JP2008224228A - 着磁パルサリングの固定構造、及びこれを用いたセンサ付き転がり軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 温度変化等によって破損するのを防止することができる着磁パルサリングの固定構造、及びこれを用いたセンサ付き転がり軸受装置を提供する。
【解決手段】 本発明の着磁パルサリング11の固定構造は、着磁パルサリング11が取り付けられるスリンガ10の側面10cに、径方向に凹む切り欠き部20を形成し、着磁パルサリング11に、切り欠き部20に嵌め込まれることで着磁パルサリング11が側面10cから離脱するのを防止する、径方向に突出した突起部21を形成するものである。
【選択図】 図2
【解決手段】 本発明の着磁パルサリング11の固定構造は、着磁パルサリング11が取り付けられるスリンガ10の側面10cに、径方向に凹む切り欠き部20を形成し、着磁パルサリング11に、切り欠き部20に嵌め込まれることで着磁パルサリング11が側面10cから離脱するのを防止する、径方向に突出した突起部21を形成するものである。
【選択図】 図2
Description
本発明は、回転体の回転数などの検出に用いられる着磁パルサリングを固定するための固定構造、及びこれを用いたセンサ付き転がり軸受装置に関する。
自動車などの車輪を支持する転がり軸受装置には、アンチロックブレーキシステム等を制御するために、当該車輪の回転速度を検出するためのセンサ装置が組み込まれたものがある。このような従来のセンサ付きの転がり軸受装置は、例えば下記特許文献1に記載されているように、内軸(回転輪)側に設置された着磁パルサリングと、この着磁パルサリングに対向する磁気センサとを有している。上記着磁パルサリングは、フェライト等の磁性粉末を混入したゴム等からなる弾性部材を、内外輪間の環状開口部を密封する密封装置における回転輪側の部材(例えば、スリンガ)の軸方向外側面に加硫接着することで当該回転輪側に一体回転可能に取り付けられている。また、この着磁パルサリングには、複数のN・S極が周方向周りに交互に配設されている。
一方、磁気センサは、磁気検出素子を備えたものであり、その検出面が着磁パルサリングの被検出面に対向するように回転輪の軸方向外側に配置されている。そして、磁気センサが、回転輪の回転に応じた着磁パルサリングからの磁界の変化を検出することにより、回転輪の回転速度を検出するように構成されている。
一方、磁気センサは、磁気検出素子を備えたものであり、その検出面が着磁パルサリングの被検出面に対向するように回転輪の軸方向外側に配置されている。そして、磁気センサが、回転輪の回転に応じた着磁パルサリングからの磁界の変化を検出することにより、回転輪の回転速度を検出するように構成されている。
上記従来例のセンサ付き転がり軸受装置において、着磁パルサリングは、ゴム等の弾性体を用いた磁性材料によって形成されているために強度的に弱く、外部から侵入する塵埃等によってその着磁面に損傷や磨耗が生じ、磁気特性が劣化する場合があった。
このため、例えば、ゴム等の弾性体を用いた磁性材料に代えて、耐傷性や耐磨耗性に優れたプラスチック磁石を用いることが考えられる。このプラスチック磁石を用いることで、損傷や磨耗による磁気特性の劣化は抑制することができる。
その一方、プラスチック磁石は、フェライト等の磁性粉末と樹脂とを混合して形成されたものであり、当該着磁パルサリングが固定される金属製の回転輪側の部材との間においては、その熱膨張係数が大きく異なる。また、このプラスチック磁石は、ゴム等の弾性体と比較して耐傷性や耐磨耗性に優れる反面、脆性が高く変形によって破損を生じやすい。
このため、プラスチック磁石からなる着磁パルサリングを前記回転輪側の部材に接着あるいは圧入固定した場合、温度変化等に起因して、着磁パルサリングと回転輪側の部材との間の変形量に差が生じ、着磁パルサリングに過大な変形応力が作用すると、当該着磁パルサリングに破損が生じるおそれがあった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、温度変化等によって回転輪側の部材との間で変形量に差が生じたとしても、着磁パルサリングが破損するのを防止することができる着磁パルサリングの固定構造、及びこれを用いたセンサ付き転がり軸受装置を提供することを目的とする。
このため、例えば、ゴム等の弾性体を用いた磁性材料に代えて、耐傷性や耐磨耗性に優れたプラスチック磁石を用いることが考えられる。このプラスチック磁石を用いることで、損傷や磨耗による磁気特性の劣化は抑制することができる。
