JP4312511B2 - オキシクロリネーション用流動触媒の製造方法およびオキシクロリネーション用流動触媒 - Google Patents

オキシクロリネーション用流動触媒の製造方法およびオキシクロリネーション用流動触媒 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、オキシクロリネーション用触媒の製造方法およびオキシクロリネーション用触媒に関し、さらに詳しくは、流動性、流動性の低下抑制、耐摩耗性等に優れると共に活性、1,2−ジクロルエタン(以下、EDCと略記することがある。)の選択性、エチレン燃焼抑制等に優れたオキシクロリネーション用触媒の製造方法およびオキシクロリネーション用触媒に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、オキシ塩素化法による脂肪族炭化水素の塩素化には一般に、多孔質なアルミナ、シリカアルミナ、粘土などの担体に金属塩を担持させた触媒が用いられていた。特に、エチレンのオキシクロリネーションによるEDCの製造には、工業的には古くから塩化第二銅を含浸法によりアルミナ担体に担持させた流動床用触媒が用いられる。しかし、この触媒は活性成分である銅が移動あるいは昇華し、活性の低下や流動性の低下を引き起こし、この結果、触媒層の温度分布が不均一となり高温部においてエチレンの燃焼反応が進行し、EDCの選択性や収率が低下する等の問題があった。銅の移動、昇華を抑制する為に、さらには選択性を向上させるためにアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属等を添加することが行われている。
【0003】
一方、担体成分と活性成分を同時に沈殿(以下、共沈法ということがある。)させ、噴霧乾燥して得た触媒が知られている(特許文献1等参照)。さらに、共沈法で調合して得た触媒にアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属等を担持した触媒も知られている(特許文献2〜4等参照)。
しかしながら、前記流動性の問題、活性および選択性の低下する問題は完全には解決されておらず、さらなる改善が求められている。
【0004】
【特許文献1】
特公昭45−39616号公報
【特許文献2】
特開平11−90232号公報
【特許文献3】
特開平11−90233号公報
【特許文献4】
特開平11−90234号公報
【0005】
【発明の目的】
本願発明者等は、前記問題点に鑑み鋭意検討した結果、アルミナ源としてあらかじめ調製した擬ベーマイトアルミナスラリーを用い、これに銅等の活性成分と、アルカリ、希土類等の助触媒成分を加え、噴霧乾燥して得られる触媒は前記流動性の低下が少なく、かつ、高い活性と選択性を示すことを見出して本願発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の概要】
本発明のオキシクロリネーション用触媒の製造方法は、下記の工程(a)〜(d)からなることを特徴とする。
(a)擬ベーマイトアルミナスラリーにハロゲン化アルカリ土類金属水溶液を添加する工程
(b)前記スラリーに塩化第二銅水溶液と、塩化希土類金属水溶液および/またはハロゲン化アルカリ水溶液とを添加して混合スラリーを調製する工程
(c)前記混合スラリーを噴霧乾燥する工程
(d)(c)工程で得られた微粒子を焼成する工程
前記混合スラリーのpHは2.5〜5.0の範囲にあることが好ましい。
前記銅の含有量が7〜12.5重量%の範囲にあり、アルカリの含有量が0.1〜1.5重量%の範囲にあり、アルカリ土類の含有量が2.5〜5.5重量%の範囲にあり、希土類の含有量が0.3〜5.5重量%の範囲にあることが好ましい。前記ハロゲン化アルカリは塩化カリウムであることが好ましく、前記ハロゲン化アルカリ土類金属は塩化カルシウムであることが好ましい。
本発明は、アルミナと、アルカリ土類と、銅と、希土類および/またはアルカリとからなるオキシクロリネーション用触媒であって、前記アルミナは擬ベーマイトアルミナが結晶転位したγ-Al23であり、銅の含有量が7〜12.5重量%の範囲にあり、アルカリ土類の含有量が2.5〜5.5重量%の範囲にあり、希土類金属の含有量が0.3〜5.5重量%の範囲にあり、アルカリ金属の含有量が0.1〜1.5重量%の範囲にあることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の具体的説明】
本発明に係るオキシクロリネーション用触媒の製造方法について説明する。
工程(a)
工程(a)では、擬ベーマイトアルミナスラリーにハロゲン化アルカリ土類金属水溶液を添加する。
本発明ではアルミナ源として擬ベーマイトアルミナを用いる。擬ベーマイトアルミナ(Al23・nH2O、n:0.5〜2.5)は結晶性アルミナ水和物の一種であり、繊維状の一次粒子が束になった繊維状の二次粒子である。
【0008】
本発明に用いる擬ベーマイトアルミナの一次粒子の大きさは、平均長さ(L1)が1〜10nmの範囲にあり、平均幅(W1)が0.5〜3nmの範囲にあることが好ましい。
