JP5286148B2 - 防振装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車や産業機械等に適用され、エンジン等の振動発生部の振動を吸収および減衰する防振装置の製造方法に関する。
この種の防振装置として、従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材、および他方に連結される第2取付け部材と、第1取付け部材と第2取付け部材とを弾性的に連結する弾性体と、第1取付け部材内の液室を、弾性体を壁面の一部とする一方側の主液室と他方側の副液室とに区画する仕切り部材と、を備える構成が知られている。また、前記液室には、互いに非相溶性を有する第1液体および第2液体を少なくとも含有する封入液が封入されている。さらに、この防振装置には、主液室と副液室とを連通する制限通路が形成されており、この制限通路を通って封入液が主液室と副液室との間で往来可能となっている。
ところで、このような防振装置の製造方法として、防振装置を液中で組み立てる方法が知られている。この方法は、まず、第1取付け部材と第2取付け部材とが弾性体を介して連結された防振装置本体を作製する工程を行う。次に、防振装置本体を、封入液を貯留したプールの中に入れ、このプール内(封入液中)で防振装置本体に仕切り部材を組み付ける工程を行う。これにより、液室内に封入液を封止することができる。
特許第2860701号公報
しかしながら、封入液が非相溶性の二種以上の液体で構成されている場合、前記従来の防振装置の製造方法では、封入液に含有された複数種の液体がプール内で分離してしまうため、これら複数種の液体を所定の比率で液室内に封止することが難しいという問題がある。このため、前記従来の製造方法で製造された防振装置は、液室に封入された複数種の液体の比率にばらつきが生じ易く、その結果、防振装置の性能が安定しないという問題が存在する。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、互いに非相溶性を有する第1液体および第2液体を所定の比率で液室内に封止することができ、防振装置の性能安定性を向上させることができる防振装置の製造方法、およびこの防振装置の製造方法で製造された防振装置を提供することである。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る防振装置の製造方法は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材、および他方に連結される第2取付け部材と、前記第1取付け部材と前記第2取付け部材とを弾性的に連結する弾性体と、前記第1取付け部材内の液室を、前記弾性体を壁面の一部とする一方側の主液室と他方側の副液室とに区画する仕切り部材と、を備え、前記液室に、互いに非相溶性を有する第1液体および第2液体を少なくとも含有する封入液が封入され、前記仕切り部材に、前記主液室と前記副液室とを連通しかつ前記封入液が流通することで液柱共振を生じさせる制限通路が形成された液体封入型の防振装置の製造方法であって、前記第1取付け部材と前記第2取付け部材とを前記弾性体により連結して防振装置本体を作製する防振装置本体作製工程と、前記防振装置本体を前記第1液体中に入れた状態で、前記防振装置本体における前記液室の形成予定部内に前記第2液体を注入する液体注入工程と、前記防振装置本体を前記第1液体中に入れた状態で、前記防振装置本体に少なくとも前記仕切り部材を組み付け、前記液室の形成予定部を密閉して前記液室を形成するとともに該液室内に前記第1液体および前記第2液体を封止する液中組立工程と、を備え、前記液体注入工程は、前記液室の形成予定部に形成された収納凹部に前記第2液体を注入することを特徴とする。
この発明によれば、液体注入工程時に、前記収納凹部に第2液体を注入するので、液中組立工程時に防振装置本体における液室の形成予定部内に生じる第1液体の流動によって第2液体が前記液室の形成予定部内から流出するのを抑制することができる。従って、第1液体および第2液体を所定の比率で液室内に封止することが可能となり、防振装置の性能安定性を向上させることができる。
また、前記液体注入工程は、前記液室の形成予定部内にノズルを差し込み、このノズルから前記収納凹部に向けて前記第2液体を注出しても良い。
この場合、液体注入工程時に、前記液室の形成予定部内にノズルを差し込み、このノズルから収納凹部に向けて第2液体を注出するので、収納凹部に第2液体を確実に注入することができる。
また、前記弾性体は、前記第1取付け部材の軸方向における一方側の開口部を閉塞するとともに、前記軸方向における他方側を向く表面が、前記液室を画成する壁面の一部を構成し、前記収納凹部は、前記弾性体の前記他方側を向く表面に形成され、前記液体注入工程は、前記防振装置本体の第1取付け部材の軸方向における他方側の開口部を通して前記収納凹部に前記第2液体を注入し、前記液中組立工程は、前記第1取付け部材の前記他方側の開口部を通して前記仕切り部材を前記第1取付け部材内に進入させて組み付けながら前記他方側の開口部を閉塞して前記液室の形成予定部を密閉し、前記液室を形成しかつ前記主液室と前記副液室とに区画しても良い。
この場合、液体注入工程時に、防振装置本体の第1取付け部材の前記他方側の開口部を通して収納凹部に第2液体を注入し、液中組立工程時に、前記他方側の開口部を通して仕切り部材を第1取付け部材内に進入させて組み付けながら前記他方側の開口部を閉塞して前記液室の形成予定部を密閉し、前記液室を形成しかつ主液室と副液室とに区画するので、例えば収納凹部と外部とを連通する連通路を防振装置本体に形成してこの連通路を通して第2液体を収納凹部に注入した後にこの連通路を閉塞する必要がなく、防振装置の構造の簡素化および防振装置の製造の簡便化を図ることができる。
