JP5286165B2 - 防振装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車や産業機械等に適用され、エンジン等の振動発生部の振動を吸収および減衰する防振装置の製造方法に関する。
この種の防振装置として、従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材、および他方に連結される第2取付け部材と、第1取付け部材と第2取付け部材とを弾性的に連結する弾性体と、第1取付け部材内の液室を、弾性体を壁面の一部とする一方側の主液室と他方側の副液室とに区画する仕切り部材と、副液室の壁面の一部を形成するダイヤフラムと、を備える構成が知られている。また、前記液室には、互いに非相溶性を有する第1液体および第2液体を少なくとも含有する封入液が封入されている。さらに、この防振装置には、主液室と副液室とを連通する制限通路が形成されており、この制限通路を通って封入液が主液室と副液室との間で往来可能となっている。
ところで、このような防振装置の製造方法として、防振装置を液中で組み立てる方法が知られている。この方法は、まず、第1取付け部材と第2取付け部材とが弾性体を介して連結された防振装置本体を作製する工程を行う。次に、防振装置本体を、封入液を貯留したプールの中に入れ、このプール内(封入液中)で防振装置本体に仕切り部材およびダイヤフラムを組み付ける工程を行う。これにより、液室内に封入液を封止することができる。
特許第2860701号公報
しかしながら、封入液が非相溶性の二種以上の液体で構成されている場合、前記従来の防振装置の製造方法では、封入液に含有された複数種の液体がプール内で分離してしまうため、これら複数種の液体を所定の比率で液室内に封止することが難しいという問題がある。このため、前記従来の製造方法で製造された防振装置は、液室に封入された複数種の液体の比率にばらつきが生じ易く、その結果、防振装置の性能が安定しないという問題が存在する。
ところで、本願発明者は鋭意検討した結果、第2液体として例えばフッ素オイル等を、第1液体として例えばエチレングリコール等をそれぞれ採用し、かつ第2液体の含有比率を第1液体よりも少なくするとキャビテーションの発生が抑制され、この効果は特に第1、第2液体の含有比率に大きく依存するといった知見を得るに至った。つまり、キャビテーションの発生を抑えるためには、液室内に複数種の液体を所定の比率で高精度に封止することが不可欠となっている。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、互いに非相溶性を有する第1液体および第2液体を所定の比率で液室内に封止することができ、防振装置の性能安定性を向上させることができる防振装置の製造方法を提供することである。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る防振装置の製造方法は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材、および他方に連結される第2取付け部材と、前記第1取付け部材と前記第2取付け部材とを弾性的に連結する弾性体と、前記第1取付け部材内の液室を、前記弾性体を壁面の一部とする一方側の主液室と他方側の副液室とに区画する仕切り部材と、内面が前記副液室の壁面の一部を形成するダイヤフラムと、を備え、前記液室に、互いに非相溶性を有する第1液体および第1液体よりも比重が高い第2液体を少なくとも含有する封入液が封入され、前記仕切り部材に、前記主液室と前記副液室とを連通しかつ前記封入液が流通することで液柱共振を生じさせる制限通路が形成された液体封入型の防振装置の製造方法であって、前記第1取付け部材と前記第2取付け部材とが前記弾性体で連結されてなる防振装置本体を作製する防振装置本体作製工程と、前記防振装置本体における前記液室の形成予定部、および前記ダイヤフラムの内側のうちのいずれか一方に備えられた収納凹部に第2液体を注入する第2液体注入工程と、第1液体中に前記防振装置本体、前記仕切り部材および前記ダイヤフラムを入れた状態で、これらの防振装置本体、仕切り部材およびダイヤフラムを互いに組み付けて主液室および副液室を画成し、前記液室内に前記第1液体および前記第2液体を封止する液中組立工程と、を備え、前記第2液体注入工程は、前記防振装置本体および前記ダイヤフラムのうちのいずれか一方を第1液体中に入れる前に行うことを特徴とする。
この発明によれば、第2液体注入工程を、防振装置本体およびダイヤフラムのうちのいずれか一方を第1液体中に入れる前に行うので、前記一方を第1液体中に入れた状態で収納凹部に第2液体を注入する場合に比べて、第2液体を収納凹部に所定量、高精度に注入することができる。また、第2液体注入工程時に、第2液体を前記収納凹部に注入するので、この第2液体注入工程から液中組立工程までの間、第2液体を収納凹部に留めておくことができる。
以上より、第1液体および第2液体を所定の比率で液室内に封止することが可能になり、防振装置の性能安定性を向上させることができる。
また、第2液体注入工程を、防振装置本体およびダイヤフラムのうちのいずれか一方を第1液体中に入れる前に行うので、前記一方を第1液体中に入れた状態で収納凹部に第2液体を注入する場合に比べて、例えば収納凹部に注入した第2液体が収納凹部に定着するまでの時間を短縮することが可能になり、収納凹部への第2液体の注入を効率良く行うことができる。
