ここで、フレームには電気光学パネルの有効画面に入出射する光を遮らないように窓を規定する窓部が設けられる。一方で、電気光学パネルの有効画面外に入出射する光は窓部によって遮られる。窓部はフレームを構成する壁部分と一体となって形成されているために、窓部の厚さのみを調整して所定の値まで薄くするのは製造上困難である。
例えば液晶プロジェクタでは、光源からの強力な投射光が入射されること等による顕著な温度上昇を防止するために、例えば電気光学装置を冷却風により冷却する。上述したような窓部の厚みが大きくなると、電気光学パネルの表面と窓部表面との間に生じる段差も大きくなり、窓部によって規定される窓から電気光学パネルの表面に対する冷却風の流れ込みの効率が悪化するおそれがある。その結果、電気光学装置の冷却効率も悪くなり、加えて窓における有効画面内に埃や塵等が溜まり易くなり表示品質も劣化するなどの弊害が生じる。
尚、特許文献1に開示された構成によれば、上述の窓部の厚さは遮光板の厚さを調整することで、フレームの窓部の厚さを調整する場合と比較して容易に行うことができると推測される。しかし、この構成によっても例えば同文献の図8に示されているように、電気光学パネルの表面が遮光板と離間されてフレーム内に配置されることで、結局、電気光学パネル及び窓部の各々の表面間に生じる段差も大きくなるおそれがある。
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、冷却効率を向上させつつ高品質な表示を行うことが可能な電気光学装置及びこのような電気光学装置を備えてなる液晶プロジェクタ等の電子機器を提供することを課題とする。
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、複数の画素が配置された画素領域を有する電気光学パネルと、(i)該電気光学パネルをその周縁部側から包囲する開口部を有するフレームと、(ii)前記開口部を覆うように前記フレームに対して装着され、前記画素領域に対応する第1の窓を有する第1のカバー部材と、(iii)該第1のカバー部材と反対側から前記開口部を覆うように前記フレームに対して装着され、前記画素領域に対応する第2の窓を有する第2のカバー部材とを含む実装ケースとを備え、前記第1のカバー部材は、前記開口部を構成する壁部分の表面形状に沿うように折り曲げられてなる折り曲げ部を有すると共に、前記フレームには、前記第1のカバー部材が装着される側に、前記第1のカバー部材の表面より突出する突起部が設けられており、前記折り曲げ部は、部分的に切り欠いて形成された凹部を有しており、前記突起部は前記凹部に対応して設けられており、前記第2のカバー部材は、前記電気光学パネルを前記第1のカバー部材に押し当てるための弾性部分を有する。
本発明の電気光学装置によれば、例えば液晶パネル等の電気光学パネルが実装ケース内に実装或いは収容されてなる。例えば、電気光学パネルとしての液晶パネルでは、画素領域において各画素の単位で印加される電圧レベルに応じて、例えば電気光学物質である液晶において光を変調する。このような液晶パネルを有する電気光学装置たる液晶装置を、例えば液晶プロジェクタのライトバルブとして用いる場合には、光源より投射光が供給され液晶パネルに入射され、液晶において変調された光が表示光として出射されることにより表示が行われる。
実装ケースは、フレーム、第1及び第2のカバー部材を含む。フレームは、電気光学パネルを収容するための開口を規定する枠状の開口部を有する。実装ケース内において、電気光学パネルはその周縁部側からフレームの開口部に包囲され、その開口内に収容される。
第1及び第2のカバー部材は夫々、開口部による開口を覆うようにフレームに対して装着される。第1及び第2のカバー部材では夫々、投射光等の表示に寄与する光が画素領域に入出射することが可能なように、第1及び第2の窓の各々が規定される。第1のカバー部材において、それを構成する部材の厚みはフレームとは別個に調整することができ、当該部材において第1の窓を規定する壁部分(以下、適宜「窓部」と称して説明する)の厚みをより容易に所定値まで薄くすることが可能となる。
第2のカバー部材は、例えばプレス加工により成形され、例えばフレームに対して装着されることで弾力が生じるような弾性部分を有する。例えば、弾性部分として、例えば金属材料等からなる第2のカバー部材の一部を曲げることによりばね部分が形成される。このような弾性部分は、それを構成する材料に基づく弾力性とは別に、その曲げ形状に基づく弾力性を有する。従って、フレームに第2のカバー部材が装着されることで、弾性部分に弾力が生じ、実装ケース内に収容された電気光学パネルには、第2のカバー部材が装着された側と反対側に向かって押される方向に力が加わる。その結果、実装ケース内において電気光学パネルを、第1のカバー部材に押し当てて収容することが可能となる。
従って、本発明の電気光学装置では、例えば既に説明したような特許文献1の実装ケースの構成と比較して、第1のカバー部材に対して電気光学パネルが顕著に離間されてフレーム内に収容されるのをより有効に防止することができる。
よって本発明の電気光学装置では、第1のカバー部材の窓部を所定値まで薄くすることで、窓部の厚みに起因してその表面と実装ケース内の電気光学パネルの表面との間の段差が大きくなるのをより容易に防止することができる。加えて、実装ケース内において、第1のカバー部材と電気光学パネルとの間が離間することで、窓部の表面と電気光学パネルとの間の段差が大きくなるのをより確実に防止することができる。
従って、本発明の電気光学装置では、既に説明したように外部より供給される冷却風について、第1のカバー部材における第1の窓から電気光学パネルの表面への流れ込みを効率良く行うことが可能となる。また、電気光学パネルを第1のカバー部材に、より確実に接触させることで、電気光学パネルから第1のカバー部材への熱伝導をより効率良く行うことも可能となる。また、第1のカバー部材で、窓部及び電気光学パネル間の段差に起因して、埃や塵等が溜まるのをより有効に防止することもできる。
よって、以上説明したような本発明の電気光学装置では、冷却効率をより向上させつつ、高品質な表示を行うことが可能となる。
本発明の電気光学装置の一態様では、前記フレームには、前記第1のカバー部材が装着される側に、前記第1のカバー部材の表面より突出する突起部が設けられている。
この態様によれば、フレームに第1のカバー部材が装着された状態で、第1のカバー部材の側を設置面とする場合、第1のカバー部材の表面より突出する突起部により当該設置により生じる力を受けることができる。(簡単な典型例では、机の上に、第1のカバー部材が装着されたフレームを、第1のカバー部材の側を下側にして置く場合には、第1のカバー部材は机の設置面に接触せず、突起部により当該設置により生じる力を受けることができる。)
