以下、本発明の実施の形態について、図1から図22を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1に第1の実施の形態に係る内視鏡システムの構成図を示す。内視鏡システム1は、内視鏡2と、内視鏡2の鉗子チャンネルに挿通される内視鏡用処置具(以下、処置具とする)3とを含んで構成されている。
内視鏡2は、体外側で術者が把持して操作する内視鏡操作部4を有している。内視鏡操作部4の下端部からは、可撓性を有し、体内に挿入される長尺の内視鏡挿入部5が延設されている。内視鏡操作部4の上部には、内視鏡挿入部5の向きを調整するアングルノブ6や、各種のボタン7,8,9が複数設けられている。さらに、内視鏡操作部4からは、ユニバーサルケーブル10が延びている。図2に模式的に示すように、長尺のユニバーサルケーブル10の端部には、コネクタ11が設けられており、このコネクタ11を介して内視鏡2が制御装置12と、送水タンク13と、吸引源14とに接続されている。内視鏡操作部4の下側の側部4Aには、鉗子チャンネル15の鉗子口を覆う鉗子栓16と、組織捕獲装置17とが設けられている。鉗子チャンネル15は、内視鏡操作部4から内視鏡挿入部5の先端にかけて延び、内視鏡挿入部5の先端部に開口している。なお、内視鏡挿入部5の先端部には、この他に体腔を撮影する撮像手段のレンズ18や、照明装置(不図示)などが配設されている。
この内視鏡2内には、送水用の管路や、吸引用の管路や、鉗子チャンネル15などの各種の管路が形成されている。まず、制御装置12内の送気源12Aや、送水タンク13に主に接続されている第一の管路系20は、送気源12Aに接続された送気管路21を有している。送気管路21は、コネクタ11内で分岐し、その一方の管路が送水タンク13に挿入され、液面よりも高い位置で開口している。また、送気管路21の分岐した他方の管路は、ユニバーサルケーブル10内を通って第一切替装置22の第二のポート23Bに接続されている。
第一切替装置22は、流路を切り替える装置であって、5つのポートが形成されている。第一切替装置22の第一のポート23Aには、送気管路24が接続されている。この送気管路24は、内視鏡挿入部5の先端部に設けられたノズル25に接続されている。ノズル25は、撮像手段のレンズ18に向けて開口しており、レンズ18の洗浄ができるようになっている。また、送気管路24の先端近傍には、液体を通流させる送水管路26が接続されている。この送水管路26は、第一切替装置22の第三のポート23Cに接続されている。第一切替装置22の第四のポート23Dには、送水管路27が接続されており、この送水管路27はユニバーサルケーブル10及びコネクタ11を通って送水タンク13に挿入され、液面以下の位置で開口している。そして、第一切替装置22の第五のポート23Eには、組織送水管路28に接続されており、組織送水管路28は、後述する第二の管路系30に接続されている。
ここで、図3に示すように、第一切替装置22は、細長のスリーブ23を有し、スリーブ23には、その一端部に形成された開口部から送気送水ボタン8が進退自在に挿入されている。スリーブ23は、閉塞された他端部から開口する一端部に向かう途中で、開口部側に向かって開くテーパ面32によって拡径されている。さらに、スリーブ23には、開口部側から第一のポート23A、第二のポート23B、第三のポート23C、第四のポート23D、第五のポート23Eが軸線方向に順番に形成されている。なお、前記したテーパ面32は、第二のポート23Bの形成位置と第三のポート23Cの形成位置との間に設けられている。
送気送水ボタン8は、細長のボタン本体33を有し、ボタン本体33の外部に露出する頭部33Aは縮径されると共に、リーク穴34が開口している。リーク穴34は、ボタン本体33の軸線に平行に延び、ボタン本体33の先端部33Bに至るまでの間で側部に開口している。リーク穴34の開口よりも頭部33A側には、逆止弁35がボタン本体33の径方向外側に向けて突出させられている。さらに、ボタン本体33において、逆止弁35よりも頭部33A側には、パッキン36Aとパッキン36Bとが軸線方向に所定の間隔をおいて固定されており、これらパッキン36A,36Bでスリーブ23との間に気密構造を形成している。さらに、逆止弁35よりも先端部33B側には、パッキン36Cとパッキン36Dとパッキン36Eとが軸線方向に所定の間隔をおいて固定されており、これらパッキン36C〜36Eでスリーブ23との間に水密構造を形成している。
図3では、送気送水ボタン8が引き出された状態が図示されており、この状態では、逆止弁35がスリーブ23の第一のポート23Aと第二のポート23Bとの間に位置している。パッキン36Cは、第二のポート23Bと第三のポート23Cとの間に位置する。パッキン36Dは、第三のポート23Cと第四のポート23Dとの間に位置する。パッキン36Eは、第四のポート23Dと第五のポート23Eとの間に位置する。したがって、各ポート23A〜23Eは、連通していておらず、この状態で第二のポート23Bから空気を送気すると、空気はリーク穴34から外部に抜け出る。ここで、図4に示すように、リーク穴34を指P1で塞ぐと、第二のポート23Bから送気された空気で逆止弁35が押し開かれ、第一のポート23Aと第二のポート23Bとが接続される。
また、図5に示すように、送気送水ボタン8を一段押しすると、パッキン36Aは第一のポート23Aよりも開口部側に留まるが、パッキン36Bが第一のポート23Aと第二のポート23Bとの間に移動し、逆止弁35は第二のポート23Bと第三のポート23Cとの間に移動する。パッキン36Cは、第二のポート23Bと第三のポート23Cとの間に留まり、パッキン36Dは、第四のポート23Dと第五のポート23Eとの間に移動する。その結果、第三のポート23Cと第四のポート23Dのみが連通する。
さらに、図6に示すように、送気送水ボタン8をさらに押し込んで二段押しすると、パッキン36Aは第一のポート23Aよりも開口部側に留まり、パッキン36Bは第一のポート23Aと第二のポート23Bとの間に留まる。逆止弁35は、テーパ面32に当接し、パッキン36Cは、第三のポート23Cと第四のポート23Dとの間に移動する。パッキン36D及びパッキン36Eは、第五のポート23Eよりもスリーブ23の閉塞された他端部側に移動する。その結果、第四のポート23Dと第五のポート23Eが連通する。なお、逆止弁35は、テーパ面32に当接することで受圧面積が減少するので、喩えリーク穴34を指P1で塞いだとしても第二のポート23Bと第三のポート23Cとは連通しないので、送気送水ボタン8を押すときは必ずリーク穴34を指P1で塞いだ方が良い。
図2に示すように、第二の管路系30は、吸引源14に接続される吸引管路41を有し、吸引管路41はコネクタ11及びユニバーサルケーブル10を通って第二切替装置42の第三のポート43Cに接続されている。第二切替装置42は、流路を切り替える装置であって、3つのポートが設けられている。第二切替装置42の第一のポート43Aには、吸引管路44が接続されている。吸引管路44は、途中で前記した第一の管路系20の組織送水管路28が接続された後に、連結点45で鉗子チャンネル15に接続されている。鉗子チャンネル15は、内視鏡挿入部5の先端部に開口している。鉗子チャンネル15の先端側の開口部近傍には、組織吸引管路46が接続されている。組織吸引管路46は、鉗子チャンネル15に対して斜めに接続されており、内視鏡操作部4側では、組織捕獲装置17を介して組織吸引管路47に接続されている。組織吸引管路47は、第二切替装置42の第二のポート43Bに接続されている。
ここで、図7に示すように、第二切替装置42は、細長のスリーブ43を有し、スリーブ43には、その一端部に形成された開口部には、吸引ボタン7が気密構造を保持したままで進退自在に挿入されている。スリーブ43には、開口部側から第一のポート43Aと、第二のポート43Bとが軸線方向に所定の間隔で側方に向かって形成され、閉塞された他端部には第三のポート43Cが形成されている。吸引ボタン7は、細長のボタン本体50を有し、最も引き出された状態で外部に露出する部分に連通穴51が形成されている。この連通穴51は、ボタン本体50の先端部50Bに、スリーブ43の他端部に臨むように開口している。ボタン本体50の長さは、最も引き出された状態で第一、第二のポート43A,43Bを塞ぐように設定されている。
図8に示すように、吸引ボタン7を一段押しした状態では、連通穴51がスリーブ43内に押し込まれ、第一のポート43Aに連通する。その結果、第一のポート43Aと第三のポート43Cとが連通する。図9に示すように、吸引ボタン7をさらに押し込んで二段押しした状態では、第一のポート43Aが塞がって、第二のポート43Bと第三のポート43Cとが連通穴51を介して連通する。
さらに、ボタン本体50の頭部50Aには、連結機構となる連結部材52が固定されている。図10に示すように、吸引ボタン7の連結部材52は、開口部53を有し、この開口部53に送気送水ボタン8の頭部33Aが進退自在に挿入されている。図11に示すように、両ボタン7,8が押し込まれていないときには、図12に示すように、送気送水ボタン8を一段押しすることができる。このとき、送気送水ボタン8の頭部33Aは、連結部材52と略面一になるので、このままでは送気送水ボタン8を二段押しすることができない。
また、図11に示すように、両ボタン7,8が押し込まれていないときには、連結部材52と、送気送水ボタン8の拡径された段差部分との間には隙間が形成されている。このため、図13に示すように、吸引ボタン7のみを一段押しすることができ、このとき、連結部材52が送気送水ボタン8の段差部分に当接する。さらに、吸引ボタン7を押し込んで2段押しすると、図14に示すように、連結部材52に押されるようにして送気送水ボタン8も2段押しされる。なお、これらボタン7,8は、不図示のスプリングなどによって、図3、図5、図6や、図7から図9に示すような位置に段階的に移動するようになっている。
図1及び図2に示すように、組織捕獲装置17は、内視鏡操作部4の側部4Aに固定される円筒状のケース61を有し、ケース61の開口を塞ぐようにフタ62が取り付けられている。ケース61の側部の開口部61Aには、組織吸引管路46が接続されており、ケース61の底部の開口部61Bには、組織吸引管路47が接続されている。フタ62は、ケース61の開口の外周に拡径されたフランジ61Cに係止させる爪部62Aが設けられており、ここからケース61の内周面に延び、ケース61の内周面に沿う円筒状の側部62Bが形成されている。側部62Bは、ケース61側の開口部61Aに干渉しない位置まで延びている。フタ62の側部62Bは、レンズ63によって閉塞されており、フタ62全体では断面視で略凹形状になっている。また、側部62Bの外周には、溝が形成されており、ここにOリングなどのシール部材64が挿入されており、このシール部材64によってフタ62とケース61との間で気密構造を形成している。さらに、レンズ63とケース61の底部との間に形成される空間には、フィルタ65が挿入されている。フィルタ65には、開口部61Aと開口部61Bとを連通させ、かつ生体組織を捕獲するための組織捕獲面65Aが形成されている。
図2に示すように、処置具3は、体外で術者が操作する操作部71を有している。操作部71は、細長の操作部本体72を有し、操作部本体72の基端側には指掛け用のリング72Aが形成されている。さらに、リング72Aよりも先端側には、スリット73が形成されている。スリット73は、操作部本体72の軸線方向に沿って延び、ここにスライダ74がスリット73に沿って進退自在に装着されている。スライダ74には、操作ワイヤ81が固定されている。操作ワイヤ81は、操作部本体72内を通り、操作部本体72の先端部に延設された挿入部75内に引き出されている。
挿入部75は、長尺で可撓性を有しており、密巻きされたコイルシース76に操作ワイヤ81を進退自在に挿通させて構成されている。挿入部75の先端部には、先端処置部77を有し、先端処置部77はコイルシース76の先端に固定されている。
先端処置部77は、コイルシース76に固定される鉗子先端部78を有し、鉗子先端部78の先端側に形成されたスリットには一対の生検カップ79が挿入され、ピン80で回動自在に支持されている。生検カップ79は、鉗子先端部78から突出する先端部分に凹部が形成されており、かつ各生検カップ79は凹部同士が向き合うように配置されている。生検カップ79において、ピン80で軸支されている部分よりも基端側には、操作ワイヤ81が連結されている。このため、スライダ74を後退させると操作ワイヤ81を介して連結されている一対の生検カップ79が閉じ、スライダ74を前進させると操作ワイヤ81を介して連結されている一対の生検カップ79が開くようになっている。
なお、生検カップ79を開いたときの先端処置部77の幅は、鉗子チャンネル15の内径よりも小さい。つまり、鉗子チャンネル15には、その先端の開口から連結点45に至るまでの間で、生検カップ79を開閉可能なスペースが形成されている。
次に、この実施の形態の作用について説明する。
内視鏡挿入部5を体内に挿入し、鉗子チャンネル15に処置具3を挿通する。初期状態として、各ボタン7,8は最も引き出された状態にあり、送気源12Aからの空気は、送気送水ボタン8のリーク穴34から外部に放出されている。吸引源14には、吸引ボタン7の連通穴51から外気が吸引されている。