また、収納凹部が弾性体の前記他方側を向く表面に形成されているので、収納凹部が弾性体に形成されていない場合に比べて弾性体の使用量を低減することが可能となり、この防振装置の軽量化および低コスト化を図ることができる。
なお、第1液体および第2液体それぞれの比重が異なる場合には、液体注入工程時に、前記他方側の開口部に対する収納凹部の鉛直方向の位置が第1液体と第2液体との比重差に対応するように防振装置本体を第1液体中に配置することで、収納凹部に第2液体を確実に注入することができる。すなわち、第2液体の比重が第1液体の比重より低い場合には第2液体が第1液体中で浮上するので、収納凹部が前記他方側の開口部に対して鉛直方向上側に位置するように防振装置本体を配置し、第2液体の比重が第1液体の比重より高い場合には第2液体が第1液体中で沈降するので、収納凹部が前記他方側の開口部に対して鉛直方向下側に位置するように防振装置本体を配置する。
また、前記収納凹部は、前記弾性体の前記他方側を向く表面における中央部に形成されていても良い。
この場合、収納凹部が、弾性体の前記他方側を向く表面における中央部に形成されているので、例えば収納凹部が、弾性体の前記他方側を向く表面における外周縁部に形成されている場合に比べて、第2液体が前記液室の形成予定部内から流出するまでに流動する必要がある距離を長くすることが可能となり、第2液体の流出を確実に抑制することができる。
すなわち、液中組立工程において第1取付け部材の前記他方側の開口部を通して仕切り部材を進入させる際に前記液室の形成予定部内で生じる第1液体の流動に伴って、収納凹部に収納された第2液体が前記液室の形成予定部内から流出してしまう場合には、第2液体が収納凹部から流出した後、第1取付け部材の内周面を前記軸方向の他方側に向けて伝うように流動しながらこの内周面と仕切り部材との間を通った後に、前記他方側の開口部を通って流出することになる。ここで、収納凹部が、弾性体の前記他方側を向く表面における中央部に形成されているので、収納凹部から流出した第2液体が、前述のように前記液室の形成予定部から流出するには、まず、径方向の外側に向けて第1取付け部材の内周面まで流動する必要がある。従って、例えば収納凹部が、弾性体の前記他方側を向く表面における外周縁部に形成されている場合に比べて、第2液体が、前記液室の形成予定部内から流出するまでに流動する必要がある距離を長くすることができる。
また、前記弾性体の前記他方側を向く表面には、前記収納凹部を径方向の外側から囲う環状凹部が形成されていても良い。
この場合、弾性体の前記他方側を向く表面に、収納凹部を径方向の外側から囲う環状凹部が形成されていることから、液中組立工程時に仮に第2液体が収納凹部から流出したとしても、この第2液体が、径方向の外側に向けて第1取付け部材の内周面まで流動する過程において環状凹部の内側に向けても流動されるので、第2液体を第1取付け部材の内周面まで流動させにくくすることができる。
そして、前記本発明に係る防振装置の製造方法で製造された防振装置によれば、互いに非相溶性を有する第1液体および第2液体が所定の比率で液室内に封止されており、性能安定性の向上を図ることができる。
ここで、前記防振装置では、前記第1取付け部材および前記第2取付け部材は、互いに同軸に配設され、前記弾性体は、前記第1取付け部材の軸方向における一方側の開口部を閉塞し、前記第2取付け部材は、前記軸方向に延在し振動発生部および振動受部のうちのいずれか他方に連結される取付け筒部と、該取付け筒部における前記軸方向の他方側の端部に前記他方側に向けて突設された補強筒部と、を備え、前記弾性体には、前記補強筒部が埋設されていても良い。
この場合、弾性体に補強筒部が埋設されているので、この補強筒部によって弾性体を補強することが可能となり、弾性体の破損を確実に防止することができる。
本発明によれば、互いに非相溶性を有する第1液体および第2液体を所定の比率で液室内に封止することができ、防振装置の性能安定性を向上させることができる。
本発明の第1実施形態に係る防振装置の製造方法により製造された防振装置の縦断面図である。 図1に示す防振装置の製造方法を説明する一工程図である。 図1に示す防振装置の製造方法を説明する一工程図である。 本発明の第2実施形態に係る防振装置の製造方法により製造された防振装置の縦断面図である。 封入液の体積に対する第2液体の体積の比率と振動加速度との関係を示すグ ラフである。 封入液の体積に対する第2液体の体積の比率と振動加速度との関係を示すグ ラフである。 封入液の体積に対する第2液体の体積の比率と振動加速度との関係を示すグ ラフである。 封入液の体積に対する第2液体の体積の比率と振動加速度との関係を示すグ ラフである。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る防振装置の製造方法により製造された防振装置を、図1を参照して説明する。
防振装置10は、振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材11、および他方に連結される第2取付け部材12と、これらの第1取付け部材11と第2取付け部材12とを弾性的に連結する弾性体13と、第1取付け部材11の内部に形成された液室17を後述する主液室14と副液室15とに区画する仕切り部材16と、を備えている。
なお、これらの各部材はそれぞれ、上面視円形状もしくは円環状に形成されているとともに、中心軸線Oを共通軸にして同軸上に配置されている。
そして、この防振装置10が例えば自動車に装着された場合、第2取付け部材12が振動発生部としてのエンジンに連結される一方、第1取付け部材11が図示しないブラケット等を介して振動受部としての車体に連結されることにより、エンジンの振動が車体に伝達されるのを抑えられるようになっている。
