JP3930359B2 - センチネルリンパ節検出装置及び検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、腫瘍の原発巣からリンパ管に入った腫瘍細胞が最初に到達するリンパ節であるセンチネルリンパ節(Sentinel Lymph Node)を検出するためのセンチネルリンパ節検出装置及び検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、早期癌の切除手術は、発見率が向上し、頻繁に行われている。一般に、早期癌の手術は、根治を目的とし、病変部に加え、病変部の周囲に存在する転移が疑われる複数個のリンパ節を切除することが多い。また、早期癌の手術は、術後に切除したリンパ節の病理検査を行い、リンパ節への転移の有無を確認して術後の治療方針などを決定している。
【0003】
手術段階において、リンパ節への転移の有無は、不明である。このため、早期癌の手術は、病変部近傍に存在する複数個のリンパ節を切除するため、患者の負担が大きい。また、例えば早期乳癌において、リンパ節への転移比率は、20%程度である。このため、早期癌の手術は、実際に転移していない80%の患者にとって、無用なリンパ節切除が行われたことになる。
【0004】
近年、患者のQOL(Quality of Life)及び癌切除手術における根治性の両立は、求められている。そのための手法のひとつとして、無用なリンパ節切除を防ぐ、センチネルノードナビゲーションサージェリ( Sentinel Node Navigation Surgery )は、注目されている。以下、簡単にセンチネルノードナビゲーションサージェリについて説明する。
【0005】
癌は、リンパ節に転移する場合、ランダムに転移を生じることなく、一定のパターンに従って、病変部からリンパ管を経て、リンパ節に転移することが、最近の研究により解明されている。癌は、リンパ節に転移している場合、必ずセンチネルリンパ節に転移があると考えられる。ここで、センチネルリンパ節( Sentinel Lymph Node )とは、癌の原発巣からリンパ管に入った癌細胞が最初に到達するリンパ節のことである。
【0006】
このため、早期癌の手術は、癌切除術中に、センチネルリンパ節を見つけ、生検し、迅速病理検査を行うことにより、リンパ節への転移の有無を判定することができる。センチネルリンパ節に癌が転移していない場合、早期癌の手術は、残りのリンパ節の切除が不用となる。一方、センチネルリンパ節に癌が転移している場合、早期癌の手術は、転移状況に応じて、病変部近傍の複数個のリンパ節を切除する。
【0007】
このセンチネルノードナビゲーションサージェリを行なうことで、早期癌の手術は、リンパ節に癌が転移していない患者において、無用なリンパ節切除が行われることがなく、患者に対して負担が少なくなる。また、センチネルノードナビゲーションサージェリは、乳癌に限らず、消化器などの開腹手術や或いは腹腔鏡を用いた手術などにも適用されている。
【0008】
このセンチネルノードナビゲーションサージェリは、センチネルリンパ節を容易にかつ精度良く検出できる検出装置及び検出方法が強く求められている。
そこで、上記センチネルリンパ節検出方法は、例えば、特開2001−299676号公報に記載されているものが提案されている。
【0009】
上記特開2001−299676号公報に記載のセンチネルリンパ節検出方法は、トレーサーとして赤外蛍光色素であるインドシアニングリーン( Indocyanine green )を腫瘍周囲に局注する。そして、所定時間後、上記センチネルリンパ節検出方法は、開腹手術を行って、被観察部に近赤外励起光を照射する。すると、センチネルリンパ節は、インドシアニングリーンを蓄積しているため、近赤外蛍光を発する。その近赤外蛍光を可視光に変換して可視化像として観察することで、上記センチネルリンパ節検出方法は、センチネルリンパ節を検出することが可能である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開2001−299676号公報に記載のセンチネルリンパ節検出方法は、センチネルリンパ節の位置を同定できるのが表面から数mmの深さに過ぎない。従って、上記特開2001−299676号公報に記載のセンチネルリンパ節検出方法は、表面から数mm以上の深い部分にあるセンチネルリンパ節を確認することができない。
【0011】
また、一般に、癌細胞などの異常組織は、正常な組織よりも1℃程度、温度が高くなる。これを利用して、例えば、特開2001−286436号公報に記載されている検出方法は、体腔内の被検部位からの赤外線を検出することで、生体の温度を測定し、癌細胞などの異常組織を特定できるものが提案されている。
しかしながら、通常、センチネルリンパ節は、周囲の組織と同じ温度である。このため、上記特開2001−286436号公報に記載の検出方法は、体腔内の被検部位の温度を測定できるが、センチネルリンパ節を特定することが困難であった。
【0012】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、センチネルリンパ節の正確な位置を同定することができ、開腹手術などの患者への負担も少ないセンチネルリンパ節検出装置及び検出方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載のセンチネルリンパ節検出装置は、予め病変部近傍のセンチネルリンパ節に滞留した磁性流体を磁場変動により振動させて発熱させる変動磁場手段と、前記病変部近傍の内視鏡像を撮像する内視鏡撮像手段と、前記変動磁場手段の磁場変動で発熱した前記病変部近傍の温度変化を撮像する温度変化撮像手段と、前記内視鏡撮像手段で得た内視鏡画像に前記温度変化撮像手段で得た温度変化画像を重畳する重畳手段と、を具備したことを特徴としている。
本発明の請求項2に記載のセンチネルリンパ節検出方法は、予め病変部近傍のセンチネルリンパ節に滞留した磁性流体を磁場変動により振動させて発熱させる変動磁場手段と、前記病変部近傍の内視鏡像を撮像する内視鏡撮像手段と、前記変動磁場手段の磁場変動で発熱した前記病変部近傍の温度変化を撮像する温度変化撮像手段と、を具備したセンチネルリンパ節検出装置を用いて、前記内視鏡撮像手段で得た内視鏡画像に前記温度変化撮像手段で得た温度変化画像を重畳して前記センチネルリンパ節の位置を同定することを特徴としている。