その一方、プラスチック磁石は、フェライト等の磁性粉末と樹脂とを混合して形成されたものであり、当該着磁パルサリングが固定される金属製の回転輪側の部材との間においては、その熱膨張係数が大きく異なる。また、このプラスチック磁石は、ゴム等の弾性体と比較して耐傷性や耐磨耗性に優れる反面、脆性が高く変形によって破損を生じやすい。
このため、プラスチック磁石からなる着磁パルサリングを前記回転輪側の部材に接着あるいは圧入固定した場合、温度変化等に起因して、着磁パルサリングと回転輪側の部材との間の変形量に差が生じ、着磁パルサリングに過大な変形応力が作用すると、当該着磁パルサリングに破損が生じるおそれがあった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、温度変化等によって回転輪側の部材との間で変形量に差が生じたとしても、着磁パルサリングが破損するのを防止することができる着磁パルサリングの固定構造、及びこれを用いたセンサ付き転がり軸受装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、回転体の取付面に、多数の磁極が周方向に所定間隔で配列された着磁パルサリングを固定するための固定構造であって、前記着磁パルサリングが前記取付面に対してインサート成形されたものであり、前記取付面には、前記回転体の径方向に凹む凹部が形成され、前記着磁パルサリングには、前記凹部に嵌め込まれることで当該着磁パルサリングが前記回転体の取付面から離脱するのを防止する、径方向に突出した突起が形成されていることを特徴としている。
上記のように構成された着磁パルサリングの固定構造によれば、取付面の凹部に嵌め込まれることで着磁パルサリングが前記回転体から離脱するのを防止する突起を、当該着磁パルサリングに形成したので、例えば上記従来例のように着磁パルサリングを取付面に圧入したり、接着剤によって接着したりすることなしに、着磁パルサリングが回転体の取付面から離脱するのを防止し、当該着磁パルサリングを取付面に固定した状態で維持することができる。このため、着磁パルサリングは、取付面に対して必要以上に拘束されず、回転体及び着磁パルサリングが温度変化に伴って膨張収縮変形したとしても、両者の間に生じる変形量の差を許容することができる。よって、着磁パルサリングに過大な変形応力が作用するのを抑制することができ、この結果、比較的脆いプラスチック磁石によって形成された着磁パルサリングが破損するのを防止できる。
また、上記着磁パルサリングの固定構造において、前記突起は、前記取付面に当接する前記着磁パルサリングの当接面に設けられた環状周面に形成されていることが好ましい。
この場合、環状周面に突起を設けることで、当該突起を径方向に突出させることが容易となる。
この場合、環状周面に突起を設けることで、当該突起を径方向に突出させることが容易となる。
また、本発明は、回転体の取付面に、多数の磁極が周方向に所定間隔で配列された着磁パルサリングを固定するための固定構造であって、前記着磁パルサリングが前記取付面に対してインサート成形されたものであり、前記取付面には、当該取付面から突出して設けられ、前記取付面に対向する対向面を有する被係合部が設けられ、前記着磁パルサリングには、前記対向面に当接係合することで当該着磁パルサリングが前記回転体の取付面から離脱するのを防止する係合面が形成されていることを特徴としている。
この場合においても、着磁パルサリング側の係合面と、被係合部側の対向面とが当接係合することで、着磁パルサリングを取付面に必要以上に拘束することなく、当該着磁パルサリングが回転体の取付面から離脱するのを確実に防止することができる。
この場合においても、着磁パルサリング側の係合面と、被係合部側の対向面とが当接係合することで、着磁パルサリングを取付面に必要以上に拘束することなく、当該着磁パルサリングが回転体の取付面から離脱するのを確実に防止することができる。
また本発明は、固定輪及び回転輪と、これらの間に転動自在に配置された転動体と、前記回転輪に固定された固定部材に固定された着磁パルサリングと、前記着磁パルサリングの磁気を検出することによって前記回転輪の回転状態を検出する磁気センサと、を備えているセンサ付き転がり軸受装置において、前記着磁パルサリングは、上述の着磁パルサリングの固定構造によって前記固定部材に固定されていることを特徴としている。
上記のように構成されたセンサ付き転がり軸受装置によれば、上述のように、着磁パルサリングに過大な変形応力が作用するのを抑制でき、その破損を防止することができる。
上記のように構成されたセンサ付き転がり軸受装置によれば、上述のように、着磁パルサリングに過大な変形応力が作用するのを抑制でき、その破損を防止することができる。