第1取付け部材11は、前記中心軸線O方向の一方側の小径部11aと、前記中心軸線O方向の他方側の大径部11bと、これらの小径部11aと大径部11bとを連結する段部11cと、を備え、これらの小径部11a、大径部11bおよび段部11cが前記中心軸線Oと同軸に配置されているとともに例えば金属材料等で一体に形成されている。
第2取付け部材12は、前記中心軸線O方向に延在し前記振動発生部に連結される取付け筒部12aと、この取付け筒部12aにおける前記中心軸線O方向の他方側の他端部に前記他方側に向けて突設された補強筒部12bと、を備えている。取付け筒部12aの内周面には、雌ねじ部が形成されており、前記振動発生部は、雌ねじ部に螺着されることで第2取付け部材12に連結される。また、取付け筒部12aは、前記中心軸線O方向における一方側の端部である一端部が、第1取付け部材11の前記中心軸線O方向における一方側に位置する一端開口面よりも前記中心軸線O方向の外側(一方側)に突出している。補強筒部12bは、有底筒状に形成されており、その底壁部が取付け筒部12aの前記他端部側の開口部を閉塞している。また、補強筒部12bの周壁部は、前記中心軸線O方向の一方側から他方側に向かうに従って漸次拡径している。
弾性体13は、第1取付け部材11の前記中心軸線O方向における一方側の開口部である一端開口部11Aを閉塞している。本実施形態では、弾性体13は、円柱状に形成されているとともに第1取付け部材11の径方向の内側に配設されている。また、弾性体13における前記中心軸線O方向の一方側の端部である一端部には、取付け筒部12aのうち第1取付け部材11の内側に位置する前記他端部が埋設されるとともに、弾性体13における前記中心軸線O方向の他方側の他端部に、補強筒部12bが埋設されている。そして、弾性体13の前記一端部の外周面は、第1取付け部材11の前記一端開口部11Aを画成する小径部11aの内周面に加硫接着されている。これにより、弾性体13は、第1取付け部材11の前記一端開口部11Aを閉塞している。
また、弾性体13の前記中心軸線O方向における他方側を向く表面である他端面13aは、前記小径部11aの前記中心軸線O方向における他方側の端縁よりも、前記中心軸線O方向の他方側に位置している。この弾性体13の前記他端面13aは、後述する液室17を画成する壁面の一部を構成している。
また、弾性体13の前記他端面13aの外周縁部には、前記中心軸線O回りに全周にわたって連なる切り欠き部13bが形成されている。この切り欠き部13bは、径方向の内側から外側に向かうに従って漸次前記中心軸線O方向における他方側から一方側に向けて深く(大きく)なるように形成されている。
なお、本実施形態では、弾性体13の前記一端部の外周面には、前記中心軸線O方向の他方側に向けて第1取付け部材11の内周面に沿って延びる被覆膜13cが連結されている。被覆膜13cは、弾性体13と一体に形成されているとともに、第1取付け部材11の内周面において、弾性体13の前記一端部が加硫接着されていない部分の全域にわたって加硫接着されている。これにより、第1取付け部材11の内周面は、全域にわたって弾性体13および被覆膜13cにより覆われている。なお、図示の例では、弾性体13および被覆膜13cは、例えばゴム状弾性材や合成樹脂等の弾性体により一体に形成されている。
さらに、第1取付け部材11の前記中心軸線O方向における他方側の開口部である他端開口部11Bには、ダイヤフラム19が配設されている。このダイヤフラム19は、上面視円形状に形成されているとともに前記中心軸線Oと同軸に配設され、第1取付け部材11の前記中心軸線O方向における他方側に位置する他端開口面から前記中心軸線O方向の外側(他方側)に向けて膨出した逆椀状に形成されている。また、ダイヤフラム19の外周縁部である前記中心軸線O方向における一方側の開口端部には、樹脂材料もしくは金属材料で形成されたダイヤフラムリング19aが、前記中心軸線Oと同軸になるように埋設されている。
そして、ダイヤフラムリング19aが第1取付け部材11の大径部11bの前記中心軸線O方向における他方側の端部であるカシメ部11dにカシメ固定されることで、ダイヤフラム19は、第1取付け部材11の他端開口部11Bを閉塞している。カシメ部11dは、その全周にわたって径方向の内側に向けて屈曲されている。
以上の構成において、第1取付け部材11の内部のうち、ダイヤフラム19と弾性体13との間に位置する部分が、これらのダイヤフラム19および弾性体13によって液密に閉塞され、封入液Lが封入された液室17となっている。
封入液Lは、非相溶性を有する、つまり互いに不溶な第1液体L1(図2参照)および第2液体L2(図2参照)を含有している。第2液体L2は、第1液体L1よりも封入液L中に含まれる重量比率が小さくなっている。また、第2液体L2は、少なくとも−30℃以上100℃以下の温度範囲で、第1液体L1よりも蒸気圧が高く、かつ蒸発潜熱が小さくなっている。例えば、第2液体L2の蒸気圧は第1液体L1の蒸気圧の2倍以上とされ、また第1液体L1の1kg当たりの蒸発潜熱は、第2液体L2の1kg当たりの蒸発潜熱の2倍以上となっている。なお、第2液体L2は、第1液体L1よりも粘度が低くなっている。
以上のような第1液体L1としては、例えばエチレングリコールとプロピレングリコールとを含有するものもしくはエチレングリコール単体等が挙げられ、また第2液体L2としては、例えばシリコーンオイルもしくはフッ素オイル等が挙げられる。また、封入液Lは、第1液体L1を60重量%以上99.9重量%以下含有し、第2液体L2を0.1重量%以上40重量%以下含有している。好ましくは、封入液Lは、第1液体L1を80重量%以上99重量%以下含有し、第2液体L2を1重量%以上20重量%以下含有している。例えば、封入液L中に、第1液体L1が80cc〜200cc含まれ、第2液体L2は0.5cc〜5cc含まれている。
さらに、封入液Lは、少なくともこの防振装置10に路面の凹凸等により大きな振動(荷重)が入力されたときに、第2液体L2が第1液体L1に対して分離した状態で第1液体L1中に多数箇所にわたって分散された態様になる。
