JP5469926B2 - 防振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車や産業機械等に適用され、エンジン等の振動発生部の振動を吸収および減衰する防振装置に関する。
上記した防振装置として、従来、例えば下記特許文献1に示されているように、振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結される筒状の第一取付部材と、振動発生部および振動受部のいずれか他方に連結される第二取付部材と、第一、第二取付部材を弾性的に連結するとともに第一取付部材の軸方向一方側の開口部を閉塞する弾性体と、第一取付部材の軸方向他方側の開口部を閉塞するダイヤフラムと、第一取付部材の内部に形成された液室を、弾性体を隔壁の一部とする主液室とダイヤフラムを隔壁の一部とする副液室とに区画する仕切り部材と、を備える構成が知られている。上記した仕切り部材には、主液室と副液室とを連通する制限通路が形成されており、この制限通路を通って液室内の封入液が主液室と副液室との間で往来可能となっている。
上記した液体封入型の防振装置としては、弾性体が仕切り部材の下方に配設されると共にダイヤフラムが仕切り部材の上方に配設され、仕切り部材の下方に主液室が形成されて仕切り部材の上方に副液室が形成された吊り下げ式の防振装置(例えば下記特許文献1を参照。)と、弾性体が仕切り部材の上方に配設されると共にダイヤフラムが仕切り部材の下方に配設され、仕切り部材の上方に主液室が形成されて仕切り部材の下方に副液室が形成された正立式の防振装置(例えば下記特許文献2を参照。)と、がある。
ところで、液体封入型の防振装置では、例えば路面の凹凸等により大きな振動(荷重)が入力されて主液室の内容積が急激に減少した後、弾性体のリバウンドによって主液室の内容積が急激に増大すると、制限通路の主液室側の開口部付近で急激な圧力低下が局所的に生じ、主液室内や制限通路内の液中に多数の気泡が生成されるキャビテーションが発生する問題がある。このキャビテーションによって生成された気泡は、主液室の内容積が再び減少して主液室内の液圧が上昇するのに伴って液中から消滅するが、その時に衝撃波が発生し、この衝撃波が第一取付部材などの金属材料に伝播することで異音が生じる。
そこで、従来、上記したキャビテーションの発生を抑制することができる防振装置として、例えば下記特許文献3に示されているような、液圧変動に応じて開閉されるバルブが仕切り部材に設けられた液圧バルブ式の防振装置が提供されている。前記したバルブは、主液室と副液室とを連通させる連通孔を開閉する弁体であり、主液室の液圧が低下したときに開放される構成となっている。このよう液圧バルブ式の防振装置によれば、主液室の液圧が低下したときにバルブ(弁体)が開放され、主液室と副液室とが連通孔を介して連通されるので、主液室の液圧低下を抑えることができ、これにより、キャビテーションの発生を抑制することができる。
また、従来の液体封入型の防振装置としては、例えば下記特許文献4に示されているような、液室に複数の液体が封入された2液混合式の防振装置が提案されている。詳しく説明すると、この防振装置は、正立式の防振装置であって、液室に、エチレングリコールを主体とする第一液体と、シリコーンオイルからなる第二液体と、がそれぞれ封入されている。液体封入型の防振装置では、制限通路を流通する液体の特性によってバネ定数が変化するため、上記した複数の液体を封入した防振装置によれば、アイドル振動等の小振幅の振動入力時には、制限通路内に第一液体が流通して振動が減衰され、大振幅の振動入力時には、制限通路内に第二液体が流通して、第一液体が流通する場合と異なる周波数域で振動減衰性能が発揮される。
特開2004−169750号公報 特開平8−61423号公報 特開2004−169750号公報 特許第2860701号公報
しかしながら、上記した液圧バルブ式の防振装置では、小振幅の振動が入力された時にもバルブが開閉される場合があり、防振装置本来の防振性能を低減させる場合があるという問題がある。また、バルブが開閉する際にバルブが仕切り部材に当接して異音が生じるたり、バルブによって仕切り部材の構成が複雑化又は大型化したりする問題もある。
一方、上記した従来の2液混合式の防振装置では、正立式の防振装置において第二液体の比重が第一液体の比重よりも軽く、第二液体が主液室側に溜まる構成になっているが、蒸気圧が第一液体よりも高くなければ、第二液体のキャビテーションが励起されないので、キャビテーション崩壊を低減する効果は得られない。さらに、第二液体として蒸気圧の高い液体を用いた場合においても、上記特許文献3に記載されているような共振を変化させる効果を得るためには、第二液体は主液室(第二液体の比重が第一液体よりも重い場合は副液室)及びオリフィスを満たす程度の十分な量が必要となる。しかし、第二液体の量が増量され過ぎると、第二液体は沸騰しやすく常温においても少量は気化してしまうため、液室内に常に気泡が残存し、十分な共振が得られなくなる。よって、上記特許文献3に記載された技術では、蒸気圧が高い少量の第二液体を第一液体に添加してなる封入液は想定されていない。