本発明の着磁パルサリングの固定構造、及びこれを用いたセンサ付き転がり軸受装置によれば、温度変化等によって回転輪側の部材との間で変形量に差が生じたとしても、当該着磁パルサリングの破損を防止することができる。
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第一の実施形態に係る着磁パルサリング固定構造が適用されたセンサ付き転がり軸受装置の構成を示す断面図である。このセンサ付き転がり軸受装置1は、自動車などの車両の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するものである。
図1において、センサ付き転がり軸受装置1は、複列のアンギュラ玉軸受を構成しており、一端部に図示しない車輪が取り付けられるフランジ部2aを有する内軸2と、内軸2の外周側に同心に配置された外輪3と、内軸2と外輪3の間に介在した転動体としての複数の玉4と、これら玉4を周方向に等配に保持する保持器5と、軸方向両端側の内軸2と外輪3との間の環状隙間を密封するシール部材6,7と、シール部材7に対向するように軸方向他端側に配置された磁気センサSとを備えている。
外輪3は、車両側に固定される固定輪であり、外周面には車両の懸架装置に取り付けるための取付フランジ3aが形成されている。また、その内周面には玉4が転動する第一及び第二の外輪軌道3b,3cが形成されている。
内軸2は、前記車輪が取り付けられる車軸であるとともに、当該センサ付き転がり軸受装置1の回転輪を構成している。この内軸2の一端部に形成されたフランジ部2aには、前記車輪を当該フランジ部2aに固定するための複数のハブボルト2a1が固定されている。また、内軸2の外周面には、第一の外輪軌道3bに対向する第一の内輪軌道2bが形成されている。内軸2の他端部には、内軸2の外周面より小径の小径部8が形成されており、この小径部8には、第二の外輪軌道3cに対向する第二の内輪軌道2cが外周面に形成された円環状の内輪部材9が外嵌されている。
内軸2は、前記車輪が取り付けられる車軸であるとともに、当該センサ付き転がり軸受装置1の回転輪を構成している。この内軸2の一端部に形成されたフランジ部2aには、前記車輪を当該フランジ部2aに固定するための複数のハブボルト2a1が固定されている。また、内軸2の外周面には、第一の外輪軌道3bに対向する第一の内輪軌道2bが形成されている。内軸2の他端部には、内軸2の外周面より小径の小径部8が形成されており、この小径部8には、第二の外輪軌道3cに対向する第二の内輪軌道2cが外周面に形成された円環状の内輪部材9が外嵌されている。
第一の内輪軌道2bと、第一の外輪軌道3bとの間、及び、第二の内輪軌道2cと、第二の外輪軌道3cとの間には、それぞれ上述の複数の玉4が転動自在に配置されている。
上記構成によって、センサ付き転がり軸受装置1は、内軸2を外輪3に対して回転自在に支持しており、内軸2に固定される車輪を回転自在に支持する。
上記構成によって、センサ付き転がり軸受装置1は、内軸2を外輪3に対して回転自在に支持しており、内軸2に固定される車輪を回転自在に支持する。
軸方向他端側における内軸2と外輪3との間の環状隙間を密封しているシール部材7は、内輪部材9に一体回転可能に固定された円環状のスリンガ10と、このスリンガ10に一体回転可能に固定された円環状の着磁パルサリング11と、外輪3の他端部側の内周面3dに内嵌固定された円環状の芯金13と、を有している。
芯金13は、SPCC,SPCD,SPCE等の冷延鋼板をプレス加工することによって形成されており、その内周端部には、当該芯金13とスリンガ10との間をシールするシールリング12が加硫接着等によって固定されている。
スリンガ10は、芯金13と同様、SPCC,SPCD,SPCE等の冷延鋼板をプレス加工することによって断面L型で円環状に形成された部材であり、内輪部材9の外周面に外嵌固定されることで内軸2に対して一体回転可能に固定されている。従って、このスリンガ10に一体回転可能に固定された着磁パルサリング11においても、内軸2に対して一体回転可能である。なお、スリンガ10に対する着磁パルサリング11の固定の態様については、後に詳述する。
着磁パルサリング11は、プラスチック磁石を用いて円環状に形成されており、その側面11aには、多数の磁極が周方向に所定間隔で配列されている。すなわち、側面11aは、N極とS極とが交互に所定間隔で配列されるように着磁されることで、着磁面を構成している。
磁気センサSは、上述の着磁パルサリング11の側面11aに対して僅かな隙間を置いて対向するように配置されている。このため、内軸2と一体回転する着磁パルサリング11は、磁気センサSに対して、内軸2の回転に応じて磁極を変化させることができる。
