以下、本発明の第1の実施の形態を図1(A)〜(D)乃至図4(A)〜(D)を参照して説明する。図1(A)は本実施の形態の内視鏡用処置具1全体の概略構成を示すものである。この内視鏡用処置具1には、図示しない内視鏡の鉗子チャンネル(処置具用チャンネル)に挿入可能な細長い挿入部2が設けられている。この挿入部2の基端部には手元側の操作部3が固着されている。
ここで、操作部3の本体4は略円筒状の筒体によって形成されている。この操作部本体4には、挿入部2との連結部側に吸引ポート5が突設されている。この吸引ポート5には外部の吸引手段6の接続チューブ6aが着脱可能に接続可能になっている。なお、吸引手段6としては電動式のポンプ、または手動式のポンプ、ゴム球、または大型の注射筒等が使用可能である。
また、操作部本体4の基端部側の端縁部には、指をかけるリング7が設けられる。さらに、操作部本体4の吸引ポート5とリング7との間にはスライダ8がこの操作部3に対し軸方向に摺動自在に装着されている。
また、挿入部2には可撓性を持つ細長いシース9と、このシース9の先端部に配設された硬質な先端硬質部10とが設けられている。さらに、シース9には図1(B)に示すように外筒管11が設けられている。この外筒管11は可撓性を有し、かつ圧縮、引っ張りに対して十分な強度を有する素材で構成される。例えば、ステンレス鋼線を編んで形成した筒状体の内外面をポリアミド、四弗化エチレン、四弗化エチレン六弗化プロピレン共重合体、ポリエチレン等の樹脂でコーティングして形成した強化チューブや、密巻きコイル等が適している。さらに、上記樹脂素材で形成されたチューブの全長に渡って複数のワイヤーを固着した強化チューブにより構成することも可能である。
また、外筒管11の内腔には吸引ルーメン12と、スネアルーメン13とが設けられている。ここで、吸引ルーメン12は外筒管11の内腔に気密的に配設されている。さらに、この吸引ルーメン12の基端部は、操作部3の吸引ポート5に気密的に接続されている。そして、この吸引ルーメン12は先端硬質部10までの気密性を維持可能な素材、例えば四弗化エチレン、ポリエチレン等の樹脂、または超弾性を有する金属素材等により構成されている。
また、スネアルーメン13の内部にはシース9に対して軸方向に移動可能なスネアワイヤー(操作手段)14が挿通されている。このスネアワイヤー14の先端部には接続パイプ15を介してループ状のスネア(切除ワイヤー)16の基端部が固着されている。
また、先端硬質部10は、外筒管11の先端部に固着された先端カバー17と、スネアルーメン13の先端部に固着された筒状のスネアパイプ18と、吸引ルーメン12の先端部に固着された吸引パイプ19とにより構成されている。
ここで、先端カバー17は可撓性を有し、かつ透明性を有する素材、例えばポリアミド、四弗化エチレン、四弗化エチレン六弗化プロピレン共重合体、ポリエチレン等の樹脂素材により構成されることが望ましいが、ポリカーボネート等の比較的硬質な樹脂素材で構成することもできる。
また、先端カバー17の先端には処置具1の中心軸方向に対して適宜の傾斜角θaで傾斜された傾斜面17aが形成されている。そして、この先端カバー17の傾斜面17aの先端開口部17bは楕円形状に形成されている。
また、先端カバー17における傾斜面17aの先端側の外周面には指標20が固着されている。なお、開口部17bの周囲の端縁部位は内視鏡の鉗子チャンネル、及び体腔内を傷つけないように丸みを帯びて形成されている。そして、この先端カバー17の傾斜面14aの後端部側にはスネアパイプ18の先端部が内接された状態で固着されている。
このスネアパイプ18は、スネア16の移動をガイドする筒状のガイド手段である。そして、スネア16はこのスネアパイプ18にガイドされた状態で可撓性シース9の軸方向に沿って移動操作され、図2(A)に示すように先端カバー17の先端開口部17bから先端カバー17の外部側にスネア16が突出された状態と、図2(B)に示すように先端カバー17の先端開口部17bから先端カバー17の内部側にスネア16が収納された状態とに突没可能になっている。
さらに、スネアパイプ18は、ポリサルフォン、ポリフェニルサルフォン、ポリカーボネート等の比較的硬質な樹脂素材により構成して良いが、ステンレス鋼、超弾性特性を有するNi−Ti合金等、比較的可撓性を有する金属素材で形成することが望ましい。
また、スネアパイプ18の先端部にはこのパイプ15を潰すことにより、偏平な偏平部(ループ拡開方向規制手段)21が形成されている。そして、この偏平部21によってスネア16のループの拡開方向を規制するようになっている。さらに、偏平部21の先端開口部には鋭いエッヂ22が形成され、先端カバー17の開口部17bと面一に配置されている。
また、接続パイプ15の外径寸法はスネアパイプ18の内径寸法よりも若干小さい寸法に設定されている。そして、この接続パイプ15の先端側はスネアパイプ18の内部で偏平部21の基端部側の端縁部に突き当たることにより、前方への移動が規制されるように形成されている。
また、スネアパイプ18の基端部にはストップリング23が固着されている。このストップリング23の孔24の内径寸法は接続パイプ15の外径寸法よりも小径に設定されている。そして、接続パイプ15の基端部側がストップリング23の先端部に突き当たることにより、後方への移動が規制されるように形成されている。
また、スネア16には先端部側にループ状に拡開される拡開部16aが形成され、この拡開部16aの後方側には支軸部分16bが形成されている。さらに、このスネア16のループ状拡開部16aは後方側の支軸部分16bに対して所定の傾斜角θbに屈曲されている。この傾斜角θbは先端カバー17の傾斜角θaと比べて浅い角度に形成され、θb<θaの関係に設定されている。
また、拡開したスネア16のループ状拡開部16aの拡開面積は、先端カバー17の傾斜面17aの先端開口部17bの開口面積よりも十分大きく展開されるように設定されている。
また、スネア16は拡開、収納自在な弾性を有し、また刃物として十分な切れ味を有するステンレスバネ鋼線、Ni−Ti合金等の超弾性合金線材、またはポリアミド等の樹脂で形成することも可能である。さらに、スネア16の素線の外径寸法は、十分な引張り強度を有しながらも生体組織の切れ味を確保するために例えばφ0.1〜0.2mmの間程度に設定されている。なお、スネアパイプ18の偏平部21における先端エッヂ22の先端開口部の短径(開口幅)はスネア16を挿通したときに隙間がほとんどなくなる程度に形成されている。
