JPWO2006132235A1 - ロードセル式電子天びん - Google Patents
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Abstract
【課題】クリープ現象による荷重検出感度の変動を低減したロードセル式電子天びんを提供する。【解決手段】荷重検出に使用するロードセル1aのクリープ特性が安定するまでの一定期間、一定の荷重を前記ロードセル1aに負荷してマイクロコンピュータで構成される演算制御部3で荷重をサンプリング測定し、クリープ特性による荷重の時間的変化を補正する補正式を算出し記憶する。次回電源投入時から前記補正式を用いて測定データを補正する。
Description
本発明は、ロードセル式電子天びんに関し、特に起歪体に複数の歪みゲージを貼着してなるロードセル式電子天びんに関する。
従来のロードセル式電子天びんでは、クリープ対策として歪みゲージのパターンが少しずつ相違する、より詳しくはタブ比が互いに相違する複数種の歪みゲージを用意し、クリープを測定しつつ4枚の歪みゲージのいずれかもしくはすべてをパターンの相違するものに変化させながら、最適な組み合わせを探すという手法が採られている。歪みゲージ式のロードセルにおいては、一般に、荷重の作用により弾性変形する起歪体に複数の歪みゲージを貼着し、その各歪みゲージによりホイトストーンブリッジを形成して、そのホイトストーンブリッジの出力を起歪体に作用する荷重の大きさの検出出力として用いている。
図7は従来のロードセルの斜視図である。このロードセルの起歪体は、一対の柱部11、12を備えるとともに、その各柱部11、12をそれぞれの両端部に可撓部を有する上下2本の梁で連結した構造を有している。そして、4箇所の可撓部にそれぞれ1枚ずつ、合計4枚の歪みゲージS1〜S4を貼着し、図8に示すような基準電圧Eなるホイトストーンブリッジが組まれる。
以上の構成において、各柱部11、12のうちのいずれか一方、例えば柱部11を固定し、他方の柱部12に荷重を作用させたとき、各可撓部の弾性変形により各歪みゲージS1〜S4の抵抗値が変化し、ホイトストーンブリッジの出力端Vから荷重に比例した電圧信号が発生する。
上記のようなロードセルを例えば電子天びんの荷重センサとして用い、正確な荷重検出が要求される場合には、図9に示すような計量値が時間とともに変化するクリープ現象が問題となる。このクリープ対策として、従来のロードセルにおいては、パターンが少しずつ相違する、より詳しくは歪みゲージのパターンに基づくタブ比が互いに相違する複数種の歪みゲージを用意し、クリープ量を測定しつつ歪みゲージS1〜S4のいずれかもしくは全てをパターンの相違するものに変化させながら、最適な組み合わせを探すという手法が採られている。
以上のような従来のロードセルによると、クリープ量の調整のために多くの種類の歪みゲージを用意する必要があるばかりでなく、最適な歪みゲージの組み合わせを確定するまでに多大な労力と時間を要するという問題がある。
また、歪みゲージの接着後のクリープ量調整が実質的に不可能であるため、例えば電子天びんの荷重センサとして用いた場合、電子天びんの高分解能につれて問題となる、同一電子天びん間でのクリープ量のばらつきを補正する手段がないという問題もある。この問題を解決するものとして、例えば特開2003−322571号公報に示されるようなロードセルが開示されている。このロードセルは図10に示すように1つの起歪体に貼着した歪みゲージS1〜S4及びS5〜S8により複数のホイトストーンブリッジを形成し、その出力の線形和で荷重検出値を表すように構成するとともに、その線形和の算出時に各ホイトストーンブリッジの出力に乗じるべき係数を、各ホイトストーンブリッジに表れるクリープ量を相殺する値とするようにしている。
特開2003―322571号公報
従来のロードセル式電子天びんは、上記のように構成されており、タブ比が互いに相違する複数種の歪みゲージを用意し、クリープ量を測定しつつ歪みゲージS1〜S4のいずれかもしくは全てをパターンの相違するものに変化させながら、最適な組み合わせを探す方法や1つの起歪体に貼着した複数の歪みゲージS1〜S8により複数のホイトストーンブリッジを形成する方法では、電子天びんが使用される環境、具体的には温度、湿度により大幅にクリープ特性が変化するため、天びんの使用環境全てでクリープ誤差を無くすことは困難だった。 電子天びんが使用される環境に対応してクリープ誤差を減少することが本発明の課題である。 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、電子天びんが使用される環境によらず、クリープ誤差を減少し得るロードセル式電子天びんを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明のロードセル式電子天びんは、起歪体に複数の歪みゲージを貼着してなるロードセルを荷重検出部とするロードセル式電子天びんにおいて、使用環境での皿上荷重の負荷量及び負荷時間に対応するクリープ量を測定し、このクリープ量測定データを記憶するクリープ量記憶手段と、前記クリープ量測定データから使用環境でのクリープ補正量を算出し、このクリープ補正量データを記憶するクリープ補正量算出記憶手段を備え、測定された荷重に前記クリープ補正量を加算演算してクリープ誤差を補正するようにした。