ここに、本発明の電気光学装置において窓部の厚みを所定値に薄くするために、第1のカバー部材を構成する部材の厚みを薄くした場合、第1のカバー部材における強度が小さくなるおそれがある。従って、フレームに第1のカバー部材が装着された状態で、第1のカバー部材の側を設置面とする場合、当該設置により第1のカバー部材、及び第1のカバー部材を介してフレーム内に収容された電気光学パネルに比較的強い力が加わることにより、破損等が生じる事態を回避することが可能となる。
或いは、電気光学装置の製造プロセスにおいて、実装ケースを組み立てて電気光学パネルを実装する際に、フレームに第1のカバー部材が装着された状態で、第1のカバー部材の側を設置面として、電気光学パネルを実装し且つ第2のカバー部材をフレームに装着させる各工程を行う場合においても、各工程で、上述のように突起部で力を受けることにより第1のカバー部材に加わる力を緩和することができる。その結果、製造プロセスの歩留まりを向上させることが可能となる。
このフレームに突起部が設けられる態様では、前記突起部は、前記フレームの熱を前記フレーム外に放出するための放熱用のフィンを兼ねるように形成されるように構成してもよい。
このように構成すれば、突起部と放熱用のフィンとを別個に設ける場合と比較して、これらに要するフレームにおける配置面積を小さくして、フレームを容易に小型化することが可能となる。従って、実装ケースも小型化することが可能となり、電気光学装置の小型化に寄与することができる。
上述したフレームに突起部が設けられる態様では、前記突起部は、前記電気光学パネルが前記フレーム内に収容された状態で、前記第1の窓から前記電気光学パネルに対して前記フレーム外から冷却風が流れ込むように導く導風板を兼ねるように構成してもよい。
このように構成すれば、突起部と導風板とを別個に設ける場合と比較して、これらに要するフレームにおける配置面積を小さくして、フレームを容易に小型化することが可能となる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1のカバー部材は、前記開口部を構成する壁部分の表面形状に沿うように折り曲げられてなる折り曲げ部を有する。
この態様によれば、第1のカバー部材をフレームに装着させる際に、折り曲げ部が開口部の壁部分の表面形状に沿うため、第1のカバー部材と開口部の壁部分とを隙間無く合わせることができる。従って、このような隙間が生じるために、第1のカバー部材に対して電気光学パネルが離間するのを防止することが可能となる。よって、第1のカバー部材の窓部の表面と電気光学パネルとの間の段差が大きくなるのを防止して、第1の窓から電気光学パネルへの冷却風の流れ込みを効率良くすることができる。
また、第1のカバー部材の部材の厚みを、窓部の厚みを調整するために薄くした結果、強度が劣化した場合に、実装ケース内で第2のカバー部材からの弾力により電気光学パネルが押し当てられて、第1のカバー部材に対して力が加わり、第1のカバー部材に歪みが生じるおそれがある。この態様では、折り曲げ部によって第1のカバー部材をフレームの開口部の壁部分に隙間無く合わせてフレームに対して押さえて装着することで、加わった力により第1のカバー部材に歪みが生じるのをより有効に防止することができる。
また、複数の画素が配置された画素領域を有する電気光学パネルと、(i)該電気光学パネルをその周縁部側から包囲する開口部を有するフレームと、(ii)前記開口部を覆うように前記フレームに対して装着され、前記画素領域に対応する第1の窓を有する第1のカバー部材と、(iii)該第1のカバー部材と反対側から前記開口部を覆うように前記フレームに対して装着され、前記画素領域に対応する第2の窓を有する第2のカバー部材とを含む実装ケースとを備え、前記第1のカバー部材は、前記開口部を構成する壁部分の表面形状に沿うように折り曲げられてなる折り曲げ部を有し、前記折り曲げ部は、部分的に切り欠いて形成された凹部を有しており、前記フレームには該凹部に対応して、前記フレームの熱を前記フレーム外に放出するための放熱用のフィンが設けられており、前記第2のカバー部材は、前記電気光学パネルを前記第1のカバー部材に押し当てるための弾性部分を有する。
このように構成すれば、第1のカバー部材において折り曲げ部の一部が欠けて強度が劣化した凹部に、フレームに放熱用のフィンを対応させて配置することで、第1のカバー部材がフレームに装着された状態で凹部における強度を補強することが可能となる。従って、実装ケース内で第2のカバー部材からの弾力により電気光学パネルが押し当てられて、第1のカバー部材に対して加わる力により、凹部において第1のカバー部材の歪みが生じるのを防止することができる。尚、フレームにおいて、上述したような凹部に対する補強を行うための部材を放熱用のフィンと別個に設ける場合と比較して、これらに要するフレームにおける配置面積を小さくして、フレームを容易に小型化することが可能となる。
ここに、順送型の製造装置を用いて第1のカバー部材を量産する場合に、折り曲げ部の一部に凹部を設けることにより、多数の第1のカバー部材を凹部において相互に繋げて連続させ、容易に製造することが可能となる(係る製造については図を参照しつつ後述する)。
また、複数の画素が配置された画素領域を有する電気光学パネルと、(i)該電気光学パネルをその周縁部側から包囲する開口部を有するフレームと、(ii)前記開口部を覆うように前記フレームに対して装着され、前記画素領域に対応する第1の窓を有する第1のカバー部材と、(iii)該第1のカバー部材と反対側から前記開口部を覆うように前記フレームに対して装着され、前記画素領域に対応する第2の窓を有する第2のカバー部材とを含む実装ケースとを備え、前記第1のカバー部材は、前記開口部を構成する壁部分の表面形状に沿うように折り曲げられてなる折り曲げ部を有し、前記折り曲げ部は、部分的に切り欠いて形成された凹部を有しており、前記フレームには該凹部に対応して、前記電気光学パネルが前記フレーム内に収容された状態で、前記第1の窓から前記電気光学パネルに対して前記フレーム外から冷却風が流れ込むように導く導風板が設けられており、前記第2のカバー部材は、前記電気光学パネルを前記第1のカバー部材に押し当てるための弾性部分を有する。
このように構成すれば、第1のカバー部材において折り曲げ部の一部が欠けて強度が劣化した凹部に、フレームに導風板を対応させて配置することで、第1のカバー部材がフレームに装着された状態で凹部における強度を補強することが可能となる。尚、フレームにおいて、上述したような凹部に対する補強を行うための部材を導風板と別個に設ける場合と比較して、これらに要するフレームにおける配置面積を小さくして、フレームを容易に小型化することが可能となる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1のカバー部材は、前記開口部を構成する壁部分の表面形状に沿うように折り曲げられてなる折り曲げ部を有すると共に、前記フレームには、前記第1のカバー部材が装着される側に、前記第1のカバー部材の表面より突出する突起部が設けられており、前記折り曲げ部は、部分的に切り欠いて形成された凹部を有しており、前記突起部は前記凹部に対応して設けられる。
