JP5281983B2 - クリープ誤差補償装置及びクリープ誤差補償方法 - Google Patents

クリープ誤差補償装置及びクリープ誤差補償方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5281983B2
JP5281983B2 JP2009177409A JP2009177409A JP5281983B2 JP 5281983 B2 JP5281983 B2 JP 5281983B2 JP 2009177409 A JP2009177409 A JP 2009177409A JP 2009177409 A JP2009177409 A JP 2009177409A JP 5281983 B2 JP5281983 B2 JP 5281983B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
function
creep error
creep
signal
compensation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009177409A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011033374A (ja
Inventor
晃嗣 大塚
明生 広瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamato Scale Co Ltd
Original Assignee
Yamato Scale Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamato Scale Co Ltd filed Critical Yamato Scale Co Ltd
Priority to JP2009177409A priority Critical patent/JP5281983B2/ja
Publication of JP2011033374A publication Critical patent/JP2011033374A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5281983B2 publication Critical patent/JP5281983B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、ロードセル等の重量検出手段で検出された重量信号のクリープ誤差を補償するためのクリープ誤差補償装置及びクリープ誤差補償方法に関する。
ロードセル等に負荷された荷重を電気信号である重量信号に変換して出力する重量検出手段においては、荷重を負荷すると時間経過とともに重量が増加又は減少していくクリープ誤差が生じることが知られている。このようなクリープ誤差を軽減するために重量検出手段を構成する材料や構造等を改良することも行われているが、十分ではない。
そこで、近年では、デジタル回路にクリープ誤差を含む重量信号(クリープ誤差曲線)を入力して、補償関数を利用してクリープ誤差を含む重量信号からクリープ誤差の成分を除去する方法が開発されている。例えば、特許文献1及び2には、二次関数を補償関数として使用し、クリープ誤差を補償する方法が開示されている。また、特許文献3には、一次遅れ系のステップ応答関数を補償関数として使用し、クリープ誤差を補償する方法が開示されている。さらに、特許文献4には、重量信号に応じて1つの伝達関数(補償関数に相当する)において補償関数を決定するパラメータであるクリープ係数を変更して、クリープ誤差を補償する方法が開示されている。また、特許文献5には、クリープ係数の異なる複数の補償関数を経過時間に従って切り換える方法が開示されている。
特開平10−90047号公報 特開平10−90048号公報 特開平11−2573号公報 特開2009−53211号公報 特開2009−63403号公報
しかし、実際のクリープ誤差曲線は、一般的に、荷重負荷開始直後は一次遅れ系のステップ応答関数に近い曲線を示すものの、一定時間経過後は所定の傾きで線形に増加する(漸増する)傾向を示すことが多い。従って、特許文献1から4に開示されているような1つの補償関数を用いる方法ではクリープ誤差を精確に補償することができない。また、特許文献5に開示されているような複数の補償関数を経過時間に従って切り換える方法では、補償関数を切り換えるタイミングを正確に検出する必要があり、パラメータの演算が複雑となるため、重量検出手段を備えた計量器の制御装置によっては演算が困難な場合がある。さらに、クリープ誤差の補償は、リアルタイムに処理することが求められるため、複雑な演算を行うことにより時間が多くかかってしまうのは好ましくない。
本発明は、以上のような課題を解決すべくなされたものであり、比較的簡単な演算で、クリープ誤差を高精度に補償することができるクリープ誤差補償装置及びクリープ誤差補償方法を提供することを目的とする。
本発明に係るクリープ誤差補償装置は、重量検出手段で検出された荷重に対応する重量信号のクリープ誤差を補償するクリープ誤差補償装置であって、前記重量検出手段で検出された荷重に対応する重量信号から所定時間範囲におけるクリープ誤差出力をクリープ誤差成分信号として生成するクリープ誤差成分信号生成手段と、前記クリープ誤差成分信号を線形関数と単位時間あたりの増加率の絶対値が時間経過に応じて減少していく飽和関数とによって近似し、前記線形関数と前記飽和関数とを前記所定時間範囲の全域で加算した補償関数を演算する補償関数演算手段と、被処理信号である前記重量信号から前記補償関数を差し引いた既補償信号を出力する既補償信号生成手段とを備えている。
上記構成によれば、2つの関数をクリープ誤差成分信号の時間範囲の全域で加算した関数を補償関数として用いるため、被処理信号により近似した関数を得ることができ、比較的簡単な演算で、クリープ誤差をより高精度に補償することができる。すなわち、線形関数と飽和関数とを加算することにより、重量検出手段に荷重が負荷された直後の重量の増加率が比較的大きい領域において飽和関数の特性が利用でき、その後の重量が漸増する領域において線形関数の特性が利用できるため、補償関数を被処理信号中のクリープ誤差信号に高精度に近似することができ、クリープ誤差をより高精度に補償することができる。また、演算量を比較的に少なくすることができるため、時間遅延を生じることなくリアルタイムに補償処理を行うことができる。
