JP3722141B2 - 実装ケース入り電気光学装置及び投射型表示装置並びに実装ケース - Google Patents

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Description

本発明は、液晶プロジェクタ等の投射型表示装置にライトバルブとして用いられる液晶パネル等の電気光学装置を実装するための実装ケース、また該実装ケースに当該電気光学装置が実装或いは収容されてなる実装ケース入り電気光学装置、及びこのような実装ケース入り電気光学装置を備えてなる投射型表示装置の技術分野に属する。
一般に、液晶パネルを液晶プロジェクタにおけるライトバルブとして用いる場合、該液晶パネルは、液晶プロジェクタを構成する筐体等にいわば裸の状態で設置されるのではなく、該液晶パネルを適当な実装ケースに実装ないし収容した上で、この実装ケース入り液晶パネルを、前記筐体等に設置することが行われる。
これは、当該実装ケースに適当なねじ孔等を設けておくことで、液晶パネルの前記筐体等に対する固定、取り付けを容易に実施することなどが可能となるからである。
このような液晶プロジェクタでは、光源から発せられた光源光は、当該実装ケース入り液晶パネルに対して集光された状態で投射されることになる。そして、液晶パネルを透過した光は、スクリーン上に拡大投射されて画像の表示が行われることになる。このように液晶プロジェクタにおいては、拡大投射が一般に予定されているため、前記光源光としては、例えばメタルハライドランプ等の光源から発せられる比較的強力な光が使用されることになる。
すると、まず、実装ケース入り液晶パネル、とりわけ液晶パネルの温度上昇が問題となる。すなわち、このような温度上昇が生じると、液晶パネル内において一対の透明基板間に挟持されている液晶の温度も上昇して、該液晶の特性劣化を招く。また特に光源光にむらがあった場合には、部分的に液晶パネルが加熱されて所謂ホットスポットが発生して、液晶の透過率のムラができて投射画像の画質が劣化する。
このような液晶パネルの昇温を防止する技術としては、例えば特許文献1等に開示されているものが知られている。この特許文献1では、液晶パネル及び該液晶パネルを収容保持するとともに放熱板が備えられたパッケージ(本明細書にいう「実装ケース」に該当する。)からなる液晶表示モジュールにおいて、前記液晶パネル及び前記放熱板間に放熱シートを設けることにより、液晶パネルの昇温を防止する技術が開示されている。
また、このような問題点に対処するため、その他にも、液晶パネルの光入射側に位置する基板に遮光膜を設けること、液晶パネルを実装あるいは収納してなる実装ケースを光反射性材料から構成すること等といった技術も知られている。
再表WO98/36313
しかしながら、従来における液晶パネルの昇温防止対策には次のような問題点がある。すなわち、光源光からの強力な光が投射される限り、液晶パネルの温度上昇の問題は常に顕在化するおそれがあるから、更なる高画質化等を図るためには、上記各種の対策に代えて又は加えて、より効率的な温度上昇の防止対策が要求されているという点である。
例えば、放熱シートを利用する対策では、たしかに液晶パネルに蓄積されていく熱を外部へと有効に放射することが可能になるとは考えられるものの、放熱シートを、基板全面を覆うようにして設けられると、反射型の液晶パネルには利用できても、透過型の液晶パネルに対しては無力である。
また、遮光膜及び実装ケースによる光反射対策では、それらの面積を増大させれば反射光量が増大するから、たしかに液晶パネルの温度上昇の防止を相応に達成することができると考えられるものの、反射光量をむやみ増大させると、実装ケース入り液晶パネルを収納するハウジング内の迷光を増加させることとなって、画像の品質に悪影響を及ぼすことが考えられる。また、遮光膜については、その面積を広げれば広げるほど、液晶パネルに本来入射・透過されるべき光源光の量が減ることになるから、画像が暗くなってしまうことが考えられる。これでは、より明るい画像を表示しようとして、強力な光源光を用いているという趣旨に反することになる。このように、上記の対策は、抜本的に問題を解決するものとはいえない点にも問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、比較的強力な投射光が入射される電気光学装置における温度上昇を効率的に抑制可能とする、実装ケース入り電気光学装置及びこれを備えてなる投射型表示装置を提供することを課題とする。また、本発明は、このような実装ケース入り電気光学装置に使用されて好適な実装ケースを提供することをも課題とする。
本発明の実装ケース入り電気光学装置は、上記課題を解決するため、画像表示領域に光源から投射光が入射される電気光学装置と、該電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、前記電気光学装置を覆い前記プレートと当接する部分を有するカバーとからなり、前記電気光学装置における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部を前記プレート及び前記カバーの少なくとも一方で保持して当該電気光学装置を収納する実装ケースとを備える。そして、前記カバーは、前記電気光学装置を収容するカバー本体部及び該カバー本体部から延設又は該カバー本体部に追設される冷却風導入部を含み、前記冷却風導入部は、当該実装ケース入り電気光学装置に向けて送られてきた冷却風を前記カバー本体部へ向けて流すための冷却風散逸防止部を有している。
本発明の実装ケース入り電気光学装置によれば、画像表示領域に光源から投射光が入射される電気光学装置が、カバー及びプレートからなる実装ケース内に実装される。このような電気光学装置としては、例えば投射型表示装置におけるライトバルブとして実装される液晶装置或いは液晶パネルが挙げられる。なお、このような実装ケースには、電気光学装置の周辺領域を少なくとも部分的に覆うことにより、当該周辺領域における光抜けを防止したり或いは周辺領域から画像表示領域内に迷光が進入するのを防止する遮光機能を持たせてもよい。
そして、本発明では特に、前記カバーは、カバー本体部及び冷却風導入部を含み、前記冷却風導入部は、当該実装ケース入り電気光学装置に向けて送られてきた冷却風を前記カバー本体部へ向けて流すための冷却風散逸防止部を有している。これにより、カバーの放熱能力を高めることができ、また、電気光学装置の効果的な冷却を実現することができる。これは以下の事情による。
まず、電気光学装置には前記投射光が入射されることにより、該電気光学装置の温度は上昇する。すると、この電気光学装置の熱は、前記周辺領域を保持するプレート及びカバーの少なくとも一方に直接的に伝達され、或いはプレートに伝達された熱は前記当接する部分を介してカバーに間接的に伝達されることになる。この場合、これらプレート及びカバーは、電気光学装置に対するヒートシンクとして機能しているということができる。
ここで、本発明においては、当該実装ケース入り電気光学装置に対して、冷却風が送られてくるようになっている。この冷却風は、例えば、当該実装ケース入り電気光学装置を投射型表示装置内に設置する場合においては、該投射型表示装置内に併せて設置される冷却ファンから送り出されるようにしておくことが可能である。そして、本発明に係るカバーの冷却風導入部は、前述のような冷却風散逸防止部を有している。したがって、当該実装ケース入り電気光学装置に向けて送られてきた冷却風は、電気光学装置を収容するカバー本体部へと効率的に流れることになるから、まず、当該電気光学装置それ自体の冷却を効率的に実施することができる。また、前述の事情は同時に、カバーの冷却を効率的に行うことができることを意味するから、該カバーが、前述のヒートシンクとしての機能をよりよく発揮するということに帰結する。
以上の結果、本発明によれば、電気光学装置の効果的な冷却が実現されることになるのである。したがって、本発明では、電気光学装置の温度上昇によって発生する不具合(例えば、該電気光学装置を構成し得る液晶層の特性劣化、或いは該液晶層中におけるホットスポットの発生等)を被らなくて済むから、より高品質な画像を表示することが可能となる。
なお、冷却風導入部が、カバー本体部から「延設」されるとは、典型的には、両者が一体的に構成されており、冷却風導入部がカバー本体部の延長として形成されているなどという場合が該当する。また、冷却風導入部が、カバー本体部に「追設」されるとは、典型的には、両者が別体として構成されており、冷却風導入部がカバー本体部に別途取り付けられるなどという場合が該当する。
本発明の実装ケース入り電気光学装置の一態様では、前記冷却風散逸防止部は、導風板を含む。
この態様によれば、冷却風散逸防止部が導風板を含む。ここに導風板とは、当該実装ケース入り電気光学装置に向けて送り込まれた冷却風の流れを一定程度阻害するとともに、その阻害によって、冷却風をカバー本体部へと向けて流さしめる機能を有する板のことをいう。
このような導風板を備えることにより、本態様においては、カバー本体部に向けて冷却風をより効率的に送り込むことが可能となり、電気光学装置それ自体の冷却、或いはカバーの冷却をより効率的に実施することができる。
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記冷却風導入部は、前記冷却風の流れ方向にその先端部が対向する尖鋭形状を有するスロープ部を含んでおり、前記冷却風散逸防止部は、前記スロープ部を含む。
この態様によれば、冷却風散逸防止部がスロープ部を含む。ここにスロープ部とは、上述のように冷却風の流れ方向にその先端部が対向する尖鋭形状を有する部分である。このスロープ部の存在によると、冷却風は、まず先端部に到達した後、当該スロープ部を構成する面を駆け上がる又は駆け下るようにして当該スロープ部を流れ抜けることが典型的には想定されることになる。