これに対し、仮に、第二液体の含有量を少量とし、第一液体中に第二液体が分散された状態にすると、蒸気圧が高い第二液体において優先的にキャビテーションが発生することで、制限通路の主液室側の開口部付近における局所的な圧力低下が抑えられ、この開口部付近において第一液体にキャビテーションが発生するのが抑制され、その結果、防振装置全体として異音が低減されると考えられる。しかしながら、上記した吊り下げ式の防振装置において第二液体の比重が第一液体よりも軽いと、例えば一定時間振動が入力されない状態が続き、互いに不溶な第一液体と第二液体とが分離されたとき、第二液体が上昇して副液室内に集まる。この状態で大振動が入力されても、局所的に液圧が低下する主液室側の開口部付近に第二液体が回らない場合があるので、開口部付近において第二液体で優先的にキャビテーションが発生せず、主液室側の開口部付近の第一液体でキャビテーションが生じるおそれがあり、異音の低減効果が安定しないという問題がある。
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、防振装置の防振性能を低減させたり防振装置の構成を複雑化・大型化したりすることなく、キャビテーションの発生を抑制することができると共に、第二液体が第一液体から分離された状態において大振動が入力された場合であっても、直ちにキャビテーションを抑制して異音を低減させることができる防振装置を提供することを目的としている。
本発明に係る防振装置は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第一取付部材、および他方に連結される第二取付部材と、前記第一取付部材と前記第二取付部材とを弾性的に連結すると共に前記第一取付部材の軸方向一方側の開口部を閉塞する弾性体と、前記第一取付部材の軸方向他方側の開口部を閉塞するダイヤフラムと、前記第一取付部材の内側の液室を、前記弾性体を壁面の一部とする主液室と前記ダイヤフラムを壁面の一部とする副液室とに区画する仕切り部材と、を備えるとともに、前記主液室と前記副液室とを連通すると共に前記液室内の液体が流通することで液柱共振が生じる制限通路が形成され、前記液室に封入液が封入された液体封入型の防振装置であって、前記封入液には、主液として第一液体が含有されていると共に、添加液として前記第一液体に対して不溶であって同一温度において前記第一液体の主たる成分よりも蒸気圧が高い第二液体が含有されており、前記ダイヤフラムには、前記制限通路の副液室側開口の近傍に配設されて前記第二液体が溜まる液溜め凹部が形成されていることを特徴としている。
このような特徴により、互いに不溶な第一液体と第二液体とが液室内において分離されたとき、制限通路の副液室側開口の近傍に配設された液溜め凹部の内側に第二液体が溜められる。すなわち、第二液体は、制限通路の副液室側開口の近傍に集まる。そして、このように第一液体と第二液体とが分離された状態において、大振動が入力されると、例えば第一液体や第二液体が制限通路を通過したり、主液室の内容積が変動したり、さらには主液室内においてキャビテーションが発生したりすること等に起因して、第一液体中に無数の粒状の第二液体が互いに独立した状態で分散される。そして、主液室の内容積が急激に増大して主液室の液圧が低下したとき、主液室において特に流速が速まる制限通路の開口付近で、第一液体の主たる成分よりも蒸気圧の高い第二液体で優先的にキャビテーションが発生する。これにより、前記開口付近における局所的な液圧低下が抑えられ、この開口付近の第一液体にキャビテーションが発生するのが抑制され、また、仮に第一液体にキャビテーションが発生したとしても、それによって生成される気泡が小さく抑えられるため、第一液体中のキャビテーション崩壊に起因する衝撃波が小さく抑えられる。
また、このとき、上述したように第二液体が制限通路の副液室側開口の近傍に集まっているので、第二液体が第一液体から分離された状態で大振動が入力された場合であっても、第二液体が副液室側開口から制限通路に直ちに流入し、制限通路内において第一液体と第二液体とが混合され、主液室側開口付近における第一液体中に第二液体が分散される。これにより、上述したように主液室側開口付近における第一液体のキャビテーションが抑制される。
一方、第二液体は第一液体中に分散しているので、この第二液体中で発生する気泡が大きく成長するのが抑えられる。したがって、凝縮時における気泡の収縮速度が高くなるのが抑制され、第二液体中のキャビテーション崩壊に起因する衝撃波が小さく抑えられる。
さらに、第一液体中に分散された個々の粒状の第二液体からの無数の衝撃波同士が、互いに干渉し合ってそのエネルギーを打ち消し合うため、第二液体中のキャビテーション崩壊に起因する衝撃波が小さく抑えられる。
また、その後さらに振動(荷重)が繰り返し入力されると、第二液体が第一液体中でより一層細かく且つ全域に亘って均等に分散されることとなり、主液室側開口付近における第一液体のキャビテーションがより一層抑制される。
なお、本発明における「近傍」とは、平面視において副液室側開口に少なくとも一部において重なる位置、若しくは、若干離間されていても同様の作用を奏する程度に接近した位置を意味する。
また、仮に、弾性体に第二液体を溜めるための液溜め凹部を形成すると、弾性体のバネ性能が複雑化するため、チューニングしにくくなり、防振装置の安定した性能を確保することが煩雑となるが、ダイヤフラムに液溜め凹部を形成することにより、チューニングが容易であり、防振装置の安定した性能を容易に確保することが可能となる。
また、弾性体には、振動入力時に圧縮荷重と引張荷重とが交互に繰り返し作用するため、その弾性体に液溜め凹部を形成すると、弾性体が破損し易くなるが、ダイヤフラムに液溜め凹部を形成しても破損し易くならず、反対に、液溜め凹部によってダイヤフラムの剛性が向上して破損しにくくなる。