一次粒子の平均長さ(L1)が1nm未満の場合は、アルミナの溶解が進み過ぎて最終的に得られる触媒の細孔容積および比表面積が小さくなるとともに活性が不充分となる。一次粒子の平均長さ(L1)が10nmを越えると得られる触媒の嵩密度が低下したり、耐摩耗性が不充分となる。
一次粒子の平均幅(W1)が0.5nm未満の場合は、平均長さ(L1)が1nm未満の場合と同様にアルミナの溶解が進みすぎて最終的に得られる触媒の細孔容積および比表面積が小さくなるとともに活性が不充分となる。一次粒子の平均幅(W1)が3nmを越えると、得られる触媒の嵩密度が低下したり、耐摩耗性が不充分となる。
このような 一次粒子の大きさは走査型電子顕微鏡写真を撮影して観察することによって求めることができる。
【0009】
本発明に用いる擬ベーマイトアルミナとしては、前記の一次粒子、二次粒子の条件を満たすものであれば従来公知の擬ベーマイトアルミナを用いることができる。
このような擬ベーマイトアルミナは、例えば、アルカリ性アルミニウム塩水溶液と酸性物質とを反応させ、必要に応じて洗浄、熟成等することによって得ることができる。さらに具体的には、所望の濃度範囲のアルミン酸ナトリウム水溶液と硫酸アルミニウム水溶液とを所望の量比で反応させ、希アンモニア水を掛け水等して洗浄することによって得ることができる。
【0010】
本発明に用いる擬ベーマイトアルミナスラリーの濃度はAl23として2〜20重量%、さらには5〜18重量%の範囲にあることが好ましい。
擬ベーマイトアルミナスラリーの濃度がAl23として2重量%未満の場合は、後述する熟成効果が充分得られないことがあり、また噴霧乾燥用スラリーの濃度が低くなり、得られる微小球状粒子の微細粒子が多くなり、流動性が低下したり、触媒をサイクロンで捕捉できないために触媒の損失が多くなる。擬ベーマイトアルミナスラリーの濃度がAl23として20重量%を越えると、噴霧乾燥用スラリーの濃度が高くなりすぎて粘度が高くなり噴霧乾燥が困難な場合があり、噴霧乾燥できたとしても活性成分の分散性が不充分となり得られる触媒の性能が不充分となったり、耐摩耗性や嵩比重(CBD)が低下することがある。
【0011】
上記擬ベーマイトアルミナスラリーは、60〜120℃、さらには80〜95℃の範囲で熟成して用いることが好ましい。熟成時間は、擬ベーマイトアルミナスラリーの濃度や熟成温度によっても異なるが概ね0.5〜48時間である。
このような熟成を行うことによって擬ベーマイトアルミナの一次粒子が長さおよび/または幅が大きくなるとともに、凝集した二次粒子はほぐれて小さくなるとともに均一化する。
洗浄した、さらには熟成した擬ベーマイトアルミナスラリーにハロゲン化アルカリ土類金属水溶液を添加する。ハロゲン化アルカリ土類金属としては塩化ベリリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム等周期律表IIa族のハロゲン化物が用いられる。
ハロゲン化アルカリ土類金属水溶液の添加量は最終的に得られる触媒中のアルカリ土類の含有量が2.5〜5.5重量%、好ましくは3〜5重量%の範囲となるように用いる。触媒中のアルカリ土類の含有量が2.5重量%未満の場合は、得られる触媒の嵩密度、耐摩耗性が低下する傾向がある。触媒中のアルカリ土類の含有量が5.5重量%を越えると、得られる触媒の細孔容積が低下し、活性が不充分となることがある。
ハロゲン化アルカリ土類金属の中でも塩化カルシウムは、活性を低下させることなく耐摩耗性に優れた触媒を得ることができる。また、ハロゲン化アルカリ土類金属水溶液の濃度は特に制限はないが、通常5〜20重量%の水溶液が用いられる。
【0012】
工程(b)
ついで、塩化第二銅水溶液と、塩化希土類金属塩水溶液および/またはハロゲン化アルカリ水溶液とを添加する。
塩化第二銅水溶液の使用量は最終的に得られる触媒中の銅の含有量が7〜12.5重量%、好ましくは8〜12重量%の範囲となるように用いる。
触媒中の銅の含有量が7重量%未満の場合は、活性が不充分となり、EDCの収率が低下する。触媒中の銅の含有量が12.5重量%を越えると、原料エチレンの燃焼が顕著になり、EDCの収率が低下するとともに、銅が多すぎて触媒粒子外部表面に移動したり、昇華し、流動性低下の原因となることがある。
【0013】
塩化希土類金属塩水溶液としては、塩化ランタン水溶液、塩化セリウム水溶液等の他混合希土塩化物水溶液等を用いることができる。
塩化希土類金属塩水溶液の使用量は最終的に得られる触媒中の希土類の含有量が0.3〜5.5重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%の範囲となるように用いる。
触媒中の希土類の含有量が0.3重量%未満の場合は、EDCの選択性が低下するとともに、エチレンの燃焼を抑制する効果が不充分となるためにEDCの収率も低下する。触媒中の希土類の含有量が5.5重量%を越えると、Clの反応率が低下しEDCの収率が低下する。
【0014】
