JP5958392B2 - 時系列計測信号のノイズ低減装置 - Google Patents

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Description

本発明は、時間経過に伴って順次得られる計測信号に重畳しているノイズを低減するノイズ低減装置に関する。本発明に係るノイズ低減装置は、例えば材料試験機に付設されたロードセル、電子天びんなどにより得られる計測信号に対して適用することができる。
材料試験機を用いた試験では、一般に、試験片に対し引張りや圧縮などの負荷を連続的に加え、その負荷により試験片に作用する試験力や、該試験片の伸びや縮みなどの変形を時々刻々と計測し、得られた試験力及び変形計測結果に基づいて材料の特性などを評価する。材料試験機においては、試験片に作用する試験力はロードセルにより検出され、試験片の変形は歪み計によって検出される。このとき、例えばロードセルによる計測信号には様々な要因によるノイズが重畳するため、試験力を正確に求めるには重畳しているノイズをできるだけ除去する必要がある。
従来一般に、ロードセル計測信号に重畳しているノイズを除去するために、移動平均を用いた平滑化処理が行われている(例えば特許文献1参照)。移動平均は移動平均長に含まれる複数の信号値の平均を計算するものであり、移動平均長が長いほど平滑化の効果は上がるものの、計測信号の急激な変化に追従できなくなる。そこで、ロードセル計測信号の急激な変化に追従するために、通常、得られた計測信号の変化の大きさに応じて移動平均長を変えるという適応的な演算処理が行われている。
しかしながら、適応的に移動平均長を変えるようにしても、必ずしも適切な移動平均長が設定されるとは限らない。そのため、設定された移動平均長が適切でない場合に平滑化が十分に行われず、図9(a)に示すように、ロードセル計測信号に重畳しているノイズがかなり残ってしまうことがある。また、ノイズ除去効果を高めるために移動平均長を大きくすると、平滑化の効果は大きくなるが、急激な計測信号の変化に追従できなくなるだけでなく、図9(b)に示すように、出力信号に信号遅れが発生し計測結果に影響する。材料試験機では一般的にこの遅れを50[msec]以下に抑える必要あるが、移動平均によってノイズを十分に下げようとした場合に、信号遅れがその要求値を超えてしまうおそれがある。こうしたことから、計測信号の急激な変化に追従して、計測信号に重畳しているノイズをより的確に低減する新たな方法が求められている。
なお、ロードセルにより得られる計測信号のみならず、例えば電子天秤などの計測装置により得られる計測信号においても同様のノイズが重畳し、同様の問題がある。
特開2001−330468号公報 特開平11−183242号公報(段落[0008]、図9等) 特開2002−6898号公報
ロードセル計測信号のノイズ低減処理にはリアルタイム性が必要である。計測信号が得られた時点における平滑化信号を略リアルタイムで推定する一手法としてカルマンフィルタが知られており、例えば特許文献2などには、カルマンフィルタを用いて計測信号に重畳している固有振動を除去することが開示されている。カルマンフィルタは、ノイズによって乱された計測信号に基づき、推定した状態量をその誤差が最小となるよう時々刻々と算出するフィルタであり、主にシステム自体で発生するプロセスノイズ(システムノイズ等ともいわれる)と計測信号に重畳される観測ノイズとに関するパラメータによって平滑化の度合いが調整される。
しかしながら、カルマンフィルタを用いた場合でも、計測信号に重畳しているノイズを十分に除去するようにプロセスノイズに関するパラメータと観測ノイズに関するパラメータとを設定すると、計測信号が急激に変化した際にカルマンフィルタを経た出力信号が元の計測信号に追従できない、即ち、時間遅れが大きくなる、という問題が避けられない。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、計測信号が急激に変化したときでも出力の時間遅れを抑えつつ、該計測信号に重畳しているノイズを的確に除去することができる時系列計測信号のノイズ低減装置を提供することにある。