ここで仮に、前記の先端部ないしスロープ部が存在しない場合、例えば所定の厚みをもったブロック状の部材が前記スロープ部等に代わって存在する場合を仮定すると、冷却風の流れは、当該ブロック状の部材で一定程度阻害された上、阻害された冷却風の流れは、そのブロック状の部材の面に沿って進むことが考えられるから、該冷却風がカバー本体部に向かうということが困難となる。
このように、本態様にいう「スロープ部」を備えることによれば、冷却風散逸防止部の機能をより高めることができ、もって電気光学装置それ自体の冷却、或いはカバーの冷却をより効率的に実現することができる。
なお、本態様にいう「尖鋭形状」とは、テーパ型、楔型、流線型等々の形状を含む概念である。
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記導風板は、前記スロープ部を構成する面を囲むように形成されている。
この態様によれば、前記の導風板が、前記のスロープ部を構成する面を囲むように形成されている。ここで、「スロープ部を構成する面」として、典型的に想定されているのは、前述のように冷却風が駆け上る又は駆け下るという場合における、その駆け上り又は駆け下りの対象とされている面である。そして、本態様では、このような面を囲むように、導風板が形成されているのである。
つまり、本態様によれば、上述のように先端部に到達した冷却風が、前記面を駆け上り又は駆け下るという事象が、より頻度高く生じるように仕向けられているということができる。したがって、カバー本体部への冷却風の送り出しは、より効率的に行われ得ることになる。
なお、本態様にいう「囲むように」とは、導風板の具体的形状の如何、またスロープ部の具体的形状の如何の組み合わせ等によって影響を受け、種々の具体的態様を含む。例えば、スロープ部がテーパ型形状の一種と考えられる三角柱形状を有している場合において、当該三角柱形状の両底面に貼り付けられた四辺形状の板が「導風板」に該当するという態様を考えることができる。この場合、前記四辺形状の面積が、前記底面の面積よりも大きければ、当該四辺形状の余剰の部分が、前記三角柱の側面と直角に交わるように立設されたかの如き状態が現れることがわかる。これによると、「スロープ部を構成する面」である前記三角柱の側面は、前記四辺形状の余剰の部分によって、両側から囲われているような形になる。また、この態様に加えて、両底面に貼り付けられた四辺形状の板の間を渡すように、「導風板」に該当する別の板を設ければ、当該板と前記四辺形状の板は、前記三角柱の側面をまさに囲んでいるような状態が現れる。本態様の「囲むように」は、これらのような形態を含む。
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記カバー本体部には、前記画像表示領域を外部に露出する窓部が形成されており、当該窓部から露出された前記電気光学装置の前記画像表示領域における面は、前記スロープ部を構成する面と連続している。
この態様によれば、カバー本体部に前記窓部が形成されていることにより、該窓部を介して、電気光学装置の画像表示領域に対して前記投射光を入射することが可能である。
そして、本態様では特に、窓部から露出された電気光学装置の画像表示領域における面は、前記スロープ部を構成する面と連続している。ここで、「スロープ部を構成する面」とは、前述したとおりの面、即ち冷却風が駆け上り又は駆け下る対象としての面が典型的には想定されている。本態様では、このような面と電気光学装置の面とが「連続している」のである。したがって、スロープ部を構成する面を駆け上り又は駆け下った冷却風は、両面間の端境でその進行を妨げられるということが殆どないまま、電気光学装置の面へと流入することになる。これにより、電気光学装置それ自体の冷却を、前記にも増してより効率的に実施することができる。
なお、本態様にいう「連続している」とは、例えば、正方形状の面A及びBがある場合において、これらの面A及びBが相互に直角でない角度で交わるとともに、面Aの一辺が面Bの一辺に接合しているという場合等を含む。また、前記の面A及びBの間に、別の面C、D、…が存在し、且つ、これら各々の面間においても前記の条件が満たされている場合もまた、面A及び面Bが「連続している」に含まれる。
ただし、本態様にいう「連続している」という構成は、前述のように、冷却風の進行を妨げないという作用効果を得ることにその本質があるから、上述の定義を機械的に適用すれば、「連続」の範囲内にあるかどうかが完全に判別されるわけではない。例えば、前述の記号を用いて、面A及び面Bの間に面ζが存在し、面ζ及び面Bは直角に交わるという場合においては、面Aと面Bとは「連続」でないということになり得る。しかしながら、該面ζが長方形状であって、面A及び面Bに比べて極めて小さい面積しか有しないなどという場合においては、これら面A、面ζ及び面Bを吹き抜ける冷却風の進行が妨げられるということは殆ど考えられない。したがって、このような場合における面A及び面Bは、なお本態様にいう「連続している」の範囲内にあるということができる。
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記窓部の辺縁はテーパ形状を有している。
この態様によれば、スロープ部を構成する面を前記の面Aと、電気光学装置の画像表示領域における面を前記の面Bと、そして、窓部の辺縁を形作る面を前記の面Cとそれぞれ考えることにより、前述の「連続している」を好適に実現することができる。
ちなみに、電気光学装置に対する無用な光の入射を防止する等の目的のため、窓部が形成されるカバー本体部の面と前述の電気光学装置の面とは、通常、同一平面上に載らないように形成することが好ましい。この場合、電気光学装置の面が、前記窓部が形成されるカバー本体部の面から、やや奥まった場所に位置するように構成することが好ましい。このような観点からしても、本態様の構成は好適な構成であるということができる。
なお、本態様にいう「テーパ形状」の角度は、15°以下とすることが好ましい。例えば、冷却風が、スロープ部を構成する面を駆け上り、本態様の「テーパ形状」の面を駆け下って、電気光学装置の面に至るという具体的場合を想定すると、前記テーパ形状が15°以上の角度をもつと、スロープ部を構成する面をいったん駆け上った冷却風が、その後に比較的急激な坂を駆け下って電気光学装置の面に至るということが困難となるからである。ただし、テーパ形状が15°以上90°未満の角度をもったとしても、窓部の辺縁の面と電気光学装置の面とは、前記の「連続している」の範囲内にはある。
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記カバーは、前記カバー本体部から流れてきた冷却風を当該カバーから導出する冷却風排出部を更に含み、前記冷却風排出部は、その表面積を増大させる第1表面積増大部を備えている。
この態様によれば、カバーには、前記冷却風導入部に対応するように冷却風排出部が含まれ、且つ、該冷却風排出部には第1表面積増大部が備えられている。これにより、該カバーの放熱能力、或いは冷却能力は高められている。したがって、カバーは殆ど常に、好適に冷却された状態に維持されるということができるから、電気光学装置の冷却も極めて効率的に実施されることになる。
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記カバーは、前記カバー本体部において、前記電気光学装置の側面に対向する側壁部を有し、前記側壁部は、その表面積を増大させる第2表面積増大部を備えている。
この態様によれば、カバーには側壁部が含まれ、且つ、該側壁部には第2表面積増大部が備えられていることにより、該カバーの放熱能力、或いは冷却能力は高められている。したがって、カバーは殆ど常に、好適に冷却された状態に維持されるということができるから、電気光学装置の冷却も極めて効率的に実施されることになる。また、該側壁部は、電気光学装置の側面に対向する部分であることから、カバー全体において占める割合は、そもそも当初より大きいということができる。本態様では、このようなカバー全体の中で比較的広範な面積を有している側壁部において、前記第2表面積増大部が備えられていることにより、カバー全体の面積増大効果をより効果的に享受できることになる。
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記冷却風導入部は、前記冷却風を前記側壁部へ送るための導風部を含み、前記冷却風散逸防止部は、前記導風部を含む。
この態様によれば、冷却風導入部及び冷却風散逸防止部に含まれる導風部が、冷却風を側壁部へと送る。これにより、該側壁部に備えられている前記第2表面積増大部の作用効果をより効果的に発揮させることができる。
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記第1表面積増大部及び前記第2表面積増大部の少なくとも一方は、前記カバーの表面に突出する様に形成されたフィン及び前記カバーの表面に窪みをつけるように形成されたディンプルの少なくとも一方を含む。
この態様によれば、比較的容易にカバーの表面積を増大させることができる。
なお、本態様にいう「フィン」は、カバー本体を形成するのに併せて又はその後に、例えば切削加工、鍛造加工、プレス加工、射出成形又は鋳造等により形成することが可能である。
また、本態様にいう「ディンプル」と前記の「フィン」との相違点は、「カバーの表面」を基準面として突出しているか、或いは凹んでいるかということにある。
或いは、場合により、本態様にいう「ディンプル」は、「当該実装ケース入り電気光学装置に対して送られてくる冷却風の流れを全く阻害しない」という属性を有していてもよい。この観点からすると、前記のフィンは、前記冷却風の流れを全く阻害しないということはない、という属性を有するものと解した上で、この点について、ディンプル及びフィン間の相違点を設定するという考え方を採ることも可能である。