ハロゲン化アルカリ水溶液としてはハロゲン化ナトリウム水溶液、ハロゲン化カリウム水溶液、ハロゲン化リチウム水溶液、ハロゲン化ルビジウム水溶液、ハロゲン化セシウム水溶液等を用いることができる。中でもハロゲン化カリウム水溶液は、エチレンの酸化抑制効果が他のアルカリに比してマイルドであり、主反応の活性を大きく低下することなくエチレンの酸化抑制することが容易である。ハロゲン化アルカリ水溶液の使用量は最終的に得られる触媒中のアルカリの含有量が0.1〜1.5重量%、好ましくは0.3〜1.5重量%の範囲となるように用いる。
触媒中のアルカリの含有量が0.1重量%未満の場合は、エチレンの燃焼を抑制する効果が不充分となるためにEDCの収率が低下する。触媒中のアルカリの含有量が1.5重量%を越えると、Clの反応率が低下しEDCの収率が低下する。
【0015】
上記各水溶液の濃度には特に制限はないが、通常、5〜30重量%の水溶液が用いられる。各水溶液の添加順序にも特に制限はなく、また、2成分あるいは3成分の混合水溶液として添加することもできる。
さらに、必要に応じて後述する噴霧乾燥用スラリーのpHを調整するために酸またはアルカリを添加することもできる。酸としては、塩酸、硝酸、硫酸等の鉱酸を用いることができるが、特に塩酸が好ましい。また、アルカリとしてはNaOH、KOH、RbOHなどのアルカリ金属水酸化物を用いることができるが、前記したハロゲン化アルカリ水溶液後と同一のアルカリを用いることが好ましい。
上記のようにして調製した噴霧乾燥用スラリーのpHは2.5〜5.0、さらには3.0〜5.0の範囲にあることが好ましい。
噴霧乾燥用スラリーのpHが2.5未満の場合は、擬ベーマイトアルミナの溶解が進み過ぎているために得られる触媒の比表面積や細孔容積が低下し、活性が不充分となる傾向にある。噴霧乾燥用スラリーのpHが5.0を越えると、高い割合で銅が噴霧乾燥前に水酸化物として沈殿するために(アルミナ担体上に高分散沈着させることができず)、活性や長期流動性が低下する傾向がある。
【0016】
噴霧乾燥用スラリーの濃度は固形分として5〜20重量%、さらには8〜18重量%の範囲にあることが好ましい。
噴霧乾燥用スラリーの濃度が固形分として5重量%未満の場合は、噴霧乾燥して得られる球状微粒子の平均粒子径が小さくなるとともに20μm以下の微小粒子が増大することがあり、また水分が多いために噴霧乾燥の熱エネルギーを多く必要とし経済的でない。噴霧乾燥用スラリーの濃度が固形分として20重量%を越えると、スラリーの粘度が高過ぎて噴霧乾燥が困難となることがある。
なお、噴霧乾燥用スラリーは、必要に応じてホモジナイザー、コロイドミル等により乳化処理、均一化処理等を行ってもよい。
【0017】
工程(c)
工程(b)で得た混合スラリーを熱風気流中で噴霧乾燥する。噴霧乾燥法としては、従来公知のオキシクロリネーション用流動触媒と同様に微小球状の流動触媒が得られれば良く、ディスク回転式、ノズル式等、種々の噴霧乾燥機を用いることができる。
このとき、熱風気流温度は150〜400℃、さらには200〜350℃の範囲にあることが好ましい。熱風気流温度が150℃未満の場合は、乾燥が不充分となることがある。熱風気流温度が400℃を越えると、乾燥が急激に起こるために、活性成分や助触媒成分が粒子表面に偏在することがある。
【0018】
噴霧乾燥して得られる微小球状粒子は、平均粒子径が50〜80μm、さらには55〜75μmの範囲にあることが好ましい。
微小球状粒子の平均粒子径が50μm未満の場合は、後述する焼成工程で焼成して得られる触媒の平均粒子径が40μm未満となることがあり、充分な流動性が得られなかったり、触媒の損失が増加することがある。微小球状粒子の平均粒子径が80μmを越えるばあいは、焼成工程で焼成して得られる触媒の平均粒子径が75μmを越えることがあり、平均粒子径が小さい場合と同様に充分な流動性が得られないことがある。
【0019】
上記微小球状粒子の粒子径分布は、概ね正規分布しており、粒子径が30μm未満の微粒子が10重量%以下であることが好ましく、粒子径が90μmを越える粒子が20重量%以下であることが好ましい。なお、必要に応じてさらに分級することもできる。
なお、上記した平均粒子径、粒子径分布は、例えばマイクロメッシュシーブ法によって求めることができる。
【0020】
工程(d)
噴霧乾燥して得た微小球状粒子を、350〜750℃、さらには400〜700℃、特に500〜650℃の温度範囲で焼成することによってオキシクロリネーション用触媒を得る。
焼成温度が350℃未満の場合は、擬ベーマイトアルミナの脱水および結晶化が不充分となり、また活性成分や助触媒成分との結合が不充分となるためか活性および選択性が不充分となる。焼成温度が750℃を越えると、活性成分である銅が完全に酸化物化し活性が不充分となる。
【0021】
焼成時間は焼成温度によって変えることができ、特に限定されないが、概ね0.1〜24時間の範囲である。