カルマンフィルタを始めとする各種フィルタでは、フィルタリングの特性(具体的にはフィルタの係数など)を入力信号の特性に応じて変化させる、いわゆる適応型制御が知られている。例えば特許文献3には、音声信号に重畳しているノイズをカルマンフィルタにより低減する装置において、ノイズを適切に除去する一方、音声信号自体の劣化をできるだけ防止することを目的として、入力音声信号の情報を判定してフィルタの強度を変更することが開示されている。本願発明者は、計測信号に重畳しているノイズを十分に除去しつつ、計測信号の急激な変化にも出力信号が良好に追従するようにするために、適応型制御を導入することに想到し、実測により得られたデータに基づくシミュレーション計算を繰り返すことで、ロードセルによる計測信号等に適用するのに適切な手法を見出し、本発明をするに至った。
即ち、上記課題を解決するために成された本発明は、時系列順に入力される離散化された計測信号に重畳しているノイズを低減するノイズ低減装置であって、
a)計測信号が変化しない条件の下で入力された複数の計測信号又は入力された計測信号が変化する前に得られた複数の計測信号に基づいて、後記観測ノイズに関するパラメータ値を算出する第1パラメータ算出部と、
b)時系列順に計測信号が入力される毎に、過去直近の所定個数の計測信号の変化の度合いに応じて後記プロセスノイズに関するパラメータ値を算出する第2パラメータ算出部と、
c)時系列順に計測信号が入力される毎に、該計測信号に対し前記第1パラメータ算出部により得られた観測ノイズに関するパラメータ値及び前記第2パラメータ算出部により得られたプロセスノイズに関するパラメータ値とに基づく平滑化処理を実行するカルマンフィルタと、
を備えることを特徴としている。
ここで、ノイズ低減の対象である「時系列順に入力される離散化された計測信号」とは、典型的には、ロードセルによる計測信号や電子天秤などによる計測信号のように、当初、計測信号のレベルが略一定に保たれる状態から或る時点でそのレベルが一方向(大きくなる方向又は小さくなる方向)に急激に又は緩慢に変化するような計測信号をデジタル化したものである。
本発明では、カルマンフィルタを利用して計測信号を平滑化し該計測信号に重畳しているノイズを除去するが、該カルマンフィルタにおいて現時点でのシステム状態を推定し実際の観測値に基づき該推定値を補正する際に用いる少なくともプロセスノイズに関するパラメータ値を、離散化された計測信号が入力される毎に、過去直近の所定個数の計測信号の変化の度合いに応じて変更する。これにより、計測信号の変化量に応じてカルマンフィルタによる平滑化の度合いが動的に変化する。具体的には、計測信号の変化量が大きいほど、つまりは変化が急激であるほど、カルマンフィルタによる平滑化の度合いは抑えられる。その結果、計測信号が急激に変化するときでも、ノイズの除去効果を保ちつつ、計測信号に対して平滑化された出力信号の時間遅れは縮小する。
本発明に係るノイズ低減装置において、上記第2パラメータ算出部は例えば、過去直近の所定個数の計測信号に対する直線近似により求めた計測信号の平均的な傾斜をプロセスノイズに関するパラメータとする構成とすることができる。ここで、上記「所定個数」は予め実験的に定めておけばよい。
一方、上記第1パラメータ算出部は、計測信号が変化しない条件の下で入力された複数の計測信号又は入力された計測信号が変化する前に得られた複数の計測信号の標準偏差を計算し、得られた標準偏差を観測ノイズに関するパラメータ値とする構成とすることができる。
また、上記第1パラメータ算出部は、目的試料に対する計測に先立って実施される装置較正時に得られる複数の計測信号に基づいて観測ノイズに関する固定的なパラメータ値を算出する構成とすることができる。具体的に、試料に対する機械的計測を行う試験機に付設されたロードセルにより得られる計測信号のノイズを低減する場合には、上記第1パラメータ算出部は、試験機に試料を装着せずに実施される装置較正時に得られる複数の計測信号に基づいて観測ノイズに関する固定的なパラメータ値を算出する構成とすればよい。