そして、この封入液Lが封入された液室17は、仕切り部材16によって、弾性体13を壁面の一部に有しこの弾性体13の変形により内容積が変化する主液室14と、ダイヤフラム19を壁面の一部に有しこのダイヤフラム19の変形により内容積が変化する副液室15と、に区画されている。
仕切り部材16は、円環状の仕切り部材本体16aと、前記中心軸線O方向に互いに間隔をあけて配置された第1仕切り板16bおよび第2仕切り板16cと、これらの仕切り板16b、16cの間に配置されたメンブラン16dと、を備えている。
図示の例では、第1仕切り板16bおよび第2仕切り板16cは、互いに接合されているとともに、それぞれの仕切り板16b、16cにおいてメンブラン16dと対向する位置に複数の流通孔が形成されている。また、第1仕切り板16bの外周面は、仕切り部材本体16aの内周面に連結されており、これらの仕切り部材本体16aおよび第1仕切り板16bは、例えば金属材料もしくは合成樹脂材料等で一体に形成されている。また、メンブラン16dは、ゴム状弾性材で円板状に形成されている。
そして、このように形成された仕切り部材16は、第1取付け部材11の大径部11b内に嵌合されることで、前記液室17を主液室14と副液室15とに区画している。なお図示の例では、第1仕切り板16bが主液室14側に配置されているとともに、第2仕切り板16cが副液室15側に配置されている。
また、仕切り部材16には、主液室14と副液室15とを連通しかつ前記液室17内の封入液Lが流通することで液柱共振を生じさせる制限通路24が形成されている。
図示の例では、仕切り部材本体16aの外周面には、前記制限通路24となる周溝が形成されており、この周溝が前記被覆膜13cによって仕切り部材16の径方向の外側から閉塞されることで制限通路24が形成されている。
さらに、本実施形態では、この防振装置10は、主液室14が鉛直方向下側に位置しかつ副液室15が鉛直方向上側に位置するように取り付けられて用いられる吊下式となっている。つまり、この防振装置10は、前記中心軸線O方向の一方側が鉛直方向下側に位置しかつ前記中心軸線O方向の他方側が鉛直方向上側に位置するように取り付けられる。
このように形成された防振装置10においては、振動の入力に伴って弾性体13が変形して主液室14の内容積が変化することで、封入液Lが主液室14と副液室15との間で制限通路24を通って流通するので、この流通時に生じる液柱共振により振動が吸収および減衰される。
さらに、液室17(主液室14)に封入された封入液Lが、互いに不溶でかつ蒸気圧が異なる第1液体L1および第2液体L2を含有しているので、この封入液L全体の蒸気圧が、第1液体L1単体の蒸気圧および第2液体L2単体の蒸気圧よりも高くなる。
従って、例えば大きな振動(荷重)の入力に起因して主液室14の液圧が大きく低下する過程で、封入液L中における第1液体L1と第2液体L2との界面領域でキャビテーション(多数の気泡の生成)が発生し始める液圧が、主液室14に第1液体L1単体もしくは第2液体L2単体を封入した場合と比べて高くなる。
ここで、第2液体L2が第1液体L1よりも蒸気圧が高くなっているので、その後さらに継続して主液室14の液圧が低下する過程で、前記界面領域の中でも第1液体L1および第2液体L2のうち蒸気圧が高い第2液体L2側で優先的にキャビテーションを発生させつつ、このキャビテーションにより生成された気泡を成長させることにより、主液室14の液圧の低下を抑制することが可能になる。
従って、第1液体L1中にキャビテーションが発生するのを抑えることが可能になり、第2液体L2の含有重量が第1液体L1の含有重量よりも少なくなっていることと相俟って、封入液L全体で気泡が生成されるのを抑制することができる。
これにより、主液室14の液圧が低下する過程で、前述の気泡が潰されて衝撃波が発生するのを抑制することが可能になり、この衝撃波が例えば第1取付け部材11等の金属材料に伝播することを起因として異音が発生するのを抑制することができる。
また、第1液体L1よりも蒸気圧が高くキャビテーションが発生し易い第2液体L2の封入液L中に含まれる重量が、第1液体L1よりも少なくなっていることから、前述の作用効果を確保した上で、想定される通常の大きさの振動が入力されたときにもキャビテーションが発生し易くなるのを防ぐことが可能になり、封入液Lが制限通路24を流通して生じる液柱共振により発揮される防振装置10の減衰性能を確実に確保することができる。
次に、前述した構成からなる防振装置10の製造方法について、図2および図3を参照して説明する。なお、本実施形態では、第2液体L2の比重が、第1液体L1の比重よりも高くなっている場合を例に挙げて説明する。
まず、第1取付け部材11と第2取付け部材12とを弾性体13により連結して防振装置本体20を作製する防振装置本体作製工程を行う。
具体的に説明すると、まず、弾性体13および被覆膜13cを形成するための図示しない防振装置本体金型の中に第1取付け部材11および第2取付け部材12をそれぞれ所定位置に配置するとともに、第1取付け部材11および第2取付け部材12にそれぞれ接着下地処理を施した後に接着剤を塗布する。その後、前記防振装置本体金型の中に未加硫ゴムを射出して弾性体13を成形するとともに、この弾性体13と一体に被覆膜13cを成形する。続いて、これらの弾性体13および被覆膜13cに硫黄ガス、圧力および熱をそれぞれ加えて加硫する。そして、前記防振装置本体金型の脱型を行うことにより、防振装置本体20が作製される。
ここで、図2に示すように、以上のように作製された防振装置本体20においては、第1取付け部材11の前記他端開口部11Bが弾性体13で閉塞されているので、弾性体13の前記他端面13aと、第1取付け部材11の内周面を壁面として画成される部分(空間)が、液室の形成予定部17Aとなる。