また、本発明のロードセル式電子天びんは、内蔵分銅と該内蔵分銅を加除する分銅加除機構と該分銅加除機構を制御する制御部を備え、分銅加除機構を制御することにより内蔵分銅の負荷を一定時間行い、クリープ誤差を補正するようにした。 本発明のロードセル式電子天びんは、上記のように構成されており、使用環境の全てでクリープ誤差を低減することができる。
本発明のロードセル式電子天びんは、ユーザが使用する環境でのクリープ特性を記憶して、補正演算処理を行うので、使用環境での温度・湿度に適合したクリープ特性の正確な補正が可能となる。
1 荷重検出部 1a ロードセル 1b 荷重検出回路 1c 受け皿 2 A/D変換器 3 制御部 31 CPU 32 ROM 33 RAM 34 インターフェース 35 入力装置 35a クリープ補正キー 4 温度センサ 5 切替スイッチ 6 表示器 7 分銅 8 内蔵分銅 9 分銅加除機構 9a レバー E 基準電圧 S1、S2、S3、S4 歪みゲージ V 出力端
本発明が提供するロードセル式電子天びんはつぎのような特徴を有している。第1の特徴は起歪体に複数の歪みゲージを貼着してなるロードセルを荷重検出部とするロードセル式電子天びんにおいて、使用環境での皿上荷重の負荷量及び負荷時間に対応するクリープ量を測定し、このクリープ量測定データを記憶するクリープ量記憶手段と、前記クリープ量測定データから使用環境でのクリープ補正量を算出し、このクリープ補正量データを記憶するクリープ補正量算出記憶手段を備え、測定された荷重に前記クリープ補正量を加算演算してクリープ誤差を補正するようにした点である。 第2の特徴は内蔵分銅と該内蔵分銅を加除する分銅加除機構と該分銅加除機構を制御する制御部を備え、分銅加除機構を制御することにより内蔵分銅の負荷を一定時間行い、クリープ誤差を補正するようにした点である。 したがって最良の形態の基本的な構成は、請求項1及び2項の特徴を備えた構成を具備するロードセル式電子天びんである。
以下実施例により本発明のロードセル式電子天びんを詳細に説明する。図1は本電子天びんの構成を示すブロック図である。本電子天びんは図7に示した前記ロードセルと同様に歪みゲージを起歪部に貼着したロードセル1aと歪みゲージでホイトストーンブリッジを構成した荷重検出回路1bからなる荷重検出部1と、前記荷重検出回路1bの出力信号と荷重検出部1内の温度Tを検出する温度センサ4の出力信号を交互に切り替えてA/D変換する切替スイッチ5及びA/D変換器2と、前記切替スイッチ5及びA/D変換器2を制御するとともに、前記A/D変換器2からのディジタル信号を採り込み重量値に換算する演算制御部3及び前記重量値を表示する表示器6から構成されている。
前記演算制御部3は、マイクロコンピュータを主体に構成されており、CPU31、ROM32、RAM33、インターフェース34及びクリープ誤差補正の実行を入力するクリープ補正キー35a付きの入力装置35から構成されている。前記ROM32には、通常の計量表示プログラムの他に、基準温度と測定温度Tとの温度差による荷重検出誤差を無くすための補正値を求める温度補正プログラムや後述するクリープ特性を取得し、その補正を行うためのクリープ補正プログラムが書き込まれている。また、RAM33には、荷重検出回路1bからのディジタル変換データを格納するエリアやワークエリアのほか、前記クリープ補正プログラムにより取得されるクリープ補正式を記憶するエリアが設定されている。
図2は歪みゲージのクリープ現象により発生するロードセルの荷重検出感度の変動を補正するクリープ補正式を取得するためのフローチャート図である。以下、図1及び図2を参照しながらクリープ補正式を取得する手順を説明する。入力装置35のクリープ補正キー35aをONにした状態で、図1に示す受け皿1cにクリープ補正用の分銅7を負荷すると自動的にクリープ補正式取得プログラムがスタートする(S1)。演算制御部3はスタートからの時間tがサンプリング周期Aに相当する時間Aに到達したことを認識すると(S2)、切替スイッチ5を荷重検出回路1b側に切り替えて皿上荷重W1をA/D変換してディジタル信号に変換し、インターフェース34を介して演算制御部3内に取り込み、この皿上荷重W1をRAM33に記憶する(S3)。続いて切替スイッチ5を温度センサ4側に切り替えて温度Tを同様に演算制御部3に採り込み、温度Tでの皿上荷重W1に対する補正値±ΔW1をROM32より読み出す(S4)。