磁気センサSは、磁極の変化を検知するセンサであり、当該センサ付き転がり軸受装置1が搭載される車両の制御装置に接続されており、検知した磁極の変化についての検知信号を前記制御装置に出力するように構成されている。磁気センサSは、内軸2の回転に応じて変化する着磁パルサリング11の磁極の変化を検知し、その検知信号を前記車両の制御装置に出力する。前記制御装置は、磁気センサSの検知信号に基づいて、内軸2の回転速度を認識し、前記車両のアンチロックブレーキシステム等の制御に反映することができる。
磁気センサSは、磁極の変化を検知するセンサであり、当該センサ付き転がり軸受装置1が搭載される車両の制御装置に接続されており、検知した磁極の変化についての検知信号を前記制御装置に出力するように構成されている。磁気センサSは、内軸2の回転に応じて変化する着磁パルサリング11の磁極の変化を検知し、その検知信号を前記車両の制御装置に出力する。前記制御装置は、磁気センサSの検知信号に基づいて、内軸2の回転速度を認識し、前記車両のアンチロックブレーキシステム等の制御に反映することができる。
次に、スリンガ10に対する着磁パルサリング11の固定の態様について説明する。図2(a)は、着磁パルサリング11及びスリンガ10のみを拡大して示した断面図である。
図において、スリンガ10は、内輪部材9に外嵌された円筒部10aと、この円筒部10aの他端部を折り曲げることで径外方向に延びるとともに着磁パルサリング11が固定された円環部10bとを有している。
図2(b)は、図2(a)中、矢印Bより正面視したときの着磁パルサリング11及びスリンガ10の外観図である。図において、円環部10bには、当該円環部10bの外周を円弧状に切り欠くことで径方向に凹む凹部としての切り欠き部20が形成されている。
この切り欠き部20は、例えば、円環部10bの周方向に沿って等間隔に3箇所配置されており、円環部10bの外周を円弧状に切り欠くことで、円環部10bの外周面10dから径方向に凹むように形成されている。切り欠き部20の端面20aは、着磁パルサリング11が固定された側面10cとの成す角度θが90°よりも小さい角度で傾斜するテーパ面とされている。
図において、スリンガ10は、内輪部材9に外嵌された円筒部10aと、この円筒部10aの他端部を折り曲げることで径外方向に延びるとともに着磁パルサリング11が固定された円環部10bとを有している。
図2(b)は、図2(a)中、矢印Bより正面視したときの着磁パルサリング11及びスリンガ10の外観図である。図において、円環部10bには、当該円環部10bの外周を円弧状に切り欠くことで径方向に凹む凹部としての切り欠き部20が形成されている。
この切り欠き部20は、例えば、円環部10bの周方向に沿って等間隔に3箇所配置されており、円環部10bの外周を円弧状に切り欠くことで、円環部10bの外周面10dから径方向に凹むように形成されている。切り欠き部20の端面20aは、着磁パルサリング11が固定された側面10cとの成す角度θが90°よりも小さい角度で傾斜するテーパ面とされている。
スリンガ10に固定されている着磁パルサリング11は、上述のように、プラスチック磁石を用いて円環状に形成されており、スリンガ10の側面10cに当接する段差面11b、及び外周面10dに当接する環状周面11cが形成されている。着磁パルサリング11は、スリンガ10の円環部10bが、これら段差面11b及び環状周面11cに嵌め込まれることで、スリンガ10に固定されている。つまり、着磁パルサリング11は、円環部10bの側面10c及び外周面10dを取付面としてスリンガ10に固定されている。
また、環状周面11cには、当該環状周面11cから径内方向に突出して切り欠き部20に嵌め込まれた突起部21が形成されている。この突起部21は、径内方向に突出することで切り欠き部20に嵌め込まれており、突起部21の端面21aは、切り欠き部20の端面20aに一致するテーパ面に形成されて、この端面20aに当接している。
すなわち、切り欠き部20の端面20aと、突起部21の端面21aとは、互いに当接係合しており、切り欠き部20の先端は、突起部21の端面21aと、段差面11bとの間で固定された状態となる。このため、着磁パルサリング11は、円環部10bの側面10cに接触した状態で拘束され、スリンガ10から離脱するのを防止できる。
また、突起部21は、円環部10bを切り欠いた切り欠き部20に嵌め込まれているので、着磁パルサリング11が、スリンガ10に対して相対回転するのを防止することができる。
