JP5279680B2 - 薬剤揮散体及びこれを用いた薬剤揮散方法 - Google Patents
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例えば、特開平5−68459号公報においては、揮散性薬剤を拡散用材料に保持させ、駆動手段を用いることで揮散性薬剤を気中に拡散させる方法が提案されている。
また、特開2002−17230号公報では、薬剤含浸体を収納するカートリッジをモーターで回転させ、遠心力とファンによる風力を利用して薬剤を効率的に揮散させる方法を開示している。これらの方法では、薬剤含浸体を収納するカートリッジをモーターで回転させるための薬剤の揮散性能は、非常に良好であったが、薬剤をより効率的に揮散させる観点から、昨今の住宅事情の変化等により、使用する部屋の大型化が進んでいる現状に鑑み、この点においても、更なる製品の改良が望まれていた。
(1)薬剤保持体を円筒状の薬剤カートリッジに収納し、この薬剤カートリッジを回転させて薬剤を揮散させる薬剤揮散体において、
前記薬剤保持体は、平板状であって三次元方向にメッシュ状を形成している通気層の内側面に、毛管現象によって薬剤を保持できる程度の隙間を有する薬剤保持層を設けると共に、通気層におけるメッシュ状の隙間の程度が、薬剤保持層における隙間の程度よりも大きい状態としたうえで、通気層と薬剤保持層とを接合させた繊維立体構造体である繊維立体構造体を周回させて中空円筒状に形成したものである薬剤揮散体。
(2)前記薬剤カートリッジの内側面部から軸心部までの距離(A)と前記薬剤保持体の厚み(通気層と薬剤保持層とを併せた距離:B)との比率(A/B)が、3〜20である(1)に記載の薬剤揮散体。
(3)前記薬剤保持体に保持される薬剤は、30℃における蒸気圧が2×10−4〜1×10−2mmHgであるピレスロイド化合物から選ばれた1種又は2種以上である(1)又は(2)に記載の薬剤揮散体。
(4)(1)ないし(3)のいずれかに記載の薬剤揮散体を用い、駆動モーターのモーター軸に前記薬剤カートリッジの軸心部を嵌合し、この薬剤カートリッジを回転させて薬剤を揮散させる薬剤揮散方法。
さらに、通常は薬剤揮散体の回転数が低下した場合には、揮散成分の揮散性が下がり、効力が低下すると考えられるが、本発明の薬剤揮散体では、回転数が低下した場合でも効力の低下はほとんど認められないという効果をも奏する。
薬剤保持体の立体構造体の中では、特に好適な例として、天然繊維の木綿、麻、羊毛、絹等またレーヨン等の半合成繊維、合成繊維のポリエステルであるポリエチレンテレフタレート、ナイロン、アクリル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド、ポリフェニレンサルファイド等、無機繊維のガラス繊維やカーボン繊維、セラミック繊維等を用いたものが挙げられるが、特に、上段部分の材料として、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル材料が、下段部分の材料としては、ポリアミド樹脂などのナイロン系の材料が挙げられる。
これらの材料では、薬剤放出のための薬剤の移動が毛管現象で行われるので、薬剤を一定量、連続して揮散させることが出来、特に好適である。
薬剤保持体の繊維立体構造体の材料は、一般的な材料をいずれも使用可能であるが、特に、通気度を表すと、200〜500cm3/cm2/秒であれば更に好ましい。
なお、通気度はJISL1096の方法に準じて測定する。
なお、本発明でいう内側面部とは、平板状の立体繊維構造体を周回させて、薬剤カートリッジに収納する際の内面側に位置し、平板状の立体繊維構造体を内面側より支える構造となる部分を指す。また、外側面部とは、平板状の立体繊維構造体を周回させて、薬剤カートリッジに収納する際の外面側に位置し、平板状の立体繊維構造体を外面側より支える構造となる部分を指す。
これら内側面部及び外側面部は、いずれも円筒状の薬剤カートリッジの一部となるように構成される。
なお、内側面部から軸芯部までの距離とは、薬剤カートリッジの繊維立体構造体の内面側より支える部分の中心側の面と軸芯部までの距離をいう。
また、これらの中から2種以上の化合物を使用して、揮散性の程度に応じて適宜薬剤を選択し、揮散性の調整をして、長期間の製剤とすることも可能である。
使用可能な溶剤としては、n−パラフィン、イソパラフィンなどの炭化水素系溶剤、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどの炭素数3〜6のグリコール、これらのグリコールエーテル、ケトン系溶剤、エステル系溶剤などがあり、これにより適宜希釈して薬剤保持体に添加することが出来る。
また各種の添加剤としては、各種の安定剤として、BHT、BHA、2,2´−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−メチレンビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、メルカブトベンズイミダゾール等が挙げられる。
また、必要に応じて紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、光沢剤、他の粉末、消炎剤、制汗剤、あるいは保湿剤、界面活性剤、分散剤、香料等の種々の成分を添加することも出来る。
本発明の薬剤揮散体は、各種の薬剤揮散用の電気式薬剤揮散器に設置し、回転させて使用されるものであり、特にその器具の形態等に制限はないが、特に好適な器具の形態として、薬剤揮散体の上面部に開口部を有し、薬剤揮散体の薬剤カートリッジの外側面部の外側の一部又は全部に開口部を有するものが特に好ましい形態として挙げられる。
〔KT50での効力評価〕
○:5分以上30分未満 △〜○:30分以上60分未満 △:60分以上90分未満×:90分以上
初期ではKT50で、25分となり、高い効力を発揮した。また、700時間まで継続して揮散させたところ、末期まで安定した効力を維持した。
これに対し、棒状の樹脂や厚紙を用いた比較例においては、初期には効力が認められたが、時間の経過に伴い、効力が低下し、末期ではほとんど効力が認められなかった。
2:薬剤保持体
3:円筒状の薬剤カートリッジ
4:軸芯部
5:開口部分
6:連結部
7:内側面部
8:外側面部
Claims (4)
- 薬剤保持体を円筒状の薬剤カートリッジに収納し、この薬剤カートリッジを回転させて薬剤を揮散させる薬剤揮散体において、
前記薬剤保持体は、平板状であって三次元方向にメッシュ状を形成している通気層の内側面に、毛管現象によって薬剤を保持できる程度の隙間を有する薬剤保持層を設けると共に、通気層におけるメッシュ状の隙間の程度が、薬剤保持層における隙間の程度よりも大きい状態としたうえで、通気層と薬剤保持層とを接合させた繊維立体構造体を周回させて中空円筒状に形成したものであることを特徴とする薬剤揮散体。 - 前記薬剤カートリッジの内側面部から軸心部までの距離(A)と前記薬剤保持体の厚み(通気層と薬剤保持層とを併せた距離:B)との比率(A/B)が、3〜20であることを特徴とする請求項1に記載の薬剤揮散体。
- 前記薬剤保持体に保持される薬剤は、30℃における蒸気圧が2×10−4〜1×10−2mmHgであるピレスロイド化合物から選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤揮散体。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の薬剤揮散体を用い、駆動モーターのモーター軸に前記薬剤カートリッジの軸心部を嵌合し、この薬剤カートリッジを回転させて薬剤を揮散させることを特徴とする薬剤揮散方法。
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