例えば、内視鏡挿入部5のレンズ18を洗浄する場合など、内視鏡挿入部5の先端部から通常の送水をする際には、図5及び図12に示すように、送気送水ボタン8のみを一段押して、第二のポート23Bを外部及び他のポート23A,23Cから隔離し、第三のポート23Cと第四のポート23Dとを連通させる。したがって、図15に示すように、送気源12Aからの空気は、送水タンク13に導かれ、送水タンク13の液面を押し下げる。その結果、送水タンク13から送水管路27に、生理食塩水や、減菌水などの液体が供給される。ここで、第四のポート23Dと第三のポート23Cとが連通しているので、送水タンク13からの液体は、送水管路26を通ってノズル25からレンズ18に向かって送水され、レンズ18の表面が洗浄される。なお、この際に、第一切替装置22の第一のポート23Aは、第二のポート23Bと連通していないので、送気管路24に気体は流れない。また、第五のポート23Eは、第四のポート23Dに連通していないので、組織送水管路28に送水はされない。
例えば、洗浄後のレンズ18の水分を吹き飛ばすときなど、内視鏡挿入部5の先端部から通常の送気をする場合には、図4及び図11に示すように、送気送水ボタン7を最も引き出した状態でリーク穴34を指で塞ぐ。第二のポート23Bから供給される空気の圧力で逆止弁35が開き、第二のポート23Bと第一のポート23Aとが連通する。一方、第三のポート23Cと第四のポート23Dとは、パッキン36Dで隔離されるので、送水はされない。その結果、図16に示すように、送気源12Aからの空気が、送気管路21、第二のポート23B、第一のポート23A、送気管路24を順番に通って、ノズル25から噴き出す。
例えば、送水した液体を吸引するときなど、通常の吸引作業を行う場合には、図8及び図13に示すように、吸引ボタン7のみを一段押して、第2切替装置42の第一のポート43Aと第三のポート43Cとを連通させる。その結果、図17に示すように、吸引源14と、吸引管路41、第三のポート43C、第一のポート43A、吸引管路44、鉗子チャンネル15を通じて吸引が行われる。
一方、生体組織を採取するときには、処置具3全体を前進させて、内視鏡2の先端部から先端処置部77を突出させる。さらに、操作部71のスライダ74を前進させ、操作ワイヤ81で連結されている一対の生検カップ79を開かせる。図18に示すように、この状態で生検カップ79を対象部位、例えば、粘膜W1に押し当ててから、操作部71のスライダ74を引き戻す。操作ワイヤ81で連結されている一対の生検カップ79が閉じる。この際に、図19に示すように、生検カップ79の凹部内に粘膜W1の一部の生体組織が挟み込まれる。
生検カップ79を閉じたままで処置具3全体を引き戻すと、生検カップ79に把持されている生体組織が粘膜W1から引きちぎられ、これが採取組織W2となる。粘膜W1から内視鏡挿入部5の先端部までの距離は短いので、処置具3全体を引き戻すときに、先端処置部77は内視鏡2のチャンネル15内に収容される。したがって、図20に示すように、先端処置部77の位置を組織吸引管路46よりも基端側に位置決めしてから鉗子チャンネル15に送水を開始する一方で、組織吸引管路46から吸引を開始する。
ここで、鉗子チャンネル15に送水し、組織吸引管路46から吸引する場合の詳細について説明する。まず、図14に示すように、吸引ボタン7を2段押しする。この際に、連結部材52に押されるようにして送気送水ボタン8も2段押しされる。第二の管路系30では、第二切替装置42が切り替えられることで、第二のポート43Bと第三のポート43Cが連通する。その結果、吸引源14が組織吸引管路47に接続され、組織捕獲装置17を介して組織吸引管路46が吸引される。
一方、第一の管路系20では、第一切替装置22が切り替えられることで、第四のポート23Dと第五のポート23Eとが連通する。その結果、送気源12Aからの空気が送水タンク13に導入され、液体が押し出される。送水タンク13から押し出された液体は、送水管路27を通って第一切替装置22の第四のポート23Dに入り、第五のポート23Eから組織送水管路28に導かれる。さらに、組織送水管路28から吸引管路44を通り、鉗子チャンネル15に流入する。この液体は、鉗子チャンネル15の先端部分に接続されている組織吸引管路46から吸引される。
この内視鏡2は、送水タンク13からの送水量よりも、吸引源14の吸引量の方が大きくなるように調整されているので、鉗子チャンネル15に流れる液体は、実施的にはその全てが組織吸引管路46に吸引される。なお、吸引ボタン7を2段押したときには、吸引と送水とが同時に行われるか、送水に先立って吸引が開始されるように設定することが望ましい。このようにすることで、鉗子チャンネル15に送水された液体を吸引して回収し易くなる。
内視鏡2側の管路を使って送水と吸引を開始する後、若しくはその前に、処置具3の操作部71を操作して一対の生検カップ79を開く。鉗子チャンネル15を通流する液体で洗い流されるようにして採取組織W2が生検カップ79から脱離し、図21に示すように、生検カップ79よりも先端側に開口する組織吸引管路46から採取組織W2が液体と共に吸引される。そして、図20に示すように、組織吸引管路46を通り、組織捕獲装置17の内部に導かれ、フィルタ65の組織捕獲面65Aに捕獲される。液体は、フィルタ65を通過して組織捕獲装置17のケース61の開口部61Bから組織吸引管路47を通り、第二切替装置42、吸引管路41を経て吸引源14から排出される。採取組織W2は、組織捕獲装置17のフタ62のレンズ63を通して拡大観察することで確認することができ、フタ62を外せば取り出せる。そして、連続生検を行う場合には、送水と吸引とを継続した状態で同様の操作を繰り返して行う。
この実施の形態によれば、従来では処置具に設けていた組織送水管路と組織吸引管路とを内視鏡側に設けたので、処置具の構成を簡略化し、かつ小型化することができる。さらに、吸引用のボタンや、送水用のボタン等の操作手段を内視鏡2側に設けたので、処置具3の操作部71を簡略化し、かつ小型化することができる。このため、処置具3のコストを低減することができる。また、組織捕獲装置17を内視鏡2側に設けたので、従来のように処置具側に設ける場合に比べて、処置具3を小型化、低コスト化することができる。内視鏡2側では、レンズ18の洗浄や、通常の吸引に用いる管路や、ボタン7,8や、吸引源14などを一部利用しながら採取組織W2を捕獲できるようにしたので、内視鏡システム1全体としての構成を簡略化し、低コスト化を図ることができる。これらのことから、一回の手技に要するコストを低減できる。
そして、採取組織W2を捕獲するときの送水及び吸引に係る操作は、内視鏡2を操作する術者が行うことになるので、処置具3側の操作を簡略化することができ、役割分担をすることで処置具3を操作する介助者の負担を軽減することができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について、図22から図28を参照して詳細に説明する。
図22に示すように、内視鏡システム101は、内視鏡102と、処置具3とを含んで構成されている。この実施の形態の内視鏡102は、鉗子チャンネル115のみが第1の実施の形態と異なり、その他の構成は同じである。
鉗子チャンネル115は、先端部に拡径された筒状のチャンバ116が設けられており、このチャンバ116に組織吸引管路46が斜めに接続されている。チャンバ116の径は、生検カップ79を開いた大きさよりも大きく、生検カップ79を開閉可能なスペースになっている。そして、チャンバ116を除く鉗子チャンネル115の径は、挿入部75の外径、及び生検カップ79を閉じた状態の先端処置部77の外径よりは大きいが、生検カップ79を開いたときの大きさよりは小さい。したがって、チャンバ116によって形成される段差が、後に作用を説明する突き当て部117(規制部)となる。突き当て部117の先端面は、鉗子チャンネル115の軸線に直交する突き当て面117Aになっており、この突き当て面117Aから組織吸引管路46の接続位置までの軸線方向の距離は、生検カップ79の長さよりも大きくなっている。
次に、内視鏡システム101の作用について説明する。
図23に示すように、内視鏡102の先端部から先端処置部77を突出させ、生検カップ79を開いた状態で粘膜W1に押し付けたら、操作部71を操作して生検カップ79を閉じる。図24に示すように、生検カップ79が生体組織(採取組織W2)を掴むので、この状態で処置具3全体を内視鏡102の鉗子チャンネル115内に引き戻す。図25に示すように、生検カップ79に掴まれた採取組織W2が引きちぎられると共に、先端処置部77が内視鏡102内に収容される。
この後に、図26に示すように、処置具3全体を再び前進させて、先端処置部77を内視鏡102の先端部から突出させる。操作部71を操作して、図27に示すように、再び一対の生検カップ79を開く。このとき、採取組織W2は生検カップ79に収まったままである。
さらに、生検カップ79を開いたままで処置具3全体を引き戻すと、今度は生検カップ79が開いているので、図28に示すように生検カップ79が突き当て部117の突き当て面117Aに突き当たって止まる。この状態では、先端処置部77の先端は、組織吸引管路46よりも基端側に位置決めされる。
そして、第1の実施の形態と同様の操作をし、鉗子チャンネル115の基端側から送水すると共に、組織吸引管路46から吸引すると、第一の管路系20の組織送水管路28を通って鉗子チャンネル115に導かれた液体が、鉗子チャンネル115と処置具3との隙間を通ってチャンバ116内に流入し、生検カップ79から採取組織W2を離脱させる。そして、この採取組織W2が液体と共に生検カップ79よりも先端側にある組織吸引管路46に吸引され、組織捕獲装置17に捕獲される。連続生検をする場合には、これらの操作を繰り返して実施する。
この実施の形態によれば、鉗子チャンネル115の先端部分にチャンバ116を設けて、生検カップ79を開いた状態の先端処置部77を受け入れ可能にしたので、内視鏡102側に形成した管路を用いて採取組織W2の回収が可能になる。したがって、処置具3の構成が簡略化し、低コスト化が図れる。また、チャンバ116を先端部に設けることで、鉗子チャンネル115の残りの部分を細径にすることができるので、内視鏡挿入部5の径を第1の実施の形態に比べて細くし易い。さらに、突き当て面117Aに生検カップ79を当接させることで先端処置部77を位置決めすることができるので、組織吸引管路46よりも基端側に必ず先端処置部77を配置することができ、採取組織W2を確実に回収することができる。この際に、先端処置部77を突き当て面117Aに突き当てるだけで位置決めできるので、術者の操作上の負担を軽減することができる。また、処置具3の構成を変更することなく、処置具3を挿入したままで採取組織W2の回収が可能になる
なお、チャンバ116は、必ずしも筒状でなくてもよく、方形等の他の形状でも良い。この場合でもチャンバ116内で生検カップ79が開閉可能で、突き当て部117が形成される。突き当て面117Aは、鉗子チャンネル115の軸線に対して所定の傾斜角度を有したり、曲面形状になっていても良い。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について図29から図36を参照して詳細に説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図29に示すように、内視鏡システム201は、内視鏡202と、処置具203とを含んで構成されている。内視鏡202は、第一の管路系20と第二の管路系230とを有している。第二の管路系230には、鉗子チャンネル215が設けられており、鉗子チャンネル215の先端近傍には、規制部となる突き当て部217が径方向内側に突出するように環状に形成されている。突き当て部217の基端側の面は、鉗子チャンネル215の軸線に対して略垂直な突き当て面217Aになっている。さらに、突き当て部217よりも先端側がチャンバ116になっており、チャンバ116には組織吸引管路46が斜めに接続されている。なお、鉗子チャンネル215は、突き当て部217を除いて連結点45まで略同じ径になっている。
図29及び図30に示すように、処置具203の挿入部275は、密巻きのコイルシース76を内シースとし、この内シースを覆うように外側シース280が摺動自在に設けられている。外側シース280は、後述するように先端規制部として機能するもので、その長さは、鉗子チャンネル215よりは長いが、コイルシース76よりも短い。したがって、外側シース280は、その基端部が内視鏡202から露出し、さらに外側シース280の基端からコイルシース76が引き出されている。外側シース280は、管状のシース本体を有し、シース本体の先端部には先端チップ281が圧入等によって固定されている。