このようにして得られたオキシクロリネーション用触媒は、銅の含有量が7〜12.5重量%の範囲にあり、アルカリ土類の含有量が2.5〜5.5重量%の範囲にあり、アルカリの含有量が0.1〜1.5重量%の範囲にあり、希土類の含有量が0.3〜5.5重量%の範囲にあり、アルミナの含有量は概ね60〜85重量%の範囲にある。
【0022】
次に、本発明に係るオキシクロリネーション用触媒について説明する。
本発明に係るオキシクロリネーション用触媒は、γ-アルミナと、銅と、アルカリ土類と、希土類および/またはアルカリとを含んでなり、銅の含有量が7〜12.5重量%の範囲にあり、アルカリ土類の含有量が2.5〜5.5重量%の範囲にあり、アルカリの含有量が0.1〜1.5重量%の範囲にあり、希土類の含有量が0.3〜5.5重量%の範囲にある。
アルミナの含有量は60〜85重量%、さらには65〜80重量%の範囲にあることが好ましい。アルミナの含有量が60重量%未満の場合は、触媒の比表面積および細孔容積が小さくなり、比表面積および細孔容積が小さい一方で活性成分等が多くなるため活性が有効に発現しないことがある。また、耐摩耗性が不充分となることがある。アルミナの含有量が85重量%を越えると、活性成分とアルカリ土類、希土類および/またはアルカリ等の助触媒成分が少なくなり、活性または選択性が不充分となることがある。
本発明に係るオキシクロリネーション用触媒において、前記γ-Al23は擬ベーマイトアルミナが結晶転位したγ-Al23である。擬ベーマイトアルミナは前記したように繊維状の一次粒子であるため、得られる触媒は比表面積、細孔容積が高く、かつ耐摩耗性に優れている。また、触媒の活性、選択性とともに耐久性にも優れる。
アルカリ土類の含有量は2.5〜5.5重量%であり、さらには3〜5重量%の範囲にあることが好ましい。触媒中のアルカリ土類の含有量が2.5重量%未満の場合は、得られる触媒の嵩密度、耐摩耗性が低下する傾向がある。アルカリ土類の含有量が5.5重量%を越えると、得られる触媒の細孔容積が低下し、活性が不充分となることがある。
ハロゲン化アルカリ土類金属の中でも塩化カルシウムと塩化マグネシウムは、活性を低下させることなく耐摩耗性に優れた触媒を得ることができる。
【0023】
オキシクロリネーション用触媒中の銅の含有量は(Cuとして)、7〜12.5重量%であり、8〜12重量%の範囲にあることが好ましい。7重量%未満の場合は、活性が不充分となり、EDCの収率が低下する。一方、12.5重量%を越えると、原料エチレンの燃焼が顕著になり、EDCの収率が低下するとともに、銅が多過ぎて触媒粒子外部表面に移動したり、昇華し、流動性低下の原因となることがある。
【0024】
オキシクロリネーション用触媒中のアルカリの含有量は0.1〜1.5重量%であり、0.3〜1.5重量%の範囲にあることが好ましい。0.1重量%未満の場合は、エチレンの燃焼を抑制する効果が不充分となるためにEDCの収率が低下する。一方、1.5重量%を越えると、Clの反応率が低下しEDCの収率が低下する。
当該アルカリとしては、エチレンの酸化抑制効果が他のアルカリに比してマイルドであり、主反応の活性を大きく低下することなくエチレンの酸化抑制することが容易であることからカリウムが好適である。
【0025】
オキシクロリネーション用触媒中の希土類の含有量は、La、Ce、Pr、Nd、Sm等として0.3〜5.5重量%であり、特に、0.5〜5.0重量%の範囲にあることが好ましい。0.3重量%未満の場合は、EDCの選択性が低下するとともに、エチレンの燃焼を抑制する効果が不充分となるためにEDCの収率も低下する。一方、5.5重量%を越えると、Clの反応率が低下しEDCの収率が低下する。
なお、希土類はLa、Ce等、1種の成分を用いてもよいが、通常、これらの混合物である混合希土類を用いるのが経済的である。
【0026】
本発明に係るオキシクロリネーション用触媒は、平均粒子径が40〜75μm、さらには45〜70μmの範囲にあることが好ましい。
平均粒子径が40μm未満の場合は充分な流動性が得られなかったり、触媒の損失が増加することがある。微小球状粒子の平均粒子径が75μmを越えても平均粒子径が小さい場合と同様に充分な流動性が得られないことがある。
また、粒子径分布は、概ね正規分布しており、粒子径が30μm未満の微粒子が10重量%以下であることが好ましく、粒子径が90μmを越える粒子が20重量%以下であることが好ましい。なお、必要に応じてさらに分級することもできる。
このような粒子径分布は、マイクロメッシュシーブ法によって求めることができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、あらかじめ調製した繊維状で高比表面積のアルミナ前駆体(擬ベーマイトアルミナ)に、噴霧乾燥によって活性成分を析出させている。この結果、活性成分の均一分散性およびアルミナへの固定性に優れている。従って、得られるオキシクロリネーション用触媒は、流動性、流動性の低下抑制、耐摩耗性等に優れるとともに活性、EDC(1,2−ジクロルエタン)選択性、エチレン燃焼抑制等に優れる。
【0028】
【実施例1】
オキシクロリネーション用触媒(A)の調製