この構成によれば、計測実行中には、観測ノイズに関するパラメータ値を時々刻々と計算する必要がないので、処理の負担を軽減することができ、例えば、比較的低性能で廉価なハードウエア(コンピュータやデジタルシグナルプロセッサなど)でも処理が可能である。
他方、上記第1パラメータ算出部は、時系列順に入力された計測信号が変化を生じる前の期間中に得られた複数の計測信号に基づいて、観測ノイズに関するパラメータ値を算出する構成としてもよい。この構成では上記構成とは異なり、装置較正時等、実際の計測実行前に、観測ノイズに関する固定的なパラメータ値は算出されない。したがって、装置較正に要する時間を短縮することができる。
また、本発明に係るノイズ低減装置では、
上記第2パラメータ算出部は、過去直近の所定個数の計測信号に対する直線近似により求めた計測信号の平均的な傾斜を第1のプロセスノイズに関するパラメータとし、
その平均的な傾斜の変化量に応じた第2のプロセスノイズに関するパラメータ値を算出する第3パラメータ算出部をさらに備え、
上記カルマンフィルタは、時系列順に計測信号が入力される毎に、観測ノイズに関するパラメータ値、第1のプロセスノイズに関するパラメータ値、及び、第2のプロセスノイズに関するパラメータ値に基づいて、三種類のシステム状態を推定した平滑化処理を実行する構成としてもよい。
この構成によれば、処理は複雑になるものの、計測信号の変化量の微分値に相当する情報がカルマンフィルタの特性に反映されるので、特に計測信号が曲線的に急激に変化するときの出力信号の追従性及びノイズの低減効果が一層向上する。
本発明に係る時系列計測信号のノイズ低減装置によれば、例えばロードセルによる試験力信号などの計測信号の変化量に応じて平滑化の度合いが動的に調整されるので、計測信号が急激に変化したときでもその変化に追従し、大きな時間遅れなく計測時間全般に亘って計測信号に重畳しているノイズを十分に低減することができる。
また、計測の実行毎にユーザが試行錯誤的に観測ノイズやプロセスノイズに関するパラメータ値を設定する必要がなくなるので、ユーザの負担が軽減されるとともに、ユーザが誤って不適切なパラメータ値を設定してしまうことによる無駄なデータ収集を防止することもできる。
本発明の一実施例であるロードセル計測信号ノイズ低減装置の概略構成図。 カルマンフィルタに用いられるパラメータ設定の概念図。 本実施例のノイズ低減装置における事前処理のフローチャート。 本実施例のノイズ低減装置におけるリアルタイムで実行されるノイズ低減処理のフローチャート。 本実施例によるノイズ低減処理を実行した場合の計測信号(試験力)と処理後の出力との一例を示す図。 本実施例によるノイズ低減処理を実行した場合の計測信号(試験力)と処理後の出力との一例を示す図。 本実施例によるノイズ低減処理を実行した場合の計測信号(試験力)と処理後の出力との一例を示す図。 本実施例によるノイズ低減処理を実行した場合の出力と従来法による出力との比較の一例を示す図。 従来の移動平均を用いた場合の計測信号(試験力)と処理後の出力との一例を示す図。
以下、本発明の一実施例であるロードセル計測信号ノイズ低減装置について添付図面を参照して説明する。
図示しない引張試験機等に装備されているロードセル2の出力であるアナログ計測信号(試験力)はアナログ-デジタル変換器(ADC)3に入力され、アナログ-デジタル変換器3において所定時間間隔でサンプリングされてデジタルデータに変換される。このデジタルデータがノイズ低減装置1に入力され、原計測信号に重畳しているランダム性のノイズが低減されて出力される。ノイズ低減装置1は、カルマンフィルタ11、プロセスノイズパラメータ計算部12、観測ノイズパラメータ計算部13、観測ノイズパラメータ記憶部14などから構成される。カルマンフィルタ11は予測演算部111、補正演算部112などを含む。
本実施例のロードセル計測信号ノイズ低減装置の動作を説明するに先立って、まず、カルマンフィルタを用いた平滑化処理の概要について説明する。
カルマンフィルタはノイズによって乱された観測値に基づいて、ガウス白色ノイズを受ける線形システムの状態ベクトルの最小二乗推定値を逐次的に、つまりは新たな観測値が得られる毎に算出するアルゴリズムである。
いま、或る測定時点kにおける真のシステム状態xkが、一測定時点前(これをk−1とする)のシステム状態xk-1を用いて次の状態方程式で表されるものとする。
