JP4325188B2 - 実装ケース入り電気光学装置及び投射型表示装置並びに実装ケース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶プロジェクタ等の投射型表示装置にライトバルブとして用いられる液晶パネル等の電気光学装置を実装するための実装ケース、また該実装ケースに当該電気光学装置が実装或いは収容されてなる実装ケース入り電気光学装置、及びこのような実装ケース入り電気光学装置を備えてなる投射型表示装置の技術分野に属する。
【0002】
【背景技術】
一般に、液晶パネルを液晶プロジェクタにおけるライトバルブとして用いる場合、該液晶パネルは、液晶プロジェクタを構成する筐体等にいわば裸の状態で設置されるのではなく、該液晶パネルを適当な実装ケースに実装ないし収容した上で、この実装ケース入り液晶パネルを、前記筐体等に設置することが行われる。これは、当該実装ケースに適当なねじ孔等を設けておくことで、液晶パネルの前記筐体等に対する固定、取り付けを容易に実施することなどが可能となるからである。
【0003】
このような液晶プロジェクタでは、光源から発せられた光源光は、当該実装ケース入り液晶パネルに対して集光された状態で投射されることになる。そして、液晶パネルを透過した光は、スクリーン上に拡大投射されて画像の表示が行われることになる。このように液晶プロジェクタにおいては、拡大投射が一般に予定されているため、前記光源光としては、例えばメタルハライドランプ等の光源から発せられる比較的強力な光が使用されることになる。
【0004】
すると、まず、実装ケース入り液晶パネル、とりわけ液晶パネルの温度上昇が問題となる。すなわち、このような温度上昇が生じると、液晶パネル内において一対の透明基板間に挟持されている液晶の温度も上昇して、該液晶の特性劣化を招く。また特に光源光にむらがあった場合には、部分的に液晶パネルが加熱されて所謂ホットスポットが発生して、液晶の透過率のムラができて投射画像の画質が劣化する。
【0005】
このような液晶パネルの昇温を防止する技術としては、例えば特許文献1等に開示されているものが知られている。この特許文献1では、液晶パネル及び該液晶パネルを収容保持するとともに放熱板が備えられたパッケージからなる液晶表示モジュールにおいて、前記液晶パネル及び前記放熱板間に放熱シートを設けることにより、液晶パネルの昇温を防止する技術が開示されている。また、その他にも、光源と液晶パネルとの間に熱線カットフィルタを配置して不要な赤外線の入射を低減したり、液晶パネルを空冷又は液冷する等の技術も知られている。
【0006】
【特許文献1】
再表WO98/36313
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来における液晶パネルの昇温防止対策には次のような問題点がある。すなわち、光源光からの強力な光が投射される限り、液晶パネルの温度上昇の問題は常に顕在化するおそれがあるから、更なる高画質化等を図るためには、上記各種の対策に代えて又は加えて、より効率的な温度上昇の防止対策が要求されているという点である。
また、前述した実装ケース入り液晶パネルにおいては、液晶パネルそれ自体における温度上昇が問題となる他、該液晶パネルと実装ケースとの関係についても問題がある。すなわち、液晶パネルを構成する前記透明基板は、例えば石英ガラスやネオセラム等の比較的線膨張係数の小さい材料から構成され、前記実装ケースは、例えば金属等の比較的線膨張係数の大きい材料から構成されることが一般的に行われている。しかしながら、これでは、同じ光照射(エネルギ照射)を受けたとしても、透明基板よりも実装ケースの方がより大きく膨張するなどということが生じうる。すると、実装ケース内の所定位置に収納されているべき液晶パネルが、実装ケースの膨張に応じて位置ずれを起こす可能性がでてくることになる。このようになると、液晶パネルが、光源光の集光点からずれることになるから、スクリーン上に正確な拡大投射を行うことが困難となる。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、周囲の温度環境にかかわらず、高品質な画像を表示することの可能な実装ケース入り電気光学装置及びこれを備えてなる投射型表示装置を提供することを課題とする。また、本発明は、そのような目的を達成し得る実装ケースを提供することをも課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の実装ケース入り電気光学装置は、上記課題を解決するため、画像表示領域に光源から投射光が入射される電気光学装置と、該電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、前記電気光学装置を覆い前記プレートと当接する部位を有するカバーとからなり、前記電気光学装置における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部を前記プレート及び前記カバーの少なくとも一方で保持して当該電気光学装置を収納する実装ケースとを備えた実装ケース入り電気光学装置であって、前記カバーにおける前記当接する部位の少なくとも一部には第1凸部及び第1凹部の少なくとも一方が形成されてなり、前記プレートには前記第1凸部と嵌合可能な第2凹部及び前記第1凹部と嵌合可能な第2凸部の少なくとも一方が形成されてなり、前記第2凹部又は前記第2凸部は、それぞれ、前記プレートにおいて併せて2個以上形成された凹部又は凸部を含み、前記2個以上形成された凹部又は凸部の中には、平面視して第1面積となる第1形状を有するものと、前記第1面積よりも大きい第2面積となる第2形状を有するものを含み、前記第1形状は、平面視して円形状を含み、前記第2形状は、平面視して、第1半円形状、第2半円形状、並びに前記第1半円形状及び前記第2半円形状の直径部分に連接される矩形状を併せて観念される長円形状を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の実装ケース入り電気光学装置によれば、画像表示領域に光源から投射光が入射される電気光学装置が、カバー及びプレートからなる実装ケース内に実装される。このような電気光学装置としては、例えば投射型表示装置におけるライトバルブとして実装される液晶装置或いは液晶パネルが挙げられる。なお、このような実装ケースには、電気光学装置の周辺領域を少なくとも部分的に覆うことにより、当該周辺領域における光抜けを防止したり或いは周辺領域から画像表示領域内に迷光が進入するのを防止する遮光機能を持たせてもよい。
【0011】
そして、本発明では特に、前記カバーにおける前記当接する部位の少なくとも一部には第1凸部及び第1凹部の少なくとも一方が形成されてなり、前記プレートには前記第1凸部と嵌合可能な第2凹部及び前記第1凹部と嵌合可能な第2凸部の少なくとも一方が形成されている。なお、本発明及びその各種態様に関する説明の中では、簡単にするため、カバー側には第1凸部のみが形成されており、プレート側には第2凹部のみが形成されている場合(ただし、第1凸部及び第2凹部のそれぞれは、後述の2個以上の凸部及び2個以上の凹部を含みうる)を想定した説明を行う。
【0012】
本発明では、このような第1凸部及び第2凹部を利用することにより、カバー及びプレートの組み付けを容易に行うことができる。例えば、まず、プレートの上に電気光学装置を載置した後、カバー上に形成された前記第1凸部を、前記プレート上に形成された第2凹部に嵌合させるように、該カバーを、前記のプレート上に載置された電気光学装置に被せていけば、カバー及びプレートの組み付け、すなわち実装ケース内への電気光学装置の収容を容易に行うことができるのである。この際、カバー及びプレートそれぞれが採るべき所定の相対的な配置関係は、カバー上における第1凸部及びプレート上における第2凹部の形成位置を予め適当に調整しておくことによって、容易に定められることになる。つまり、この場合、第1凸部及び第2凹部の嵌合にのみ気をつけておけば、カバー及びプレートの位置決めも、殆ど自動的に行われることになるのである。
【0013】
また、前記のような組み付け作業後、カバーとプレートとは、第1凸部及び第2凹部間の嵌合によって比較的強固に連結されていることにより、これらが容易に分解されるということもない。
【0014】
以上のように、本発明によれば、第1凸部及び第2凹部の存在により、カバー及びプレートの正確な位置決めを前提とした両者の組み付け作業を、比較的容易に行うことができるとともに、組み付け後の両者間の分解防止を図ることもできる。
【0015】
