JP5098995B2 - センサ特性補正装置および材料試験機 - Google Patents
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Description
この補正関数を求めるためには、予め定義したn次多項式に最小2乗法を適用することにより、多項式の係数を決定することが行われている。そして実際の測定時には、センサ出力値を補正関数に入力して補正することが行われている(特許文献1)。
その結果、補正関数を用いて補正されたセンサ出力値(すなわち、ユーザに提供される測定指示値)が有する測定誤差は、一定の絶対誤差内に留まるとはいえ、検定された実負荷・実変位の大きさとは、何の相関もないという問題があった。例えば、材料試験機の試験力を測定するセンサとしてロードセルを用いる場合、実負荷が大きいサンプル点では相対誤差が小さくなる反面、実負荷が小さいサンプル点では相対誤差が大きくなってしまうという問題があった。
請求項2に記載のセンサ特性補正装置は、請求項1に記載のセンサ特性補正装置において、前記センサ出力値xkのうちゼロ値およびフルスケール値については予め補正をしておくものである。
請求項3に記載のセンサ特性補正装置は、請求項1または2に記載のセンサ特性補正装置において、さらに加えて、試験中に前記物理センサから得られたセンサ出力を前記補正用多項式f(x) に代入することにより、前記物理センサの非線形出力特性を補正する演算手段を備える。
請求項4に記載のセンサ特性補正装置は、請求項3に記載のセンサ特性補正装置において、前記演算手段は、加算処理および乗算処理を繰り返して実行することにより、前記補正用多項式f(x) の演算を行う。
請求項5に記載の材料試験機は、較正された実負荷および実変位のいずれか一方を所定の検定器により物理センサに与え、前記検定器により与えられた複数の検定器出力値ykにそれぞれ対応するセンサ出力値xkを求める検定手段と、予め定めた多項式f(x) に前記センサ出力値xkを代入して得たf(xk) と前記検定器出力値ykとの差を|yk|h(0≦h≦1)で除算し、その2乗の総和が最小となるような多項式係数を決定することにより、補正用多項式f(x)を得る多項式決定手段と、試験中に前記物理センサから得られた任意のセンサ出力を前記補正用多項式f(x) に代入することにより、前記物理センサの非線形出力特性を補正する演算手段とを備えることを特徴とする。
請求項6に記載の材料試験機は、請求項5に記載の材料試験機において、前記センサ出力値xkのうちゼロ値およびフルスケール値については予め補正をしておくものである。
請求項7に記載の材料試験機は、請求項5または6に記載の材料試験機において、前記演算手段は、加算処理および乗算処理を繰り返して実行することにより、前記補正用多項式f(x) の演算を行う。
図1は、本発明を適用した材料試験機を示す全体構成図である。本図において、LCはロードセル(後に詳述する)、CUはロードセルLCと材料試験機本体の制御盤42とを接続するためのケーブルユニットである。31Aおよび31Bは一対の支柱であり、その内部にはモータ(図示せず)により回転されるボールねじ(図示せず)が内装されている。32はクロスヘッドであり、上記ボールねじの回転に応じて上下に移動する。一対の支柱31Aおよび31Bの間には、固定された基台34およびクロスヨーク36を設けてある。38は上つかみ具であり、ロードセルLCを介してクロスヘッド32に接続されている。40は下つかみ具であり、基台34に接続されている。制御盤42は、図示しない負荷機構の制御のみならず、各種インタフェース回路(図示せず)ならびに各種データ処理を行うための信号処理回路(図3参照)を備えている。KKは伸び計である。伸び計KKの信号線については省略してある。以上の各構成要素により、本実施の形態による材料試験機44を構成する。
<材料試験開始前の補正関数決定について>
材料試験機本体にロードセルLCを取り付ける前に、ロードセルLCの検定を行う。この検定は、工場出荷時あるいはメインテナンス時・サービス提供時などに行う。本実施の形態では、トレーサビリティが確保されている較正済みの分銅を複数個用いてロードセルに荷重(試験力)を与えているが、より大きな荷重を与えるときにはループ式などの検力器を用いる。