また、本発明に係る防振装置は、前記主液室が前記仕切り部材を挟んで前記副液室の下方に形成され、前記ダイヤフラムが前記仕切り部材の上方に配設されており、前記第二液体の比重が、前記第一液体の比重よりも軽いことが好ましい。
この防振装置は、いわゆる吊り下げ式の防振装置であり、この防振装置に振動が入力されない状態が続くと、第一液体よりも比重が軽い第二液体が上昇していき、上側の副液室に流入して液溜め凹部の内側に溜まる。このとき、液溜め凹部が副液室側開口の近傍に形成されているので、副液室側開口から副液室内に流入した第二液体が液溜め凹部の内側に集まりやすい。
また、本発明に係る防振装置は、前記主液室が前記仕切り部材を挟んで前記副液室の上方に形成され、前記ダイヤフラムが前記仕切り部材の下方に配設されており、前記第二液体の比重が、前記第一液体の比重よりも重い構成であってもよい。
この防振装置は、いわゆる正立式の防振装置であり、この防振装置に振動が入力されない状態が続くと、第一液体よりも比重が重い第二液体が下降していき、下側の副液室に流入して液溜め凹部の内側に溜まる。このとき、液溜め凹部が副液室側開口の近傍に形成されているので、副液室側開口から副液室内に流入した第二液体が液溜め凹部の内側に集まりやすい。
また、本発明に係る防振装置は、前記液溜め凹部が、前記副液室側開口を介した前記制限通路から前記副液室への封入液流通方向の前方側に配設されていることが好ましい。
これにより、副液室側開口から副液室に流入した第二液体は、その流れで液溜め凹部の内側に流入するため、液溜め凹部の内側に第二液体が集まり易い。また、第一液体から分離した第二液体が液溜め部の内側に溜められた状態で、大振動が入力されて主液室の液圧が低下したとき、液溜め部内の第二液体が副液室側開口から制限通路内に流入し易くなる。
また、本発明に係る防止装置は、前記第二液体の表面張力が、前記第一液体の表面張力よりも小さいことが好ましい。
これにより、第二液体は、第一液体中に容易に広範囲に分散されると共に、第一液体中において粒子径が小さい細かい粒状になり、また、それらの無数の粒状の第二液体は互いに独立して第一液体中に分散される。
本発明に係る防振装置によれば、防振性能を低減させたり構成を複雑化・大型化したりすることなく、キャビテーションの発生を抑制することができると共に、第二液体が第一液体から分離された状態において大振動が入力された場合であっても、直ちにキャビテーションを抑制して異音を低減させることができる。
本発明の第1の実施の形態を説明するための防振装置の縦断面図である。 本発明の第1の実施の形態を説明するための防振装置の横半断面図である。 本発明の第2の実施の形態を説明するための防振装置の縦断面図である。
以下、本発明に係る防振装置の第1、第2の実施の形態について、図面に基いて説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1、図2に基いて、本発明の第1の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態では、図1に示す符号Oは外筒3(本発明における第一取付部材に相当する。)の中心軸線を示しており、以下、単に「軸線O」と記す。また、軸線Oに沿った方向を「軸方向」とし、軸線Oに垂直な方向を「径方向」とし、軸線O回りの方向を「周方向」とする。また、図1における軸方向下側は、バウンド側、つまり防振装置1を設置した際に静荷重(初期荷重)が入力される方向であり、本発明における「軸方向一方側」に相当する。一方、図1における軸方向上側は、リバウンド側、つまり前記静荷重の入力方向の反対側であり、本発明における「軸方向他方側」に相当する。以下の説明においてバウンド側(軸方向一方側)を「下側」とし、リバウンド側(軸方向他方側)を「上側」とする。
防振装置1は、振動発生部の一例であるエンジンを振動受部の一例である車体にマウントさせる際に用いられるものであり、振動発生部の振動を減衰させるための装置である。図1に示すように、防振装置1は、図示せぬ車体ブラケットを介して図示せぬ車体に連結される略円筒状の外筒3と、図示せぬエンジンブラケットを介して図示せぬエンジンに連結される内筒4(本発明における第二取付部材に相当する。)と、外筒3と内筒4とを弾性的に連結するとともに外筒3の下側の開口端を閉塞する弾性体5と、外筒3の上側の開口端を閉塞するダイヤフラム6と、外筒3の内側に形成された液室7を、弾性体5を壁面の一部とする主液室7Aとダイヤフラム6を壁面の一部とする副液室7Bとに区画する仕切り部材8と、を備えている。なお、上記した外筒3と内筒4と弾性体5とは一体的に形成されており、外筒3と内筒4と弾性体5とによって防振装置本体2が構成されている。また、本実施の形態における防振装置1は、主液室7Aが仕切り部材8を挟んで副液室7Bの下方に形成され、ダイヤフラム6が仕切り部材8の上方に配設され、内筒4が弾性体5の下方に向けて突出された吊り下げ式の防振装置であり、初期荷重が入力されることで弾性体5に引張力が作用する引張式の防振装置である。