また、このようにカバー及びプレートの正確な組み付けが可能であり、その分解も容易には起こりえないということから、本発明に係る実装ケース入り電気光学装置においては、実装ケース内における電気光学装置の位置決めも正確に行われ得、更には、実装ケース及び電気光学装置が相異なる線膨張係数を有し、それぞれが異なる度合いで膨張又は収縮する場合が考えられるとしても、実装ケース内において電気光学装置の位置ずれが生じるという事態を有効に防止することが可能となる。したがって、本発明によれば、周囲の温度環境にかかわらず、高品質な画像表示が可能となる。
【0016】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の一態様では、前記第2凹部又は前記第2凸部は、それぞれ、前記プレートにおいて併せて2個以上形成された凹部又は凸部を含んでいる。
【0017】
この態様によれば、プレートにおける第2凹部は、2個以上形成された凹部を含んでいる。これに応じて、第2凹部に嵌合される第1凸部には、2個以上形成された凸部が含まれ得ることになる。この場合、前述したカバー及びプレートの位置決めは、複数の凸部に複数の凹部を嵌合させることに基づいて行われることになるから、この位置決めの正確さはより向上することになる。
【0018】
したがって、本態様によれば、カバー及びプレートの正確な位置決めを前提とした両者の組み付け作業を、前記にも増して容易に行うことができる。
【0019】
この態様では、前記2個以上形成された凹部又は凸部の中には、平面視して第1面積となる第1形状を有するものと、前記第1面積よりも大きい第2面積となる第2形状を有するものとが含まれているように構成するとよい。
【0020】
このような構成によれば、第2凹部は、より小さい第1形状を有する凹部と、より大きい面積の第2形状を有する凹部とを含むことになる。ここでは説明を簡単にするため、第2凹部は「2個」の凹部を含むものとし、そのうちの一つが前記第1形状、他の一つが前記第2形状を有するものとする。
【0021】
このような本態様では、カバー及びプレート間で精度上の誤差等が存在する場合においても、第2形状を有する凹部がその誤差等を吸収することが可能であることにより、両者間の組み付け作業を難なく実施することができる。これは、第2面積から第1面積を差し引いた分、カバー及びプレート間の組み付けに係る自由度が増加しているからである。
【0022】
また、電気光学装置が温度上昇し、その熱がプレート、ひいてはカバーに伝達されることによって、カバーの温度が上昇すると、該カバーは熱膨張することが考えられる。この場合、プレート及びカバー間が全く自由度なく固着されていると、該カバーに無理な力がかかることによって、電気光学装置にも無理な力がかかり、結局、該電気光学装置の位置ずれ等を引き起こしかねない。しかるに、本態様では、前述と同じ理由により、前記のようにカバーが熱膨張しても、その変形分を第2形状を有する凹部によって吸収することができる。
【0023】
このような構成では更に、前記第1形状は、平面視して円形状を含み、前記第2形状は、平面視して、第1半円形状、第2半円形状、並びに前記第1半円形状及び前記第2半円形状の直径部分に連接される矩形状を併せて観念される長円形状を含むように構成するとよい。
【0024】
このような構成によれば、プレートにおける第2凹部が含む2個以上の凹部の少なくとも一つは平面視して円形状を有し、他のものは前記長円形状を有する。ここでも説明を簡単にするため、第2凹部は「2個」の凹部を含むものとし、そのうちの一つが前記円形状、他の一つが前記長円形状を有するものとする。
【0025】
まず、本態様にいう「長円形状」とは、既述のように、第1及び第2半円形状並びにこれらに連接される矩形状を併せて観念される形である。なお、後述する本態様に係る作用効果を得る上で最適な形状の一つとしての長円形状は、矩形状の対向する二辺が前記第1及び第2半円形状の直径部分の長さに等しく、該二辺がこれら第1及び第2半円形状の直径部分に連接されて観念される形である。このような長円形状の外形は、比喩的には、陸上競技のトラックの外形にほぼ一致するものと考えることができる。
【0026】
そして、本構成によれば、前述の作用効果が略同様に得られることに変わりはない。また、このような長円形状及び円形状となる凹部をそれぞれ含む構成は、前述の第1形状及び第2形状として最適な形態の一つということができる。
【0027】
なお、本構成においては、前記円形状を有する凹部又は凸部と、前記長円形状を有する凹部又は凸部とは、同一の直線上にのるように形成されており、且つ、前記直線の延在方向は前記長円形状を有する凹部又は凸部の長手方向に一致するように形成されていると好ましい。
【0028】
このような構成によれば、前述したようなカバーの熱膨張による変形を前記直線に沿うようなものとして制約することが可能となる。すなわち、カバー及びプレート間が完全に固着されることも好ましくないが、両者間の組み付けに関する自由度をあまりに大きくして、前記のカバーの熱膨張による変形をあまりに不規則なものとするのは好ましくはない。本態様においては、前述のように円形状を有する凹部又は凸部及び長円形状を有する凹部又は凸部が、一定程度の制約を伴って形成されていることから、前述のようなあまりに不規則な変形が生じることを防止できる。これにより、実装ケース内における電気光学装置の位置ずれ等の発生を、より有効に防止することができる。
【0029】
なお、本構成の記載から逆に明らかとなるように、本発明一般においては、長円形状の凹部及び円形状の凹部とが、前記「直線上にのる」とはいえない状態、すなわちいわば「段違い」の状態で形成されていてもよい。
【0030】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記第2凹部は、前記プレートを貫通して設けられた貫通孔部を含む。
【0031】
この態様によれば、第2凹部はプレートを貫通した貫通孔部を含むから、カバー及びプレートの組み付け後において、第1凸部は、この貫通孔部を貫通させた状態とさせることができる。したがって、カバー及びプレート間の固着はより確実になされることになる。また、このような貫通孔部の成形は、いわゆる盲孔(すなわちプレートを貫通しない孔、或いは有底の孔)の成形よりも容易ということができる。ただし、本発明は、第2凹部が盲孔を含む態様を積極的に排除するわけではない。前述したようなカバー及びプレート間の組み付け容易性、或いは分解困難性という作用効果は、盲孔であっても、略同様に得られるからである。なお、このようなことは、第1凹部についても同様に当てはまる。
【0032】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記第1凸部及び前記第2凸部の少なくとも一方の先端における角部は、まるめられている。
【0033】
この態様によれば、第1凸部の先端部の形状は、典型的には、いわばドーム型の形状を有することになる。したがって、カバー及びプレート間の組み付け作業時には、第1凸部を第2凹部へいわば滑り込ませるようにして移動・配置することが可能となるから、第1凸部の第2凹部に対する嵌合を容易に行うことができる。
【0034】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記第1凹部及び前記第2凹部の少なくとも一方の縁における角部は、まるめられている。
【0035】
この態様によれば、第2凹部の開口部の形状は、典型的には、いわばラッパ型の形状を有することになる。したがって、カバー及びプレート間の組み付け作業時には、第1凸部を第2凹部へいわば滑り込ませるようにして移動・配置することが可能となるから、第1凸部の第2凹部への嵌合を容易に行うことができる。
【0036】
なお、この場合において、前記のように第1凸部の先端も同時にまるめられているのであれば、本態様に係る作用効果を、より効果的に享受しうることとなるのは言うまでもない。
【0037】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記第1凸部及び前記第2凸部の少なくとも一方は、前記カバー及び前記プレートの少なくとも一方と一体的に形成されている。
【0038】
この態様によれば、第1凸部付きカバーの製造を、比較的容易に且つ安価に、また精度高く行うことができる。例えば、第1凸部の形状を織り込んだ上で形作られたカバー用の型等を用意し、該型を用いた鋳造等を実施すれば、第1凸部及びカバーの一体的形成を一挙に行うことができる。
【0039】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記第1凸部及び前記第2凸部の少なくとも一方は、前記カバー及び前記プレートの少なくとも一方と別体として形成されている。
【0040】