また、吸引パイプ19の先端部外周面には切り欠き25が形成されている。さらに、この吸引パイプ19の内部にはワイヤ状のリトラクタ26が突没自在に挿通されている。このリトラクタ26の先端部には組織ストッパ27が固着されている。
この組織ストッパ27の大きさは、図1(C)に示すように先端カバー17の内部に挿入可能で、かつ生体組織がこのストッパ27を越えて基端部側に吸引されないように先端カバー17の内腔断面積、すなわち先端カバー17の内周円の断面積からスネアパイプ18の外周円の断面積を除いた面積の60〜80%の間程度の大きさに形成されている。そして、組織ストッパ27は先端カバー17の内腔断面形状、すなわち先端カバー17の断面形状からスネアパイプ18を除いた形状に設定されている。
また、操作部本体4の外周面には、リトラクタ26の引き出し部28が突設されている。そして、リトラクタ26の基端部側はこの引き出し部28から外部側に延出されている。さらに、このリトラクタ26の外部側延出部には操作用のツマミ29が固着されている。
また、外筒管11の基端部は操作部3の先端部に固着されている。さらに、スネアワイヤー14の基端部は操作部3の内部でスライダ8に固着されている。この操作部3の内部には図3(A),(B)に示すように可動パイプ30が処置具1の中心軸線に沿って移動自在に配設されている。そして、スライダ8は操作部3の内部で可動パイプ30にも固着されている。
また、可動パイプ30の先端部はシール部材31を介して吸引ルーメン12の基端部に気密的、かつ摺動自在に接続されている。さらに、この可動パイプ30の基端部付近には吸引孔32が設けられている。
また、図3(A),(B)に示すように操作部本体4の内周面には3つのOリング33a,33b,33cが嵌着されている。これらの3つのOリング33a,33b,33cは処置具1の中心軸線に沿ってそれぞれ適宜の間隔を存して並設されている。
さらに、これらの3つのOリング33a,33b,33cの内周面は可動パイプ30の外周面に摺接されている。そして、Oリング33a,33b間に第1の気密室34、Oリング33b,33c間に第2の気密室35がそれぞれ形成されている。ここで、第1の気密室34は操作部3の吸引ポート5に連通されている。
また、可動パイプ30の吸引孔32の位置は操作部3のスライダ8の前後方向への移動動作にともない図3(A)に示す第1の位置と、図3(B)に示す第2の位置とに切換えられるようになっている。
すなわち、スライダ8が前進方向の移動限位置まで移動した状態では図3(A)に示す第1の位置で保持され、この第1の位置では可動パイプ30の吸引孔32は第1の気密室34に連通されるようになっている。このとき、図2(A)に示すようにスネアパイプ18からスネア16が前方に突出されて露出した状態で保持されるようになっている。
さらに、スライダ8が後退方向の移動限位置まで移動した状態では可動パイプ30の吸引孔32は図3(B)に示す第2の位置に移動され、この第2の位置では可動パイプ30の吸引孔32は第2の気密室35に連通されるようになっている。このとき、図2(B)に示すように先端カバー17の先端開口部17bから先端カバー17の内部側にスネア16が収納されるようになっている。
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の内視鏡用処置具1の使用時には予め操作部3の吸引ポート5に外部の吸引手段6の接続チューブ6aを接続し、この吸引手段6を作動させておく。この状態で、スライダ8を手元側に引いて図2(B)に示すようにスネア16をスネアパイプ18に収納する。このとき、スネア16のループ状の拡開部16aはスネアパイプ18の偏平部21の両側面間で押し潰された状態に弾性変形された状態で保持される。
さらに、スネア16がスネアパイプ18に収納された状態では可動パイプ30の吸引孔32は図3(B)に示す第2の位置に移動され、この第2の位置では可動パイプ30の吸引孔32は第2の気密室35に連通される。そのため、この状態では陰圧(吸引手段6からの吸引力)は吸引ルーメン12内に印加されない状態で保持される。
また、このとき先端硬質部10内の接続パイプ15の基端部はストップリング23の先端部に突き当てられた状態で保持される。そして、この状態で、挿入部2が内視鏡の鉗子チャンネルを通して患者の体内に挿入される。
この挿入部2の挿入作業中、内視鏡下で観察しながら、内視鏡または内視鏡用処置具1を動かして挿入部2の先端の先端硬質部10を目標の粘膜Hの位置まで誘導する。
そして、目標の粘膜Hの位置に到達した時点で、スライダ8を先端側に移動して、図2(A)に示すようにスネア16をスネアパイプ18から押し出す。このスネア16の押し出し作業時にはスネア16のループ状の拡開部16aは、スネアパイプ18の偏平部21のエッヂ22の長径方向の両側面に摺接しながら移動する。そして、スネア16のループ状拡開部16aがスネアパイプ18の偏平部21を通過して外部側に突出されるとこのスネア16の自己拡張作用によってループ状の拡開部16aが拡開される。このとき、スネアパイプ18の外側に突出されて拡開されたループ状の拡開部16aは図2(A)に示すように先端カバー17の傾斜面17aの先端開口部17bと重なる状態で離間対向配置された前方位置でループを形成する。
また、スネア16のループ状拡開部16aがスネアパイプ18の外部でループ状に拡開された時点で、先端硬質部10内の接続パイプ15の先端部はスネアパイプ18の偏平部21の基端部側に突き当たる。このとき、同時に可動パイプ30の吸引孔32は図3(A)に示す第1の位置に移動され、この第1の位置では可動パイプ30の吸引孔32は第1の気密室34に連通される。そのため、この状態では陰圧(吸引手段6からの吸引力)は吸引ルーメン12内に印加される状態で保持される。
この状態で、続いて先端カバー17の開口部17bを目標粘膜Hに当接させ、図4(A)に示すように粘膜Hを先端カバー17の開口部17bの内部に吸引する。
さらに、このままの状態で、スライダ8を手元側に引張り操作する。この操作にともないスネア16のループ状拡開部16aをスネアパイプ18に収納し、図4(B)に示すように粘膜Hを緊縛する。