外筒3は、両端がそれぞれ開放された略円筒状の金属製部材であり、その概略構成としては、外筒3の下側部分を構成する下筒部30と、外筒3の上側部分を構成して前記下筒部30よりも大径に設定された上筒部31と、小径の下筒部30と大径の上筒部31との間に全周に亘って介在された環状の段差部32と、を備えている。また、外筒3(上筒部31)の上端部には、径方向内側に折り曲げられてダイヤフラム6(後述するダイヤフラムリング60)にカシメ固定されるカシメ部33が全周に亘って形成されている。また、外筒3の内周面には、外筒3の内周面を全周に亘って被覆する被覆体34が加硫接着されている。この被覆体34は、ゴム等の弾性材料からなる被膜であり、弾性体5と一体に形成されている。
内筒4は、軸方向に延在する柱状の取付部40と、取付部40の上端部に溶接等により固定されて弾性体5内に埋設されたインサート部41と、を備えている。取付部40は、外筒3の下端部の内側に配設されていると共に軸線O上に配設された金属製部材であり、取付部40の下端は、外筒3の下端よりも下方に突出されている。また、取付部40には、図示せぬエンジン側ブラケットに螺着するための雌ねじ孔40aが形成されている。この雌ねじ孔40aは、軸線O上に配設されていると共に取付部40の上端面から下端面にかけて延設されている。この取付部40の上部は、弾性体5の内側に埋設されており、雌ねじ孔40aの上端はインサート部41によって閉塞されている。また、取付部40の下部は、弾性体5の下面から下方に向けて突出されている。インサート部41は、上方に向かうに従い漸次拡径されたテーパー形状の有底筒金具であり、インサート部41の底部には、上記雌ねじ孔40aの内側に嵌め込まれる凸部41aが形成されている。
弾性体5は、軸方向に沿った断面視において上方に向かうに従い漸次縮径された略円錐台形状のゴム製の弾性体であり、その下端部の外周部が外筒3(下筒部30)の下端部の内周面に加硫接着されている。また、弾性体5は、その内側に埋設されたインサート部41の内外周面および内側底面に対してそれぞれ加硫接着されているとともに、取付部40の上部の外周面に加硫接着されている。なお、弾性体5及び上記した被覆体34は、ゴム以外にも合成樹脂等からなる弾性体を用いることも可能である。
仕切り部材8は、有頂筒状の仕切り部材本体81と、仕切り部材本体81の上方に配設された可動板82と、仕切り部材本体81の上面に載置されていると共に内側に可動板82を収納する収納部材83と、を備えている。
仕切り部材本体81は、外筒3の上筒部31の内側に嵌合されていると共に、外筒3の段差部32に係止されている。この仕切り部材本体81は、円環状の周壁部84と、周壁部84の上端部の内側に配設された天壁部85と、を備えている。周壁部84は、外周面に周方向に沿って延設する周溝84aが形成されており、縦断面視コ字状を成している。この周溝84aは、主液室7Aと副液室7Bとを連通すると共に液室7内の液体が流通することで液柱共振が生じるオリフィス80(本発明の制限通路における相当する。)を形成する溝部であり、外筒3の内周面(被膜体34)によって周溝84aが径方向外側から閉塞されることより、オリフィス80が形成されている。また、周壁部84の下面(周溝84aの下壁部)には、オリフィス80と主液室7Aとを連通する図示せぬ主液室側開口が形成されており、周壁部84の上面(周溝84aの上壁部)には、オリフィス80と副液室7Bとを連通する副液室側開口86が形成されている。上記した図示せぬ主液室側開口は、オリフィス80の周方向の一方側の端部に形成されており、副液室側開口86は、オリフィス80の周方向の他方側の端部に形成されている。天壁部85は、軸線Oに対して垂直に形成された壁部であり、収納部材83の内側に開放された複数の貫通孔85aが形成されている。
収納部材83は、仕切り部材本体81の天壁部85の上方に対向配置された天壁部87と、その天壁部87の外縁から垂下された周壁部88と、その周壁部88の下端から径方向外側に向けて突出されたフランジ部89と、を備えている。天壁部87は、軸線Oに対して垂直に形成された壁部であり、収納部材83の内側に開放された複数の貫通孔87aが形成されている。フランジ部89は、仕切り部材本体81(周壁部84)の上面に載置されており、仕切り部材本体81と後述するダイヤフラムリング60との間に挟み込まれて固定されている。
可動板82は、例えばゴムなどの弾性材料からなる板状の部材であり、収納部材83の周壁部88の内側に収納されている。この可動板82は、収納部材83の天壁部87と仕切り部材本体81の天壁部85との間で軸方向に変位可能となっており、この可動板82によって、収納部材83の天壁部87や仕切り部材本体81の天壁部87に形成された貫通孔87a,85aが適宜閉塞される。
ダイヤフラム6は、副液室7Bの液圧変動に伴って変形可能な膜体であり、上方に向けて膨出したドーム状に形成されている。詳しく説明すると、ダイヤフラム6は、円環状のダイヤフラムリング60と、このダイヤフラムリング60の内側に張設された膜状のダイヤフラムゴム61と、を備えている。ダイヤフラムゴム61の外縁部は、全周にわたってダイヤフラムリング60の内周面に加硫接着されている。このダイヤフラム6は、ダイヤフラムリング60が上記した外筒3の上端部と共に全周にわたって径方向内側に屈曲されることでカシメ固定されている。
また、上記したダイヤフラム6には、液体を収容可能であって副液室7Bに連通された液溜め凹部62が設けられている。この液溜め凹部62は、後述する第二液体L2を溜めるための凹部であり、図2に示すように、副液室側開口86の近傍に配設されている。
