリネーション用触媒組成物(R2)]
実施例1において、シリカ・アルミナ粒子(1)分散液の代わりにシリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI−40、平均粒子径17nm、濃度40重量%)440gを用いた以外は同様にして噴霧乾燥用スラリー(R2)を調製した。このときのスラリーのpHは3.7であった。
ついで、実施例1と同様にして噴霧乾燥し、焼成してオキシクロリネーション用触媒組成物(R2)を調製した。噴霧乾燥した微小球状粒子(R2)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
比較例3
[オキシクロリネーション用触媒組成物(R3)]
実施例10において、シリカ・アルミナ粒子(1)分散液を用いなかった以外は同様にして噴霧乾燥用スラリー(R3)を調製した。このときのスラリーのpHは3.7であった。
ついで、実施例10と同様にして噴霧乾燥し、焼成してオキシクロリネーション用触媒組成物(R3)を調製した。噴霧乾燥した微小球状粒子(R3)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
比較例4
[オキシクロリネーション用触媒組成物(R4)]
実施例10において、シリカ・アルミナ粒子(1)分散液の代わりにシリカゾル(触媒化成工業(株)製:SI−40、平均粒子径17nm、濃度40重量%)440gを用いた以外は同様にして噴霧乾燥用スラリー(R4)を調製した。このときのスラリーのpHは3.7であった。
ついで、実施例10と同様にして噴霧乾燥し、焼成してオキシクロリネーション用触媒組成物(R4)を調製した。噴霧乾燥した微小球状粒子(R4)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
Figure 0005100551

Claims (18)

  1. 酸化物として5〜40重量%の範囲のシリカ・アルミナ粒子であってシリカ粒子をアルミナで被覆したシリカ・アルミナ粒子、酸化物(CuO)として5〜20重量%の範囲の銅、およびAlとして40〜90重量%の範囲の担体アルミナを含むことを特徴とするオキシクロリネーション用触媒組成物。
  2. 前記シリカ・アルミナ粒子の平均粒子径が3〜100nmの範囲にあり、シリカ・アルミナ粒子中のアルミナの含有量が0.1〜10重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のオキシクロリネーション用触媒組成物。
  3. さらに、アルカリ土類を含み、アルカリ土類の含有量が酸化物(MO:Mはアルカリ土類元素を示す)として0.1〜6重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のオキシクロリネーション用触媒組成物。
  4. さらに、希土類を含み、希土類の含有量が酸化物(RE:REは希土類元素を示す)として0.1〜6重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜のいずれかにに記載のオキシクロリネーション用触媒組成物。
  5. さらに、アルカリを含み、アルカリの含有量が酸化物(NO:Nはアルカリ元素を示す)として0.1〜3重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のオキシクロリネーション用触媒組成物。
  6. 前記アルカリ土類がマグネシウムであることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のオキシクロリネーション用触媒組成物。
  7. 前記アルカリがカリウムであることを特徴とする請求項5〜6のいずれかに記載のオキシクロリネーション用触媒組成物。
  8. 下記の工程(a)〜(c)からなることを特徴とするオキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法。
    (a)擬ベーマイトアルミナスラリーに、シリカ粒子をアルミナで被覆したシリカ・アルミナ粒子分散液と、酸と硝酸第二銅水溶液とを添加して噴霧乾燥用スラリーを調製する工程
    (b)前記スラリーを噴霧乾燥する工程
    (c)(b)工程で得られた微粒子を焼成する工程
  9. 前記噴霧乾燥用スラリーのpHが1.5〜5.5の範囲にあることを特徴とする請求項に記載のオキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法。
  10. 前記シリカ・アルミナ粒子の平均粒子径が3〜100nmの範囲にあり、シリカ・アルミナ粒子中のアルミナの含有量が0.1〜10重量%の範囲にあることを特徴とする請求項8〜9のいずれかに記載のオキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法。
  11. 前記工程(a)で、さらにアルカリ土類塩水溶液を添加することを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のオキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法。
  12. 前記工程(a)で、さらに希土類塩水溶液を添加することを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載のオキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法。
  13. 前記工程(a)で、さらにアルカリ塩水溶液を添加することを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載のオキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法。
  14. 下記の工程(a)〜(f)からなることを特徴とするオキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法。
    (a)アルミニウム塩水溶液にアルミン酸アルカリ水溶液と、シリカ粒子をアルミナで被覆したシリカ・アルミナ粒子分散液と、第二銅塩水溶液とを混合する工程
    (b)前記混合スラリーを洗浄して噴霧乾燥用スラリーを調製する工程
    (c)噴霧乾燥する工程
    (d)洗浄する工程
    (e)乾燥する工程
    (f)焼成する工程
  15. 前記噴霧乾燥用スラリーのpHが4〜9.5の範囲にある請求項14記載のオキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法。
  16. 前記シリカ・アルミナ粒子の平均粒子径が3〜100nmの範囲にあり、シリカ・アルミナ粒子中のアルミナの含有量が0.1〜10重量%の範囲にあることを特徴とする請求項14〜15のいずれかに記載のオキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法。
  17. 前記工程(a)で、アルミニウム塩水溶液に予めアルカリ土類金属塩水溶液、希土類金属塩水溶液、アルカリ金属塩水溶液から選ばれる少なくとも1種の金属塩水溶液を混合する請求項14〜16のいずれかに記載のオキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法。
  18. 前記工程(a)で、アルカリ土類金属塩水溶液、希土類金属塩水溶液、アルカリ金属塩水溶液から選ばれる少なくとも1種の金属塩水溶液を、第二銅塩水溶液と同時にあるいは第二銅塩水溶液に次いで混合する請求項14〜16のいずれかに記載のオキシクロリネーション用触媒組成物の製造方法。
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