JP2008156197A - 焼成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】クロムを含有する原料を用いても、6価クロム量を低減できる焼成物の製造方法を提供する。
【解決手段】産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる1種以上を含有する原料をロータリーキルンを使用して焼成する焼成物の製造方法であって、ロータリーキルン内の最高温度の位置をロータリーキルンの内径をDとして焼成物出口から3D〜7Dの位置とし、ロータリーキルン内の最高温度の位置より焼成物出口側にある焼成物に可燃性物質を供給しながら焼成し、ロータリーキルンから排出された焼成物を400℃以下になるまで40℃/min以上の冷却速度で冷却する焼成物の製造方法。
40℃/min以上の冷却速度で冷却する方法としては、エアークエンチングクーラーを用いて冷却する方法、焼成物を水中に投入して冷却する方法や焼成物に散水して冷却する方法が好ましい。
【選択図】なし
Description
また、本発明で製造される焼成物は、産業廃棄物、一般廃棄物等を原料として使用することができるので、廃棄物の有効利用の促進にも貢献することができる。
図1は、本発明で使用する焼成物の製造設備の一例を示す断面図である。図1においては、プレヒーター3を付設したロータリーキルン1の排出口(焼成物出口)にエアークエンチングクーラー2が設けられる構造を有するものである。
なお、ロータリーキルンは、プレヒーター以外に、排気系にサイクロン等の原料循環予熱設備、廃熱ボイラー、粉砕設備、乾燥設備、集塵設備等を付設していても良い。また、窯尻にリフターを備えているものや、ロータリーキルンの内径を途中で窄めたり、広げるなどの加工を加えたものであっても良い。
また、本発明においては、焼成物の原料として、石灰石、生石灰、消石灰等のCaO原料、珪石、粘土等のSiO2原料、粘土等のAl2O3原料、鉄滓、鉄ケーキ等のFe2O3原料などを使用することができる。
これらのうち、産業廃棄物、一般廃棄物、建設発生土、粘土、鉄滓にはクロムが多く含まれるものがある。
原料の化学組成としては、CaOが0〜60質量%、特に20〜45質量%であるのが好ましく;SiO2が15〜60質量%、特に20〜50質量%であるのが好ましく;Al2O3が5〜25質量%、特に10〜25質量%であるのが好ましく;Fe2O3が1〜10質量%、特に1〜8質量%であるのが好ましい。
なお、粒度の粗い原料を用いる場合や、混合度を高めたい場合は、チューブミル等の粉砕を伴うものを使用することもでき、公知の粉砕機であれば、連続式、バッチ式のいずれを用いることもできる。粉砕混合時間は、経済性や混合性から、概ね30分〜1時間程度が好ましく、使用する設備に応じて、適宜設定すれば良い。
この際、整粒にパンペレタイザーや押し出し成形機を用いることもできるが、これらは習熟された技能を必要とすることや、設備コストの観点から好ましくなく、例えば、パグミルやスクリューフィーダーを使用し、原料輸送経路、あるいは整粒中の原料に直接散水するのが、設備を簡素にでき、特別な技能も必要としないことから好ましい。また、整粒物の粒子径のコントロールは、散水量で調整することができ、最適な散水量は、原料粉末の粉末度や含水量によって異なるため、整粒物の状態を見ながら、適宜調節するのが好ましい。
本発明において、ロータリーキルン1での焼成時間は、経済性の観点から概ね15〜120分とするのが好ましく、所定品質の焼成物が得られるよう、適宜調整すれば良い。また、焼成時のロータリーキルン内のO2分圧は、特に制限されず、一般的な焼成範囲である1〜12%に調整すれば良い。
可燃性物質としては、平均粒径が粗い(0.5〜10mmのものが好ましく、1〜5mmのものがより好ましい)可燃物、若しくは燃焼速度が遅い可燃物(石油コークス、石炭コークス、無煙炭など)を噴霧するのが好ましい。前記以外の可燃性物質では、該可燃性物質がすぐさま燃焼消失するため、焼成物周辺を還元雰囲気に保つことが困難となり、その結果、焼成物中の6価クロム量を低減する効果が低くなるので好ましくない。なお、燃焼速度が遅い可燃物は、平均粒径0.1〜0.5mmのものを使用することができる。
可燃性物質の供給量は、該可燃性物質の供給位置が焼成物出口から1D〜5D(Dはロータリーキルン1の内径)の場合は、焼成物100質量部に対して0.1〜5質量部供給するのが好ましい。可燃性物質の供給位置が焼成物出口から5D〜7D(Dはロータリーキルン1の内径)の場合は、焼成物100質量部に対して0.5〜10質量部供給するのが好ましい。