この態様によれば、第1凸部は、予め別体として成形されたカバーに取り付けられることによって、第1凸部付きカバーが製造されることになる。これによると、例えば第1凸部の形状を任意に変更することが可能となるし、あるいは第1凸部の量産及びカバーの量産を別々に行った後に、後者に対する前者の取り付け工程を一挙に実施する等の手段を採用することが可能である。
【0041】
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記カバーは、前記電気光学装置を収容するカバー本体部及び該カバー本体部に接続されてなる突端部からなり、前記第1凸部及び前記第1凹部の少なくとも一方は、前記突端部に形成されている。
【0042】
この態様によれば、第1凸部は、電気光学装置を収容するカバー本体部ではない突端部に形成されている。これにより、第1凸部とプレートにおける第2凹部とが嵌合されることでカバー及びプレートの連結が実現されるのは、電気光学装置を収容するカバー本体部ではない場所においてということになる。
【0043】
このようなことから、本態様においては、まず、前記連結の実現される場所は、電気光学装置から比較的離間しているということができる。また、電気光学装置を収容するカバー本体部に対する突端部であるから、例えば該突端部が一つしか存在しないと仮定すると、前記連結の実現される場所は、平面的に見て、電気光学装置の外側に存在する或る場所であるとみることができる。
【0044】
以上のような本態様によれば、次のような作用効果が得られる。
【0045】
すなわち、電気光学装置の温度が上昇することによって、プレート、ひいてはカバーに熱が伝達し、その温度が上昇する場合を想定すると、該カバーは熱膨張することが考えられる。この際、この熱膨張は、前記連結の実現される部位(すなわち、第1凸部の形成部位)を中心に生じることが考えられる。なぜなら、当該部位はプレートによって、その膨張に係る変形が制約を受けるからである。
【0046】
このとき、もし当該部位が電気光学装置の近傍にあるとすると、前記連結の実現される部位とそうでない部位との間ではカバーの変形態様に相違が生じることから、実装ケース内における電気光学装置の設置位置がずれやすくなるなどという不具合の発生することが考えられる。
【0047】
しかるに、本態様においては、前記連結の実現される場所が、電気光学装置から比較的離間した突端部に設けられていることから、前述のようにカバーが熱膨張するとしても、該カバーの変形は、電気光学装置から見ていわば辺鄙な場所に位置する突端部を中心として生じ、上述のような不具合の影響をまともに被らなくて済む。
【0048】
また、前述のように該突端部が一つしか存在しないという場合を仮定すると、熱膨張によるカバーの変形は、電気光学装置の外側に存在する或る場所を中心として生じることになるから、この変形に起因する悪影響をより効果的にかわすことが可能である。
【0049】
このような作用効果は、仮に、電気光学装置を挟むようにして二つの突端部が存在する場合との対照からより明らかとなる。すなわち、このような場合には、カバーの変形が制約を受ける場所が二つ存在することによって、該変形はより複雑な様相を呈することになるため、電気光学装置の位置ずれはより発生しやすくなると考えられる。この点、上述のように突端部が一つしか存在しないのであれば、電気光学装置から見て外側に位置する場所を中心としてカバーは膨張することになる。このように、カバーの熱膨張による変形を無理なくさせてやることで、かえって電気光学装置に対する影響を排除することが可能となると考えられるのである。
【0050】
なお、このように突端部が一つしか存在しない場合であったとしても、該突端部に形成される第1凸部、或いはこれに対応するプレート上の第2凹部は、それぞれ、上述のように複数の凸部、或いは凹部を含むものであってよい。また、突端部が二つ以上あると、前述のような作用効果は絶対に得られないというわけではない。上述の説明から明らかなように、要は、カバーの熱膨張による変形を比較的自由にさせてやる、ということがポイントであるから、突端部が二つ以上存在するような場合であっても、前記の命題を満たす具体的態様(例えば、複数の突端部が、電気光学装置の一辺に沿うようにして形成されている態様など)を定めうることは当然に可能である。
【0051】
なお、本態様において、「接続されてなる突端部」における「接続」とは、突端部及びカバー本体部が本来別々の物体であり、これらが何らかの接合手段(例えば、ビス止め、嵌め合い、溶接、固相接合等)によって連結されているような場合を含むほか、これら突端部及びカバー本体部が当初から一体的に成形されている場合をも含む。
【0052】
ちなみに、この「突端部」は、より好適には、当該実装ケース入り電気光学装置に送られる冷却風を当該実装ケースに集中させる冷却風導入部として構成すると好ましい(後述する「発明の実施の形態」参照)。
【0053】
本発明の実装ケースは、上記課題を解決するために、画像表示領域に光源から投射光が入射される電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、前記電気光学装置を覆い前記プレートと当接する部位を有するカバーとからなり、前記電気光学装置における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部を前記プレート及び前記カバーの少なくとも一方で保持して当該電気光学装置を収納する実装ケースであって、前記カバーにおける前記当接する部位の少なくとも一部には第1凸部及び第1凹部の少なくとも一方が形成されてなり、前記プレートには前記第1凸部と嵌合可能な第2凹部及び前記第1凹部と嵌合可能な第2凸部の少なくとも一方が形成されてなり、前記第2凹部又は前記第2凸部は、それぞれ、前記プレートにおいて併せて2個以上形成された凹部又は凸部を含み、前記2個以上形成された凹部又は凸部の中には、平面視して第1面積となる第1形状を有するものと、前記第1面積よりも大きい第2面積となる第2形状を有するものを含み、前記第1形状は、平面視して円形状を含み、前記第2形状は、平面視して、第1半円形状、第2半円形状、並びに前記第1半円形状及び前記第2半円形状の直径部分に連接される矩形状を併せて観念される長円形状を含むことを特徴とする。
【0054】
本発明の実装ケースによれば、前述の本発明の実装ケース入り電気光学装置を構成する実装ケースとして、好適なものを提供することができる。
【0055】
本発明の投射型表示装置は、上記課題を解決するために、上述の本発明の実装ケース入り電気光学装置(但し、その各種態様を含む。)と、前記光源と、前記投射光を前記電気光学装置に導く光学系と、前記電気光学装置から出射される投射光を投射する投射光学系とを備えている。
【0056】
本発明の投射型表示装置によれば、プレート及びカバー間の組み付けが容易であることから、これらを含む実装ケース入り電気光学装置を備えた、本発明に係る投射型表示装置を、容易に且つ安価に製造することが可能である。また、該プレート及びカバーの連結によって、実装ケース内における電気光学装置の設置位置を正確に決め得ることから、その設置位置ずれ等を原因とした画質劣化を招くようなことなく、高品質な画像を表示することが可能となる。
【0057】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0059】
(投射型液晶装置の実施形態)
まず、図1を参照して、本発明による投射型液晶装置の実施形態について、その光学ユニットに組み込まれている光学系を中心に説明する。本実施形態の投射型表示装置は、実装ケース入りの電気光学装置の一例たる液晶ライトバルブが3枚用いられてなる複板式カラープロジェクタとして構築されている。
【0060】
図1において、本実施形態における複板式カラープロジェクタの一例たる、液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された電気光学装置を含む液晶ライトバルブを3個用意し、夫々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに夫々導かれる。この際特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0061】
本実施形態のライトバルブ100R、100G及び100Bとしては、例えば、後述の如きTFTをスイッチング素子として用いたアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置が使用される。また、当該ライトバルブ100R、100G及び100Bは、後に詳述するように実装ケース入り電気光学装置として構成されている。
【0062】