続いて、スライダ8をさらに手元側に引張り操作すると、先端カバー17の開口部17b内に吸引された粘膜Hはスネア16及びスネアパイプ18のエッヂ22により図4(C)に示すように切除され、その切除片Haは先端カバー17の開口部17bの近傍位置に配置される。さらに、このとき、同時に図3(B)に示すように可動パイプ30の吸引孔32が第2の気密室35内に移動するため、吸引ルーメン12内に印加されていた陰圧はカットオフされる。
続けて、内視鏡または内視鏡用処置具1を操作して先端硬質部10を次の目標粘膜Hに誘導する。さらに、次の目標の粘膜Hの位置に到達した時点で、スライダ8を先端側に移動して、スネア16をスネアパイプ18から突き出す。このとき、同時に可動パイプ30の吸引孔32は第1の気密室34内に移動されるので、この状態で陰圧は吸引ルーメン12内に印加される。そして、このとき吸引ルーメン12内に印加される陰圧によって先端カバー17の開口部17bの近傍位置の第1の切除片Haは図7(C)中に点線で示すように先端カバー17の内部まで移動し、リトラクタ26の組織ストッパ27に突き当たる位置まで吸引される。
その後、同様の操作を必要回数繰り返すことにより、2回目以降の切除片Hbは1回目の切除片Haよりも前方位置側に順次積み重ねて配置される状態で吸着され、先端カバー17の内部に収納される。
なお、先端カバー17の内部に収納される切除片Ha,Hb,…の数は先端カバー17の内部が複数の切除片Ha,Hb,…により完全に充填され、陰圧が先端カバー17の開口部17bに印加されなくなるまで可能である。
また、所望の数の切除片Ha,Hb,…を採取後、内視鏡用処置具1を鉗子チャンネルから抜去する。その後、吸引手段6を吸引ポート5から外したのち、ツマミ29を先端側に移動して組織ストッパ27を先端カバー17から突き出し、複数採取された切除片Ha,Hb,…を順序通りに回収する。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態ではスネア16が突没するスネアパイプ18の先端に偏平な偏平部21を設けたので、スネアパイプ18の先端から外部側に突出されたスネア16のループ状拡開部16aの展開方向は常に一定で、必ず先端カバー17の傾斜面17aの先端開口部17bと重なることになる。そのため、スネア16と先端カバー17の傾斜面17aの先端開口部17bとの位置合わせを行う必要がなく、簡単な操作で確実な生体組織の採取が可能である。
さらに、シース9の先端部の先端硬質部10にはスネア16が突没するスネアパイプ18の偏平部21の開口部と、先端カバー17の傾斜面17aの先端開口部17bとが併設されているため、先端カバー17内に進入した生体組織をスネア16でただちに切除可能な生検具1を提供することができる。
また、シース9の先端部にスネアパイプ18を設けたため、パイプ18とスネア16の剪断により生体組織を切除可能である。これにより、切れ味の良い生体組織の採取が可能である。
さらに、先端カバー17の先端部に処置具1の中心軸方向に対して適宜の傾斜角θaで傾斜させた傾斜面17aを形成したので、この先端カバー17の先端開口部17bの面積をより大きく取ることができる。そのため、より大きな検体の採取が可能となる。さらに、開口部17bが処置具1の中心軸方向に対して垂直の場合よりも、スネア16の拡開、収納動作に無理がなく、作動が円滑になるという効果がある。
また、スネア16のループ状の拡開部16aを斜めに形成したので、先端カバー17の先端開口部17bの傾斜面17aとの距離が接近し、先端カバー17の先端開口部17bへの生体組織の受入れが容易になる。さらに、スネア16のループ状の拡開部16aの拡開、収納に無理がなく、作動が円滑になるという効果がある。
また、スネアパイプ18の偏平部21における先端エッヂ22と先端カバー17の先端開口部17bとが面一に形成されていることにより、先端カバー17の先端開口部17bに受け入れた生体組織を逃がすことなく切除が可能である。
また、本実施の形態では吸引手段6から発生する陰圧により先端カバー17の先端開口部17bに生体組織が引き込まれた状態で固定されるため、先端カバー17の先端開口部17bを生体組織に穿刺する必要がない。そのため、先端カバー17の先端開口部17bを格別に鋭利に形成する必要がないため、体内を傷つけることなく安全な生体組織の採取が可能である。
また、先端カバー17の内部に切除組織の収納空間を設け、複数の切除片Ha、…を収納することにより、処置具1を内視鏡から抜去することなく複数の生体組織の採取が可能である。
さらに、先端カバー17を透明性を有する素材で構成したので、切除片Haを収納したことが内視鏡の視野下で目視によって確認可能であり、採取失敗となる虞がない。また、組織ストッパ27とリトラクタ26により、複数の切除片Ha,Hb,…の回収が容易となる。
さらに、スネアパイプ18の偏平部21にエッヂ22を設けることにより、スネア16とスネアパイプ18のエッヂ22との間の剪断により、粘膜Hを切れ味良く切除することが可能である。
また、スネア16のワイヤ素材の外径寸法をφ0.1〜0.2mm程度に設定したことにより、スネア16に高周波電流を流さなくても粘膜Hの機械的切除が可能となる。
また、スネア16を超弾性特性を有する素材で構成することにより、スネア16のスネアパイプ18内への収納、あるいは生体組織の緊縛、切除を繰り返しても、スネア16の展開形状が崩れにくく、処置具1の繰返し使用に対する耐久性を向上させることができる。
また、図5(A),(B)は本発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1(A)〜(D)乃至図4(A)〜(D)参照)の内視鏡用処置具1の構成の一部を次の通り変更したものである。なお、図5(A),(B)は本実施の形態の要部構成を示すもので、同図中、第1の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付し、ここではその説明は省略する。
すなわち、本実施の形態では第1の実施の形態のシース9の基端部側の吸引手段6の代わりに外筒管11の吸引ルーメン12内に先端カバー17から突没自在な把持手段41を設けたものである。
本実施の形態の把持手段41には外筒管11の吸引ルーメン12内に摺動自在に挿通された操作ワイヤ42が設けられている。この操作ワイヤ42の先端部には先端ユニット43が配設されている。さらに、この先端ユニット43には開閉可能な1対の把持部材44と、この1対の把持部材44間を開閉操作する開閉操作機構とが組み込まれている。