また、環状周面11cには、当該環状周面11cから径内方向に突出して切り欠き部20に嵌め込まれた突起部21が形成されている。この突起部21は、径内方向に突出することで切り欠き部20に嵌め込まれており、突起部21の端面21aは、切り欠き部20の端面20aに一致するテーパ面に形成されて、この端面20aに当接している。
すなわち、切り欠き部20の端面20aと、突起部21の端面21aとは、互いに当接係合しており、切り欠き部20の先端は、突起部21の端面21aと、段差面11bとの間で固定された状態となる。このため、着磁パルサリング11は、円環部10bの側面10cに接触した状態で拘束され、スリンガ10から離脱するのを防止できる。
また、突起部21は、円環部10bを切り欠いた切り欠き部20に嵌め込まれているので、着磁パルサリング11が、スリンガ10に対して相対回転するのを防止することができる。
また、着磁パルサリング11は、プラスチック磁石を用いて、インサート成形することによって形成されている。すなわち、着磁パルサリング11は、スリンガ10を金型等に装填し、その後当該金型にプラスチック磁石の原料となる樹脂と磁性粉末との混合物等を注入、固化させることで、スリンガ10に一体形成されている。
上述のように、着磁パルサリング11には、当該着磁パルサリング11をスリンガ10の側面10cに接触した状態で拘束する突起部21が形成されているので、例えば、着磁パルサリング11を上記形状に形成した後にスリンガ10に取り付けることはできない。着磁パルサリング11は、上記のように、スリンガ10に対してインサート成形することによって、スリンガ10に固定した状態で形成することができる。
上述のように、着磁パルサリング11には、当該着磁パルサリング11をスリンガ10の側面10cに接触した状態で拘束する突起部21が形成されているので、例えば、着磁パルサリング11を上記形状に形成した後にスリンガ10に取り付けることはできない。着磁パルサリング11は、上記のように、スリンガ10に対してインサート成形することによって、スリンガ10に固定した状態で形成することができる。
また、着磁パルサリング11を構成しているプラスチック磁石は、フェライト系の磁性粉末や、ネオジウムやサマリウム等の希土類系の磁性粉末を、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂やポリアミド(PA)樹脂等の樹脂材料に混合した後、所定の形状に形成することによって得られる。このようにプラスチック磁石は上記の樹脂等をバインダとしているので、ゴム等の弾性部材をバインダとした磁性材料と比較して、耐傷性や耐磨耗性に優れたものとなる。
また本実施形態の着磁パルサリング11を構成するプラスチック磁石に含まれる磁性粉末は、所定の方向に磁場配向した状態としてもよく、この場合、より良好な磁気特性を得ることができる。
また本実施形態の着磁パルサリング11を構成するプラスチック磁石に含まれる磁性粉末は、所定の方向に磁場配向した状態としてもよく、この場合、より良好な磁気特性を得ることができる。
上記のように構成された本実施形態の着磁パルサリング11の固定構造によれば、着磁パルサリング11に、切り欠き部20に係合することで着磁パルサリング11が側面10cから離脱するのを防止する突起部21を形成したので、例えば上記従来例のように着磁パルサリング11を圧入したり、接着剤によって接着したりすることなしに、着磁パルサリング11が側面10cから離脱するのを防止し、着磁パルサリング11を側面10cに固定した状態で維持することができる。このため、着磁パルサリング11は側面10cに対して必要以上に拘束されず、スリンガ10及び着磁パルサリング11が温度変化に伴って膨張収縮変形したとしても、両者の間に生じる変形量の差を許容することができる。よって、着磁パルサリング11に過大な変形応力が作用するのを抑制することができ、この結果、比較的脆いプラスチック磁石によって形成された着磁パルサリング11が破損するのを防止できる。
また、本実施形態において、突起部21は、径内方向に凹むように形成された切り欠き部20に嵌め込まれるように径内方向に突出するように形成されているので、着磁パルサリング11が側面10cから離脱するのを確実に防止するのに加えて、着磁パルサリング11とスリンガ10との相対回転をも防止することができる。
なお、上記実施形態において、切り欠き部20は、円環部10bを円弧状に切り欠いたが、着磁パルサリング11の離脱や相対回転を防止することができれば、例えば、矩形状やその他の形状に切り欠いてもよい。
なお、上記実施形態において、切り欠き部20は、円環部10bを円弧状に切り欠いたが、着磁パルサリング11の離脱や相対回転を防止することができれば、例えば、矩形状やその他の形状に切り欠いてもよい。