k=Fkk-1+wk …(1)
ここで、Fkはシステムの時間遷移に関する線形モデル、wkは時間遷移に関するノイズ(プロセスノイズ)であってその近似値はN(0,Qk)である。後述するが、Qkはプロセスノイズ共分散行列である。
時刻kにおいて、観測値zkは真のシステム状態xkと次の関係にある。
k=Hkk+vk …(2)
ここで、Hkは状態空間から観測空間への写像モデル、vkは観測値に重畳している観測ノイズである。なお、(2)式は一般に観測方程式と呼ばれる。
カルマンフィルタでは、通常、二種類のシステム状態の推定値、即ち、測定時点k−1における測定時点kの状態推定値(事前状態推定値)である<xk|k-1>、及び、測定時点kにおける観測値zkを元に事前状態推定値<xk|k-1>を補正して得られる測定時点kでの状態推定値(事後状態推定値)である<xk|k>、を扱う。この二種類のシステム状態の推定値は次のような式で関係付けることができる。
<xk|k>=<xk|k-1>+Kk(zk−Hk<xk|k-1>) …(3)
ここで、Kkはカルマンゲインである。
カルマンフィルタは、次の(4)式による真のシステム状態xkと事後状態推定値<xk|k>との誤差の共分散(事後誤差共分散)を最小にするようにシステム状態量の推定を行う手法であるといえる。
k|k=E[(xk−<xk|k>)(xk−<xk|k>)T] …(4)
実際には、カルマンフィルタでは測定時点毎に、つまり時系列順に入力される新たな計測データが得られる毎に、以下の予測及び更新の演算を実行し、それによって平滑化処理結果を得る。
[予測演算]
或る測定時点から一つ前の測定時点におけるシステム推定状態に基づき、現測定時点のシステム推定状態として、システム状態の推定値<xk|k>及びシステム状態の誤差Pk|k-1を推定する。
<xk|k-1>=Fk<xk-1|k-1> …(5)
k|k-1=Fkk-1|k-1k T+Qk …(6)
ここで、Qkは次式によるプロセスノイズ共分散行列である。
k=[σa 2(Δt)2]
[更新演算]
現測定時点における観測値を用い、上記のように求めたシステム状態の推定値を補正することでその値を更新する。即ち、最適カルマンゲインKk
k=(Pk|k-1k T)/(Hkk|k-1k T+Rk) …(7)
である。ここで、Rkは次式による観測ノイズ共分散行列である。
k=[σz 2]
上記カルマンゲインを持つカルマンフィルタを適用することで更新されたシステム状態の推定値は、次の(8)式となる。
<xk|k>=<xk|k-1>+Kk(zk−Hk<xk|k-1>) …(8)
また、更新されたシステム状態の誤差は(9)式となる。
k|k=(I−Kkk)Pk|k-1 …(9)
上記予測演算及び更新演算を測定時点毎に繰り返すことで、観測値は平滑化され、該観測値に重畳しているノイズは低減されることになる。
上述したようなカルマンフィルタを用いた平滑化アルゴリズムをロードセル計測信号(試験力)の平滑化に適用するために、カルマンフィルタの状態方程式として、試験力xを要素とするシステム状態xkについて、隣接する一つの測定時点k−1と次の測定時点kとの間に速度x'が与えられる運動式を設定した。即ち、状態方程式は上記(1)式と同じ(10)式である。
k=Fkk-1+wk …(10)
ここで、システム状態xkは[x]であってxは試験力(N)、システムの時間遷移変換Fkは[I]、プロセスノイズwkはx'Δtであってx'はその近似値がN(0,σa 2)である試験力の時間微分(N/sec)、Δtは各測定時点の時間間隔(sec)である。
一方、観測方程式は上記(2)式と同じ(11)式である。
k=Hkk+vk …(11)
ここで、zkは観測した試験力(N)、状態空間から観測空間への変換Hkは[I]、観測ノイズvkはおおよそN(0,σz 2)である。