この構成により、センチネルリンパ節の正確な位置を同定することができ、開腹手術などの患者への負担も少ないセンチネルリンパ節検出方法を実現する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は本発明の第1の実施の形態を備えたセンチネルリンパ節検出装置を示す全体構成図、図2は図1の変動磁場発生装置を示す説明図、図3は磁性流体を局注する際の内視鏡の挿入部先端部の様子を示す概略図、図4は図1のセンチネルリンパ節検出装置で得た画像を示す説明図であり、図4(a)は赤外擬似カラー画像を示す説明図、図4(b)は内視鏡画像を示す説明図、図4(c)は同図(a)の画像を同図(b)の画像に重畳した内視鏡赤外画像を示す説明図、図5は胃等の体内腔壁面の裏側に存在しているセンチネルリンパ節の検出(同定)を行う際の内視鏡の挿入部先端部の様子を示す概略図、図6は病変部組織及び病変部に残ったトレーサーを除去する際の内視鏡の挿入部先端部の様子を示す概略図、図7は病変部にトレーサーを局注する際の内視鏡の挿入部先端部の様子を示す概略図である。
【0015】
本発明の第1の実施の形態のセンチネルリンパ節検出装置1は、生体内腔に挿入可能な細径の挿入部2aを有する軟性内視鏡(以下、単に内視鏡)2と、この内視鏡2に着脱自在に接続される可視光用CCU(カメラコントロールユニット)3及び赤外線用CCU(カメラコントロールユニット)4と、前記可視光用CCU3からの画像出力に前記赤外線用CCU4からの画像出力を重畳してスーパーインポーズするスーパーインポーズ回路5と、このスーパーインポーズ回路5でスーパーインポーズされた画像を表示するためのモニタ6とから主に構成されている。また、センチネルリンパ節検出装置1は、予めセンチネルリンパ節7に滞留したトレーサーとしての磁性流体8を振動させ、発熱させるための変動磁場を発生するための変動磁場発生装置9が設けられている。尚、この変動磁場発生装置9の構成は、後述する。
【0016】
前記内視鏡2は、操作部2bの前端付近に穿刺針等の処置具を挿入する図示しない処置具挿入口が設けられている。この処置具挿入口は、その内部において後述の処置具挿通用チャンネル10と連通している。前記処置具挿入口は、穿刺針等の処置具を挿入することで、内部の処置具挿通用チャンネル10を介して前記挿入部2の先端部2aaに形成されているチャンネル開口10aから処置具の先端側を突出させて生検(組織採取)などを行うことが可能である(図3参照)。
【0017】
尚、本実施の形態では、前記内視鏡操作部2bの処置具挿入口から穿刺針を挿入し、後述するように前記処置具挿通用チャンネル10のチャンネル開口10aから穿刺針の先端側を突出させて、癌腫瘍部などの病変部近傍に磁性流体8を局注するようになっている。そして、病変部近傍に局注された磁性流体8は、注入部位よりリンパ管に移行し、最初に到達するリンパ節、即ち、センチネルリンパ節7に達してこのセンチネルリンパ節7に滞留するようになっている。
【0018】
また、前記内視鏡2は、前記挿入部2a内等に図示しないライトガイドが挿通配設されている。前記内視鏡2は、図示しない光源装置に着脱自在に接続されることで、この光源装置からの白色光が前記ライトガイドの基端側に供給されるようになっている。このライトガイドにより導光された白色光は、前記挿入部先端部2aaに配設した図示しない照明光学系から生体内の患部等を照明するようになっている。
【0019】
前記内視鏡2は、前記挿入部先端部2aaの照明光学系に隣接して可視光用(通常観察用)対物光学系11が配設されていると共に、この可視光用対物光学系11の結像位置に可視光用撮像装置としての可視光用CCD12が設けられている。この可視光用CCD12は、前記内視鏡2が前記可視光用CCU3に着脱自在に接続されることで、延出する信号線が前記可視光用CCU3に接続されるようになっている。そして、前記可視光用CCD12は、信号線を介してCCD電源及びCCD駆動パルスが前記可視光用CCU3から伝達されて駆動され、結像された被写体の可視光像を撮像(光電変換)して撮像信号を生成し、前記可視光用CCU3に出力するようになっている。
【0020】
前記可視光用CCU3は、前記可視光用CCD12からの撮像信号を信号処理して標準的な映像信号を生成し、前記スーパーインポーズ回路5を介してモニタ6に出力され、このモニタ6の表示面に可視光で撮像した内視鏡画像が表示されるようになっている。
【0021】
また、前記内視鏡2は、前記挿入部先端部2aaの前記可視光用対物光学系11に隣接して赤外を透過する赤外線用(温度分布検出用)対物光学系13が配設されていると共に、この赤外線用対物光学系13の結像位置に赤外線用撮像装置としての赤外線センサ(マイクロボロメータアレイデバイス)14が設けられている。前記赤外線用対物光学系13は、ジンクセレン等により形成されて赤外線を透過するレンズにより形成されている。
【0022】
一方、前記赤外線センサ14(マイクロボロメータアレイデバイス)は、例えばサーミスタを用いたボロメータを小型化して更に2次元アレイ状に配置したものを真空封止したものである。従って、前記赤外線センサ14は、非冷却で赤外線の2次元情報、つまり赤外線の画像情報を得ることが可能なセンサである。
【0023】
前記赤外線センサ14に用いられるボロメータは、温度上昇による抵抗変化を利用して放射エネルギ源の温度を計測するものである。本実施の形態では、前記赤外線センサ14は、ボロメータとして温度変化に対する感度が高いサーミスタを採用している。このことにより、前記赤外線センサ14は、用いられるボロメータを小さくして(つまりマイクロボロメータにして)、それを2次元的に配置することで、被写体の温度分布画像情報を得られる非冷却のマイクロボロメータアレイデバイスを形成している。
【0024】
この非冷却の赤外線センサ14は、小型に構成しても例えば7万画素以上の高解像度を得ることができる。つまり、本赤外線センサ14は、赤外線透過ファイバを使った構成と比較にならない程の高解像度の温度分布画像として赤外擬似カラー画像を得ることができる。
【0025】
また、本赤外線センサ14は、非接触的に、冷却することなく、2次元的な温度分布画像として赤外擬似カラー画像を得られることが特徴となっている。更に、この非冷却の赤外線センサ14を用いれば、雑音等価温度差0.1℃程度の高精度の測定も可能である。尚、この赤外線センサ14は、7〜14μmの波長を検出可能である。このため、前記赤外線用対物光学系13は、少なくとも7〜14μmの波長領域の一部を透過する素材、本実施の形態ではジンクセレンを使用している。
【0026】
また、図示しないが前記赤外線用対物光学系13は、レンズ間隔を決める間隔環及びレンズを保持するレンズ枠等の赤外レンズ保持部材に無光沢処理が施されている。このことにより、前記赤外線用対物光学系13は、赤外線を反射、放射することによる赤外画像へのノイズを低減可能に形成されている。
【0027】