この態様によれば、フレームに第1のカバー部材が装着された状態で、第1のカバー部材の側を設置面とする場合、第1のカバー部材の表面より突出する突起部により当該設置等により設置面に加わる力を受けることができる。また、第1のカバー部材をフレームに装着させる際に、折り曲げ部が開口部の壁部分の表面形状に沿うため、第1のカバー部材と開口部の壁部分とを隙間無く合わせることができる。
ここに、第1のカバー部材において折り曲げ部の一部が欠けて強度が劣化した凹部に、フレームに突起部を対応させて配置することで、第1のカバー部材がフレームに装着された状態で凹部における強度を補強することが可能となる。尚、フレームにおいて、上述したような凹部に対する補強を行うための部材を突起部と別個に設ける場合と比較して、これらに要するフレームにおける配置面積を小さくして、フレームを容易に小型化することが可能となる。
上述したような第1のカバー部材が折り曲げ部を有する態様では、前記第1のカバー部材は、前記折り曲げ部に沿って形成された溝部を有しており、該溝部の底部は前記第1のカバー部材における前記開口部と対向する側の表面から突出するように形成されているように構成してもよい。
このように構成すれば、第1のカバー部材におけるフレームの開口部と対向する側の表面に凸状に突出した溝部をストッパーとして機能させることで、折り曲げ部とフレームの開口部とで位置ずれが生じるのを防止して、より確実に第1のカバー部材と開口部の壁部分とを隙間無く合わせることができる。従って、より確実に、実装ケース内で第2のカバー部材からの弾力により電気光学パネルが押し当てられて、第1のカバー部材に対して加わる力により第1のカバー部材に歪みが生じるのを防止することができる。
尚、第1のカバー部材において、溝部は所謂ハーフパンチ或いは半切り加工により設けられるのが好ましく、この場合、第1のカバー部材の部材の厚みの半分程度を抜く加工が施される。従って、このような溝部が実装ケース内において例えば電気光学パネルに当接したとしても、第1のカバー部材及び電気光学パネル間が著しく離間する事態を防止することができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1のカバー部材には、前記第1のカバー部材を前記フレームに装着するための装着部が設けられると共に、前記フレームには前記装着部を掛けて装着するための爪部が設けられ、前記装着部は、前記フレームに装着された状態で前記フレームの前記爪部が設けられた壁部分に引っ掛かるように形成された引っ掛け部を有し、前記フレームの前記爪部が設けられた壁部分には、前記引っ掛け部を引っ掛けて止めるための止め部が設けられている。
この態様によれば、第1のカバー部材はフレームの爪部に装着部を掛けることにより、フレームに対して装着される。従って、第1のカバー部材には爪部に掛けられた装着部に引っ張られるような力が生じ、歪みが生じるおそれがある。
この態様では、装着部が爪部に装着された状態で、装着部が爪部により引っ張られる力により引っ掛け部が止め部によって止められている。これにより、引っ掛け部により装着部が引っ張られる力を緩和することが可能となる。従って、装着部が爪部に装着されることで第1のカバー部材に歪みが生じるのを防止することができる。
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記電気光学パネルは、前記画素領域の周縁に額縁状に形成された遮光膜を有しており、前記実装ケースにおいて光入射側の表面部分が少なくとも部分的に前記遮光膜よりも光の反射率の低い材料により形成される。
この態様では、電気光学パネルにおいて額縁状の遮光膜により、画素領域から出射される光により表示される有効画面の領域が規定される。例えばプロジェクタにおいて投射光は、電気光学パネルにおいて画素領域に対して入射可能となっており、画素領域外の周辺に向かって進行する光は額縁状の遮光膜により遮光される。また、電気光学パネルに対して画素領域外に向かって進行する光は、実装ケースの光入射側に配置された第1のカバー部材、加えてフレームの表面部分においても遮光される。(後述する実施形態で説明するように、好ましくは、実装ケースは第1のカバー部材が光入射側に配置される。)
この態様では、実装ケースにおいて光入射側の表面部分は少なくとも部分的に、電気光学パネル内の遮光膜よりも光の反射率の低い材料により形成される。前述のように第1のカバー部材が実装ケースの光入射側に配置される場合は、フレーム及び第1のカバー部材のうち少なくとも一方において、その光入射側に面する表面部分は少なくとも部分的に、電気光学パネル内の遮光膜よりも光の反射率の低い材料により形成される。従って、実装ケースの光入射側の表面部分において、フレーム及び第1のカバー部材のうち少なくとも一方の表面部分は少なくとも部分的に、電気光学パネル内の遮光膜よりも光が反射され難いように形成することができる。よって、実装ケースの光入射側の表面部分において、画素領域外の周辺に向かって進行し表示に寄与しない光の反射を抑制することができる。従って、実装ケースの光入射側の表面部分で反射した光が、電気光学装置外においてその光入射側に配置された部材(例えば偏光板の支持部材等)により再反射されて迷光が生じるのを抑制することができる。その結果、多量の迷光が画素領域から出射される表示光に紛れ込む事態をより有効に防止することが可能となる。
この実装ケースの表面部分の光の反射率を、電気光学パネル内の遮光膜よりも低く形成する態様では、前記実装ケースにおいて、前記第1のカバー部材の前記光入射側の表面部分は少なくとも部分的に、前記フレームよりも光の反射率が高くなるような材料により形成されるように構成してもよい。
このように構成すれば、実装ケースにおいて光入射側の表面部分では、より広く電気光学装置の光の入射される側に面する第1のカバー部材において、画素領域外の周辺に向かって進行し表示に寄与しない光をより多く反射させることができる。従って、電気光学パネルに対してより多くの光が入射されることによる、電気光学パネル内の温度上昇をより有効に抑制することが可能となる。
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
本発明の電子機器によれば、冷却効率を向上させつつ高品質な表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置等も実現することも可能である。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
以下、本発明の電気光学装置に係る実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の実施形態では、本発明の電気光学装置として、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例に挙げる。