また、前記第2液体注入工程の後に、前記防振装置本体における前記液室の形成予定部、および前記ダイヤフラムの内側のうちのいずれか一方に第1液体を充填し、その後、前記防振装置本体および前記ダイヤフラムのうちのいずれか一方を第1液体中に入れても良い。
この場合、第2液体が第1液体よりも比重が高く、かつ第2液体注入工程の後に、防振装置本体における液室の形成予定部、およびダイヤフラムの内側のうちのいずれか一方に第1液体を充填し、その後、防振装置本体およびダイヤフラムのうちのいずれか一方を第1液体中に入れるので、前記一方を第1液体中に入れる前に、収納凹部に注入された第2液体が、充填された第1液体によって外側から覆われることとなる。これにより、前記一方を第1液体中に入れる前に第2液体がこぼれたり、蒸発したりすることに起因して収納凹部内の第2液体の量が減ってしまうのを抑制することが可能になり、第2液体注入工程時に収納凹部に注入された第2液体の量を確実に維持することができる。したがって、第1液体および第2液体を所定の比率でより高精度に液室内に封止することができる。
本発明によれば、互いに非相溶性を有する第1液体および第2液体を所定の比率で液室内に封止することができ、防振装置の性能安定性を向上させることができる。
本発明の第1実施形態に係る防振装置の縦断面図である。 図1に示す防振装置の製造方法を説明する一工程図である。 図1に示す防振装置の製造方法を説明する一工程図である。 図1に示す防振装置の製造方法を説明する一工程図である。 本発明の第2実施形態に係る防振装置の製造方法を説明する一工程図である。 本発明の第3実施形態に係る防振装置の製造方法を説明する一工程図である。 本発明の第3実施形態に係る防振装置の製造方法を説明する一工程図である。 封入液の体積に対する第2液体の体積の比率と振動加速度との関係を示すグラフである。 封入液の体積に対する第2液体の体積の比率と振動加速度との関係を示すグラフである。 封入液の体積に対する第2液体の体積の比率と振動加速度との関係を示すグラフである。 封入液の体積に対する第2液体の体積の比率と振動加速度との関係を示すグラフである。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る防振装置を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、防振装置10は、振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材11、および他方に連結される第2取付け部材12と、これらの第1取付け部材11と第2取付け部材12とを弾性的に連結する弾性体13と、第1取付け部材11の内部に形成された液室17を後述する主液室14と副液室15とに区画する仕切り部材16と、内面19bが後述する副液室15の壁面の一部を形成するダイヤフラム19と、を備えている。
なお、これらの各部材はそれぞれ、上面視円形状もしくは円環状に形成されているとともに、中心軸線Oを共通軸にして同軸上に配置されている。なお以下では、中心軸線Oに直交する方向を径方向という。
そして、この防振装置10が例えば自動車に装着された場合、第2取付け部材12が振動発生部としてのエンジンに連結される一方、第1取付け部材11が図示しないブラケット等を介して振動受部としての車体に連結されることにより、エンジンの振動が車体に伝達されるのを抑えられるようになっている。
第1取付け部材11は、前記中心軸線O方向の一方側の小径部11aと、前記中心軸線O方向の他方側の大径部11bと、これらの小径部11aと大径部11bとを連結する段部11cと、を備え、小径部11a、大径部11bおよび段部11cが前記中心軸線Oと同軸に配置され例えば金属材料等で一体に形成されている。
第2取付け部材12は、前記中心軸線O方向に延在し前記振動発生部に連結される取付け筒部12aと、この取付け筒部12aの前記中心軸線O方向の他方側の他端部に前記他方側に向けて突設された補強筒部12bと、を備えている。取付け筒部12aの内周面には、雌ねじ部が形成されており、前記振動発生部は、該雌ねじ部に螺着されることで第2取付け部材12に連結される。また、取付け筒部12aは、前記中心軸線O方向の一方側の一端部が、第1取付け部材11の前記中心軸線O方向の一方側の一端開口面よりも前記中心軸線O方向の外側(一方側)に突出している。補強筒部12bは、有底筒状に形成されており、その底壁部が取付け筒部12aの前記中心軸線O方向の他方側の開口部を閉塞している。また、補強筒部12bの周壁部は、前記中心軸線O方向の一方側から他方側に向かうに従って漸次拡径している。
弾性体13は、第1取付け部材11の前記中心軸線O方向の一方側の一端開口部11Aを閉塞している。図示の例では、弾性体13は、円柱状に形成され、前記中心軸線O方向の一方側の一端部の外周面が小径部11aの内周面に加硫接着されることで、第1取付け部材11の一端開口部11Aを閉塞している。弾性体13には、取付け筒部12aにおいて第1取付け部材11の内側に位置する部分および補強筒部12bが埋設されている。
また、弾性体13において前記中心軸線O方向の他方側を向く他端面13aは、前記小径部11aの前記中心軸線O方向の他方側の端縁よりも、前記中心軸線O方向の他方側に位置している。この他端面13aの外周縁部には、前記中心軸線O回りに全周にわたって連なる切り欠き部が形成されている。そして、弾性体13において前記切り欠き部を画成する切り欠き面13bは、径方向の内側から外側に向かうに従って漸次前記中心軸線O方向の他方側から一方側に向けて傾斜するように形成されており、弾性体13の外周面で弾性体13の前記一端部に至っている。
