JP5279191B2 - 焼成物の製造方法 - Google Patents
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Description
また、これらを廃棄するために必要な費用についても、年々高騰の一途を辿っており、このような状況から、廃棄物を不法投棄するなどの社会的問題も発生している。
しかしながら、特許文献1、2に記載の人工骨材では、砒素の溶出量が多く、砒素を多く含む廃棄物等を原料として使用することが困難であるという問題がある。
120℃〜600℃に冷却した焼成物に、カルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる一種以上の水溶液又は懸濁液を噴霧することにより焼成物からの砒素の溶出を低減することを特徴とする焼成物の製造方法である。
また、本発明は、産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる一種以上の砒素を含有する廃棄物を原料として使用する水硬率(H.M.)が0.4未満の焼成物の製造において、
120℃〜600℃に冷却した焼成物を、カルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる一種以上の水溶液中又は懸濁液中に投入することにより焼成物からの砒素の溶出を低減することを特徴とする焼成物の製造方法である。
焼成物の水硬率が0.4以上では、成分調整のために、原料に石灰石等を添加する必要があり、原料としての廃棄物等の使用量が低下する傾向にある。また、水硬率が0.4以上の焼成物では、砒素を固定する能力が高いので、上記特定の水溶液又は懸濁液を噴霧等する必要性が乏しい。
また、焼成物の軽量化を図る場合は、発泡助材(炭化珪素やカーボン等)や発泡性を有する原料(真珠岩や膨張頁岩等)などを使用することができる。
なお、本発明においては、廃棄物の有効利用促進の観点から、焼成物の原料として、産業廃棄物、一般廃棄物及び土から選ばれる1種以上を、70質量%以上用いるのが好ましい。
なお、粒度の粗い原料を用いる場合や、混合度を高めたい場合は、チューブミル等の粉砕を伴うものを使用することもでき、公知の粉砕機であれば、連続式、バッチ式のいずれを用いることもできる。粉砕混合時間は、経済性や混合性から、概ね30分〜1時間程度が好ましく、使用する設備に応じて、適宜設定すれば良い。
この際、整粒にパンペレタイザーや押し出し成形機を用いることもできるが、これらは習熟された技能を必要とすることや、設備コストの観点から好ましくなく、例えば、パグミルやスクリューフィーダーを使用し、原料輸送経路、あるいは整粒中の原料に直接散水するのが、設備を簡素にでき、特別な技能も必要としないことから好ましい。また、整粒物の粒子径のコントロールは、散水量で調整することができ、最適な散水量は、原料粉末の粉末度や含水量によって異なるため、整粒物の状態を見ながら、適宜調節するのが好ましい。
ロータリーキルンを使用すると、安定した品質の焼成物が連続して得られ易く、工業生産に向いていることに加え、前記の原料の配合調整による相乗効果も合わさって、極めて安定的に焼成物を製造することが可能となる。また、セメント産業における、遊休設備の有効活用の観点からも好ましい。
なお、焼成温度が800℃未満では、十分な焼成が行われず、原料が造粒されないまま排出される憂いがあり好ましくなく、1500℃を超えると、原料が溶融してしまい、運転に支障をきたすため好ましくない。
なお、本発明の焼成物の焼成においては、酸性ガスが発生するおそれがあるので、ロータリーキルンには、排ガス浄化処理設備を付設することが望ましい。
融着防止材としては、珪石、アルサイト、アルミナ、セメントの粉末や、セメントの主要鉱物であるエーライト、ビーライト粉末などを用いることができる。
また、融着防止材の吹き込み量は、ロータリーキルンに送入する混合原料に対し、3〜10質量%であるのが、融着防止材としての効果が十分に得られるので好ましい。