次に前記皿上荷重W1と補正値±ΔW1を加算して皿上荷重Wに変換する(S5)。この一連の処理はサンプリング周期Aごとに行われ、スタートからの時間tが予め皿上荷重Wが落ち着く時間に設定されているトータル時間Bになるまで行われ、この結果例えば図3に黒丸印で示したようなクリープ特性が得られる(S6)。このクリープ特性を分散の自乗和を最小にする統計手法により、クリープ特性曲線C(t)を導出する(S7)。そして、次式によりクリープ補正式Y(t)を算出し、この補正式Y(t)をRAM33に更新記憶する(S8)。 Y(t)=Wb−C(t) ………(1)なお、Wbは時間Bにおける皿上荷重である。
図4は本電子天びんによる被計量物の計量表示手順を示すフローチャート図である。本電子天びんの電源を入れると、サンプリング周期の到達が監視され(S9)、サンプリング周期時間に到達すると演算制御部3から切替スイッチ5を荷重検出回路1b側に切り替える制御信号が送られ、被計量物の皿上荷重w1をA/D変換器2によってディジタル値に変換し、RAM33に記憶する(S10)。続いて切替スイッチ5を温度センサ4側に切り替え、温度Tを同様にディジタル値に変換して演算制御部3に取り込み、温度Tでの温度スパン補正値±ΔW1をROM32より読み出す(S11)。次に皿上荷重w1に対する温度スパン補正値±ΔW1(w1/W1)を算出し、皿上荷重w1に加算して(2)式で示される皿上荷重wに変換する(S12)。 w=w1±
ΔW1(w1/W1) ………(2) 次に前記クリープ補正式Y(t)をRAM33より読み出し、クリープ補正値Y(t)(w1/W1)を算出し、皿上荷重wに加算して(3)式で示される皿上荷重woに変換した後(S13)、重量換算係数を乗じて重量計量値を表示器6に表示する(S14)。 wo=w+Y(t)(w1/W1) ………(3)
ΔW1(w1/W1) ………(2) 次に前記クリープ補正式Y(t)をRAM33より読み出し、クリープ補正値Y(t)(w1/W1)を算出し、皿上荷重wに加算して(3)式で示される皿上荷重woに変換した後(S13)、重量換算係数を乗じて重量計量値を表示器6に表示する(S14)。 wo=w+Y(t)(w1/W1) ………(3)
図5に他の実施例による電子天びんの構成を示す。この電子天びんは図5に示すように図1に示した電子天びんと同様に構成されているほか、内蔵分銅8と、演算制御部3からの制御信号によりレバー9aを上下させ、前記内蔵分銅8をロードセル1aから除去したり負荷する分銅加除機構9が付加されている。
本電子天びんによるクリープ補正式の取得手順を図6のフローチャート図に示す。クリープ補正キー35aをオンにした状態で電源を入れると(SA1)、演算制御部3から分銅加除機構9へ分銅負荷信号が送られ(SA2)、分銅加除機構9によって内蔵分銅8がロードセル1aに負荷される(SA3)。続いて図2に示したS2からS8と同様の手順が実行され、補正式Y(t)をRAM33に更新記録する。そして、演算制御部3から分銅加除機構9へ分銅除去信号を送信し(SA4)、分銅加除機構9により内蔵分銅8をロードセル1aから除去して終了する(SA5)。
本発明のロードセル式電子天びんは、荷重負荷と負荷時間に比例するクリープ特性を取得し、これを時間関数に変換してクリープ補正式を導出し、この補正式を用いてクリープ特性を補正するものであり、上記実施例に限定されるものではない。例えば、時間関数を複数の直線で近似してもよい。また、校正用分銅を内蔵分銅8と兼用して用いることもできる。
本発明は温度・湿度によるクリープ特性の影響が無視できない高精度の電子天びんに用いられる。
Claims (2)
- 起歪体に複数の歪みゲージを貼着してなるロードセルを荷重検出部とするロードセル式電子天びんにおいて、使用環境での皿上荷重の負荷量及び負荷時間に対応するクリープ量を測定しこのクリープ量測定データを記憶するクリープ量記憶手段と、前記クリープ量測定データから使用環境でのクリープ補正量を算出し、このクリープ補正量データを記憶するクリープ補正量算出記憶手段を備え、測定された荷重に前記クリープ補正量を加算演算してクリープ誤差を補正するようにしたことを特徴とするロードセル式電子天びん。
- ロードセル式電子天びんは内蔵分銅と該内蔵分銅を加除する分銅加除機構と該分銅加除機構を制御する制御部を備え、分銅加除機構を制御することにより内蔵分銅の負荷を一定時間行い、クリープ誤差を補正するようにしたことを特徴とする請求項1のロードセル式電子天びん。
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