噴霧乾燥用スラリー(A)
濃度がAl23として5重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液65.9kgとAl23に換算した濃度が2.5重量%の硫酸アルミニウム水溶液65.9kgとを混合してアルミナヒドロゲルスラリーを調製した。アルミナヒドロゲルスラリーの調合温度は60℃、pHは9.5であった。ついで、アルミナヒドロゲルスラリーを濾過し、60℃の純水を掛けて洗浄し、Al23としての濃度が15重量%の擬ベーマイトアルミナスラリー4.94kgを得た。擬ベーマイトアルミナスラリーの一部を乾燥し、走査型電子顕微鏡写真で観察した結果、平均長さ3nm、平均幅1nmの繊維状一次粒子が束になった繊維状二次粒子であった。
擬ベーマイトアルミナスラリーを撹拌しながら温度を95℃に調整し、20時間熟成を行った。このとき、繊維状一次粒子の平均長さは5nm、平均幅は1.5nmであった。繊維状二次粒子は熟成前に比して繊維幅が細くなっていた。
別途、純水1.449kgに濃度98重量%の塩化マグネシュウム六水塩0.4kgを溶解し、MgCl2としての濃度が10重量%の塩化マグネシュウム水溶解液1.853kgを調製した。
上記熟成後の擬ベーマイトアルミナスラリーの温度を60℃に降温した後、塩化マグネシュウム水溶解液を添加した。
別途、濃度98重量%の塩化第二銅二水和物0.298kgと、濃度30重量%の塩化混合希土水溶液0.277kgと、濃度97重量%の塩化カリウム0.019kgとを純水2.72kgに溶解して、混合水溶液3.314kgを調製した。この混合水溶液を塩化マグネシュウム水溶解液を添加した擬ベーマイトアルミナスラリーに添加し、ついで、ホモジナイザーを用いて均一化処理をして噴霧乾燥用スラリー(A)11.997kgを調製した。
【0029】
噴霧乾燥
噴霧乾燥用スラリー(A)を温度240℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(A)を得た。微小球状粒子(A)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
焼成
ついで、微小球状粒子(A)を回転式焼成炉にて、400℃で0.5時間焼成してオキシクロリネーション用触媒(A)を調製した。オキシクロリネーション用触媒(A)の平均粒子径、CBD、アルミナの結晶形、組成は表1に示した。
活性評価(1)
固定流動床式反応器を用い、これにオキシクロリネーション用触媒(A)を5g充填し、温度230℃で、窒素ガスを28.8ml/minで供給しながら流動化させ、ついで窒素ガスに代えて反応用混合ガス(エチレン39.2vol%、塩酸46.1vol%、酸素14.7vol%)を62.5ml/minで供給して反応を行った。このとき、WHSV=750(L/Hr./kg Cat.)であった。
生成ガスをガスクロマトグラフにて分析し、活性、選択性およびエチレン燃焼率を表に示した。
・活性=(供給エチレン−未反応エチレン)/供給エチレン×100(モル%)
・選択性=EDCの実生成量/理論的EDC生成量×100(モル%)
・エチレン燃焼率=(CO+CO2)モル数/C22モル数×100(%)
【0030】
流動性評価(1)
前記反応中に、流動層下部温度と流動層上部温度との温度差(ΔT:℃)を測定し、以下の基準で評価し、結果を表1に示した。
ΔTが3℃未満で、良好な流動性を示した : ◎
ΔTが3℃以上、5℃未満で、比較的良好な流動性を示した : ○
ΔTが5℃以上、7℃未満で、問題のない流動性を示した : △
ΔTが7℃以上で、流動性に問題があった : ×
耐摩耗性
英国特許737,429号公報に記載の方法に準拠し、触媒充填量50g、ノズル径0.406mmφ、空気流量0.425m3/時間の条件で流動させ、流動開始後5〜20時間の間に、流動層容器から飛散して回収された微粒子の重量割合(%)を表示した。
触媒耐久性
上記活性評価(1)を2時間実施した後、混合ガス(エチレン42.3vol%、塩酸38.5vol%、酸素19.2vol%)に切り替えて、温度270℃で5時間反応させた後、再び元の反応条件に戻して活性評価(2)、流動性評価(2)を行い、結果を表1に示した。
【0031】
【実施例2】
噴霧乾燥用スラリー(B)の調製
実施例1と同様にして熟成した擬ベーマイトアルミナスラリー4.94kgを得た。
別途、純水1.449kgに濃度98重量%の塩化マグネシュウム六水塩0.404kgを溶解し、MgCl2としての濃度が10重量%の塩化マグネシュウム水溶解液1.853kgを調製した。
上記熟成後の擬ベーマイトアルミナスラリーの温度を60℃に降温した後、塩化マグネシュウム水溶解液を添加した。
別途、濃度98重量%の塩化第二銅二水和物0.49kgと、濃度30重量%の塩化混合希土水溶液0.277kgと、濃度97重量%の塩化カリウム0.019kgとを純水4.004kgに溶解して、混合水溶液4.79kgを調製した。
