JP2008202939A - 電子天びん - Google Patents

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Abstract

【課題】通電ドリフトの影響を低減した電子天びんを提供する。
【解決手段】荷重検出部1で検出される荷重信号と温度センサ6の出力信号を一定周期で切り替えてディジタル信号に変換するスイッチ7及びA/D変換器2と、前記荷重信号の温度補正と重量値への変換の演算処理を行う制御部3と、内蔵分銅5及び分銅加除機構4を備え、前記制御部3に通電時のゼロ点ドリフトとスパンドリフト特性を一定期間測定し、このドリフトを補正する補正式をもとめてRAM33に記憶し、次回通電時に前記補正式により荷重信号のゼロ点ドリフトとスパンドリフトを補正する機能を付加する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子天びん(電子はかり)に関し、特に通電時のドリフト期間を補正により短縮した電子天びん(電子はかり)に関する。
従来、電子天びんには、皿上荷重と電磁力をサーボ機構によりバランスさせ、その電磁力発生に要した電流を測定し、この電流値をA/D変換器及びマイクロプロセッサなどから構成される演算処理部により演算処理して重量値に換算して表示する電磁力平衡型のものが多く用いられている。また、電子天びんより比較的重い被計量物を計量する電子はかりには、金属ブロックをめがね型にくり抜きその肉薄部を起歪部とし、この部分に歪ゲージを貼着してブリッジ回路を形成したロードセルを荷重検出部として用い、このブリッジからの出力信号をA/D変換器及びマイクロプロセッサなどから構成される演算処理部により演算処理して重量値に変換して表示するロードセル形のものが多く用いられている。
これら従来の電子天びんや電子はかりは内部に温度センサを備え、温度が定常状態での温度の関数としてゼロ点及びスパンドリフトを記憶させ、測定した重量値に温度に対応した前記ゼロ点及びスパンドリフトを補正するための補正演算を行った重量値を出力表示している。
特開2003−214932号公報 特開2002−148105号公報 特開2000−241234号公報 特開2001−13001号公報
従来の電子天びんは、上記のように構成されており、定常状態での温度変化に対してはゼロ点及びスパンドリフトが補償されているが、通電した直後からしばらくの間は電子部品の発熱などにより急激に温度が上昇するため、上述の定常状態での温度ドリフト特性とは傾向が異なり温度補正が追いつかず、ゼロ点及びスパンに誤差を生じるため、電子天びんや電子はかりを誤差が少なく使用できる状態になるまで長い暖気時間を必要とするという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、通電した直後のゼロ点及びスパンドリフト特性を補正し、電子天びんを使用できる状態になるまでの暖気時間を短縮した高精度の電子天びんを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の電子天びんは、皿上荷重をサンプリング測定して重量値に換算し、この重量値を表示する電子天びんにおいて、通電直後から一定期間加除を繰り返す加除手段と、前記加除手段による加除が繰り返された期間の測定値からゼロ点又はスパンドリフトの一方あるいはその両方を補正する補正値を算出し、前記補正値の時系列情報と前記加除手段の加除に関する情報から補正式を求める演算手段と、次回通電時より皿上荷重の測定値を前記補正式で補正する測定値補正手段を備えている。
本発明が第2に提供する発明は、請求項1記載の電子天びんにおいて、前記加除手段は、内蔵分銅と内蔵分銅加除機構とからなる。
また、本発明が第3に提供する発明は、請求項1記載の電子天びんにおいて、一定時間間隔で内蔵分銅の加除を一定期間自動的に行う自動分銅加除手段を備えている。
さらに、本発明が第4に提供する発明は、請求項1及び請求項2記載の電子天びんにおいて、ゼロ点又はスパンドリフトの一方あるいはその両方の補正に用いる補正式の更新を行う補正更新手段を備えている。
本発明の電子天びんは、上記のように構成されており、通電時のドリフト特性が補正されるので被計量物の計量を開始できるようになるまでの暖気時間を短縮することができる。
本発明の電子天びんは、予め、通電ドリフト特性を記憶し補正演算することにより、通電時のドリフトを減少させ電子天びんを使用できる状態になるまでの暖気時間を短縮できる。また、電子天びんのドリフトは温度に依存し、ユーザが据え付ける環境により通電ドリフトが変化する可能性があるので、ユーザが使用する環境での通電ドリフトを記憶し補正演算することにより、より正確なドリフト補正が可能である。