なお、本実施形態では、弾性体13の前記一端部の外周面には、前記中心軸線O方向の他方側に向けて第1取付け部材11の内周面に沿って延びる被覆膜13cが連結されている。被覆膜13cは、弾性体13と一体に形成されるとともに、第1取付け部材11の内周面において、弾性体13の前記一端部が加硫接着されていない部分の全域にわたって加硫接着されている。これにより、第1取付け部材11の内周面は、全域にわたって弾性体13および被覆膜13cにより覆われている。なお、図示の例では、弾性体13および被覆膜13cは、例えばゴム状弾性材や合成樹脂等の弾性体により一体に形成されている。
ダイヤフラム19は、第1取付け部材11の前記中心軸線O方向の他方側の他端開口部11Bに配設されている。このダイヤフラム19は、第1取付け部材11の前記中心軸線O方向の他方側の他端開口面から前記中心軸線O方向の外側(他方側)に向けて膨出した逆椀状に形成されている。また図示の例では、ダイヤフラム19の外周縁部である前記中心軸線O方向の一方側の開口端部には、樹脂材料もしくは金属材料で形成されたダイヤフラムリング19aが、前記中心軸線Oと同軸に埋設されている。
そして、ダイヤフラムリング19aが、第1取付け部材11の大径部11bにおける前記中心軸線O方向の他方側の他端部がその全周にわたって径方向の内側に向けて屈曲されて形成されたカシメ部11dにカシメ固定されることで、ダイヤフラム19は、第1取付け部材11の他端開口部11Bを閉塞している。
以上の構成において、第1取付け部材11の内部のうち、ダイヤフラム19と弾性体13との間に位置する部分が、これらのダイヤフラム19および弾性体13によって液密に閉塞され、後述する封入液Lが封入された液室17となっている。
そして、液室17は、仕切り部材16によって、弾性体13を壁面の一部に有しこの弾性体13の変形により内容積が変化する主液室14と、ダイヤフラム19を壁面の一部に有しこのダイヤフラム19の変形により内容積が変化する副液室15と、に区画されている。
仕切り部材16は、円環状の仕切り部材本体16aと、前記中心軸線O方向に互いに間隔をあけて配置された第1仕切り板16bおよび第2仕切り板16cと、これらの仕切り板16b、16cの間に配置されたメンブラン16dと、メンブラン16dを径方向の外側から囲繞し、メンブラン16dを収容するメンブラン収容空間16fを両仕切り板16b、16cとともに画成する収容筒部16eと、を備えている。
図示の例では、仕切り部材本体16aは、第1取付け部材11の大径部11b内に嵌合されている。また、第1仕切り板16bは、前記中心軸線O方向の一方側に配置され、かつ第2仕切り板16cは、前記中心軸線O方向の他方側に配置されている。第1仕切り板16bの外周面は、仕切り部材本体16aの内周面に連結されており、これらの仕切り部材本体16aおよび第1仕切り板16bは、例えば金属材料もしくは合成樹脂材料等で一体に形成されている。また、収容筒部16eは、第2仕切り板16cの外周縁部から前記中心軸線O方向の一方側に向けて延設されるとともに第1仕切り板16b上に配置されており、この収容筒部16eの径方向の内側のメンブラン収容空間16fにゴム状弾性材で円板状に形成されたメンブラン16dが配設されている。
また、第1仕切り板16bおよび第2仕切り板16cにおいてメンブラン16dと対向する位置には、各仕切り板16b、16cを前記中心軸線O方向に貫通する複数の流通孔が形成されている。
また、仕切り部材16には、主液室14と副液室15とを連通しかつ前記液室17内の後述する封入液Lが流通することで液柱共振を生じさせる制限通路24が形成されている。
図示の例では、仕切り部材本体16aの外周面には、前記制限通路24となる周溝が形成されており、この周溝が前記被覆膜13c(第1取付け部材11の大径部11b)によって径方向の外側から閉塞されることで制限通路24が形成されている。
液室17に封入された封入液Lは、非相溶性を有する、つまり互いに不溶な第1液体L1(図3参照)および第1液体L1よりも比重が高い第2液体L2(図2参照)を含有している。第2液体L2は、第1液体L1よりも封入液L中に含まれる重量比率が小さくなっている。また、第2液体L2は、−30℃以上100℃以下の温度範囲のうちの少なくとも一点で、第1液体L1の主たる成分よりも蒸気圧が高く、かつ表面張力が小さくなっている。例えば、第2液体L2の蒸気圧は同一温度における第1液体L1の主たる成分の蒸気圧の2倍以上となっている。なお、第2液体L2は、第1液体L1よりも粘度が低くなっている。また、第2液体L2は、第1液体L1よりも極性が低くなっている。
以上のような第1液体L1としては、例えばエチレングリコールおよびプロピレングリコールのうち少なくとも1つを含有するもの等が挙げられ、また第2液体L2としては、例えばシリコーンオイルおよびフッ素オイルのうち少なくとも1つを含有するもの等が挙げられる。また、封入液Lは、第1液体L1を60重量%以上99.9重量%以下含有し、第2液体L2を0.1重量%以上40重量%以下含有している。好ましくは、封入液Lは、第1液体L1を80重量%以上99重量%以下含有し、第2液体L2を1重量%以上20重量%以下含有している。例えば、封入液L中に、第1液体L1が80cc〜200cc含まれ、第2液体L2は0.5cc〜5cc含まれている。
なお図示の例では、封入液Lにおいて、粒状になった無数の第2液体L2が第1液体L1中で互いに独立した状態で分散されている。