先ず、液晶装置をライトバルブとして適用した、電子機器の一例である液晶プロジェクタ(以下、単に「プロジェクタ」とも称する)について説明する。ここに図1は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。
図1において、プロジェクタ1100は、夫々RGB用の液晶ライトバルブ1100R、1100G、1100Bの3枚を用いた複板式カラープロジェクタとして構築されている。
図1に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブ1110R、1110B及び1110Gに入射される。
ライトバルブ1110R、1110B及び1110Gを構成する液晶装置は、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである(詳細は後述する)。そして、これらの液晶装置によって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
尚、図1中には図示を省略してあるが、比較的強力な投射光によるライトバルブ1110R、1110B及び1110Gの過度の温度上昇を抑制するために、冷却風を供給する手段、例えばシロッコファン等も設けられる。
次に、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図2から図15を参照して説明する。尚、以下の図では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各図ごとに各層・各部材ごとの縮尺を異ならしめて図示されることもある。
先ず、図2及び図3を参照して、液晶装置に設けられた液晶パネルの構成について説明する。ここに図2は、本実施形態に係る液晶パネルの全体構成を示す平面図であり、図3は、図2のH−H'線での断面図である。
図2及び図3において、本実施形態に係る液晶パネル100では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、本発明に係る「画素領域」の一例としての画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。シール材52は、両基板を貼り合わせるための、紫外線硬化樹脂からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材(図示せず)が散布されている。
図2において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、画像信号が供給される画像信号端子を含む外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側にサンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
TFTアレイ基板10上には、外部回路接続端子102と、サンプリング回路7、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。
図3において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。この積層構造の詳細な説明については図示を省略してあるが、画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9aが設けられている。画素電極9aは典型的にはITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料により、画素毎に所定のパターンで島状に形成される。
画素電極9a上には、配向膜(図示せず)が形成されている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。そして、遮光膜23上に、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して形成されている。対向電極21上には配向膜(図示せず)が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
液晶パネル100の駆動時において、画素毎に画素電極9aには画像信号が供給され、対向電極21との間で一定期間保持される。このようにして印加される電圧レベルにより液晶層50を構成する液晶は、分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として画像表示領域10aにおいて画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。尚、詳細な説明は省略するが、各画素はデータ線や走査線に画像信号等の各種信号が供給されることにより駆動され、画素電極9aは画素スイッチング用TFTによりスイッチング制御される。
図3において、TFTアレイ基板10及び対向基板20の各々の液晶層50に対向しない側には、例えばガラス等の透明基板を用いて構成される防塵用基板121及び122が設けられている。この防塵用基板121及び122のデフォーカス作用により、TFTアレイ基板10及び対向基板20の各々の外側表面、即ち、防塵用基板121及び122と貼り合わせられる接着面に付着した埃や塵は、図1を参照して説明したようなスクリーン上の表示画面にピンボケの状態で表示されることとなる。よって、スクリーン上の表示画面に、前述したような埃や塵が明確に映りこむのを防止することができる。尚、液晶パネル100は防塵用基板121及び122のほか、図示は省略するが反射防止板等の光学要素が設けられるようにしてもよい。
ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、サンプリング回路7、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
本実施形態に係る液晶装置は、以上に説明したような液晶パネル100が実装ケース内に収容されてなる。以下に液晶装置の構成について、図4から図16を参照して説明する。
図4は液晶装置を光入射側から見た平面図であり、図5は、液晶装置を光出射側から見た平面図である。また、図6は、液晶装置において実装ケースの側面側から見た側面図であり、図7は図6に示す液晶装置を、実装ケースの主要な構成要素ごとに分解した分解側面図である。
図5から図7において、液晶パネル100を収容する実装ケース600は、フレーム610、第1のフック620及び第2のフック630を含む。尚、第1のフック620は、本発明に係る「第1のカバー部材」の一例であり、第2のフック630は、本発明に係る「第2のカバー部材」の一例である。フレーム610は、例えば、ダイキャスティング(金型鋳造)により、アルミニウム等の金属から形成されている。第1のフック620及び第2のフック630は夫々、例えば、プレス加工により、アルミニウム、ステンレス等の金属から形成されている。