また、本態様にいう「窪みをつけるように」とは、当該ディンプルをカバーの表面に実際に形成する場合において、実際に「窪みをつける」ような加工を実施しなければならないということを意味しない。当該ディンプルの形成方法としては、前記のフィンと同様、カバー本体を形成するのに併せて又はその後に、例えば切削加工、鍛造加工、プレス加工、射出成形又は鋳造等により形成することが可能である。
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記フィンは、前記冷却風の流れに沿うようにして形成されている。
この態様によれば、フィンは、実装ケース入り電気光学装置に対して送られてくる冷却風の流れに沿うようにして形成されているから、当該フィンに起因するカバーの冷却効果を効果的に引き出すことができる。
すなわち仮に、フィンが冷却風の流れを阻害するように形成されているとすると、当該冷却風は、それ以降の部分に流れることが困難となるため、カバーの冷却を効果的に行うことができなくなる。しかし、フィンが冷却風の流れに沿うようにして形成されていれば、当該フィンが冷却風の流れをストップするということがなく、カバー全体に冷却風を行き渡らせることが可能である。これにより、本態様によればカバーの冷却を効果的に行うことができるのである。
なお、本態様の「フィンは、冷却風に沿うようにして形成されている」とは、具体的には次のような各場合を含む。例えば第一に、冷却風がカバー周囲を直線的に流れているという場合には、フィンが、当該方向に一致するように形成されているという場合を含む。第二に、冷却風がカバー周囲を渦巻くように流れているという場合においては、当該フィンのカバー上の設置場所に応じて、当該フィンが、その方向を変じて形成されているなどという場合を含む。その他、実装ケース入り電気光学装置を中心として、冷却風がやや不規則な流れをみせる場合においても、当該フィンのカバー上の設置場所に応じて、当該フィンが、前記不規則な流れの方向の全部又は一部に一致するように、その方向を変じて形成されているなどという場合も含む。
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記フィンは、第1列のフィンと、これに平行に延在する第2列のフィンとを含み、前記第1列のフィンと前記第2列のフィンとの間の間隔は1mm以上とされている。
この態様によれば、前記フィンは、第1列のフィンと第2列のフィンからなる。ここで、これら「第1列のフィン」及び「第2列のフィン」としては、具体的には例えば、比較的長い直線状に延在するフィン等が、それに該当すると考えることができる。
そして、本態様においては、このような二列のフィンの間隔が1mm以上とされている。これにより、当該実装ケース入り電気光学装置に向けて送り込まれた冷却風を、前記二列のフィン間にも無理なく行き届かせることが可能となる。
特に、投射型表示装置内に本発明に係る実装ケース入り電気光学装置を装着する場合を想定すると、該投射型表示装置に別途設置される冷却ファンと当該実装ケース入り電気光学装置とは、通常、他の構成要素を配置等しなけれならない関係から、相当程度距離を離して設置しなければならなかったり、両者間の位置関係を完全に対向させるように配置することが困難な場合が想定される。このような場合、実装ケース入り電気光学装置には、静圧が低く、風量が小さい冷却風しか送られてこないことが考えられることになる。
ここで本態様においては、前述のように二列のフィン間の距離が1mm以上と比較的大きく設定されていることから、これら二列のフィン間にも、前述のような静圧が低く風量が小さい冷却風を吹きぬかせることが可能となる。そして、これによれば、冷却風に曝されることになるフィンの表面積が増大することになるから、当該フィンの放熱性は更に向上することになる。
したがって、本態様によれば、カバー全体の放熱能力を更に向上させることができる。
本発明の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、前記カバーは、高熱伝導率材料から構成されている。
この態様によれば、カバーが高熱伝導率材料からなるから、前記の冷却風散逸防止部、第1及び第2表面積増大部等に起因する作用効果とも相俟って、カバーの放熱能力をより高めることができる。
なお、本態様にいう「高熱導電率材料」とは、具体的には例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅又はこれらそれぞれの合金等を好適には挙げることができる。
本発明の他の実装ケース入り電気光学装置の他の態様では、上記課題を解決するために、画像表示領域に光源から投射光が入射される電気光学装置と、該電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、前記電気光学装置を覆い前記プレートと当接する部分を有するカバーとからなり、前記電気光学装置における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部を前記プレート及び前記カバーの少なくとも一方で保持して当該電気光学装置を収納する実装ケースとを備える。そして、前記カバーは、カバー本体部及び冷却風導入部を含み、該冷却風導入部は尖鋭形状を有するスロープ部を有している。
この態様によれば、前述したスロープ部を含む本発明の実装ケース入り電気光学装置と略同様な作用効果が得られることになる。
本発明の他の実装ケース入り電気光学装置は、画像表示領域に光源から投射光が入射される電気光学装置と、該電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、前記電気光学装置を覆い前記プレートと当接する部分を有するカバーとからなり、前記電気光学装置における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部を前記プレート及び前記カバーの少なくとも一方で保持して当該電気光学装置を収納する実装ケースとを備える。そして、前記カバーは、冷却風導入部を含み、前記冷却風導入部は、当該実装ケース入り電気光学装置に向けて送られてきた冷却風を前記画像表示領域へ向けて流すための冷却風案内部を有していることを特徴とする。
本発明の実装ケースは、上記課題を解決するために、画像表示領域に光源から投射光が入射される電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、前記電気光学装置を覆い前記プレートと当接する部分を有するカバーとからなり、前記電気光学装置における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部を前記プレート及び前記カバーの少なくとも一方で保持して当該電気光学装置を収納する。そして、前記カバーは、カバー本体部及び冷却風導入部を含み、前記冷却風導入部は、当該実装ケース入り電気光学装置に向けて送られてきた冷却風を前記カバー本体部へ向けて流すための冷却風散逸防止部を有している。
本発明の実装ケースによれば、前述の本発明の実装ケース入り電気光学装置に使用されて好適な実装ケースを提供することができる。
本発明の投射型表示装置は、上記課題を解決するために、前述の本発明の実装ケース入り電気光学装置(但し、その各種態様を含む)と、前記光源と、前記投射光を前記電気光学装置に導く光学系と、前記電気光学装置から出射される投射光を投射する投射光学系と、前記実装ケース入り電気光学装置に対して冷却風を送出する冷却風送出部とを備えている。
本発明の投射型表示装置によれば、前述の本発明の実装ケース入り電気光学装置を具備してなるから、前記の冷却風散逸防止部が備えられていることにより、また、当該投射型表示装置には前記冷却風送出部が設けられていることにより、電気光学装置の効果的な冷却を実現することができるから、より高品質な画像を表示することが可能である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(投射型液晶装置の実施形態)
まず、図1を参照して、本発明による投射型液晶装置の実施形態について、その光学ユニットに組み込まれている光学系を中心に説明する。本実施形態の投射型表示装置は、実装ケース入りの電気光学装置の一例たる液晶ライトバルブが3枚用いられてなる複板式カラープロジェクタとして構築されている。
図1において、本実施形態における複板式カラープロジェクタの一例たる、液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された電気光学装置を含む液晶ライトバルブを3個用意し、夫々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。
液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに夫々導かれる。この際特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
本実施形態のライトバルブ100R、100G及び100Bとしては、例えば、後述の如きTFTをスイッチング素子として用いたアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置が使用される。また、当該ライトバルブ100R、100G及び100Bは、後に詳述するように実装ケース入り電気光学装置として構成されている。
また、この液晶プロジェクタ1100には、図1に示すように、ライトバルブ100R、100G及び100Bに冷却風を送るためのシロッコファン1300(本発明にいう「冷却風送出部」の一例に該当する。)が設けられている。このシロッコファン1300は、その側面に複数のブレード1301を備えた略円筒形状の部材を含んでおり、該円筒形状の部材がその軸を中心として回転することで前記ブレード1301が風を生じさせるようになっている。なお、このような原理から、シロッコファン1300で作り出される風は、図1に示されるように、らせん状に渦巻いたものとなる。