即ち、このカルマンフィルタにおける平滑化処理を行うには、プロセスノイズに関するパラメータσaと観測ノイズに関するパラメータσzという二つのパラメータが必要である。ロードセル計測信号をリアルタイムで平滑化するためには、その二つのパラメータを事前に(つまりは計測前に)又は計測実行中に設定する必要がある。観測ノイズは本来計測信号が一定であるべき状態において観測されるノイズであり、一方、プロセスノイズは時間遷移に関するノイズであるから計測信号が変動するときに顕著になる。そこで、ここでは、プロセスノイズに関するパラメータσaと観測ノイズに関するパラメータσzとを次のように設定することとした。
図2はカルマンフィルタにおけるパラメータ設定の概念図である。
プロセスノイズに関するパラメータσaは、図2に示すように、現測定時点kから直近の過去の一定時間内に得られた複数の試験力の原信号(補正された信号ではない)に基づいて算出する。具体的には、直近の過去の100個の計測データ値を用いた直線近似を行い、その測定時点における平均的な信号の傾斜(N/sec)を求め、これをプロセスノイズに関するパラメータσaとした。計測実行中に新たな計測データが得られる毎に直近の過去の100個の計測データが1個ずつ入れ替わるから、その度毎に、プロセスノイズに関するパラメータσaは更新されることになる。
一方、観測ノイズに関するパラメータσzは、図2に示すように試験力が略一定である期間中の計測データから求めた標準偏差を用いればよいが、これは実質的に事前に無負荷で行った結果を用いても大差ないので、事前に装置較正の一環として求めておくものとする。なお、事後状態推定値の初期値<x0|0>は[0]、システム状態の誤差の初期値P0|0は[1]とした。
図3は上記のようなアルゴリズムを用いた本実施例のノイズ低減装置における事前の処理のフローチャート、図4は計測実行中にリアルタイムで実行されるノイズ低減処理のフローチャートである。これらフローチャートに従って、本実施例のノイズ低減装置の具体的な動作を説明する。
[観測ノイズに関するパラメータの事前設定]
引張試験機での試験対象である試験片に対する試験に先立って、準備試験として、試験片を試験機に装着せずに、つまり無負荷の状態で所定時間、試験力を計測する(ステップS1)。このときにロードセル2から出力された計測信号をアナログ-デジタル変換器3で変換して得られた計測データは、観測ノイズパラメータ計算部13に入力され一旦保持される。このときには、負荷変動がないので理想的には計測信号は一定となる筈であるが、種々のノイズの影響により、計測信号は微妙に変動する。観測ノイズパラメータ計算部13は、所定個数の計測データの変動量として標準偏差を計算し(ステップS2)、これを観測ノイズパラメータ記憶部14に格納する(ステップS3)。
[計測実行中の平滑化処理]
試験片を試験機に装着し、ユーザが図示しないボタン等により試験開始を指示すると、カルマンフィルタ11及びプロセスノイズパラメータ計算部12はそれぞれ、プロセスノイズのパラメータ値や試験力の初期値などを初期設定する(ステップS11)。
次に、カルマンフィルタ11において予測演算部111は、プロセスノイズに関するパラメータ値を用い、一つ前の測定時点におけるシステム推定状態から現測定時点におけるシステム状態及び試験力を推定する(ステップS12)。ただし、起動直後に実行される推定では、プロセスノイズに関するパラメータ値や一つ前の測定時点におけるシステム推定状態、試験力などは初期値が用いられる。
次に、カルマンフィルタ11の補正演算部112及びプロセスノイズパラメータ計算部12は、アナログ-デジタル変換器3から出力された現測定時点における計測データ(試験力)を読み込む(ステップS13)。プロセスノイズパラメータ計算部12は現測定時点から過去の一定時間に得られバッファに蓄積しておいた複数(ここでは100個)の計測データから、上述したように現測定時点における平均的な信号の傾斜を求め、これをプロセスノイズに関するパラメータ値σaとしてカルマンフィルタ11へ引き渡す(ステップS14)。なお、上記説明から明らかなように、試験開始から一定時間が経過するまでは実測による計測データはバッファ内に貯まらないので、信号の傾斜がないものとしてプロセスノイズに関するパラメータ値σaを出力してもよい。