詳しく説明すると、この液溜め凹部62は、ダイヤフラムゴム61と一体に形成された凹部であり、ダイヤフラムゴム61の外周部分に配設され、軸線Oよりも径方向外側寄りの位置に配置されている。また、液溜め凹部62は、オリフィス80から副液室側開口86を通って副液室7Bに流入する封入液Lの流通方向の前方側に配設されている。つまり、液溜め凹部62は、平面視において、オリフィス80の周方向他方側の端部に形成された副液室側開口86の周方向他方側に隣接して配置されている。なお、平面視において、液溜め凹部62と副液室側開口86とが連続して配置されてなくてもよく、両者が多少離間されたり重合されたりしてもよい。また、液溜め凹部62は、軸線Oに対する垂直面に沿って形成された底壁部63と、底壁部63の外縁から垂下されて下端がダイヤフラムゴム61のテーパー状の内周面に連結された周壁部64と、を備えている。
上記した外筒3と弾性体5とダイヤフラム6とで囲まれた液室7には、主液として第一液体L1が含有されていると共に、添加液として第二液体L2が含有された封入液Lが充填されており、上記した第一液体L1および第二液体L2は、非相溶性を有する、つまり互いに不溶な液体である。詳しく説明すると、添加液である第二液体L2は、主液である第一液体L1と比べて少量であり、封入液L中に含まれる第二液体L2の重量比率が第一液体L1の重量比率よりも小さくなっている。また、第二液体L2は、同一温度(少なくとも−30℃以上100℃以下の温度範囲)において、第一液体L1の主たる成分よりも蒸気圧が高くなっており、例えば、第二液体L2の蒸気圧は第一液体L1の主たる成分の蒸気圧の2倍以上となっている。また、第二液体L2の比重は、第一液体L1の比重よりも重く、第一液体L1中において第二液体L2は下降(沈下)する。また、第二液体L2は、第一液体L1よりも表面張力が小さくなっている。
上記した第一液体L1としては、例えばエチレングリコールとプロピレングリコールとを含有するもの若しくはエチレングリコール単体等が挙げられ、また第二液体L2としては、例えばシリコーンオイル等が挙げられる。また、前記封入液Lは、第一液体L1を60重量%以上99.9重量%以下含有し、第二液体L2を0.1重量%以上40重量%以下含有している。好ましくは、前記封入液Lは、第一液体L1を80重量%以上99重量%以下含有し、第二液体L2を0.5重量%以上20重量%以下含有している。例えば、封入液L中の第一液体L1が100gであるときに、第二液体L2は0.5g〜20g含まれている。
次に、上記した構成からなる防振装置1の作用について説明する。
例えば走行中に路面の凹凸等によって内筒4と外筒3とが軸方向に大きく相対変位し、防振装置1に大振動が入力されると、例えば第一液体L1や第二液体L2がオリフィス80を通過したり、主液室7Aの内容積が変動したり、さらには主液室7A内においてキャビテーションが発生したりすること等に起因して、第一液体L1中に無数の粒状の第二液体L2が互いに独立した状態で分散される。そして、主液室7Aの内容積が急激に増大して主液室7Aの液圧が低下したとき、主液室7Aにおいて特に流速が速まるオリフィス80の図示せぬ主液室側開口付近で、第一液体L1の主たる成分よりも蒸気圧が高い第二液体L2で優先的にキャビテーションが発生する。これにより、図示せぬ主液室側開口付近における局所的な液圧低下が抑えられ、この主液室側開口付近の第一液体L1にキャビテーションが発生するのが抑制され、また、仮に第一液体L1にキャビテーションが発生したとしても、それによって生成される気泡が小さく抑えられるため、第一液体L1中のキャビテーション崩壊に起因する衝撃波が小さく抑えられる。
また、第二液体L2は小さい粒子径の粒状となって第一液体L1中に分散しているので、この第二液体L2中で発生する気泡が大きく成長するのが抑えられる。したがって、凝縮時における気泡の収縮速度が高くなるのが抑制され、第二液体L2中のキャビテーション崩壊に起因する衝撃波が小さく抑えられる。しかも、個々の第二液体L2から発生する無数の衝撃波同士は、互いに干渉し合ってそのエネルギーを打ち消し合うため、第二液体L2中のキャビテーション崩壊に起因する衝撃波が小さく抑えられる。
一方、エンジンを停止させてから時間が経過すると、第一液体L1中に分散された第二液体L2は、第一液体L1よりも比重が軽いため、第一液体L1中において上昇していき、オリフィス80内を流通して副液室側開口86から副液室7B内に流入し、最終的に、副液室側開口86の近傍に配設された液溜め凹部62の内側に集まって溜められる。このとき、液溜め凹部62が、オリフィス80内から副液室側開口86を通って副液室7Bに流入する封入液Lの流通方向の前方側に配設されているので、副液室側開口86から副液室7Bに流入した第二液体L2は、その流れで液溜め凹部62の内側に流入するため、液溜め凹部62の内側に第二液体L2が集まり易い。
そして、上述したように第一液体L1と第二液体L2とが分離された状態において、大振動が入力され、主液室7Aの内容積が急激に増大して液圧が低下したとき、液溜め凹部62に溜められた第二液体L2が副液室側開口86を通ってオリフィス80内に直ちに流入し、オリフィス80内において第一液体L1と第二液体L2とが混合され、図示せぬ主液室側開口付近における第一液体L1中に第二液体L2が分散される。これにより、上述したように、図示せぬ主液室側開口付近における第一液体L1のキャビテーションが抑制される。
なお、液溜め凹部62が、オリフィス80内から副液室側開口86を通って副液室7Bに流入する封入液Lの流通方向の前方側に配設されているので、液溜め凹部62内の第二液体L2が副液室側開口86からオリフィス80内に流入し易い。