このような風は、図1において図示されない風路を通じて各ライトバルブ100R、100G及び100Bに送給され、各ライトバルブ100R、100G及び100Bの近傍に設けられた吹き出し口100RW、100GW及び100BWから、これらライトバルブ100R、100G及び100Bに対して送り出されるようになっている。
ちなみに、前述したようなシロッコファン1300を用いれば、静圧が高くライトバルブ100R、100G及び100B周囲の狭い空間にも風を送りやすいという利点が得られる。
以上説明した構成においては、強力な光源たるランプユニット1102からの投射光により各ライトバルブ100R、100G及び100Bで温度が上昇する。この際、過度に温度が上昇してしまうと、各ライトバルブ100R、100G、100Bを構成する液晶が劣化したり、光源光のむらによる部分的な液晶パネルの加熱によるホットスポットの出現により透過率にムラが生じたりする。そこで、本実施形態では特に、各ライトバルブ100R、100G、100Bは、後述のように、電気光学装置を冷却する能力を有する実装ケースを備えている。このため、後述の如く各ライトバルブ100R、100G、100Bの温度上昇は効率的に抑制されている。
なお、本実施形態では好ましくは、液晶プロジェクタ1100のハウジング内には、各ライトバルブ100R、100G、100Bの周辺空間に、冷却媒体を流す循環装置等からなる冷却手段を備える。これにより、後述の如き放熱作用を持つ実装ケース入りの電気光学装置からの放熱を一層効率的に行うことができる。
(電気光学装置の実施形態)
次に本発明の電気光学装置に係る実施形態の全体構成について、図2及び図3を参照して説明する。ここでは、電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。本実施形態に係る電気光学装置は、上述した液晶プロジェクタ1100における液晶ライトバルブ100R、100G、100Bとして使用されるものである。ここに、図2は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た電気光学装置の平面図であり、図3は、図2のH−H’断面図である。
図2及び図3において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。即ち、本実施形態の電気光学装置は、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適している。
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
画像表示領域の周辺に広がる領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する周辺領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。更にTFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられている。また図2に示すように、対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナーに対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
図3において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
尚、図2及び図3に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
このように構成された電気光学装置の場合、その動作時には、図3の上側から強力な投射光が照射される。すると、対向基板20、液晶層50、TFTアレイ基板10等における光吸収による発熱によって、当該電気光学装置の温度が上昇する。このような温度上昇は、液晶層50等の劣化を早めると共に、表示画像の品位を劣化させる。
そこで、本実施形態では特に、以下に説明する実装ケース入り電気光学装置によって、このような温度上昇を効率的に抑制している。
(実装ケース入り電気光学装置―第1実施形態―)
次に、図4から図14を参照して、本発明の第1実施形態に係る実装ケース入り電気光学装置について説明する。
ここではまず、図4から図14を参照して、第1実施形態に係る実装ケースの基本構成について説明する。ここに、図4は第1実施形態に係る実装ケースを、前述した電気光学装置とともに示す分解斜視図であり、図5は当該実装ケース入りの電気光学装置の正面図、図6は図5のX1−X1´断面図、図7は図5のY1−Y1´断面図であり、図8は図5のZ1方向から臨んだ後面図である。なお、図4から図8は、電気光学装置を内部に収容した状態における実装ケースを夫々示している。また、図9は当該実装ケースを構成するプレート部の正面図、図10は図9のZ2方向から臨んだ後面図であり、図11は図9のZ3方向から臨んだ側面図である。さらに、図12は当該実装ケースを構成するカバー部の正面図、図13は図12のZ4方向から臨んだ後面図であり、図14は図12のZ5方向から臨んだ側面図である。
図4から図8に示すように、実装ケース601は、プレート部610とカバー部620とを備える。実装ケース601内に収容される電気光学装置500は、図2及び図3に示した電気光学装置に加えて、その表面に重ねられた反射防止板等の他の光学要素とを備えてなり、更にその外部回路接続端子にフレキシブルコネクタ501が接続されてなる。尚、偏光板や位相差板は、液晶プロジェクタ1100の光学系に備えるようにしても良いし、電気光学装置500の表面に重ねてもよい。
また、TFTアレイ基板10及び対向基板20それぞれの液晶層50に対向しない側には、防塵用基板400が設けられている(図4、図6及び図7参照)。
この防塵用基板400は、所定の厚さを有するよう構成されている。これにより、電気光学装置500の周囲に漂うゴミや埃等が、該電気光学装置の表面に直接に付着することが防止される。したがって、拡大投射された画像上に、これらゴミや埃の像が結ばれるという不具合を有効に解消することができる。これは、防塵用基板400が所定の厚さを有することで、光源光の焦点ないしその近傍が、該ゴミや埃が存在する位置、すなわち、防塵用基板400表面からは外れることによるデフォーカス作用を奏する。
このようにTFTアレイ基板10及び対向基板20並びに防塵用基板400等を備えた電気光学装置500は、図4等に示すように、プレート部610及びカバー部620からなる実装ケース601内に収容されているが、これら電気光学装置500及び実装ケース601間には、図6及び図7に示すように、モールド材630が装填されている。このモールド材630によって、電気光学装置500及び実装ケース601間の接着が確実に行われるとともに、前者の後者の内部における位置ずれの発生が極力防止される。
なお、第1実施形態においては、カバー部620の側から光が入射し、電気光学装置500を透過して、プレート部610の側から出射するということを前提とする。つまり、図1でいえば、ダイクロイックプリズム1112に対向するのは、カバー部620ではなくて、プレート部610ということになる。
さて、以下では実装ケース601を構成するプレート部610及びカバー部620の構成についてのより詳細な説明を行う。
まず第一に、プレート部610は、図4から図11に示すように、平面視して略四辺形状を有する板状の部材であって、電気光学装置500の一面に対向するように配置される。第1実施形態では、プレート部610と電気光学装置500とは相互に直接に当接し、後者が前者に載置されるが如き状態が採られる。
より詳細には、プレート部610は、窓部615、強度補強部614、折り曲げ部613、カバー部固定孔612、並びに取付孔611a乃至611d及び611eを有する。
窓部615は、略四辺形状を有する部材の一部が開口形状に形成されており、例えば図6中、上方から下方への光の透過を可能とする部分である。電気光学装置500を透過してきた光の出射は、この窓部615によって可能となる。なお、これにより、プレート部610上に電気光学装置500を載置した場合には、該電気光学装置500における画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域が、窓部615の辺縁に当接されるが如き状態になる。プレート部610は、このようにして電気光学装置500の保持を実現する。
強度補強部614は、略四辺形状を有する部材の一部を、他の部分の平面からみて盛り上げるような加工を施すことによって形成されており、立体的な形状を有する部分である。これにより、該プレート部610の強度は補強されることになる。なお、該強度補強部614は、電気光学装置500の一辺に略接するが如き位置に形成するとよい。図7参照。ただし、図7では、両者は厳密には接していない。
折り曲げ部613は、略四辺形状を有する部材の対向する二辺それぞれの一部が、該四辺形状の内側に向かって折り曲げられている部分である。この折り曲げ部613の外側面は、プレート部610及びカバー部620の組み付け時、該カバー部620の内側面に接するようにされている(図6参照)。また、該折り曲げ部613の内側面は、モールド材630を介して電気光学装置500の外側面に接するようにされている(同じく図6参照)。これにより、プレート部610上における電気光学装置500のある程度の位置決めが実現されることになる。
加えて、折り曲げ部613の内側面が、モールド材630を介して電気光学装置500の外側面に接するようにされていることは、後者から前者への熱の吸い上げを可能とする。すなわち、プレート部610を、電気光学装置500に対するヒートシンクとして機能させることが可能となる。これによれば、ランプユニット1102による電気光学装置500に対する強力な光照射によって、該電気光学装置500における熱の蓄積の生じることを有効に防止することができる。