図5から図7において、液晶パネル100にサンプリング回路7を介して各画素に画像信号を供給するためのデータ線駆動回路や画像信号供給回路等を含む、画像信号供給に係る回路部分は、好ましくは駆動用IC(Integrated Circuit)チップ300内に内蔵される。或いは、画像信号供給に係る回路部分の一部が駆動用ICチップ300内に、それ以外の他部がTFTアレイ基板10上に内蔵されるようにしてもよい。
ここに、図8は、図4に示すA0−A0'線における液晶装置の断面部分の構成を示す断面図であり、図10は、図4に示すB0−B0'線における液晶装置の断面部分の構成を示す断面図である。
図8において、液晶パネル100は、外部回路接続端子102において配線基板200を介して駆動用ICチップ300に電気的に接続される。駆動用ICチップ300は例えばTAB(Tape Automated Bonding)技術により配線基板200に固着される。駆動用ICチップ300は、液晶パネル100に画像信号等を含む各種信号を供給するための各種回路が作り込まれている。即ち、図2及び図3を参照して説明した表示動作は、TFTアレイ基板10上の走査線駆動回路104やサンプリング回路7に加えて駆動用ICチップ300により液晶パネル100が駆動されることによりなされる。
実装ケース600における、フレーム610、第1のフック620及び第2のフック630の各々の構成についてより詳細に説明する。本実施形態では、図1を参照して説明したようなプロジェクタ1100において、第1のフック620の側から投射光が入射し、液晶パネル100の画像表示領域10aを透過した後、第2のフック630の側から出射されるということを前提とする。つまり、図1でいえば、ダイクロイックプリズム1112に対向するのは、第1のフック620ではなくて、第2のフック630ということになる。
図8又は図10に示すように、フレーム610を構成する部材は、液晶パネル100を収容するためくり抜かれたような状態となっており、これによる開口を開口部615が規定している。フレーム610内に液晶パネル100はその周縁部側から開口部615に包囲され、その開口内に収容される。
図11は、図10に示す液晶装置を、実装ケースの主要な構成要素ごとに分解した分解断面図である。図10において、前述したような蓋無き箱型の如き形状を有するフレーム610に対して、いわば蓋として機能し得る第1のフック620及び第2のフック630が装着される。即ち、フレーム610における開口部615により規定される開口は、第1のフック620及び第2のフック630が互いに反対側から装着されることにより閉じられた状態となる。
第1のフック620は板状の部材であって、実装ケース600内において図4、図6及び図7、或いは図10に示すように液晶パネル100の一面に対向して開口部615を覆うようにフレーム610に対して装着される。この状態で、液晶パネル100は、第1のフック620に載置されるが如き状態でフレーム610内に収容される。
第1のフック620は、それを構成する部材が開口形状に形成された一部である、第1の窓625hを規定する窓部625を有する。第1のフック620がフレーム610に装着された状態で、窓部625は液晶パネル100と好ましくは相互に直接に当接する。窓部625は、液晶パネル100の画像表示領域10aに対応して第1の窓625hを規定しており、図1に示すプロジェクタ1100において照射される投射光は第1の窓625hから液晶パネル100の画像表示領域10aに入射される。即ち窓部625によって、液晶パネル100の画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域が当接される状態となる。液晶パネル100と窓部625の辺縁とが相互に接触していることにより、前者から後者への熱の伝達が滞りなく行われるようになる。
第2のフック630は、図5、図6、図7或いは図10に示すように第1のフック620とは反対側から、液晶パネル100の他の面に対向して開口部615を覆うようにフレーム610に対して装着される。本実施形態では図11において、第2のフック630は、フレーム610に対して装着されることで弾力が生じるような、本発明に係る「弾性部分」の一例であるばね部分630aを有している。ばね部分630aは、例えば金属材料等からなる第2のフック630の一部を曲げることにより形成され、その曲げ形状に基づく弾力性を有する。
図11において、液晶装置の製造時に実装ケース600を組み立てる際には、例えば、第1のフック620をフレーム610に対して装着した後、液晶パネル100をフレーム610内に収容し開口部615に対してその周縁部側から接着材640により接着する。その後、第2のフック630をフレーム610に装着する。第2のフック630がフレーム610に対して装着されると、ばね部分630aに弾力が生じ、フレーム610内に収容された液晶パネル100には、第2のフック630が装着された側と反対側に向かって押される方向に力が加わる。従って、液晶パネル100をばね部分630aに生じる弾力により、第1のフック620に押し当ててフレーム610内に収容することが可能となる。従って、例えば既に説明したような特許文献1の構成と比較して、第1のフック620に対して液晶パネル100が顕著に離間されてフレーム610内に収容されるのをより有効に防止することができる。
第2のフック630は、第1のフック620と同様に第2の窓635hを規定する窓部635を有し、窓部635において液晶パネル100と好ましくは相互に当接する。図1に示すプロジェクタ1100において、液晶パネル100の画像表示領域10aを透過した投射光は、第2のフック630において第2の窓635hから出射される。第2のフック630の側においても、第1のフック620と同様に液晶パネル100と窓部635の辺縁とが相互に接触していることにより、前者から後者への熱の伝達が滞りなく行われるようになる。
ここに、図12には、本実施形態に対する比較例の液晶装置について、図10に対応する断面部分の構成を示す断面図である。尚、比較例については本実施形態と異なる構成にのみ着目して説明し、その他の構成については説明を省略する。
図12に示す比較例では、液晶パネル100の一面において周辺領域と当接する窓部715がフレーム610を構成する部材の一部により形成される。フレーム610に対してフック630が装着されることで、フレーム610における窓部715と対向する側は閉じられた状態となる。よって、比較例では図1に示すプロジェクタ1100において照射される投射光は窓部715によって規定される窓715hから液晶パネル100の画像表示領域10aに入射される。