図31に示すように、先端チップ281は、円筒形状のチップ本体282を有している。チップ本体282の内径は、コイルシース76の外径よりも大きく、チップ本体282の外径は、突き当て部217を除いた鉗子チャンネル215よりも小さい。さらに、チップ本体282の先端部には、2つの突部283が径方向外側に突設されている。突部283は、周方向に隙間を置くように先端チップ281の軸線回りに等間隔に配設されており、これら突部283の形成位置では挿入部275の外径が大きくなっている。突部283を含めた先端チップ281の外径は、内視鏡202側の鉗子チャンネル215の突き当て部217の内径よりも大きく、突き当て部217よりも基端側の鉗子チャンネル215の内径よりは小さい。
さらに、外側シース280の基端部で、内視鏡202から外部に露出する部分には、先端規制部である係合部材286の一端部が固定されている。係合部材286は、例えば、ループ状の弾性部材からなる。この係合部材286の他端部は、内視鏡操作部4の側部4A、かつ鉗子栓16の近傍に設けられた規制部である引っ掛け部287に係合可能になっている。
引っ掛け部287は、鉗子チャンネル215の軸線に対して少なくとも垂直よりも内視鏡挿入部5の先端側に向けて傾斜し、下向きに鉤状になっている。係合部材286が弾性部材から製造されている場合には、係合部材286の他端部を引き伸ばすようにして引っ掛け部287に係合させると、係合部材286が収縮することで外側シース280が突き当て部217に向かって付勢される。係合部材286及び引っ掛け部287は、外側シース280が突き当て部217に常に突き当てられるような配置になっている。
また、処置具203の挿入部275の先端には、先端処置部277が設けられている。先端処置部277は、鉗子先端部278に一対の生検カップ79を開閉自在に支持させてあり、鉗子先端部278の基端部には拡径された大径部285が設けられている。大径部285の外径は、先端チップ281の内径よりも大きく、内視鏡202側の突き当て部217の内径よりは小さい。なお、鉗子先端部278自体を大径部285と同じ外径にしても良い。
次に、この実施の形態の作用について説明する。
図32に示すように、内視鏡202の鉗子チャンネル215に処置具203を挿入していく。外側シース280とコイルシース76の間は、挿入や抜去といった操作程度では、互いの位置が動かない程度の摩擦力を有しているので、挿入時にコイルシース76と外側シース280は一緒に挿入される。図30に示すように、先端側の先端処置部277は、突き当て部217を通過するが、先端チップ281の突部283が突き当て面217Aに当接する。この状態で、外側シース280の基端側の係合部材286を引っ掛け部287に係合させると、以降は、外側シース280が突き当て面217Aに突き当てられた状態で固定される。したがって、コイルシース76を前進させると、図33に示すように、外側シース280は移動しないが、コイルシース76が前進し、先端処置部277を内視鏡202の先端部から突出させることができる。
操作部71を操作して一対の生検カップ79を開いた状態で粘膜W1に押し当ててから閉じると、生体組織が把持される。そして、コイルシース76を掴んで内視鏡202から引き抜く方向に引っ張ると、先端処置部277が鉗子チャンネル215内に引き戻され、生検カップ79に把持された生体組織が粘膜W1から引きちぎられて採取組織W2として採取される。このとき、図30に示すように、外側シース280は、係合部材286で付勢されているので、突き当て部217に突き当たった状態を維持する。このため、先端処置部277は、大径部285が先端チップ281に当接するまで引き戻される。大径部285が先端チップ281に当接したときの生検カップ79の先端は、チャンバ116内で組織吸引管路46の接続点よりも基端側になっている。
ここで、第1の実施の形態と同様にして送水と吸引を行うと、第一の管路系20から組織送水管路28を通って鉗子チャンネル215に導かれた液体が、先端チップ281のチップ本体282の外周と、突部283と、突き当て部217との間の隙間を通ってチャンバ116内に流れ込み、組織吸引管路46に吸引され、排出される。したがって、図35に示すように、一対の生検カップ79を開くと、送水によって生検カップ79から採取組織W2が離脱して、液体と共に組織吸引管路46から組織捕獲装置17に導かれ、フィルタ65に捕獲される。そして、連続生検をする場合には、これらの操作を繰り返して実施する。
この実施の形態によれば、鉗子チャンネル215に突き当て部217を設ける一方で、処置具203側に外側シース280を設け、外側シース280の先端部に突き当て部217に当接する先端チップ281を固定したので、先端チップ281を突き当て部217に当接させ、この状態で外側シース280の基端側の係合部材286を引っ掛け部材287に係合させることで外側シース280の位置が固定され、外側シース280の位置を基準として先端処置部277を引き戻す方向での位置決めがされるようになる。したがって、コイルシース76を引っ張るだけで、採取組織W2の採取と、先端処置部277の位置決めとを行うことが可能になり、操作性が向上する。また、先端処置部277が位置決めされることで、送水及び吸引による採取組織W2の回収を容易に、かつ確実に行うことが可能になる。
また、突き当て部217と先端チップ281との間には、送水に十分な隙間が形成されているので、処置具203の外側を通る液体によって採取組織W2を確実に回収することができる。従来のように処置具203内に管路を形成する必要がなくなるので、処置具203の構成を簡略化できる。さらに、外側シース280の基端側に取り付けた係合部材286を引っ掛け部287に係合させることで、外側シース280を突き当て部217に向かって付勢するようにしたので、コイルシース76を引き戻したときでも先端処置部277の位置決めを確実に行うことができる。
なお、外側シース280は、係合部材286の代わりにレバーを設け、このレバーを内視鏡操作部4の側部4Aに引っ掛けることで突き当て部217に突き当てるようにしても良い。
また、図36に示すように、鉗子チャンネル215のチャンバ116と、組織吸引管路46とを平行に配置し、組織吸引管路46の先端部46Aを内視鏡挿入部5の先端部に開口させると共に、チャンバ116と組織吸引管路46との間の壁部分を取り除いて連通路246を形成し、この連通路246によってチャンバ116と組織吸引管路46とを内視鏡202内で接続するように構成しても良い。鉗子チャンネル215を通る液体は、連通路246から組織吸引管路46に吸入されるので、前記と同様の作用及び効果が得られる。
さらに、突き当て部217に切り欠きや孔を設け、この切り欠きや孔を通してチャンバ216に送水が行われるようにしても良い。
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態について図37から図44を参照して詳細に説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図37に示すように、内視鏡システム301は、内視鏡302と、処置具203とを含んで構成されている。内視鏡302は、第一の管路系320と第二の管路系330とを有している。第一の管路系320は、送気源12Aに接続された送気管路21を有し、送気管路21は途中で分岐して送水タンク13と第一切替装置322の第二のポート323Bとに接続されている。分岐点と第一切替装置322との間には、流路開閉手段である電磁弁370が設けられている。
図38に示すように、第一切替装置322は、流路を切り替える装置であって、送気送水ボタン308が挿入されるスリーブ323を有し、スリーブ323の開口側から4つのポート323A〜323Dが軸線方向に沿って設けられている。第一のポート323Aと第二のポート323Bとの間には、開口側に向かって開くように拡径するテーパ面332が形成されている。送気送水ボタン308は、ボタン本体333を有し、ボタン本体333内には排気孔334が形成されている。排気孔334は、ボタン本体333がスリーブ323から外部に露出する頭部333Aにリーク穴334Aを開口させてあり、ここから軸線方向に延び、スリーブ323内の挿入された先端部333Bに至る前に側方に開口している。開口よりも頭部333A側の外周には、逆止弁335が設けられており、逆止弁335と頭部333Aとの間にはパッキン336Aが固定されている。さらに、逆止弁335よりも先端部333B側には、2つのパッキン336B,336Cが所定の間隔で固定されており、これらパッキン336A〜336Cで送気送水ボタン308とスリーブ323との間に気密構造を形成している。
図38では、パッキン336Aは、第一のポート323Aとスリーブ323の開口との間にあり、逆止弁335は第一のポート323Aと第二のポート323Bとの間にある。パッキン336Bは、第二のポート323Bと第三のポート323Cの間にあり、パッキン336Cは、第三のポート323Cと第四のポート323Dとの間にある。図39に示すように、リーク穴334Aを指P1で塞ぎ、第二のポート323Bに送気をすると、逆止弁335が開いて第一のポート323Aと第二のポート323Bとを連通させることができる。
さらに、図40に示すように、送気送水ボタン308を、逆止弁335がスリーブ323のテーパ面332に当接するまで押し込むと、逆止弁335の受圧面積が減少するので、リーク穴334Aを指で塞いでも逆止弁335は開かなくなり、第一のポート323Aと第二のポート323Bは連通されない。このとき、パッキン336Aは、第一のポート323Aよりも開口側に留まり、パッキン336Bは、第二のポート323Bと第三のポート323Cの間に留まり、パッキン336Cは第四のポート323Dよりもスリーブ323の閉塞端側に移動する。したがって、この場合には、第三のポート323Cと第四のポート323Dのみが連通する。
図37から図40に示すように、第一のポート323Aには、送気管路24が接続されており、送気管路24の先端部分に接続される送水管路26は第四のポート323Dに接続されている。第三のポート323Cには、送水管路27が接続されている。送水管路27は、送水タンク13に接続されており、その途中から組織送水管路328が分岐している。組織送水管路328は、第二の管路系330に接続されており、その途中には流路開閉手段である電磁弁371が設けられている。
第二の管路系330は、吸引源14に接続された吸引管路41を有し、吸引管路41は、組織吸引管路247が分岐した後に第二切替装置342の第二のポート343Bに接続されている。組織吸引管路247は、組織捕獲装置317のケース361の開口部361Bに接続されると共に、その途中に流路開閉手段である電磁弁372が設けられている。さらに、吸引管路41は、組織吸引管路247との分岐点よりも第二切替装置342側に流路開閉手段である電磁弁373が設けられている。これら電磁弁372,373、及び第一の管路系320の電磁弁370,371は、内視鏡操作部4に設けられた組織回収用の吸引送水スイッチ375に電気的に接続されている。なお、吸引送水スイッチ375をオフにすると、2つの電磁弁370,373が開き、電磁弁371,372のみが閉じる。吸引送水スイッチ375をオンにすると、電磁弁370及び電磁弁373が閉じ、電磁弁371及び電磁弁372が開く。
図41から図42に示すように、第二切替装置342は、流路を切り替える装置であって、吸引ボタン307が挿入されるスリーブ343を有し、スリーブ343の側部には第一のポート343Aが設けられている。さらに、スリーブ343の閉塞端部には、第二のポート343Bが設けられている。吸引ボタン307は、スリーブ343の内径に略等しいボタン本体350を有し、ボタン本体350には頭部350A側の側部から先端部350Bに抜ける連通孔351が形成されている。
図41に示すように吸引ボタン307が引き出された位置では、連通孔351の頭部350A側の開口が外部に露出しており、第二のポート343Bが外部に開放されている。これに対して、図42に示すように、吸引ボタン307を押し込んだ状態では、連通孔351の頭部350A側の開口が第一のポート343Aに連なり、第一のポート343Aと第二のポート343Bとが連通される。
図37に示すように、第一のポート343Aには、吸引管路44が接続されており、吸引管路44は、鉗子チャンネル215に接続さている。鉗子チャンネル215の先端部分にはチャンバ116が形成されており、チャンバ116には組織吸引管路46の先端端部分が斜めに接続されている。組織吸引管路46は、組織捕獲装置317のケース361の側部に形成された開口部361Aに接続されている。
組織捕獲装置317は、有底筒状のケース361を有し、ケース361の側部には開口部361Aが形成され、ケース361の底部には開口部361Bが形成されている。開口部361Aには組織吸引管路46が接続され、開口部361Bには組織吸引管路247が接続されている。ケース361には、フィルタ365が軸線回りに回転自在に挿入されている。フィルタ365は、中心部が軸線方向に沿って突設されており、中心部を囲むように複数の組織捕獲面365Aが周方向に等間隔に設けられている。さらに、フィルタ365の中心部に一致するようにフタ362が挿入され、ケース361に対して固定されている。フタ362は、フィルタ365の中心部を覆う凸部が設けられており、この凸部を囲むように複数のレンズ363が周方向に等間隔に配設されている。これらレンズ363は、フィルタ365の組織捕獲面365Aに対応して設けられており、各組織捕獲面365Aに捕獲した採取組織W2を拡大観察できるようになっている。なお、フタ362は、Oリングなどのシール部材364でケース361内面との間で気密構造を形成しており、爪362Aでケース361のフランジに係合されている。フタ362とフィルタ365の中心部は、フタ362を回転させる回転力よりも大きい嵌合力を有しているので、フタ362とフィルタ365は互いの位置関係がずれることなく回転する。