また、該折り曲げ部613の外側面は、前述のようにカバー部620の内側面に接していることから、前者から後者への熱の伝達も実現されることになる。このように、電気光学装置500からの熱の奪取は、原理的には、プレート部610及びカバー部620の双方において観念される熱容量の分だけ行い得るから、当該電気光学装置500の冷却は、極めて有効に行われることになる。
カバー部固定孔612は、カバー部620において対応する位置に形成された凸部621と嵌合するための孔部である。プレート部610及びカバー部620とは、このカバー部固定孔612及び凸部621が互いに嵌合することによって相互に固定される。なお、第1実施形態においては、該カバー部固定孔612は、各図に示すように、二つの孔部からなる。以下、これらの区別が必要な場合には、カバー部固定孔612a及び612bと呼ぶことがある。また、これに対応するように、前記凸部621もまた、二つの凸部からなる。以下、これらの区別が必要な場合には、凸部621a及び621bと呼ぶことがある。
取付孔611a乃至611dは、当該実装ケース入り電気光学装置を、図1に示した如き液晶プロジェクタ1100内に取り付けする際に利用される。第1実施形態においては、該取付孔611a乃至611dは、略四辺形状を有する部材の四隅に設けられている。また、第1実施形態では、該取付孔611a乃至611dの他に、取付孔611eが設けられている。この取付孔611eは、前記の取付孔611a乃至611dのうち、取付孔611c及び611dとともに、三角形を形作るように配置されている。すなわち、取付孔611e、611c及び611dは、三角形の「各頂点」に配置されるように形成されている。これにより、第1実施形態では、四隅の取付孔611a乃至611dを用いた四点固定を実施すること、及び、取付孔611e、611c及び611dを用いた三点固定を実施することの双方が可能となっている。
次に第二に、カバー部620は、図4から図8及び図12から図14に示すように、略立方体形状を有する部材であって、電気光学装置500の他の面に対向するように配置される。
このカバー部620は、電気光学装置500の周辺領域における光抜けを防止すると共に周辺領域から迷光が画像表示領域10a内に進入するのを防ぐように、好ましくは遮光性の樹脂、金属製等からなる。また、該カバー部620は、プレート部610、或いは電気光学装置500に対するヒートシンクとして機能させることが好ましいから、該カバー部620は、熱伝導率の比較的大きい材料、より具体的には、アルミニウム、マグネシウム、銅又はこれらそれぞれの合金等から構成するようにするとよい。
カバー部620にはまた、凸部621が形成されている。この凸部621は、既に述べたように、プレート部610との固定の際に用いられ、前記カバー部固定孔612a及び612bそれぞれに対応する位置に、二つの凸部621a及び621bを含むものとして形成されている。なお、第1実施形態に係る凸部621は、図5に示されるように、すぐ後に述べる冷却風導入部622、ないしは後述するテーパ部622Tの一部を構成するようにして形成されている。図5の視点からは、本来凸部621は図示されないが、図5では特にこれを示した。
そして、本実施形態においては特に、カバー部620は、より詳細には、冷却風導入部622、カバー本体部623及び冷却風排出部624を有する。なお、第1実施形態において、これら三つの部分(622、623及び624)は、すべて一体的に構成されている。
第一に、冷却風導入部622は、図4、図5、図7、図12、或いは図14等によく示されているように、いずれも本発明にいう「冷却風散逸防止部」もしくは「冷却風案内部」の一例を構成するテーパ部622T及び導風板622Pからなる。
第1実施形態において、本発明にいう「スロープ部」の一例を構成するテーパ部622Tは、概略、その底面が直角三角形となる三角柱の如き外形を有している。そして、テーパ部622Tは、カバー本体部623の一側面に、前記三角柱の一側面が付着されたような外形を呈している。この場合、当該三角柱の一側面は、該三角柱の底面における直角部とこれに隣接する角部との間に挟まれた辺を含んでいる。したがって、テーパ部622Tは、カバー本体部623の側面上において最大高さとなる根元部622T1を有する。ただし、ここでいう「高さ」とは、図7中、上下方向の距離をいう。図7では目安として当該方向に延びる破線を示した。そして、根元部622T1から次第に高さを減じた先端部622T2を有するという形状となっている。このような形態となるテーパ部622Tは、「尖鋭形状」を有しているということができる。そして、このような尖鋭形状を有しているテーパ部622Tを含むカバー部620は、前記尖鋭形状の一部を構成する前記先端部622T2が冷却風の流れに対向するように配置されることになる。後述の図15及びそれに関する説明参照。
一方、導風板622Pは、前記三角柱の底面において直角部を除く他の二角に挟まれた一辺に沿って立設された壁の如き外形を呈している。前記「高さ」を用いて説明すると、該導風板622Pの高さは、前記根元部622T1から前記先端部622T2へ向けてテーパ部622Tの高さが減ずるにもかかわらず、これら根元部622T1及び先端部622T2間のどの部分においても一定である。
このような形態で設置されている導風板622Pは、前記テーパ部622Tにおける一つの側面622TFを両側から囲うように形成されているということができる。図4参照。なお、この側面622TFは、本発明にいう「スロープ部を構成する面」として典型的に想定されるものの一例である。
続いて第二に、カバー本体部623は、図4から図8及び図12から図14に示されているように、概略、直方体形状を有する部材であって、前述の冷却風導入部622及び後述の冷却風排出部624間に挟まれるようにして存在している。
ただし、前記の直方体形状の内方は、電気光学装置500を収容するため、いわばくり抜かれたような状態となっている。すなわち、カバー本体部623は、より正確にいえば、蓋なき箱型の如き形状を有する部材となっている。なお、このような表現によれば、ここにいう「蓋」としては、前記プレート部610が該当すると考えることができる。
このカバー本体部623は、より詳細には、窓部625及びサイドフィン部627を有している。なお、サイドフィン部627は、本発明にいう「第2表面積増大部」、或いは「フィン」の一例に該当する。
このうちまず、窓部625は、前記箱型の形状の底面(図4、あるいは図6等では、「上面」ということになる。)が開口形状に形成されており、図6中、上方から下方への光の透過を可能とする部分である。図1に示した液晶プロジェクタ1100内のランプユニット1102から発せられた光は、この窓部625を通過して電気光学装置500に入射可能となる。また、この窓部625の辺縁は、図7によく示されているように、テーパ形状を有している。これにより、前記のテーパ部622Tにおける側面622TFと、電気光学装置500の図7中上方の面500Fとは「連続」するようになっている。すなわち、第一に、前記側面622TFは、窓部625が形成されているカバー本体部623の図7中上方の面623Fと直角でない角度で交わり、第二に、この面623Fは、前記窓部625の辺縁のテーパ形状を構成する面625Fと直角でない角度で交わり、第三に、この面625Fは、前記面500Fとやはり直角でない角度で交わるようになっている。これにより、各面622TF、623F、625F及び500F間に段差等が形成されることはなく、当該各面は、いわばなだらかに連なるようになる。
なお、このような窓部625を有するカバー本体部623においては、プレート部610における窓部615に関して述べたのと同様に、電気光学装置500における画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域を、窓部625の辺縁に当接させるように構成してよい。図7参照。これによれば、カバー本体部623、特にその窓部625の辺縁によっても、電気光学装置500の保持を実現することが可能となる。
次に、サイドフィン部627は、カバー本体部623の両側面に形成されている。ただし、ここにいう両側面とは、前述の冷却風導入部622及び後述の冷却風排出部624が存在する側面以外の側面をいう。また、この両側面(以下では、これら両側面を「側壁部62W」と呼ぶこととする。)のそれぞれは、例えば図6等からわかるように、電気光学装置500の一側面及び該一側面に対向する他の側面にそれぞれ対向する。さらに、側壁部62Wの内側面には、カバー部620及びプレート部610の組み付け時、プレート部610における折り曲げ部613の外側面が接するようにされている。図6参照。以上より、第1実施形態に係る側壁部62Wは特に、前記折り曲げ部613を介して、電気光学装置500の前記一側面及び他の側面に対向しているということができる。
このサイドフィン部627は、より詳しくは、図4、あるいは図6及び図13等によく示されているように、冷却風導入部622から冷却風排出部624へ向けて、前記側面から直線状に突出した部分が複数並列した形状を含んでいる。第1実施形態においては特に、直線状のフィンが二列並列されるようにして形成されている。このようなサイドフィン部627の存在により、カバー本体部623、ないしはカバー部620の表面積は増大することになる。とりわけ、第1実施形態においては、サイドフィン部627が、カバー部620全体において占める割合が比較的大きい側壁部62Wに形成されていることから、前述の表面積増大効果はより効果的に享受されることになる。
ちなみに、前述のような形状を有するサイドフィン部627は、カバー部620を形成するのに併せて又はその後に、例えば切削加工、鍛造加工、射出成形又は鋳造等により形成することが可能である。このような方法によれば、当該サイドフィン部627を比較的容易に形成することができる。