上記した防振装置1によれば、第一液体L1中に第二液体L2が分散された状態で大振動が入力されたとき、図示せぬ主液室側開口付近における第一液体L1のキャビテーションが抑えられると共に、第二液体L2中で発生するキャビテーション崩壊に起因する衝撃波が小さく抑えられるので、防振装置1全体で発生するキャビテーション崩壊の衝撃波を低減させることが可能であり、異音を低減させることができる。
また、上記した防振装置1によれば、少量の第二液体L2を添加させるだけなので、防振装置1の防振性能にほとんど影響を与えることがなく、防振装置1の防振性能を低減させることなく、異音を低減させることができる。さらに、上記した防振装置1によれば、仕切り部材8等の構造を変更する必要がないため、防振装置1の構成を複雑化・大型化したりすることなく、異音を低減させることができる。
また、上記した防振装置1によれば、副液室側開口86の近傍に液溜め凹部62が配設されており、エンジンを停止させてから時間が経過して第一液体L1中で第二液体L2が分離されると、上記した液溜め凹部62に第二液体L2が溜められるので、第二液体L2が第一液体L1中で分離された状態であっても、大振動が入力されると第二液体L2が副液室側開口86を通ってオリフィス80内に直ちに流入し、図示せぬ主液室側開口付近の第一液体L1中に第二液体L2が分散され、上記した異音の低減効果を効果的に発揮させることができる。したがって、走行中に限らず、発進時における大振動による異音も低減させることができ、異音の低減効果を安定して発揮させることができる。
また、上記した液溜め凹部62がダイヤフラム6に形成されているので、弾性体5に液溜め凹部を形成する場合に比べて、チューニングが容易であり、防振装置1の安定した性能を容易に確保することができる。また、上記した液溜め凹部62がダイヤフラム6に形成されていることで、液溜め凹部62によってダイヤフラム6の剛性が向上し、ダイヤフラム6が破損しにくくなる。
また、上記した液溜め凹部62が、オリフィス80内から副液室側開口86を通って副液室7Bに流入する封入液Lの流通方向の前方側に配設されており、液溜め凹部62の内側に第二液体L2が集まり易く、また、液溜め凹部62内の第二液体L2が副液室側開口86からオリフィス80内に流入し易いので、上述した異音の低減効果をより安定して発揮させることができる。
また、上記した第二液体L2は、第一液体L1よりも表面張力が小さく、第一液体L2中に広範囲に容易に分散されるので、第一液体L1のキャビテーションを効果的に抑制することができ、異音を低減させることができる。しかも、第一液体L1よりも表面張力が小さい第二液体L2は、第一液体L1中において小さな粒子径で互いに独立して分散されるので、第二液体L2のキャビテーション崩壊に起因して発生する衝撃波を確実に小さく抑えることができ、異音を効果的に低減させることができる。
[第2の実施の形態]
次に、図3に基いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。
なお、図3における軸方向下側は、バウンド側であり、つまり防振装置101を設置した際に静荷重が入力される方向であり、本発明における「軸方向他方側」に相当し、図3における軸方向上側は、リバウンド側、つまり前記静荷重の入力方向の反対側であり、本発明における「軸方向一方側」に相当する。
また、下記の本実施の形態の説明では、上述した第1の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施の形態における防振装置101は、主液室107Aが仕切り部材108を挟んで副液室107Bの上方に形成され、ダイヤフラム106が仕切り部材108の下方に配設され、内筒104が弾性体105の上方に向けて突出された正立式の防振装置であり、初期荷重が入力されることで弾性体105に圧縮力が作用する圧縮式の防振装置である。詳しく説明すると、防振装置101は、図示せぬ車体ブラケットを介して図示せぬ車体に連結される外筒103と、図示せぬエンジンブラケットを介して図示せぬエンジンに連結される内筒104と、外筒103と内筒104とを弾性的に連結するとともに外筒103の上側の開口端を閉塞する弾性体105と、外筒103の下側の開口端を閉塞するダイヤフラム106と、外筒103の内側に形成された液室107を上側の主液室107Aと下側の副液室107Bとに区画する仕切り部材108と、を備えている。
外筒103には、上側に略円筒状の上筒部130が形成されるとともに、下側に上筒部130に対して小径とされた略円筒状の下筒部131が形成されている。上筒部130と下筒部131との間には、内周側へ縮径された絞り部132が全周に亘って形成されている。
内筒104は、軸方向に延在する柱状部材であり、内筒104の下部は下方に向かうに従い漸次縮径された先細り形状を成している。また、内筒104の上部には、内筒104の上端面の中心から軸方向に延びるねじ孔140が穿設されている。また、内筒104の軸方向の中間部分には、径方向外側に突出したアンカ部141が形成されている。