また、内視鏡302の鉗子栓16には、係合部材390が取り付けられている。係合部材390は、鉗子チャンネル215の軸線に平行に延びる係合部本体391を有し、係合部本体391からは3つの爪部材392が軸線方向に対して垂直に、側面視で鉗子チャンネル215の軸線を越えるように延設されている。図43に示すように、各爪部材392は、円柱形状を有し、係合部本体391の長手方向の中心線を挟むようにオフセットして配置されている。このため、各爪部材392の間に処置具203の挿入部275の外側シース280を通すことで、外側シース280が波状に湾曲しながら係合部材390に摩擦固定される。なお、各爪部材392は、円柱形状に限定されずに任意の形状にすることが可能である。
次に、この実施の形態の作用について説明する。
処置具203を内視鏡302に挿通させるときには、外側シース280の先端チップ281が内視鏡302側の突き当て部217に突き当たるまで挿入部275を挿入する。先端チップ281が突き当て部217に突き当たると外側シース280が位置決めされるので、この位置で外側シース280を爪部材392の間を通して摩擦固定する。これによって、コイルシース76を進退させても外側シース280の位置がずれないようになる。
内視鏡挿入部5の先端から通常の送水をする際には、吸引送水スイッチ375をオフにする。さらに、図40に示すように、送気送水ボタン308を押し込む。送気管路21から送水タンク13に送気され、送水タンク13内の液体が送水管路27に流出し、第一切替装置322の第三のポート323Cから第四のポート323Dに抜け、送水管路26を通り、ノズル25から噴出する。
内視鏡挿入部5の先端部から通常の送気をする場合には、吸引送水スイッチ375をオフにする。さらに、図39に示すように、送気送水ボタン308を引き出した状態でリーク穴334Aを指で塞ぐ。送気源12Aから送気管路21を通って第一切替装置322の第二のポート323Bに流入する空気が、逆止弁335を開かせて第一のポート323Aに抜け、送気管路24を通り、ノズル25から噴出する。
吸引作業のみを行う場合には、吸引送水スイッチ375をオフにする。さらに、図42に示すように、吸引ボタン307を押し込む。第二切替装置342の第一のポート343Aと第二のポート343Bが接続されるので、鉗子チャンネル215から吸引管路44、第二切替装置342、吸引管路41を経て、吸引が行われる。
採取組織W2を回収するときには、第3の実施の形態と同様にして生検カップ79で粘膜W1の一部を引きちぎった後に、チャンバ116内で生検カップ79を開き、鉗子チャンネル215から送水しながら組織吸引管路46で吸引を行って生検カップ79内の採取組織W2を回収する。この際に、内視鏡302側では、吸引送水スイッチ375をオンにして、電磁弁371及び電磁弁372を開き、電磁弁370及び電磁弁373を閉じる。図38及び図41に示すように、各ボタン307,308は、引き出した位置にしておく。
これによって、図44に示すように、電磁弁370が閉じていることから送気源12Aから送水タンク13に送気がなされ、送水タンク13から送水管路27に送水が開始される。第一切替装置322の第三のポート323Cは、他のポートに接続されていないので、電磁弁371が開いている組織送水管路328から吸引管路44に液体が流れ込む。吸引管路44の第二切替装置342側は閉鎖されているので、液体は鉗子チャンネル215に流れ込んで、チャンバ116内の生検カップ79から採取組織W2を離脱させる。採取組織W2は、液体と共に組織吸引管路46に吸引されて、組織捕獲装置317に導かれ、開口部361A近傍に配置されているフィルタ365の組織捕獲面365Aに捕獲される。液体は、組織捕獲面365Aを通過してケース361の開口部361Bから組織吸引管路247に吸引され、電磁弁372を通って吸引管路41から排出される。
ここで、粘膜W1から採取組織W2を引きちぎるときには、コイルシース76を掴んで引き戻すが、この際に、外側シース280は、係合部材390を介して内視鏡302に固定されているので移動しない。したがって、外側シース280の先端チップ281は、鉗子チャンネル215の突き当て部217に突き当ったままになり、チャンバ116内での生検カップ79の先端位置が自動的に所定位置に定める。
さらに、連続して生検をする場合には、以上の操作を繰り返すが、組織捕獲装置317は、複数の組織捕獲面365Aを有するので、採取組織W2を回収する度に、フィルタ365及びフタ362を回転させて、新しい組織捕獲面365Aを開口部361A側に配置する。
この実施の形態によれば、採取組織W2を回収するために送水や吸引を行う管路を内視鏡302側に設けたので、処置具203の構成を簡略化することができる。また、第一の管路系320と第二の管路系330とを連通させる組織送水管路328を設けると共に、複数の電磁弁370〜373、及び吸引送水スイッチ375で流路を切り替えるようにしたので、従来の送気機構、送水機能、吸引機構を有する内視鏡の操作をベースとして、吸引送水スイッチ375のオンオフを切り替えるだけで、採取組織W2を回収することが可能になり、操作性が向上し、連続生検を効率良く行える。特に、吸引送水スイッチ375を押すだけで、送水と吸引を同時に、又は送水に先駆けて吸引を行わせることが可能になる。送水操作と吸引操作とが一つの操作で済むことから、操作性が向上し、術者の負担を低減できる。
また、内視鏡302側に組織捕獲装置317を設けたので、処置具203を小型化、低コスト化することができる。
さらに、処置具203の外側シース280を3つの爪部材392を有する係合部材390で固定するようにしたので、採取組織W2を採取する際にコイルシース76を引っ張っても、外側シース280は移動しないので、外側シース280の先端位置を基準としてチャンバ116内での生検カップ79の位置決めを容易に、かつ確実に行えると共に、操作性が向上する。さらに、第3の実施の形態と異なり、係合部材390が内視鏡302に設けられた部品であるため、処置具203のコストをより低くすることができる。
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態について図45から図55を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態は、処置具の外側シースを位置決めして内視鏡に係合させる構成に特徴を有し、その他の構成は、第3の実施の形態、又は第4の実施の形態と同様である。
図45に示すように、内視鏡操作部4の側部4Aには、鉗子チャンネル215の鉗子口415が設けられている。鉗子口415の外周縁部には、フランジ状に拡径されている。このような鉗子口415に係合される鉗子栓416は、内視鏡操作部4側に密着する底部から鉗子チャンネル215の軸線方向に向かって縮径する円錐台形状を有する弾性部材であり、その内部に処置具403の挿入部475を挿通可能な挿通孔417が形成されている。挿通孔417は、鉗子チャンネル215の内径に略等しい径を有し、鉗子栓416の先端部分のみが縮径された小径部418になっている。
ここで、鉗子栓416には、2つのキー穴419が挿通孔417の軸線を挟むように、平行に穿設されている。これらキー穴419は、挿通孔417に貫通しており、キー穴419には、キー420が挿入可能になっている。キー420は、キー穴419に対応するキー挿入部421が2つ平行に設けられた略U字形状から、術者が掴む把持部422を延設させた形状になっている。
処置具403の挿入部475は、コイルシース76の外側に外側シース480が摺動自在に設けられている。この外側シース480は、可撓性を有する管状のシース本体481を有し、シース本体481の外周を拡径させた環状の係合部482が軸線方向に等間隔に複数配設されている。係合部482の外径は、鉗子チャンネル215の内径以下で、鉗子栓416の挿通孔417の小径部418の径に略等しい。また、係合部482の軸線方向の配置間隔は、キー穴419の径に略等しい。さらに、シース本体481の外径は、2つのキー穴419の間の距離に略等しい。なお、この係合部482が先端規制部となり、鉗子栓416とキー420とが内視鏡302側の規制部になる。
次に、この実施の形態の作用について説明する。
鉗子栓416からキー穴419を外した状態で、処置具403を内視鏡302に挿通する。外側シース480の先端チップ281を鉗子チャンネル215の先端側の突き当て部217に突き当てたら、キー420をキー穴419に通す。キー420は、軸線方向で外側シース480の係合部482の間に、シース本体481を挟むように挿入されるので、この位置で外側シース480が固定される。採取組織W2を採取する際には、コイルシース76を前進させて生検カップ79で粘膜W1の生体組織を把持し、その後でコイルシース76を内視鏡302内に引き戻す。この際に、外側シース480はキー420と係合部482との係合によって移動が防止されているので、コイルシース76のみが進退し、外側シース480の先端チップ281は、突き当て部217に当接して固定される。したがって、チャンバ116内に引き込まれた先端処置部277は、先端チップ281に突き当たって止まる。
そして、前記の実施の形態と同様にして、鉗子チャンネル215を用いて送水を行いながら組織吸引管路46から吸引をし、開いた生検カップ79から採取組織W2を回収する。必要な採取組織W2を全て採取し、処置具403を抜去するときには、キー420をキー穴419から抜き取る。これによって、係合部482の係合が解除されるので、処置具403を引っ張ると、外側シース480ごと内視鏡から抜去することができる。
この実施の形態によれば、キー420を挿入可能なキー穴419を鉗子栓416に形成し、外側シース480にキー420に係合可能な係合部482を設けたので、外側シース480を鉗子チャンネル215の突き当て部217に突き当てた状態で固定することが可能になる。したがって、採取組織W2を採取する際に、コイルシース76を引き戻しても外側シース480は移動しないので、チャンバ116内での生検カップ79の位置決めを簡単に、かつ確実に行うことができる。したがって、生検カップ79の位置調整の煩雑さを解消することができ、手技を効率良く実施することが可能になる。さらに、係合部482を軸線方向に複数配設したので、外側シース480の挿入量の調整が容易になり、外側シース480を突き当て部217に確実に当接させることが可能になる。
ここで、この実施の形態の変形例について以下に説明する。
図46に示すように、内視鏡操作部4の側部4Aには、鉗子チャンネル215の鉗子口415近傍に、ラチェット430を摺動自在に収容する収容部431が形成されている。ラチェット430は、鉗子チャンネル215の軸線方向に平行に延びて、一部が外部に露出するレバー部430Aと、鉗子チャンネル215の軸線に直交する方向に延びる爪部430Bとを有するL字形状になっている。爪部430Bは、その先端が鉗子チャンネル215内に突出するようにコイルバネなどの弾性部材432で付勢されている。爪部430Bの先端は、鉗子チャンネル215の鉗子口415側が一部切り落とされており、斜めになっている。さらに、爪部430Bの外周を囲むようにOリングなどのシール部材433が装着されており、ラチェット430と収容部431及び鉗子チャンネル215との間に液密構造が形成されている。
処置具403は、外側シース480Aを有し、外側シース480Aは、可撓性を有する管状のシース本体481Aを有しており、このシース本体481Aの基端部には歯型状の係合部482Aが軸線方向に所定の長さで形成されている。係合部482Aは、先端側に向かって縮径するテーパ面483Aと軸線に垂直な係合面484Aとを有し、係合面484Aとテーパ面483Aとで形成される凹部485Aはラチェット430の爪部430Bの先端部と係合可能になっている。
処置具403を挿入するときには、係合部482Aのテーパ面483Aがラチェット430を押し退けながら外側シース480Aが挿入される。このとき、ラチェット430は、弾性部材432を収縮させるようにしてテーパ面483Aの外縁に乗り上げ、弾性部材432の復元力によって次の凹部485Aに進入する。このような動作が繰り返されることによって、手動でラチェット430を操作することなく処置具403がそのまま挿通される。そして、外側シース480Aの先端チップ281が、突き当て部217に当接したら挿入を停止する。一方、外側シース480Aを引き出す方向では、係合面484Aがラチェット430の爪部430Bに突き当たる。係合面484A及びこれに突き当たる爪部430Bの面は、共に軸線方向に対して垂直な面になっているので、外側シース480Aを引き出そうとしてもラチェット430と係合部482Aが噛み合って移動させることはできない。