そして、本実施形態では、この防振装置10は、主液室14が鉛直方向下側に位置しかつ副液室15が鉛直方向上側に位置するように取り付けられて用いられる吊下式となっている。つまり、この防振装置10は、前記中心軸線O方向の一方側が鉛直方向下側に位置しかつ前記中心軸線O方向の他方側が鉛直方向上側に位置するように取り付けられる。
このように形成された防振装置10においては、振動の入力に伴って弾性体13が変形して主液室14の内容積が変化することで、封入液Lが主液室14と副液室15との間で制限通路24を通って流通し、この流通時に生じる液柱共振により振動が吸収および減衰される。
さらに、前記液室17(主液室14)に封入された封入液Lが、互いに不溶な第1液体L1および第2液体L2を含有し、かつ第2液体L2が、第1液体L1よりも該封入液L中に含まれる重量が少ないので、大きな振動(荷重)が入力されると、主液室14の内容積が変動したり、封入液Lが制限通路24を流通したり、さらには主液室14内においてキャビテーションが発生したりすること等に起因して、粒状になった無数の第2液体L2が第1液体L1中で互いに独立した状態で分散される。
そして、主液室14の内容積が急激に増大して主液室14の液圧が低下したとき、主液室14において特に流速が速まる制限通路24の開口部付近で、第1液体L1の主たる成分よりも蒸気圧が高い第2液体L2で優先的にキャビテーションが発生する。これにより、前記開口部付近における局所的な液圧低下が抑えられ、この開口部付近の第1液体L1にキャビテーションが発生するのが抑制され、たとえこの第1液体L1にキャビテーションが発生したとしても、気泡の成長が抑えられることとなる。したがって、第1液体L1中のキャビテーション崩壊に起因して発生する衝撃波を小さく抑えることができる。
一方、第2液体L2は、第1液体L1中で前述のように分散しているので、この第2液体L2中で発生する気泡が大きく成長するのが抑えられることとなる。したがって、凝縮時における気泡の収縮速度が高くなるのが抑制されることとなり、第2液体L2中のキャビテーション崩壊に起因して発生する衝撃波を小さく抑えることができる。
以上より、主液室14内の封入液L全体で発生する衝撃波を小さく抑えることが可能になり、発生する異音の大きさを低減することができる。
さらに、第1液体L1中で分散されている個々の第2液体L2からの無数の衝撃波同士が、互いに干渉し合いそのエネルギーを打ち消しあうこととなり、前述のように第2液体L2中で発生する衝撃波が小さく抑えられることと相俟って、この第2液体L2からの衝撃波が防振装置10の外側に伝播するのを防ぐことが可能になり、発生する異音の大きさを一層低減することができる。
なお、その後さらに振動(荷重)が繰り返し入力されると、第2液体L2が第1液体L1中でより一層細かくかつ全域にわたって均等に分散されることとなり、前述の作用効果が効果的に奏功される。
次に、前述した構成からなる防振装置10の製造方法について、図2〜図4を参照して説明する。
まず、仕切り部材16を作製する仕切り部材作製工程を行う。
具体的に説明すると、まず、仕切り部材本体16aおよび第1仕切り板16bと、第2仕切り板16cおよび収容筒部16eと、をそれぞれ一体に形成する。その後、第1仕切り板16b、第2仕切り板16cおよび収容筒部16eによって画成されるメンブラン収容空間16fにメンブラン16dを配置した状態で、第1仕切り板16bと収容筒部16eとを互いに接合して仕切り部材16を作製する。
また、ダイヤフラム19を作製するダイヤフラム作製工程を行う。
具体的に説明すると、ダイヤフラム19を形成するための図示しないダイヤフラム金型の中にダイヤフラムリング19aを所定位置に配置するとともに、ダイヤフラムリング19aの表面に接着下地処理を施した後に接着剤を塗布する。その後、前記ダイヤフラム金型の中に未加硫ゴムを射出してダイヤフラム19を成形した後、そのダイヤフラム19に硫黄ガス、圧力および熱をそれぞれ加えて加硫する。そして、前記ダイヤフラム金型の脱型を行うことにより、外周縁部にダイヤフラムリング19aが埋設されたダイヤフラム19が作製される。
次に、図2に示すように、第1取付け部材11と第2取付け部材12とが弾性体13で連結されてなる防振装置本体20を作製する防振装置本体作製工程を行う。
具体的に説明すると、まず、弾性体13および被覆膜13cを形成するための図示しない防振装置本体金型の中に第1取付け部材11および第2取付け部材12をそれぞれ所定位置に配置するとともに、第1取付け部材11および第2取付け部材12にそれぞれ接着下地処理を施した後に接着剤を塗布する。その後、前記防振装置本体金型の中に未加硫ゴムを射出して弾性体13を成形するとともに、この弾性体13と一体に被覆膜13cを成形する。続いて、これらの弾性体13および被覆膜13cに硫黄ガス、圧力および熱をそれぞれ加えて加硫する。そして、前記防振装置本体金型の脱型を行うことにより、防振装置本体20が作製される。
ここで、以上のように作製された防振装置本体20では、第1取付け部材11の前記一端開口部11Aが弾性体13で閉塞されており、第1取付け部材11の内部において弾性体13よりも前記中心軸線O方向の他方側の部分(空間)、つまり、弾性体13の前記他端面13aおよび前記切り欠き面13bと、第1取付け部材11の内周面(被覆膜13cの表面)と、を壁面とする部分(空間)が、前記中心軸線O方向の他方側に向けて開口する防振装置本体20における液室の形成予定部17Aとなる。