そして、この液室の形成予定部17Aには、後述する液体注入工程で第2液体L2が注入される環状凹部(収納凹部)21が形成されている。本実施形態では、環状凹部21は、弾性体13の前記他端面13aにおける外周縁部に形成されており、前記他端面13aに形成された切り欠き部13bの表面および第1取付け部材11の小径部11aの内周面を壁面として円環状に画成されている。なお、無負荷状態での環状凹部21の内容積は、無負荷状態での液室17の内容積の1%以上であることが好ましい。
また、仕切り部材本体16aおよび第1仕切り板16bを一体に形成するとともに、第1仕切り板16bと第2仕切り板16cとの間にメンブラン16dを配置した状態でこれらの仕切り板16b、16cを互いに接合して仕切り部材16を作製する仕切り部材作製工程を行う。
また、ダイヤフラム19を作製するダイヤフラム作製工程を行う。
具体的に説明すると、ダイヤフラム19を形成するための図示しないダイヤフラム金型の中にダイヤフラムリング19aを所定位置に配置するとともに、ダイヤフラムリング19aの表面に接着下地処理を施した後に接着剤を塗布する。その後、前記ダイヤフラム金型の中に未加硫ゴムを射出してダイヤフラム19を成形した後、そのダイヤフラム19に硫黄ガス、圧力および熱をそれぞれ加えて加硫する。そして、前記ダイヤフラム金型の脱型を行うことにより、外周縁部にダイヤフラムリング19aが埋設されたダイヤフラム19が作製される。
次に、図2に示すように、防振装置本体20を第1液体L1中に配置する液中配置工程を行う。
具体的に説明すると、まず、プールP内に貯留された第1液体L1に防振装置本体20を浸漬するとともに、前記液室の形成予定部17A内などに空気が残留しないように防振装置本体20を第1液体L1中で適宜揺動させる。その後、第1取付け部材11の前記他端開口部11Bに対する環状凹部21の鉛直方向の位置が、第1液体L1と第2液体L2との比重差に対応するように防振装置本体20を第1液体L1中に配置する。本実施形態では、第2液体L2の比重が第1液体L1の比重より高いので、第1取付け部材11の前記他端開口部11B側が鉛直方向上側を向き環状凹部21が前記他端開口部11Bに対して鉛直方向下側に位置するように防振装置本体20を配置する。
なお、図2に示すように、本実施形態では、液中配置工程時に、防振装置本体20とともに、仕切り部材16およびダイヤフラム19をそれぞれプールP内に貯留された第1液体L1に浸漬する。そして、仕切り部材16を第1液体L1に浸漬した後には、制限通路24内や仕切り板16b、16cの表面などに空気が残留しないように第1液体L1中で仕切り部材16を適宜揺動させる。さらに、ダイヤフラム19を第1液体L1に浸漬した後には、ダイヤフラム19の内部などに空気が残留しないように第1液体L1中でダイヤフラム19を適宜揺動させる。
以上により、第1液体L1中に防振装置本体20、仕切り部材16およびダイヤフラム19が配置される。
次に、図2に示すように、防振装置本体20を第1液体L1中に入れた状態で、防振装置本体20における液室の形成予定部17A内に第2液体L2を注入する液体注入工程を行う。そしてこの際、本実施形態では、前記液室の形成予定部17Aに形成された環状凹部21に第2液体L2を注入する。またこの際、ノズルNを用いるととともに、防振装置本体20の第1取付け部材11の前記他端開口部11Bを通して環状凹部21に第2液体L2を注入する。
具体的に説明すると、まず、第1取付け部材11の前記他端開口部11Bを通して、前記液室の形成予定部17A内にノズルNを差し込む。この際、ノズルNの先端が、環状凹部21の鉛直方向上側もしくは環状凹部21の内部に位置するようにノズルNを差し込む。また、ノズルNに、ノズルNの先端から第2液体L2を注出させる図示しない注出器を接続する。そして、ノズルNを差し込むとともにノズルNに前記注出器を接続した後、このノズルNから環状凹部21に向けて第2液体L2を注出する。ここで、本実施形態では、第2液体L2の比重が第1液体L1の比重より高くなっているので、ノズルNから注出された第2液体L2が第1液体L1中で沈降して環状凹部21の底部に注入される。そして、環状凹部21に第2液体L2を所定量注入した後、図3に示すように、前記液室の形成予定部17AからノズルNを退避させる。
次に、防振装置本体20を第1液体L1中に入れた状態で、防振装置本体20に少なくとも仕切り部材16を組み付け、前記液室の形成予定部17Aを密閉して前記液室17を形成するとともに該液室17内に第1液体L1および第2液体L2を封止する液中組立工程を行う。この際、本実施形態では、第1取付け部材11の前記他端開口部11Bを通して仕切り部材16を第1取付け部材11内に進入させて組み付けながら前記他端開口部11Bを閉塞して前記液室の形成予定部17Aを密閉し、前記液室17を形成しかつ主液室14と副液室15とに区画する。
具体的に説明すると、まず、プールP内に貯留された第1液体L1中で、第1取付け部材11の前記他端開口部11Bを通して仕切り部材16を第1取付け部材11内に進入させ、第1取付け部材11内に嵌合させる。次いで、プールP内に貯留された第1液体L1中で、第1取付け部材11の前記他端開口部11Bを通してダイヤフラム19を第1取付け部材11内に進入させる。そして、第1取付け部材11のカシメ部11dを全周にわたって径方向の内側に屈曲させてダイヤフラムリング19aをカシメ部11dにカシメ固定することで、ダイヤフラム19により第1取付け部材11の前記他端開口部11Bを閉塞して前記液室の形成予定部17Aを密閉して前記液室17を形成するとともに、仕切り部材16により前記液室17を主液室14と副液室15とに区画する。
以上により、プールP内に貯留された第1液体L1中で防振装置10が形成される。
次に、形成された防振装置10を第1液体L1中から取り出した後、防振装置10の表面の第1液体L1を洗い流す。これにより、防振装置10が完成する。
