JP2009501581A - 生体内での組織分類方法 - Google Patents

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Abstract

制御機器を備えた超音波用変換器アレーと、500nm以上の波長帯域におけるスペクトル幅の狭い少なくとも一つの光源と、少なくとも一つの光検出器と、光検出器の測定値を処理するためのプロセスコンピュータとを用いて、光検出器が、組織から後方散乱する光だけを検出し、超音波用変換器アレーが、照射中焦点を絞った超音波を組織に照射し、プロセスコンピュータが、光検出器が測定した光強度全体に対する超音波の焦点内で散乱した光の寄与分を分離して、その寄与分から超音波の焦点内の組織に関する光学パラメータを計算する、生きている組織の分類方法である。このプロセスコンピュータは、制御機器を駆動して、組織内の超音波の焦点の位置をプロセスコンピュータに従って変化させることによって、計算したパラメータから、所定の最適性の判断基準に関して最適化された特性値を導き出すとともに、プロセスコンピュータは、見つけ出した超音波の焦点の最適な位置における光学パラメータと保存されているデータテーブルとを比較し、それによって組織を分類する。

Description

本発明は、生きている組織、特に、人間又は動物の身体に超音波及び赤外光を照射して、再び戻って来た光から、組織の局所的な光学パラメータ、特に、吸収量及び/又は後方散乱量を推定し、それによって組織を分類することが可能である、生体内での組織分類方法に関する。
生きている器官内の異常な組織を発見するための超音波検査は、大分前からの従来技術である。通常の用途は、乳房の診察、即ち、婦人の乳癌検査である。悪性の組織、特に、癌組織は、特に、周囲の健康な組織と異なる機械的な特性を特徴としており、そのため超音波を照射すると、境界面でのインピーダンスの違いにより、超音波が反射されることとなる。このことは、異常な組織を特定するために活用されている。しかし、超音波検査だけでは、発見された組織の異常が悪性の腫瘍であるのか否かを未だ結論付けることはできない。そのため、通常試験室での確定的な決定のために、腫瘍と思われる部分のサンプルの摘出(生検)が行われる。
組織は、摘出したサンプルにもとづき、正確に分類することができるだけでなく、その光学特性も精密に測定することができる。特に、癌細胞は、健康な細胞よりも著しく強く近赤外(NIR)及び中赤外(MIR)スペクトルの所定の光波長を吸収することが分かっている。
本発明者による特許文献1を従来技術として挙げる。
人間の身体は、約600〜1000nmの波長帯域(生物学的窓)において、水の最小帯域のために透過性が極めて高い。即ち、光が、組織内に深く侵入して、それを貫通するか、或いは照射されている表面の方に戻って来ることも可能である。MIRスペクトル内には、組織の他の構成要素と比べて水による吸収が小さいことを特徴とする、更に別の約5000〜7500nmと更に10〜25μmの「透過性の窓」が有る。
そのような「透過性の窓」内において、組織の個々の各構成要素に関して、組織のその構成要素によって良く吸収又は散乱される光の波長を特定することが可能である。摘出された腫瘍組織の生体外での検査から、特に、癌細胞が、健康な組織では生じない所定の物質を含むために、多くの波長が、癌細胞に関して格別特徴的であることが既に知られている。
特許文献2は、焦点を絞った超音波とNIR光を組み合わせて照射することによって、生体内での組織分類を行う方法を提案している。そこでは、超音波の焦点を組織に渡って移動させる間に変化する、組織から出て来る600〜1500nmの波長帯域における透過光及び/又は後方散乱光が、測定信号としての役割を果たしている。焦点の移動は、例えば、特許文献3に記載されている通り、変換器アレーを好適に駆動することによって実現可能である。
特許文献2は、次のことを詳細に教示している。
・正常組織と異常組織の両方を通過するように、検査すべき組織に対して三次元で連続的に焦点を動かし、正常組織に対する「インピーダンスの違い」にもとづき、異常組織を分類することができるようにすべきである。