そして、前記液室の形成予定部17Aには、後述する第2液体注入工程で第2液体L2が注入される第1収納凹部(収納凹部)21が備えられている。本実施形態では、第1収納凹部21は、弾性体13の切り欠き面13bおよび第1取付け部材11の小径部11aの内周面(被覆膜13cの表面)を壁面として円環状に画成されている。なお、無負荷状態での第1収納凹部21の内容積は、無負荷状態での液室17の内容積の1%以上であることが好ましい。
次に、第1収納凹部21に第2液体L2を注入する第2液体注入工程を行う。この際、第1収納凹部21内に注出管Nの先端部を位置させるとともに、注出管Nに、その先端部から第2液体L2を注出させる図示しない注出器を接続し、これらの後、第2液体L2を、この注出管Nの先端部から注出して第1収納凹部21に注入する。なおこの際、注出管Nを用いずに第1収納凹部21に第2液体L2を注入しても良い。
このように、本実施形態では、第2液体注入工程は、防振装置本体20を第1液体L1中に入れる前に行う。
次に、第1液体L1中に防振装置本体20、仕切り部材16およびダイヤフラム19を配置する液中配置工程を行う。本実施形態では、仕切り部材16およびダイヤフラム19を第1液体L1中に入れた後、防振装置本体20を第1液体L1中に入れる。
具体的に説明すると、まず、プールP(図3参照)内に貯留された第1液体L1中に、仕切り部材16およびダイヤフラム19を入れるとともに、各部材の内部および表面などに空気が残留しないように、例えば仕切り部材16および防振装置本体20を各別に第1液体L1中で適宜揺動させる。
その後、図3に示すように、防振装置本体20を、前記液室の形成予定部17Aを鉛直方向上側に向けて開口させ、かつ前記中心軸線Oを鉛直方向(鉛直線)に対して傾けた姿勢にしつつ、プールP内に貯留された第1液体L1中に入れる。この際、防振装置本体20の第1取付け部材11を乗り越えて前記液室の形成予定部17A内に流入するプールP内の第1液体L1は、第1取付け部材11の前記他端開口部11Bを通った後、第1取付け部材11の内周面(被覆膜13cの表面)を伝って流入することとなる。
次いで、前記液室の形成予定部17A内や防振装置本体20の表面などに空気が残留しないように、例えば、図示しない超音波発振器などを用いて防振装置本体20に超音波を伝導し、防振装置本体20を超音波振動させる。
以上により、図4に示すように、第1液体L1中にダイヤフラム19、仕切り部材16および防振装置本体20が配置される。なお、第2液体L2の比重は第1液体L1の比重より高いので、第1液体L1中において、前記液室の形成予定部17Aを鉛直方向上側に向けて開口させた姿勢で防振装置本体20を配置することで、第1収納凹部21の底部に第2液体L2を留めておくことができる。
次に、第1液体L1中に防振装置本体20、仕切り部材16およびダイヤフラム19を入れた状態で、これらの防振装置本体20、仕切り部材16およびダイヤフラム19を互いに組み付けて主液室14および副液室15を画成し、前記液室17内に第1液体L1および第2液体L2を封止する液中組立工程を行う。
具体的に説明すると、まず、プールP内に貯留された第1液体L1中で、仕切り部材16を防振装置本体20の第1取付け部材11内に進入させた後、第1取付け部材11の大径部11bを縮径加工して仕切り部材16を第1取付け部材11内に嵌合させる。その後、プールP内に貯留された第1液体L1中で、ダイヤフラム19を第1取付け部材11内に進入させた後、大径部11bの前記他端部を全周にわたって径方向の内側に屈曲させてカシメ部11dを形成し、ダイヤフラムリング19aをカシメ固定する。
以上により、仕切り部材16およびダイヤフラム19が防振装置本体20に組み付けられ、主液室14および副液室15が画成されて前記液室17内に第1液体L1および第2液体L2が封止され、プールP内に貯留された第1液体L1中で防振装置10が形成される。
次に、形成された防振装置10を第1液体L1中から取り出した後、防振装置10の表面の第1液体L1を洗い流す。これにより、防振装置10が完成する。
以上説明したように、本実施形態に係る防振装置10の製造方法によれば、第2液体注入工程を、防振装置本体20を第1液体L1中に入れる前に行うので、防振装置本体20を第1液体L1中に入れた状態で第1収納凹部21に第2液体L2を注入する場合に比べて、第2液体L2を第1収納凹部21に所定量、高精度に注入することができる。また、第2液体注入工程時に、第2液体L2を前記第1収納凹部21に注入するので、例えば液中組立工程時に前記液室の形成予定部17A内に生じる第1液体L1の流動によって第2液体L2が前記液室の形成予定部17A内から流出するのを抑制することが可能になり、第2液体注入工程から液中組立工程までの間、第2液体L2を第1収納凹部21に留めておくことができる。
以上より、第1液体L1および第2液体L2を所定の比率で液室17内に封止することが可能になり、防振装置10の性能安定性を向上させることができる。つまり、本実施形態に係る防振装置10においては、液柱共振により発揮される減衰性能を確実に確保しつつ、キャビテーションを起因として異音が発生するのを抑制することができる。
また、第2液体注入工程を、防振装置本体20を第1液体L1中に入れる前に行うので、防振装置本体20を第1液体L1中に入れた状態で第1収納凹部21に第2液体L2を注入する場合に比べて、例えば第1収納凹部21に注入した第2液体L2を第1収納凹部21に定着させたり、第1収納凹部21に注出管Nの先端部を位置させたりするのに要する時間を短縮することが可能になり、第1収納凹部21への第2液体L2の注入を効率良く行うことができる。