本発明が提供する電子天びんはつぎのような特徴を有している。第1の特徴は皿上荷重をサンプリング測定して重量値に換算し、この重量値を表示する電子天びんにおいて、通電直後から一定期間加除を繰り返す加除手段と、前記加除手段による加除が繰り返された期間の測定値からゼロ点又はスパンドリフトの一方あるいはその両方を補正する補正値を算出し、前記補正値の時系列情報と前記加除手段の加除に関する情報から補正式を求める演算手段と、次回通電時より皿上荷重の測定値を前記補正式で補正する測定値補正手段を備えている点である。
第2の特徴は前記加除手段は、内蔵分銅と内蔵分銅加除機構とからなる点である。
第3の特徴は一定時間間隔で内蔵分銅の加除を一定期間自動的に行う自動分銅加除手段を備えている点である。
第4の特徴はゼロ点又はスパンドリフトの一方あるいはその両方の補正に用いる補正式の更新を行う補正更新手段を備えている点である。
したがって最良の形態の基本的な構成は、請求項1、請求項2、請求項3および請求項4記載の特徴を備えた構成を具備する電子天びんである。
以下実施例により本発明の電子天びんを詳細に説明する。図1は、本発明の電子天びんの構成を示すブロック図である。荷重検出部1は、サーボ機構やロードセルなどの荷重感応部1bに作用する荷重に対応する電気信号を出力し、その出力はA/D変換器2によってディジタル化された後、制御部3にとりこまれる。
前記荷重検出部1に近接して分銅加除機構4が配設されており、この分銅加除機構4はレバーとカムおよびその駆動モータ等の公知の機構によって、内蔵分銅5を荷重検出部1の荷重感応部1bに着設または除去することができる。この分銅加除機構4の駆動指令は制御部3から与えられる。
また、荷重検出部1内には、温度センサ6が内設されており、この温度センサ6の出力もA/D変換器2でディジタル化された後に制御部3にとりこまれる。A/D変換器2の入力段には、この温度センサ6の出力と荷重検出部1の出力を所定の周期で交互にディジタル化するため、入力信号切り替え用のスイッチ7が設けられている。このスイッチ7も制御部3からの信号によって駆動制御される。
前記制御部3はマイクロコンピュータを主体として構成されており、CPU31、ROM32、RAM33、入出力インターフェース34及び入力装置35等を備え、前記したA/D変換器2等のほかに、計量値の表示するための表示器8が接続されている。
前記ROM32には、通常の測定用のプログラムのほかに、後述する通電時ドリフトを補正する補正式を取得する補正式取得プログラムが書き込まれている。また、RAM33には、荷重検出部1からのディジタル変換データを格納するエリアやワークエリアのほか、通電時のゼロ点及びスパンのドリフト特性及びこれらのドリフトを補正する補正式を記憶するエリアが設定されている。
図2はROM32に書き込まれている通電時補正式取得プログラムの内容を示すフローチャートである。以下、図1及び図2を参照しつつ前記補正式を得るための手順を説明する。前記入力装置35の補正スイッチ35aをONにした状態で電源を入れると、通電時補正式取得プログラムがスタートし、サンプリング周期を監視しT時間に達すると(S1〜S3)、皿上荷重0、すなわち受け皿1aのみでの荷重測定を行い、その測定値C1(T時間後のゼロ点ドリフト量)を前記RAM33に記憶する(S4)。続いて前記制御部3で制御される分銅加除機構4によって例えば600grの内蔵分銅5を荷重感応部1bに負荷し(S5)、前記内蔵分銅5の荷重測定を行い、その測定値D1と前記測定値C1からスパンドリフト量(D1−C1−600)を算出し、この値を記憶する(S6)。次に、前記内蔵分銅5を前記分銅加除機構4によって荷重感応部1bから除去する(S7)。
この時点からさらにT時間(スタートから2T時間)経過するかを前記制御部3により監視し(S2、S3)、T時間経過する毎にステップS4からS7を繰り返し実行し、皿上荷重0及び分銅荷重の測定とスパンドリフト量(Di−Ci−600)の算出を行ってゼロ点ドリフト量Ciとスパンドリフト量(Di−Ci−600)を記憶する。図3はスパン600gの電子天びんの通電時のゼロ点ドリフト量(A)とスパンドリフト量(B)を示したもので、これらのドリフト量の測定/記憶はほぼ0に落ち着く時間に予め設定されている測定回数nに到達するまで行われ、測定回数がn回を越えると(S8)、ゼロ点ドリフトを補正するためのゼロ点補正値Eiを次式(1)により算出し、この補正値EiをRAM33に記憶する(S9)。
Ei=−Ci ………(1)
続いて、スパンドリフトを補正するためのスパン補正値Fiを次式(2)により算出し、この補正値FiをRAM33に記憶する(S10)。
Fi=−(Di−Ci−600) ………(2)
次にサンプリング値である前記補正値Ei群をゼロ点補正曲線で近似する時間関数の補正式E(t)に変換しRAM33に記憶し(S11)、前記補正値Fi群をスパン補正曲線で近似する時間関数の補正式F(t)に変換しRAM33に記憶する(S12)。図4は、前記ゼロ点補正値Ei群とゼロ点補正曲線との関係(A)と前記スパン補正値Fi群とスパン補正曲線との関係(B)を示したものである。