焼結助剤の粒度が1μm未満では、粉砕等の費用が高騰するため好ましくなく、300μmを超えると、廃棄物等との反応性が悪くなり、焼結肋剤としての効果が得られないために好ましくない。
MgOが0.1〜10質量%であれば、焼結助剤としての効果が十分に得られるので好ましい。R2Oが0.1〜10質量%であれば、焼結助剤としての効果が十分得られるともに、焼成時の液相の発生が急激にならず、安定した運転が行えるので好ましい。
本発明においては、1)120℃〜600℃に冷却した焼成物に、カルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる一種以上の水溶液又は懸濁液を噴霧する、又は、2)120℃〜600℃に冷却した焼成物を、カルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる一種以上の水溶液中又は懸濁液中に投入する。
上記特定の水溶液又は懸濁液を噴霧等することにより、焼成物からの砒素の溶出量を低減することができる。
上記特定の水溶液又は懸濁液を噴霧等する際の焼成物の温度は、600℃以下、好ましくは400℃以下である。焼成物の温度が600℃を超えていると、水溶液又は懸濁液を噴霧等した際に、焼成物にクラック等が生じ、吸水率及び減圧吸水率の増加や、圧壊荷重の低下が生じる憂いがあるので好ましくない。
マグネシウム塩としては、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム等を使用することができ、なかでも、砒素の溶出低減効果等から、水酸化マグネシウムが好ましい。これらのうち、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の水にほとんど溶けないものは、懸濁液(分散媒は水)で使用し、水溶性の塩は、水溶液で使用する。
焼成物に懸濁液を噴霧する場合又は焼成物を懸濁液中に投入する場合は、焼成物100kg当たり、金属塩等の量が0.01〜10kg(より好ましくは0.1〜7kg、特に好ましくは0.2〜5kg)となるように、懸濁液の濃度や懸濁液の噴霧量、懸濁液中への焼成物の投入量を調整することが好ましい。焼成物100kg当たりの金属塩等の量が0.01kg未満では、焼成物からの砒素の溶出量を低減する効果が低下するので好ましくない。焼成物100kg当たりの金属塩等の量が10kgを超えても、焼成物からの砒素の溶出量を低減する効果は向上しないため、経済的でなく好ましくない。なお、懸濁液を噴霧する場合は、懸濁液の濃度を40質量%以下にすることが好ましい。懸濁液の濃度が40質量%を超えると、懸濁液の粘度が高くなり噴霧することが困難となる。
なお、本発明においては、焼成物に水溶液又は懸濁液を噴霧する場合や、焼成物を水溶液中又は懸濁液中に投入し、その後乾燥する場合は、焼成物の温度は、120℃以上であり、150℃以上であることが好ましい。焼成物の温度が120℃以上であれば、その後の乾燥の期間や手間を低減することができる。
特に本発明の焼成物を、コンクリート用の骨材、路盤材、アスファルト用の骨材、盛土材として使用する場合は、24時間吸水率及び減圧吸水率が0.1〜15%であるのが好ましい。また、直径5〜10mmの焼成物の圧壊荷重が0.2kN以上、特に0.4kN以上、更に0.5kN以上であるか、又は直径10〜15mmの焼成物の圧壊荷重が0.5kN以上、特に0.7kN以上、更に0.9kN以上であるのが好ましい。
この減圧吸水率は、コンクリートのポンプ圧送時の配管内における骨材の吸水性を推察する指標となるものであり、焼成物をコンクリート用の骨材として使用する場合には、コンクリートとした際の良好なワーカビリティーを確保するために、24時間吸水率のみならず、減圧吸水率を低くすることが重要になる。
(1−1)焼成物の製造:
建設発生土、石炭灰、廃棄物A、石灰石を使用し、表1に示す焼成物を製造した。焼成物の製造は、表2に示した原料を表1に示す水硬率になるよう配合し、ボールミルで5kgを1時間粉砕・混合した。その原料を、1.5kg/hrで外熱式キルン(内径0.13m、長さ1.84m)に投入し、1150〜1250℃で焼成した。焼成後、300℃まで空気中で冷却した後、Ca(OH)2懸濁液(分散媒は水)、Mg(OH)2懸濁液(分散媒は水)、Fe懸濁液(分散媒は水)、FeSO4水溶液、FeCl2水溶液、Fe2(SO4)3水溶液又はFeCl3水溶液を噴霧して、焼成物を製造した。
なお、Ca(OH)2、Mg(OH)2、Fe、FeSO4、FeCl2、Fe2(SO4)3、FeCl3は、試薬(一級)を使用した。
また、Ca(OH)2、Mg(OH)2、Feは、平均粒径が10μmのものを使用した。
また、水溶液又は懸濁液の濃度は20質量%とし、焼成物100kg当たりの金属塩等の量が1kgとなるように噴霧量を調整した。
得られた焼成物を、目開き5、10、15mmの篩い分けし、5〜15mmの焼成物について鉛、クロム、および砒素含有量を測定し、表1に併記した。
なお、鉛およびクロム含有量は、JCAS I-51により前処理後、ICP発光分析分析法により測定した。砒素含有量は、JCAS I-51により前処理後、水素化物発生原子吸光法により測定した。
また、5〜15mmの焼成物について、絶乾密度、吸水率を、JIS A 1110に準拠して測定した。また、土木学会基準の高強度フライアッシュ人工骨材の圧壊荷重試験方法に準拠して、10〜15mmの焼成物の圧壊荷重を測定した。さらに、環境省告示19号に準拠した焼成物中の鉛とCr6+の含有量、および環境省告示46号法に準拠した焼成物からの鉛、Cr6+および砒素の溶出量をそれぞれ測定した。
その結果を表3〜5に示す。
(2−1)焼成物の製造:
表2の各原料及びSiC(関東化学 試薬)を使用し、表6に示す焼成物を製造した。焼成物の製造は、表2に示した原料を表6に示す水硬率になるよう配合し、さらにSiCを表6に示す量添加して、ボールミルで5kgを1時間粉砕・混合した。その原料を、1.5kg/hrで外熱式キルン(内径0.13m、長さ1.84m)に投入し、1150〜1250℃で焼成した。焼成後、300℃まで空気中で冷却した後、Ca(OH)2懸濁液(分散媒は水)、Fe懸濁液(分散媒は水)又はFeCl2水溶液を噴霧して、焼成物を製造した。
なお、Ca(OH)2、Feは、平均粒径が10μmのものを使用した。
また、水溶液又は懸濁液の濃度は20質量%とし、焼成物100kg当たりの金属塩等の量が1kgとなるように噴霧量を調整した。
得られた焼成物を、前記(1−2)と同様に評価した。
その結果を表7に示す。
Claims (6)
- 産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる一種以上の砒素を含有する廃棄物を原料として使用する水硬率(H.M.)が0.4未満の焼成物の製造において、
120℃〜600℃に冷却した焼成物に、カルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる一種以上の水溶液又は懸濁液を噴霧することにより焼成物からの砒素の溶出を低減することを特徴とする焼成物の製造方法。 - 産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる一種以上の砒素を含有する廃棄物を原料として使用する水硬率(H.M.)が0.4未満の焼成物の製造において、
120℃〜600℃に冷却した焼成物を、カルシウム塩及びマグネシウム塩から選ばれる一種以上の水溶液中又は懸濁液中に投入することにより焼成物からの砒素の溶出を低減することを特徴とする焼成物の製造方法。 - 焼成物の冷却温度が120℃〜400℃であることを特徴とする請求項1又は2記載の焼成物の製造方法。
- カルシウム塩が、水酸化カルシウムである請求項1又は2記載の焼成物の製造方法。
- マグネシウム塩が、水酸化マグネシウムである請求項1又は2記載の焼成物の製造方法。
- 焼成を、ロータリーキルンを使用して行う請求項1〜5のいずれかに記載の焼成物の製造方法。
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