続けて第三に、冷却風排出部624は、図4、図5、図8、図12、或いは図13等によく示されているように、フレキシブルコネクタ導出部624C及びリアフィン部624Fからなる。このうちフレキシブルコネクタ導出部624Cは、前記テーパ部622Tが形成されているカバー本体部623の側面に対向する側面上に形成されている。より具体的には、図8又は図13に示すように、該側面上に、断面がコの字状となる部材が、該コの字状断面の開口部を図8又は図13中下方に向けて取り付けられたような形状を呈している。電気光学装置500に接続されたフレキシブルコネクタ501は、このコの字に囲われた空間を抜けて、外部へと引き出されるようになっている。
他方、本発明にいう「第1表面積増大部」、或いは「フィン」の一例に該当するリアフィン部624Fは、フレキシブルコネクタ導出部624Cにおける前記コの字状断面のいわば天井板上に設けられている。このリアフィン部624Fは、より詳しくは、図4、図5、図8、図12、或いは図13等によく示されているように、前記のサイドフィン部627たる直線状のフィンが延在する方向と符号を合わせるように、前記天井板から直線状に突出した部分が複数並列された形状を含んでいる。第1実施形態においは特に、リアフィン部624Fは、前記の各図に示すように、「四つ」の直線状のフィンが並列されて構成されている。
ちなみに、これら四つのフィンは、冷却風の流れに沿うようにして形成されている。後の図15及びそれに関する説明参照。また、第1実施形態では、図8及び図13に示されるように、前記四つの直線状のフィン間の間隔gは、それぞれ1mm以上になるようにされている。このようなリアフィン部624Fにより、冷却風排出部624、ないしはカバー部620の表面積は増大することになる。
ちなみに、前述のような形状を有するリアフィン部624Fは、カバー部620を形成するのに併せて又はその後に、例えば切削加工、鍛造加工、射出成形又は鋳造等により形成することが可能である。このような方法によれば、当該リアフィン部624Fを比較的容易に形成することができる。
なお、リアフィン部624Fを構成する四つの直線状のフィン間の間隔gは、「すべて」、上述のように1mm以上とされている。すなわち、例えば図15の一番左に位置する直線状のフィンと、その右隣に位置するフィンとは1mm以上の間隔が空けられており、当該右隣のフィンと、更にその右隣に位置するフィンとは1mm以上の間隔が空けられており、以下同様というようである。この場合、本発明にいう「第1列のフィン」と「第2列のフィン」とは、例えば、前記一番左に位置するフィンとその右隣のフィンとを意味し、或いは当該右隣のフィンと更にその右隣のフィンとを意味するなどというようになる。このように、本発明にいう「第1列のフィン」と「第2列のフィン」とは、実際に形成されているフィンの列数にかかわらず、普遍的に適用され得る概念である。
さて、カバー部620が以上のような構成をとることにより、図1に示した如き液晶プロジェクタ1100に備えられたシロッコファン1300から送られてきた風は、実装ケース601、ないしカバー部620の周囲において、図15に示すように流れることになる。ここに図15は実装ケース入り電気光学装置の斜視図であって、当該実装ケース入り電気光学装置に対する典型的な風の流れ方を示す図である。なお、図1に示した液晶プロジェクタ1100において、図15に示すような冷却風の流れを実現するためには、図1を参照して説明した吹き出し口100RW、100GW及び100BWが、カバー部620を構成する冷却風導入部622と対向するように、実装ケース入り電気光学装置、すなわちライトバルブ100R、100G及び100Bを設置する必要がある。
まず、冷却風は、冷却風導入部622のテーパ部622Tをあたかも駆け上がるようにして、電気光学装置500の面500Fが露出するカバー本体部623へと吹き抜けることになる(符号W1参照)。ここで仮に、テーパ部622T、或いはこれを構成する一部たる先端部622T2が存在しない場合、例えば図15に対する比較例の図である図16に示すように、所定の厚みをもったブロック状部材622Xが、前記テーパ部622Tに代わって存在する場合を仮定すると、冷却風W1Xの流れは、このブロック状部材622Xで一定程度阻害された上、阻害された冷却風W1Xの流れは、そのブロック状部材622Xの面に沿って進むことが考えられる。したがって、該冷却風W1Xがカバー本体部623に向かうということは困難な状況となる。
このような対比から明らかなように、第1実施形態では、カバー部620がテーパ部622Tを備えていることにより、カバー本体部623へ向けて冷却風を効率的に送り出すことが可能となっているのである。
また、冷却風導入部622には、導風板622Pが設けられていることにより、冷却風がどの方向からきても、その大部分をテーパ部622T上、ひいてはカバー本体部623へと導くことが可能となっている(図15中符合W2参照)。
このように、第1実施形態によれば、導風板622Pが効率的に冷却風を集めることによっても、カバー本体部623へ向けて風を効率よく送り出すことが可能となっている。特に、第1実施形態においては、液晶プロジェクタ1100に備えられた冷却風送出部の一例たるシロッコファン1300は、既に説明したように、らせん状に渦巻いた風を送り出す(図1参照)。したがって、実装ケース入り電気光学装置には、図15に示したような変則的な方向に吹く冷却風W2が、比較的多くみられる可能性がある。しかるに、第1実施形態では、導風板622Pが形成されていることにより、そのような変則的に吹く冷却風W2等をも、効率的にカバー本体部623へと送り出すことが可能となっているのである。しかも、第1実施形態では、この導風板622Pは、テーパ部622Tにおいて冷却風が駆け上ってくる側面622TFを囲うように形成されているから、カバー本体部623への冷却風の送り出しは、更に効果的に行われることになる。
以上のようにして冷却風導入部622を通過した冷却風は次に、カバー本体部623に至る。このカバー本体部623は、電気光学装置500を収容しており、また、窓部625を介して該電気光学装置500の面500Fが外部に露出していることから、前述のように送り込まれた冷却風は、当該電気光学装置500それ自体を効率的に冷却することになる。しかも、第1実施形態では特に、窓部625の辺縁がテーパ形状とされていたことで、電気光学装置500の面500Fとテーパ部622Tの側面622TFとが連続していることにより、前記の電気光学装置500の冷却効果はより効果的となる。すなわち、図15の符号W1´に示すように、テーパ部622Tの側面622TFを駆け上った冷却風は、その進行を殆ど妨げられることなく、窓部625が形成されているカバー本体部623の面623F及び窓部625の辺縁を構成する面625F(いずれも図7参照)を吹き抜けていくことにより、電気光学装置500の面500Fに流れ込むことが可能となっている(図15中符号W1´参照)。
なお、冷却風導入部622を通過した冷却風は、上述のように電気光学装置500それ自体を冷却するのみでなく、カバー本体部623、ないしはカバー部620をも冷却することとなるのは言うまでもない。また、第1実施形態においては特に、カバー本体部623には、サイドフィン部627が備えられているから、その表面積増大効果によって、該カバー本体部623ないしはカバー部620、或いは電気光学装置500の、より効率的な冷却が実現されることになる。
さて、カバー本体部623を通過した冷却風は次に、冷却風排出部624へと至る。この冷却風排出部624には、上述のようにリアフィン部624Fが形成されている。このリアフィン部624Fでは、上述のように直線状のフィンが備えられ、冷却風排出部624の表面積が増大されていることから、当該冷却風排出部624ないしカバー部620の効率的な冷却を実現することができる。しかも、第1実施形態においては、前記直線状のフィンが冷却風の流れに沿うようにして形成されていること、また、この直線状のフィン間の間隔gが1mm以上とされていることから、次のような作用効果が得られることになる。
まず、リアフィン部624Fが冷却風の流れに沿うようにして形成されていることから、該リアフィン部624Fが、冷却風の流れを過度に阻害することがなく、該冷却風を、後段へ後段へと自然に導くことが可能となっている(図15中符号W1´参照)。したがって、第1実施形態によれば、該リアフィン部624Fに起因するカバー部620の冷却効果を効果的に引き出すことができる。
なお、図15の冷却風W2をみるとわかるように、前記直線状のフィンの延在方向とは必ずしも一致しない方向に冷却風が吹く場合も当然にあり得る。また、液晶プロジェクタ1100に備えられたシロッコファン1300は、既に説明したように、らせん状に渦巻いた風を送り出す(図1参照)。したがって、厳密にいうと、冷却風は、ライトバルブ100R、100G又は100Bたる実装ケース入り電気光学装置に対して必ずしも直線的な方向でもって流れるとは限らないということができる。しかしながら、第1実施形態に係るリアフィン部624Fは、これらの事情を考慮するとしても、本発明にいう「冷却風の流れに沿うようにして」形成されているという場合に含まれる。これは、前記の事情の存在にもかかわらず、図15に示す冷却風の流れの大勢は、冷却風導入部622、カバー本体部623及び冷却風排出部624の順に流れているとみることができるからである。
このように、本発明の「フィンは、冷却風に沿うようにして形成されている」というのは、フィンが、冷却風の流れに厳密に或いは完全に一致して形成されている場合に限るものではない。前述のように、実装ケース入り電気光学装置を中心として、フィンが、冷却風の流れの大勢の方向に一致して形成されているという場合も含むのである。