上述のように前記赤外線センサ14は、マイクロボロメータ素子を2次元的に多数配置した構成である。また、前記赤外線センサ14は、その赤外線検知面の裏面側にマルチプレクサ等の切替回路が設けている。このため、前記赤外線センサ14は、前記切替回路を介して各マイクロボロメータ素子にアクセスされるようになっている。そして、前記赤外線センサ14は、各マイクロボロメータ素子で検出した信号を少ない出力端から出力可能である。尚、前記赤外線センサ14は、サーミスタを採用したものに限らず、例えば小型のバレッタ(温度計測に採用される極細の白金線を用いて形成したもの)を採用したもので形成しても良い。
【0028】
この赤外線センサ14は、前記内視鏡2が前記赤外線用CCU4に着脱自在に接続されることで、延出する信号線が前記赤外線用CCU4に接続されるようになっている。そして、前記赤外線センサ14は、信号線を介してセンサ電源及びセンサ駆動パルスが前記赤外線用CCU4から伝達されて駆動され、検出した赤外線を電気信号に変換して赤外線の2次元情報として前記赤外線用CCU4に出力するようになっている。
【0029】
前記赤外線用CCU4は、前記赤外線センサ14からの電気信号を信号処理して信号強度に対応した温度分布画像として赤外擬似カラー画像の映像信号を生成し、前記スーパーインポーズ回路5に出力するようになっている。
【0030】
そして、前記スーパーインポーズ回路5は、前記可視光用CCU3からの映像信号に前記赤外線用CCU4からの映像信号を重畳した内視鏡赤外画像の映像信号を生成し、モニタ6に出力するようになっている。
【0031】
本実施の形態では、前記変動磁場発生装置9により生成した変動磁場で予めセンチネルリンパ節7に滞留した磁性流体8を振動させて発熱させ、癌腫瘍部などの病変部近傍の温度変化を前記赤外センサ14で撮像して得た赤外擬似カラー画像を、前記可視光用CCD12で撮像して得た可視光による通常の内視鏡画像にスーパーインポーズ回路5で重畳することで、センチネルリンパ節7の位置を同定するように構成されている。
【0032】
次に、前記変動磁場発生装置9の構成について説明する。
前記変動磁場発生装置9は、図2に示すように患者の病変部20近傍に対して、交流磁界21を所定周波数で変化させて変動磁場を発生するための磁気コイル9aを、断熱材で形成される本体9Aに複数配置して構成される。また、前記変動磁場発生装置9は、生成される変動磁場が患者の病変部20近傍以外に作用しないように前記複数の磁気コイル9aを覆うように磁気シールド22が設けられている。
【0033】
そして、前記変動磁場発生装置9は、前記複数の磁気コイル9aが本体内に設けた図示しない制御部に接続され、例えば、所定周波数で電流の向きを反転させたり、電流を変化させたりすることで、変動磁場を形成するように通電される電流が制御されるようになっている。
【0034】
前記変動磁場発生装置9により生成した変動磁場で予めセンチネルリンパ節7に滞留した磁性流体8は、振動され発熱されるようになっている。そして、この磁性流体8の温度変化による癌腫瘍部などの病変部近傍の温度変化を前記赤外センサ14で撮像することで、前記センチネルリンパ節検出装置1は、赤外擬似カラー画像を得るようになっている。
【0035】
このように構成されるセンチネルリンパ節検出装置1は、術者の操作により内視鏡挿入部2aを患者の体腔内に挿入されて胃等の病変部20に挿入部先端部2aaが導かれる。そして、術者は、内視鏡操作部2bの処置具挿入口から穿刺針30を挿入し、図3に示すように処置具挿通用チャンネル10のチャンネル開口10aから穿刺針30の先端側を突出させる。
【0036】
そして、術者は、可視光用CCD12で撮像して得た可視光の内視鏡画像をモニタ6で観察しながら、体内腔壁面31の病変部20の下層に穿刺針30を差し込み、病変部近傍に磁性流体8を局注する。すると、病変部20に局注された磁性流体8は、注入部位よりリンパ管に移行し、5分から15分後にセンチネルリンパ節7に達してこのセンチネルリンパ節7に滞留する。
【0037】
次に、術者は、図2に示すように変動磁場発生装置9を駆動させて、患者の病変部20近傍に対して、変動磁場を発生させる。すると、予めセンチネルリンパ節7に滞留した磁性流体8は、変動磁場発生装置9により生成された変動磁場により振動し発熱する。
【0038】
そして、術者は、可視光用CCD12で病変部20を撮像して図4(a)に示すように病変部20の内視鏡画像を得ると共に、病変部近傍の温度変化を赤外センサ14で撮像することで、図4(b)に示すように赤外擬似カラー画像を得る。この赤外擬似カラー画像は、スーパーインポーズ回路5で病変部20の内視鏡画像に重畳されて、図4(c)に示すように内視鏡赤外画像がモニタ6の表示画面に表示される。
【0039】
ここで、センチネルリンパ節7は、赤外センサ14の撮像範囲内に存在していれば、滞留した磁性流体8の発熱により周辺部位より高温となる。このため、赤外センサ14で撮像して得た赤外擬似カラー画像は、センチネルリンパ節7の色調が変化する。
このため、センチネルリンパ節検出装置1は、図4(c)に示す内視鏡赤外画像により、病変、臓器の位置関係とセンチネルリンパ節7との位置関係を容易に把握でき、センチネルリンパ節7を検出(同定)できる。尚、センチネルリンパ節検出装置1は、他のセンチネルリンパ節7についても病変部20の周囲で内視鏡2の挿入部先端部2aaを移動させながら赤外擬似カラー画像を得ることで、検出(同定)を行うようになっている。
【0040】
また、センチネルリンパ節検出装置1は、図5に示すように体内腔壁面31の裏側にセンチネルリンパ節7が存在していたとしても、赤外線の透過によりセンチネルリンパ節7の検出(同定)が可能である。
【0041】
この場合、図示しないが内視鏡画像で確認しながら、検出されたセンチネルリンパ節7の位置を体内腔壁面31の表面に穿刺針30を用いてインドシアニングリーン等でマーキングするか、或いは生検用穿刺針30をセンチネルリンパ節7に刺し込み、組織を採取することも可能である。尚、センチネルリンパ節検出装置1は、体内腔壁面31の裏側だけでなく、脂肪に隠れたセンチネルリンパ節7や炭冷沈着したセンチネルリンパ節7であっても、赤外線の透過によりセンチネルリンパ節7の検出(同定)が可能である。
【0042】
尚、トレーサーとしての磁性流体8は、インドシアニングリーンやパテントブルー等の色素を混入させて用いても良い。この場合、センチネルリンパ節検出装置1は、体内腔壁面31の表面に存在しているセンチネルリンパ節7を内視鏡画像のみでも検出(同定)が可能である。
【0043】
この結果、本実施の形態のセンチネルリンパ節検出装置1は、センチネルリンパ節7の正確な位置を同定することができ、開腹手術などの患者への負担も少ないという効果を得る。
【0044】
尚、センチネルリンパ節検出装置1は、センチネルリンパ節7の同定後、病変部20の周辺に残った磁性流体8等のトレーサーがセンチネルリンパ節7の検出の障害になる。そこで、センチネルリンパ節検出装置1は、図6に示すように病変部20を切除した後、この切除した組織及び病変部20に残ったトレーサーを除去するように構成しても良い。