そして、本実施の形態の内視鏡用処置具1の使用時には先端カバー17の先端開口部17bから外部側に把持手段41を突出させる際に、この把持手段41をスネア16のループ状拡開部16a内を通して突出させ、粘膜Hを把持する。そのまま把持手段41を手元側に移動させることにより、図5(A)に示すように先端カバー17の内部に粘膜Hを引き込む。
その後、スライダ8を手元側に引いてスネア16のループ状拡開部16aをスネアパイプ18に収納することにより、図5(B)に示すように粘膜Hを緊縛する。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態では第1の実施の形態のシース9の基端部側の吸引手段6の代わりに外筒管11の吸引ルーメン12内に先端カバー17から突没自在な把持手段41を設けたので、第1の実施の形態の吸引手段6を用いることなく、先端カバー17の内部への生体組織の引き込みが可能である。
さらに、本実施の形態では把持手段41で目標粘膜Hを把持できれば、先端カバー17の傾斜面17aの先端開口部17bを目標粘膜Hに正確に当接させる必要がないため、狙撃性が向上するという効果がある。
また、図6(A)は本発明の第3の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1(A)〜(D)乃至図4(A)〜(D)参照)の内視鏡用処置具1の構成を次の通り変更したものである。
すなわち、本実施の形態では挿入部2のシース9の外周面にスネア16を収納する外付けのスネアパイプ51を並設したものである。このスネアパイプ51の先端部は先端カバー17の先端開口部17bの位置まで延出されている。なお、これ以外の部分の構成は第1の実施の形態と同様であり、ここではその説明は省略する。
そこで、上記構成のものにあっては挿入部2のシース9の外周面に外付けのスネアパイプ51を並設したので、先端カバー17の内腔全体を検体の収納空間として使用可能となる。さらに、先端カバー17の内部に収納された切除片Ha、…がスネアパイプ51に引っかかり、傷つく等の不具合が発生する虞がない。
また、図6(B)は本発明の第4の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第3の実施の形態(図6(A)参照)の内視鏡用処置具1の構成を次の通り変更したものである。
すなわち、本実施の形態では第3の実施の形態の挿入部2のシース9と、外付けのスネアパイプ51とを一体化したマルチルーメンチューブ61を設けたものである。このマルチルーメンチューブ61には第3の実施の形態の挿入部2のシース9に相当する大きな第1のルーメン62と、外付けのスネアパイプ51に相当する小さな第2のルーメン63とが設けられている。そして、第1のルーメン62内を検体の収納空間として使用し、第2のルーメン63内にスネア16を収納するようにしたものである。なお、これ以外の部分の構成は第1の実施の形態と同様であり、ここではその説明は省略する。
そこで、上記構成のものにあっては第1のルーメン62の内部に収納された切除片Ha、…がスネアパイプ51に引っかかり、傷つく等の不具合が発生する虞がないという第3の実施の形態と同様の効果に加えて、第3の実施の形態の挿入部2のシース9と、外付けのスネアパイプ51とを一体化したマルチルーメンチューブ61を設けたことにより、部品点数が少なく、組立性を向上させることが可能である。
また、図7は本発明の第5の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1(A)〜(D)乃至図4(A)〜(D)参照)の内視鏡用処置具1の構成を次の通り変更したものである。
すなわち、本実施の形態はスネアパイプ18を先端カバー17の開口部17bから突没自在に設けたものである。ここで、スネアパイプ18は先端カバー17の内周面に適宜の支持部材を介して摺動自在に支持されている。そして、例えばスネアルーメン13とともにシース9の軸心方向に移動可能に支持されている。なお、これ以外の部分の構成は第1の実施の形態と同様であり、ここではその説明は省略する。
そして、本実施の形態の内視鏡用処置具1の使用時にはまず、先端カバー17の開口部17bからスネア16を突出させてこのスネア16のループ状拡開部16a内に粘膜Hを引き込む。
続いて、スネア16を固定したまま図7に示すようにスネアパイプ18を先端カバー17の開口部17bから突出させる。その後、スネアパイプ18の内部にスネア16を収納し、粘膜Hを緊縛する。
そこで、上記構成のものにあってはスネア16のループ状拡開部16a内に粘膜Hを引き込んだ後、粘膜Hを緊縛する際に、先端カバー17の開口部17bに対してスネア16が軸方向に移動しないため、緊縛の際に粘膜Hが滑り、逃げる虞がない。
また、図8は本発明の第6の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1(A)〜(D)乃至図4(A)〜(D)参照)の内視鏡用処置具1の構成を次の通り変更したものである。
すなわち、本実施の形態ではスネア16のループ状拡開部16aは後方側の支軸部分16bに対して傾斜されておらず(傾斜角θb=0)、代わりにスネアパイプ18の先端部分71に後方側部分72に対して所定の傾斜角θcに屈曲させた屈曲部73を設けたものである。
そして、本実施の形態の内視鏡用処置具1の使用時にはスネア16をスネアパイプ18から突出させると、屈曲部73の形状に合わせてスネア16が展開し、先端カバー17の先端開口部17bに重なる位置の前方でスネア16のループ状拡開部16aが形成される。
そこで、上記構成のものにあってはスネア16のループ状拡開部16aは後方側の支軸部分16bに対して傾斜されていない場合でも傾斜した先端カバー17の先端開口部17bとスネア16のループ状拡開部16aとを重ねることが可能である。そのため、スネア16のループ状拡開部16aを後方側の支軸部分16bに対して傾斜させた場合に比較して、屈曲の戻りがなく、またスネア16の形状崩れが起こりにくいという効果がある。
また、図9(A),(B)は本発明の第7の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1(A)〜(D)乃至図4(A)〜(D)参照)の内視鏡用処置具1の構成を次の通り変更したものである。
すなわち、本実施の形態ではシース9の外筒管11の先端部に図9(B)に示すように雄ねじ部81を設けるとともに、先端カバー17の基端部に外筒管11の雄ねじ部81に螺合されるスリーブ82を設け、シース9の外筒管11に対して先端カバー17を取り外し自在にしたものである。