この場合、フレーム610を構成する部材において窓部715の厚みd1のみを所定値まで薄くするのは製造上困難である。その結果、窓部715の表面と液晶パネル100の表面との間に生じる段差も大きくなるおそれがある。
これに対して、本実施形態では図10において、第1のフック620を構成する部材をフレーム610とは別個に調整することができる。例えば、液晶装置の製造時、第1のフック620を構成する部材に対してプレス加工を施すことにより、容易に当該部材の厚みを調整することが可能となる。これにより、容易に窓部625の厚みd0も所定値まで薄くすることができる。具体的には例えば、図12において窓部715の厚みd1が0.4〜0.7mm程度であったのを、図10では窓部625の厚みd0を0.1〜0.2mm程度まで薄くすることが可能となる。従って、実装ケース600の厚さが大きくなるのを防止して、液晶装置を小型化し、図1に示すプロジェクタ1100の小型化に寄与することができる。
尚、第1のフック620は例えばステンレス等の金属材料により形成することで、より容易にプレス加工を施すことができ、更にはフレーム610の開口部615の表面より反射率を高くすることも可能となる。これにより、第1のフック620に液晶パネル100の周辺領域に向かって進行する光を反射して、液晶装置の顕著な温度上昇を抑制することができる。
ここに、図9は、図8に示す断面部分において、例えばプロジェクタ内で供給される冷却風の流れについて説明するための説明図である。図9において、冷却風の液晶装置に対する流れの一例を点線矢印により概略的に示してある。従って、実際の冷却風の流れは図9に示す点線矢印とは詳細には異なる場合もある。既に説明したように、プロジェクタ1100内においてシロッコファン等の手段によりライトバルブ1100R、1100G、又は1100Bを構成する液晶装置に対して冷却風が供給される。この冷却風は、概略的に実装ケース600の表面を図9中の点線矢印に沿って流れる。
本実施形態では、図10において、第1のフック620の窓部625を所定値まで薄くすることで、窓部625の厚みd0に起因してその表面と液晶パネル100の表面との間の段差が大きくなるのをより容易に防止することができる。加えて、実装ケース600内において、第1のフック620と液晶パネル100との間が離間することで、窓部625の表面と液晶パネル100との間の段差が大きくなるのをより確実に防止することができる。従って、図9において、第1のフック620の側で、第1の窓625hから液晶パネル100の表面への流れ込みを効率良く行うことが可能となる。また、液晶パネル100を第1のフック620により確実に接触させることで、液晶パネル100から第1のフック620への熱伝導をより効率良く行うことも可能となる。更に、第1のフック620で、窓部625及び液晶パネル100間の段差に起因して、窓部625の縁に埃や塵等が溜まるのをより有効に防止することもできる。
本実施形態では、図10を参照して説明したように、窓部625の厚みd0を容易に所定値とするために、第1のフック620を構成する部材の厚みを薄くしたり、またプレス加工を施しやすい材料により形成することで、第1のフック620における強度が小さくなるおそれがある。その結果、第1のフック620に比較的強い力が加わることにより、第1のフック620の歪みや、実装ケース600内に収容された液晶パネル100に第1のフック620を介して力が加わることによる破損等の弊害が生じ得る。このような弊害を防止するために、本実施形態の実装ケース600の各部は好ましくは以下のような特徴的な構成を有する。
図4において、フレーム610においては突起部613が、フレーム610の取り付け穴616に対応する4箇所に対して設けられる。尚、取り付け穴616はフレーム610を構成する部材により規定されており、図1に示すプロジェクタ1100内に液晶装置をライトバルブ1100R、1100G又は1100Bとして取り付ける際に利用される。
図4、図6又は図7に示すように、突起部613は第1のフック620が装着される側に設けられ、図6によく示されるように第1のフック620の表面から突出するような高さで形成される。実装ケース600において、フレーム610に第1のフック620が装着された状態で、第1のフック620の側を設置面とする場合(即ち図6中、突起部613が設けられた側を上側にして実装ケース600を設置する構成を示してあるが、これと反対側に、突起部613が設けられた側を下側にして実装ケース600を設置する場合)、第1のフック620の表面より突出する突起部613により当該設置により生じる力を受けることができる。従って、このような設置により第1のフック620、及び第1のフック620を介してフレーム610内に収容された液晶パネル100に比較的強い力が加わることにより、破損等が生じる事態を回避することが可能となる。
或いは、図11を参照して説明したように液晶装置の製造時に実装ケース600を組み立てる場合、フレーム610に第1のフック620が装着された状態で、第1のフック620の側を設置面として(即ち図6中、突起部613が設けられた側を下側にして設置する場合)、液晶パネル100を実装し且つ第2のフック630をフレーム610に装着させる各工程を行う場合においても、各工程で、上述のように突起部613で力を受けることにより第1のフック620に加わる力を緩和することができる。その結果、製造プロセスの歩留まりを向上させることが可能となる。
本実施形態では、図4において4箇所に配置された突起部613は夫々、放熱用のフィン及び導風板の少なくとも一方を兼ねるように形成されてもよい。或いは、図4に示す構成に限定されず、例えば4箇所のうち3箇所に突起部613を設け、そのうち1箇所には放熱用のフィン或いは導風板を設けるようにしてもよい。突起部613が放熱用のフィン及び導風板の少なくとも一方を兼ねるように構成すれば、突起部613と放熱用のフィン及び導風板とを夫々別個に設ける場合と比較して、これらに要するフレーム610における配置面積を小さくして、フレーム610を容易に小型化することが可能となる。従って、実装ケース600も小型化することが可能となり、液晶装置の小型化に寄与することができる。尚、放熱用のフィンを設けることにより、図9においてフレーム610の冷却風と接触する表面の面積が増加すると共に冷却風を効率良く流すことが可能となる。また、導風板を設ける場合には、図9の冷却風の流れにおける風上側、即ち同図中では右から左へ冷却風が流れるようすを示してあるが、この場合には右側に対して設けることで、第1の窓625hから液晶パネル100の表面に対して効率良く冷却風が流れ込むようにすることができる。従って、放熱用のフィンや導風板を設けることでフレーム610からの放熱を効率良く行うことができる。
ここに、図4、図6、図8等に示すようにフレーム610において、第1のフック620が装着される側に、それを構成する部材の一部が配線基板200に沿って延在されてなる放熱部611が設けられている。図6又は図8において、放熱部611は配線基板200上の駆動用ICチップ300からの熱の伝導が可能なように設けられている。その結果、駆動用ICチップ300からの熱を放熱部611において、効率良く液晶装置外に放散させることが可能となる。