この混合水溶液を塩化マグネシウム水溶解液を添加した擬ベーマイトアルミナスラリーに添加し、ついで、ホモジナイザーを用いて均一化処理をして噴霧乾燥用スラリー(B)11.583kgを調製した。
噴霧乾燥
噴霧乾燥用スラリー(B)を温度240℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(B)を得た。微小球状粒子(B)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
焼成
ついで、微小球状粒子(B)を回転式焼成炉にて、400℃で0.5時間焼成してオキシクロリネーション用触媒(B)を調製した。
オキシクロリネーション用触媒(B)の平均粒子径、CBD、アルミナの結晶形、組成は表1に示した。得られた触媒について活性、耐摩耗性、流動性および耐久性を評価し、結果を表1に示した。
【0032】
【実施例3】
噴霧乾燥用スラリー(C)の調製
実施例1と同様にして熟成した擬ベーマイトアルミナスラリー0.49kgを得た。
別途、純水1.449kgに濃度98重量%の塩化マグネシュウム六水塩0.404kgを溶解し、MgCl2としての濃度が10重量%の塩化マグネシュウム水溶解液1.853kgを調製した。
上記熟成後の擬ベーマイトアルミナスラリーの温度を60℃に降温した後、塩化マグネシュウム水溶解液を添加した。
別途、濃度98重量%の塩化第二銅二水和物0.532kgと、濃度30重量%の塩化混合希土水溶液0.277kgと、濃度97重量%の塩化カリウム0.019kgとを純水4.292kgに溶解して、混合水溶液5.12kgを調製した。
この混合水溶液を塩化マグネシウム水溶解液を添加した擬ベーマイトアルミナスラリーに添加し、ついで、ホモジナイザーを用いて均一化処理をして噴霧乾燥用スラリー(C)を調製した。
噴霧乾燥
噴霧乾燥用スラリー(C)を温度240℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(C)を得た。微小球状粒子(C)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
焼成
ついで、微小球状粒子(C)を回転式焼成炉にて、400℃で0.5時間焼成してオキシクロリネーション用触媒(C)を調製した。
オキシクロリネーション用触媒(C)の平均粒子径、CBD、アルミナの結晶形、組成は表1に示した。得られた触媒について活性、耐摩耗性、流動性および耐久性を評価し、結果を表1に示した。
【0033】
【実施例4】
噴霧乾燥用スラリー(D)の調製
実施例1と同様にして熟成した擬ベーマイトアルミナスラリー4.94kgを得た。
別途、純水0.725kgに濃度98重量%の塩化マグネシュウム六水塩0.202kgを溶解し、MgCl2としての濃度が10重量%の塩化マグネシュウム水溶解液0.927kgを調製した。
上記熟成後の擬ベーマイトアルミナスラリーの温度を60℃に降温した後、塩化マグネシュウム水溶解液を添加した。
別途、濃度98重量%の塩化第二銅二水和物0.49kgと、濃度30重量%の塩化混合希土水溶液0.277kgと、濃度97重量%の塩化カリウム0.019kgとを純水4.004kgに溶解して、混合水溶液4.79kgを調製した。
この混合水溶液を塩化マグネシウム水溶解液を添加した擬ベーマイトアルミナスラリーに添加し、ついで、ホモジナイザーを用いて均一化処理をして噴霧乾燥用スラリー(D)10.657kgを調製した。
噴霧乾燥
噴霧乾燥用スラリー(D)を温度240℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(D)を得た。微小球状粒子(D)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
焼成
ついで、微小球状粒子(D)を回転式焼成炉にて、400℃で0.5時間焼成してオキシクロリネーション用触媒(D)を調製した。
オキシクロリネーション用触媒(D)の平均粒子径、CBD、アルミナの結晶形、組成は表1に示した。得られた触媒について活性、耐摩耗性、流動性および耐久性を評価し、結果を表1に示した。
【0034】
【実施例5】
噴霧乾燥用スラリー(E)の調製
実施例1と同様にして熟成した擬ベーマイトアルミナスラリー4.94kgを得た。
別途、純水1.594kgに濃度98重量%の塩化マグネシュウム六水塩0.444kgを溶解し、MgCl2としての濃度が10重量%の塩化マグネシュウム水溶解液2.038kgを調製した。
上記熟成後の擬ベーマイトアルミナスラリーの温度を60℃に降温した後、塩化マグネシュウム水溶解液を添加した。
別途、濃度98重量%の塩化第二銅二水和物0.49kgと、濃度30重量%の塩化混合希土水溶液0.277kgと、濃度97重量%の塩化カリウム0.019kgとを純水4.004kgに溶解して、混合水溶液4.79kgを調製した。
この混合水溶液を塩化マグネシウム水溶解液を添加した擬ベーマイトアルミナスラリーに添加し、ついで、ホモジナイザーを用いて均一化処理をして噴霧乾燥用スラリー(E)11.768kgを調製した。
噴霧乾燥