そして、本実施の形態の内視鏡用処置具1の使用時には内視鏡用処置具1を内視鏡の鉗子チャンネルから抜去した後、スリーブ82を回転させて外筒管11の雄ねじ部81から外し、先端カバー17を外筒管11の先端から引き抜くことができる。そのため、先端カバー17の内部に収納される複数の切除片Ha,Hb,…を外部に露出させた状態で回収することができる。
そこで、上記構成のものにあっては軸方向に移動するリトラクタ26及び組織ストッパ27を設けなくとも、先端カバー17の内部に収納される複数の切除片Ha,Hb,…を回収できるので、切除片の回収機構の構造が簡単になるとともに、複数の切除片Ha,Hb,…の回収作業が容易となる効果がある。
また、図10および図11(A)〜(C)は本発明の第8の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実施の形態(図1(A)〜(D)乃至図4(A)〜(D)参照)の内視鏡用処置具1の構成の一部を次の通り変更したものである。なお、図10は本実施の形態の内視鏡用処置具1の全体の概略構成を示すもので、同図中、第1の実施の形態と同様の構成については同一の符号を付し、ここではその説明は省略する。
すなわち、本実施の形態では内視鏡用処置具1によって複数の切除片Ha,Hb…の切除後、内視鏡用処置具1を内視鏡の鉗子チャンネルから抜去することなく、採取された切除片Ha,Hb…を回収する回収システム101を設けたものである。この回収システム101には内視鏡用処置具1の操作部3に連結される外付けの送水装置102と、検体回収装置103とが設けられている。
ここで、本実施の形態の内視鏡用処置具1の操作部3の本体4には、挿入部2との連結部側に送水ポート104が突設されている。さらに、操作部本体4の基端部には後端開口部105が形成されている。この後端開口部105には略円筒状のスライダ106の先端部が軸方向に移動可能に挿入されている。そして、このスライダ106の後端部に回収ポート107が形成されている。
また、図11(A)〜(C)に示すように本実施の形態の内視鏡用処置具1におけるシース9内の吸引ルーメン12の基端部はスライダ106の先端部にシール部材12sを介して気密的に接続されている。そして、このスライダ106の筒内を通して回収ポート107に連通されている。さらに、図11(C)に示すようにスネアワイヤー14の基端部は操作部3内部において回収ポート107側の接続チューブ108に固着されている。
また、スネアルーメン13は気密性を有する素材で構成されており、基端部において操作部3の送水ポート104に気密的に接続されている。さらに、図11(B)に示すようにシース9の内部には他に気密性を有する素材で構成される1つ以上の送水ルーメン91が設けられている。この送水ルーメン91の先端部は先端カバー17の内部に開口され、基端部は操作部3の送水ポート104に気密的に接続される。
なお、吸引ルーメン12の内部の断面積は1.0mm2 以上が確保される。また、スネアルーメン13のスネアワイヤー14を除いた断面積と、送水ルーメン91の断面積の和は0.5mm2 以上となるように設定されている。
また、シース9は可撓性を有し、かつ圧縮、引っ張りに対して十分な強度を有する素材で構成される。例えば、ステンレス鋼線を編んで形成した筒状体の内外径をポリアミド、四弗化エチレン、四弗化エチレン六弗化プロピレン共重合体、ポリエチレン等の樹脂でコーティングして形成した強化チューブ等が適している。さらに、シース9は内視鏡の鉗子チャンネルに挿入可能な外径寸法、すなわちφ2〜4mm程度に設定されている。なお、スネアパイプ18の先端部近傍には連通孔92が設けられ、スネアルーメン13と吸引ルーメン12とが連通されている。
また、検体回収装置103には検体トラップ117が設けられている。この検体トラップ117には、内部に検体フィルタ118が取り外し自在に設置され、その底部には貯水タンク119が配設されている。そして、操作部本体4の回収ポート107にはこの検体トラップ117を介して吸引手段120が接続されている。
また、送水装置102には送水タンク121および送水ポンプ122が設けられている。そして、操作部本体4の送水ポート104には送水タンク121が接続されている。ここで、送水ポンプ122は送水ポート104と送水タンク121との間に接続され、必要に応じて作動可能となっている。なお、送水ポンプ122と送水ポート104の間にはストップバルブ123が設けられている。また、操作部3には回収ポート107の近傍部位に指掛け部124が固着されている。
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の内視鏡用処置具1の使用時には予め操作部3の送水ポート104に送水装置102が接続され、回収ポート107に検体回収装置103が接続される。そして、吸引手段120を予め作動させておく。
その後、スライダ106を手元側に引いてスネア16をスネアパイプ18に収納する。この状態で、挿入部2が内視鏡の鉗子チャンネルを通して患者の体内に挿入される。
この挿入部2の挿入作業中、内視鏡下で観察しながら、内視鏡または内視鏡用処置具1を動かして挿入部2の先端の先端硬質部10を目標の粘膜Hの位置まで誘導する。さらに、目標の粘膜Hの位置に到達した時点で、スライダ106を先端側に移動して、スネア16をスネアパイプ18から突き出し、スネア16を拡開させる。この状態で、先端カバー17の開口部17bを目標粘膜Hに当接させ、粘膜Hを先端カバー17の開口部17bの内部に吸引する。
その後、スライダ106を手元側に引いてスネア16をスネアパイプ18に収納し、粘膜Hを緊縛する(図4(B)参照)。さらに、スライダ106を手元側に引くと、先端カバー17の開口部17b内に吸引された粘膜Hはスネア16及びエッヂ22により切除され、その切除片Haは先端カバー17の開口部17bの近傍に位置する。
この状態で、ストップバルブ123を開けると、陰圧は送水ルーメン91及び連通孔92を経由してスネアルーメン13、送水ポート104に印加され、送水タンク121の水が先端カバー17の内部まで吸引される。
このとき、切除片Haは吸引された水及び先端カバー17の開口部17bから流入する空気と混入しながら吸引ルーメン12の内部に押し流され、そのまま回収ポート107まで回収される。