・焦点を絞った超音波を振幅変調して照射し、光信号に対する変化する振幅の影響にもとづき、機械的なパラメータ(例えば、緩和時間)に関して組織を評価する。
・超音波の振幅が光学的な信号に対して大きく影響する位置に焦点の位置を固定し、その次に照射するNIR光のスペクトル構成を変化させる。
・そのようなスペクトル構成による光学的な測定信号にもとづき、組織の病変を推定する。
上記の全ての措置は、確かに妥当であり、場合によっては、複雑な細胞組織を生物物理学的に広範囲に分析するためには必要である。周知の通り、生きている細胞は、例えば、圧力下において温度に応じて、その光学的な特性を変化させる。そのことから、そのような変化の詳細な分析手法は、確かに光学的な測定信号に対する全ての有効な影響量を計測して考慮するための選択手段となる。
しかし、医学の実践では、多くの場合先ずは興味を抱かせる問題を調査することが分かり易く、超音波検査で分かった疑わしい組織を摘出して、試験室で検査する必要が有るか、或いは場合によっては、それが避けられない。
通常患者にとって、生検は、確かに非常に嫌なものであるか、それどころか苦しいものであるが、治療している医師にとっては、むしろ小さい負担しかかからない。特許文献2による広範な測定は、むしろ医学的な診断にとって次の理由から欠点である。
・超音波の焦点(体積<1mm3 )を少なくとも1000倍大きな三次元測定領域に渡って単に連続的に移動させることは、ゆっくりとしか実行することができず、そのため時間の浪費である。
・悪性の領域を発見するために細胞の機械的なパラメータを観察することは、場合によっては、それが、より正確なマッピングを可能とする場合(しかし、それは必ずしも医師に興味を抱かせるものではなく、少なくとも癌の早期発見の場合には、そうではない)であっても、当然に通常の超音波反射測定と比べて負担がかかると考えられる。
・測定光のスペクトル構成を変化させるには、既製の高価な部品である変更可能な光源及び/又はスペクトル分析器が必要であり、そのため提案されている装置は、相当な調達費が見込まれる。
これらの欠点以外に、特許文献2の装置は、明示的に言及されているのが後方散乱光しか測定しない片側の測定装置であり、主に透過光の検出を目指したものである。しかし、後方散乱光は、通常散乱を複数回受けている、即ち、光源からその近くに配置された検出器までの道程を殆ど追跡することはできない。従って、戻って来た光が凡そ超音波の焦点を通過して来たのか否かも確実ではない。言い換えると、純粋な後方散乱では、その光学的な測定信号への寄与分に関して発生源を特定するという特許文献2では解決されない問題が発生する。
しかし、前述した特許文献1は、特殊なIR波長の後方散乱から血液成分の濃度を非侵襲的に求める手段を記載しており、その場合後方散乱領域を標的とする超音波の焦点は血管内に置かれている。この評価方法は、焦点から戻って来る光をそれ以外の後方散乱光から弁別して、焦点領域だけに関する光学的な特性を求めることを目指している。特許文献1の装置は、初めから問題の調査、特に、血液中の酸素の測定に波長を合わせた複数のIRレーザーダイオードを使用している。この装置は、特に、好適な焦点位置の発見もドップラー原理に頼っており、一定方向に流れる十分な体積の血液が存在することを前提としているので、容易には組織の汎用的な検査に適したものとはならない。
ドイツ特許第10311408号明細書 国際特許公開第94/28795号明細書 米国特許第5322068号明細書
以上のことから、本発明の課題は、非侵襲的に生体内の組織を分類するための簡単化された装置を作るという形で従来技術を改善することである。
この課題は、請求項1の特徴を有する装置によって解決される。従属請求項は、有利な実施形態を提示している。
本発明による装置は、電子制御機器を備えた変換器アレーとして構成された、超音波を送受信することが可能な超音波機器を有する。この超音波源は、駆動に応じて、波面がほぼ平坦な凹面又は凸面の超音波を選択的に送信することができる、即ち、特に、扇状に広げた形又は焦点を絞った形で検査すべき組織に照射することができる。この場合、焦点の位置は、選択可能であり、測定の進行中に外部からの設定にもとづき制御機器によって変更することができる。制御機器は、何れにせよ組織内で反射された超音波が進む時間を測定することにより、組織の異常を含む立体的な目標領域を推定することができる。