図3(a)は、本発明の第二の実施形態に係る着磁パルサリング11及びスリンガ10の断面図であり、図3(b)は、スリンガ10の一部を示した外観図である。本実施形態と第一の実施形態との主な相違点は、着磁パルサリング11に形成された突起部21が、円環部10bに径外方向に凹む凹部22に嵌め込まれるように径外方向に突出して形成されている点である。その他の構成については、第一の実施形態と同一であるので説明を省略する。
図において、本実施形態におけるスリンガ10の円環部10bの側面10cは、円筒部10aに繋がる内側側面10c1と、環状周面10c2を介して内側側面10c1と繋がる外側側面10c3とによって形成されており、着磁パルサリング11は、この側面10cを取付面としてスリンガ10に固定されている。
環状周面10c2には、上述の凹部22が、例えば、周方向に沿って等間隔に3箇所配置されている。この凹部22は、その側断面がほぼ楔形状であるとともに、環状周面10c2に開口し径外方向に延びる有底孔状に形成されている。
環状周面10c2には、上述の凹部22が、例えば、周方向に沿って等間隔に3箇所配置されている。この凹部22は、その側断面がほぼ楔形状であるとともに、環状周面10c2に開口し径外方向に延びる有底孔状に形成されている。
着磁パルサリング11には、外側側面10c3に当接する外側側面11d、内側側面10c1に当接する内側側面11e、及び環状周面10c2に当接する環状周面11fが形成されている。
突起部21は、環状周面11fから径外方向に突出して凹部22に嵌め込まれるように形成されている。
突起部21は、環状周面11fから径外方向に突出して凹部22に嵌め込まれるように形成されている。
上記構成において、本実施形態の突起部21は、有底孔状に形成された凹部22に嵌め込まれるように形成されることで、凹部22に係合している。このとき、着磁パルサリング11は、この突起部21と凹部22によって、円環部10bの側面10cに接した状態で離間しない程度に拘束される。この結果、着磁パルサリング11を側面10cに必要以上に拘束することなく、着磁パルサリング11がスリンガ10から離脱するのを確実に防止するとともに、着磁パルサリング11が、スリンガ10に対して相対回転するのを防止できる。
なお、上記実施形態では、凹部22を側断面が楔形状としたが、この凹部22の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、断面円形や矩形の孔とすることもできる。
なお、上記実施形態では、凹部22を側断面が楔形状としたが、この凹部22の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、断面円形や矩形の孔とすることもできる。
図4(a)は、本発明の第三の実施形態に係る着磁パルサリング11及びスリンガ10の断面図であり、図4(b)は、スリンガ10の一部を示した外観図である。本実施形態と第一の実施形態との主な相違点は、スリンガ10の円環部10bの側面10cに固定された被係合部としての突起部材23を抱持する係合部24が着磁パルサリング11に形成されている点である。
図において、スリンガ10の円環部10bには、上述のように突起部材23が、例えば、周方向に沿って等間隔に3箇所配置されている。この突起部材23は、鋼板等をクランク状に折り曲げた部材であり、円環部10bの側面10cに溶接等で固定されている。
突起部材23は、側面10cに当接固定された固定部23aと、側面10cから離間して配置された離間部23bと、これらを繋ぐ接続部23cとを有している。離間部23bは、側面10cにほぼ平行に配置されており、側面10cに対向する対向面25を有している。この対向面25は、側面10cに対してほぼ平行に設けられている。
突起部材23は、側面10cに当接固定された固定部23aと、側面10cから離間して配置された離間部23bと、これらを繋ぐ接続部23cとを有している。離間部23bは、側面10cにほぼ平行に配置されており、側面10cに対向する対向面25を有している。この対向面25は、側面10cに対してほぼ平行に設けられている。
着磁パルサリング11には、上述のように突起部材23を抱持する係合部24が形成されている。係合部24は、突起部材23を当該着磁パルサリング11の内部に埋包するように突起部材23の外面形状にほぼ隙間無く沿う形状とされており、突起部材23の対向面25と当接係合している係合面24aを有している。着磁パルサリング11は、係合面24aを対向面25に当接係合させた状態で、円環部10bの側面10cを取付面としてスリンガ10に固定されている。