ここで、仮に、切除片Haが吸引ルーメン12の内部で詰まりを起こした場合には、送水ポンプ122を作動させて、送水ルーメン91、スネアルーメン13を経由して吸引ルーメン12の送水量を増加させることにより、詰まりを解除する。
また、回収ポート107を通過した切除片Haは検体フィルタ118に捕らえられ、同時に吸引された水は貯水タク119に溜められる。その後、検体フィルタ118を検体トラップ117から取り外し、切除片Haを回収する。
さらに、この1回目の切除片Haの回収作業の終了後、続けて、同様の操作を繰り返し、所望の数の検体を採取した後、内視鏡処置具1を鉗子チャンネルから抜去する。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、内視鏡用処置具1を鉗子チャンネルから抜去することなく、複数の切除片Ha,Hb…の切除、即回収が可能である。また、切除片Ha,Hb…は1つ1つ独立して回収されるため、切除片同士か混ざり、採取の順番が不明確になる、または切除片同士の判別がつかなくなるといった不具合が起こり得ないという利点がある。
また、図12(A)〜(D)は本発明の第9の実施の形態を示すものである。本実施の形態の高周波スネア131は可撓性シース132とこのシース132の基端部に連結された操作部133により構成されている。
シース132内には、操作ワイヤー134がシース132の前後方向に移動可能に設けられている。操作ワイヤー134の先端部にはスネア135が固着される。
また、操作部133は操作ワイヤー134の基端部を接続したスライダ136と、シース132の基端部を固着した操作部本体137から構成される。スライダ136には操作ワイヤー134と電気的に導通する接続端子138が設けられており、この接続端子138には図示しない高周波給電コードのコネクタが接続可能である。
また、図12(B)に示すようにシース132は、樹脂性の内チューブ139と外チューブ140との間に、多条コイル状に形成した金属線の補強部材141を挟んだ状態で貼りあわせて形成される。補強部材141により、可撓性シース132の回転力伝達能力が向上する。
可撓性シース132の先端部は偏平部142を有し、偏平部142の長径側の両端面143a,143bにスネア135の基端部側の傾斜部分144a,144bが係合するようになっている。
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態では図示しない内視鏡で体腔内を観察し、図12(C)に示すように表層病変151の存在を確認した場合は、組織部の粘膜下側に生理食塩水を注入し、病変組織部を隆起させる。
続いて、内視鏡の鉗子チャンネルを通じて高周波スネア131を体腔内に挿入し、スライダ136を押し込み、可撓性シース132の先端からスネア135を突き出し、ループ状に展開する。このとき、スネア135のループ形状の平面が病変組織部のある粘膜表面152に平行の向きであれば、その隆起部153をスネア135のループ形状内に容易に取り込むことができる。
しかし、図12(C)に示すようにスネア135のループ面が粘膜表面152に直交する関係にあると、高周波スネア131のループ内に隆起部153を簡単には取り込めない。このとき、手元側において高周波スネア131の全体を回すと、スネア135が先端部の偏平部142に係合することにより、可撓性シース132の回転に追従してスネア135も回転する。そして、図12(D)に示すようにスネア135のループ形状の平面が粘膜表面152に平行の向きになるまでシース132を回転させ、隆起部153をスネア135のループ内に取り込む。
この状態で、スライダ136を引いてスネア135を可撓性シース132内に引き込むことにより、スネア135を縮径して隆起部153の根元部分を緊縛する。ついでスネア135に高周波電流を通電することにより隆起部153の切除を行う。
そこで、上記構成のものにあっては可撓性シース132の手元側の回転操作により先端側のスネア135を確実に回転させることが可能なため、スネア135のループ平面を粘膜表面152と平行の向きにさせることが簡単かつ確実に可能となる。
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
次に、本出願の他の特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
記
(付記項1) 可撓性シースと、前記シース内部に挿通され、前記シースに対して軸方向に摺動可能な操作手段と、前記操作手段の遠位端に固着され、前記シース遠位端から突出することにより拡開可能な細い切除ワイヤーと、前記可撓性シースの近位端に設けられ、前記操作手段を押し引き操作する操作部とを有する内視鏡用処置具において、前記切除ワイヤーが突没するシース先端部断面形状が偏平であることを特徴とする内視鏡用処置具。
(付記項2) 可撓性シースと、前記シース内部に挿通され、前記シースに対して軸方向に摺動可能な操作手段と、前記操作手段の遠位端に固着され、前記シース遠位端から突出することにより拡開可能な細い切除ワイヤーと、前記可撓性シースの近位端に設けられ、前記操作手段を押し引き操作する操作部とを有する内視鏡用処置具において、前記切除ワイヤーが突没するシース先端部に鋭いエッヂが形成されていることを特徴とする内視鏡用処置具。
(付記項3) 前記切除ワイヤーが突没するシース先端部断面形状が偏平であることを特徴とする付記項2に記載の内視鏡用処置具。
(付記項4) 前記可撓性シースの遠位端に前記切除ワイヤーが突没する開口部と、生体組織を受け入れる空間とを併設したことを特徴とする付記項1〜3に記載の内視鏡用処置具。
(付記項5) 前記可撓性シースの遠位端に、遠位端に前記開口部を有する切除パイプを有することを特徴とする付記項4に記載の内視鏡用処置具。
(付記項6) 前記可撓性シースの遠位端が処置具の長手方向軸線に対して傾斜しており、かつ前記開口部が傾斜面の近位側に位置していることを特徴とする付記項4、5に記載の内視鏡用処置具。
(付記項7) 前記切除ワイヤーの拡開平面が処置具の長手方向軸線に対して傾斜していることを特徴とする付記項4〜6に記載の内視鏡用処置具。
(付記項8) 前記切除パイプが前記シースに対して軸方向に可動であることを特徴とする付記項5〜7に記載の内視鏡用処置具。
(付記項9) 前記切除パイプの遠位端が前記シースの遠位端と同一平面上に固着されていることを特徴とする付記項5〜7に記載の内視鏡用処置具。