また、第2液体注入工程を、防振装置本体20を第1液体L1中に入れる前に行うことから、第1収納凹部21に第2液体L2を注入するときに、プールP内に貯留された第1液体L1に第2液体L2が混入されることがなく、第1液体L1および第2液体L2を所定の比率で液室17内により確実に封止することができる。
すなわち、防振装置本体20を第1液体L1中に入れた状態で第1収納凹部21に第2液体L2を注入する場合、第2液体L2を注入するときにプールP内に貯留された第1液体L1中に第2液体L2が混入され、液室17内に封止される第2液体L2の量が多くなってしまう恐れがある。
また、本実施形態では、防振装置本体20を、前記液室の形成予定部17Aを鉛直方向上側に向けて開口させ、かつ前記中心軸線Oを鉛直方向に対して傾けた姿勢にしつつ第1液体L1中に入れることから、第1液体L1を、第1取付け部材11の内周面(被覆膜13cの表面)を伝わせて前記液室の形成予定部17A内に流入させることができる。したがって、前記液室の形成予定部17Aに第1液体L1が急激に流入するのを抑制することが可能になり、防振装置本体20を第1液体L1中に入れる際に前記液室の形成予定部17Aに流入する第1液体L1の流れに起因して、第2液体L2が前記液室の形成予定部17Aから流出するのを抑制することができる。
なお、本実施形態では、防振装置本体20を、前記中心軸線Oを鉛直方向に対して傾けた姿勢で第1液体L1中に入れるものとしたが、この際、防振装置本体20を、前記中心軸線Oを鉛直線と平行にした姿勢にしても良い。
また、本実施形態では、液中配置工程時に、仕切り部材16およびダイヤフラム19を第1液体L1中に入れた後、防振装置本体20を第1液体L1中に入れるものとしたが、これに限られるものではない。ただし、このように防振装置本体20を第1液体L1中に最後に入れる場合、仕切り部材16およびダイヤフラム19をプールP内の第1液体L1に入れる際に第1液体L1の流動が生じたとしても、第1収納凹部21に注入された第2液体L2に影響を与えることがない。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る防振装置の製造方法を、図面を参照して説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態の防振装置10の製造方法では、図5に示すように、第2液体注入工程の後に、前記液室の形成予定部17Aに第1液体L1を充填し、その後、防振装置本体20を第1液体L1中に入れる。
なお、前記液室の形成予定部17Aに第1液体L1を充填する際には、例えば第1液体L1が注出される図示しない注出管を用いても良い。また、防振装置本体20を第1液体L1中に入れる際には、前記中心軸線Oを鉛直線と平行にした姿勢で防振装置本体20を第1液体L1中に入れる。
以上説明したように、本実施形態に係る防振装置10の製造方法によれば、第2液体L2が第1液体L1よりも比重が高く、かつ第2液体注入工程の後に、前記液室の形成予定部17Aに第1液体L1を充填し、その後、防振装置本体20を第1液体L1中に入れるので、防振装置本体20を第1液体L1中に入れる前に、第1収納凹部21に注入された第2液体L2が、充填された第1液体L1によって外側から覆われることとなる。これにより、防振装置本体20を第1液体L1中に入れる前に第2液体L2がこぼれたり、蒸発したりすることに起因して第1収納凹部21内の第2液体L2の量が減ってしまうのを抑制することが可能になり、第2液体注入工程時に第1収納凹部21に注入された第2液体L2の量を確実に維持することができる。したがって、第1液体L1および第2液体L2を所定の比率でより高精度に液室17内に封止することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る防振装置の製造方法を、図面を参照して説明する。
なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態の防振装置10の製造方法では、図6に示すように、第2液体注入工程は、ダイヤフラム19の内側に備えられた第2収納凹部(収納凹部)22に第2液体L2を注入する。本実施形態では、第2液体注入工程は、ダイヤフラム19を第1液体L1中に入れる前に行う。
本実施形態では、前述したように前記中心軸線O方向の他方側に向けて膨出した逆椀状に形成されたダイヤフラム19の内側の全体が、前記第2収納凹部22となっている。なお、無負荷状態での第2収納凹部22の内容積は、無負荷状態での液室17の内容積の1%以上であることが好ましい。
次いで、図7に示すように、防振装置本体20および仕切り部材16を第1液体L1中に入れた後、ダイヤフラム19を第1液体L1中に入れる液中配置工程を行う。この工程において、ダイヤフラム19を、第2収納凹部22を鉛直方向上側に向けて開口させた姿勢で第1液体L1中に入れる。なおこの際、ダイヤフラム19を、前記中心軸線Oを鉛直方向に対して傾けた姿勢で第1液体L1中に入れても良い。
ここで、第2液体L2の比重は第1液体L1の比重より高いので、第1液体L1中において、第2収納凹部22を鉛直方向上側に向けて開口させた姿勢でダイヤフラム19を配置することで、第2収納凹部22の底部に第2液体L2を留めておくことができる。
そしてその後、前記液中組立工程を行うことで、防振装置10が形成される。