図4、図6、或いは図8に示すように第1のフック620は、それを構成する部材の縁部が折り曲げられてなる折り曲げ部621を有している。ここに、図13は、図4における点線A1で囲まれた部分を拡大して示す拡大概略図であり、図15は、図8における点線A2で囲まれた部分を拡大して示す拡大概略図である。図15によく示されるように、折り曲げ部621は、第1のフック620がフレーム610に装着された状態で当接する開口部615の表面形状に沿うように折り曲げられている。よって、第1のフック620と開口部615の壁部分とを隙間無く合わせることができる。従って、このような隙間が生じるために、第1のフック620に対して液晶パネル100が離間するのを防止することが可能となる。よって、第1のフック620の窓部625の表面と液晶パネル100との間の段差が大きくなるのを防止して、第1の窓625hから液晶パネル100への冷却風の流れ込みを効率良くすることができる。
また、第1のフック620の部材の厚みを、窓部625の厚みを調整するために薄くした結果、強度が劣化した場合に、実装ケース600内で第2のフック630からの弾力により液晶パネル100が押し当てられて、第1のフック620に対して力が加わり、第1のフック620に歪みが生じるおそれがある。折り曲げ部621によって第1のフック620をフレーム610の開口部615の壁部分に隙間無く合わせてフレーム610に対して押さえて装着することで、加わった力により第1のフック620に歪みが生じるのをより有効に防止することができる。
図4又は図13において、折り曲げ部621は、これを部分的に切り欠いて形成された凹部622を有する。ここに、図14は、第1のフックが順送型の製造装置を用いて製造されることについて説明するための説明図である。図14に示すように、順送型の製造装置を用いて第1のフック620を量産する場合に、折り曲げ部621の一部に凹部622を設けることにより、多数の第1のフック620を凹部622において相互に繋げて連続させ、容易に製造することが可能となる。
図4又は図13において、フレーム610には凹部622に対応して突起部613が設けられる。第1のフック620において折り曲げ部621が欠けた凹部622で、例えば第2のフック630からの弾力により液晶パネル100が押し当てられるために加わる力に対して強度が劣化するおそれがある。凹部622に対応させて突起部613を配置することで、凹部622における強度を補強することができる。従って、第2のフック630からの弾力により液晶パネル100が押し当てられて加わる力により、凹部622において第1のフック620の歪みが生じるのを防止することができる。また、図13に示すように凹部622の中にまで入り込んで突起部613を形成することができるので、その配置面積をより大きく確保することが可能である。尚、フレーム610において、上述したような凹部622に対する補強を行うための部材を突起部613と別個に設ける場合と比較して、これらに要するフレーム610における配置面積を小さくして、フレーム610を容易に小型化することが可能となる。凹部622に対する補強を行う構成として、凹部622に対応させて突起部613に代えて若しくは加えて、導風板又は放熱用のフィンが配置されるようにしてもよい。
図4又は図13において、第1のフック620には折り曲げ部621に沿って溝部623が形成される。図15において、溝部623は、典型的にはハーフパンチ加工により第1のフック620の部材の厚みの半分程度を抜くことにより形成される。よって、溝部623の底部は第1のフック620における、フレーム610の開口部615と対向する側の表面から突出するように形成される。従って、溝部623を開口部615の縁に合わせて配置し、これに沿う折り曲げ部621のストッパーとして機能させることが可能となる。よって、折り曲げ部621とフレームの開口部615とで位置ずれが生じるのを防止して、より確実に第1のフック620と開口部615の壁部分とを隙間無く合わせることができる。従って、より確実に、第2のフック630からの弾力により液晶パネル100が押し当てられて加わる力により、第1のフック620に歪みが生じるのを防止することができる。
図6、図7、図10及び図11を参照して、第1のフック620をフレーム610に装着させるための構成について説明する。図6又は図7において、第1のフック620は、それを構成する部材の一部を、図10又は図11に示すようにフレーム610の側面側に折り曲げてなる装着部628を有すると共に、フレーム610は爪部619を有する。第1のフック620は、装着部628を爪部619に掛けることによりフレーム610に対して装着される。装着部628がフレーム610の側面においてその壁部分に接触することにより、第1のフック620からフレーム610への熱伝導が可能となっている。尚、第2のフック630も好ましくは、第1のフック620と同様に爪部619においてフレーム610に対して装着される。
第1のフック620において、フレームに610装着された状態では爪部619に掛けられた装着部628により引っ張られるような力が生じ、歪みが生じるおそれがある。装着部628は引っ掛け部626を有し、フレーム610の爪部619が設けられた壁部分には、引っ掛け部626に対応する止め部617が形成されている。引っ掛け部626は、装着部628が爪部619に装着された状態で、装着部628が爪部619により引っ張られる力により止め部617に引っ掛かって止められる。これにより、引っ掛け部626により装着部628が引っ張られる力を緩和することが可能となる。従って、装着部628が爪部619に装着されることで第1のフック620に歪みが生じるのを防止することができる。
図16は、図10に示す断面部分について、液晶装置における光の反射の概要を説明するための断面図である。尚、図16では図10における接着材640については図示を省略してある。
図2又は図3を参照して説明したように、液晶パネル100において額縁遮光膜53が画像表示領域10aの周縁に設けられる。尚、額縁遮光膜53は図3を参照して説明したように対向基板20側に設けられる構成に限定されず、一部又は全部がTFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。図1においてプロジェクタ1100によってスクリーン等に表示される有効画面の領域は、額縁遮光膜53によって規定される。
ここに、図16において点線矢印は図1に示すプロジェクタ1100の投射光について、液晶装置に対する進路の一例を概略的に示している。図1のプロジェクタ1100において液晶装置に対して照射される投射光のうち、画像表示領域10a外の周辺領域に向かって進行する光は額縁遮光膜53により遮光される。また、液晶パネル100の画像表示領域10a外の周辺領域に向かって進行する光は、実装ケース600の光入射側において、第1のフック620及びフレーム610の表面部分においても反射されて遮光される。