前記補償関数は、前記線形関数と前記飽和関数とを前記時間範囲の全域で重み付け加算したものであってもよい。この場合、線形関数と飽和関数とを重み付け加算して補償関数が演算されるため、クリープ誤差成分信号の特性に応じて重み付けを変更することにより、クリープ誤差をより高精度に補償することができる。すなわち、荷重負荷直後の増加率特性が大きく漸増特性が小さいクリープ誤差特性を有する被処理信号に対しては、線形関数の重みを小さくするとともに飽和関数の重みを大きくすることにより、高精度に近似することができる。また、荷重負荷直後の増加率特性が小さく漸増特性が大きいクリープ誤差特性を有する被処理信号に対しては、線形関数の重みを大きくするとともに飽和関数の重みを小さくすることにより、高精度に近似することができる。
前記飽和関数は、一次遅れ系のステップ応答関数であってもよい。
前記補償関数fは、以下の式で表され得る。
Figure 0005281983
ここで、iは前記クリープ誤差成分信号のサンプリング時間における単位要素であり、前記時間範囲における時刻t(0≦t≦T)とサンプリング間隔dとを用いてi=t/d(0≦i≦iMAX=T/d)を満たす変数、kは重み係数(0≦k≦1)、gは前記線形関数、hは前記飽和関数、MCEは前記所定時間範囲(0≦t≦T)におけるクリープ誤差成分信号の最大発生量、及び、τは時定数をそれぞれ示す。
上記構成によれば、所定時間範囲におけるクリープ誤差成分信号に基づいて線形関数g及び飽和関数hが算出されるため、被処理信号である重量信号に高精度に近似する補償関数を容易に演算することができる。
また、前記補償関数演算手段は、前記重み係数k及び前記時定数τの少なくとも何れか一方を変数として用いて、以下の式で表される評価関数E(k,τ)が最小となるように、前記補償関数fにおける前記重み係数k及び前記時定数τを決定してもよい。
Figure 0005281983
ここで、Sは前記クリープ誤差成分信号を示す。
この場合、上記のような評価関数を用いて重み係数k及び時定数τが決定されるため、経験則等を適用することなく、容易に補償関数fを演算することができる。従って、補償関数演算手段を簡単な演算処理装置で容易に実現することができる。
また、前記クリープ誤差成分信号生成手段は、前記所定時間範囲の終期を、前記重量信号wが前記所定時間範囲の始期における値wに対して以下の式を満足したときとして設定するように構成してもよい。
Figure 0005281983
ここで、Aは所定の目標クリープ誤差補償精度値を示し、Bは前記重量検出手段に固有の飽和クリープ量を示す。
これによれば、所定時間範囲の終期が所定時間範囲の始期における重量信号値wに対する重量信号wの増加量の比から設定される。すなわち、要求される目標クリープ誤差の補償精度内となるように、重量検出手段に固有の飽和クリープ量を用いて所定時間範囲を決定することにより、要求されるクリープ誤差の補償精度を満足しつつ所定時間範囲すなわちクリープ誤差の補償に必要なサンプリング時間を短くすることができる。なお、重量検出手段に固有の飽和クリープ量とは、定格重量の荷重を負荷した状態で十分な時間が経過した際のクリープ誤差出力値を意味する。
また、本発明に係るクリープ誤差補償方法は、重量検出手段で検出された荷重に対応する重量信号のクリープ誤差を補償するクリープ誤差補償方法であって、前記重量検出手段で検出された荷重に対応する重量信号から所定時間範囲におけるクリープ誤差出力を抽出し、クリープ誤差成分信号として生成するクリープ誤差成分信号生成ステップと、前記クリープ誤差成分信号を線形関数と単位時間あたりの増加率の絶対値が減少していく飽和関数とによって近似し、前記線形関数と前記飽和関数とを前記所定時間範囲の全域で加算した補償関数を演算する補償関数演算ステップと、被処理信号である前記重量信号から前記補償関数を差し引いた既補償信号を出力する既補償信号生成ステップとを含んでいる。
上記方法によれば、2つの関数をクリープ誤差成分信号の時間範囲の全域で加算した関数を補償関数として用いるため、被処理信号により近似した関数を得ることができ、比較的簡単な演算で、クリープ誤差をより高精度に補償することができる。すなわち、線形関数と飽和関数とを加算することにより、重量検出手段に荷重が負荷された直後の重量の増加率が比較的大きい領域において飽和関数の特性が利用でき、その後の重量が漸増する領域において線形関数の特性が利用できるため、補償関数を被処理信号に高精度に近似することができ、クリープ誤差をより高精度に補償することができる。また、演算量を比較的に少なくすることができるため、時間遅延を生じることなくリアルタイムに補償処理を行うことができる。
本発明は以上に説明したように構成され、比較的簡単な演算で、クリープ誤差を高精度に補償することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係るクリープ誤差補償装置が適用された計量器の概略構成を示すブロック図である。 重量検出手段の出力信号例を模式的に示すグラフである。 本実施形態におけるクリープ誤差補償方法を示す制御フローチャートである。 重量信号出力を補償関数で補償する概念を示す図である。 クリープ誤差成分を2つの関数によって近似するための概念を示す図である。 本実施形態における補償関数を決定するための制御方法を示すフローチャートである。 クリープ誤差成分信号に対する補償関数及び一次遅れ系のステップ応答関数を比較して示す図である。 重量検出手段で検出された重量信号に対し、補償関数を用いてクリープ誤差を補償した際の重量波形を示す図である。 荷重の負荷が繰り返された重量信号に対し、補償関数を用いてクリープ誤差を補償した際の重量波形の一例を示す図である。 荷重の負荷及び除荷が繰り返された重量信号に対し、補償関数を用いてクリープ誤差を補償した際の重量波形の他の例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