【0045】
図6に示すようにセンチネルリンパ節検出装置1は、内視鏡2の処置具挿通用チャンネル10に処置具32を挿通させると共に、この処置具32の内管に吸引カテーテル33及びスネア34を挿通させる。前記吸引カテーテル33は、この基端側が吸引器35に接続される。
【0046】
このように構成することで、センチネルリンパ節検出装置1は、内視鏡挿入部2aの処置具32に挿通されたスネア34で病変部20を切除し、吸引カテーテル33で切除した組織及び病変部20に残ったトレーサー8aを吸引除去する。そして、その状態でセンチネルリンパ節検出装置1は、センチネルリンパ節7の位置の検出(同定)を行うことが可能となる。
【0047】
これにより、センチネルリンパ節検出装置1は、病変部20を切除し、この切除した組織及び病変部20に残ったトレーサー8aを除去できるので、センチネルリンパ節7の位置の検出(同定)が容易になる。
【0048】
尚、前記トレーサー8aを局注するのに用いられる穿刺針30は、図7に示すように注入器を接続して構成される。
図7に示すように穿刺針30は、この基端側に注入器36を接続されて構成される。前記注入器36は、トレーサー8aの粒径を均一にするためのフィルター36aが組み込まれている。
【0049】
このように構成される穿刺針30を用いて、センチネルリンパ節検出装置1は、センチネルリンパ節7の位置の同定を行う。このとき、センチネルリンパ節検出装置1は、内視鏡挿入部2aを生体内腔に挿入して体内腔壁面31の病変部20の周囲に穿刺針30を刺し入れ、トレーサー8aを注入器36のフィルター36aで濾過した状態で病変部20の周囲に局注する。すると、局注されたトレーサー8aは粒径が均一になり、リンパ節で詰まるような状態が避けられ、センチネルリンパ節7に対して確実に流入し、滞留する。
【0050】
これにより、センチネルリンパ節検出装置1は、センチネルリンパ節7を同定する際に局注されたトレーサー8aがリンパ節に詰まることなく流入するので、確実なセンチネルリンパ節7の同定が可能になる。
【0051】
(第2の実施の形態)
図8ないし図14は本発明の第2の実施の形態に係り、図8は本発明の第2の実施の形態を備えたセンチネルリンパ節検出装置を示す全体構成図、図9はプローブの第1の変形例を示す説明図、図10はプローブの第2の変形例を示す説明図、図11はプローブの第3の変形例を示す説明図、図12はプローブの第4の変形例を示す説明図、図13は図12の生検用穿刺針の変形例を示す要部断面図、図14は開口キャップを装着したプローブ先端部を示す説明図である。
【0052】
上記第1の実施の形態は、挿入部先端部2aaに赤外センサ14を配設した内視鏡2を用いて構成しているが、本第2の実施の形態は、内視鏡2の処置具挿通用チャンネル10に挿通可能なプローブに赤外センサ14を配設して構成している。それ以外の構成は、上記第1の実施の形態とほぼ同様なので説明を省略し、同じ構成には同じ符号を付して説明する。
【0053】
即ち、図8に示すように本第2の実施の形態のセンチネルリンパ節検出装置40は、内視鏡2Bの処置具挿通用チャンネル10に挿通可能なプローブ41に上記第1の実施の形態で説明した赤外線用対物光学系13及び赤外センサ14を配設して構成されている。
【0054】
前記プローブ41は、前記赤外線用CCU4に着脱自在に接続され、この赤外線用CCU4で前記赤外センサ14が制御駆動されるようになっている。それ以外の構成は、上記第1の実施の形態で説明したのと同様であるのので、説明を省略する。
【0055】
このように構成されるセンチネルリンパ節検出装置40は、上記第1の実施の形態で説明したのと同様に内視鏡挿入部2aを患者の体腔内に挿入されて胃などの病変部20に挿入部先端部2aaが導かれる。
【0056】
そして、上記第1の実施の形態で説明したのと同様に術者は、チャンネル開口10aから穿刺針30の先端側を突出させ、内視鏡画像をモニタ6で観察しながら、病変部近傍にトレーサーとして磁性流体8を局注する。すると、病変部20に局注された磁性流体8は、所定時間後にセンチネルリンパ節7に達して滞留する。
【0057】
次に、術者は、上記第1の実施の形態で説明したのと同様に変動磁場発生装置9を駆動させて、患者の病変部20近傍に対して、変動磁場を発生させる。すると、センチネルリンパ節7に滞留した磁性流体8は、変動磁場発生装置9により生成された変動磁場により振動し発熱する。
【0058】
そして、術者は、図8に示すように内視鏡操作部2bの処置具挿入口からプローブ41を挿入し、処置具挿通用チャンネル10のチャンネル開口10aからプローブ先端側を突出させる。そして、術者は、内視鏡の可視光用CCD12で病変部20を撮像して上記第1の実施の形態で説明したのと同様に病変部20の内視鏡画像を得ると共に、プローブ41を用いて病変部近傍の温度変化を赤外センサ14で撮像することで、赤外擬似カラー画像を得る。
【0059】
この赤外擬似カラー画像は、上記第1の実施の形態で説明したのと同様にスーパーインポーズ回路5で病変部20の内視鏡画像に重畳されることでモニタ6の表示画面にスーパーインポーズ表示される。
【0060】
この結果、本第2の実施の形態のセンチネルリンパ節検出装置40は、上記第1の実施の形態と同様な効果を得られることに加え、細径なプローブ41に赤外センサ14を配設したので、体腔内管路の細径部などに存在しているセンチネルリンパ節7を容易に撮像可能である。
【0061】
尚、プローブは、図9に示すように構成しても良い。
図9に示すようにプローブ41Bは、プローブ先端部に配設した赤外線用対物光学系13の結像位置に赤外線を導光可能なカルコゲナイトファイバ等の赤外線用ライトガイド42の光入射端面を固定配置して挿通配設されている。そして、前記プローブ41は、前記赤外線用ライトガイド42の光出射端面に集光光学系43を配設すると共に、この集光光学系43の集光位置に前記赤外センサ14を配設して構成されている。これにより、プローブ41Bは、プローブ先端を更に細径化することが可能である。
【0062】
また、プローブは、図10に示すように構成しても良い。
図10に示すようにプローブ41Cは、穿刺針30等の処置具を挿通可能な処置具挿通用チャンネル44がプローブ先端部にチャンネル開口44aを形成して設けられている。これにより、プローブ41は、針生検(組織採取)やマーキングを行うための穿刺針30を挿通することが可能である。
【0063】
また、プローブは、図11に示すように側視用に構成しても良い。
図11に示すようにプローブ41Dは、先端部が側視用凹部41dを形成し、この凹部41d底面に長手軸方向に対して略直交方向に前記赤外線用対物光学系13が配設されていると共に、この赤外線用対物光学系13の結像位置に前記赤外線センサ14が設けられている。更に、前記プローブ41は、前記凹部41dにチャンネル開口44aを形成した前記処置具挿通用チャンネル44が設けられている。