弾性体105は、外筒3の上側の開口部を閉塞するゴム体であり、上面及び下面が上方に向かうに従い漸次縮径された略円錐台形状に形成されている。この弾性体105は、外筒103の上筒部131及び絞り部132の内周面に加硫接着されるとともに、内周面が内筒104の下部の外周面に加硫接着されている。この弾性体105の上端部には、内筒104のアンカ部141を被覆するゴム製の緩衝体150が一体形成されており、この緩衝体150及びアンカ部141によって、内筒104が外筒103に対して相対的に上昇するリバウンドを規制するリバウンドストッパが形成されている。また、弾性体105の下端部には、外筒103の下筒部130の内周面を被覆するゴム製の被覆体151が一体形成されており、この被覆体151は、外筒103の内周面の全周に亘って覆われている。なお、上記した弾性体105、緩衝体150及び被覆体151は、ゴム以外にも合成樹脂等からなる弾性体を用いることも可能である。
ダイヤフラム106は、外筒103の下側の開口部を閉塞すると共に副液室107Bの液圧変動に伴い変形可能な膜体であり、上面視円形状に形成されていると共に下側に向けて膨出した逆椀状となっている。詳しく説明すると、ダイヤフラム106は、円環状のダイヤフラムリング160と、このダイヤフラムリング160の内側に張設された膜状のダイヤフラムゴム161と、を備えている。ダイヤフラムゴム161の外周縁部は、全周にわたってダイヤフラムリング160の内周面に加硫接着されている。そして、ダイヤフラムリング160が、外筒103の下側の開口部内に嵌合されてカシメ固定されることにより、ダイヤフラム106は外筒103を下側から閉塞している。
上記したダイヤフラム106と弾性体105との間に位置する外筒103の内部が、これらのダイヤフラム106および弾性体105によって液密に閉塞されて封入液Lが充填された液室107となっている。そして、この液室107は、仕切り部材108によって、弾性体105を隔壁の一部に有し、この弾性体105の変形により内容積が変化する主液室107Aと、ダイヤフラム106を隔壁の一部に有し、このダイヤフラム106の変形により内容積が変化する副液室107Bと、に区画されている。
また、上記したダイヤフラム106には、液体を収容可能であって副液室107Bに連通された液溜め凹部162が設けられている。この液溜め凹部162は、後述する第二液体L2´を溜めるための凹部であり、副液室側開口186の近傍に配設されている。この液溜め凹部162は、ダイヤフラムゴム161と一体に形成された凹部であり、オリフィス180から副液室側開口186を通って副液室107Bに流入する封入液Lの流通方向の前方側に配設されている。
仕切り部材108は、外筒103の下筒部131の内側に嵌合される部材であり、上記した液室107を上下に区画するための部材である。仕切り部材108の概略構成としては、円環状の仕切り部材本体181と、円環状の仕切り部材本体181の内側に張設されたメンブラン182と、を備えている。
仕切り部材本体181は、樹脂製の部材であり、仕切り部材本体181の外周面には、オリフィス180となる周溝181aが形成され、仕切り部材本体181の内周面には、径方向内側に突出したフランジ部181bが全周に亘って形成されている。前記周溝181aは、外筒103の内周面に被覆された被覆体151によって、仕切り部材108の径方向の外側から閉塞されており、これにより、主液室107Aと副液室107Bとを連通するオリフィス180が形成されている。また、仕切り部材本体181の上面(周溝181aの上壁部)には、オリフィス180と主液室107Aとを連通する図示せぬ主液室側開口が形成されており、仕切り部材本体181の下面(周溝181aの下壁部)には、オリフィス180と副液室107Bとを連通する副液室側開口186が形成されている。
メンブラン182は、円板状のゴム製の部材であり、その外縁部が円環状の仕切り部材本体181のフランジ部181bに加硫接着され、このメンブラン182によって円環状の仕切り部材本体181bの内側が閉塞されている。
一方、上記した外筒103と弾性体105とダイヤフラム106とで囲まれた液室107には、主液として第一液体L1が含有されていると共に、添加液として第二液体L2´が含有された封入液Lが充填されている。前記した第二液体L2´の比重は、第一液体L1の比重よりも重く、第一液体L1中において第二液体L2´は下降(沈下)する。この第二液体L2´としては、例えばフッ素オイル等が挙げられる。
上記した防振装置101では、エンジンを停止させてから時間が経過すると、第一液体L1中に分散された第二液体L2´は、第一液体L1よりも比重が重いため、第一液体L1中において下降していき、オリフィス180内を流通して副液室側開口186から副液室107B内に流入し、最終的に、副液室側開口186の近傍に配設された液溜め凹部162の内側に集まって溜められる。
上記した防振装置101によれば、上述した第1の実施の形態における防振装置1と同様に、封入液L中の第一液体L1においてキャビテーションが発生することを抑えることができ、異音を低減させることができ、しかも、走行中に限らず、発進時における大振動による異音も低減させることができ、異音の低減効果を安定して発揮させることができる。
以上、本発明に係る防振装置の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、第一液体L1および第二液体L2,L2´は、前述したものに限らず、非相溶性を有する液体であれば適宜変更可能であり、第一液体L1と比較して表面張力が同等若しくは高い第二液体L2を用いることも可能である。
さらに、封入液Lに含有される液体は、二種類の液体(第一液体L1、第二液体L2,L2´)に限らず、三種類以上の液体を含有する封入液Lであってもよい。