まず、本発明の一実施形態に係るクリープ誤差補償装置が適用された計量器の概略構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るクリープ誤差補償装置が適用された計量器の概略構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、本実施形態の計量器は、負荷される荷重に応じた重量信号を出力する重量検出手段1と、重量検出手段1で出力された重量信号が入力されるクリープ誤差補償装置2と、クリープ誤差補償装置2でクリープ誤差が補償された重量値を表示する表示装置3とを備えている。重量検出手段1は、例えばロードセル及びAD変換器等から構成され、ロードセル等に負荷された荷重を電気信号である重量信号に変換して出力する。ロードセルは、例えば歪みゲージ式のロードセルであり、金属製の起歪体と、当該起歪体に取り付けられた歪みゲージとを備えており、荷重が負荷されることによる起歪体の歪み量を歪みゲージで検出するように構成されている。
クリープ誤差補償装置2は、例えば、各種演算を行う制御部21及び各種演算の結果を記憶する記憶部22を有する制御基板を備えている。クリープ誤差補償装置2は、例えば、マイクロコンピュータを備えており、制御部21には、例えばこのマイクロコンピュータのCPUが用いられる。記憶部22には、例えばこのマイクロコンピュータの内部メモリが用いられる。制御部21と記憶部22とは相互に接続されている。
また、記憶部22には制御プログラムが格納されている。制御部21は、記憶部22に格納された制御プログラムを読み出して実行することにより、演算等の処理や制御を行う。具体的には、制御部21は、重量検出手段1から重量信号を受け取り、この重量信号に対してクリープ誤差の補償処理を行い、補償処理後の重量信号を表示装置3に送って、表示装置3に重量値を表示させる。換言すると、制御部21は、クリープ誤差成分信号生成手段21a、補償関数演算手段21b、及び既補償信号生成手段21cとして機能する。
なお、本実施形態においては1つの制御基板でクリープ誤差補償装置2を構成しているが、本発明は同様の制御を行い得る限りこれに限られない。即ち、例えば、各種制御に応じて複数の制御基板を設け、その複数の制御基板でクリープ誤差補償装置2を構成してもよい。また、このクリープ誤差補償装置2を、必ずしも計量器に備える必要はなく、例えば、パソコン等を外部のクリープ誤差補償装置2として接続することにより当該外部のクリープ誤差補償装置2で制御することとしてもよい。
ここで、本実施形態のクリープ誤差補償方法について説明する。まず、重量検出手段1で生じ得るクリープ誤差について説明する。図2は、重量検出手段の出力信号例を模式的に示すグラフである。図2においては、横軸が経過時間を示し、縦軸が重量信号出力を示している。
クリープ誤差は、所定の重量の被計量物を計量し続けていると時間経過に応じて重量信号出力が増加(ポジティブクリープ)又は減少(ネガティブクリープ)する現象である。図2(a)では比較的一次遅れ系のステップ応答関数に近い誤差増加又は減少特性を示し、図2(c)では比較的線形関数に近い誤差増加又は減少特性を示し、図2(b)では図2(a)及び図2(c)の中間的な特性を示している。
以下に、ポジティブクリープ誤差を補償するための制御フローについて説明する。なお、ネガティブクリープ誤差を補償する場合も符号が変化するだけで基本的に同じである。図3は、本実施形態におけるクリープ誤差補償方法を示す制御フローチャートである。また、図4及び図5は、本実施形態におけるクリープ誤差補償方法を説明するためのグラフである。図4は、重量信号出力を補償関数で補償する概念を示す図であり、図5は、クリープ誤差成分を2つの関数によって近似するための概念を示す図である。
図4に示されるように、被処理信号である重量信号wは、荷重が負荷された直後、適正重量値(クリープ誤差0の状態)を示し(t=0)、その後、時間経過とともにクリープ誤差が増加する。クリープ誤差の増加率は、時刻t=T付近で0に近づいている。このような重量信号の0≦t≦Tの時間範囲において、重量信号から図4の破線で示す関数fを差し引くことにより、重量信号は常に適正重量値となる既補償信号Rとなる。このような既補償信号Rを得るための方法を以下に説明する。
計量器の初期設定時等において、予め重量が知られている荷重を重量検出手段1に負荷することにより、当該重量検出手段1により検出された重量信号wから補償関数fが演算される。まず、制御部21は、クリープ誤差成分信号生成手段21aとして機能し、重量検出手段1から入力された重量信号wのうちの所定時間範囲(0≦t≦T=1800sec)における信号をクリープ誤差成分信号Sとして生成する(ステップS1)。これにより、重量信号wからクリープ誤差出力のみが抽出される。すなわち、図5(a)に示されるような、時刻t=0のときの重量信号出力を0としたクリープ誤差の変化曲線が得られる。本実施形態においては、最大時刻Tを1800secとしている。これは、一般的に重量信号のクリープ誤差の増加率が0に近づく(飽和する)時間が約30分であることを基準にしている。すなわち、時刻Tは、重量検出手段1の持つクリープ誤差特性に基づいて対象となる重量信号のクリープ誤差の増加率が飽和する時間に設定することが好ましい。
次に、制御部21は、補償関数演算手段21bとして機能し、クリープ誤差成分信号Sを線形関数gと単位時間あたりの増加率の絶対値が減少していく飽和関数hとによって近似する(ステップS2及びステップS3)。この近似は、種々の手法を適用することができる。以下では、クリープ誤差成分信号Sを上記線形関数gと上記飽和関数hとによって近似する手法を例示する。
これは、発明者らが鋭意研究の末、図5(a)に示されるようなクリープ誤差曲線(クリープ誤差成分信号S)が、荷重負荷直後に急峻に立ち上がり、その後、増加率が比較的短時間で小さくなる飽和関数h(図5(c))と、時間範囲にわたって緩やかに増加する線形関数g(図5(b))とを組み合わせたものによく近似されるという知見を得たものである。そして、発明者らは、この知見に基づいて、クリープ誤差成分信号Sを線形関数gと飽和関数hとに近似的に分解することでクリープ誤差補償を容易に行うことができる本発明をなしたものである。制御部21は、得られたクリープ誤差成分信号Sに対して最適な線形関数g及び飽和関数hを演算する。詳しくは後述する。