(付記項10) 前記切除パイプの遠位端が処置具の長手方向軸線に対して傾斜していることを特徴とする付記項5〜9に記載の内視鏡用処置具。
(付記項11) 前記生体組織を受け入れる空間の近位端に、生体組織を近位側に移動させるリトラクタ手段を有することを特徴とする付記項4〜10に記載の内視鏡用処置具。
(付記項12) 前記リトラクタ手段を、前記可撓性シースの内部に設けられ、遠位端が前記生体組織を受け入れる空間に開口し、近位端が吸引源に接続される吸引管路として構成したことを特徴とする付記項11に記載の内視鏡用処置具。
(付記項13) 前記可撓性シースの近位端と前記吸引源との間に切除組織の収納空間を有することを特徴とする付記項4〜12に記載の内視鏡用処置具。
(付記項14) 遠位端が前記生体組織を受け入れる空間に開口し、近位端が送水手段に接続される送水管路を前記可撓性シースの内部に設けたことを特徴とする付記項13に記載の内視鏡用処置具。
(付記項15) 前記生体組織を受け入れる空間の近位側近傍に切除組織の収納空間を有することを特徴とする付記項4〜12に記載の内視鏡用処置具。
(付記項16) 前記切除組織の収納空間の少なくとも一部が透明性を有する素材で構成されていることを特徴とする付記項15に記載の内視鏡用処置具。
(付記項17) 前記可撓性シースの内部全長に渡り摺動自在に挿通される押し引きワイヤーと、前記押し引きワイヤーの遠位端に固着されたサンプル止めを有することを特徴とする付記項15、16に記載の内視鏡用処置具。
(付記項18) 前記組織収納部が前記可撓性シース遠位端から取り外し自在であることを特徴とする付記項15、16に記載の内視鏡用処置具。
(付記項19) 前記切除パイプの遠位端に鋭いエッヂが形成されていることを特徴とする付記項1、4〜18に記載の内視鏡用処置具。
(付記項20) 前記切除ワイヤーの外径がφ0.1〜0.2mmであることを特徴とする付記項1〜19に記載の内視鏡用処置具。
(付記項21) 前記切除ワイヤーが超弾性特性を有する素材で形成されていることを特徴とする付記項1〜20に記載の内視鏡用処置具。
(付記項22) 前記操作手段の近位側に高周波電流を通電する接続部を設けたことを特徴とする付記項1に記載の内視鏡用処置具。
(付記項1〜21の従来技術) 本発明は、経内視鏡的に生体組織を切除する内視鏡用処置具に関する。一般に、生体組織を採取する処置具として、例えば国際特許WO95/08291号公報に開示されている構成のものがある(図13(A)参照)。この処置具aは、内視鏡に挿入可能な可撓性シースbと、シースbの内部に挿通された内側チューブcと、シースbの遠位端に設けられた前向きの開口部dと、先端がループ状に拡開して開口部dを横断するように作用し、近位側は内側チューブに内部に挿通される切除ワイヤーeと、内側シースcの内部に切除組織移動のためのリトラクタfを有するものである。処置具aを内視鏡の鉗子チャンネルに挿入し、切除ワイヤーeを内側チューブc遠位端から突出、拡開させ、組織を開口部dの内部に押し込む。この後切除ワイヤーeを軸方向に移動して内側チューブcの内部に引き込むことにより、切除ワイヤーeが組織を切除する。切除した組織p1 ,p2 ,p3 ,p4 はシースb内部の組織収納空間gに格納される。切除操作を必要回数繰り返した後、処置具aを内視鏡から抜去し、リトラクタfを開口部dから突出させて複数の切除組織を回収する。
また、ヨーロッパ特許0,761,170号公報にも外筒iと、外筒iの先端で拡開する切除ワイヤーjとを有する処置具kが開示されている。外筒iの先端から切除ワイヤーjを引き込むことにより組織が切除される(図13(B)参照)。
(付記項1,22の従来技術) 本発明は可撓性を有するシースmと、高周波電流を通電して生体組織を切除する切除ワイヤーnをシースmの内部に有する内視鏡用処置具に関する。一般に、高周波電流を通電して経内視鏡的に生体組織を切除する処置具として、例えば特願平8−310664において出願された構成のものがある(図13(C)参照)。これは高周波切除ワイヤーnの向きを変える目的で、可撓性シースmの回転運動に切除ワイヤーnが追従するよう、シースmの遠位端に切除ワイヤーnが係合可能な切り込み部oを設けたものである。
(付記項1,4〜21が解決しようとする課題) しかしながら、国際特許WO95/08291号公報に開示されている構成では、切除ワイヤーeを拡開したときに切除ワイヤーeの拡開部hと開口部dとの位置が重なっている必要がある。しかしながら、処置具aを内視鏡に挿入したときにシースbが回転する虞があり、一方シースbの内部に挿入された切除ワイヤーeはシースbの回転に追従せず、処置具aを内視鏡先端から突出したときに拡開部hと開口部dの位置がずれ、組織採取が不可能となる。また、一旦ずれが生じた拡開部hと開口部dの位置を直すには拡開部hと開口部dを相対回転させる必要があり、処置が非常に煩わしくなるという問題があった。
以上の問題を解決する方法として、ヨーロッパ特許0,761,170号公報に開示されている構成がある。これは切除ワイヤーjの一端にストラップlを有し、ストラップlの一端が外筒iの外周に固定されていることにより、切除ワイヤーjの拡開方向を規制するものである。しかしながら、内視鏡の鉗子チャンネルに挿入可能な外径を確保するためには、以上の構成では複雑で適用は困難であるという問題がある。
本発明は簡単な構成で、切除ワイヤーの拡開方向と外側シース開口部の方向を一致させることが可能な内視鏡用処置具を提供することを目的とする。
(付記項2〜21が解決しようとする課題) 国際特許WO95/08291号公報に開示されている構成では、切除ワイヤーeの拡開部hの縮径により、組織を緊縛、剪断切除する。しかしながら、切除ワイヤーeは細く、組織を切除する機能を有するが、最終的な切除は切除ワイヤーeの一部と、切除ワイヤーeを挿通したパイプcの遠位端面の一部により行われる。同様にヨーロッパ特許0,761,170号公報に開示されている構成では、切除ワイヤーjの一部と、外筒iの遠位端面の一部により行われる。よって、切除の瞬間、組織は切除ワイヤーjと遠位端面の一部に挟まれ、つぶれが生じ、切除断端が座滅して組織診断に支障を来たすといった問題点があった。
本発明は簡単な構成で、切れ味が良く、切除断端に座滅を生じない内視鏡用処置具を提供することを目的とする。