これにより、プローブ41Dは、生体内腔の正面視では検出しにくいような狭い部位のセンチネルリンパ節7の位置を検出(同定)ができ、針生検(組織採取)やマーキングを行うための穿刺針30を挿通することが可能である。
【0064】
また、プローブは、図12に示すように構成しても良い。
図12に示すようにプローブ41Eは、前記処置具挿通用チャンネル44に挿通される生検用穿刺針30Bの内管に光ファイバ51を挿通させ、この光ファイバ51により得られる光強度情報により磁性流体8が滞留したセンチネルリンパ節7を識別するように構成される。
そして、前記光ファイバ51は、この基端側に白色光、又は単波長の信号光を発生する光源52が設けられると共に、この光源52との間にハーフミラー53が配置される。
【0065】
前記光源52からの信号光は、ハーフミラー53を介して前記光ファイバ51に入射して、この光ファイバ51を導光され、生検用穿刺針30Bの先端からセンチネルリンパ節7内部に出射される。そして、このセンチネルリンパ節7内部での反射光や散乱光などの戻り光は、上記経路を逆に辿り、前記ハーフミラー53に達する。このハーフミラー53に達した戻り光は、反射されて光強度検出器54に入射し、この光強度検出器54で光量を検出されるようになっている。
【0066】
前記光強度検出器54は、検出した光量データを表示部55に出力し、この表示部55に表示させるようになっている。尚、前記プローブ41は、上記第2の実施の形態と同様にセンチネルリンパ節7の位置の同定を行うことが可能なように構成されている。
【0067】
このように構成されるプローブ41は、上記センチネルリンパ節7の位置の同定処理後、体内腔壁面31の内部にあるセンチネルリンパ節7の組織を採取する場合、生検用穿刺針30Bを体内腔壁面31に刺し、生検用穿刺針30Bの先端をセンチネルリンパ節7内部に到達させる。そして、上述したように光源52からの信号光を出射する。
【0068】
このとき、戻り光は、磁性流体8によって光ファイバ51の先端部での光量が大きく変化する。その戻り光の光量変化は、ハーフミラー53を介して光強度検出器54で検出され、表示部55に表示される。術者は、その表示状態を見て生検用穿刺針30Bがセンチネルリンパ節7に到達したことを認識できる。尚、表示部55は、画面表示の他に発音等により生検用穿刺針30Bがセンチネルリンパ節7に到達したことを告知するようにしても良い。
【0069】
そして、生検用穿刺針30Bがセンチネルリンパ節7に到達した後は、光ファイバ51を生検用穿刺針30Bの内管から抜き取り、センチネルリンパ節7の組織を吸引して採取することができる。
【0070】
これにより、前記プローブ41は、特に同定されたセンチネルリンパ節7の組織を採取する場合、体内腔壁面内にあるセンチネルリンパ節7の深さ方向の位置を光ファイバ51からの反射光によって確実に識別することができる。
【0071】
また、プローブに用いられる生検用穿刺針31Bは、センチネルリンパ節7の深さを特定するために光ファイバ51をその内管部に挿通させ、組織を吸引する際にその光ファイバ51を長い距離移動させて内管から抜き取る必要があった。
そこで、プローブに用いられる生検用穿刺針30Bは、図13に示すように光ファイバ51の移動距離を短くして操作性を向上させるように構成しても良い。
【0072】
図13に示すように生検用穿刺針30Bは、プローブ基端方向側がファイバ挿通管56と吸引管57とに分岐している分岐管58が接続されて構成されている。
【0073】
前記ファイバ挿通管56は、その内管部56aに光ファイバ51が挿通可能である。一方、前記吸引管57は、この内管部57aに前記吸引器35が接続されるようになっている。
【0074】
このように構成される生検用穿刺針30Bは、組織を採取するために体内腔壁面31内のセンチネルリンパ節7の位置まで刺し入れる際、この先端部まで光ファイバ51を挿入させた状態で、光ファイバ51からの光反射によりセンチネルリンパ節7の位置を確認する。そして、確認後、生検用穿刺針30Bは、光ファイバ51を分岐管58まで後退させた状態で吸引器を動作させ、吸引管57を通してセンチネルリンパ節7の組織を吸引する。
【0075】
これにより、生検用穿刺針30Bは、センチネルリンパ節7の位置を確認した後、光ファイバ51を完全に抜き取る必要がなく、分岐管58の位置までの短い距離だけ移動させるだけでセンチネルリンパ節7の組織を採取することが可能となる。
【0076】
また、プローブ41は、図14に示すように先端部に開口キャップを着脱自在に装着して構成しても良い。
図14に示すようにプローブ41は、この先端部に着脱可能なゴムリング61が内周部に取り付けられた開口キャップ62が着脱自在に装着されている。更に、プローブ41は、前記処置具挿通用チャンネル44の基端側に吸引器35が配置されている。尚、前記プローブ41は、上記第2の実施の形態と同様にセンチネルリンパ節7の位置の同定を行うことが可能に構成されている。
【0077】
このように構成されるプローブ41は、上記センチネルリンパ節7の位置の同定処理後、体内腔壁面31が同定されたセンチネルリンパ節7が位置する体内腔壁面31に開口キャップ62を当て付けられ、吸引器35により吸引を行う。すると、プローブ41は、吸引器35により空気の吸引を行って体内腔壁面31と共に、センチネルリンパ節7を上方に吸い上げる。その吸い上げ動作によりセンチネルリンパ節7を内部に包囲した隆起状態の体内腔壁面31にゴムリング61が嵌め込まれ、センチネルリンパ節7の位置のマーキングがなされる。その後、上記ゴムリング61が嵌め込まれたセンチネルリンパ節7に対して穿刺針30を刺し、センチネルリンパ節7の組織を採取することができる。
【0078】
これにより、前記プローブ41は、センチネルリンパ節7を検出した後、このセンチネルリンパ節7とその周囲の部分を吸い上げてセンチネルリンパ節7のマーキングを簡単に行うことができ、確実に生検を行うことが可能である。
【0079】
(第3の実施の形態)
図15及び図16は本発明の第3の実施の形態に係り、図15は本発明の第3の実施の形態を備えたセンチネルリンパ節検出装置のプローブを示す構成図、図16は図15のプローブのマイクロ波検出回路を示す回路ブロック図である。
【0080】
上記第1、第2の実施の形態は、赤外線センサ14を用いて構成しているが、本第3の実施の形態はマイクロ波アンテナを用いて構成している。それ以外の構成は、上記第1、2の実施の形態とほぼ同様なので説明を省略し、同じ構成には同じ符号を付して説明する。
【0081】