本発明による装置は、更に、スペクトルの広がりの狭い少なくとも一つの光源、しかし、有利には、複数の光源、特に有利には、レーザーダイオードを有する。光源の数と各主照射波長の選択は、変更可能な形で構成されるべきであり、そのためモジュール構造を推奨する。しかし、それに代わって、並びに確かにそのような光源の今後の価格傾向に依存しても、この装置には、より多くの数の(例えば、10〜20の相異なる波長の)光源を同時に配置することができ、その場合当然のことながら、光源は、個々にスイッチング可能でなければならない。
この場合、基本的にNIRとMIRのスペクトル帯域の全ての波長、即ち、波長が少なくとも500nmの明確にイオン化させない光が対象となる。当然のことながら、生体内での測定に関する波長を選択する場合、任意のマイクロ波ビームを容易には考慮することはできない、或いは考慮したくはなく、特に、興味を抱かせる各波長に対して、レーザーが入手可能でもない。ここでは、「生物学的窓(500〜1000nm)」に特別な注意を払うべきであるが、本発明は、それに限定されるものではないことを理解されたい。生物学的窓以外の広い波長にもとづき、所定の種類の組織を分類することは、全く目的に適ったことである。
更に、本発明による装置は、後方散乱光の強度を測定する光検出器、ここでは特に有利には、平面の光電式センサーアレー(例えば、CCDカメラ)を有する。この光検出器は、電子式プロセスコンピュータによって、規則的に読み出される。この場合、プロセスコンピュータは、超音波用制御機器から供給される、超音波の場のパラメータ、特に、音の周波数、パルスエネルギー及び繰返し率をも活用する。既に特許文献1に記載されているアルゴリズムを用いて、強度全体に対する超音波の焦点領域での後方散乱光の寄与分を分離する。
組織の表面下における焦点の深さが既知であることを考慮して、分離した光の割合における健康な組織において典型的な散乱損失をコンピュータで補償することができる。この補償後に、例えば、個々の波長又は同時に複数の波長と関連する可能性の有る、超音波の焦点内における組織の吸収係数及び/又は後方散乱量に関する値を計算する。
組織の分類のためには、組織の検知可能な異常内における出来る限り有効な位置に焦点の位置を合わせる必要が有る。その位置は、超音波の走査によって特定される、音響インピーダンスが変わる領域の重心と必ずしも一致しない。むしろ、ちょうど病的に変化した細胞が存在することによる異常は、特に、異常な細胞化学によって特徴付けられ、そのため特に、光学パラメータを確認すべきである。
従って、本発明では、焦点の位置は、その時々に測定された、焦点内の組織の吸収及び/又は後方散乱にもとづき全自動で変更される。この場合、焦点の位置は、連続的に移動するのではなく、飛び飛びに変更することができる。所定の焦点位置での吸収係数及び/又は散乱係数をそれ以前の一つ以上の位置と比較することから、その次の測定プロセスにおいて、超音波用制御機器が設定すべき次の位置をアルゴリズムにより推定する。
一連の焦点位置をアルゴリズムにより選択した後には、簡単な最適化問題以外何も残っていない。事前に超音波を用いて発見した組織の異常内において、測定可能な吸収及び/又は散乱から導き出される一つ以上の光波長の特性値に関する最適値の位置を求める。どの特性値を観察するのか、或いはどの最適値を求めるのかは、具体的な測定の課題に依存する。
有利な提案は、焦点内の吸収係数又は散乱係数と健康な組織内の吸収係数又は散乱係数(測定開始時に取得した基準値)との偏差を特性値として決定することとし、そのために極大値を求めることである。
例えば、主に悪性の組織に蓄積される色素で患者を事前に処置しておくことによって、特に、吸収に注意を向ける。そのような場合、有利には、色素を良く吸収する光の波長を照射する。そのように選択された色素を使用することによって、更に、健康な組織に関する基準値の取得を不要とすることができる。別の問題の調査、例えば、脂肪組織の検査に関しては、後方散乱の観察が有効である。