以上に示した本実施形態に係る防振装置10の製造方法によれば、液体注入工程時に、環状凹部21に第2液体L2を注入するので、液中組立工程時に防振装置本体20における液室の形成予定部17A内に生じる第1液体L1の流動によって第2液体L2が前記液室の形成予定部17A内から流出するのを抑制することができる。従って、第1液体L1および第2液体L2を所定の比率で前記液室17内に封止することが可能となり、防振装置10の性能安定性を向上させることができる。つまり、本実施形態では、防振装置10は、液柱共振により発揮される減衰性能を確実に確保しつつ、キャビテーションを起因として異音が発生するのを抑制することができる。
また、液体注入工程時に、前記液室の形成予定部17A内にノズルNを差し込み、このノズルNから環状凹部21に向けて第2液体L2を注出するので、環状凹部21に第2液体L2を確実に注入することができる。
また、液体注入工程時に、防振装置本体20の第1取付け部材11の前記他端開口部11Bを通して環状凹部21に第2液体L2を注入し、液中組立工程時に、前記他端開口部11Bを通して仕切り部材16を第1取付け部材11内に進入させて組み付けながら前記他端開口部11Bを閉塞して前記液室の形成予定部17Aを密閉し、前記液室17を形成しかつ主液室14と副液室15とに区画するので、例えば環状凹部21と外部とを連通する連通路を防振装置本体20に形成してこの連通路を通して第2液体L2を環状凹部21に注入した後にこの連通路を閉塞する必要がなく、防振装置10の構造の簡素化および防振装置10の製造の簡便化を図ることができる。
また、環状凹部21が弾性体13の前記他端面13aに形成されているので、環状凹部21が弾性体13に形成されていない場合に比べて弾性体13の使用量を低減することが可能となり、この防振装置10の軽量化および低コスト化を図ることができる。
また、水溶性のエチレングリコール等の第1液体L1中で液中組立工程を行うので、防振装置10の表面に油系の第2液体L2(シリコーンオイルやフッ素オイル)が付着せず、防振装置10の表面を洗浄する際、例えば水などで容易に洗い流すことができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る防振装置の製造方法により製造された防振装置を、図4を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態の防振装置30では、弾性体13の前記他端面13aにおける中央部に、液体注入工程で第2液体L2が注入される中央凹部(収納凹部)31が形成されている。中央凹部31は、前記中心軸線Oの他方側から一方側に向かうに従って漸次縮径する円錐形状に形成されているとともに、前記中心軸線Oと同軸になるように形成されている。図示の例では、中央凹部31は、弾性体13に埋設されている第2取付け部材12の補強筒部12bの径方向の内側に形成されており、中央凹部31の内周面は、補強筒部12bの周壁部の内周面に沿って形成されている。
以上のように形成された防振装置30において、環状凹部21は、中央凹部31を径方向の外側から囲うように形成されている。
次に、前述した構成からなる防振装置30の製造方法について説明すると、本実施形態では、液体注入工程は、中央凹部31に第2液体L2を注入し、環状凹部21には第2液体L2を注入しない。
具体的に説明すると、まず、第1取付け部材11の前記他端開口部11Bを通して、前記液室の形成予定部17A内にノズルNを差し込むとともに、このノズルNに前記注出器を接続する。この際、ノズルNの先端が中央凹部31の鉛直方向上側もしくは中央凹部31の内部に位置するようにノズルNを差し込む。その後、このノズルNから中央凹部31に向けて第2液体L2を注出する。そして、中央凹部31に第2液体L2を所定量注入した後、前記液室の形成予定部17AからノズルNを退避させる。
以上に示した本実施形態に係る防振装置30の製造方法によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、中央凹部31が、弾性体13の前記他端面13aにおける中央部に形成されているとともに、液体注入工程時に、中央凹部31に第2液体L2を注入するので、例えば、弾性体13の前記他端面13aにおける外周縁部に形成された環状凹部21に第2液体L2を注入して収納する場合に比べて、第2液体L2が、前記液室の形成予定部17A内から流出するまでに流動する必要がある距離を長くすることが可能となり、第2液体L2の流出を確実に抑制することができる。
すなわち、液中組立工程において第1取付け部材11の前記他端開口部11Bを通して仕切り部材16を進入させる際に前記液室の形成予定部17A内で生じる第1液体L1の流動に伴って、中央凹部31に収納された第2液体L2が前記液室の形成予定部17A内から流出してしまう場合には、第2液体L2が中央凹部31から流出した後、第1取付け部材11の内周面を前記中心軸線O方向の他方側に向けて伝うように流動しながらこの内周面と仕切り部材16との間を通った後に、前記他端開口部11Bを通って流出することになる。ここで、中央凹部31が、弾性体13の前記他端面13aにおける中央部に形成されているとともに、液体注入工程時に、中央凹部31に第2液体L2を注入するので、中央凹部31から流出した第2液体L2が、前述のように前記液室の形成予定部17Aから流出するには、まず、径方向の外側に向けて第1取付け部材11の内周面まで流動する必要がある。従って、環状凹部21に第2液体L2を収納する場合に比べて、第2液体L2が、前記液室の形成予定部17A内から流出するまでに流動する必要がある距離を長くすることできる。
また、弾性体13の前記他端面13aに、中央凹部31を径方向の外側から囲う環状凹部21が形成されていることから、液中組立工程時に仮に第2液体L2が中央凹部31から流出したとしても、この第2液体L2が、径方向の外側に向けて第1取付け部材11の内周面まで流動する過程において環状凹部21の内側に向けても流動されるので、第2液体L2を第1取付け部材11の内周面まで流動させにくくすることができる。