即ち、図15に示すように本第3の実施の形態のセンチネルリンパ節検出装置は、赤外線センサ14の代わりに導波管で形成されたマイクロ波アンテナ(以下、単にアンテナ)を配設したプローブ100を用いて構成される。尚、このプローブ100は、上記第2の実施の形態で説明したのと同様に内視鏡の処置具挿通用チャンネル10に挿通されて用いられる。
【0082】
前記アンテナ101は、センチネルリンパ節7に滞留した磁性流体8から放射されるマイクロ波を検出することで、癌腫瘍部などの病変部近傍の温度変化を得るよう構成される。尚、センチネルリンパ節7に滞留した前記磁性流体8は、上記第1の実施の形態で説明したのと同様に、前記変動磁場発生装置9により生成した変動磁場で振動されて発熱されるようになっている。
【0083】
前記プローブ100は、先端部に配設した前記アンテナ101が回動自在なシャフト102に固定され、基端側の駆動部103で回動駆動されるようになっている。
前記駆動部103は、前記アンテナ101を回動自在に回動させる回動駆動部103aと、前記アンテナ101をプローブ長手軸方向に進退動させる進退動駆動部103bとから構成される。このことにより、前記アンテナ101は、回動自在に回動されると共に、プローブ100の長手軸方向に進退動されるので、ヘリカルスキャン(ラジアルリニアスキャン)が可能である。
【0084】
また、前記アンテナ101は、図16に示すようにマイクロ波検出回路110を構成している。
図16に示すようにマイクロ波検出回路110は、前記アンテナ101、Dickc スイッチ111、基準温度熱雑音源112、ヘテロダイン受信機113を基本構成とし、コンピュータ114による自動制御でPIDコントローラ115を制御して輝度温度測定が行われるようになっている。また、コンピュータ114は、測定した輝度温度データに基づき、温度分布画像として擬似カラー画像の映像信号を生成する。そして、コンピュータ114は、生成した擬似カラー画像の映像信号を上記第1の実施の形態で説明したスーパーインポーズ回路5に出力するようになっている。
【0085】
次に、マイクロ波検出回路110の構成を更に具体的に説明する。
前記マイクロ波検出回路110は、物体の放射する熱雑音電力を測定するための高感度受信機である。このマイクロ波検出回路110は、入力端に前記Dickc スイッチ111をチョッパーとして挿入した前記ヘテロダイン受信機113とロックインアンプ116とから構成される。このマイクロ波検出回路110は、アンテナ101で受信した熱輻射電波(マイクロ波)を以下に記載するように信号処理する。
【0086】
マイクロ波検出回路110は、アンテナ101で受信した熱輻射電波を導波管同軸変換され、低損失同軸ケーブル121、同軸スイッチ122、Dickc スイッチ111、サーキュレータ123を介して前記受信機113に入力される。
Dickc スイッチ111は、前記アンテナ101からの熱輻射電波と基準温度熱雑音源(以下、雑音源)112からの熱輻射を交互に観測するように1kHzで切り換えを行い、受信機113に入力する。
【0087】
受信機113は、観測周波数を1.2GHz、帯域幅0.4GHzにするように設計されている。周波数変換された熱輻射電波は、二乗検波器124を通り、ロックインアンプ116により1kHzに同期する信号成分を検波積分し電圧値V0として出力する。電圧値V0は、アンテナ101で受信した熱輻射電波と雑音源からの熱輻射電波との差に比例し、V0=0となるように雑音源112の温度Tref.jが自動的に制御される。このときの温度Tref.jがマイクロ波検出回路110の出力値になる。尚、符号131は、アイソレータ、132はRFアンプ、133はミキサ、134はRF源、135はIFアンプ、136はディテクタである。
【0088】
このように構成されるプローブ100を用いて、本第3の実施の形態のセンチネルリンパ節検出装置は、上記第2の実施の形態で説明したのと同様にセンチネルリンパ節7の位置の検出(同定)を行う。このとき、マイクロ波は、生体組織の表面近傍しか通過できない赤外線よりも生体深部を通過できる。
【0089】
このため、プローブ100は、生体深部に存在しているセンチネルリンパ節7に滞留した磁性流体8の熱拡散によるマイクロ波を検出でき、生体深部の温度を測定可能である。
この結果、本第3の実施の形態のセンチネルリンパ節検出装置は、上記第1、第2の実施の形態よりも生体深部のセンチネルリンパ節7の位置を検出(同定)可能である。
【0090】
(第4の実施の形態)
図17ないし図20は本発明の第4の実施の形態に係り、図17は本発明の第4の実施の形態を備えたセンチネルリンパ節検出装置を示す全体構成図、図18は図17のセンチネルリンパ節検出装置の変形例を示す概略説明図、図19は熱弾性効果により発生した超音波パルスを示すグラフ、図20は図18のプローブを示す構成図である。
本第4の実施の形態は、超音波を用いてセンチネルリンパ節7の位置の同定を行うように構成している。
【0091】
即ち、図17に示すように本発明の第4の実施の形態のセンチネルリンパ節検出装置150は、超音波内視鏡151を有して構成される。この超音波内視鏡151は、挿入部先端部151aに超音波を送受信する超音波振動子152を配設されている。この超音波振動子152は、回動自在なシャフト153に固定され、基端側の図示しない駆動部で回動駆動される。
【0092】
前記超音波振動子152は、延出する信号線が前記シャフト153を挿通し、基端側に設けられたエコー信号処理部154に接続されている。このエコー信号処理部154は、前記超音波振動子152で受信したエコー信号を信号処理し、2次元断層像である超音波画像の映像信号を生成するようになっている。前記エコー信号処理部154は、後述するドップラ処理部を介して生成した超音波画像の映像信号をスーパーインポーズ回路5に出力するようになっている。
【0093】
また、前記超音波内視鏡151は、変動磁場を発生するための電磁石や磁気コイル9a等の変動磁場発生部155が挿入部先端部151aに設けられている。この変動磁場発生部155は、上記第1の実施の形態で説明したのとほぼ同様にセンチネルリンパ節7に滞留した磁性流体8を振動させるものである。
【0094】
前記変動磁場発生部155は、通電される電流を電源部156から供給される。前記電源部156は、周波数変換部157に接続されている。この周波数変換部157は、前記変動磁場発生部155が変動磁場を形成するように通電される電流の周波数を制御するようになっている。
【0095】
また、この周波数変換部157は、ドップラ処理部158に接続され、このドップラ処理部158を制御して前記電源部156から供給される電流の周波数に同期するように前記超音波振動子152で受信したエコー信号の処理周波数を制御するようになっている。
【0096】