また、本発明は、第一液体が相溶性を有する複数の成分(液体)からなっていてもよい。この場合、第二液体の蒸気圧が同一温度において第一液体の主たる成分の蒸気圧より高くなっていれば、第一液体の蒸気圧の方が第二液体の蒸気圧よりも高くなっていてもよい。例えば、第一液体が、相溶性を有するエチレングリコール(常温時の蒸気圧13.4Pa、含有率96%、主成分)と水(常温時の蒸気圧3173Pa、含有率4%、副成分)との混合溶液からなり、第二液体がシリコンオイル1cstからなる場合、第一液体(混合溶液)の蒸気圧が400Paとなって第二液体の蒸気圧(167Pa)よりも高くなるが、第二液体の蒸気圧は第一液体の主成分の蒸気圧(13.4Pa)よりも高いため、キャビテーションの発生を抑制する効果を得ることができる。
なお、水よりも蒸気圧が高い液体を第二液体として用いる場合、第一液体として水単体を用いることも可能である。
また、本発明に係る防振装置は、車両のエンジンマウントに限定されるものではなく、エンジンマウント以外に防振装置に適用することも可能である。例えば、建設機械に搭載された発電機のマウントにも適用することも可能であり、或いは、工場等に設置される機械のマウントにも適用することも可能である。
また、上記した実施の形態では、外筒3,103の端部にダイヤフラム6,106(ダイヤフラムリング60,160)がカシメ固定されているが、本発明は、ダイヤフラム6,106が外筒3,103にカシメ固定された構成に限定されず、例えば、ダイヤフラムが外筒(第一取付部材)に止め具等によって固定されていてもよい。
また、上記した実施の形態では、仕切り部材8,108にオリフィス80,180が形成されているが、本発明は、仕切り部材8,108以外にオリフィス80,180が形成されていてもよい。例えば、外筒(第一取付部材)の一部に溝加工してオリフィス(制限通路)を形成してもよく、或いは、ダイヤフラムリング等のカシメ部分の一部に溝加工してオリフィス(制限通路)を形成してもよい。
また、上記した実施の形態では、液溜め凹部62,162は、オリフィス80,180から副液室側開口86,186を通って副液室7B,107Bに流入する封入液Lの流通方向の前方側に配設されているが、本発明は、液溜め凹部62,162が上記した位置と異なる位置に配設させることも可能である。例えば、副液室側開口86,186の鉛直上方又は下方に液溜め凹部62,162を配設することも可能である。
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
1、101 防振装置
3、103 外筒(第一取付部材)
4、104 内筒(第二取付部材)
5、105 弾性体
6、106 ダイヤフラム
7、107 液室
7A、107A 主液室
7B、107B 副液室
8、108 仕切り部材
62、162 液溜め凹部
80、180 オリフィス(制限通路)
86、186 副液室側開口
L 封入液
L1 第一液体
L2、L2´ 第二液体

Claims (5)

  1. 振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される筒状の第一取付部材、および他方に連結される第二取付部材と、
    前記第一取付部材と前記第二取付部材とを弾性的に連結すると共に前記第一取付部材の軸方向一方側の開口部を閉塞する弾性体と、
    前記第一取付部材の軸方向他方側の開口部を閉塞するダイヤフラムと、
    前記第一取付部材の内側の液室を、前記弾性体を壁面の一部とする主液室と前記ダイヤフラムを壁面の一部とする副液室とに区画する仕切り部材と、を備えるとともに、
    前記主液室と前記副液室とを連通すると共に前記液室内の液体が流通することで液柱共振が生じる制限通路が形成され、
    前記液室に封入液が封入された液体封入型の防振装置であって、
    前記封入液には、主液として第一液体が含有されていると共に、添加液として前記第一液体に対して不溶であって同一温度において前記第一液体の主たる成分よりも蒸気圧が高い第二液体が含有されており、
    前記ダイヤフラムには、前記制限通路の副液室側開口の近傍に配設されて前記第二液体が溜まる液溜め凹部が形成されていることを特徴とする防振装置。
  2. 請求項1に記載の防振装置において、
    前記主液室が前記仕切り部材を挟んで前記副液室の下方に形成され、前記ダイヤフラムが前記仕切り部材の上方に配設されており、
    前記第二液体の比重が、前記第一液体の比重よりも軽いことを特徴とする防振装置。
  3. 請求項1に記載の防振装置において、
    前記主液室が前記仕切り部材を挟んで前記副液室の上方に形成され、前記ダイヤフラムが前記仕切り部材の下方に配設されており、
    前記第二液体の比重が、前記第一液体の比重よりも重いことを特徴とする防振装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の防振装置において、
    前記液溜め凹部は、前記副液室側開口を介した前記制限通路から前記副液室への封入液流通方向の前方側に配設されていることを特徴とする防振装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の防振装置において、
    前記第二液体の表面張力は、前記第一液体の表面張力よりも小さいことを特徴とする防振装置。
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