また、この液晶プロジェクタ1100には、図1に示すように、ライトバルブ100R、100G及び100Bに冷却風を送るためのシロッコファン1300が設けられている。このシロッコファン1300は、その側面に複数のブレード1301を備えた略円筒形状の部材を含んでおり、該円筒形状の部材がその軸を中心として回転することで前記ブレード1301が風を生じさせるようになっている。なお、このような原理から、シロッコファン1300で作り出される風は、図1に示されるように、らせん状に渦巻いたものとなる。
【0063】
このような風は、図1において図示されない風路を通じて各ライトバルブ100R、100G及び100Bに送給され、各ライトバルブ100R、100G及び100Bの近傍に設けられた吹き出し口100RW、100GW及び100BWから、これらライトバルブ100R、100G及び100Bに対して送り出されるようになっている。
【0064】
ちなみに、前述したようなシロッコファン1300を用いれば、静圧が高くライトバルブ100R、100G及び100B周囲の狭い空間にも風を送りやすいという利点が得られる。
【0065】
以上説明した構成においては、強力な光源たるランプユニット1102からの投射光により各ライトバルブ100R、100G及び100Bで温度が上昇する。この際、過度に温度が上昇してしまうと、各ライトバルブ100R、100G、100Bを構成する液晶が劣化したり、光源光のむらによる部分的な液晶パネルの加熱によるホットスポットの出現により透過率にムラが生じたりする。そこで、本実施形態では特に、各ライトバルブ100R、100G、100Bは、後述のように、実装ケース内における電気光学装置を効果的に冷却する手段が利用されているとともに、実装ケース及び電気光学装置が相異なる度合いで膨張又は収縮する場合が考えられるとしても、実装ケース内における電気光学装置の位置ずれが発生し難いように、カバー及びプレート間の組み付けが正確に行われるような手段が利用されている。
【0066】
なお、本実施形態では好ましくは、液晶プロジェクタ1100のハウジング内には、各ライトバルブ100R、100G、100Bの周辺空間に、冷却媒体を流す循環装置等からなる冷却手段を備える。これにより、後述の如き放熱作用を持つ実装ケース入りの電気光学装置からの放熱を一層効率的に行うことができる。
【0067】
(電気光学装置の実施形態)
次に本発明の電気光学装置に係る実施形態の全体構成について、図2及び図3を参照して説明する。ここでは、電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。本実施形態に係る電気光学装置は、上述した液晶プロジェクタ1100における液晶ライトバルブ100R、100G、100Bとして使用されるものである。ここに、図2は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た電気光学装置の平面図であり、図3は、図2のH−H’断面図である。
【0068】
図2及び図3において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0069】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。即ち、本実施形態の電気光学装置は、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適している。
【0070】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0071】
画像表示領域の周辺に広がる領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する周辺領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられている。また図2に示すように、対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナーに対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0072】
図3において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0073】
尚、図2及び図3に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0074】
このように構成された電気光学装置の場合、その動作時には、図3の上側から強力な投射光が照射される。すると、対向基板20、液晶層50、TFTアレイ基板10等における光吸収による発熱によって、当該電気光学装置の温度が上昇する。このような温度上昇は、液晶層50等の劣化を早めると共に、表示画像の品位を劣化させる。
【0075】
そこで、本実施形態では特に、以下に説明する実装ケース入り電気光学装置によって、このような温度上昇を効率的に抑制している。
【0076】
(実装ケース入り電気光学装置)
次に、図4から図11を参照して、本発明の実施形態に係る実装ケース入り電気光学装置について説明する。
【0077】
ここではまず、図4から図11を参照して、本実施形態に係る実装ケースの基本構成について説明する。ここに、図4は本実施形態に係る実装ケースを、前述した電気光学装置とともに示す分解斜視図であり、図5は当該実装ケース入りの電気光学装置の正面図、図6は図5のX1−X1´断面図、図7は図5のY1−Y1´断面図であり、図8は図5のZ1方向から臨んだ後面図である。また、図9は当該実装ケースを構成するプレート部の正面図、図10は図9のZ2方向から臨んだ後面図であり、図11は図9のZ3方向から臨んだ側面図である。なお、図4から図8は、電気光学装置を内部に収容した状態における実装ケースを夫々示している。
【0078】
図4から図8に示すように、実装ケース601は、プレート部610とカバー部620とを備える。実装ケース601内に収容される電気光学装置500は、図2及び図3に示した電気光学装置に加えて、その表面に重ねられた反射防止板等の他の光学要素とを備えてなり、更にその外部回路接続端子にフレキシブルコネクタ501が接続されてなる。尚、偏光板や位相差板は、液晶プロジェクタ1100の光学系に備えるようにしても良いし、電気光学装置500の表面に重ねてもよい。
【0079】
また、TFTアレイ基板10及び対向基板20それぞれの液晶層50に対向しない側には、防塵用基板400が設けられている(図4及び図6参照)。この防塵用基板400は、所定の厚さを有するよう構成されている。これにより、電気光学装置500の周囲に漂うゴミや埃等が、該電気光学装置の表面に直接に付着することが防止される。したがって、拡大投射された画像上に、これらゴミや埃の像が結ばれるという不具合を有効に解消することができる。これは、防塵用基板400が所定の厚さを有することで、光源光の焦点ないしその近傍が、該ゴミや埃が存在する位置(すなわち、防塵用基板400表面)からは外れることによる(デフォーカス作用)。
【0080】
このようにTFTアレイ基板10及び対向基板20並びに防塵用基板400等を備えた電気光学装置500は、図4等に示すように、プレート部610及びカバー部620からなる実装ケース601内に収容されているが、これら電気光学装置500及び実装ケース601間には、図6及び図7に示すように、モールド材630が装填されている。このモールド材630によって、電気光学装置500及び実装ケース601間の接着が確実に行われるとともに、前者の後者の内部における位置ずれの発生が極力防止される。
【0081】
なお、本実施形態においては、カバー部620の側から光が入射し、電気光学装置500を透過して、プレート部610の側から出射するということを前提とする。つまり、図1でいえば、ダイクロイックプリズム1112に対向するのは、カバー部620ではなくて、プレート部610ということになる。
【0082】
さて、以下では実装ケース601を構成するプレート部610及びカバー部620の構成についてのより詳細な説明を行う。
【0083】
まず第一に、プレート部610は、図4から図11に示すように、平面視して略四辺形状を有する部材であって、電気光学装置500の一面に対向するように配置される。本実施形態では、プレート部610と電気光学装置500とは相互に直接に当接し、後者が前者に載置されるが如き状態が採られる。
【0084】
より詳細には、プレート部610は、窓部615、折り曲げ部613、強度補強部614、取付孔611a乃至611d及び611e、並びにカバー部固定孔612を有する。
【0085】
窓部615は、略四辺形状を有する部材の一部が開口形状に形成されており、例えば図6中、上方から下方への光の透過を可能とする部分である。電気光学装置500を透過してきた光の出射は、この窓部615によって可能となる。なお、これにより、プレート部610上に電気光学装置500を載置した場合には、該電気光学装置500における画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域が、窓部615の辺縁に当接されるが如き状態になる。プレート部610は、このようにして電気光学装置500の保持を実現する。