そして、前記ドップラ処理部158は、電流の周波数に同期して、前記超音波振動子152で受信したエコー信号から所定周波数で振動する磁性流体8からのドップラ信号を取り出すようになっている。更に、前記ドップラ処理部158は、取り出したドップラ信号に基づき、磁性流体8の位置を検出可能な2次元断層像であるドップラ画像の映像信号を生成し、スーパーインポーズ回路5に出力するようになっている。
【0097】
そして、前記スーパーインポーズ回路5は、前記エコー信号処理部154からの超音波画像の映像信号に前記ドップラ処理部158からのドップラ画像の映像信号を重畳した超音波ドップラ画像の映像信号を生成し、モニタ6に出力するようになっている。
【0098】
このように構成されるセンチネルリンパ節検出装置150は、上記第1の実施の形態で説明したのと同様に超音波内視鏡151の挿入部を患者の体腔内に挿入されて胃などの病変部20に挿入部先端部151aが導かれる。
【0099】
次に、術者は、変動磁場発生部155を駆動させて、患者の病変部20に向けて、変動磁場を発生させる。すると、センチネルリンパ節7に滞留した磁性流体8は、変動磁場発生部155により生成された変動磁場により振動する。
【0100】
そして、術者は、超音波診断を開始する。すると、センチネルリンパ節検出装置150は、超音波振動子152を回動駆動させて病変部20の超音波画像を得る。と同時に、センチネルリンパ節検出装置150は、所定周波数で振動する磁性流体8のドップラ画像を得る。
【0101】
このドップラ画像は、スーパーインポーズ回路5で病変部20の超音波画像に重畳されることで、モニタ6の表示画面に超音波ドップラ画像が表示される。
【0102】
従って、センチネルリンパ節検出装置150は、超音波画像にドップラ画像がスーパーインポーズされた超音波ドップラ画像により、病変、臓器の位置関係とセンチネルリンパ節7との位置関係を容易に把握でき、センチネルリンパ節7を検出(同定)できる。尚、他のセンチネルリンパ節7についても病変部20の周囲で挿入部先端部151aを移動させながら超音波ドップラ画像を得ることで、検出(同定)を行うようになっている。
この結果、本第4の実施の形態のセンチネルリンパ節検出装置150は、上記第1の実施の形態と同様な効果を得る。
【0103】
また、センチネルリンパ節検出装置は、図18ないし図20に示すように構成しても良い。
図18に示すようにセンチネルリンパ節検出装置150Bは、超音波内視鏡151Bの処置具挿通用チャンネル160に挿通するプローブ161によりパルスレーザ光を照射可能に構成される。
【0104】
前記超音波内視鏡151Bは、挿入部先端部151bの前面部湾曲面上にコンベックス型超音波振動子162を設けて構成される。一方、前記プローブ161は、後述する光ファイバを挿通配設され、パルスレーザ光を照射可能に構成される。
【0105】
ここで、色素163は、所定波長の光を吸収すると、図19に示すように熱弾性効果により超音波パルスが発生する。
本変形例のセンチネルリンパ節検出装置150は、センチネルリンパ節7に滞留したインドシアニングリーン等の所定波長の光を吸収する色素163の吸収波長で、且つ光による熱弾性効果で発生した超音波パルスを時間分解できるほどの短パルスを照射するようになっている。そして、本変形例のセンチネルリンパ節検出装置150は、色素163で発生した超音波パルスを前記超音波内視鏡151Bの前記コンベックス型超音波振動子162で受信して2次元断層像である超音波画像を得ると共に、前記プローブ161の後述する圧電素子で受信して前記色素163の有無或いは濃度を検出可能なパルス画像を得るように構成されている。
【0106】
図20に示すように前記プローブ161は、光ファイバ171を挿通配設されて構成される。前記光ファイバ171は、基端側に設けられたパルスレーザ源172からのパルスレーザを導光し、病変部20に照射可能に構成されている。前記パルスレーザ源172は、例えば、QスイッチYAG励起チタンサファイヤレーザで、数nsのパルス幅でパルスレーザ光を発生するものである。
【0107】
また、前記プローブ161は、プローブ先端部に超音波パルスを受信する圧電素子173が配設されている。この圧電素子173は、基端側に設けられたアンプ174に接続され、受信した超音波パルスを増幅され、前記パルスレーザ源172に同期して同期検波部175で同期検波されるようになっている。そして、同期検波部175で同期検波された信号は、画像処理部176で信号処理されて、色素163の有無或いは濃度を表示可能なパルス画像の映像信号が生成される。
【0108】
そして、生成されたパルス画像の映像信号は、スーパーインポーズ回路5に出力されるようになっている。このスーパーインポーズ回路5は、パルス画像の映像信号を前記超音波画像の映像信号に重畳して超音波パルス画像の映像信号を生成し、モニタ6に出力するようになっている。
【0109】
この結果、本変形例のセンチネルリンパ節検出装置150は、上記第4の実施の形態と同様にセンチネルリンパ節7の検出(同定)を行うことができることに加え、センチネルリンパ節7に滞留した色素163の有無或いは濃度を検出可能である。
【0110】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0111】
[付記]
(付記項1) 予め病変部近傍のセンチネルリンパ節に滞留した磁性流体を磁場変動により振動させて発熱させる変動磁場手段と、
前記病変部近傍の内視鏡像を撮像する内視鏡撮像手段と、
前記変動磁場手段の磁場変動で発熱した前記病変部近傍の温度変化を撮像する温度変化撮像手段と、
前記内視鏡撮像手段で得た内視鏡画像に前記温度変化撮像手段で得た温度変化画像を重畳する重畳手段と、
を具備したことを特徴とするセンチネルリンパ節検出装置。
【0112】
(付記項2) 予め病変部近傍のセンチネルリンパ節に滞留した磁性流体を磁場変動により振動させて発熱させる変動磁場手段と、
前記病変部近傍の内視鏡像を撮像する内視鏡撮像手段と、
前記変動磁場手段の磁場変動で発熱した前記病変部近傍の温度変化を撮像する温度変化撮像手段と、
を具備したセンチネルリンパ節検出装置を用いて、前記内視鏡撮像手段で得た内視鏡画像に前記温度変化撮像手段で得た温度変化画像を重畳して前記センチネルリンパ節の位置を同定することを特徴とするセンチネルリンパ節検出方法。
【0113】
(付記項3) 前記内視鏡撮像手段は、前記病変部近傍の可視光像を得る光学内視鏡であることを特徴とする付記項1に記載のセンチネルリンパ節検出装置。
(付記項4) 前記内視鏡撮像手段は、前記病変部近傍の超音波断層像を得る超音波内視鏡であることを特徴とする付記項1に記載のセンチネルリンパ節検出装置。
【0114】
(付記項5) 前記温度変化撮像手段は、前記病変部近傍の赤外線像を得る赤外線撮像手段であることを特徴とする付記項1に記載のセンチネルリンパ節検出装置。