各問題の調査において、観察すべき特性値の選択は、比較的容易に思いつくとともに、使用者は、取得すべき最適値(実際には、最大値)が組織内の何処かの位置に存在することも明確に認識している。何れにせよ、最大化すべき関数が安定していることを出発点とすることが可能であるとともに、関数の弁別可能性の見込みを正当化することもでき、その結果一連の焦点位置(関数のサンプリング位置)を計算するために、例えば、勾配の降下度又は別の何らかの既知の最適化アルゴリズムを活用することができる。
ここでは、最適値を計算するための精密なアルゴリズムに頼らない。むしろ、事前に焦点領域の組織にのみ対応付けられている後方散乱光の強度の各割合にもとづき超音波の焦点移動を行うとの本発明の考えが重要である。焦点は、それが組織内の有効な最適位置で停止するまで自動的に移動される。
このような超音波の焦点に関する位置が初めて一回検出された場合に、全ての使用可能なIR波長に関する吸収係数(及び/又は後方散乱係数)を個々に検出することを推奨する。プロセスコンピュータは、更に、測定結果を比較するためのデータテーブルを備えている。このテーブルは、例えば、試験室で測定されるような周知の各光学パラメータと共に出来る限り多数の組織の種類を含むものである。それによって、測定装置の使用者に組織分類を直接提示することができる。しかし、この場合、現在の技術で使用可能なデータテーブルが病理学的な所見にもとづくものであること、即ち、周囲の温度、圧力、pH値、血液成分に関して生体内での状況と非常に異なる可能性の有る抽出された組織サンプルを計測したものであることを意識しなければならない。このことは、光学パラメータの一部に相当な影響を与える。
それにも関わらず、細胞化学が、そのことと大きく関連することは無く、そのため或い程度の許容範囲内において妥当な分類が可能であることを出発点としている。そのような許容範囲を算出することは、今後の課題、特に、経験的な作業である。しかし、今現在、本発明で得られる光学パラメータと病理学的なサンプルで求めたパラメータとの偏差は現実的に避けられず、そのためにのみ組織分類に関する確率的な情報を取得すべきであることは明らかである。
そのような確率を具体的に計算して、同じく使用者に提示することは、本発明の全く特に有利な実施形態である。
即ち、確かに、赤外光の分析と焦点を絞った超音波との組み合せにもとづく生きた組織の分類を行うことを記載している特許文献1と異なり、ここでは、光学的な測定の所見にもとづき、超音波の焦点の位置決めを行っている。
例えば、一組の測定値(A1,A2,R3,A4,...)をそのような光学パラメータとすることもでき、この場合例えば、A1は、波長1に関する吸収係数であり、R3は、波長3に関する後方散乱係数と看做される。ここで、先ずは固定した焦点位置に関する光学パラメータを測定することが重要である。その後測定を最適化するためのプロセスコンピュータは、超音波(US)用変成器アレーに渡って駆動すべき、より良い焦点位置を与える。第二の焦点位置の実際の光学的な測定値を検出して、プロセスコンピュータの新たな評価に取り入れる、云々。
そのようにして、(非常に時間がかかる組織内を徐々に移動させること無く)最も有効な焦点位置を反復して自動的に見つけ出し、その位置において分類が行われる。
この明細書に記載した方法にもとづき超音波の焦点を最適な位置に置いた後組織を分類することは、光検出器で検出した光学信号がその時々の焦点位置における組織の光学パラメータを直接推定することを可能とするものであることを前提としている。
特に、後方散乱光に関して、正確な発生源の特定は、光子が生きている組織内で多重散乱するために容易なことではない。特許文献1では、確かに前記の割合の分析工程でも光学的な測定信号を使用しているが、焦点の位置決めは、十分に大きな流れの血液が存在する所で音響的なドップラー効果を使用することに頼っている。しかし、特許文献1には、大きな血管から離れた任意の組織で使用することを記載していない。
以下において、単一の図面にもとづき、本発明を更に詳しく説明する。
本発明による装置の有利な実施構成では、超音波用変換器アレー、複数の光源及び光検出用センサーアレーが、並んで配置されるとともに、手で持つことができるアプリケータ内に組み込まれている。有利には、光源とセンサーアレーは、同心にかつ変換器アレーの周りに配置される。アプリケータは、検査すべき組織の表面(患者の皮膚)の上に、有利には、例えば、負圧又は医療用接着剤によって固定される。