本実施形態では、フレーム610及び第1のフック620のうち少なくとも一方において、その光入射側に面する表面部分は少なくとも部分的に、額縁遮光膜53よりも光の反射率の低い材料により形成される。例えば、額縁遮光膜53は、クロム(Cr)により光の反射率が50〜60%程度となるように形成されるか、或いはアルミニウム(Al)により光の反射率が85%以上となるように形成される。これに対して、第1のフック620はステンレスにより、光入射側の表面部分が少なくとも部分的に光の反射率が30〜50%程度となるように形成される。第1のフック620に加えて若しくは代えてフレーム610は例えば、アルミニウム(Al)又はマグネシウム(Mg)により形成され、且つ防錆処理等が施されることにより、光入射側に面する表面部分が少なくとも部分的に、光の反射率が20%以下となるように形成される。
従って、実装ケース600の光入射側の表面部分において、フレーム610及び第1のフック620のうち少なくとも一方の表面部分は少なくとも部分的に、額縁遮光膜53よりも光が反射され難いように形成することができる。よって、実装ケース600の光入射側の表面部分において、画像表示領域10a外の周辺に向かって進行し表示に寄与しない光の反射を抑制することができる。従って、図16中の点線矢印で示されるように、実装ケース600の光入射側において例えば第1のフック620の表面部分で反射した光が、液晶装置外においてその光入射側に配置された部材、例えば同図中の偏光板等の光学部材やその支持部材2002により再反射されて迷光が生じるのを抑制することができる。その結果、多量の迷光が画像表示領域10aから出射される表示光に紛れ込む事態をより有効に防止することが可能となる。
図1に示すプロジェクタ1100において投射光は、液晶装置に対して画像表示領域10aの中央に向かうほど光量が多くなるようにしぼりがかけられた強力な光で投射される。即ちこの場合、液晶装置においては、画像表示領域10aの中央に向かうほど光量が多くなるような光が入射される。よって、画像表示領域10aの縁付近では画像表示領域10a外よりも液晶装置に入射される光の光量は多くなる。
本実施形態では、額縁遮光膜53の光の反射率が比較的高くなるように形成することで、画像表示領域10aの縁付近に進行する強力な光を額縁遮光膜53で反射してより確実に遮光することができる。従って、画像表示領域10aの縁付近に進行する強力な光が入射されることで液晶パネル100内の温度が顕著に上昇し、そのために液晶装置の表示品質が劣化するのをより確実に防止することができる。
また、図16において第1のフック620の窓部625は、額縁遮光膜53よりも画像表示領域10aに対して部分的に外周側に位置するように形成される。言い換えれば、窓部625よりも額縁遮光膜53は部分的にそれよりも内側に配置される。窓部625の光入射側の表面部分は、上述したように額縁遮光膜53よりも光の反射率の低い材料により形成されるのが好ましい。よって、このように光の反射性能が低下した窓部625とは重ならない額縁遮光膜53の部分で、画像表示領域10aの縁付近に進行する光を反射させることで、より確実に遮光することができる。
図16において点線矢印で示されるように、このように画像表示領域10aの縁付近に進行する光を額縁遮光膜53で反射することで、投射光等の液晶装置外から画像表示領域10aに対して進行する光の進路に近似しつつ、光源側に逆行する方向に進行させることが可能となる。従って、画像表示領域10aの縁付近に進行する光が額縁遮光膜53で反射されることに起因する迷光の発生を抑制することができる。
また、一方で図16において、窓部625を額縁遮光膜53と部分的に重なるように配置することで、液晶パネル100に対して画像表示領域10a外に向かって進行する光について、窓部625に加えて額縁遮光膜53により、互いに重なる部分で光漏れが生じるのを防止しつつより広い領域で遮光することが可能となる。
ここに既に説明したように、画像表示領域10aの中央に向かうほど光量が多くなるようにしぼりがかけられた強力な光で投射される投射光等について、額縁遮光膜53で、画像表示領域10aの縁付近に進行する強力な光が反射され、それよりも画像表示領域10aの外側に向かって進行し光量がより少ない光が窓部625で反射される。従って、液晶パネル100内の温度上昇を抑制しつつ、実装ケース600における光の反射に起因する迷光の発生をより確実に抑制することが可能となる。
本実施形態では、第1のフック620において光の反射率はフレーム610とは別個に調整することができる。従って、光の反射率を調整することで第1のフック620では、フレーム610と別個に光を反射され易く調整したり、またその逆の調整も容易に行うことができる。第1のフック620の光入射側の表面部分は、フレーム610よりもより広く面するため、少なくとも部分的にフレーム610よりは光の反射率が高くなるように形成するのが好ましい。例えば、既に説明したように、第1のフック620は光入射側の表面部分が少なくとも部分的に光の反射率が30〜50%程度となるように形成され、フレーム610は光入射側に面する表面部分が少なくとも部分的に、光の反射率が20%以下となるように形成される。これにより、実装ケース600において光入射側の表面部分では、より広く液晶装置の光の入射される側に面する第1のフック620において、画像表示領域10a外の周辺に向かって進行し表示に寄与しない光をより多く反射させることができる。従って、液晶パネル100に対してより多くの光が入射されることによる、液晶パネル100内の温度上昇をより有効に抑制することが可能となる。
尚、図16では液晶パネル100における額縁遮光膜53にのみ着目して、それと実装ケース600の表面部分との光の反射率の関係について説明したが、額縁遮光膜53に加えて若しくは代えて、例えば防塵用基板121又は122上に額縁遮光膜53と同様の額縁状のパターンで遮光膜等が、上述した額縁遮光膜53の場合と同様に形成されるようにしてもよい。
従って、以上説明したような本実施形態では、液晶装置における冷却効率をより確実に向上させつつ、高品質な表示を行うことが可能となる。
本発明は上述の実施形態で説明した液晶装置以外にも、シリコン基板上に素子を形成する反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電解放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10a…画像表示領域、100…液晶パネル、600…実装ケース、610…フレーム、615…開口部、620…第1のフック、625h…第1の窓、630…第2のフック、635h…第2の窓、630a…ばね部分、625、635…窓部