また、本実施形態に係る防振装置30によれば、中央凹部31が、補強筒部12bの径方向の内側に形成されているので、この補強筒部12bによって、弾性体13において中央凹部31を形成することで薄肉とされた中央凹部31の近傍に位置する部分を補強することが可能となり、弾性体13の破損を確実に防止することができる。
また、弾性体13に、環状凹部21だけでなく中央凹部31も形成されているので、弾性体13に環状凹部21のみが形成されている防振装置10に比べて弾性体13の使用量をより一層低減することができる。この場合、低減された弾性体13の使用量分、封入液Lの使用量が増加するものの、低減された弾性体13の重量と増加した封入液Lの重量との差分、防振装置30を軽量化することができるとともに、低減された弾性体13のコストと増加した封入液Lのコストとの差分、防振装置30を低コスト化することができる。
なお、本実施形態では、液体注入工程は、中央凹部31に第2液体L2を注入するものとしたが、これに限られるものではなく、環状凹部21に第2液体L2を注入しても良い。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、封入液Lに含有される液体は、二種類の液体(第1液体L1、第2液体L2)に限らず、三種類以上の液体を含有する封入液であってもよい。
また、前記各実施形態では、封入液Lは、少なくともこの防振装置10、30に路面の凹凸等により大きな振動(荷重)が入力されたときに、第2液体L2が第1液体L1に対して分離した状態で第1液体L1中に多数箇所にわたって分散された態様になるものとしたが、これに限られるものではない。
また、第1液体L1および第2液体L2は、前述したものに限らず、非相溶性を有する液体であれば適宜変更可能である。例えば、第2液体L2が、第1液体L1と比較して蒸気圧が同等もしくは低くなっていてもよく、第1液体L1と比較して蒸発潜熱が同等もしくは大きくなっていてもよく、第1液体L1と比較して粘度が同等もしくは高くなっていてもよい。また、前記各実施形態では、封入液L中に含まれる第2液体L2の重量比率が第1液体L1の重量比率よりも小さくなっているが、第2液体L2の重量比率を第1液体L1の重量比率と同等もしくは大きくすることも可能である。
また、前記各実施形態では、封入液Lが、互いに非相溶性を有する第1液体L1および第2液体L2を含有することで、防振装置10、30が、液柱共振により発揮される減衰性能を確実に確保しつつ、キャビテーションを起因として異音が発生するのを抑制できるものとしたが、異音発生の抑制以外の効果を得るために封入液が第1液体および第2液体を含有する場合にも、本発明を適用することが可能である。
また、前記各実施形態では、第2液体L2の比重は、第1液体L1の比重よりも高くなっているものとしたが、これに限られず、第2液体L2の比重は、第1液体L1の比重より低くなっていても良く、第1液体L1の比重と等しくても良い。
なお、第2液体L2の比重が第1液体L1の比重より低い場合には、第2液体L2が第1液体L1中で浮上するので、前記液中配置工程時に、収納凹部としての環状凹部21あるいは中央凹部31が前記他端開口部11Bに対して鉛直方向上側に位置するように防振装置本体20、30を配置すれば良い。
また、前記各実施形態では、収納凹部として環状凹部21および中央凹部31を示したが、収納凹部は、前記液室の形成予定部17Aに形成されていれば、これらに限られるものではない。例えば、収納凹部として前記第2実施形態に係る防振装置30の中央凹部31のみが形成されていても良く、また、収納凹部が第1取付け部材の内周面に形成されていても良い。
また、前記各実施形態では、弾性体13は、第1取付け部材11の前記一端開口部11Aを閉塞しているものとしたが、第1取付け部材11と第2取付け部材12とを弾性的に連結するとともに、主液室14の壁面の一部を構成するものであれば、これに限られるものではない。
また、前記各実施形態では、液中配置工程時に仕切り部材16およびダイヤフラム19を第1液体L1に浸漬して第1液体L1中に配置するものとしたが、液中組立工程前に仕切り部材16およびダイヤフラム19を第1液体L1中に配置すれば、これに限られるものではない。ただし、液体注入工程前に仕切り部材16およびダイヤフラム19を第1液体L1中に配置することで、防振装置本体20における液室の形成予定部17A内に第2液体L2が注入される前に仕切り部材16およびダイヤフラム19を第1液体L1に浸漬して第1液体L1中に配置することが可能となる。従って、各構成要素をプールP内の第1液体L1に浸漬する際に第1液体L1の流動が生じたとしても、前記液室の形成予定部17A内に注入される第2液体L2に影響を与えることがない。
また、前記各実施形態では、液体注入工程時に、ノズルNを用いるものとしたが、これに限られるものではない。例えば、プールPの液面から第2液体L2を滴下することによって注入しても良い。
また、防振装置10として吊下式を示したが、主液室14が鉛直方向上側に位置しかつ副液室15が鉛直方向下側に位置するように取り付けられて用いられる圧縮式の防振装置にも適用可能である。
また、本発明に係る防振装置の製造方法は、車両のエンジンマウントとしての防振装置10、30を製造する場合に限定されるものではなく、エンジンマウント以外の防振装置に適用することも可能である。例えば、建設機械に搭載された発電機のマウントとしての防振装置を製造する場合にも適用することも可能であり、或いは、工場等に設置される機械のマウントとしての防振装置を製造する場合にも適用することも可能である。