続いて、補償関数演算手段21bとして機能する制御部21は、線形関数gと飽和関数hとを時間範囲(0≦t≦T)の全域で加算した補償関数fを演算する(ステップS4)。本実施形態における補償関数fは、線形関数gと飽和関数hとを時間範囲(0≦t≦T)の全域で重み付け加算したものである。この場合、線形関数gと飽和関数hとを重み付け加算して補償関数fが演算されるため、クリープ誤差出力の特性に応じて重み付けを変更することにより、クリープ誤差をより高精度に補償することができる。すなわち、図2(a)に示すような荷重負荷直後の増加率特性が大きく漸増特性が小さいクリープ誤差出力特性を有する被処理信号wに対しては、線形関数gの重みを小さくするとともに飽和関数hの重みを大きくすることにより、高精度に近似することができる。また、図2(c)に示すような荷重負荷直後の増加率特性が小さく漸増特性が大きいクリープ誤差出力特性を有する被処理信号wに対しては、線形関数gの重みを大きくするとともに飽和関数hの重みを小さくすることにより、高精度に近似することができる。
その後、制御部21は、既補償信号生成手段21cとして機能し、被処理信号である重量信号wから補償関数fを差し引いた既補償信号Rを表示装置3へ出力する(ステップS5)。線形関数gと飽和関数hとを時間範囲の全域で加算した補償関数fは、理想的には、クリープ誤差成分信号Sと略同じ波形となるため、クリープ誤差成分信号Sと同じ時間範囲において同じ波形を有する重量信号wから補償関数fを差し引くと誤差0となる。なお、得られた補償関数fは、当該補償関数fを演算するために重量検出手段1に負荷した重量値と異なる重量の荷重を負荷した場合でもクリープ誤差が高精度に補償される。すなわち、負荷される荷重に拘わらずクリープ誤差が高精度に補償される。
上述のように、2つの関数g,hをクリープ誤差成分信号Sの時間範囲(0≦t≦T)の全域で加算した関数を補償関数fとして用いるため、被処理信号である重量信号wにより近似した関数を得ることができ、比較的簡単な演算で、クリープ誤差をより高精度に補償することができる。すなわち、線形関数gと飽和関数hとを加算することにより、重量検出手段1に荷重が負荷された直後の重量の増加率が比較的大きい領域において飽和関数hの特性が利用でき、その後の重量が漸増する領域において線形関数gの特性が利用できるため、補償関数fを被処理信号wに高精度に近似することができ、クリープ誤差をより高精度に補償することができる。また、演算量を比較的に少なくすることができるため、時間遅延を生じることなくリアルタイムに補償処理を行うことができる。
以下、本実施形態における補償関数fのより具体的な決定方法について説明する。図6は、本実施形態における補償関数を決定するための制御方法を示すフローチャートである。
図6に示すように、まず、制御部21は、クリープ誤差成分信号生成手段21aとして機能し、重量検出手段1から入力された重量信号から所定時間範囲(0≦t≦T=1800sec)におけるクリープ誤差出力を抽出し、クリープ誤差成分信号Sとして生成する。本実施形態においては、クリープ誤差成分信号Sは、重量信号wにおいてクリープ誤差成分が生じる直前(すなわち、重量信号wが適正重量値wであるとき)からサンプリング間隔dごとに重量信号をサンプリングしたサンプリング要素i(0≦i≦iMAX)のデータ系列である。なお、サンプリング要素iは、i=t/dを満たす。
具体的には、まず、初期設定としてサンプリング要素i=0とする(ステップS11)。続いて、制御部21は、i=0における重量信号出力wをサンプリングした上で、i=0におけるクリープ誤差出力をS=0に設定する(ステップS12)。その後、制御部21は、サンプリング要素iがi=iMAXとなったか否かを判断する(ステップS13)。サンプリング要素iがi=iMAXでない場合(ステップS13でNo)、サンプリング要素iに1を加えた後(ステップS14)、サンプリング要素i+1における重量信号出力をサンプリングし、i=0における重量信号出力wを当該サンプリング値wから減じて得られたクリープ誤差出力S=w−wを演算する(ステップS12)。これをサンプリング要素iがi=iMAXとなるまで繰り返す(ステップS12〜S14)。すなわち、制御部21は、時間範囲(0≦t≦T)においてサンプリング間隔dごとに重量信号出力wをサンプリングし、クリープ誤差出力Sを演算する。このようにして演算されたデータ系列がクリープ誤差成分信号Sとして生成され、記憶部22に記憶される。
サンプリング要素iがi=iMAXとなった場合(ステップS13でYes)、制御部21は、サンプリング要素i=iMAXにおける重量信号出力SiMAXをクリープ誤差成分信号の最大発生量MCEとして算出する(ステップS5)。図5(a)に示されるように、クリープ誤差は、一般的に、時間経過とともに増加するため、時間範囲(0≦t≦T)における最初のサンプリング要素i=0におけるクリープ誤差出力Sが当該時間範囲におけるクリープ誤差成分信号Sの最小値となり、時間範囲(0≦t≦T)における最後のサンプリング要素i=iMAXにおけるクリープ誤差出力SiMAXが当該時間範囲におけるクリープ誤差成分信号Sの最大値となる。従って、時間範囲(0≦t≦T)におけるクリープ誤差成分信号の最大発生量MCEは、MCE=SiMAXで求められる。
なお、クリープ誤差が時間範囲(0≦t≦T)の途中の時間で最大発生量となる(その後、クリープ誤差が減少する)ことが想定される場合には、時間範囲(0≦t≦T)におけるクリープ誤差成分信号の最大発生量MCEをそのときのクリープ誤差信号Sの出力としてもよい。
また、時間範囲(0≦t≦T)の終期t=Tを、重量信号wが時間範囲(0≦t≦T)の始期t=0における値wに対して以下の式(1)を満足したときとして設定してもよい。
Figure 0005281983
ここで、Aは所定の目標クリープ誤差補償精度値を示し、Bは重量検出手段1に固有の飽和クリープ量を示す。