図1a)に図示されている通り、アプリケータは、インピーダンスの違いにもとづき興味を抱かせる領域を特定するために、組織の走査による検査を開始する。(超音波用)変換器アレーは、先ず扇状に広がった超音波を照射して、制御機器が、反射された信号の進行時間を検出する。これらの進行時間は、詳しく検査すべき組織、場合によっては、異常な組織の座標に変換される。この座標から、周知の手法で個々の変換器素子の駆動パラメータが決定され、そのパラメータにより、異常な組織を含む目標領域内に超音波の焦点を生成又は場合によっては移動することが可能である。目標領域の座標は、同じく、光学式センサーアレーの読み出しと光学パラメータの計算を担当するプロセスコンピュータに送られる。
目標領域の検出後、スペクトル幅の狭い光、有利には、レーザー光が組織に照射されると同時に、超音波の焦点が形成される。図1b)では、光は、光ファイバー(LWL)を介して超音波源の隣に誘導され、そこから組織に照射されている。即ち、光源自体は、必ずしもアプリケータ内に組み込む必要は無く、光を誘導するための手段だけを組み込めば良い。図1b)は、更に、二つの焦点位置が目標領域外のF1とF2の深さに調整され、そこで健康な組織の光学パラメータを基準値として取得することを図示している。単に患者が違えば測定結果が大きく異なり、患者自体でさえ、(例えば、異なる日に測定を繰り返すと)測定結果の時間的な依存性が起きる場合があるので、分類手順の最初に基準値を取得することは大抵の場合必要であり、常に推奨される。
この場合、目標領域の測定値と正常組織の測定値との偏差は、アルゴリズムにより最大化すべき関数を定義する。そのために、後方散乱光の強度をセンサーアレーにより測定して、プロセスコンピュータにより、超音波の焦点を通過した割合と通過しなかった割合に分けるとともに、焦点領域の光学パラメータを計算する。プロセスコンピュータでは、制御機器から送られて来る、その時々の焦点位置の座標を用いて、サンプリング位置を走査することを可能とする数値関数が得られる。この場合、関数の最大値だけを探しているので、周知の最適化アルゴリズムを用いて、飛び飛びに走査を行うことができる。プロセスコンピュータは、光学的な測定データと前記のアルゴリズムを使用して、直ちに制御機器に指令して、次のサンプリング位置に焦点を再配置する。
焦点位置の繰り返し工程は、焦点が組織内で最も大きな異常に到達すると直ちに自動的に終了する。有利には、プログラム技術的に別の強制的に収斂させて行く判断基準を設けることができ、例えば、最も簡単な場合所定回数の繰り返し工程後に繰り返しを停止することができる。
図1の具体的な例では、二つの初期測定地点が深さF1とF2に設定されている。これらの測定値は、例えば、平均化されて、正常組織に関する基準値としての役割を果たすことができる。ここで、同様に目標領域内の焦点位置(深さF)で第三の測定値を求めて、それをF1とF2における二つの値と別々に比較することができる。初期の焦点位置の選択と数は、特に、繰り返しアルゴリズムに依存し、そのためここでは本発明を制限するものとして解釈してはならない。特に、多くの最適化アルゴリズムに対して、有利には、初期サンプリング位置をランダムに選択することができる。
図1c)では、光ファイバー(LWL)に戻って来る行程を表す、照射されたIR光子の幾つかの散乱パスが模式的に示されており、それらは、それぞれ一つの焦点を通過したものである。基本的に、光子は、再び光ファイバーに入って、検出器に誘導することができる。しかし、単に後方散乱する強度が小さいために、検査すべき組織の直ぐ上に光検出器としての平坦なセンサーアレー(図示されていない)を配置して、その強度を全てのアレー素子に渡って統合して取得するのが有利である。戻って来る光は、横方向に大きくずれて出てくる程組織内の深い所で散乱しているという傾向が有ることを考慮して、このセンサーアレーは、何れにせよ横方向の広がりを持つべきである。これ以外に、焦点の深さが常に既知であるため、超音波の焦点で後方散乱する光を分離することを支援するために、この経験的に知られている関係を使用することができる。
纏めると、本発明による装置は、次の二つの役割を果たしている。