噴霧乾燥用スラリー(E)を温度240℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(E)を得た。微小球状粒子(E)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
焼成
ついで、微小球状粒子(E)を回転式焼成炉にて、400℃で0.5時間焼成してオキシクロリネーション用触媒(E)を調製した。
オキシクロリネーション用触媒(E)の平均粒子径、CBD、アルミナの結晶形、組成は表1に示した。得られた触媒について活性、耐摩耗性、流動性および耐久性を評価し、結果を表1に示した。
【0035】
【実施例6】
噴霧乾燥用スラリー(F)の調製
実施例1と同様にして熟成した擬ベーマイトアルミナスラリー0.49kgを得た。
別途、純水0.763kgに濃度98重量%の塩化カルシウム0.087kgを溶解し、CaCl2としての濃度が10重量%の塩化カルシウム水溶解液0.85kgを調製した。
上記熟成後の擬ベーマイトアルミナスラリーの温度を60℃に降温した後、塩化カルシウム水溶解液を添加した。
別途、濃度98重量%の塩化第二銅二水和物0.49kgと、濃度30重量%の塩化混合希土水溶液0.277kgと、濃度97重量%の塩化カリウム0.019kgとを純水4.004kgに溶解して混合水溶液4.79kgを調製した。
この混合水溶液を塩化カルシウム水溶解液を添加した擬ベーマイトアルミナスラリーに添加し、ついで、ホモジナイザーを用いて均一化処理をして噴霧乾燥用スラリー(F)10.58kgを調製した。
噴霧乾燥
噴霧乾燥用スラリー(F)を温度240℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(F)を得た。微小球状粒子(F)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
焼成
ついで、微小球状粒子(F)を回転式焼成炉にて、400℃で0.5時間焼成してオキシクロリネーション用触媒(F)を調製した。
オキシクロリネーション用触媒(F)の平均粒子径、CBD、アルミナの結晶形、組成は表1に示した。得られた触媒について活性、耐摩耗性、流動性および耐久性を評価し、結果を表1に示した。
【0036】
【実施例7】
噴霧乾燥用スラリー(G)の調製
実施例1と同様にして熟成した擬ベーマイトアルミナスラリー4.94kgを得た。
別途、純水1.0.657kgに濃度98重量%の塩化カルシウム0.073kgを溶解し、CaCl2としての濃度が10重量%の塩化カルシウム水溶解液0.72kgを調製した。
上記熟成後の擬ベーマイトアルミナスラリーの温度を60℃に降温した後、塩化カルシウム水溶解液を添加した。
別途、濃度98重量%の塩化第二銅二水和物0.49kgと、濃度30重量%の塩化混合希土水溶液0.277kgと、濃度97重量%の塩化カリウム0.019kgとを純水4.004kgに溶解して、混合水溶液4.79kgを調製した。
この混合水溶液を塩化カルシウム水溶解液を添加した擬ベーマイトアルミナスラリーに添加し、ホモジナイザーを用いて均一化処理をして噴霧乾燥用スラリー(G)10.45kgを調製した。
噴霧乾燥
噴霧乾燥用スラリー(G)を温度240℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(G)を得た。微小球状粒子(G)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
焼成
ついで、微小球状粒子(G)を回転式焼成炉にて、400℃で0.5時間焼成してオキシクロリネーション用触媒(G)を調製した。
オキシクロリネーション用触媒(G)の平均粒子径、CBD、アルミナの結晶形、組成は表1に示した。
得られた触媒について活性、耐摩耗性、流動性および耐久性を評価し、結果を表1に示した。
【0037】
【実施例8】
噴霧乾燥用スラリー(H)の調製
実施例1と同様にして熟成した擬ベーマイトアルミナスラリー4.94kgを得た。
別途、純水1.41kgに濃度98重量%の塩化カルシウム0.16kgを溶解し、CaCl2としての濃度が10重量%の塩化カルシウム水溶解液1.57kgを調製した。
上記熟成後の擬ベーマイトアルミナスラリーの温度を60℃に降温した後、塩化カルシウム水溶解液を添加した。
別途、濃度98重量%の塩化第二銅二水和物0.49kgと、濃度30重量%の塩化混合希土水溶液0.277kgと、濃度97重量%の塩化カリウム0.019kgとを純水4.004kgに溶解して混合水溶液4.79kgを調製した。
この混合水溶液を塩化カルシウム水溶解液を添加した擬ベーマイトアルミナスラリーに添加し、ホモジナイザーを用いて均一化処理をして噴霧乾燥用スラリー(H)11.3kgを調製した。
噴霧乾燥
噴霧乾燥用スラリー(H)を温度240℃の熱風気流中に噴霧して微小球状粒子(H)を得た。微小球状粒子(H)の平均粒子径は65μm、20μm以下が10重量%、149μm以上が5重量%であった。
焼成