(付記項6) 前記温度変化撮像手段は、前記病変部近傍のマイクロ波像を得るマイクロ波撮像手段であることを特徴とする付記項1に記載のセンチネルリンパ節検出装置。
(付記項7) 前記温度変化撮像手段は、内視鏡の処置具挿通用チャンネルに挿通可能なプロ−ブに配置したことを特徴とする付記項1に記載のセンチネルリンパ節検出装置。
【0115】
(付記項8) 前記光学内視鏡は、処置具挿通用チャンネルにカテ−テルチュ−ブ及び切除用スネアを挿通させ、前記切除用スネアで病変部の粘膜を切除すると同時に、センチネルリンパ節の位置を同定するために局注して病変部に滞留したトレ−サ−を吸引することを特徴とする付記項3に記載のセンチネルリンパ節検出装置。
【0116】
(付記項9) 前記超音波内視鏡は、前記変動磁場手段を挿入部先端部に配置したことを特徴とする付記項4に記載のセンチネルリンパ節検出装置。
(付記項10) 前記超音波内視鏡は、前記温度変化撮像手段として前記変動磁場手段に同期してドップラ信号を取り出しドップラ画像を得ることを特徴とする付記項4に記載のセンチネルリンパ節検出装置。
【0117】
(付記項11) 前記赤外線撮像手段で得た赤外線画像は、生体表面の熱分布を示す擬似カラ−画像であることを特徴とする付記項5に記載のセンチネルリンパ節検出装置。
(付記項12) 前記赤外線撮像手段は、マイクロボロメ−タアレイを有することを特徴とする付記項5に記載のセンチネルリンパ節検出装置。
(付記項13) 前記赤外線撮像手段は、マイクロ波アンテナを有することを特徴とする付記項6に記載のセンチネルリンパ節検出装置。
【0118】
(付記項14) 前記プロ−ブは、処置具が挿通可能な管路を設けていることを特徴とする付記項7に記載のセンチネルリンパ節検出装置。
(付記項15) 前記プロ−ブは、プロ−ブ先端部に配置された吸引用キャップと、前記管路に接続し、空気を吸引してセンチネルリンパ節の組織を吸い上げる吸引器と、前記キャップ内に配置され、引き上げられた組織に対してマ−キングするリングとを配置したことを特徴とする付記項7に記載のセンチネルリンパ節検出装置。
【0119】
(付記項16) 前記プロ−ブは、前記温度変化撮像手段として赤外線を導光するライトガイドを挿通配設し、基端側に赤外線撮像手段を配置していることを特徴とする付記項7に記載のセンチネルリンパ節検出装置。
【0120】
(付記項17) 前記プロ−ブは、前記管路を挿通する組織採取用の吸引針と、この吸引針の吸引管に挿通する光ファイバと、この光ファイバに光を供給する光源と、この光源からの光を前記光ファイバから病変部に照射して得た戻り光の強度を検出する光強度検出器と、この光強度検出器で検出した戻り光の強度変化に応じて前記吸引針先端がセンチネルリンパ節に到達したことを告知する告知手段と、を具備したことを特徴とする付記項7に記載のセンチネルリンパ節検出装置。
【0121】
(付記項18) 前記マイクロ波アンテナは、回動駆動又は進退動駆動させる駆動部をプロ−ブ基端側に設けたことを特徴とする付記項13に記載のセンチネルリンパ節検出装置。
【0122】
(付記項19) 前記組織採取用の吸引針は、針先端と前記吸引管との間に配置された2又の分岐部を設け、この分岐部の分岐側他端に前記光ファイバを挿通するファイバ管路を設けたことを特徴とする付記項17に記載のセンチネルリンパ節検出装置。
【0123】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、センチネルリンパ節の正確な位置を同定することができ、開腹手術などの患者への負担も少ないセンチネルリンパ節検出装置及び検出方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を備えたセンチネルリンパ節検出装置を示す全体構成図
【図2】図1の変動磁場発生装置を示す説明図
【図3】磁性流体を局注する際の内視鏡の挿入部先端部の様子を示す概略図
【図4】1のセンチネルリンパ節検出装置で得た画像を示す説明図
【図5】胃等の体内腔壁面の裏側に存在しているセンチネルリンパ節の検出(同定)を行う際の内視鏡の挿入部先端部の様子を示す概略図
【図6】病変部組織及び病変部に残ったトレ−サ−を除去する際の内視鏡の挿入部先端部の様子を示す概略図
【図7】病変部にトレ−サ−を局注する際の内視鏡の挿入部先端部の様子を示す概略図
【図8】本発明の第2の実施の形態を備えたセンチネルリンパ節検出装置を示す全体構成図
【図9】プロ−ブの第1の変形例を示す説明図
【図10】プロ−ブの第2の変形例を示す説明図
【図11】プロ−ブの第3の変形例を示す説明図
【図12】プロ−ブの第4の変形例を示す説明図
【図13】図12の生検用穿刺針の変形例を示す要部断面図
【図14】開口キャップを装着したプロ−ブ先端部を示す説明図
【図15】本発明の第3の実施の形態を備えたセンチネルリンパ節検出装置のプロ−ブを示す構成図
【図16】図15のプロ−ブのマイクロ波検出回路を示す回路ブロック図
【図17】本発明の第4の実施の形態を備えたセンチネルリンパ節検出装置を示す全体構成図
【図18】図17のセンチネルリンパ節検出装置の変形例を示す概略説明図
【図19】熱弾性効果により発生した超音波パルスを示すグラフ
【図20】図18のプロ−ブを示す構成図
【符号の説明】
1…センチネルリンパ節検出装置
2…内視鏡
3…可視光用CCU
4…赤外線用CCU
5…ス−パ−インポ−ズ回路
6…モニタ
7…センチネルリンパ節
8…磁性流体
9…変動磁場発生装置
10…処置具挿通用チャンネル
11…可視光用対物光学系
12…可視光用CCD
13…赤外線用対物光学系
14…赤外センサ(マイクロボロメ−タアレイデバイス)
Claims (2)
- 予め病変部近傍のセンチネルリンパ節に滞留した磁性流体を磁場変動により振動させて発熱させる変動磁場手段と、
前記病変部近傍の内視鏡像を撮像する内視鏡撮像手段と、
前記変動磁場手段の磁場変動で発熱した前記病変部近傍の温度変化を撮像する温度変化撮像手段と、
前記内視鏡撮像手段で得た内視鏡画像に前記温度変化撮像手段で得た温度変化画像を重畳する重畳手段と、
を具備したことを特徴とするセンチネルリンパ節検出装置。 - 予め病変部近傍のセンチネルリンパ節に滞留した磁性流体を磁場変動により振動させて発熱させる変動磁場手段と、
前記病変部近傍の内視鏡像を撮像する内視鏡撮像手段と、
前記変動磁場手段の磁場変動で発熱した前記病変部近傍の温度変化を撮像する温度変化撮像手段と、
を具備したセンチネルリンパ節検出装置を用いて、前記内視鏡撮像手段で得た内視鏡画像に前記温度変化撮像手段で得た温度変化画像を重畳して前記センチネルリンパ節の位置を同定することを特徴とするセンチネルリンパ節検出方法。
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