また、前記各実施形態では、第1取付け部材11のカシメ部11dにダイヤフラム19(ダイヤフラムリング19a)がカシメ固定されているが、これに限られるものではなく、例えば、ダイヤフラムが第1取付け部材に止め具等によって固定されていてもよい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
次に、封入液の体積に対する第2液体の体積の比率と異音の発生との関係に関する検証試験について説明する。
この検証試験では、互いに異なる4種類の封入液がそれぞれ封入された防振装置を用い、各防振装置において、封入液の体積に対する第2液体の体積の比率を変化させ、その封入液が封入された状態で振動が入力されたときに発生する振動加速度(以下、単に振動加速度という)を測定した。
結果を図5〜図8に示す。この図5〜図8に示すグラフは、封入液の体積に対する第2液体の体積の比率と振動加速度との関係を示すもので、グラフの横軸が封入液の体積に対する第2液体の体積の比率(体積%)、縦軸が振動加速度(m/s)である。また、各グラフ中、「Max」、「Min」、「Ave」はそれぞれデータの最大値、最小値、平均値を示す。
なお、図5の例では、第1液体としてエチレングリコール、第2液体としてフッ素オイルを、図6の例では、第1液体としてエチレングリコール、第2液体としてシリコーンオイルを、図7の例では、第1液体としてエチレングリコールおよびプロピレングリコール、第2液体としてフッ素オイルを、図8の例では、第1液体としてエチレングリコールおよびプロピレングリコール、第2液体としてシリコーンオイルを、それぞれ含有する封入液用いた。また、封入液の体積に対する第2液体の体積の比率の測定は、いずれの場合も室温で行った。
ここで、振動加速度は、防振装置への振動入力時における異音の発生と相関があり、振動加速度が大きいほど、異音が発生しやすくなる。
図5〜図8に示すように、図5〜図8の例では、封入液が第2液体を含有する(添加される)ことにより振動加速度が低下することが確認された。また、封入液の体積に対する第2液体の体積の比率を1体積%以上とすることで、振動加速度を確実に低下させることが確認された。従って、収納凹部の内容積は、液室の内容積の1%以上とすることが好ましい。
10、30 防振装置
11 第1取付け部材
11A 一端開口部(第1取付け部材の軸方向における一方側の開口部)
11B 他端開口部(第1取付け部材の軸方向における他方側の開口部)
12 第2取付け部材
13 弾性体
13a 弾性体の他端面(弾性体の他方側を向く表面)
14 主液室
15 副液室
16 仕切り部材
17 液室
17A 防振装置本体における液室の形成予定部
20 防振装置本体
21 環状凹部(収納凹部)
24 制限通路
31 中央凹部(収納凹部)
L 封入液
L1 第1液体
L2 第2液体

Claims (5)

  1. 振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材、および他方に連結される第2取付け部材と、
    前記第1取付け部材と前記第2取付け部材とを弾性的に連結する弾性体と、
    前記第1取付け部材内の液室を、前記弾性体を壁面の一部とする一方側の主液室と他方側の副液室とに区画する仕切り部材と、を備え、
    前記液室に、互いに非相溶性を有する第1液体および第2液体を少なくとも含有する封入液が封入され、
    前記仕切り部材に、前記主液室と前記副液室とを連通しかつ前記封入液が流通することで液柱共振を生じさせる制限通路が形成された液体封入型の防振装置の製造方法であって、
    前記第1取付け部材と前記第2取付け部材とを前記弾性体により連結して防振装置本体を作製する防振装置本体作製工程と、
    前記防振装置本体を前記第1液体中に入れた状態で、前記防振装置本体における前記液室の形成予定部内に前記第2液体を注入する液体注入工程と、
    前記防振装置本体を前記第1液体中に入れた状態で、前記防振装置本体に少なくとも前記仕切り部材を組み付け、前記液室の形成予定部を密閉して前記液室を形成するとともに該液室内に前記第1液体および前記第2液体を封止する液中組立工程と、を備え、
    前記液体注入工程は、前記液室の形成予定部に形成された収納凹部に前記第2液体を注入することを特徴とする防振装置の製造方法。
  2. 請求項1記載の防振装置の製造方法であって、
    前記液体注入工程は、前記液室の形成予定部内にノズルを差し込み、このノズルから前記収納凹部に向けて前記第2液体を注出することを特徴とする防振装置の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の防振装置の製造方法であって、
    前記弾性体は、前記第1取付け部材の軸方向における一方側の開口部を閉塞するとともに、前記軸方向における他方側を向く表面が、前記液室を画成する壁面の一部を構成し、
    前記収納凹部は、前記弾性体の前記他方側を向く表面に形成され、
    前記液体注入工程は、前記防振装置本体の第1取付け部材の軸方向における他方側の開口部を通して前記収納凹部に前記第2液体を注入し、
    前記液中組立工程は、前記第1取付け部材の前記他方側の開口部を通して前記仕切り部材を前記第1取付け部材内に進入させて組み付けながら前記他方側の開口部を閉塞して前記液室の形成予定部を密閉し、前記液室を形成しかつ前記主液室と前記副液室とに区画することを特徴とする防振装置の製造方法。
  4. 請求項3記載の防振装置の製造方法であって、
    前記収納凹部は、前記弾性体の前記他方側を向く表面における中央部に形成されていることを特徴とする防振装置の製造方法。
  5. 請求項4記載の防振装置の製造方法であって、
    前記弾性体の前記他方側を向く表面には、前記収納凹部を径方向の外側から囲う環状凹部が形成されていることを特徴とする防振装置の製造方法。
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