このとき、着磁パルサリング11は、この係合面24aと対向面25とによって、円環部10bの側面10cに接した状態で離間しない程度に拘束される。
この結果、着磁パルサリング11を側面10cに必要以上に拘束することなく、着磁パルサリング11がスリンガ10から離脱するのを確実に防止できる。さらに、突起部材23は、着磁パルサリング11の係合部24に抱持された状態であるため、スリンガ10に対する着磁パルサリング11の相対回転をも防止することができる。
このとき、着磁パルサリング11は、この係合面24aと対向面25とによって、円環部10bの側面10cに接した状態で離間しない程度に拘束される。
この結果、着磁パルサリング11を側面10cに必要以上に拘束することなく、着磁パルサリング11がスリンガ10から離脱するのを確実に防止できる。さらに、突起部材23は、着磁パルサリング11の係合部24に抱持された状態であるため、スリンガ10に対する着磁パルサリング11の相対回転をも防止することができる。
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、着磁面がスリンガの側面に配置されスラスト方向に磁気センサが配置される態様の着磁パルサリングについて例示したが、着磁面が周面に配置され磁気センサがラジアル方向に配置される着磁パルサリングについても、本発明は適用することができる。
1 センサ付き転がり軸受装置
2 内軸(回転輪)
3 外輪(固定輪)
4 玉(転動体)
10 スリンガ(固定部材)
10c 側面(取付面)
11 着磁パルサリング
11c 環状周面
11f 環状周面
20 切り欠き部(凹部)
21 突起部
22 凹部
23 突起部材(被係合部)
24a 係合面
25 対向面
S 磁気センサ
2 内軸(回転輪)
3 外輪(固定輪)
4 玉(転動体)
10 スリンガ(固定部材)
10c 側面(取付面)
11 着磁パルサリング
11c 環状周面
11f 環状周面
20 切り欠き部(凹部)
21 突起部
22 凹部
23 突起部材(被係合部)
24a 係合面
25 対向面
S 磁気センサ
Claims (4)
- 回転体の取付面に、多数の磁極が周方向に所定間隔で配列された着磁パルサリングを固定するための固定構造であって、
前記着磁パルサリングが前記取付面に対してインサート成形されたものであり、
前記取付面には、前記回転体の径方向に凹む凹部が形成され、
前記着磁パルサリングには、前記凹部に嵌め込まれることで当該着磁パルサリングが前記回転体の取付面から離脱するのを防止する、径方向に突出した突起が形成されていることを特徴とする着磁パルサリングの固定構造。 - 前記突起は、前記取付面に当接する前記着磁パルサリングの当接面に設けられた環状周面に形成されている請求項1に記載の着磁パルサリングの固定構造。
- 回転体の取付面に、多数の磁極が周方向に所定間隔で配列された着磁パルサリングを固定するための固定構造であって、
前記着磁パルサリングが前記取付面に対してインサート成形されたものであり、
前記取付面には、当該取付面から突出して設けられ、前記取付面に対向する対向面を有する被係合部が設けられ、
前記着磁パルサリングには、前記対向面に当接係合することで当該着磁パルサリングが前記回転体の取付面から離脱するのを防止する係合面が形成されていることを特徴とする着磁パルサリングの固定構造。 - 固定輪及び回転輪と、
これらの間に転動自在に配置された転動体と、
前記回転輪に固定された固定部材に固定された着磁パルサリングと、
前記着磁パルサリングの磁気を検出することによって前記回転輪の回転状態を検出する磁気センサと、を備えているセンサ付き転がり軸受装置において、
前記着磁パルサリングは、請求項1〜3に記載の着磁パルサリングの固定構造によって前記固定部材に固定されていることを特徴するセンサ付き転がり軸受装置。
Priority Applications (1)
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JP2007058589A JP2008224228A (ja) | 2007-03-08 | 2007-03-08 | 着磁パルサリングの固定構造、及びこれを用いたセンサ付き転がり軸受装置 |
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-
2007
- 2007-03-08 JP JP2007058589A patent/JP2008224228A/ja active Pending
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