次に、カルマンフィルタ11において補正演算部112は、現測定時点で得られた計測データ(試験力信号)と観測ノイズパラメータ記憶部14から読み出された値が固定された観測ノイズに関するパラメータσzを用い、ステップS12において推定された現測定時点におけるシステム状態及び試験力を補正する(ステップS15)。そして、補正演算部112はステップS15において補正された試験力をカルマンフィルタ適用結果として出力する(ステップS16)。
一個の計測データに対する補正後の試験力信号が出力されると、試験終了であるか否かが判定され(ステップS17)、未だ試験終了でなければステップS12へと戻る。ステップS12〜S16の処理を測定時点毎、つまりは新たな計測データが入力される毎に繰り返すことによって、原試験力信号が平滑化された試験力信号を示すデータが順次出力される。例えば図2に示すように、試験力信号がノイズを除けばほぼ一定である期間中は、プロセスノイズに関するパラメータσaはほぼ一定であるが、試験力信号が変化すると、それに応じてプロセスノイズに関するパラメータσaが変化する(大きくなる)。即ち、原試験力信号の変化に追従するようにプロセスノイズに関するパラメータσaが変化する。それによって、原試験力信号が急激に変化するときでも、出力信号の時間遅れを抑えながらノイズを十分に低減することができる。
[実測結果及びその評価]
本実施例のロードセル計測信号ノイズ低減装置を実際のロードセル計測信号に適用した実測結果について説明する。
図5は試験片として金属を用いて引張試験(試験速度:1mm/min)を実行したときの原信号(試験力)と平滑化処理後の出力との一例を示す図である。図6は試験片としてゴムを用いて引張試験(試験速度:100mm/min)を実行したときの原信号(試験力)と平滑化処理後の出力との一例を示す図である。図7は試験片としてゴムを用いて引張試験(試験速度:500mm/min)を実行したときの原信号(試験力)と平滑化処理後の出力との一例を示す図である。これら結果から、計測信号に重畳していたノイズは十分に低減され、しかも、計測信号の変化に対して出力信号が十分に追従していることが定性的に理解できる。
図8は上述した本実施例によるノイズ低減方法と従来の移動平均によるノイズ低減方法とでの信号の時間遅れの比較を示す図であり、(a)は試験片がゴム、(b)は試験片が金属である場合の実測結果である。図8には原信号(平均値)からの50[msec]の時間遅れの範囲も併せて示してある。従来法では信号が変化するときに出力信号の時間遅れが50[msec]を超えてしまっているのに対し、本実施例による方法では出力信号の時間遅れが50[msec]に十分に収まっていることが分かる。これにより、本実施例によるノイズ低減方法は従来方法に比べて十分に高い追従性を示しているということができる。
また、原試験力信号の標準偏差と平滑化後の信号の標準偏差とを計算し、その比をノイズ低減効果を示す指標として求めたところ、原信号に重畳されているノイズは1/25〜1/35程度に低減されることが確認できた。これは、従来方法とほぼ遜色ない結果であり、本発明によるノイズ低減効果及び出力信号の高い追従性は定量的にも十分に確認することができた。
なお、上記実施例によるノイズ低減装置では、観測ノイズに関するパラメータを事前に求め固定値としてカルマンフィルタに与えていたが、プロセスノイズに関するパラメータと同様に、計測実行中に得られた計測信号に基づいて観測ノイズに関するパラメータを求めるようにしてもよい。
また、上記実施例によるノイズ低減装置では、カルマンフィルタにおいて事前状態推定と事後状態推定値との二種のシステム状態を推定するようにしていたが、或る測定時点から一つ前の測定時点及び二つ前の測定時点のシステム状態を推定するようにし、その推定のために、計測信号の変化の度合いを示す信号の傾斜の変化量、つまりは該傾斜の微分値を第2のプロセス雑音に関するパラメータを用いる構成としてもよい。この構成では、当然のことながら、上記実施例の構成に比べて処理は複雑になるものの、特に計測信号が曲線状に変化する付近における出力信号の追従性をさらに改善することができる。
また、上記実施例はいずれも本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜、変更、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