1.この装置は、超音波と後方散乱するIR光を使用して、実装した最適化アルゴリズムを用いて、光学パラメータによる組織分類に関して最も有効な超音波の焦点位置を全自動で検出している。
2.この装置は、事前に最適な位置に置かれた超音波の焦点において(ここでだけ)、複数の所定のIR波長に対する光学パラメータに関して組織を検査し、その測定値とテーブル化された病理学的な検査所見との比較にもとづき、観察している組織の分類を行っている。
理想的には、単に生体内の組織と抽出した組織サンプル間の前述した偏差にもとづき、プロセスコンピュータは、分類以外に、その分析が妥当である確率も出力して、治療している医師が別の措置を決断するのを支援する。
本発明の有利な実施形態は、医師が組織の摘出と試験室での検査を決断した場合に、測定したパラメータをケースバイケースで保存することである。そして、試験室での結果は、インタフェースを介して、保存しておいた測定データと共に、例えば、プロセスコンピュータのメニュー選択式入力プログラムに入力され、分類で活用されるデータセットを徐々に拡張することができる。
本発明による装置に実装された、組織分類に有効な焦点位置を発見するための手法の模式図

Claims (7)

  1. 超音波用変換器アレーと、この変換器アレー用の制御機器と、500nm以上の波長帯域におけるスペクトル幅の狭い少なくとも一つの光源と、少なくとも一つの光検出器と、この光検出器の測定値を処理するためのプロセスコンピュータとを用いて、生きている組織の生体内での組織分類方法であって、この光検出器が、組織から後方散乱する光だけを検出し、この超音波用変換器アレーが、照射中焦点を絞った超音波を組織に照射し、このプロセスコンピュータは、光検出器が測定した光強度全体に対する超音波の焦点内で散乱した光の寄与分を分離して、その寄与分から超音波の焦点内の組織に関する光学パラメータを計算する方法において、
    このプロセスコンピュータは、制御機器により組織内の超音波の焦点の位置をプロセスコンピュータに従って変化させることによって、前記の計算したパラメータから、所定の最適性の判断基準に関して最適化された特性値を導き出すとともに、このプロセスコンピュータは、見つけ出した超音波の焦点の最適な位置における光学パラメータと保存されているデータテーブルとを比較し、それによって組織を分類することを特徴とする方法。
  2. 当該の特性値が、当該の光学パラメータと測定中に健康な組織内で得られた基準値との偏差であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 当該の所定の最適性の判断基準が、当該の特性値の最大値であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 当該の光学パラメータの測定前に、超音波による走査を行い、その走査において、当該の制御機器が、反射された超音波の進行時間を記録し、その時間から、分類すべき組織の領域を決定して、その領域内に超音波の焦点を形成することを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
  5. 当該のプロセスコンピュータ内に保存されているデータテーブルが、生体外での測定による組織分類とその光学パラメータを有することを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
  6. 当該のプロセスコンピュータは、測定された光学パラメータを任意選択により保存するとともに、ユーザー用インタフェースを備えており、そのインタフェースを介して、保存したパラメータを組織分類に対応付けることが可能であり、それにより保存されているデータテーブルを更新することを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 当該のプロセスコンピュータは、光学パラメータと保存されているデータテーブルとの比較時に、当該の分類が妥当である確率を計算して出力することを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
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