この場合、時間範囲(0≦t≦T)の終期t=Tが時間範囲(0≦t≦T)の始期t=0における重量信号値wに対する重量信号wの増加量(すなわち、クリープ誤差信号値S)の比から設定される。言い換えれば、要求される目標クリープ誤差の補償精度内となるように、重量検出手段1に固有の飽和クリープ量Bを用いて時間範囲(0≦t≦T)が決定される。例えば、定格重量3000gの荷重を負荷した状態で十分な時間(例えば30分)が経過した際の重量信号出力値が3010gとなる重量検出手段1において、目標クリープ誤差の補償精度をA=1/3000(1g以下のクリープ誤差は許容する)に設定するとともに飽和クリープ量B=10gに設定する。その上で、3kgの荷重を負荷した場合(w=3000g)、重量信号wの値が3009g以上(すなわち、クリープ誤差信号値S=w−wが9g以上)となった場合に式(1)を満たすこととなる。従って、このときの時間tに基づいて時間範囲(0≦t≦T)の終期Tを設定することができる。すなわち、式(1)を満たすwが得られた時間t以降の時間を時間範囲(0≦t≦T)の終期T(T≧t)に設定する。これにより、要求されるクリープ誤差の補償精度を満足しつつ時間範囲(0≦t≦T)すなわちクリープ誤差の補償に必要なサンプリング時間を短くすることができる。また、クリープ誤差成分信号生成手段21aとして機能する制御部21に、重量信号wの値ごとに式(1)の左辺を演算し、目標クリープ誤差補償精度値Aと比較させることにより、クリープ誤差補償装置2において、目標クリープ誤差補償精度値Aに基づいて自動的に時間範囲(0≦t≦T)を決定することができる。
本実施形態における線形関数gは、上記で求められたMCEを用いて以下の式で表される。
Figure 0005281983
また、本実施形態における飽和関数hは、一次遅れ系のステップ応答関数であって、上記で求められたMCEを用いて以下の式で表される。
Figure 0005281983
ここで、τは時定数(0≦τ≦T)を示す。
さらに、本実施形態における補償関数fは、以下の式で表される。
Figure 0005281983
ここで、kは重み係数(0≦k≦1)を示す。
上記式(2)〜(4)の重み係数k及び時定数τを最適に決定することにより、クリープ誤差成分信号Sに高精度に近似する補償関数fを得ることができる。具体的には、重み係数kを増加させることにより、荷重負荷直後の増加率特性が小さくなり且つ漸増特性が大きくなるため、図2(c)に示すような被処理信号wから抽出されるクリープ誤差成分信号Sに補償関数fを近似させることができ、重み係数kを減少させることにより、荷重負荷直後の増加率特性が大きくなり且つ漸増特性が小さくなるため、図2(a)に示すような被処理信号wから抽出されるクリープ誤差成分信号Sに補償関数fを近似させることができる。また、時定数τを変更することにより重量検出手段1に荷重が負荷された直後の重量の増加率が比較的大きい領域における傾きを変化させることができる。このように、時間範囲におけるクリープ誤差成分信号の最大発生量MCEに基づいて線形関数g及び飽和関数hが算出されるため、クリープ誤差成分信号Sに高精度に近似する補償関数fを容易に演算することができる。
本実施形態において、補償関数演算手段21bとして機能する制御部21は、次式で表される評価関数E(k,τ)が最小となる重み係数k及び時定数τを補償関数fにおける重み係数k及び時定数τとして決定する。次式で表される評価関数E(k,τ)は、クリープ誤差成分信号Sと補償関数fとの二乗誤差の総和を示す関数である。
Figure 0005281983
詳しく説明すると、まず、図6に示すように、重み係数k及び時定数τの初期値として0を採用し、当該値を上記式(5)の評価関数E(k,τ)に代入したE(0,0)を評価関数E(k,τ)の最小値EMINに設定し、記憶部22に記憶する(ステップS16)。なお、本実施形態においては重み係数kは0から1までの間で所定の重み係数間隔kstep毎(例えばkstep=0.01)だけ増加する値をとり得る係数であり、時定数τは0からT=1800secの間で所定の時定数間隔τstep(例えばτstep=1sec)だけ増加する値をとり得る係数である。
制御部21は、重み係数kが1以下であるか否かを判断し(ステップS17)、重み係数kが1を超えない限り(ステップS17でYes)、重み係数kに所定の重み係数間隔kstepが加えられる(ステップS18)。続いて、制御部21は、時定数τがT以下であるか否かを判断し(ステップS18)、時定数τがTを超えない限り(ステップS18でYes)、時定数τに所定の時定数間隔τstepが加えられる(ステップS20)。制御部21は、このように更新された重み係数k及び時定数τを評価関数E(k,τ)に代入し、E(k,τ)の値を演算する(ステップS21)。
制御部21は、代入されたE(k,τ)の値と記憶部22に記憶されているEMINと比較する(ステップS22)。そして、代入されたE(k,τ)の値が、記憶されているEMINより小さい場合(ステップS22でYes)には、当該E(k,τ)の値を最小値EMINの値として更新し、記憶部22に記憶する(ステップS23)。さらに、このときの重み係数kの値及び時定数τの値を最小値kMIN及びτMINの値として記憶部22に記憶する(ステップS24)。これに対し、代入されたE(k,τ)の値が、記憶されているEMINより大きい場合(ステップS22でNo)には、EMIN、kMIN及びτMINの値は更新しない。
この後、制御部21は、時定数τの値を変化させながら、時定数τがT=1800secを超えるまでE(k,τ)の値を演算し、より小さいE(k,τ)の値が存在すればその時のE(k,τ)、k及びτの値をEMIN、kMIN及びτMINとして記憶させる(ステップS19〜S24)。そして、時定数τがT=1800secを超えた場合(ステップS19でNo)、時定数τを0に戻すとともに(ステップS25)、前回の重み係数kに重み係数間隔kstepを加えた新しい重み係数kを用いて、時定数τの値を変化させながら、E(k,τ)の値を演算し、より小さいE(k,τ)の値が存在すればその時のE(k,τ)、k及びτの値をEMIN、kMIN、τMINとして記憶させる(ステップS19〜S24)。これを重み係数kの値が1を超えるまで繰り返す。すなわち、重み係数kの値が1を超えた際(ステップS17でNo)、重み係数k及び時定数τがとり得る値の全ての組合せについて、評価関数E(k,τ)の値が演算され、その中でE(k,τ)の値が最小となる重み関数k及び時定数τの組合せがkMIN及びτMINとして記憶部22に記憶されることとなる。
このように、上記のような評価関数E(k,τ)を用いて重み係数k及び時定数τが決定されるため、経験則等を適用することなく、容易に補償関数fを演算することができる。従って、補償関数演算手段21bとして機能する制御部21において複雑な演算を不要にして負荷を低減させることができるため、制御部21として複雑な演算処理装置を新たに設けることなく、従前の計量器に備えられているような簡単な演算処理装置で容易に実現することができる。