ついで、微小球状粒子(H)を回転式焼成炉にて、400℃で0.5時間焼成してオキシクロリネーション用触媒(H)を調製した。
オキシクロリネーション用触媒(H)の平均粒子径、CBD、アルミナの結晶形、組成は表1に示した。得られた触媒について活性、耐摩耗性、流動性および耐久性を評価し、結果を表1に示した。
【0038】
【比較例1】
オキシクロリネーション用触媒 (R1) の調製
特公昭45-39616号公報の実施例1の方法に準拠した。
濃度98重量%の塩化第二銅ニ水和物4.53kgと、濃度30重量%の粗塩化希土水溶液4.22kgと、濃度97重量%の塩化カリウム0.421kgと、濃度98重量%の塩化カルシウム1.325kgとを、濃度35重量%の塩酸31.7kgに溶解し、ついで純水を加えて全体を130Lに希釈した水溶液と、別途、濃度45重量%のNaOH水溶液35.6kgに水酸化アルミニウム15.9kgを溶解後、純水を加えて67.6Lに希釈した水溶液とを混合して、ゲル状沈殿を調製した。ゲル状沈殿を、室温で48時間熟成した後、濾過、水洗し、得られた洗浄ゲルに水を加えて噴霧乾燥用スラリーとし、実施例1と同条件で噴霧乾燥して微小球状粒子(R1)を得た。
ついで、微小球状粒子(R1)を回転式焼成炉にて、400℃で3時間焼成してオキシクロリネーション用触媒(R1)を調製した。
オキシクロリネーション用触媒(R1)の平均粒子径、CBD、アルミナの結晶形、組成は表1に示した。なお、K成分は洗浄工程で脱落することが認められた。得られた触媒について活性、耐摩耗性、流動性および耐久性を評価し、結果を表1に示した。
【0039】
【比較例2】
オキシクロリネーション用触媒 (R2) の調製
特開平11-90232号公報の実施例の方法に準拠した。
塩化銅14.4g、濃度36重量%の塩酸溶液91g、純水317gを混合してA液を調製した。別途、水酸化アルミニウム62g、NaOH41.5g、純水77gを混合してB液を調製した。
A液とB液とを同時に純水300g中に供給し反応させた。生成したゲル状沈殿を濾過後、純水に分散して噴霧乾燥用スラリーとし、温度を150℃とした以外は実施例1と同様にして噴霧乾燥して微小球状粒子(R2-1)を得た。
ついで、微小球状粒子(R2-1)を回転式焼成炉にて、400℃で3時間焼成して微小球状粒子(R2-2)を得た。
別途、濃度30重量%の塩化混合希土水溶液9gに純水30gを加え、ついで塩化カルシウム2.827gと塩化カリウム結晶0.9g添加して、塩化希土、塩化カルシウム、塩化カリウム混合水溶液43gを調製した。
この混合水溶液に微小球状粒子(R2-2)を浸し、ついで150℃で乾燥後、更に400℃で2時間焼成してオキシクロリネーション用触媒(R2)を調製した。
オキシクロリネーション用触媒(R2)の平均粒子径、CBD、アルミナの結晶形、組成は表1に示した。 得られた触媒について活性、耐摩耗性、流動性および耐久性を評価し、結果を表1に示した。
【0040】
【表1】
Figure 0004312511

Claims (6)

  1. 下記の工程(a)〜(d)からなることを特徴とするオキシクロリネーション用流動触媒の製造方法。
    (a)擬ベーマイトアルミナスラリーにハロゲン化アルカリ土類金属水溶液を添加する工程
    (b)前記スラリーに塩化第二銅水溶液と、塩化希土類金属水溶液および/またはハロゲン化アルカリ水溶液とを添加して混合スラリーを調製する工程
    (c)前記混合スラリーを噴霧乾燥する工程
    (d)(c)工程で得られた微粒子を焼成する工程
  2. (b)工程で得られた混合スラリーのpHが2.5〜5.0の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のオキシクロリネーション用流動触媒の製造方法。
  3. 銅の含有量が7〜12.5重量%の範囲にあり、アルカリの含有量が0.1〜1.5重量%の範囲にあり、アルカリ土類の含有量が2.5〜5.5重量%の範囲にあり、希土類の含有量が0.3〜5.5重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のオキシクロリネーション用流動触媒の製造方法。
  4. 前記ハロゲン化アルカリが塩化カリウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオキシクロリネーション用流動触媒の製造方法。
  5. 前記ハロゲン化アルカリ土類金属が塩化カルシウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオキシクロリネーション用流動触媒の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法によって得られた、アルミナと、アルカリ土類と、銅と、希土類および/またはアルカリとからなり、平均粒子径が40〜75μmの範囲にあるオキシクロリネーション用流動触媒。
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