JP5286674B2 - センサ付き転がり軸受装置 - Google Patents
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Description
一方、磁気センサは、磁気検出素子を備えたものであり、その検出面が着磁パルサリングの被検出面に対向するように回転輪の軸方向外側に配置されている。そして、磁気センサが、回転輪の回転に応じた着磁パルサリングからの磁界の変化を検出することにより、回転輪の回転速度を検出するように構成されている。
このため、例えば、ゴム等の弾性体を用いた磁性材料に代えて、耐傷性や耐磨耗性に優れたプラスチック磁石を用い、これによって、損傷や磨耗による着磁パルサリングの磁気特性の劣化を抑制するといった方策が採られる。
その一方、このプラスチック磁石は、フェライト等の磁性粉末と樹脂とを混合して形成されたものであり、当該着磁パルサリングが固定される金属製の回転輪側の部材との間においてはその熱膨張係数が大きく異なる上に、脆性が高く変形によって破損を生じやすい。さらに、着磁パルサリングは、上述のように密封装置のスリンガ等に取り付けられるので、スペース上の制限、特に軸方向寸法に制限を受け、その厚みを薄くせざるを得ない場合がある。
このため、上述のようなプラスチック磁石からなる着磁パルサリングを、スリンガ等の回転輪側の部材に接着あるいは圧入固定した場合、温度変化等に起因して、着磁パルサリングと回転輪側の部材との間の変形量に差が生じ、着磁パルサリングに過大な変形応力が作用することで、当該着磁パルサリングが破損するおそれがあった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、温度変化等によって着磁パルサリングに過大な変形応力が作用したとしても、当該着磁パルサリングの破損を防止することができるセンサ付き転がり軸受装置を提供することを目的とする。
前記回転輪との間に弾性体からなる緩衝部材を介在して固定されているので、温度変化に伴って着磁パルサリングと回転輪とが膨張収縮変形し、これらの間に変形量の差が生じたとしても、弾性体からなる緩衝部材によって許容することができる。これによって、着磁パルサリングに作用する変形応力を緩和することができ、より効果的に着磁パルサリングの破損を防止することができる。
内軸2は、前記車輪が取り付けられる車軸であるとともに、当該センサ付き転がり軸受装置1の回転輪を構成しており、一端部にフランジ部2a1が形成された内軸本体2aと、この内軸本体2aの他端部に形成された小径部2a2に外嵌された円環状の内輪部材2bとを有している。
内軸本体2aのフランジ部2a1には、前記車輪を当該フランジ部2a1に固定するための複数のハブボルト2a3が固定されている。また、内軸本体2aの外周面には、第一の外輪軌道3bに対向する第一の内輪軌道2cが形成されている。
内輪部材2bは、内軸本体2aの小径部2a2に圧入されて内軸本体2aと一体回転可能に固定されている。内輪部材2bの外周面には、第二の外輪軌道3cに対向する第二の内輪軌道2dが形成されている。
上記構成によって、センサ付き転がり軸受装置1は、内軸2を外輪3に対して回転自在に支持しており、内軸2に固定される車輪を回転自在に支持する。
着磁パルサリング8を構成しているプラスチック磁石は、例えば、フェライト系の磁性粉末を、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂やポリアミド(PA)樹脂等の樹脂材料に混合した後、所定の形状に形成することによって得られる。このようにプラスチック磁石は上記の樹脂等をバインダとしているので、ゴム等の弾性部材をバインダとした磁性材料と比較して、耐傷性や耐磨耗性に優れたものとなる。
また本実施形態の着磁パルサリング8を構成するプラスチック磁石に含まれる磁性粉末は、所定の方向に磁場配向した状態としてもよく、この場合、より良好な磁気特性を得ることができる。
また、円環部8bの側面8b1は、N極とS極とが交互に所定間隔で着磁されており、多数の磁極が周方向に所定間隔で配列されている。
なお、内輪部材2bに対する着磁パルサリング8の固定の態様については、後に詳述する。
磁気センサSは、磁極の変化を検知するセンサであり、当該センサ付き転がり軸受装置1が搭載される車両の制御装置に接続されており、検知した磁極の変化についての検知信号を前記制御装置に出力するように構成されている。磁気センサSは、内軸2の回転に応じて変化する着磁パルサリング8の磁極の変化を検知し、その検知信号を前記車両の制御装置に出力する。前記制御装置は、磁気センサSの検知信号に基づいて、内軸2の回転速度を認識し、前記車両のアンチロックブレーキシステム等の制御に反映することができる。
また、内輪部材2bの小径部2b1の外周面2b3には、溝部11が形成されており、突起部10は、この溝部11に上記の緩衝部材9を介在した状態で嵌め込まれている。溝部11は、突起部10に対応して内径方向に凹むとともに軸方向に沿って延びるように形成されている。