他方、リアフィン部624Fを構成する直線状のフィン間の間隔gが1mm以上とされていることから、図15に示す冷却風W1´の静圧が低く風量が低い場合であっても、当該冷却風W1´を前記直線状のフィン間に無理なく行き届かせることが可能となる。特に、第1実施形態では、実装ケース入り電気光学装置が、図1に示したような液晶プロジェクタ1100のライトバルブ100R、100G又は100Bとして装着されることになるから、当該実装ケース入り電気光学装置、即ち、ライトバルブ100R、100G及び100Bとシロッコファン1300とは、他の構成要素、例えば、入射レンズ1122、或いはリレーレンズ1123等を配置しなけれならない関係から、相当程度距離を離して設置しなければならなかったり、両者間の位置関係を完全に対向させるように配置することが困難となっている。このような場合、実装ケース入り電気光学装置には、静圧が低く、風量が小さい冷却風しか送られてこないことが考えられることになる。
ここで第1実施形態においては、前述のように直線状のフィン間の間隔gが1mm以上と比較的大きく設定されていることから、該間隔gにも、前述のような静圧が低く風量が小さい冷却風を吹きぬかせることが可能となる。そして、これによれば、冷却風に曝されることになるフィンの表面積が増大することになるから、当該フィンの放熱性は更に向上することになる。したがって、第1実施形態によれば、カバー部620全体の放熱能力を更に向上させることができる。
以上のように、第1実施形態に係る実装ケース601では、総じて、電気光学装置500それ自体の効率的な冷却、或いは冷却風によるカバー部620の効率的な冷却が実現されるようになっている。そして、このことは、前述のように電気光学装置500、プレート部610及びカバー部620の順に伝達される熱を、最終的に外部へと放散するのに非常に有効である。また、カバー部620が効率的に冷却されるということは、電気光学装置500から折り曲げ部613等を介してプレート部610に、あるいはカバー部620へという熱の流れを、いつでも有効に維持しうることを意味する。すなわち、カバー部620は、常態において好適に冷却された状態にあるから、ヒートシンクとしての機能をいつでも有効に維持することにより、該カバー部620からみて、プレート部610からの熱の奪取、ひいては電気光学装置500からの熱の奪取をいつでも有効に行い得るのである。なお、これに加えて、第1実施形態におけるカバー部620を、上述のようにアルミニウム、マグネシウム、銅又はこれらそれぞれの合金等のような高熱伝導率材料からなるように構成すれば、前記の作用効果は更に効果的に発揮されることになるのは言うまでもない。
よって、第1実施形態においては、電気光学装置500が過剰に熱を蓄えこむということがないから、液晶層50の劣化、あるいはホットスポットの発生等は未然に防止されることになり、これに基づく画像の劣化等を招くおそれは極めて低減されることになる。
なお、上記第1実施形態においては、冷却風排出部624に、リアフィン部624Fが形成されていたが、本発明においては、場合により、図17に示すような構造を採用してもよい。ここに図17は、図15と同趣旨の図であって、リアフィン部624Fが形成されていない態様を示すものである。この図17では、冷却風排出部624に、リアフィン部624Fが形成されておらず、これに代えて、テーパ部622Tと略同様な形態を呈するテーパ部624Tが形成されている。このようなテーパ部624Tの存在によれば、図7を用いて説明したようなテーパ部622Tの側面622TF、カバー本体部623の面623F及び窓部625の辺縁の面625F間で実現されていた各面の「連続」が、冷却風排出部624においても実現されることになる。したがって、図17のような構造によれば、カバー本体部623から冷却風排出部624へ抜ける冷却風の流れを、図15よりもスムースにすることができる(図中符号W1´´参照)。このように、本態様では、カバー部620全体において、冷却風の滞りのない流れを実現することにより、カバー部620の効率的な冷却を実現することができる。
ただし、この図17のような形態と図15に示したような形態とにおいて、カバー部620の冷却効率の点でどちらが優れているかを一概に決することはできない。すなわち、図17では、上述のように、テーパ部624Tによってカバー部620周囲を流れる冷却風の流れをスムースにすることにより、カバー部620の冷却を図っているのに対して、図15では、リアフィン部624Fによってカバー部620全体の表面積を増大することにより、カバー部620の冷却を図っているが、これらの構造及び作用は、互いに相補的な関係にあるから、一方が他方に対して絶対的に優れているとは言えないのである。即ち、リアフィン部624Fを設ければ冷却風の流れのスムースさが犠牲になり、テーパ部624Tを設ければ表面積増大効果は得られない。本発明においては、前記のような関係を中心に、当該実装ケース入り電気光学装置の液晶プロジェクタ1100内における設置位置、或いは冷却風の性質等に配慮した上で、適宜、より好ましい形態を採用するようにすればよい。
ちなみに、上述したような、リアフィン部624Fとテーパ部624Tとの関係は、冷却風導入部622に関しても同様にあてはめて考えることができる。すなわち、図15と同趣旨の図となる図18に示すように、冷却風導入部622においても、フロントフィン部622Fを形成することにより、カバー部620全体の表面積を増大させることができるが、これによると、前述したような冷却風の導入効果は相応に減殺されることになる。したがって、この場合においても、どちらの構造及び作用が優れているかを一概に決することはできず、前述のような配慮をした上で、適宜、より好ましい形態を採用するようにしてよい。
また、上記第1実施形態においては、導風板622Pは、テーパ部622Tの側面622TFを両側から囲うように形成されていたが、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、図15と同趣旨の図となる図19に示すように、前記側面622TFの両側に立設されるかの如き導風板622P間に、別の導風板622PCを渡すような形で設ける形態を採用してもよい。ただし、窓部625が形成されているカバー本体部623の面623Fと前記別の導風板622PCの下面との間には、所定の隙間が形成されるようになっている。この場合、側面622TFは、二枚の導風板622P及び導風板622PCによって、ほぼ完全に囲われるような状態となるから、カバー本体部623への冷却風の送り出しは、より効率的に行われ得ることになる(図19中符号W1´´´参照。)。
(実装ケース入り電気光学装置―第2実施形態―)
次に、図20及び図21を参照して、第2実施形態に係る実装ケース入り電気光学装置について説明する。ここに図20及び図21は、それぞれ、図12及び図15と同趣旨の図であって、冷却風導入部622Tに導風部が設けられている点につき異なるものを示すものである。なお、第2実施形態では、上述した「投射型表示装置」、「電気光学装置」及び「実装ケース入り電気光学装置」の主要な部分に係る構成及び作用は、上記の第1実施形態と全く同様である。したがって、以下では、これらの説明については省略することとし、主に第2実施形態において特徴的な部分についてのみ説明を加えることとする。
第2実施形態では、カバー部620の冷却風導入部622Tは、冷却風を前記サイドフィン部627が形成された側壁部62Wへ送るための導風部628を含んでいる。なお、この導風部628は、前記の導風板622P、或いはテーパ部622Tに加えて、本発明にいう「冷却風散逸防止部」の一例に該当する。
導風部628は、より詳しくは、図20及び図21に示すように、導風板622Pにおけるテーパ部622Tの側面622TFに対向しない面(以下、「導風板622Pの外側面」ということがある。)と、側壁部62Wの外側面とを、滑らかにつなぐような形態を呈している。
このような導風部620を備えることにより、次のような作用効果が奏される。すなわち、上述のような導風部628が設けられていない場合においては、導風板622Pの外側に向けて吹いてきた冷却風は、導風板622Pの外側面でその進行が阻害された上、これがカバー本体部623へと向かうためには困難な状況が生じる(図16中の符号W3参照。)。しかるに、第2実施形態においては、図21に示すように、導風板622Pの外側面に向けて吹いてきた冷却風W3は、導風部628を伝うようにして、サイドフィン部627が形成された側壁部62Wに有効に送り込まれることになる。これにより、サイドフィン部627の有効利用が図られることになり、該サイドフィン部627の作用効果をより効果的に発揮させることができることになる。したがって、第2実施形態においては、前記第1実施形態にも増して、カバー部620の放熱能力をより高めることができ、或いは電気光学装置500の冷却効果を効果的に引き出すことができる。
なお、上記各実施形態においては、本発明にいう「表面積増大部」の具体例としては、フィンについてのみ言及されていたが、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、図22及び図23のような形態を採用することができる。ここに図22は、図12と同趣旨の図であって、冷却風排出部624において、ディンプルが形成されている態様を示すものであり、図23は、図22のW−W´線断面図であって、特にディンプルの断面形状のみを示すものである。
これら図22及び図23においては、冷却風排出部624において、リアフィン部624Fに代えて、ディンプル624Dが形成されている。このディンプル624Dは、フレキシブルコネクタ導出部624Cの天井面を埋めるようにして複数形成されている。
このようなディンプル624Dを備えることにより、カバー部620表面積は増大されることとなるのは言うまでもない。したがって、本変形形態によれば、前記第1及び第2実施形態と同等、或いはそれ以上に、カバー部620の効果的な冷却を実現することができ、もって電気光学装置500の効果的な冷却を実現することができる。
なお、図22及び図23に示したディンプル624Dと、前述のリアフィン部624を構成する直線状のフィンとの相違点は、「カバーの表面」を基準面F(図23参照)として突出しているか、或いは凹んでいるかということにある。図23においては、仮に、当該フィンが形成されたとした場合における断面図の様子を破線でもって併せて示した。