以上説明したように、本実施形態に係る防振装置10の製造方法によれば、第2液体注入工程を、ダイヤフラム19を第1液体L1中に入れる前に行うので、ダイヤフラム19を第1液体L1中に入れた状態で第2収納凹部22に第2液体L2を注入する場合に比べて、第2液体L2を第2収納凹部22に所定量、高精度に注入することができる。また、第2液体注入工程時に、第2液体L2を前記第2収納凹部22に注入するので、第2液体注入工程から液中組立工程までの間、第2液体L2を第2収納凹部22に留めておくことができる。
以上より、第1液体L1および第2液体L2を所定の比率で液室17内に封止することが可能になり、防振装置10の性能安定性を向上させることができる。
また、第2液体注入工程を、ダイヤフラム19を第1液体L1中に入れる前に行うので、ダイヤフラム19を第1液体L1中に入れた状態で第2収納凹部22に第2液体L2を注入する場合に比べて、例えば第2収納凹部22に注入した第2液体L2を第2収納凹部22に定着させたり、第2収納凹部22に注出管Nの先端部を位置させたりするのに要する時間を短縮することが可能になり、第2収納凹部22への第2液体L2の注入を効率良く行うことができる。
また、第2液体注入工程を、ダイヤフラム19を第1液体L1中に入れる前に行うことから、第2収納凹部22に第2液体L2を注入するときに、プールP内に貯留された第1液体L1に第2液体L2が混入されることがなく、第1液体L1および第2液体L2を所定の比率で液室17内により確実に封止することができる。
すなわち、ダイヤフラム19を第1液体L1中に入れた状態で第2収納凹部22に第2液体L2を注入する場合、第2液体L2を注入するときにプールP内に貯留された第1液体L1中に第2液体L2が混入され、液室17内に封止される第2液体L2の量が多くなってしまう恐れがある。
なお、本実施形態では、液中配置工程時に、仕切り部材16および防振装置本体20を第1液体L1中に入れた後、ダイヤフラム19を第1液体L1中に入れるものとしたが、これに限られるものではない。ただし、このようにダイヤフラム19を第1液体L1中に最後に入れる場合、仕切り部材16および防振装置本体20をプールP内の第1液体L1に入れる際に第1液体L1の流動が生じたとしても、第2収納凹部22に注入された第2液体L2に影響を与えることがない。
また、第2液体注入工程の後に、ダイヤフラム19の内側に第1液体L1を充填し、その後、ダイヤフラム19を第1液体L1中に入れても良い。
なお、本発明の技術的範囲は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、ダイヤフラム19は、ダイヤフラムリング19aを備え、第1取付け部材11のカシメ部11dにダイヤフラム19(ダイヤフラムリング19a)がカシメ固定されているものとしたが、これに代えて、例えばダイヤフラムリングがないダイヤフラムを、第1取付け部材に止め具等によって固定する構成としてもよい。
また、前記液室の形成予定部17Aに備えられた第1収納凹部21、およびダイヤフラム19の内側に備えられた第2収納凹部22は、前記各実施形態に示したものに限られない。例えば、第1収納凹部は、弾性体の前記他端面の中央部に形成されることで、前記液室の形成予定部に備えられていても良い。また例えば、第2収納凹部は、ダイヤフラムの内面の一部に形成されることで、ダイヤフラムの内側に備えられていても良い。
また、第1液体L1および第2液体L2は、前述したものに限らず、非相溶性を有する液体であれば適宜変更可能である。例えば、第2液体L2が、第1液体L1の主たる成分と比較して同一温度において蒸気圧が同等もしくは低くなっていてもよく、第1液体L1と比較して表面張力が同等もしくは大きくなっていてもよく、第1液体L1と比較して粘度が同等もしくは高くなっていてもよい。また、第2液体L2は、第1液体L1よりも極性が高くなっていてもよい。また、前記各実施形態では、封入液L中に含まれる第2液体L2の重量比率が第1液体L1の重量比率よりも小さくなっているが、第2液体L2の重量比率を第1液体L1の重量比率と同等もしくは大きくすることも可能である。
また、封入液Lに含有される液体は、二種類の液体(第1液体L1、第2液体L2)に限らず、三種類以上の液体を含有する封入液であってもよい。
また、本発明は、第1液体L1が相溶性を有する複数の成分(液体)からなっていてもよい。この場合、第2液体L2の蒸気圧が同一温度において第1液体L1の主たる成分の蒸気圧より高くなっていれば、第1液体L1の蒸気圧が第2液体L2の蒸気圧よりも高くなっていてもよい。例えば、第1液体L1が、相溶性を有するエチレングリコール(常温時の蒸気圧13.4Pa、含有率96%、主成分)と水(常温時の蒸気圧3173Pa、含有率4%、副成分)との混合溶液からなる場合、第1液体L1(混合溶液)の蒸気圧が400Paとなるが、第2液体L2の蒸気圧は第1液体L1の主成分の蒸気圧(13.4Pa)よりも高ければ、第1液体L1の蒸気圧(400Pa)より低くても、キャビテーションの発生を抑制する効果を得ることができる。
また、第2液体L2の蒸気圧が水単体の蒸気圧よりも高い場合には、第1液体L1として水単体を用いることもできる。つまり、第1液体L1は、水単体、エチレングリコール単体、プロピレングリコール単体、もしくはこれらのうち少なくとも2つを含有していても良い。