(センサ出力値,実負荷値)=(x0,y0),(x1,y1),(x2,y2),・・・(xn−1,yn−1)
であるとすると、補正関数f(x)は、
(0,0),(x0,y0),(x1,y1),(x2,y2),・・・(xn−1,yn−1),(L,L)
の各点を通る多項式(もしくは、これらの点に最も接近する多項式)である。
なお、n=1である場合、すなわち図2(B)の0点とL点との間に1箇所だけロードセル検定を行った点がある場合には、数式4は単にE=(e kの2乗)となる
この数式11の左辺には3行3列の行列があるので、この行列の逆行列を左右両辺に左側から掛けることにより、補正関数f(x)の係数a0 , a1 , a2 を求めることができる。
次に、決定された補正関数f(x)を用いてロードセルLCの出力を補正する処理について説明する。
図3は、材料試験機44の制御盤42(図1参照)に含まれている信号処理回路である。本図において、2は、ロードセルLCのケーブルユニットCUを接続するためのロードセル信号入力端子である。4はプリアンプ、6はアンチエリアシング処理を行うためのアナログフィルタ、8はA/D変換器、10はオーバーサンプリングによるノイズを除去するためのデジタルフィルタである。
ステップS1では、まずバッファBをゼロにリセットする。
ステップS2では、バッファBの内容に多項式係数a2を加算し、加算結果を再びバッファBに格納(上書き)する。
ステップS3では、バッファBの内容にロードセル出力xを乗じ、乗算結果を再びバッファに格納(上書き)する(*は掛け算記号である)。
ステップS4では、バッファBの内容に(a1−a2L)を加算し、加算結果を再びバッファBに格納(上書き)する。ここで、a1およびa2は多項式係数、Lはフルスケール値(図2(B)参照)である。
ステップS5では、バッファBの内容にロードセル出力xを乗じ、乗算結果を再びバッファに格納(上書き)する。
ステップS6では、バッファBの内容に(a0−a1L)を加算し、加算結果を再びバッファBに格納(上書き)する。ここで、a0およびa1は多項式係数、Lはフルスケール値である。
ステップS7では、バッファBの内容にロードセル出力xを乗じ、乗算結果を再びバッファに格納(上書き)する。
ステップS8では、バッファBの内容に(1−a0L)を加算し、加算結果を再びバッファBに格納(上書き)する。ここで、a0は多項式係数、Lはフルスケール値である。
ステップS9では、バッファBの内容にロードセル出力xを乗じ、乗算結果をバッファに格納(上書き)する。
ステップS9で得られたバッファBの内容が、非線形補正されたロードセル出力となる。
本実施の形態によれば、以下のような作用・効果を奏することができる。
(1)トレーサビリティが確保されている較正済みの分銅あるいは検力器を用いて複数の実負荷をロードセルに与え、その実負荷にそれぞれ対応するロードセル出力値xkを求めておき、予め定めた多項式の補正関数f(X) にロードセル力値xkを代入して得たf(Xk) と較正済みの値ykとの差を|yk|h(0≦h≦1)で除算し、その2乗の総和が最小となるような多項式係数を決定することにより補正関数f(X)を決定することとしているので、必要とされる測定精度に応じたh(0≦h≦1)を選択することができる。すなわち、材料試験機の測定レンジ内において、絶対誤差のみならず相対誤差も併せて考慮した補正関数を決定することができる。特に、h=1のときには、測定誤差は相対誤差を表すことになる。h=0のときには、測定誤差は絶対誤差そのものとなる。また、h=0.5のときには、相対誤差と絶対誤差の両方を含む。
(1)実施の形態では、材料試験機44にロードセルLCを搭載する前に予め補正関数(n次多項式)の係数を決定しているが、材料試験機内に搭載したCPU(図示せず)を用いて、ロードセルLCの検定を行うことも可能である。
より具体的に述べると、センサ特性補正装置として、
a) 較正された実負荷または実変位を所定の検定器により物理センサに与え、その検定器により与えられた複数の検定器出力値ykにそれぞれ対応するセンサ出力値xkを求め、