上記のように補正スイッチ35aをONにしたままで通電ドリフト期間(nT時間)以降も継続して使用する場合は、通常の計量表示を行う。すなわち、サンプリング周期ごとに皿上荷重Wiが測定されRAM33に記憶される(S20)とともに、この皿上荷重Wiは例えば移動加算等による平滑化処理などのディジタルフィルタリング処理と温度補正処理が加えられて皿上荷重Waに変換され表示器8に表示される。
また、前記補正スイッチ35aをOFFにした状態で電源を投入した場合は、前記RAM33に記憶されている通電時ドリフトを補正する前記補正式E(t)およびF(t)を用いて前記皿上荷重Waに対し通電時のドリフト補正が行われる。この場合の手順を図5のフローチャート図に示す。電源投入から一定の周期で皿上荷重Wiを測定してRAM33に記憶し(S20)、一連の皿上荷重Wiをディジタルフィルタを用いて平滑化処理し、温度補正を行い皿上荷重Waに変換する(S21)。次いで次式(3)を用いて皿上荷重Waに演算処理を行い、ゼロ点及びスパンドリフトを補正した皿上荷重Woに変換し(S22)、表示器8に表示する(S23)。
Wo=Wa(1+F(t)/600)+E(t) ………(3)
上記(3)式において、皿上荷重Waとその通電時のスパンドリフト量の比率と、図3(B)に示した600grの内蔵分銅5の皿上荷重とその通電時のスパンドリフト量(図3(B)に示す)の比率はほぼ等しいので、皿上荷重Waのマイナス方向のスパンドリフ量による低減率は、F(t)/600で示される増加率によって補正される。また、通電時のゼロ点ドリフト量はゼロ点補正式E(t)を加算することにより補正され、皿上荷重Woは、通電時よりドリフト量を除去した状態での皿上荷重Waに等しくなる。
上記のように記憶されている補正式E(t)、F(t)を再通電時に使用する場合は補正スイッチ35aをOFFにしてから電源を投入し、使用環境条件が大きく変わったり、環境条件の異なる測定場所で使用するために前記補正式E(t)、F(t)を更新する必要がある場合は、補正スイッチ35aをONにしてから電源を入れるようにする。以上は通電時ゼロドリフト及びスパンドリフトの両方を同時に補正する場合の説明であるが、ゼロ点ドリフトまたはスパンドリフトのいずれか一方だけを補正する場合は(3)式において対象とする補正式(1)または(2)式を0に置き換えればよい。
上記実施例の電子天びんは、ゼロ点及びスパンドリフトの補正式の取得と皿上荷重の測定値の補正を自動的に行うことができるものであるが、前記内蔵分銅5および分銅加除機構4に通常校正用として用いられている内部分銅と分銅加除機構を兼用させることも可能である。
本発明は電子天びんの通電時のドリフトの影響を低減することができる。
本発明の電子天びんの構成を示すブロック図である。 実施例に係わる通電時ドリフトの補正式を求める手順を示すフローチャート図である。 通電時のゼロ点ドリフト(A)とスパンドリフト(B)の特性図である。 通電時のゼロ点ドリフトの補正値とゼロ点補正曲線(A)及びスパンドリフトの補正値とスパンその補正曲線(B)を示す図である。 本発明の電子天びんの計量表示手順を示すフローチャート図である。
符号の説明
1 荷重検出部
1a 受け皿
1b 荷重感応部
2 A/D変換器
3 制御部
31 CPU
32 ROM
33 RAM
34 インターフェース
35 入力装置
35a 補正スイッチ
4 分銅加除機構
5 内蔵分銅
6 温度センサ
7 スイッチ
8 表示器

Claims (4)

  1. 皿上荷重をサンプリング測定して重量値に換算し、この重量値を表示する電子天びんにおいて、通電直後から一定期間加除を繰り返す加除手段と、前記加除手段による加除が繰り返された期間の測定値からゼロ点又はスパンドリフトの一方あるいはその両方を補正する補正値を算出し、前記補正値の時系列情報と前記加除手段の加除に関する情報から補正式を求める演算手段と、次回通電時より皿上荷重の測定値を前記補正式で補正する測定値補正手段を備えていることを特徴とする電子天びん。
  2. 前記加除手段は、内蔵分銅と内蔵分銅加除機構とからなることを特徴とする請求項1記載の電子天びん。
  3. 一定時間間隔で内蔵分銅の加除を一定期間自動的に行う自動分銅加除手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の電子天びん。
  4. ゼロ点又はスパンドリフトの一方あるいはその両方の補正に用いる補正式の更新を行う補正更新手段を備えていることを特徴とする請求項1および請求項2記載の電子天びん。
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