【0086】
折り曲げ部613は、略四辺形状を有する部材の対向する二辺それぞれの一部が、該四辺形状の内側に向かって折り曲げられている部分である。この折り曲げ部613の外側面は、プレート部610及びカバー部620の組み付け時、該カバー部620の内側面に接するようにされている(図6参照)。また、該折り曲げ部613の内側面は、モールド材630を介して電気光学装置500の外側面に接するようにされている(同じく図6参照)。これにより、プレート部610上における電気光学装置500のある程度の位置決めが実現されることになる。
【0087】
加えて、折り曲げ部613の内側面が、モールド材630を介して電気光学装置500の外側面に接するようにされていることは、後者から前者への熱の吸い上げを可能とする。すなわち、プレート部610を、電気光学装置500に対するヒートシンクとして機能させることが可能となる。これによれば、ランプユニット1102による電気光学装置500に対する強力な光照射によって、該電気光学装置500における熱の蓄積の生じることを有効に防止することができる。また、該折り曲げ部613の外側面は、前述のようにカバー部620の内側面に接していることから、前者から後者への熱の伝達も実現されることになる。このように、電気光学装置500からの熱の奪取は、原理的には、プレート部610及びカバー部620の双方において観念される熱容量の分だけ行い得るから、当該電気光学装置500の冷却は、極めて有効に行われることになる。
【0088】
強度補強部614は、略四辺形状を有する部材の一部を、他の部分の平面からみて盛り上げるような加工を施すことによって形成されており、立体的な形状を有する部分である。これにより、該プレート部614の強度は補強されることになる。なお、該強度補強部614は、電気光学装置500の一辺に略接するが如き位置に形成するとよい(図7参照。ただし、図7では、両者は厳密には接していない。)。これによると、前記折り曲げ部613に加えて、この強度補強部614によっても、プレート部610上における電気光学装置500のある程度の位置決めが実現されることになる。
【0089】
最後に、取付孔611a乃至611dは、当該実装ケース入り電気光学装置を、図1に示した如き液晶プロジェクタ1100内に取り付けする際に利用される。本実施形態においては、該取付孔611a乃至611dは、略四辺形状を有する部材の四隅に設けられている。また、本実施形態では、該取付孔611a乃至611dの他に、取付孔611eが設けられている。この取付孔611eは、前記の取付孔611a乃至611dのうち、取付孔611c及び611dとともに、三角形を形作るように配置されている(すなわち、取付孔611e、611c及び611dは、三角形の「各頂点」に配置されるように形成されている。)。これにより、本実施形態では、四隅の取付孔611a乃至611dを用いた四点固定を実施すること、及び、取付孔611e、611c及び611dを用いた三点固定を実施することの双方が可能となっている。
【0090】
そして、本実施形態においては特に、このプレート部610には、カバー部固定孔612が形成されているが、この点については、後に説明することとする。
【0091】
次に第二に、カバー部620は、図4から図11に示すように、略立方体形状を有する部材であって、電気光学装置500の他の面に対向するように配置される。
【0092】
このカバー部620は、電気光学装置500の周辺領域における光抜けを防止すると共に周辺領域から迷光が画像表示領域10a内に進入するのを防ぐように、好ましくは遮光性の樹脂、金属製等からなる。また、該カバー部620は、プレート部610、或いは電気光学装置500に対するヒートシンクとして機能させることが好ましいから、該カバー部620は、熱伝導率の比較的大きい材料、より具体的には、アルミニウム、マグネシウム、銅又はこれらそれぞれの合金等から構成するようにするとよい。
【0093】
より詳細には、カバー部620は、カバー本体部623、冷却風導入部622、冷却風排出部624及び凸部612を有する。
【0094】
カバー本体部623は、図4から図7に示されているように、概略、直方体形状を有する部材であって、後述する冷却風導入部622及び冷却風排出部624間に挟まれるようにして存在している。ただし、前記の直方体形状の内方は、電気光学装置500を収容するため、いわばくり抜かれたような状態となっている。すなわち、カバー本体部623は、より正確にいえば、蓋なき箱型の如き形状を有する部材となっている(なお、このような表現によれば、ここにいう「蓋」としては、前記プレート部610が該当すると考えることができる。)。
【0095】
このカバー本体部623は、より詳細には、窓部625及びサイドフィン部627を有している。このうち窓部625は、前記箱型の形状の底面(図4、あるいは図6等では、「上面」ということになる。)が開口形状に形成されており、図6中、上方から下方への光の透過を可能とする部分である。図1に示した液晶プロジェクタ1100内のランプユニット1102から発せられた光は、この窓部625を通過して電気光学装置500に入射可能となる。なお、このような窓部625を有するカバー本体部623においては、プレート部610における窓部615に関して述べたのと同様に、電気光学装置500における画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域を、窓部625の辺縁に当接させるように構成してよい。これによれば、カバー本体部623、特にその窓部625の辺縁によっても、電気光学装置500の保持を実現することが可能となる。
【0096】
他方、サイドフィン部627は、カバー本体部623の両側面に形成されている。ここにいう両側面とは、後述する冷却風導入部622及び冷却風排出部624が存在しない側面のことをいう。このサイドフィン部627は、より詳しくは、図4、あるいは図6等によく示されているように、冷却風導入部622から冷却風排出部624へ向けて、前記側面から直線状に突出した部分が複数並列(図4等では、一側面につき「二つ」の直線状に突出した部分が並列)された形状を含んでいる。これにより、カバー本体部623、ないしはカバー部620の表面積は増大することになる。
【0097】
なお、既に述べたように、カバー部620の内側面には、カバー部620及びプレート部610の組み付け時、プレート部610における折り曲げ部613の外側面が接するようにされている(図6参照)。この場合、前記「カバー部620の内側面」とは、カバー本体部623の内側面に該当する。
【0098】
冷却風導入部622は、図4、或いは図7等によく示されているように、テーパ部622T及び導風板622Pからなる。本実施形態において、テーパ部622Tは、概略、その底面が直角三角形となる三角柱の如き外形を有している。そして、テーパ部622Tは、カバー本体部623の一側面に、前記三角柱の一側面が付着されたような外形を呈している。この場合、当該三角柱の一側面は、該三角柱の底面における直角部とこれに隣接する角部との間に挟まれた辺を含んでいる。したがって、テーパ部622Tは、カバー本体部623の側面上において最大高さとなる根元部622T1を有し(ただし、ここでいう「高さ」とは、図7中、上下方向の距離をいう。図7では目安として当該方向に延びる破線を示した。)、そこから次第に高さを減じた先端部622T2を有するという形状となっている。一方、導風板622Pは、前記三角柱の底面において直角部を除く他の二角に挟まれた一辺に沿って立設された壁の如き外形を呈している。前記「高さ」を用いて説明すると、該導風板622Pの高さは、前記根元部622T1から前記先端部622T2へ向けてテーパ部622Tの高さが減ずるにもかかわらず、これら根元部622T1及び先端部622T2間のどの部分においても一定である。
【0099】
最後に、冷却風排出部624は、図4、図5、或いは図8等によく示されているように、フレキシブルコネクタ導出部624C及びリアフィン部624Fからなる。このうちフレキシブルコネクタ導出部624Cは、前記テーパ部622Tが形成されているカバー本体部623の側面に対向する側面上に形成されている。より具体的には、図8に示すように、該側面上に、断面がコの字状となる部材が、該コの字状断面の開口部を図8中下方に向けて取り付けられたような形状を呈している。電気光学装置に接続されたフレキシブルコネクタ501は、このコの字に囲われた空間を抜けて、外部へと引き出されるようになっている。
【0100】