なお、本実施形態においては、上記のように、重み係数k及び時定数τを決定する方法について、評価関数E(k,τ)として二乗誤差の総和を示す関数を用いた最小二乗誤差法を用いて総当りで計算することとしているが、最適な重み係数k及び時定数τが得られる限りこれに限られない。例えば、遺伝的アルゴリズム等の種々の最適化アルゴリズムを適用することにより、重み係数k及び時定数τを決定することとしてもよい。
また、本実施形態においては、上記のように、重み係数k及び時定数τの双方を変数として用いて、評価関数E(k,τ)が最小となるように、補償関数fにおける重み係数k及び時定数τを決定する方法について説明したが、評価関数E(k,τ)の変数k,τのうち何れか一方を所定の値として予め決定した上で、他方の変数だけを変化させる演算を行うこととしてもよい。すなわち、例えば、クリープ誤差の立ち上がり部分の特性は、飽和関数hの立ち上がり特性によって決まるので、時定数τを例えばクリープ誤差発生後(t=0以降で)からクリープ誤差が最大発生量MCEの約63%に到達するまでの時間として決定し、評価関数E(k,τ)に代入した上で、重み係数kのみを当該重み係数kに関して図6と同様のアルゴリズムを用いて演算することにより決定することとしてもよい。また、例えば、クリープ誤差の立ち上がり後の漸増部分の特性から重み係数kを算出して決定し、評価関数E(k,τ)に代入した上で、時定数τのみを当該時定数τに関して図6と同様のアルゴリズムを用いて演算することによって決定することとしてもよい。具体的には、クリープ誤差の漸増部分の所定の2点から漸増部分における傾きxを算出するとともに、傾きxを有する一次関数j=x・iにおけるi=iMAXのときの値jiMAX=x・iMAXを算出し、i=iMAXのときのクリープ誤差出力(すなわちクリープ誤差成分信号の最大発生量MCE)に対するjMAXの比を重み係数kとして決定してもよい。すなわち、k=jiMAX/MCEとしてもよい。
さらに、本実施形態においては、評価関数E(k,τ)を用いて重み係数k及び時定数τの少なくとも何れか一方を演算して求めているが、評価関数E(k,τ)を用いずに、重み係数k及び時定数τをそれぞれ求めることとしてもよい。すなわち、例えば、重み係数kを、クリープ誤差の立ち上がり後の漸増部分の特性から決定し、時定数τを、クリープ誤差発生後からクリープ誤差が最大発生量MCEの所定割合に到達するまでの時間として決定することとしてもよい。
以上のように求められる補償関数fは、重量検出手段1で検出される重量信号wから抽出されたクリープ誤差成分信号Sとよく近似される。図7は、クリープ誤差成分信号に対する補償関数及び一次遅れ系のステップ応答関数を比較して示す図である。図7に示されるようなクリープ誤差成分信号S(クリープ誤差曲線)は、荷重負荷開始後は比較的急峻に増加し、一定時間経過後は所定の傾きで略線形に増加している。このようなクリープ誤差成分信号Sに一次遅れ系のステップ応答関数(図7において破線で示す)を重ねてみると、荷重負荷開始直後はよく近似できているものの、一定時間経過後はクリープ誤差成分信号Sと大きく乖離してしまう。一方、本実施形態の補償関数f(図7において実線で示す)は、全時間範囲にわたってクリープ誤差成分信号Sによく近似されており、高精度なクリープ誤差の補償が期待できることが分かる。
図8は、重量検出手段で検出された重量信号に対し、補償関数を用いてクリープ誤差を補償した際の重量波形を示す図である。図8(a)はポジティブクリープに対して補償した際の重量波形を示し、図8(b)はネガティブクリープに対して補償した際の重量波形を示す。図8(a)では5kgの荷重が継続的に負荷されており、図8(b)では7kgの荷重が継続的に負荷されている。
図8(a)及び図8(b)に示すように、ポジティブクリープ及びネガティブクリープの何れのクリープ誤差が生じた場合であっても、補償処理後の波形は、荷重負荷開始直後の重量値で略一定に推移している。従って、図8からもクリープ誤差が高精度に補償されていることが分かる。
実際の計量器においては、図8のように単純に1つの荷重が負荷され続けるだけでなく、さまざまな荷重が負荷されたり、取り除かれたりすることが考えられる。図9は、荷重の負荷が繰り返された重量信号に対し、補償関数を用いてクリープ誤差を補償した際の重量波形の一例を示す図である。図9の例では、時刻0〜30分の間、第1荷重として3kgの荷重を負荷し(図9(a))、その後、時刻30〜60分の間、第2荷重として第1荷重から2kg追加した5kgの荷重を負荷している(図9(b))。
図9(a)に示すように、第1荷重(3kg)を負荷した状態で30分経過した時点でクリープ誤差は約1g発生しており、図9(b)に示すように、その後第1荷重に換えて第2荷重(5kg)を負荷した直後でもクリープ誤差は約1g発生している。すなわち、荷重を第1荷重から第2荷重に切り換えても、第1荷重を負荷することにより生じたクリープ誤差が引き継がれている。そして、このように引き継がれたクリープ誤差が存在していても、補償処理後の波形は、第1荷重及び第2荷重の何れについてもそれぞれの適正重量値で略一定に推移している。従って、本実施形態におけるクリープ誤差補償方法によれば、途中で荷重変化が生じてもクリープ誤差が高精度に補償されていることが分かる。
図10は、荷重の負荷及び除荷が繰り返された重量信号に対し、補償関数を用いてクリープ誤差を補償した際の重量波形の他の例を示す図である。図10の例では、時刻0〜15.5分の間、第1荷重として5kgの荷重を負荷し(図10(b))、その後、時刻15.5〜30.5分の間、第2荷重として7kgの荷重を負荷している(図10(a))。その後、時刻30.5〜45.5分の間、第3荷重として再び5kgの荷重を負荷し(図10(b))、その後、45.5分から60分の間、第4荷重として再び7kgの荷重を負荷している(図10(a))。図10についてはネガティブクリープ誤差が発生している。