或いは、場合により、本発明にいう「ディンプル」は、「当該実装ケース入り電気光学装置に対して送られてくる冷却風の流れを全く阻害しない」という属性を有していてもよい。本変形形態に係るディンプル624Dは、このような属性を有しているということができる。すなわち、図23に示すように、該図において紙面向こう側からこちら側へ流れる冷却風W4は、ディンプル624Dの存在によって、その流れが阻害されるということが全くない。他方、この観点からすると、図23に併せて示した直線状のフィンは、冷却風の流れを全く阻害しないということはない、という属性を有するものと解することができる(特に、図23の冷却風W5参照。ただし、この冷却風W5は、紙面向こう側で遮られている。)。したがって、「ディンプル」及び「フィン」間の相違点は、このような点にあるという考え方を採ることも可能である。
また、本発明において、「ディンプル」の具体的形状は、図22及び図23に示すような、平面視して円形状のものに限られない。例えば、長手方向に溝が掘られたような形態のものも含む。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う実装ケース入り光学装置及び投射型表示装置並びに実装ケースもまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。電気光学装置としては液晶パネルの他に、電気泳動装置やエレクトロルミネッセンス装置、プラズマディスプレイ装置、Field Emission Display 及び Surface-Conduction Electron-Emitter Display 等の電子放出素子を用いた装置等にも適用できる。
本発明に係る投射型液晶装置の実施形態の平面図である。 本発明に係る電気光学装置の実施形態の平面図である。 図2のH−H′断面図である。 本発明の第1実施形態に係る実装ケースを、電気光学装置とともに示す分解斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る実装ケース入り電気光学装置の正面図である。 図5のX1−X1´断面図である。 図5のY1−Y1´断面図である。 図5のZ1方向から臨んだ後面図である。 本発明の第1実施形態に係る実装ケースを構成するプレート部の正面図である。 図9のZ2方向から臨んだ後面図である。 図9のZ3方向から臨んだ側面図である。 本発明の第1実施形態に係る実装ケースを構成するカバー部の正面図である。 図12のZ4方向から臨んだ後面図である。 図12のZ5方向から臨んだ側面図である。 本発明の第1実施形態に係る実装ケース入り電気光学装置の斜視図であって、当該実装ケース入り電気光学装置に対する風の流れを示す図である。 図15に対する比較例の図である。 図15と同趣旨の図であって、リアフィン部が形成されていない態様を示すものである。 図15と同趣旨の図であって、フロントフィン部が形成されている態様を示すものである。 図15と同趣旨の図であって、導風板の態様が異なるものを示すものである。 図12と同趣旨の図であって、冷却風導入部に導風部が設けられている点につき異なるものを示すものである。 図15と同趣旨の図であって、冷却風導入部に導風部が設けられている点につき異なるものを示すものである。 図12と同趣旨の図であって、冷却風排出部においてリアフィン部に代えてディンプルが設けられている点につき異なるものを示すものである。 図22のW−W´線断面図であって、特にリアフィン部を構成する直線状のフィン及びディンプルの断面形状のみを示すものである。
符号の説明
10…TFTアレイ基板
20…対向基板
400…防塵用基板
50…液晶層
500…電気光学装置
500F…(電気光学装置の画像表示領域における)面
601…実装ケース
610…プレート部
620…カバー部
622…冷却風導入部
622T…テーパ部
622T2…先端部
622TF…(テーパ部の)側面
622P、622PC…導風板
623…カバー本体部
62W…側壁部
627…サイドフィン部
624…冷却風排出部
624F…リアフィン部
624T…テーパ部
624D…ディンプル
625…窓部
628…導風部
100R、100G、100B…ライトバルブ
1100…液晶プロジェクタ
1102…ランプユニット
1300…シロッコファン

Claims (14)

  1. 実装ケース入り電気光学装置であって、
    画像表示領域に光源から投射光が入射される電気光学装置と、
    該電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、前記電気光学装置を覆い前記プレートと当接する部分を有するカバーとからなり、前記電気光学装置における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部を前記プレート及び前記カバーの少なくとも一方で保持して当該電気光学装置を収納する実装ケースとを備え、
    前記カバーは、当該実装ケース入り電気光学装置に向けて送られてきた冷却風を、前記開口部に向けて流すための導風部と、前記カバーの側面に向けて流すための導風部を有していることを特徴とする実装ケース入り電気光学装置。
  2. 前記開口部に向けて流すための導風部は、前記冷却風の流れ方向にその先端部が対向する尖鋭形状を有するスロープ部を含むことを特徴とする請求項1に記載の実装ケース入り電気光学装置。
  3. さらに、前記スロープ部を構成する面を囲む導風板を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の実装ケース入り電気光学装置。
  4. 前記窓部の辺縁はテーパ形状を有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。
  5. 前記カバーは、前記カバー本体部から流れてきた冷却風を当該カバーから導出する冷却風排出部を更に含み、
    前記冷却風排出部は、その表面積を増大させる第1表面積増大部を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。
  6. 前記カバーは、前記カバー本体部において、前記電気光学装置の側面に対向する側壁部を有し、
    前記側壁部は、その表面積を増大させる第2表面積増大部を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。
  7. 前記第1表面積増大部及び前記第2表面積増大部の少なくとも一方は、前記カバーの表面に突出する様に形成されたフィン及び前記カバーの表面に窪みをつけるように形成されたディンプルの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項6に記載の実装ケース入り電気光学装置。
  8. 前記カバーの表面に突出する様に形成されたフィンを有し、前記フィンは、前記冷却風の流れに沿うようにして形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。
  9. 前記フィンは、第1列のフィンと、これに平行に延在する第2列のフィンとを含み、
    前記第1列のフィンと前記第2列のフィンとの間の間隔は1mm以上とされていることを特徴とする請求項8に記載の実装ケース入り電気光学装置。
  10. 前記カバーは、高熱伝導率材料から構成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。
  11. 前記投射光は前記カバー側から入射し、前記電気光学装置を透過して、前記プレート側から出射することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置。
  12. 実装ケース入り電気光学装置であって、
    画像表示領域に光源から投射光が入射される電気光学装置と、
    該電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、前記電気光学装置を覆い前記プレートと当接する部分を有するカバーとからなり、前記電気光学装置における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部を前記プレート及び前記カバーの少なくとも一方で保持して当該電気光学装置を収納する実装ケースとを備え、
    前記カバーは、冷却風導入部を含み、
    前記冷却風導入部は、当該実装ケース入り電気光学装置に向けて送られてきた冷却風を、前記画像表示領域へ向けて流すための冷却風案内部と、前記カバーの側面に向けて流すための冷却風案内部を有していることを特徴とする実装ケース入り電気光学装置。
  13. 実装ケースであって、
    画像表示領域に光源から投射光が入射される電気光学装置の一面に対向するように配置されるプレートと、前記電気光学装置を覆い前記プレートと当接する部分を有するカバーとからなり、とを有し、
    前記電気光学装置における前記画像表示領域の周辺に位置する周辺領域の少なくとも一部を前記プレート及び前記カバーの少なくとも一方で保持して当該電気光学装置を収納し、
    前記カバーは、当該実装ケース入り電気光学装置に向けて送られてきた冷却風を、前記開口部に向けて流すための導風部と、前記カバーの側面に向けて流すための導風部を有していることを特徴とする実装ケース。
  14. 請求項1乃至12のいずれか一項に記載の実装ケース入り電気光学装置と、
    前記光源と、
    前記投射光を前記電気光学装置に導く光学系と、
    前記電気光学装置から出射される投射光を投射する投射光学系と、
    前記実装ケース入り電気光学装置に対して冷却風を送出する冷却風送出部と、を備えた
    ことを特徴とする投射型表示装置。
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