1…ノイズ低減装置
11…カルマンフィルタ
111…予測演算部
112…補正演算部
12…プロセスノイズパラメータ計算部
13…観測ノイズパラメータ計算部
14…観測ノイズパラメータ記憶部
2…ロードセル
3…アナログ-デジタル変換器(ADC)

Claims (7)

  1. 時系列順に入力される離散化された計測信号に重畳しているノイズを低減するノイズ低減装置であって、
    a)計測信号が変化しない条件の下で入力された複数の計測信号又は入力された計測信号が変化する前に得られた複数の計測信号に基づいて、後記観測ノイズに関するパラメータ値を算出する第1パラメータ算出部と、
    b)時系列順に計測信号が入力される毎に、過去直近の所定個数の計測信号の変化の度合いに応じて後記プロセスノイズに関するパラメータ値を算出する第2パラメータ算出部と、
    c)時系列順に計測信号が入力される毎に、該計測信号に対し前記第1パラメータ算出部により得られた観測ノイズに関するパラメータ値及び前記第2パラメータ算出部により得られたプロセスノイズに関するパラメータ値とに基づく平滑化処理を実行するカルマンフィルタと、
    を備えることを特徴とする時系列計測信号のノイズ低減装置。
  2. 請求項1に記載の時系列計測信号のノイズ低減装置であって、
    前記第2パラメータ算出部は、過去直近の所定個数の計測信号に対する直線近似により求めた計測信号の平均的な傾斜をプロセスノイズに関するパラメータとすることを特徴とする時系列計測信号のノイズ低減装置。
  3. 請求項1又は2に記載の時系列計測信号のノイズ低減装置であって、
    前記第1パラメータ算出部は、計測信号が変化しない条件の下で入力された複数の計測信号又は入力された計測信号が変化する前に得られた複数の計測信号の標準偏差を計算し、得られた標準偏差を観測ノイズに関するパラメータ値とすることを特徴とする時系列計測信号のノイズ低減装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の時系列計測信号のノイズ低減装置であって、
    前記第1パラメータ算出部は、目的試料に対する計測に先立って実施される装置較正時に得られる複数の計測信号に基づいて観測ノイズに関する固定的なパラメータ値を算出することを特徴とする時系列計測信号のノイズ低減装置。
  5. 請求項4に記載の時系列計測信号のノイズ低減装置であり、試料に対する機械的計測を行う試験機に付設されたロードセルにより得られる計測信号のノイズを低減する装置であって、
    前記第1パラメータ算出部は、前記試験機に試料を装着せずに実施される装置較正時に得られる複数の計測信号に基づいて観測ノイズに関する固定的なパラメータ値を算出することを特徴とする時系列計測信号のノイズ低減装置。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の時系列計測信号のノイズ低減装置であって、
    前記第1パラメータ算出部は、時系列順に入力された計測信号が変化を生じる前の期間中に得られた複数の計測信号に基づいて、観測ノイズに関するパラメータ値を算出することを特徴とする時系列計測信号のノイズ低減装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の時系列計測信号のノイズ低減装置であって、
    前記第2パラメータ算出部は、過去直近の所定個数の計測信号に対する直線近似により求めた計測信号の平均的な傾斜を第1プロセスノイズに関するパラメータとし、
    前記平均的な傾斜の変化量に応じた第2プロセスノイズに関するパラメータ値を算出する第3パラメータ算出部をさらに備え、
    前記カルマンフィルタは、時系列順に計測信号が入力される毎に、前記観測ノイズに関するパラメータ値、前記第1プロセスノイズに関するパラメータ値、及び前記第2プロセスノイズに関するパラメータ値に基づいて、三種類のシステム状態を推定した平滑化処理を実行することを特徴とする時系列計測信号のノイズ低減装置。
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