他方、リアフィン部624Fは、フレキシブルコネクタ導出部624Cにおける前記コの字状断面のいわば天井板上に設けられている。このリアフィン部624Fは、より詳しくは、図4、図5、或いは図8等によく示されているように、前述したサイドフィン部627たる直線状の突出した部分が延在する方向と符号を合わせるように、前記天井板から直線状に突出した部分が複数並列(図4等では、「四つ」の直線状に突出した部分が並列)された形状を含んでいる。これにより、カバー部620の表面積は増大することになる。
【0101】
そして、本実施形態においては特に、このカバー部620には、既述のカバー部固定孔612と嵌合可能に形成された凸部621が形成されている。この点については、後に説明することとする。
【0102】
カバー部620が以上のような構成をとることにより、図1に示した如き液晶プロジェクタ1100に備えられたシロッコファン1300から送られてきた風は、実装ケース601、ないしカバー部620の周囲において、図12に示すように流れることになる。ここに図12は実装ケース入り電気光学装置の斜視図であって、当該実装ケース入り電気光学装置に対する典型的な風の流れ方を示す図である。なお、図1に示した液晶プロジェクタ1100において、図12に示すような冷却風の流れを実現するためには、図1を参照して説明した吹き出し口100RW、100GW及び100BWが、カバー620を構成する冷却風導入部622と対向するように、実装ケース入り電気光学装置、すなわちライトバルブ100R、100G及び100Bを設置する必要がある。
【0103】
まず、冷却風は、冷却風導入部622のテーパ部622Tをあたかも駆け上がるようにして、電気光学装置500の表面が露出するカバー本体部623へと吹き抜けることになる(符号W1参照)。また、冷却風導入部622には、導風板622Pが設けられていることにより、冷却風がどの方向からきても、その大部分をテーパ部622T上、ひいてはカバー本体部623へと導くことが可能となっている(符号W2参照)。このように、本実施形態によれば、カバー本体部623へ向けて風を効率よく送り出すことが可能となっており、電気光学装置500で発生した熱を直接的に奪う(即ち、冷却する)ことが可能な他、カバー部620に蓄えられた熱をも効率的に奪うことができる。
【0104】
また、冷却風導入部622の導風板622Pの外側(すなわち、テーパ部622Tに対向しない側)にあたった風、或いは前記のように電気光学装置500の表面ないしその近傍に至った後、カバー本体部623の側面に流れる風等は、サイドフィン部627に至ることになる(符号W3参照)。このサイドフィン部627では、上述のように直線状の突出した部分が備えられており、カバー本体部623の表面積が増大されていることから、当該カバー本体部623ないしカバー部620の効率的な冷却を実現することができる。さらに、前記のように電気光学装置500の表面ないしその近傍に至った後、そのままカバー本体部623の後端へ抜ける風等は、リアフィン部624Fに至ることになる(符号W1参照)。このリアフィン部624Fでは、上述のように直線状の突出した部分が備えられ、冷却風導出部624の表面積が増大されていることから、当該冷却風導出部624ないしカバー部620の効率的な冷却を実現することができる。
【0105】
以上のように、本実施形態に係る実装ケース601では、総じて、冷却風による効率的な冷却が実現されるようになっている。そして、このことは、前述のように電気光学装置500、プレート部610及びカバー部620の順に伝達される熱を、最終的に外部へと放散するのに非常に有効である。また、カバー部620が効率的に冷却されるということは、電気光学装置500から折り曲げ部613等を介してプレート部610に、あるいはカバー部620へという熱の流れを、いつでも有効に維持しうることを意味する。すなわち、カバー部620は、常態において好適に冷却された状態にあるから、ヒートシンクとしての機能をいつでも有効に維持することにより、該カバー部620からみて、プレート部610からの熱の奪取、ひいては電気光学装置500からの熱の奪取をいつでも有効に行い得るのである。
【0106】
よって、本実施形態に係る電気光学装置500は、過剰に熱を蓄えこむということがないから、液晶層50の劣化、あるいはホットスポットの発生等は未然に防止されることになり、これに基づく画像の劣化等を招くおそれは極めて低減されることになる。
【0107】
(カバー部固定孔とこれに嵌合可能な凸部の構成及び作用)
以下では、プレート部610に関する説明時に触れたカバー部固定孔612、及びこれに嵌合可能に形成され、カバー部620に関する説明時に触れた凸部621の構成及び作用・効果について詳細に説明することとする。
【0108】
まず、プレート部610に形成されるカバー部固定孔612(本発明にいう「第2凹部」に該当する。)は、カバー部620において対応する位置に形成される凸部621と嵌合するための孔部である。このカバー部固定孔612は、図7の円内部分に示すように、プレート部610を貫通するように形成されている。なお、図13には、図7の円内部分を拡大した図を示した。
【0109】
また、本実施形態においては、該カバー部固定孔612は、例えば図9に示されるように、二つの孔部612a及び612b(本発明にいう「2個以上形成された凹部」に該当する。)からなる。このうち一方の孔部612aはより大きな面積となる長円形状となっており、他方の孔部612bはより小さな面積となる円形状となっている。ここで長円形状とは、後に参照する図14に示すように、第1半円形状p及び第2半円形状q並びにこれらに連接される矩形状rを併せて観念される形である。本実施形態においては、矩形状rの対向する二辺が前記第1及び第2半円形状p及びqの直径部分pd及びqdの長さに等しく、該二辺がこれら直径部分pd及びqdに連接された形となっている。このような長円形状の外形は、比喩的には、陸上競技のトラックの外形にほぼ一致するものと考えることができる。また、これら二つの孔部612a及び612bは、長円形状の孔部612aの長手方向に延在する直線上に存在するように形成されている。
【0110】
他方、カバー部620に形成される凸部621(本発明にいう「第1凸部」に該当する。)は、前記の孔部612a及び612bそれぞれに対応する位置に、二つの突起部621a及び621b(本発明にいう「2個以上形成された凸部」に該当する。)を含むものとして形成されている。これら突起部621a及び621bは、いずれも、平面視して円形状を有している。
【0111】
また、本実施形態に係る突起部621a及び621は、図13又は後に参照する図14に示されているように、その先端部の形状は、いわばドーム型のようになっている。これは、当該先端部の角部が、まるめられていることによる。
【0112】
さらに、本実施形態に係る凸部621は、図5に示されるように、冷却風導入部622(本発明にいう「突端部」に該当する。)、ないしは前述したテーパ部622Tの一部を構成するようにして形成されている(図5の視点からは、本来凸部621は図示され得ないが、図5では特にこれを示した。)。この冷却風導入部622ないしテーパ部622Tは、前述のように、カバー本体部623から延設されるような形で形成されており、電気光学装置500、或いは該電気光学装置500を収容するカバー本体部623からみて、いわば外寄りに形成されたものとなっている。したがって、突起部621a及び621b、或いはこれに嵌合されることとなる前記の孔部612a及び612bもまた、同じ視点からみて外側に存在しているということができる。ちなみに、本実施形態では、凸部621は、冷却風導入部622、テーパ部622T、ないしはカバー部620と一体的に成形されている。なお、本発明にいうプレート部610と「当接する部位の少なくとも一部」は、本実施形態において、テーパ部622Tを説明するために導入した、前述の三角柱の一側面622F(図7参照)が、それに該当する。
【0113】
本実施形態において、プレート部610及びカバー部620とは、このようなカバー部固定孔612及び凸部621が互いに嵌合すること、すなわち長円形状の孔部612aは突起部621aに、円形状の孔部612bは突起部621bにそれぞれ嵌合することによって、相互に固定されることになる(図7の円内部分又は図13参照)。
【0114】
以上のような構成となるカバー部固定孔612及び凸部621によれば、以下のような作用効果が得られることになる。まず第一に、このようなカバー部固定孔612及び凸部621を利用することにより、カバー部620及びプレート部610の組み付けを容易且つ正確に行うことができる。しかも、本実施形態においては、カバー部固定孔612が、二つの孔部612a及び612bを含んでいること、更にはそのうちの一つは長円形状の孔部612aとされていることから、前記の容易性及び正確性は、より促進されることになる。