なお、突起部10及び溝部11は、共に軸方向に沿って形成されているので、着磁パルサリング8を内輪部材2bに取り付ける際においては、突起部10及び溝部11を互いに一致させて着磁パルサリング8を、内輪部材2bに対して軸方向にスライドさせることで外挿し固定することができる。
また、上記実施形態では、着磁パルサリング8を、内輪部材2bの小径部2b1に緩衝部材9を介在した状態で接着固定したが、着磁パルサリング8の円筒部8aを、小径部2b1の外周面2b3に緩衝部材9を介在した状態で圧入固定してもよい。
さらに、上記実施形態では、着磁パルサリング8を、円筒部8aと円環部8bとを備えてなる円環状としたが、これに限定されるものではなく、例えば、図3に示すように、断面ほぼ矩形の円環状に形成し、内輪部材2bの端面2b2に形成された環状溝12に圧入もしくは接着することで、着磁パルサリング8を内輪部材2bに一体回転可能に固定してもよい。この図3の場合においても、着磁パルサリング8の厚み寸法は、上記図2で示したものと同様、十分な強度が確保できる程度に設定される。
従って、この場合においても、内輪部材2b及び着磁パルサリング8が温度変化に伴って膨張収縮変形し、着磁パルサリング8に過大な変形応力が作用したとしても、当該着磁パルサリング8が破損するのを防止できる。
特にこの場合には、着磁パルサリング8の軸方向の厚み寸法と、環状溝12の軸方向の深さ寸法がほぼ同一なので、着磁パルサリング8が内輪部材2bの端面2b2から突出することがなく、当該センサ付き転がり軸受装置1の軸方向寸法を小さくできる。
なお、この図3の場合においても、内輪部材2bと着磁パルサリング8との間に弾性部材からなる緩衝部材を介在させることができる。
凹部13は、突起部10に一致する形状で内径方向に凹む形状に形成されており、突起部10の側面10aに当接している。
このため、突起部10の側面10aと、凹部13において側面10aと当接している当接面13aとは、軸方向に対しては、互いに係合している。このため、着磁パルサリング8は、内輪部材2bに固定された状態で拘束され、内輪部材2bから離脱するのを防止できる。すなわち、本実施形態の突起部10は、被係合部としての凹部13に係合することで着磁パルサリング8と内輪部材2bとの間における軸方向の相対移動を防止する係合部を構成している。
上述のように、着磁パルサリング8には、当該着磁パルサリング8を内輪部材2bに拘束固定する突起部10が形成されているので、例えば、着磁パルサリング8を上記形状に形成した後に内輪部材2bに取り付けることはできない。着磁パルサリング8は、上記のように、内輪部材2bに対してインサート成形することによって、内輪部材2bに固定した状態で形成することができる。
また、上記実施形態では、突起部10を断面ほぼ楔形に形成した場合を例示したが、着磁パルサリング8の内輪部材2bからの離脱や、相対回転を防止できれば、断面ほぼ矩形等他の形状としてもよいし、着磁パルサリング8の内周面に径外方向に凹む凹部を設け、内輪部材2b側にこの凹部に嵌め込まれる突起部を形成してもよい。
図5(a)、(b)は、外輪回転の転がり軸受装置に本発明を適用したときの態様を示した部分断面図である。図5(a)において、着磁パルサリング8は、断面ほぼ矩形の円環状に形成されており、外輪3端部の内周面3dに圧入もしくは接着することで、回転輪である外輪3に一体回転可能に固定されている。
また、図5(b)では、着磁パルサリング8は、断面L形で円環状に形成されており、当該着磁パルサリング8の円筒部8cを外輪3の内周面3dに圧入もしくは接着することで外輪3に一体回転可能に固定されている。
このように、本発明は、外輪回転の転がり軸受装置に対しても適用することができる。
2 内軸(回転輪)
3 外輪(固定輪)
4 玉(転動体)
8 着磁パルサリング
9 緩衝部材
10 突起部(係合部)
11 凹部(被係合部)
13 凹部(被係合部)
S 磁気センサ
Claims (1)
- 固定輪及び回転輪と、
これらの間に転動自在に配置された転動体と、
前記回転輪の一端部に一体回転可能に固定されるとともに、多数の磁極が周方向に所定間隔で配列されたプラスチック磁石からなる着磁パルサリングと、
前記着磁パルサリングと前記回転輪との間に介在した弾性体からなる緩衝部材と、
前記着磁パルサリングの磁気を検出することによって前記回転輪の回転状態を検出する磁気センサと、を備え、
前記着磁パルサリングには、前記回転輪に設けられた被係合部に係合することで当該着磁パルサリングと前記回転体との間における軸方向及び周方向の少なくとも一方の相対移動を防止する係合部が形成されていることを特徴とする
センサ付き転がり軸受装置。
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