可燃性物質の供給量が前記の量未満では、焼成物周辺を還元雰囲気に保つことが困難となり、その結果、焼成物中の6価クロム量を低減する効果が低くなるので好ましくない。可燃性物質の供給量が前記の量を超えると、未燃焼の可燃性物質の残存量が多くなるので好ましくない。
ロータリーキルン1の焼成物出口における焼成物の温度が1150℃を越えると、40℃/min以上の冷却速度で冷却した場合に、焼成物にクラック等が生じて、焼成物の強度が低下したり、吸水率が高くなるので好ましくない。
なお、400℃以下まで冷却された後の焼成物の冷却速度は、特に限定するものではない。
ここで、エアークエンチングクーラーは、焼成物がクーラーグレート8上を移動しており、この下部に、複数個の空気室があり、冷却空気がこれらの空気室からクーラーグレートの孔を通って供給され焼成物を冷却するもので、冷却空気量を調整することにより、焼成物を400℃以下になるまで40℃/min以上の冷却速度で冷却することが可能になる。
(1)焼成物の製造:
原料として、石灰石及び表1に示す建設発生土、石炭灰を使用し、水硬率が0.5、0.8、1.1になるよう配合し、該原料を、130m3のエアーブレンディングサイロに投入し、エアーによる曝流混合を各々6時間行った。
続いて、得られた各原料を、図1に示すエアークエンチングクーラー2を付設したロータリーキルン1に1ton/hで投入し、滞留時間が60分となる条件で、最高温度が1150〜1250℃で焼成した。ロータリーキルン1内の最高温度の位置は、ロータリーキルンの内径をDとして焼成物出口から5Dの位置とした。また、焼成物の焼成中、可燃性物質(粒径1.6mmの石炭コークス)を焼成物出口から30kg/hで焼成物出口から4Dの位置に供給した。焼成物は、ロータリーキルン1の焼成物出口における温度が1000〜1050℃となるように調整して、エアークエンチングクーラー2に投入し、その後、350℃になるまでは50℃/minの冷却速度で冷却し、引き続きエアークエンチングクーラー2で冷却して焼成物を製造した。
得られた焼成物を、目開き5、10、15mmの篩い分けし、5〜15mmの焼成物について、絶乾密度、吸水率を、JIS A 1110に準拠して測定した。また、土木学会基準の高強度フライアッシュ人工骨材の圧壊荷重試験方法に準拠して、10〜15mmの焼成物の圧壊荷重を測定した。さらに、焼成物中のクロム含有量を、JCAS I-51により前処理後、ICP発光分析分析法により測定した。また、環境省告示46号法に準拠した焼成物からのCr6+の溶出量を測定した。
その結果を表2に示す。
(1)焼成物の製造:
実施例1で調製した水硬率が0.8の原料を、ロータリーキルン1に1ton/hで投入し、滞留時間が60分となる条件で、最高温度1200〜1230℃(最高温度の位置は焼成物出口から5Dの位置)で、可燃物を供給することなく焼成した。焼成後、焼成物をエアークエンチングクーラー2で冷却して焼成物を製造した。
得られた焼成物中のクロムの含有量、焼成物からのCr6+の溶出量を実施例1と同様に測定した。
その結果、クロム含有量は85(mg/kg)、Cr6+の溶出量は0.63(mg/L)であった。
2 エアークエンチングクーラー
3 プレヒーター
4 窯尻
5 キルンバーナー
6 焼成物出口
7 可燃性物質
8 クーラーグレート
Claims (4)
- 産業廃棄物、一般廃棄物及び建設発生土から選ばれる1種以上を含有する原料をロータリーキルンを使用して焼成する焼成物の製造方法であって、ロータリーキルン内の最高温度の位置をロータリーキルンの内径をDとして焼成物出口から3D〜7Dの位置とし、ロータリーキルン内の最高温度の位置より焼成物出口側にある焼成物に可燃性物質を供給しながら焼成し、ロータリーキルンから排出された焼成物を400℃以下になるまで40℃/min以上の冷却速度で冷却することを特徴とする焼成物の製造方法。
- 40℃/min以上の冷却速度での冷却をエアークエンチングクーラーを使用して行う請求項1記載の焼成物の製造方法。
- 40℃/min以上の冷却速度での冷却を焼成物を水中に投入する又は焼成物に散水することで行う請求項1記載の焼成物の製造方法。
- 焼成物の水硬率(H.M.)が、1.5未満である請求項1〜3のいずれか1項記載の焼成物の製造方法。
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