また、前記各実施形態では、封入液Lが、互いに非相溶性を有する第1液体L1および第2液体L2を含有することで、防振装置10が、液柱共振により発揮される減衰性能を確実に確保しつつ、キャビテーションを起因として異音が発生するのを抑制できるものとしたが、異音発生の抑制以外の効果を得るために封入液が第1液体および第2液体を含有する場合にも、本発明を適用することが可能である。
また、前記各実施形態では、防振装置10として吊下式を示したが、主液室14が鉛直方向上側に位置しかつ副液室15が鉛直方向下側に位置するように取り付けられて用いられる圧縮式の防振装置にも適用可能である。
また、本発明に係る防振装置の製造方法は、車両のエンジンマウントとしての防振装置10を製造する場合に限定されるものではなく、エンジンマウント以外の防振装置に適用することも可能である。例えば、建設機械に搭載された発電機のマウントとしての防振装置を製造する場合にも適用することも可能であり、或いは、工場等に設置される機械のマウントとしての防振装置を製造する場合にも適用することも可能である。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
次に、封入液の体積に対する第2液体の体積の比率と異音の発生との関係に関する検証試験について説明する。
この検証試験では、互いに異なる4種類の封入液がそれぞれ封入された防振装置を用い、各防振装置において、封入液の体積に対する第2液体の体積の比率を変化させ、その封入液が封入された状態で振動が入力されたときに発生する振動加速度(以下、単に振動加速度という)を測定した。
結果を図8〜図11に示す。この図8〜図11に示すグラフは、封入液の体積に対する第2液体の体積の比率と振動加速度との関係を示すもので、グラフの横軸が封入液の体積に対する第2液体の体積の比率(体積%)、縦軸が振動加速度(m/s)である。また、各グラフ中、「Max」、「Min」、「Ave」はそれぞれデータの最大値、最小値、平均値を示す。
なお、図8の例では、第1液体としてエチレングリコール、第2液体としてフッ素オイルを、図9の例では、第1液体としてエチレングリコール、第2液体としてシリコーンオイルを、図10の例では、第1液体としてエチレングリコールおよびプロピレングリコール、第2液体としてフッ素オイルを、図11の例では、第1液体としてエチレングリコールおよびプロピレングリコール、第2液体としてシリコーンオイルを、それぞれ含有する封入液用いた。また、封入液の体積に対する第2液体の体積の比率の測定は、いずれの場合も室温で行った。
ここで、振動加速度は、防振装置への振動入力時における異音の発生と相関があり、振動加速度が大きいほど、異音が発生しやすくなる。
図8〜図11に示すように、図8〜図11の例では、封入液が第2液体を含有する(添加される)ことにより振動加速度が低下することが確認された。また、封入液の体積に対する第2液体の体積の比率を1体積%以上とすることで、振動加速度を確実に低下させることが確認された。従って、収納凹部の内容積は、液室の内容積の1%以上とすることが好ましい。
10 防振装置
11 第1取付け部材
12 第2取付け部材
13 弾性体
14 主液室
15 副液室
16 仕切り部材
17 液室
17A 防振装置本体における液室の形成予定部
19 ダイヤフラム
19b 内面
20 防振装置本体
21、22 収納凹部
24 制限通路
L 封入液
L1 第1液体
L2 第2液体

Claims (2)

  1. 振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第1取付け部材、および他方に連結される第2取付け部材と、
    前記第1取付け部材と前記第2取付け部材とを弾性的に連結する弾性体と、
    前記第1取付け部材内の液室を、前記弾性体を壁面の一部とする一方側の主液室と他方側の副液室とに区画する仕切り部材と、
    内面が前記副液室の壁面の一部を形成するダイヤフラムと、を備え、
    前記液室に、互いに非相溶性を有する第1液体および第1液体よりも比重が高い第2液体を少なくとも含有する封入液が封入され、
    前記仕切り部材に、前記主液室と前記副液室とを連通しかつ前記封入液が流通することで液柱共振を生じさせる制限通路が形成された液体封入型の防振装置の製造方法であって、
    前記第1取付け部材と前記第2取付け部材とが前記弾性体で連結されてなる防振装置本体を作製する防振装置本体作製工程と、
    前記防振装置本体における前記液室の形成予定部、および前記ダイヤフラムの内側のうちのいずれか一方に備えられた収納凹部に第2液体を注入する第2液体注入工程と、
    第1液体中に前記防振装置本体、前記仕切り部材および前記ダイヤフラムを入れた状態で、これらの防振装置本体、仕切り部材およびダイヤフラムを互いに組み付けて主液室および副液室を画成し、前記液室内に前記第1液体および前記第2液体を封止する液中組立工程と、を備え、
    前記第2液体注入工程は、前記防振装置本体および前記ダイヤフラムのうちのいずれか一方を第1液体中に入れる前に行うことを特徴とする防振装置の製造方法。
  2. 請求項1記載の防振装置の製造方法であって、
    前記第2液体注入工程の後に、前記防振装置本体における前記液室の形成予定部、および前記ダイヤフラムの内側のうちのいずれか一方に第1液体を充填し、その後、前記防振装置本体および前記ダイヤフラムのうちのいずれか一方を第1液体中に入れることを特徴とする防振装置の製造方法。
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