したがって、生検カップ79で生体組織を把持してコイルシース76を引き戻したときでも先端チップ281は、常に突き当て部217に当接した状態となり、採取組織W2を回収する際の生検カップ79の位置決めが簡単に、かつ確実に行われる。処置具403を抜去するときには、レバー部430Aを矢印で示すように処置具403から離れる方向に引き、ラチェット430の係合を解除しながら挿入部475を引き抜く。このように、外側シース480Aの先端規制部として係合部482Aを設け、内視鏡202の規制部としてラチェット430を設けると、処置具403を挿通させるときに外側シース480Aを固定する操作が不要になるので、手技を速やかに行うことが可能になる。
また、図47に示すように、鉗子栓416Aにスリット440を軸線方向と直交するように形成し、このスリット440に挟持板441をスライド自在に圧入しても良い。図48に示すように、挟持板441は、細長形状を有し、鉗子栓416Aの軸線方向に貫通する大径部442と、大径部442よりも小径の小径部443とが挟持板441の長手方向に一部重なるようにして形成されている。これに対して、処置具403の外側シース480は、係合部482が軸線方向に挟持板441の板厚と同等以上の間隔で凸設されている。係合部482は、小径部443の径よりも大きく、大径部442の径よりは小さくなっている。シース本体481の外径は、小径部443の径よりも小さくなっている。
図48及び図49に示すように、処置具403を挿通するときには、挟持板441をスライドさせて大径部442の中心と、挿通孔417の中心とを一致させる。大径部442は外側シース480よりも大径なので、外側シース480はそのまま挿通される。そして、外側シース480の先端チップ281を突き当て部217に当接させたら、挟持板441をスライドさせ、図50及び図51に示すように、小径部443の中心と、挿通孔417の中心とを一致させる。外側シース480の係合部482は、小径部443を通ることができないので、外側シース480の移動が防止される。処置具403を内視鏡から抜去するときには、挟持板441を再びスライドさせて大径部442を挿通孔417に一致させ、外側シース480ごと抜去する。
この場合には、外側シース480に先端規制部として係合部482を設け、内視鏡202に規制部として鉗子栓416Aにスリット440及び挟持板441を設けたので、挟持板441をスライドさせるだけで外側シース480を固定した状態と、移動可能な状態とで切り替えることができる。したがって、操作が簡単になる。
また、図52及び図53に示すように、鉗子栓416の代わりに、外側シース480Bに設けたカバー450を鉗子チャンネル215の鉗子口415に装着するようにしても良い。カバー450は、外側シース480Bの外周に固定されており、鉗子口415のつば部を受け入れ可能な凹部451が内視鏡302に向けて形成されている。凹部451によって形成される環状の側部452は、内視鏡操作部4に当接する先端面に至るまでの間で一部が切り欠かれおり、これによって2つの支持部453が径方向に並ぶように形成されている。そして、支持部453を残して切り欠かれた部分に、挟持板454がスライド自在に挿入されている。
挟持板454は、長円形を有し、支持部453を挿通させる長孔455が2つ形成されている。これら長孔455に挟まれるようにして大径部456と小径部457と長軸方向に連結された状態で形成されている。大径部456は、鉗子口415の外縁のフランジ部を挿通可能な貫通孔であり、小径部457は、鉗子口415のフランジ部415Aよりは小径であるが、フランジ部415Aよりも小径な鉗子口415の基端部415Bは挿通可能な貫通孔である。なお、長孔455は、大径部456の中心付近で内側に向かって湾曲しており、小さな力で挟持板454が移動しないようになっている。
まず、図52に示すように、大径部456を凹部451に一致させた状態で、挿入部275を鉗子チャンネル215に挿通する。外側シース480Bの先端チップ281が突き当て部217に当接するまで挿入すると、カバー450が鉗子口415に押し当てられる。そこで、図54及び図55に示すように、挟持板454をスライドさせて小径部457を凹部451に一致させる。これによって、挟持板454とカバー450とで鉗子口415が挟持されるので、カバー450を介して外側シース480Bが固定される。コイルシース76を引き出しても外側シース480Bは移動しないので、チャンバ116内での生検カップ79の位置決めを容易に行うことができる。
この場合には、外側シース480Bに先端規制部としてカバー450及び挟持板454を設け、内視鏡202に規制部として鉗子口415のフランジ部415Aを設けたので、挟持板454をスライドさせるだけで簡単に外側シース480Bを内視鏡202に対して位置決めして固定することが可能になる。
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態について図56から図57を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態は、処置具の外側シースを位置決めして内視鏡に係合させる構成に特徴を有し、その他の構成は、第3の実施の形態、又は第4の実施の形態と同様である。
図56及び図57に示すように、鉗子チャンネル215は、鉗子口415の近傍の内周側に規制部である雌ねじ部501が形成されている。雌ねじ部501は、周方向に複数のスリット502が軸線と平行に入っており、スリット502が刻まれることで突出する凸部504の内周側に雌ねじが刻まれている。
処置具503の外側シース580は、管状のシース本体581を有し、シース本体581の基端部には先端規制部である雄ねじ部510が固定されている。雄ねじ部510は、周方向に複数の凹部511が形成されており、凹部511によって形成される突部512の外周側に雄ねじが刻まれている。凹部511は、雌ねじ部501側の凸部504を避けるように形成されている。
手技の際には、鉗子チャンネル215に鉗子栓16を装着した状態で処置具503を挿入する。雌ねじ部501の凸部504の間に雄ねじ部510の凸部512が入り込むように外側シース580を鉗子チャンネル215に挿入する。先端チップ281が突き当て部217に当接したら、外側シース580を軸線回りに回転させる。これによって、雄ねじ部510が雌ねじ部501に螺着される。外側シース580が鉗子チャンネル215に対して固定されるので、コイルシース76を引っ張っても先端チップ281は移動しないようになり、先端チップ281に当接することで生検カップ79の先端が位置決めされる。処置具503を内視鏡202から抜去するときには、外側シース580を軸線回りに回転させて、雌ねじ部501の凸部504、雄ねじ部510の凸部512同士の係合を解除する。この状態では、雌ねじ部501のスリット502に雄ねじ部510の凸部512が収まるので、このまま外側シース580を引き抜ける。
この実施の形態によれば、外側シース580をねじ込むことで、外側シース580を鉗子チャンネル215に対して固定することができるので、先端処置部277の位置を採取組織W2を回収し易い位置で確実に止めることができる。したがって、処置具503を挿通させたままで採取組織W2を簡単に、かつ確実に回収することができる。また、雌ねじ部501、雄ねじ部510が周方向の凹凸を有するので、雌ねじ部501の凸部504と雄ねじ部510の凸部512が干渉しないように挿抜することが可能になり、固定時には小さい力で外側シース580を固定することができる。また、鉗子チャンネル215の長さと、処置具503の外側シース580の長さとにずれがあった場合に、ねじ込み量を変化させることで長さの調整が簡単にでき、そのような場合であっても先端チップ281を突き当て部217に確実に当接させることが可能になる。
なお、鉗子チャンネル215は、突き当て部217を有することが望ましいが、突き当て部217を設けずに、雄ねじ部510を雌ねじ部501に螺着した位置を基準として外側シース580に先端処置部277を当接させることで先端処置部277の位置決めを行っても良い。
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態について図58から図81を参照して詳細に説明する。なお、前記の実施の形態と同じ構成要素には同一の符号を付し、重複する記載は省略する。
図58に示すように、内視鏡システム601は、内視鏡602と、処置具603とを含んで構成されている。内視鏡602は、第一の管路系620と、第二の管路系630とを有し、一部の管路が処置具603側に設けられた吸引送水ボタン610と、組織捕獲装置317とに接続されている。第一の管路系620は、送気源12Aから延びる送気管路21が第一切替装置622の第二のポート623Bに接続されている。第一切替装置622の第一のポート623Aには、送気管路24が接続されており、第四のポート623Dには送水管路26が接続されている。第三のポート623Cには、送水管路627が接続されており、送水管路627は、組織送水管路628が分岐した後に送水タンク13に接続されている。組織送水管路628は、内視鏡操作部4の側部4Aに設けられたコネクタであるコネクタ660内に開口している。
図59から図61に示すように、第一切替装置622は、流路を切り替える装置であって、4つのポートを備えるスリーブ623を有し、スリーブ623の開口側から送気送水ボタン608が挿入されている。送気送水ボタン608は、スリーブ623の内径よりも細いボタン本体633を有し、ボタン本体633の長手方向に複数のパッキン636A〜636Eが固定されることで水密構造及び液密構造が形成されている。
図59では、2つのパッキン636A,636Bが第一のポート623Aよりも開口側にあり、パッキン636Cが第一、第二のポート623A,623Bの間にある。パッキン636Dは、第二、第三のポート623B,623Cの間にあり、パッキン636Eは、第三、第四のポート623C,623Dの間にある。この場合には、全てのポート623A〜623Dは、隔離されている。図60に示すように、送気送水ボタン608を一段押しすると、パッキン636A及びパッキン636Bは第一のポート623Aよりも開口部側に留まり、パッキン636Cが第二、第三のポート623B,623Cの間に移動するようになり、パッキン636Dは第二、第三のポート623B,623Cの間に留まり、パッキン636Eは第三、第四のポート623C,623Dの間に留まる。この場合には、第一のポート623Aと第二のポート623Bとが接続される。図61に示すように、さらに送気送水ボタン608を押し込んで2段押しすると、パッキン636Aは第一のポート623Aよりも開口部側に留まり、パッキン636Bが第一、第二のポート623A,623Bの間に移動し、パッキン636C、パッキン636Dは第二、第三のポート623B,623Cの間に留まる。さらに、パッキン636Eは、第四のポート623Dを越えてスリーブ623の閉塞された他端部側に移動する。この場合には、第3のポート623Cと第4のポート623Dが接続される。
図58に示すように、第二の管路系630は、吸引源14に接続される吸引管路41を有し、この吸引管路41が第二切替装置642の第三のポート643Cに接続されている。第二切替装置642の第一のポート643Aには吸引管路44が接続されており、吸引管路44は鉗子チャンネル115に接続されている。鉗子チャンネル115のチャンバ116に斜めに接続された組織吸引管路646は、内視鏡操作部4の側部4Aに設けられたコネクタ660内に開口している。また、第二切替装置642の第二のポート643Bには、組織吸引管路647が接続されており、組織吸引管路647は、内視鏡操作部4の側部4Aに設けられたコネクタ660内に開口している。また、鉗子チャンネル115には、鉗子栓616が取り付けられている。この鉗子栓616には、管路661が形成されており、管路661はブリッジ662を介してコネクタ660に連通し、コネクタ660に開口している。
図62及び図63に示すように、第二切替装置642は、流路を切り替える装置であって、3つのポートを備えるスリーブ643を有している。スリーブ643は一端が閉塞され他端が開口しており、開口側から吸引ボタン607が進退自在に挿入されている。吸引ボタン607の外径は、スリーブ643の内径に略等しく気密構造を形成している。さらに、吸引ボタン607には、連通孔651が形成されている。連通孔651は、側部に開口し、ここから吸引ボタン607内を通ってスリーブ643の閉塞された端部に向かう先端部に開口している。
図62に示す位置では、第一のポート643Aが閉塞され、第二のポート643Bと第三のポート643Cとが連通している。図63に示すように、吸引ボタン607を押し込んだときには、第一のポート643Aと第三のポート643Cとが連通し、第二のポート643Bが閉塞される。
ここで、図64にコネクタ660の一例を示す。コネクタ660は、内視鏡操作部4の側部4Aに固定された円柱形のコネクタ本体665を有し、コネクタ本体665からは各管路628,646,647,661の端部が平行に延びている。さらに、コネクタ本体665の外側には、係合部666が1つ突設されている。係合部666は、処置具603側の操作部671のマニホールド672の外周部に形成された切り欠き部673に係止されるようになっている。ここで、3つの管路628,646,661のそれぞれの開口近傍には、逆止弁628A,646A,661Aが設けられており、逆止弁628A,646A,661Aよりも内側の管路内の気密が保てるようになっている。