b) 予め定めた多項式f(X) にセンサ出力値xkを代入して得たf(Xk) と検定器出力値ykとの差を|yk|h(0≦h≦1)で除算し、その2乗の総和が最小となるような多項式係数を決定することにより、補正用多項式f(X)を得ることができる。
さらに、物理センサから得られたセンサ出力を補正用多項式f(X) に代入することにより、物理センサの非線形出力特性を補正する演算回路を備えることも可能である。
また、数式12および図4と同様に、加算器と乗算器により補正用多項式f(X) の演算を行うことも可能である。すなわち、多項式の次数に拘わりなく、加算処理および乗算処理を繰り返して実行することにより、補正用多項式の演算を行うことができる。
実施の形態と変形例の一つとを組み合わせること、もしくは、実施の形態と変形例の複数とを組み合わせることも可能である。
変形例同士をどのように組み合わせることも可能である。
さらに、本発明の技術的思想の範囲内で考えられる他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
4 プリアンプ
6 アンチエリアシング処理用アナログフィルタ
8 A/D変換器
10 デジタルフィルタ
12 オフセット除去回路
14 オフセット設定部
16 乗算回路
18 ゲイン設定部
20 非線形補正回路
22 FIFOメモリ
24 表示器
32 クロスヘッド
34 基台
36 クロスヨーク
38 上つかみ具
40 下つかみ具
42 制御盤
44 材料試験機
CU ケーブルユニット
LC ロードセル
KK 伸び計
Claims (7)
- 較正された実負荷および実変位のいずれか一方を所定の検定器により物理センサに与え、前記検定器により与えられた複数の検定器出力値ykにそれぞれ対応するセンサ出力値xkを求める検定手段と、
予め定めた多項式f(x) に前記センサ出力値xkを代入して得たf(xk) と前記検定器出力値ykとの差を|yk|h(0≦h≦1)で除算し、その2乗の総和が最小となるような多項式係数を決定することにより、補正用多項式f(x)を得る多項式決定手段とを備えることを特徴とするセンサ特性補正装置。 - 請求項1に記載のセンサ特性補正装置において、
前記センサ出力値xkのうちゼロ値およびフルスケール値については予め補正をしておくことを特徴とするセンサ特性補正装置。 - 請求項1または2に記載のセンサ特性補正装置において、さらに加えて、
試験中に前記物理センサから得られたセンサ出力を前記補正用多項式f(x) に代入することにより、前記物理センサの非線形出力特性を補正する演算手段を備えることを特徴とするセンサ特性補正装置。 - 請求項3に記載のセンサ特性補正装置において、
前記演算手段は、加算処理および乗算処理を繰り返して実行することにより、前記補正用多項式f(x) の演算を行うことを特徴とするセンサ特性補正装置。 - 較正された実負荷および実変位のいずれか一方を所定の検定器により物理センサに与え、前記検定器により与えられた複数の検定器出力値ykにそれぞれ対応するセンサ出力値xkを求める検定手段と、
予め定めた多項式f(x) に前記センサ出力値xkを代入して得たf(xk) と前記検定器出力値ykとの差を|yk|h(0≦h≦1)で除算し、その2乗の総和が最小となるような多項式係数を決定することにより、補正用多項式f(x)を得る多項式決定手段と、
試験中に前記物理センサから得られたセンサ出力を前記補正用多項式f(x) に代入することにより、前記物理センサの非線形出力特性を補正する演算手段とを備えることを特徴とする材料試験機。 - 請求項5に記載の材料試験機において、
前記センサ出力値xkのうちゼロ値およびフルスケール値については予め補正をしておくことを特徴とする材料試験機。 - 請求項5または6に記載の材料試験機において、
前記演算手段は、加算処理および乗算処理を繰り返して実行することにより、前記補正用多項式f(x) の演算を行うことを特徴とする材料試験機。
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