(付記項1が解決しようとする課題) 特願平8−310664において出願された構成のものは、シースmの遠位端に切除ワイヤーnが係合可能な切り込み部oを設けたため、シースmの先端に少なからずエッヂが生じ、内視鏡に挿入中に鉗子チャンネル、あるいは体腔内で粘膜を傷つける虞があった。
本発明はシース先端に切り込み部を設けなくとも、シースの回転運動に切除ワイヤーが追従する効果が得られる内視鏡用処置具を提供することを目的とする。
(付記項1、4〜21の課題を解決するための手段) 本発明の内視鏡用処置具は、可撓性シースと、シース内部に挿通され、シースに対して軸方向に摺動可能な操作手段と、操作手段の遠位端に固着され、シース遠位端から突出することにより拡開可能な細い切除ワイヤーと、可撓性シースの近位端に設けられ、操作手段を押し引き操作する操作部とを有する内視鏡用処置具において、前記切除ワイヤーが突没する先端部断面形状が偏平であることを特徴とする。
内視鏡用処置具を内視鏡の鉗子チャンネルを通して患者の体内に挿入し、切除ワイヤーを拡開する。偏平部の長径方向の内面に切除ワイヤーが係合し、シース遠位端において、切除ワイヤーはシースに対して回転せず、常に一定の方向に突出する。切除ワイヤーの拡開部に目標の組織を引き込む。そのまま切除ワイヤーを軸方向に作動させ、切除ワイヤーにより組織を緊縛、切除する。内視鏡用処置具を鉗子チャンネルから抜去する。
(付記項2、19の課題を解決するための手段) 本発明は切除ワイヤーの突没するシース遠位端部にエッヂを設けたことを特徴とする。
内視鏡用処置具を内視鏡の鉗子チャンネルを通して患者の体内に挿入し、切除ワイヤーの拡開部に組織を引き込む。そのまま切除ワイヤーを軸方向に作動させ、切除ワイヤーとエッヂにより組織を剪断切除する。内視鏡用処置具を鉗子チャンネルから抜去する。
(付記項1,22の課題を解決するための手段) 本発明は高周波電流を通電して生体組織を切除する内視鏡用処置具において、切除ワイヤーが突没するシース遠位端の断面形状が偏平であることを特徴とする。切除ワイヤーが偏平な開口部で拡開することにより、シースを回転したときに切除ワイヤーが追従し、拡開部の向きを組織を取り込み易い向きに位置させることができる。
(付記項1、3,22の効果) 切除ワイヤーが突没する可撓性シースの先端部断面形状が偏平であるため、切除ワイヤーが遠位端に係合し、切除ワイヤーのループ平面は可撓性シースに対して常に一定の位置関係を保つ。これにより、ループ平面を必ずシース遠位端と重ねることが可能なため、切除ワイヤーとシース遠位端との位置合わせを行う必要がなく、簡単な操作で確実な組織採取が可能である。また、シース先端に切り込み等を設けて切除ワイヤーの位置を規制する方法に比較して、内視鏡の鉗子チャンネルや体腔内に傷を付ける危険性が小さいという効果がある。
(付記項4の効果) 可撓性シースの遠位端に切除ワイヤーが突没する開口部と、生体組織を受け入れる空間が併設されているため、生体組織を受け入れる空間内に進入した生体組織を切除ワイヤーでただちに切除可能な生検具を提供することができる。
(付記項5の効果) 可撓性シースの遠位端に切除パイプを設けたため、パイプと切除ワイヤーの剪断により生体組織を切除可能である。これにより、切れ味の良い組織採取が可能である。
(付記項6の効果) 可撓性シースの遠位端を斜めに形成することにより、開口部の面積をより大きく取ることかでき、より大きな検体の採取が可能となる。また遠位端が軸線に対して垂直の場合よりも、切除ワイヤーの拡開、収納に無理がなく、作動が円滑になるという効果がある。
(付記項7の効果) 切除ワイヤーの拡開部を斜めに形成することにより、開口部の傾斜面との距離が接近し、組織の生体組織を受け入れる空間への受入れが容易になる。また切除ワイヤーの拡開、収納に無理がなく、作動が円滑になるという効果がある。
(付記項8の効果) 切除ワイヤーが開口部に対して軸方向に移動しないため、緊縛の際に粘膜が滑り、逃げる虞がない。
(付記項9の効果) 切除パイプ遠位端と開口部が面一に形成されていることにより、生体組織を受け入れる空間に受け入れた組織を逃がすことなく切除が可能である。
(付記項10の効果) 切除ワイヤーが屈曲部を有さずとも、傾斜した開口部と切除ワイヤーを重ねることが可能である。切除ワイヤーに屈曲部を設けたときに比較して、屈曲の戻りがなく、また切除ワイヤーの形状崩れが起こりにくいという効果がある。
(付記項11、12の効果) 吸引手段から発生する陰圧により生体組織を受け入れる空間に組織が引き込まれるため、可撓性シース遠位端を組織に穿刺する必要がなく、よって遠位端を鋭利に形成する必要がないため、体内を傷つけることなく安全な組織採取が可能である。
(付記項13、14の効果) 内視鏡用処置具を鉗子チャンネルから抜去することなく、複数の切除片の切除、即回収が可能である。また、切除片は1つ1つ独立して回収されるため、切除片同士が混ざり、採取の順番が不明確になる、または切除片同士の判別がつかなくなるといった不具合が起こり得ないという利点がある。
(付記項15の効果) 生体組織を受け入れる空間の近位端に切除組織の収納空間を設け、複数の切除片を収納することにより、処置具を内視鏡から抜去することなく複数の組織採取が可能である。
(付記項16の効果) 生体組織を受け入れる空間の一部が透明性を有する素材で構成されていることにより、切除片を収納したことが内視鏡視野下で確認可能であり、採取失敗を未然に防ぐことが出来る。
(付記項17の効果) サンプル止めと押し引きワイヤーにより、収納部内の複数の切除片の回収が容易である。
(付記項18の効果) 軸方向に移動するサンプル止めと押し引きワイヤーを設けなくとも、収納部内の複数の切除片の回収が容易であるため、構造が簡単になるという効果がある。
(付記項2、19の効果) エッヂを設けるにより、切除ワイヤーとの剪断により粘膜を切れ味良く切除することが可能である。
(付記項20の効果) 切除ワイヤーの外径をφ0.1〜0.2mmとすることにより、切除ワイヤーに高周波電流を流さなくても粘膜の機械的切除が可能となる。
(付記項21の効果) 切除ワイヤーを超弾性特性を有する素材で構成することにより、切除ワイヤーの開閉操作、あるいは組織の緊縛、切除を繰り返しても、切除ワイヤーの展開形状が崩れにくく、処置具の繰返し使用に対する耐久性を向上させることができる。
132…可撓性シース、133…操作部、134…操作ワイヤー(操作手段)、135…スネア(切除ワイヤー)、142…偏平部(ループ拡開方向規制手段)、144a,144b…傾斜部分(ループ)。