図58に示すように、処置具603の操作部671には、操作部本体72に組織捕獲装置317と、吸引送水スイッチ610とが固定されており、四本のチューブ676〜679を介してマニホールド672が設けられている。
マニホールド672の側部には、コネクタ660側のコネクタ本体665の段差部分に係止させる爪部674が突設されている。さらに、各管路628,646,647,661の端部内を嵌入するための係合管675が4つ配設されている。係合管675の配置は、各管路628,646,647,661の端部の配置に合わせてあり、各係合管675の外径は、コネクタ660側の各管路628,646,647,661の端部の開口径よりも小さく、内部に進入可能になっている。各係合管675にOリング675aが取り付けられているので、各係合管675と各管路628,646,647,661との気密が確保される。さらに、各係合管675には、チューブ676〜679が1本ずつ接続されている。
すなわち、第一の管路系620の組織送水管路628は、係合管675を介して送水チューブ676に接続可能になっており、この送水チューブ676は吸引送水スイッチ610の第二のポート611Bに接続されている。また、第二の管路系630の鉗子チャンネル115の側孔661の端部は、係合管675を介して送水チューブ677に接続可能になっており、この送水チューブ677は吸引送水スイッチ610の第一のポート611Aに接続されている。組織吸引管路646の端部は、係合管675を介して吸引チューブ678に接続可能になっており、この吸引チューブ678は組織捕獲装置317のケース361側部の開口部361Aに接続されている。組織吸引管路647の端部は、係合管675を介して吸引チューブ679に接続可能になっており、この吸引チューブ679は吸引送水スイッチ610の第四のポート611Dに接続されている。
図65に示すように、吸引送水スイッチ610は、4つのポート611A〜611Dを備えるスリーブ611を有している。第三のポート611Cには、吸引チューブ670が接続されており、吸引チューブ670は組織捕獲装置317の底部の開口部361Bに接続されている。スリーブ611の一端部側は、テーパによって縮径されると共にリーク穴612が形成されており、他端部側の開口からスイッチ本体613が摺動自在に挿入されている。スイッチ本体613は、長手方向に複数の弁体614A〜614Cが固定されている。さらに、スイッチ本体613においてスリーブ611から外部に露出する部分には、弾性部材615が取り付けられており、この弾性部材615によってスイッチ本体613はスリーブ611から抜け出る方向に付勢されている。
スイッチ本体613が押し込まれていないときには、第一、第二のポート611A,611Bの間に弁体614Aが位置し、第二、第三のポート611B,611Cの間に弁体614Bが位置する。なお、このとき、第四のポート611Dは、弁体614Cによって第三のポート611Cとは連通しないが、リーク穴612と連通しており、大気に開放されている。図66に示すように、スイッチ本体613がスライダ74によって押し込まれた状態では、第一のポート611Aと第二のポート611Bが連通し、第三のポート611Cと第四のポート611Dが連通する。また、リーク穴612は、スイッチ本体613の先端部がスリーブ611のテーパに当接することで閉塞される。
さらに、図58及び図67に示すように、処置具603は、操作部671の操作部本体72から挿入部604が延設されている。挿入部604は、密巻きのコイルシース76内に操作ワイヤ81が進退自在に挿通されており、さらにコイルシース76の外周を覆うように外側シース680が摺動自在に設けられている。外側シース680は、管状のシース本体681を有し、シース本体681の基端部には拡径されたスライダ682が設けられており、スライダ682を把持して外側シース680をコイルシース76に対して進退操作できるようになっている。外側シース680のシース本体681の先端部は、先端処置部77に固定されている。
ここで、外側シース680の先端近傍には、複数のスリット683が刻まれている。各スリット683は、長手方向に延びるように平行になっており、例えば、4つ以上設けられている。図68に示すように、スライダ682を前進させると、シース本体681が先端側に押されるが、外側シース680の先端部は先端処置部277に固定されているため、スリット683の形成位置が撓み、外側に突出する。これによって、外側シース680の一部が先端処置部277の外径よりも外側に突出する拡径部684(突没自在部)となる。
ここで、拡径部684を突出させたときの外側シース680の最大径は、鉗子チャンネル115のチャンバ116の径よりも小さいが、チャンバ116よりも基端側の径、つまり突き当て部117の内径よりは大きい。したがって、図58に示すように、外側シース680を押し込んでいない状態では、鉗子チャンネル115に挿通させることができる。
次に、この実施の形態の作用について説明する。
まず、図69に示すように、内視鏡602単体で使用するときには、組織送水管路628が逆止弁628Aで閉塞され、組織吸引管路646が逆止弁646Aで閉塞されている。また、鉗子チャンネル115側は、鉗子栓616と、管路661の逆止弁661Aとで閉塞されている。したがって、内視鏡602の先端部から通常の送水するときには、送水管路627、第一切替装置622、送水管路26を通ってノズル25から噴出させることができる。一方、通常の吸引を行う場合には、吸引管路41が第二切替装置642を介して吸引管路44、鉗子チャンネル115が接続され、先端部のチャンバ116から吸引される。
図58及び図64に示すように、処置具603を鉗子チャンネル115に挿通させるときには、コネクタ660にマニホールド672を装着する。マニホールド672の係合管675が各管路628,646,647,661内に挿入され、逆止弁628A,646A,661Aが押し開かれ、各チューブ676〜679と対応する各管路628,646,647,661とが接続される。
図65に示すように、初期状態として吸引送水スイッチ610は、スイッチ本体613が引き出された位置にあるので、各ポート611A〜611Dは隔離されており、第四のポート611Dに接続されている吸引チューブ679がリーク穴612を介して大気に開放されている。この状態では、図69の場合と同様にして、内視鏡602側で通常の送水や、吸引を行うことができる。
生検を行うときには、処置具603の全体を前進させる。このとき、図70に示すように、外側シース680も一緒に内視鏡602の先端部から突出する。生検カップ79を開閉させて粘膜W1の一部の生体組織を把持したら、外側シース680のスライダ682を前進させて拡径部684を形成する。そして、拡径部684を形成したまま処置具603全体を引き戻すと、生検カップ79に把持された生体組織が採取組織W2として引きちぎられ、先端処置部77が鉗子チャンネル115内に引き戻される。このとき、拡径部684がチャンバ116の突き当て部117に当接する。このように、拡径部684を先端規制部として機能することで、先端処置部277の位置がチャンバ116内で組織吸引管路646よりも基端側に位置決めされる。
ここで、図71に示すように、操作部671のスライダ74を前進させると、操作ワイヤ81を介して連結されている一対の生検カップ79を開く。これと同時に、スライダ74で吸引送水スイッチ610が押し込まれ、送水と吸引とが開始される。すなわち、送水は、送水管路627、組織送水管路628、送水チューブ676、吸引送水スイッチ610の第二のポート611Bから第一のポート611Aを通り、送水チューブ677、鉗子栓616の管路661、鉗子チャンネル115を経て行われる。また、吸引送水スイッチ610の第三のポート611Cと第四のポート611Dとが接続されるので、吸引は、組織吸引管路646から、吸引チューブ678、組織捕獲装置317、吸引チューブ670、吸引送水スイッチ610、吸引チューブ679、組織吸引管路647、第二切替装置642、吸引管路41を通じて行われる。
その結果、図72に示すように、液体が突き当て部117と拡径部684の間を通ってチャンバ116に流入し、採取組織W2を生検カップ79から離脱させ、採取組織W2と共に組織吸引管路646から吸引される。これによって、採取組織W2が組織捕獲装置317に回収される。連続生検の場合には、これらの操作を繰り返して実施する。処置具603を内視鏡602から抜去するときには、外側シース680を引き戻して拡径部684をストレート状に戻してから処置具603全体を引き抜く。
この実施の形態によれば、処置具603側に組織捕獲装置317と吸引送水スイッチ610とを設け、内視鏡602側の管路を利用して採取組織W2を回収できるようにしたので、処置具603の挿入部604の構成を簡略化することができる。また、吸引送水スイッチ610が操作部671のスライダ74を操作したときにオンになって送水と吸引とを開始するように構成したので、生検カップ79を開閉するだけで採取組織W2を回収する際の送水操作及び吸引操作を行うことができ、操作性が向上する。
また、コネクタ660にマニホールド672を装着する際には、係合部666と切り欠き部673とを一致させることで、相対的な位置決めがなされるようにしたので、各管路628,646,647,661と各チューブ676〜679とを正しく接続させることが可能になる。
なお、この実施の形態の変形例としては、以下に示すものがあげられる。
まず、マニホールドの他の例としては、図73に示すものがあげられる。図73に示す処置具603は、組織捕獲装置317にマニホールド672Aが固定されている。マニホールド672Aは、内視鏡操作部4側のコネクタ660Aに装着されるもので、各管路628,646,647,661の端部を受け入れ可能な凹部675Aが4つ(図73には一つのみ図示)形成されている。各凹部675Aには、1つずつチューブ676〜679が接続されており、前記と同様に各管路628,646,647,661に接続されるようになっている。各管路628,646,647,661には、Oリング628a,646a,647a,661aが取り付けられているので、各凹部675Aを接続時には気密が保たれる。コネクタ660Aは、コネクタ本体665から各管路628,646,647,661の端部が突出し、コネクタ本体665の側部からは2つの爪部666Aが延設されている。爪部666Aをマニホールド672Aに係合させることで、コネクタ660Aを固定することが可能になる。
また、拡径部の他の例としては、図74に示すものがあげられる。図74に示す処置具710は、外側シース711をスライダ712と、シース本体713と、シース本体713の先端に螺旋状のワイヤ714(突没自在部)を介して連結させた先端シース部715とから構成している。先端シース部715は、先端処置部77に固定されており、その軸線方向の長さは、図67に示す外側シース680の先端からスリット683の形成位置の長さに略等しい。ワイヤ714は、所定の間隔でコイルシース76の外側を螺旋状に巻き回されている。このため、図75に示すように、スライダ712を前進させてシース本体713を先端シース部715に向けて移動させると、ワイヤ714が重なりながら径方向外側に膨んで拡径部716を形成する。このように構成した外側シース711では、拡径部716が先端規制部となり、前記と同様の効果が得られる。
また、図76に示す処置具720のように、外側シース721のスライダ722をシース本体681に固定した円筒形の弾性部材とし、その内周側にラチェット部723を形成しても良い。ラチェット部723は、先端側に向かって開くように軸線に対して傾斜する傾斜面と、軸線方向に垂直な面とからなる鋸歯状に形成されている。一方、コイルシース76には、ラチェット部723に係合可能な鋸歯状の係合部724が形成されている。初期状態では、係合部724はスライダ722内に収まっており、この位置では外側シース721のスリット683を形成した部分は、変形していない。したがって、このままで処置具720を内視鏡に挿通することが可能である。
この処置具720では、粘膜W1の生体組織を生検カップ79で把持したら、外側シース721のスライダ722を保持した状態でコイルシース76を勢いを付けて引き戻す。その結果、図77に示すように、係合部724の一部がスライダ722から引き出され、外側シース721のシース本体681が相対的に押し込まれる。シース本体681の先端部及びコイルシース76の先端部は、先端処置部77に固定されているので、スリット683の形成位置においてシース本体681が径方向外側に変形し、拡径部684が形成される。しがって、この拡径部684を当接させることで、先端処置部77を位置決めできる。