【0115】
以下では、このような事情を、図14を参照して説明することとする。ここに図14は、本実施形態に係るプレート部610に対して、カバー部620を組み付ける作業の一例を、順を追って示す工程図である。ただし、図14においては、カバー部固定孔612及び凸部621のみを拡大して示すとともに、これらの動きのみを示し、プレート部610の全体やカバー部620全体の動き等の図示については省略した。
【0116】
まず、図14の工程(1)に示すように、前記長円形状の孔部612aに、突起部621aを嵌合させるように、カバー部620を配置する。次に、円形状の孔部612bに、突起部621bを嵌合させ得るような、カバー部620の位置を探索する。この際においては、図14の工程(1)中に両矢印でもって表されているように、長円形状の孔部612a内を突起部621aをすべらせるようにカバー部620を移動しながら、円形状の孔部612bと突起部621bとの嵌合位置を探るようにすればよい。なお、本実施形態においては、二つの孔部612a及び612bは、長円形状の孔部612aの長手方向に沿った直線上にのるように形成されていることから、円形状の孔部612b及び突起部621bは、図14の工程(1)に示す両矢印の方向に一致した直線上に存在する。したがって、前記探索作業に困難さが伴うようなことはなく、極めて容易に、前記嵌合位置を探し当てることができる。
【0117】
そして、この嵌合位置が定まったら、図14の工程(2)に示すように、円形状の孔部612bと突起部621bとを嵌合させる。なお、この際、突起部621bの先端部は、前述のようにドーム状とされていたから、前記の嵌合位置につき多少の「ずれ」があったとしても、突起部621bは、円形状の孔部612bにスムースに嵌め合わされることになる。
【0118】
なお、上述とは逆に、先に、円形状の孔部612b及び突起部621bの嵌合を行い、後に、長円形状の孔部612a及び突起部621aを嵌合するという作業としてもよい。むろん同時でもよい。
【0119】
いずれにせよ、このような組み付け作業においては、以下のような作用効果が奏される。すなわち、カバー部620及びプレート部610間で精度上の誤差が存在する場合等においても、長円形状の孔部612aがその誤差を吸収することが可能であることにより(図14の工程(1)及び(2)中の破線及び図14の工程(1)中の両矢印参照)、両者間の組み付け作業を難なく実施することができる。これは、長円形状の孔部612aの面積から円形状の孔部612bの面積を差し引いた分、カバー部620及びプレート部610間の組み付けに係る自由度が増加しているからである。なお、このような事情は、プレート部610に比べてカバー部620の方がより熱膨張した状態となっているなどという場合にも当てはまる。
【0120】
以上述べたように、本実施形態によれば結局、カバー部620及びプレート部610間の組み付け作業を容易に実施することができる。また、このような容易な作業であるにもかかわらず、カバー部620及びプレート部610間の相対的な位置決めは、極めて正確に行われる。さらには、前記のような組み付け作業後、カバー部620とプレート部610とは、カバー部固定孔612及び凸部621間の嵌合によって比較的強固に連結されていることにより、これらが容易に分解されるということもない。
【0121】
また、このようにカバー部620及びプレート部610の正確な組み付けが可能であり、その分解も容易には起こりえないということから、本実施形態に係る実装ケース入り電気光学装置においては、実装ケース601内における電気光学装置500の位置決めも正確に行われ得、更には、実装ケース601及び電気光学装置500が相異なる線膨張係数を有し、それぞれが異なる度合いで膨張又は収縮する場合が考えられるとしても、実装ケース601内において電気光学装置500の位置ずれが生じるという事態を有効に防止することが可能となる。したがって、本実施形態によれば、周囲の温度環境にかかわらず、高品質な画像表示が可能となる。
【0122】
ちなみに、このような電気光学装置500、ひいてはカバー部620の温度上昇にかかわる問題に関連して、本実施形態では特に、次の二つの作用効果が奏される。
【0123】
すなわち、第一に、電気光学装置500が温度上昇し、その熱がプレート部610、ひいてはカバー部620に伝達されることによって、カバー部620の温度が上昇すると、該カバー部620は熱膨張することが考えられる。この場合、プレート部610及びカバー部620間が全く自由度なく固着されていると、電気光学装置500の位置ずれ等を引き起こしかねない。しかるに、本実施形態では、前記のようにカバー部620が熱膨張しても、図15に示すように、その変形分を長円形状の孔部612aによって吸収することができる(図中破線及び両矢印参照)。したがって、本実施形態によれば、カバー部620の熱膨張に起因する、実装ケース601内での電気光学装置500の位置ずれ等について殆ど懸念する必要がない。
【0124】
また第二に、凸部621がカバー部620における冷却風導入部622に形成されていること、換言すれば、カバー部620とプレート部610との固定は、電気光学装置500からみて外寄りの場所で行われることによって、次のような作用効果が得られる。すなわち、電気光学装置500の温度が上昇すると、前述のように、カバー部620は熱膨張することが考えられる。この際、この熱膨張は、カバー部固定孔612及び凸部621の嵌合位置を中心に生じることが考えられる。なぜなら、当該部位はプレート部610によって、その膨張に係る変形が制約を受けるからである。
【0125】
このとき、もし当該部位が電気光学装置500の近傍にあるとすると、前記嵌合位置とそうでない場所との間ではカバーの変形態様に相違が生じることから、実装ケース601内における電気光学装置500の設置位置がずれやすくなるなどという不具合の発生することが考えられる。
【0126】
しかるに、本実施形態においては、前記嵌合位置が、電気光学装置500からみて外寄りの場所に位置し、且つ、比較的離間した冷却風導入部622に設けられていることから、前述のようにカバー部620が熱膨張するとしても、該カバー部620の変形は、図16に概念的に示すように、この冷却風導入部622を中心として生じることとなり、上述のような不具合の影響をまともに被らなくて済む。なお、図16において、矢印で示されているのが、熱膨張による変形の方向を表している。
【0127】
また、本実施形態においては、冷却風導入部622は一つしか存在しないから、熱膨張によるカバー部620の変形は、電気光学装置500の外側に存在する当該冷却風導入部622が存在する場所を中心として生じることになり(図16参照)、この変形に起因する悪影響をより効果的にかわすことが可能である。
【0128】
さらには前述の長円形状の孔部612a及び円形状の孔部612bは同一の直線上に乗るように形成されていることから、図16に示したような熱膨張は、ある程度制約を受けることになる。この点、前述のように比較的自由に熱膨張させることも重要であるが、あまりに不規則な変形が生じることは、電気光学装置500の位置ずれ防止にとって好ましくないことからすると、本実施形態に係る長円形状の孔部612a及び突起部621a間の嵌合と、円形状の孔部612b及び突起部621b間の嵌合とが、同一直線上においてなされていることは、前記不規則な変形の防止、ひいては電気光学装置500の位置ずれ防止にとって有効である。
【0129】
なお、上記実施形態においては、カバー部固定孔612及び凸部621は、それぞれ、二つの孔部612a及び612b、二つの突起部621a及び621bを含むものとされていたが、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、カバー部固定孔612及び凸部621が、それぞれ一つずつの孔部及び突起部を備えるような形態、或いはそれぞれ3個以上の孔部及び突起部を備えるような形態も、本発明の範囲内にある。
【0130】
また第二に、本実施形態に係る孔部612a及び612bは、プレート部610を貫通するように形成されていたが、これに代えて、図17に示すように、有底の孔部612Pを採用してもよい。なお、図17は、図13と同趣旨の図であって、カバー部固定孔612として有底の孔部612Pが形成されているとともに、これに嵌合される凸部621として前記有底の孔部の深さに対応した突起部621Pが形成されている態様について示すものである。
【0131】
第三に、上記実施形態では、突起部621a及び621bの先端部をまるめる形態について説明したが、これに代えて又は併せて、孔部612a及び612bの縁をまるめる形態としてよい。これによれば、前記の図14の工程(1)、或いは図14の工程(2)における嵌合作業をより容易に行うことができる。
【0132】