図10に示すように、第1荷重(5kg)から第2荷重(7kg)及び第3荷重(5kg)から第4荷重(7kg)へ荷重が増加した場合には、図9の例と同様に、クリープ誤差が引き継がれ、クリープ誤差の絶対値が継続的に増加しているが、補償処理後の波形は、第1荷重、第2荷重及び第4荷重の何れについてもそれぞれの適正重量値で略一定に推移している。また、第2荷重(7kg)から第3荷重(5kg)へ荷重が減少した場合には、クリープ誤差の絶対値が継続的に減少していく。このようなクリープ誤差が減少傾向を示す場合であっても、補償処理後の波形は、第3荷重についての適正重量値で略一定に推移している。このように、クリープ誤差が増加傾向及び減少傾向の何れを示す場合であっても、クリープ誤差が高精度に補償されていることが分かる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。例えば、本実施形態においては、飽和曲線hとして一次遅れ系のステップ応答関数を用いたが、単位時間あたりの増加率の絶対値が減少していく関数である限りこれに限られず、例えば、対数関数又は指数関数(ただし、指数aは0<a<1)等が適用可能である。
本発明のクリープ誤差補償装置及びクリープ誤差補償方法は、ロードセル等の重量検出手段で検出された重量信号のクリープ誤差を補償するために有用である。特に、複雑な制御を行い得る制御部を備えることが困難な安価な計量器において、ロードセル等の重量検出手段で検出された重量信号のクリープ誤差を補償するために有用である。
1 重量検出手段
2 クリープ誤差補償装置
3 表示装置
21 制御部
21a クリープ誤差成分信号生成手段
21b 補償関数演算手段
21c 既補償信号生成手段
22 記憶部
補償関数
線形関数
飽和関数
既補償信号
クリープ誤差成分信号
重量信号(被処理信号)
E(k,τ) 評価関数
d サンプリング間隔
i サンプリング要素
k 重み係数
τ 時定数
MCE クリープ誤差成分信号の最大発生量

Claims (9)

  1. 重量検出手段で検出された荷重に対応する重量信号のクリープ誤差を補償するクリープ誤差補償装置であって、
    前記重量検出手段で検出された荷重に対応する重量信号から所定時間範囲におけるクリープ誤差出力を抽出し、クリープ誤差成分信号として生成するクリープ誤差成分信号生成手段と、
    前記クリープ誤差成分信号を線形関数と単位時間あたりの増加率の絶対値が時間経過に応じて減少していく飽和関数とによって近似し、前記線形関数と前記飽和関数とを前記所定時間範囲の全域で加算した補償関数を演算する補償関数演算手段と、
    被処理信号である重量信号から前記補償関数を差し引いた既補償信号を出力する既補償信号生成手段とを備えた、クリープ誤差補償装置。
  2. 前記補償関数は、前記線形関数と前記飽和関数とを前記時間範囲の全域で重み付け加算したものである、請求項1に記載のクリープ誤差補償装置。
  3. 前記飽和関数は、一次遅れ系のステップ応答関数である、請求項1に記載のクリープ誤差補償装置。
  4. 前記補償関数fは、以下の式で表される、請求項2に記載のクリープ誤差補償装置。
    Figure 0005281983
    ここで、iは前記クリープ誤差成分信号のサンプリング要素であり、前記所定時間範囲における時刻t(0≦t≦T)とサンプリング間隔dとを用いてi=t/d(0≦i≦iMAX=T/d)を満たす変数、kは重み係数(0≦k≦1)、gは前記線形関数、hは前記飽和関数、MCEは前記所定時間範囲(0≦t≦T)におけるクリープ誤差成分信号の最大発生量、及び、τは時定数をそれぞれ示す。
  5. 前記補償関数演算手段は、前記重み係数k及び前記時定数τの少なくとも何れか一方を変数として用いて、以下の式で表される評価関数E(k,τ)が最小となるように、前記補償関数fにおける前記重み係数k及び前記時定数τを決定する、請求項4に記載のクリープ誤差補償装置。
    Figure 0005281983
    ここで、Sは前記クリープ誤差成分信号を示す。
  6. 前記クリープ誤差成分信号生成手段は、前記所定時間範囲の終期を、前記重量信号wが前記所定時間範囲の始期における値wに対して以下の式を満足したときとして設定する、請求項1に記載のクリープ誤差補償装置。
    Figure 0005281983
    ここで、Aは所定の目標クリープ誤差補償精度値を示し、Bは前記重量検出手段に固有の飽和クリープ量を示す。
  7. 重量検出手段で検出された荷重に対応する重量信号のクリープ誤差を補償するクリープ誤差補償方法であって、
    前記重量検出手段で検出された荷重に対応する重量信号から所定時間範囲におけるクリープ誤差出力を抽出し、クリープ誤差成分信号として生成するクリープ誤差成分信号生成ステップと、
    前記クリープ誤差成分信号を線形関数と単位時間あたりの増加率の絶対値が時間経過に応じて減少していく飽和関数とによって近似し、前記線形関数と前記飽和関数とを前記所定時間範囲の全域で加算した補償関数を演算する補償関数演算ステップと、
    被処理信号である重量信号から前記補償関数を差し引いた既補償信号を出力する既補償信号生成ステップとを含む、クリープ誤差補償方法。
  8. 前記補償関数は、前記線形関数と前記飽和関数とを前記時間範囲の全域で重み付け加算したものである、請求項7に記載のクリープ誤差補償方法。
  9. 前記補償関数fは、以下の式で表される、請求項8に記載のクリープ誤差補償方法。
    Figure 0005281983
    ここで、iは前記クリープ誤差成分信号のサンプリング要素であり、前記時間範囲における時刻t(0≦t≦T)とサンプリング間隔dとを用いてi=t/d(0≦i≦iMAX=T/d)を満たす変数、kは重み係数、gは前記線形関数、hは前記飽和関数、MCEは前記時間範囲(0≦t≦T)におけるクリープ誤差成分信号の最大発生量、及び、τは時定数をそれぞれ示す。
JP2009177409A 2009-07-30 2009-07-30 クリープ誤差補償装置及びクリープ誤差補償方法 Active JP5281983B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009177409A JP5281983B2 (ja) 2009-07-30 2009-07-30 クリープ誤差補償装置及びクリープ誤差補償方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009177409A JP5281983B2 (ja) 2009-07-30 2009-07-30 クリープ誤差補償装置及びクリープ誤差補償方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011033374A JP2011033374A (ja) 2011-02-17