ここで、コイルシース76を外側シース721に対して相対的に押し込む方向には、ラチェット部723と係合部724とが噛み合うので、コイルシース76を引っ張る力を解除してもコイルシース76と外側シース721の相対的な位置は変化せず、拡径部684は開いた状態を維持する。したがって、処置具720全体を引き戻すと採取組織W2が引きちぎられると共に、先端処置部77が鉗子チャンネル115内に引き込まれ、拡径部684が突き当て部117に付き当って停止する。処置具720を内視鏡602から抜去するときは、スライダ722から引き出された係合部724を図76のように元の位置に戻し、外側シース721のシース本体681が引き戻されることによって拡径部684が閉じ、スリット683を形成した部分は変形しなくなるので、そのまま処置具720を内視鏡602から抜去できる。
この処置具720では、採取組織W2を採取する際に外側シース721を相対的に前進させることで拡径部684を形成させることができるので、操作が簡便になる。また、外側シース721から手を離しても拡径部684が戻らないので、操作性が向上する。
また、図78に示す処置具730のように、外側シース731のスライダ732にシャフト733を固定し、このシャフト733の基端部をクランク部材734を介して操作部671の操作部本体72に連結されても良い。クランク部材734の一端部は、生検カップ79を開閉させる際にスライダ74が移動する範囲よりもリング72A側に設けられた突起735にピン736で回動自在に支持されている。クランク部材734の他端部は、ピン736による支持位置よりもさらにリング72A側でピン737を介してシャフト733に回動自在に連結されている。したがって、初期状態では、クランク部材734の一端部の端面はピン736を越えてスライダ74側に位置している。
図79に示すように、カップ79を閉じた状態からさらにスライダ74を後退させると、クランク部材734の一端部がスライダ74に押され、クランク部材734がピン736回りに回動する。その結果、クランク部材734の他端部が前方に移動し、シャフト733を介して外側シース731のスライダ732が先端側に押し込まれる。その結果、外側シース731が前進して拡径部684が形成される。操作部671のスライダ74を引いた状態を保持すれば、拡径部684は突出した状態を維持する。一方、操作部671のスライダ74を少し前進させ、スライダ74をクランク部材734から離すと、クランク部材734を押圧していた力が解除されるので、拡径部684が元に戻ろうとする力でスライダ732が基端側に戻り、外側シース731が平坦になる。
手技の際には、操作部671のスライダ74を引いて生検カップ79で採取組織W2を把持したら、スライダ74をさらに引いて拡径部684を形成する。この状態で処置具730全体を引き戻し、採取組織W2を引きちぎる。そして、拡径部684を鉗子チャンネル115の突き当て部117に突き当てて、送水及び吸引を行う。処置具730の位置はそのままで、操作部671のスライダ74を前進させて生検カップ79を開き、採取組織W2を送水によって生検カップ79から離脱させ、組織吸引管路646から回収する。全ての採取組織W2を採取したら、生検カップ79を閉じた状態で、かつスライダ74をクランク部材734から離した状態で、処置具730全体を引っ張って、内視鏡602から抜去する。
この処置具730では、一旦拡径部684を形成した後に、生検カップ79を開閉させると、クランク部材734が回動して拡径部684が平坦に戻るので、別途の操作をすることなく処置具730を抜去することができ、操作が簡単になる。
また、図80に示す処置具740のように、操作部本体72のスライダ74とリング72Aとの間に、フック741の基部を軸線方向に移動自在に装着しても良い。操作部本体72には凸部742が突設されている。フック741には、操作部本体72を貫通させる孔が形成されており、孔の内周側には凸部742が係合可能な凹部743が形成されている。フック741は、スライダ74の移動を邪魔しないように先端側に延び、その先端部は、外側シース744のスライダ745の先端面に先端側から当接している。
外側シース744は、スライダ745から管状のシース本体746が延びており、シース本体746の先端は拡径部747(突没自在部)を介してシース先端部748に接続されており、シース先端部748は先端処置部77に固定されている。拡径部747は、自然状態で径方向外側に突出するように成形された変形コイルや、板ばねなどから構成されている。図81に示すように、この処置具740では、フック741の凹部743を操作部本体72の凸部742に係合させると、フック741の先端部が外側シース744のスライダ745を操作部671側に引き、シース本体746に引っ張られるようにして拡径部747がストレート状になる。
手技の際には、凹部743と凸部742とを係合させて拡径部747を平坦にした状態で内視鏡602の鉗子チャンネル115に挿通し、生検カップ79を開閉させて採取組織W2を把持する。この状態で凹部743と凸部742との係合を解除すると、拡径部747を平坦に変形させていた力が解除されるので、拡径部747が突出する。処置具740全体を引き戻すと、採取組織W2が引きちぎられると共に、拡径部747が鉗子チャンネル115の突き当て部117に突き当てられる。そして、送水及び吸引を行いながら、生検カップ79を開くと、採取組織W2が回収される。処置具740を抜去するときには、フック741を後退させて、凹部743を凸部742に嵌合させる。フック741の先端部が外側シース744のスライダ745を後退させ、拡径部747が引きのばされるので、このまま処置具740全体を引き抜く。フック741を後退させ、凹部743と凸部742を係合させる際には、スライダ74と共にフック741を引いても良いし、フック741のみを引いても良い。
この処置具740では、外側シース744に自然状態で突出する拡径部747を有し、フック741に外側シース744のスライダ745を係合させてフック741をリング72A側に引くことで拡径部747をストレート状にするようにしたので、操作部671のスライダ74の進退で生検カップ79の開閉操作と、先端処置部77の位置決めのための操作とを行うことが可能になり、操作性が向上する。
(第8の実施の形態)
本発明の第8の実施の形態について図82から図86を参照して詳細に説明する。なお、前記の実施の形態と同じ構成要素には同一の符号を付し、重複する記載は省略する。
図82に示すように、内視鏡システム801は、内視鏡802と、処置具803とを有している。処置具803の操作部871には、組織捕獲装置317と吸引送水スイッチ810とが設けられている。組織捕獲装置317のケース361の側部の開口部361Aと、ケース361の底部の開口部361Bのそれぞれには、吸引チューブ811,812が接続されており、これら吸引チューブ811,812は、マニホールド813内に挿入されている。吸引送水スイッチ810は、スリーブ820が操作部本体72に固定されており、スリーブ820に対して押し込み可能なスイッチ本体821がスライダ74に向けて突出させられている。挿入部875は、密巻きのコイルシース76を有し、コイルシース76の先端には先端処置部877が設けられている。処置具803の鉗子先端部878の径は、コイルシース76の外径よりも大きくなっており、鉗子先端部878が先端規制部として機能する。
内視鏡802は、第一の管路系320と第二の管路系830とを有している。第一の管路系320は、第4の実施の形態と同じ構成になっている。第二の管路系830は、組織吸引管路846,847のみが第4の実施の形態と異なる。すなわち、吸引管路41から分岐する組織吸引管路847は、その管路中に電磁弁372が設けられると共に、内視鏡操作部4の側部4Aに設けられたコネクタ860に開口している。同様に、鉗子チャンネル115のチャンバ116に斜めに接続されている組織吸引管路846は、コネクタ860に開口している。組織吸引管路846のみには、コネクタ860内の端部に逆止弁(不図示)が設けられている。コネクタ860と、これに対応する処置具803側のマニホールド813とは、第7の実施の形態のコネクタ660とマニホールド672の管路の数を変更したもので、同様の構成になっている。
各電磁弁370〜373の制御用の信号線は、内視鏡操作部4に設けられたコネクタ861に接続されている。このコネクタ861には処置具803側の吸引送水スイッチ810から延びる信号線862が装着可能になっている。
また、鉗子チャンネル115のチャンバ116には、規制部として起上台880が設けられている。図82及び図83に示すように、起上台880は、回動軸881でチャンバ116内に回動自在に支持されている。回動軸881は、鉗子チャンネル115の軸線方向に直交する向きに延びている。起上台880には、軸支された基端部を起点として起き上がる先端部を有し、この先端部側にスリット882が設けられることで全体としてコ字形状になっている。このスリット882は、処置具803のコイルシース76は挿通可能であるが、先端処置部877は通過できない大きさになっている。
図84に示すように、起上台880の先端部には、起上操作ワイヤ883が取り付けられており、起上操作ワイヤ883は、操作用チャンネル884内を通って内視鏡操作部4の不図示のレバーに取り付けられている。起上台880の回動軸881の設置位置と操作用チャンネル884の先端側の開口の位置とは、鉗子チャンネル115を挟むように設定されている。したがって、起上操作ワイヤ883を操作することで、起上台880が鉗子チャンネル115の軸線と略平行な退避位置と、起上台880が鉗子チャンネル115の軸線方向と交差するように斜めに起き上がった起上位置まで移動させることができる。
次に、この実施の形態の作用について説明する。
まず、処置具803を挿通していないときには、電磁弁370及び電磁弁373は開状態であり、電磁弁371及び電磁弁372は閉状態になっている。また、組織吸引管路846の端部は、逆止弁で閉塞されている。したがって、内視鏡802単独での通常の送水、送気、吸引が可能である。
また、処置具803を挿通させたときには、マニホールド813をコネクタ860に装着し、各組織吸引管路846,847と対応する吸引チューブ811,812を接続し、第二の管路系830に組織捕獲装置317に連結させる。同様に、吸引送水ボタン810からの信号線862をコネクタ861に接続し、吸引送水ボタン810で各電磁弁370〜373の開閉制御ができるようにする。内視鏡802の先端側では、起上台880が退避位置にあるので、先端処置部877がチャンバ116内に突出している。一対の生検カップ79を閉じた状態で処置具803を押し込んで、内視鏡802先端から突出させ、粘膜W1の一部の生体組織を把持する。
この後に、レバー(不図示)を操作して起上操作ワイヤ883を引く。図85に示すように、起上台880が軸線回りに回動して起き上がる。採取組織W2を引きちぎるために処置具803全体を引き戻すと、コイルシース76はスリット882を通過するが先端処置部877は通過することはできないので、図83のように、先端処置部877が起上台880に突き当たって停止し、これによって先端処置部877の先端位置が固定される。
そして、操作部871側のスライダ74を前進させて一対の生検カップ79を開くと、これと同時に吸引送水スイッチ810がスライダ74によって押される。信号線862を介して制御信号が内視鏡802側に送られ、電磁弁371及び電磁弁372が開いて、電磁弁370及び電磁弁373が閉じる。送水タンク13から送水管路27、組織送水管路328、吸引管路44を経て鉗子チャンネル115に送水が行われる。液体は、突き当て部117と、処置具803と、起上台880の隙間からチャンバ116内に流入し、生検カップ79から採取組織W2を離脱させる。
生検カップ79から離脱させられた採取組織W2は、組織吸引管路846に吸引され、吸引チューブ811を通って組織捕獲装置317の組織捕獲面365Aに捕獲される。送水された液体は、組織捕獲面365Aを通過し、吸引チューブ812から組織吸引管路847を経て、吸引管路41を通って排出される。全ての採取組織Wを採取したら、スライダ74を後退させて生検カップ79を閉じる。このとき、吸引送水スイッチ810がオフになって、送水及び吸引が停止する。そして、起上台880を退避位置に戻してから処置具803全体を引いて内視鏡802から抜去する。
この実施の形態によれば、内視鏡802側に送水経路と吸引経路とを設けたので、処置具803の挿入部875の構成を簡略化することができる。また、電磁弁370〜373で流路を切り替えるにあたり、流路の切替制御を司る吸引送水スイッチ810を処置具803の操作部871のスライダ74で操作できる位置に設けたので、スライダ74で生検カップ79を開閉操作するのみで送水吸引が行えるようになり、操作が簡便になる。
また、鉗子チャンネル115のチャンバ116に起上台880を設けたので、起上台880を起き上がらせることで、先端処置部877の先端位置を固定することが可能になる。このため、処置具803側に特別の機構を設けることなく処置具803の先端位置を固定することが可能になる。なお、送水時の流量を確保するために、起上台880は、斜めに起き上がらせることが好ましい。また、鉗子チャンネル115は、突き当て部117を設けずに、連結点45に至るまでチャンバ116と同径でも良い。
(第9の実施の形態)
本発明の第9の実施の形態について図87から図90を参照して詳細に説明する。なお、前記の実施の形態と同じ構成要素には同一の符号を付し、重複する記載は省略する。