第四に、上記実施形態においては、凸部621は、カバー部620に一体的に形成されている形態について説明したが、これに代えて、凸部及びカバー部620それぞれを別体として形成し、これらを組み付けることによって凸部を形成するような形態としてもよい。
【0133】
第五に、上記実施形態においては、カバー部620の側に凸部621が形成され、プレート部610の側に第2凹部の一例たるカバー部固定孔612が形成されていたが、これとは逆に、図18に示すように、カバー部620の側に、本発明にいう第1凹部の一例たるプレート部固定孔680、プレート部610の側に、本発明にいう第2凸部の一例たる凸部690を形成するようにしてもよい。なお、図18は、図13と同趣旨の図であって、かかる態様について示すものである。
【0134】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う実装ケース入り電気光学装置及び投射型表示装置並びに実装ケースもまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。電気光学装置としては液晶パネルの他に、電気泳動装置やエレクトロルミネッセンス装置等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る投射型液晶装置の実施形態の平面図である。
【図2】 本発明に係る電気光学装置の実施形態の平面図である。
【図3】 図2のH−H′断面図である。
【図4】 本発明の実施形態に係る実装ケースを、電気光学装置とともに示す分解斜視図である。
【図5】 本発明の実施形態に係る実装ケース入り電気光学装置の正面図である。
【図6】 図5のX1−X1´断面図である。
【図7】 図5のY1−Y1´断面図である。
【図8】 図5のZ1方向から臨んだ後面図である。
【図9】 本発明の実施形態に係る実装ケースを構成するプレート部の正面図である。
【図10】 図9のZ2方向から臨んだ後面図である。
【図11】 図9のZ3方向から臨んだ側面図である。
【図12】 本発明の実施形態に係る実装ケース入り電気光学装置の斜視図であって、当該実装ケース入り電気光学装置に対する風の流れを示す図である。
【図13】 図7の円内部分を拡大した拡大図である。
【図14】 本実施形態に係るプレート部に対して、カバー部を組み付ける作業を、順を追って示す工程図である。
【図15】 カバー部の熱膨張による変形を、長円形状の孔部が吸収することを説明するための説明図である。
【図16】 カバー部の熱膨張による変形が、カバー部固定孔及び凸部の嵌合位置を中心として生じることを説明するための説明図である。
【図17】 図13と同趣旨の図であって、カバー部固定孔として有底の孔部が形成されているとともに、これに嵌合される凸部として前記有底の孔部の深さに対応した突起部が形成されている態様について示すものである。
【図18】 図13と同趣旨の図であって、カバー部の側にプレート部固定孔、プレート部の側に凸部が形成されている態様について示すものである。
【符号の説明】
10…TFTアレイ基板、20…対向基板、400…防塵用基板、50…液晶層601…実装ケース、
610…プレート部、612…カバー部固定孔、612a…長円形状の孔部、612b…円形状の孔部、p…第1半円形状、pd…直径部分、q…第2半円形状、qd…直径部分、r…矩形状、612P…有底の孔部、621P…(有底の孔部に対応する)突起部、690…凸部
620…カバー部、621…凸部、621a、621b…突起部、680…プレート部固定孔
622…冷却風導入部、623…カバー本体部
100R、100G、100B…ライトバルブ、1100…液晶プロジェクタ、1102…ランプユニット
Claims (10)
- 画像表示領域に光源から投射光が入射される電気光学装置と、
該電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、前記電気光学装置を覆い前記プレートと当接する部位を有するカバーとからなり、前記電気光学装置における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部を前記プレート及び前記カバーの少なくとも一方で保持して当該電気光学装置を収納する実装ケースとを備えた実装ケース入り電気光学装置であって、
前記カバーにおける前記当接する部位の少なくとも一部には第1凸部及び第1凹部の少なくとも一方が形成されてなり、
前記プレートには前記第1凸部と嵌合可能な第2凹部及び前記第1凹部と嵌合可能な第2凸部の少なくとも一方が形成されてなり、
前記第2凹部又は前記第2凸部は、それぞれ、前記プレートにおいて併せて2個以上形成された凹部又は凸部を含み、
前記2個以上形成された凹部又は凸部の中には、平面視して第1面積となる第1形状を有するものと、前記第1面積よりも大きい第2面積となる第2形状を有するものを含み、
前記第1形状は、平面視して円形状を含み、
前記第2形状は、平面視して、第1半円形状、第2半円形状、並びに前記第1半円形状及び前記第2半円形状の直径部分に連接される矩形状を併せて観念される長円形状を含むことを特徴とする実装ケース入り電気光学装置。 - 前記円形状を有する凹部又は凸部と、前記長円形状を有する凹部又は凸部とは、同一の直線上にのるように形成されており、且つ、前記直線の延在方向は前記長円形状を有する凹部又は凸部の長手方向に一致するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の実装ケース入り電気光学装置。
- 前記第2凹部は、前記プレートを貫通して設けられた貫通孔部を含むことを特徴とする請求項1乃至2のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。
- 前記第1凸部及び前記第2凸部の少なくとも一方の先端における角部は、まるめられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。
- 前記第1凹部及び前記第2凹部の少なくとも一方の縁における角部は、まるめられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。
- 前記第1凸部及び前記第2凸部の少なくとも一方は、前記カバー及び前記プレートの少なくとも一方と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。
- 前記第1凸部及び前記第2凸部の少なくとも一方は、前記カバー及び前記プレートの少なくとも一方と別体として形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。
- 前記カバーは、前記電気光学装置を収容するカバー本体部及び該カバー本体部に接続されてなる突端部からなり、
前記第1凸部及び前記第1凹部の少なくとも一方は、前記突端部に形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。 - 画像表示領域に光源から投射光が入射される電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、前記電気光学装置を覆い前記プレートと当接する部位を有するカバーとからなり、前記電気光学装置における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部を前記プレート及び前記カバーの少なくとも一方で保持して当該電気光学装置を収納する実装ケースであって、
前記カバーにおける前記当接する部位の少なくとも一部には第1凸部及び第1凹部の少なくとも一方が形成されてなり、
前記プレートには前記第1凸部と嵌合可能な第2凹部及び前記第1凹部と嵌合可能な第2凸部の少なくとも一方が形成されてなり、
前記第2凹部又は前記第2凸部は、それぞれ、前記プレートにおいて併せて2個以上形成された凹部又は凸部を含み、
前記2個以上形成された凹部又は凸部の中には、平面視して第1面積となる第1形状を有するものと、前記第1面積よりも大きい第2面積となる第2形状を有するものを含み、
前記第1形状は、平面視して円形状を含み、
前記第2形状は、平面視して、第1半円形状、第2半円形状、並びに前記第1半円形状及び前記第2半円形状の直径部分に連接される矩形状を併せて観念される長円形状を含むことを特徴とする実装ケース。 - 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置と、
前記光源と、
前記投射光を前記電気光学装置に導く光学系と、
前記電気光学装置から出射される投射光を投射する投射光学系と
を備えたことを特徴とする投射型表示装置。
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