JP5281983B2 true JP5281983B2 (ja) 2013-09-04

Family

ID=43762603

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009177409A Active JP5281983B2 (ja) 2009-07-30 2009-07-30 クリープ誤差補償装置及びクリープ誤差補償方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5281983B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016032156A1 (ko) * 2014-08-26 2016-03-03 주식회사 카스 무게 보상 장치 및 방법
CN113694305B (zh) * 2021-09-01 2023-03-24 深圳市冠辰科技有限公司 称重传感动态补偿方法、装置、介质及电子设备

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1090047A (ja) * 1996-09-17 1998-04-10 Tanita:Kk 重量計
JP4246006B2 (ja) * 2003-07-04 2009-04-02 大和製衡株式会社 重量信号のクリープ誤差補償装置および補償方法
CN100567912C (zh) * 2005-06-07 2009-12-09 株式会社岛津制作所 称重单元式电子秤
JP5139009B2 (ja) * 2007-09-06 2013-02-06 大和製衡株式会社 荷重検出器のクリープ特性同定装置およびこれを用いたクリープ誤差補償装置、ならびにクリープ回復特性同定装置およびこれを用いたクリープ回復誤差補償装置
JP5139013B2 (ja) * 2007-09-13 2013-02-06 大和製衡株式会社 荷重検出器のクリープ誤差補償装置および方法、ならびにクリープ回復誤差補償装置および方法
JP5076774B2 (ja) * 2007-09-25 2012-11-21 株式会社島津製作所 電子天秤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011033374A (ja) 2011-02-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9857782B2 (en) Output value correction method for physical quantity sensor apparatus, output correction method for physical quantity sensor, physical quantity sensor apparatus and output value correction apparatus for physical quantity sensor
WO2012032574A1 (ja) デジタル秤用デジタルフィルタ、それを備えたデジタル秤及び濾波処理方法
US20090057038A1 (en) Load cell-type electronic balance
JP5958392B2 (ja) 時系列計測信号のノイズ低減装置
JP4752528B2 (ja) 歪みゲージ式ロードセルおよびそれを用いた電子はかり
JP5281983B2 (ja) クリープ誤差補償装置及びクリープ誤差補償方法
JP5139009B2 (ja) 荷重検出器のクリープ特性同定装置およびこれを用いたクリープ誤差補償装置、ならびにクリープ回復特性同定装置およびこれを用いたクリープ回復誤差補償装置
JP5669360B2 (ja) デジタル秤用デジタルフィルタ、それを備えたデジタル秤及び濾波処理方法
JP6093622B2 (ja) ヒステリシス誤差補償装置、荷重センサ、計量装置およびヒステリシス誤差補償方法
JP4246006B2 (ja) 重量信号のクリープ誤差補償装置および補償方法
JP2008202939A (ja) 電子天びん
JP5823279B2 (ja) クリープ補償装置及び計量装置のクリープ割合変更方法
JP2009053211A (ja) 重量信号のクリープ誤差補償装置
JP5076774B2 (ja) 電子天秤
JP2008182508A (ja) A/d変換装置
JP5098995B2 (ja) センサ特性補正装置および材料試験機
JP4347548B2 (ja) ヒステリシス誤差補正装置
JP4082667B2 (ja) 信号処理方法および信号処理装置
JP7477781B2 (ja) 乾燥予測装置及び乾燥予測プログラム
JP6514443B2 (ja) 圧力分布センサシステム、圧力分布の測定方法、および圧力分布の測定プログラム
JP5780916B2 (ja) クリープ誤差補償関数のパラメータ決定方法及びパラメータ決定装置
WO2021149240A1 (ja) 演算装置、指示計、温度調節計、および方法
RU2409827C2 (ru) Устройство прогнозирования технического состояния систем
JP2011019012A (ja) ディジタルフィルタおよび材料試験機
WO2018110539A1 (ja) 信号処理装置、および信号処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120217

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120625

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130514

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130515

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130527

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5281983

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250