図87に示すように、内視鏡システム901は、内視鏡902と、処置具903とを有している。内視鏡902は、内視鏡操作部4にフォトセンサ910が鉗子チャンネル115内に検出部を露出させるように取り付けられている。フォトセンサ910の出力は、制御装置12内の信号処理装置911に接続されており、信号処理装置911はモニタ912に接続されている。
処置具903の挿入部75には、識別部材としてのマーク913が設けられている。マーク913は、反射率の高い材料で製造されている。このようなマーク913は、先端処置部77がチャンバ116内で、かつ生検カップ79の先端が組織吸引管路46よりも基端側にあるときに、フォトセンサ910でマーク913を検出できる位置に設けられている。
ここで、図88にモニタ912に出力されるモニタ画面920の一例を示す。モニタ画面920は、内視鏡902の先端部の撮像手段で撮像した体内の像を表示する表示部921と、ランプ922とが設けられている。ランプ922は、フォトセンサ910がマーク913を検出したときに点灯するようになっている。また、挿入部75の全てがマーク913で、その一部だけマーク913を設けない構成でも良く、この場合はフォトセンサ910がマーク913を検出しないときにランプ922が点灯する。
次に、この実施の形態の作用について説明する。
処置具903を内視鏡902に挿通し、生検カップ79を開閉させて採取組織W2を把持する。処置具903全体を引っ張り、採取組織W2を粘膜W1から引きちぎると共に、先端処置部77を鉗子チャンネル115内に引き込む。先端処置部77を引き込む過程で、挿入部75に設けられたマーク913がフォトセンサ910で検出される。信号処理装置911の処理によってモニタ912のランプ922が点灯するので、その位置で処置具903を止める。そして、送水及び吸引を行いながら、生検カップ79を開き、採取組織W2を組織吸引管路46を通して組織捕獲装置17に捕獲する。全ての採取組織W2を捕獲したら、生検カップ79を閉じて処置具903を抜去する。
この実施の形態によれば、処置具903側に先端規制部であるマーク913を設け、内視鏡902側に規制部であるフォトセンサ910を設け、先端処置部77の位置を検出するようにしたので、モニタ画面920を確認するだけで先端処置部77の先端位置の位置決めを行うことができる。したがって、採取組織W2を確実に回収することができる。
なお、ランプ922を点灯させる代わりに、ブザーなどの音で知らせるように構成しても良い。また、鉗子栓16の近傍にランプを設けると、処置具903を操作する術者が確認し易くなる。処置具903の挿入部75の先端側にマーク913と同様のマークを設け、鉗子チャンネル115の先端側にフォトセンサ910を設けても良い。この場合には、処置具903と鉗子チャンネル115の長さにばらつきがある場合に、そのようなばらつきの影響を受け難くなるので、さらに位置決めの精度を向上させることができる。
また、図89に示すように、先端規制部としてマークの代わりに導電体930を設けても良い。この場合には、内視鏡902側には、センサとして鉗子チャンネル115に電気接点931を2つ突出させる。導電体930と電気接点931の位置は、先端処置部77がチャンバ116内で組織吸引管路46の接続位置よりも基端側にあるときに、導電体930を介して2つの電気接点931に通電されるような位置である。つまり、採取組織W2を把持した状態で処置具903を引き戻す過程で、挿入部75の導電体930を介して2つの電気接点931が電気的に接続される。信号処理装置911は、モニタ912のランプ922(図88参照)を点灯表示させる。この位置で送水及び吸引を行う後、もしくは先に生検カップ79を開くと、採取組織W2が組織吸引管路46を通って組織捕獲装置17に捕獲される。この内視鏡システムでは、前記と同様の効果が得られる。さらに、電気接点を設けるだけであるので、安価に製造することができる。
また、図90に示すように、処置具903の挿入部75に目視で確認できる先端規制部として、マーク940を設けても良い。このマーク940は、先端処置部77がチャンバ116内で組織吸引管路46の接続位置よりも基端側にあるときに、鉗子栓16から外部に露出する位置に設けられている。手技の際には、内視鏡902の先端部から先端処置部77を突出させて採取組織W2を把持する。処置具903全体を引き戻して採取組織W2を引きちぎるときには、鉗子栓16内に引き込まれていたマーク940が、コイルシース76が引き戻されるに従って外部に露出する。この位置で処置具903の引き抜きを止めて、送水及び吸引を行う後、もしくは先に生検カップ79を開く。これによって、採取組織W2が組織吸引管路46を通って組織捕獲装置17に捕獲される。この内視鏡システムでは、前記と同様の効果が得られ、さらに、安価に製造でき、かつ処置具903を操作する術者が先端処置部77の位置を目視で確認し易くなる。
(第10の実施の形態)
本発明の第10の実施の形態について図91から図95を参照して詳細に説明する。なお、前記の実施の形態と同じ構成要素には同一の符号を付し、重複する記載は省略する。
図91に示すように、処置具1003は、可撓性を有する長尺の挿入部1010を有している。挿入部1010は、密巻きのコイルシース1011の先端部に環状のカッター1012が固着されている。図92に示すように、カッター1012の先端の刃部1013は、先端が鋭利になっており、周方向に凹凸形状を有している。図91及び図92に示すように、コイルシース1011内には、操作ワイヤ1014が進退自在に挿通されており、操作ワイヤ1014の先端にはプッシャ1015が固着されている。さらに、コイルシース1011の外側には、管状の外側シース1016が摺動自在に被せられている。この処置具1003の操作部71、及び内視鏡2は、第一の実施の形態と同じ構成になっている。
処置具1003を鉗子チャンネル15に挿通するときには、プッシャ1015を後退させておくと共に、カッター1012を覆うように外側シース1016を前進させておく。そして、粘膜W1にカッター1012を突き当てるときに外側シース1016からカッター1012を突出させる。図93に示すように、カッター1012を粘膜W1に押し当てたら、処置具1003を軸線回りに回転させる。その後に、図94に示すように、処置具1003全体を引き戻すと、カッター1012内に採取組織W2が採取される。
カッター1012を内視鏡2内で、かつ組織吸引管路46よりも基端側に引き込んだら、送水及び吸引を開始してからスライダ74を前進させる。図95に示すように、プッシャ1015が前進してカッター1012内の採取組織W2を押し出し、送水された液体と共に採取組織W2が組織吸引管路46に吸引され、組織捕獲装置17に捕獲される。連続して採取組織W2を採取するときには、同じ操作を繰り返す。全ての採取が終了したら、処置具1003を内視鏡2から抜去する。
この実施の形態によれば、内視鏡2側に設けた管路を利用して採取組織W2を外体に回収することが可能になるので、処置具1003の構成を簡略化でき、コストを低減することができる。鉗子チャンネル15に拡径された部分を形成する必要がないので、内視鏡挿入部5の径が太くなることを防止できる。
(第11の実施の形態)
本発明の第11の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、前記の実施の形態と同じ構成要素には同一の符号を付し、重複する記載は省略する。
図96に示すように、内視鏡システム1101は、内視鏡1102と、処置具1103とを有している。内視鏡1102は、第一の管路系1120と、第二の管路系1130とを有している。第一の管路系1120は、送気管路21が第一切替装置322の第二のポート323Bに接続されており、第一切替装置322の第一のポート323Aは、送気管路24に接続されている。第一切替装置322は、図38から図40に示すような構成になっている。送気管路24の先端側には送水管路26が接続されており、送水管路26は第一切替装置322の第四のポート323Dに接続されている。第一切替装置322の第三のポート323Cには、送水管路27が接続されており、送水タンク13から送水ができるようになっている。
第二の管路系1130は、吸引源14に接続された吸引管路41を有し、吸引管路41が第二切替装置342の第二のポート343Bに接続されている。第二切替装置342は、図41及び図42に示すような構成になっている。第二切替装置342の第一のポート343Aには、吸引管路1144が接続されており、吸引管路1144は鉗子チャンネル15に接続されている。ここで、吸引管路1144には、その途中に送水用のシリンジ1150を挿入可能な外部ポート1151が形成されている。外部ポート1151は、シリンジ1150を外した状態で吸引管路114の気密が保持されるように、逆止弁を設けることが好ましい。さらに、鉗子チャンネル15の先端側には、組織吸引管路1146が斜めに接続されている。組織吸引管路1146は、内視鏡操作部4の側部4Aに設けられたコネクタ1160に開口しており、ここには処置具1103側のコネクタ1161が装着される。コネクタ1160,1161は、第四の実施の形態のコネクタと同様の構成になっている。
処置具1103は、操作部1171から長尺の挿入部75が延び、挿入部75の先端には先端処置部77が設けられている。操作部1171は、操作部本体72を有し、操作部本体72に組織捕獲装置317が固定されている。組織捕獲装置317のケース361の側部の開口部361Aには、吸引チューブ1180が接続されており、吸引チューブ1180は、コネクタ1161に接続されている。コネクタ1161は、内視鏡1102側のコネクタ1160と係合可能に構成されており、吸引チューブ1180と組織吸引管路1146とを連通させるように構成されている。また、組織捕獲装置317のケース361の底部の開口部361Bには、吸引チューブ1181が接続されており、吸引チューブ1181には別体の吸引機1182が接続されている。
次に、この実施の形態の作用について説明する。通常の送気は、第一の管路系1120の送気管路21、第一切替装置322、送気管路24を用いて行われる。通常の送水は、第一の管路系1120の送水管路27、第一切替装置322、送水管路26を経て、送気管路24の先端のノズル25から行われる。また、通常の吸引作業を行うときには、第二の管路系1130の吸引管路41、第二切替装置342、吸引管路1144、鉗子チャンネル15を用いて行う。
この内視鏡システム1101で採取組織W2を回収するときには、生検カップ79に採取組織W2を掴んだ状態で鉗子チャンネル15内に処置具1103全体を引き戻す。生検カップ79の先端部を組織吸引管路1146の接続部分の近傍で、かつ基端側に引き込んだら、操作部1171を操作して生検カップ79を開かせる。この状態で、吸引機1182を駆動させて吸引を開始する。さらに、第二切替装置342の吸引ボタン307を図41に示す位置にしてから、第二の管路系1130の吸引管路1144の外部ポート1151にシリンジ1150を装着し、シリンジ1150内の液体を吸引管路1144に注入する。
シリンジ1150から注入された液体は、吸引管路1144から鉗子チャンネル15を通って、先端側の生検カップ79の採取組織W2を洗い流すようにして生検カップ79から離脱させ、組織吸引管路1146に吸引される。この際に、採取組織W2も組織吸引管路1146に吸引され、吸引チューブ1180を通って組織捕獲装置317の組織捕獲面365Aに捕獲される。連続して採取組織W2を採取するときには、同じ操作を繰り返す。全ての採取が終了したら、処置具1103を内視鏡1102から抜去する。
この実施の形態によれば、採取組織W2を回収する際にはシリンジ1150で送水をし、別体の吸引機1182で採取組織W2を吸引するようにしたので、内視鏡1102側の管路構成を簡略化することができる。内視鏡1102側と、処置具1103側とで吸引送水操作を分担することができるので、処置具1103側の術者の負担を低減できる。
なお、本発明は、前記の各実施の形態に限定されずに広く応用することが可能である。
例えば、各実施の形態を組み合わせた内視鏡、内視鏡用処置具、内視鏡システムとすることが可能である。具体例としては、電磁弁370〜371を用いた第一、第二の管路を有する内視鏡と、鉗子チャンネル15などを組み合わせた構成にしても良い。また、処置具には、組織捕獲装置と、吸引送水スイッチのいずれか一方のみを設けても良い。
鉗子チャンネル15,115,215は、その内部で先端処置部77,277の生検カップ79を開閉させる部分、例えば、チャンバ116の部分を金属や、硬質なプラスチックなど、鉗子チャンネル15,115,215の基端側よりも硬質な材料から製造することが望ましい。生検カップ79を開閉させるときに鉗子チャンネル15,115,215の内面に生検カップ79が当たった場合でも鉗子チャンネル15,115,215が磨耗等することを防止できる。
チャンネル115の先端開口は、先端処置部77,277が通過可能な径であれば良く、縮径させて良い。チャンバ116の先端部を縮径させることで送水された液体を吸引し易くなる。
組織吸引管路46,646,846,1146は、鉗子チャンネル15,115,215の先端部に斜めに接続される代わりに、軸線と直交する方向などの様々な方向から接続されても良い。